
- 自社のコンタクトセンター(コールセンター)に最適な自動化ソリューション:チャットボット、AIエージェント、IVR、音声認識、RPA、AIロープレ、ビデオ研修を適切に組み合わせることで、業務効率の向上や応対品質の均質化を実現。
- コンタクトセンター(コールセンター)を自動化する際の注意点:費用対効果の検討、業務フローの見直し、そして自動化の限界を理解することが成功の鍵。
- コンタクトセンター(コールセンター)に生成AIを導入すると何が自動化できるか:応対履歴の要約、リアルタイム支援、トークスクリプトやFAQの作成、オペレーター教育のサポートが自動化され、業務効率と応対品質の向上が期待できる。
「コンタクトセンターを自動化したいけれど、どうすればいい?」
「自社の課題にあった自動化の手法はどれかわからない」
コンタクトセンター(コールセンター)の運営を担当している方の多くは、こうした疑問を抱えているのではないでしょうか。コンタクトセンターの自動化には、以下7つの代表的なアプローチがあります。
・チャットボットによる問い合わせ対応 |
これらの技術を導入することで、業務効率化、人材不足の解消、応対品質の均質化など、さまざまな課題の解決が期待できます。
【コンタクトセンターの課題別・適する自動化ソリューション】
課題 | 適する自動化ソリューション | |||||||
チャットボット | AIエージェント | IVRボイスボット | 音声認識 | RPA | AIロープレ | ビデオ研修 | ||
1 | 後処理など事務作業を効率化したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
2 | オペレーターの人員不足を解消したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
3 | 応答率を上げ、放棄呼率を下げたい | 〇 | 〇 | |||||
4 | オペレーターの教育を効率化し、応対品質を均質化したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
5 | 休日や深夜帯も対応したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
6 | VOC(顧客の声)を適切に分析したい | 〇 | 〇 |
ただし、自動化を進める際には以下の点に注意が必要です。
・費用対効果を十分に検討する |
この記事を読むことで、自社のコンタクトセンターにおいてで何をどのように自動化すべきかが明確になります。自動化によって、業務効率化や応対品質が向上することを願っています。
1.コンタクトセンター(コールセンター)の自動化でできる7つのこと
コンタクトセンター(コールセンター)業務の「自動化」とは、人が行っていた作業を機械やソフトウェア、AIなどに担わせることを指します。コンタクトセンターにおいて自動化できるポイントは、主に以下の5つです。
・チャットボットによる問い合わせ対応 |
これらの技術がどのようなものか、どのような機能を持ち、自動化によるメリットとデメリットについて説明します。
1-1.チャットボットで問い合わせに対応する
コンタクトセンターの自動化の代表格は「チャットボット」です。
「チャットボット」とは、「チャット(chat/おしゃべり)」と「ボット(bot/ロボット)」を組み合わせた言葉で、リアルタイムで会話できる自動応答プログラムです。コンタクトセンターに導入することで、顧客からの問い合わせに自動で対応します。
一般的なチャットは、人と人がWeb上でメッセージをやりとりするサービスですが、チャットボットでは、その対話相手をボットが務めます。
コンタクトセンターにチャットボットを導入することで、顧客からの問い合わせや申し込みに対して、オペレーターの代わりにチャットボットが自動で対応することが可能になります。
特に生成AIを活用した「チャットボット」は、過去のやり取りや文脈を理解し、柔軟かつ精度の高い回答を提供できる点が特徴です。
