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VOCはマーケティングに必要!VOC収集の手法やポイントを解説

「VOCはマーケティングに活用できるの?具体的な活用方法が知りたい」
「VOCはマーケティングに活用するべき?具体的な事例が知りたい」

VOC(企業やブランド、商品やサービスに対する顧客のリアルな意見、感想のこと)を収集するときに、マーケティング活用できるのか気になる方が多いのではないでしょうか。

結論から言うと、VOCはマーケティングに必要不可欠です。顧