FAQ対応だけでなく、顧客の自己解決を促進し、応対品質の向上にも貢献します。
【チャットボットの特徴】
チャットボットとは | リアルタイムで会話できる自動応答プログラム |
チャットボットでできること | 問い合わせ対応、申し込み対応、FAQ対応、自己解決支援 |
チャットボットのメリット | ・オペレーターの負荷軽減 |
チャットボットのデメリット | ・「シナリオ設計」が難しい |
チャットボットの導入を検討している企業にとって、運用設計やシナリオ構築、AIとの連携は大きな課題となります。そこでおすすめなのが、トランスコスモスが提供する「trans-AI chat」です。
「trans-AI chat」は、標準的なシナリオ型・一問一答型チャットボット機能のほかにも生成AI等 様々なシーンに活用可能です。さらに、有人チャットとのハイブリッドチャット機能により顧客の問題解決までスムーズな案内が可能となります。
顧客の悩みと回答の網羅性を高め複数の質問を要約して回答することにより、 自己解決までの時間を短縮します。導入から運用、改善までをワンストップでサポートし、顧客満足度の向上とコスト削減の両立を実現します。詳しくはお問い合わせください。
チャットボットについて詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
1-2.AIエージェントによる顧客対応の自動化と業務効率の向上
AIエージェントとは、自然言語処理や機械学習を活用して、顧客との対話を自律的に行うAIベースの応対システムです。チャットボットやIVRと異なり、より複雑な問い合わせや文脈理解が求められる場面でも、柔軟かつ的確な対応が可能です。
AIエージェントは、顧客の過去の履歴や感情を分析しながら、最適な回答や対応をリアルタイムで提供します。有人対応との連携もスムーズで、必要に応じてオペレーターに引き継ぐことも可能です。
【AIエージェントの特徴】
AIエージェントとは | 自然言語処理を活用し、顧客対応を自律的に行うAI応対システム |
AIエージェントでできること | 複雑な問い合わせ対応、文脈理解、感情分析、有人対応との連携 |
AIエージェントのメリット | ・対応の高度化と精度向上 |
AIエージェントのデメリット | ・初期導入コストがかかる |
AIエージェントは、各業界での導入が進んでおり、顧客満足度の向上と業務効率化の両立を実現しています。
AIエージェントについて詳しくは、以下の関連記事をご覧ください。
1-3.IVRを用いた電話の一次対応
コンタクトセンターの自動化の手段として多くの企業が導入しているのが、「IVR」です。
IVR(Interactive Voice Response)とは「自動音声応答システム」のことで、顧客からの電話に対してオペレーターの代わりに一次対応を行います。
顧客からの入電があると、IVRはあらかじめ録音された音声を自動再生します。
顧客はそのアナウンスに従ってプッシュ操作を行うか、音声認識を通じて適切な担当窓口への誘導や無人での自動受付などをします。
【IVRの特徴】
IVRとは | 自動音声応答システム |
IVRでできること | ・担当窓口への振り分け |
IVRのメリット | ・顧客の自己解決を促進 |
IVRのデメリット | ・プッシュ操作が手間となる |
IVRを導入することで、「カスタマーサポート」への問い合わせや「修理受付」への故障連絡、「注文受付」などを自動で、適切に振り分けることが可能になります。これにより、オペレーターが専門外の対応に時間を取られることがなくなり、業務効率化につながります。
また、夜間や休日の問い合わせに対しては、「折り返しご連絡いたします」といった案内を行い、連絡先を取得することで、翌営業日以降に対応すること体制を整えることもできます。
最近では、スマートフォンやWeb画面上で視覚的な案内を行う「ビジュアルIVR」や電話での問い合わせに対し人を介さずAI解析システムで回答する「ボイスボット」の活用も進んでおり、より直感的な操作が可能になっています。
IVRについてさらに詳しく知りたい方は、以下の関連記事をご覧ください。
・IVRとは?コールセンターにおけるメリット・デメリット
・ビジュアルIVRとは?4つのメリットと具体的な導入方法を解説
・ボイスボットとは?メリット・デメリットから導入ポイントまで網羅解説
1-4.音声認識による応対履歴の記録
チャットボットやIVRは、コンタクトセンター業務において「顧客対応の自動化」を担う技術であるのに対し、音声認識は「後処理業務の自動化」に効果を発揮する技術です。
音声認識とは、人間の音声をコンピューターが自動的に認識し、テキスト化する技術です。話者の声の特徴をもと、誰が話をしているか特定することも可能です。
コンタクトセンターでは、オペレーターが顧客対応後に応対内容を記録する必要があります。従来は手入力で要約していたため、後処理に時間が掛かっていましたが、音声認識を活用することで、通話内容をリアルタイムでテキスト化し、業務システムに自動で記録することが可能になります。
これにより、オペレーターの負担が軽減され、業務効率化が大幅に向上します。
【音声認識の特徴】
音声認識とは | 人間の音声をコンピューターが自動認識し、テキスト化する技術 |
音声認識でできること | ・通話内容の自動テキスト化 |
音声認識のメリット | ・後処理時間の短縮 |
音声認識のデメリット | ・雑音があると精度が低下 |
さらに「AI音声認識」には、以下のような機能があります。
・感情分析機能 : 顧客の声から感情をリアルタイムで把握し、適切な対応を支援 |
音声認識の導入を検討している企業には、トランスコスモスが提供する「transpeech(トランスピーチ)」がおすすめです。
「transpeech」は、コンタクトセンター向けに最適化されたAI音声認識ソリューションで、通話内容の自動テキスト化はもちろん、感情分析や要注意ワードの検出など高度な機能を搭載しています。
これにより、後処理業務の効率化だけでなく、応対品質の向上やトラブルの早期発見にも貢献します。
導入から運用支援までワンストップで提供されているため、初めて音声認識を導入する企業でも安心して活用できます。
詳しくは、以下のページをご覧ください:
transpeech|トランスコスモス
音声認識については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
1-5.RPAによる事務処理の簡略化
コンタクトセンターの業務には、顧客対応だけでなく、後処理業務や各種事務作業が含まれています。それらの定型的な作業を自動化するために活用されている技術が「RPA」です。
「RPA(Robotic Process Automation)」は、「ロボットによるプロセス自動化」を意味します。
言い換えれば、人間がパソコン上で行う単純作業や反復作業をロボットに覚えさせ、自動的に実行させる技術です。あらかじめ作成した「シナリオ」に従い、自動的に計算や記録、分析、メール送信などの業務を自動化できます。
【RPAの特徴】
RPAとは | 人がパソコンで行う定型作業をロボットに覚えさせ、自動で実行する技術 |
RPAでできること | 【スーパーバイザー業務】 【オペレーター業務】 |
RPAのメリット | ・業務を効率化 |
RPAのデメリット | ・自動化できる業務の見極めが必要 |
RPAは「定型業務の自動化」に特化した技術です。
複雑な判断や柔軟な対応が求められる業務には向いていないため、導入前に業務の棚卸しを行い、自動化に適した業務を見極めることが重要です。RPA導入は、小規模な業務から段階的に進めることで、リスクを抑えながら効果を最大化できます。
RPAについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。
1-6.AIロープレによる教育・トレーニングの効率化
AIロープレ(AIロールプレイング)とは、AIが顧客役を演じ、オペレーターが応対練習を行うことで、実践的なトレーニングを可能にする仕組みです。
従来の座学やマニュアル中心の教育とは異なり、リアルな対話形式でのトレーニングができるため、応対品質の均質化や教育コストの削減に効果があります。
【AIロープレの特徴】
AIロープレとは | AIが顧客役を演じ、オペレーターが応対練習を行う教育支援ツール |
AIロープレでできること | ・実践的な応対トレーニング |
AIロープレのメリット | ・教育コストの削減 |
AIロープレのデメリット | ・初期導入コストがかかる |
AIロープレは、特に新人オペレーターの育成や、応対品質のばらつきを抑える目的で導入が進んでいます。生成AIの進化により、より自然で多様な顧客対応シナリオを再現できるようになっており、教育の質とスピードを両立する新しい手法として注目されています。
1-7.ビデオ研修による教育プロセスの自動化と人材育成の効率化
コンタクトセンターの教育・トレーニングにおいて、近年注目されているのが「ビデオ研修」です。
ビデオ研修とは、業務マニュアルや応対ノウハウを動画コンテンツとして提供することで、いつでもどこでも学習できる環境を整える教育手法です。
特に新人オペレーターの育成において、座学だけでは伝えきれない実践的なスキルや対応の流れを、視覚的に理解できる点が大きなメリットです。さらに、教育内容の標準化が図れるため、スーパーバイザーの負担軽減にもつながります。
【ビデオ研修の特徴】
ビデオ研修とは | 業務マニュアルや応対ノウハウを動画で提供する教育手法 |
ビデオ研修でできること | 応対手順の視覚的理解、反復学習、教育の標準化 |
ビデオ研修のメリット | ・教育コストの削減 |
ビデオ研修のデメリット | ・動画制作の手間とコスト |
AIロープレと組み合わせることで、座学・視覚・実践の三位一体の教育体制を構築でき、より効果的な人材育成が可能になります。
2.【課題別】自社のコンタクトセンター(コールセンター)に最適な自動化ソリューション
コンタクトセンター(コールセンター)では、主に5つの自動化が可能です。
・チャットボット:テキストベースでの自動応答 |
自動化の導入は、自社の課題に応じて最適な技術を選定することが重要です。
それでは、各課題に対する自動化ソリューションについて詳しく説明します。
2-1.後処理など事務作業を効率化したい:音声認識、RPA、AIエージェント
●音声認識の活用
通話内容をリアルタイムでテキスト化することで、オペレーターが手作業で対応内容を記録する必要がなくなります。これにより、対応履歴の記録やVOCの収集が自動化され、業務の正確性とスピードが向上します。
さらに、テキスト化されたデータは、品質管理やトレンド分析にも活用可能。例えば、頻出するキーワードを抽出することで、顧客ニーズの変化を把握できます。
●RPAの活用
RPAは、報告書作成、データ転記、メール送信などの定型業務を自動化します。特に、複数のシステムをまたぐ作業や、繰り返し発生する処理に強みがあります。
導入例: |
●AIエージェントの活用
AIエージェントは、後処理業務の一部を自動化する役割も担います。例えば、通話後の対応履歴の要約や、顧客の感情分析結果をもとにしたレポート作成など、判断を伴う業務の自動化が可能です。
また、音声認識やRPAと連携することで、通話内容のテキスト化 → 要約 → CRMへの登録という一連の流れを完全自動化することも可能になります。これにより、スーパーバイザーのレビュー業務や品質管理の効率化にもつながります。
活用例: |
AIエージェントは、単なる作業の自動化にとどまらず、業務判断の支援や品質向上にも寄与する次世代の自動化ツールとして注目されています。
2-2.オペレーターの人員不足を解消したい:チャットボット、IVR、AIエージェント
●チャットボットの活用
チャットボットは、FAQ対応や簡易な手続きなどを自動化し、オペレーターの対応件数を削減します。特に、WebサイトやLINEなどのチャネルと連携することで、顧客接点を広げることが可能です。
導入ポイント: |
●IVRの活用
IVRは、電話対応の初期段階を自動化し、問い合わせ内容に応じた適切な振り分けを実現します。これにより、オペレーターの対応時間を最適化できます。
活用例: |
●AIエージェントの活用
AIエージェントは、チャットボットやIVRよりも高度な自然言語処理を活用し、より複雑な問い合わせや文脈理解が求められる対応を自動化します。顧客の過去の履歴や感情を分析しながら、最適な回答をリアルタイムで提供することが可能です。
これにより、オペレーターが対応すべき案件をさらに絞り込み、人的リソースの最適化が図れます。特に、夜間や繁忙期など人手が不足しがちな時間帯において、AIエージェントが一次対応を担うことで、応答遅延の防止や顧客満足度の維持に貢献します。
導入ポイント: |
2-3.応答率を上げ、放棄呼率を下げたい:チャットボット、IVR、予約型コンタクトセンター
●チャットボットの活用
チャットボットは、同時に複数の問い合わせに対応可能なため、待ち時間の短縮に直結します。特に、ピークタイムの対応力強化に効果的です。
さらに、顧客の行動履歴や属性に応じたパーソナライズ対応を行うことで、満足度の向上にもつながります。
●IVRの活用
IVRは、複数回線での同時対応が可能で、放棄呼の削減に貢献します。最近では、ビジュアルIVRの導入が進んでおり、スマートフォン画面での操作により、自己解決率の向上が期待できます。
導入効果: |
●予約型コンタクトセンター
従来のコンタクトセンターでは、オペレーターと話をする前に待たされるという体験が一般的でしたが、これからは顧客をお待たせしない予約対応型コンタクトセンターの活用が見込まれます。
顧客からのコールバック予約受付の前に、相談内容や希望折り返し時間帯をヒアリングし、自動的にオペレーターの空き状況に応じて着信や折り返し予約受付、Webへの誘導を行います。
コールバック予約によるコミュニケーションモデルで顧客の課題解決時間を短縮し、顧客のCXを向上させるとともに、顧客からの苦言削減によりEXの向上につながります。
2-4.オペレーターの教育を効率化し、応対品質を均質化したい:音声認識、AIロープレ、ビデオ研修
●音声認識の活用
音声認識により、オペレーターの応対内容をテキスト化し、教育資料として活用できます。スーパーバイザーは、実際の応対履歴をもとにフィードバックを行えるため、指導の質が向上します。
また、オペレーター自身も、自分の応対を振り返ることで、言い回しや対応のクセを客観的に把握し、改善につなげることが可能です。
●AIロープレの活用
AIロープレは、AIが顧客役を演じることで、実践的なトレーニングを繰り返し行える教育支援ツールです。クレーム対応や複雑な問い合わせなど、難易度の高いシナリオにも対応可能です。
特徴: |
●ビデオ研修の活用
ビデオ研修は、業務マニュアルや応対ノウハウを動画で提供することで、時間や場所にとらわれずに学習できる教育手法です。教育内容の標準化が可能となり、スーパーバイザーの負担軽減にもつながります。
活用例: |
2-5.休日や深夜帯も対応したい:チャットボット、ボイスボット、AIエージェント
●チャットボットの活用
チャットボットは、24時間365日対応可能で、営業時間外の問い合わせにも即座に対応できます。一次対応を自動化し、必要に応じて人による対応へ引き継ぐことで、顧客の不満を軽減できます。
導入効果: |
●ボイスボットの活用
ボイスボットも同様に、時間帯を問わず対応可能です。
例えば、一時的な入電増加に対して急な増席が必要となった場合や、深夜・休日などの多くはないがある程度ニーズのある時間帯の対応において、簡単な問い合わせや定型的な回答を音声AIで対応することで機会損失を恒常的に防ぐことができます。
●AIエージェントの活用
AIエージェントは、チャットボットやボイスボットよりも高度な自然言語処理と文脈理解を備えており、複雑な問い合わせにも自動で対応可能です。
特に、深夜や休日などオペレーターが常駐していない時間帯において、AIエージェントが有人対応に近いレベルの応対を担うことで、顧客満足度を維持しながら対応の幅を広げることができます。
また、チャットボットやボイスボットと連携することで、問い合わせ内容に応じた最適なチャネル選択や対応の自動切り替えも可能になります。
導入効果: |
2-6.VOCを適切に分析したい:音声認識、RPA
●音声認識の活用
音声認識により、通話内容からキーワードや感情表現を抽出し、VOC分析に活用できます。これにより、顧客の本音や潜在ニーズを可視化することが可能です。
活用例: |
●RPAの活用
RPAは、音声認識で抽出されたデータをもとに、レポート作成や傾向分析を自動化します。これにより、マーケティングや商品開発へのフィードバックが迅速に行えるようになります。
VOCの分析については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
・VOCはマーケティングに必要!VOC収集の手法やポイントを解説
・コールセンターでVOCを収集する手法や具体的なステップを解説
・VOC分析で期待できる4つの効果|基礎から分析手順まで網羅解説
3.コンタクトセンター(コールセンター)を自動化する際の注意点
コンタクトセンター(コールセンター)の自動化は業務効率化やコスト削減に大きく貢献しますが、導入すれば必ず成功するとは限りません。むしろ、準備不足や誤った判断によって、かえって業務が混乱するケースもあります。
ここでは、自動化を進めるうえで特に注意すべき3つのポイントを解説します。
・費用対効果を考慮する |
3-1.費用対効果を考慮する
コンタクトセンターの自動化ツール入には、初期投資・運用コスト・教育コストなど、さまざまな費用が発生します。一方で、得られる効果は「人件費の削減」「対応スピードの向上」「顧客満足度の改善」など多岐にわたります。
導入前には、以下のような視点で費用対効果を試算しましょう:
自動化によって「削減できる費用」と「かかる費用」を試算し、費用よりも大きな効果が期待できる場合には、自動化は有効な手段となります。
・導入コスト:システム構築費、ライセンス料、インフラ整備費 |
また、問い合わせ内容が多様で複雑なセンターでは、チャットボットやIVRの効果が限定的な場合もあります。
まずは、自社のセンターに適した自動化ソリューションを「2.【課題別】自社のコンタクトセンター(コールセンター)に最適な自動化ソリューション」で見極め、そのうえで費用対効果が高いと予想できれば、導入する判断が必要です。
3-2.業務のオペレーションを刷新する必要がある
コンタクトセンターの自動化は、単にツールを導入するだけでは効果を発揮しません。既存の業務プロセスやオペレーションを見直し、最適化することが前提となります。
例えば以下のようなオペレーションの見直しが必要となります。
・チャットボット導入時:問い合わせ導線の再設計、FAQの整備、エスカレーションルールの明確化 |
さらに、新しい業務フローを現場に浸透させるための教育・トレーニングも不可欠です。
新しい業務フローやオペレーションをオペレーターやスーパーバイザーに教育する必要があり、業務がスムーズに回るまでには一定の期間を要するでしょう。そのため、これを見越して導入計画を立てることが重要です。
自動化システムやサービスを提供する企業の中には、導入計画や業務フロー、オペレーションの設計を支援してくれるところもあります。「スムーズに導入できるか不安」と感じる場合は、そのような企業にワンストップで依頼するのが良いでしょう。
3-3.すべての応対を自動化することはできない
チャットボットやIVRを効果的に活用することで、多くの問い合わせ対応を自動化することが可能です。
しかし現在の技術では、すべての問い合わせを自動化することは現実的ではありません。特に以下のようなケースでは、オペレーターによる対応が不可欠です:
・感情的なクレームや謝罪対応 |
また、自動化された応対が顧客の期待に沿わない場合、かえって不満を招くこともあります。そのため、自動化と人による対応のバランス設計が重要です。
さらに、自動化によってオペレーターの業務が減るわけではなく、対応すべき案件の難易度が上がる傾向にあります。これに対応するためには、オペレーターのスキル向上や継続的な教育体制の整備が求められます。
4.コンタクトセンター(コールセンター)に生成AIを導入すると何が自動化できる?
ここまでコンタクトセンター(コールセンター)における自動化について解説してきましたが、近年急速に注目を集めているのが「生成AI」の活用です。
「生成AIをコンタクトセンター業務に活用できないか?」という声は多く、実際に導入を検討する企業も増えています。本章では、生成AIの概要と、コンタクトセンターでの活用可能性について詳しく解説します。
4-1.生成AIとは
生成AIとは、大量のデータを学習し、新しいコンテンツ(文章・画像・音声・動画など)を自動生成できるAI技術です。従来のAIが「分類・予測」に強かったのに対し、生成AIは「創造・生成」に特化しています。
主な種類と代表例は以下の通りです。
種類 | 内容 | 代表的なツール |
文章生成AI | テキストの生成・要約・翻訳など | ChatGPT、Gemini、Claude、Perplexity |
画像生成AI | イラストや写真風画像の生成 | Midjourney、Stable Diffusion、DALL·E |
動画生成AI | 動画の自動生成・編集 | Runway、Veo |
音声生成AI | 音声の合成・ナレーション作成 | Amazon Polly、VOICEVOX、ElevenLabs |
4-2.生成AIで自動化できそうなコンタクトセンター(コールセンター)業務
生成AIは、コンタクトセンター業務のさまざまな場面で活用可能です。
以下は、特に自動化が期待される業務領域ですおいて以下のように活用できます。
【生成AIで自動化できる業務例】 |
生成AIは、自然な文章を短時間で生成できるため、業務の効率化と品質向上の両立が可能です。
4-3.生成AIをコンタクトセンター(コールセンター)で活用する際の課題とリスク
便利な生成AIですが、現時点では完全な自動化には限界があります。主な課題は以下の通りです:
■ ハルシネーション(誤情報の生成)
生成AIは、もっともらしいが事実と異なる情報を生成することがあります。例えば、正しい答えが「A」であっても、ネット上に「B」の情報が多ければ「B」と回答する可能性があります。
■ セキュリティ・情報漏洩
顧客情報や社内データをAIに入力することで、情報漏洩のリスクが生じる可能性があります。
■ 著作権・倫理的問題
生成されたコンテンツが、既存の著作物に類似している場合、著作権侵害の懸念があります。
これらの理由から、生成AIの出力内容は必ず人間が確認・修正する必要があります。
4-4.生成AIをコンタクトセンター(コールセンター)で利用する現実的な方法
生成AIは、補助的なツールとして活用することで、業務効率化に大きく貢献します。
以下のような使い方が現実的です。
■ 実用的な活用例
・応対履歴の要約 : 通話後の記録作業をAIに任せ、オペレーターは確認・修正のみ |
■ 活用時の注意点
・導入目的を明確にし、適切なツールを選定する |
このように、要約や下書きなどを生成AIに利用し、最終的には人がファクトチェックや修正を行うことで、業務の正確性を保ちながら効率化を図ることができます。
生成AIの活用方法について詳しくは、以下の関連記事をご参照ください。
5.コンタクトセンターの自動化をご検討ならトランスコスモスへご相談ください
トランスコスモスでは、音声認識ソリューションtranspeech(トランスピーチ)をAIアシストソリューションにフルリニューアルしました。従来の音声認識機能や対話要約機能を軸に、コンタクトセンター(コールセンター)の現場でも特にニーズの高い機能を追加しています。
・ VOC抽出機能 |
これらの機能はすべてAIテクノロジーと融合しており、能動的なサポートでオペレーターに寄り添うことで、進化したコンタクトセンターオペレーションを実現します。
【transpeechによる効果事例】
transpeechの音声認識機能・自動要約機能・VOC抽出機能を活用したところ、生産性が導入前比170%向上した企業もございます。
リニューアルしたtranspeechはセキュリティ・システム構成を刷新しており、トランスコスモスのCXスクエアはもちろん、お客様企業のシステム環境下で稼働するコンタクトセンターへの導入も可能です。
まとめ
本記事では、コンタクトセンター(コールセンター)の自動化に関する実現可能な内容や注意点をお伝えしてきました。
最後に、この記事の要点を以下にまとめます。
◎コンタクトセンターの自動化でできる7つのこととは、以下の通り
・生成AIを活用したチャットボットによる問い合わせ対応 |
◎課題別・コンタクトセンターに適している自動化ソリューションは、以下の通り
課題 | 適する自動化ソリューション | |||||||
チャットボット | AIエージェント | IVRボイスボット | 音声認識 | RPA | AIロープレ | ビデオ研修 | ||
1 | 後処理など事務作業を効率化したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
2 | オペレーターの人員不足を解消したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
3 | 応答率を上げ、放棄呼率を下げたい | 〇 | 〇 | |||||
4 | オペレーターの教育を効率化し、応対品質を均質化したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
5 | 休日や深夜帯も対応したい | 〇 | 〇 | 〇 | ||||
6 | VOC(顧客の声)を適切に分析したい | 〇 | 〇 |
◎コンタクトセンターを自動化する際の注意点は、以下の3つ
・費用対効果を考慮する |
以上を踏まえて、あなたのコンタクトセンターが適切に自動化されることを願っています。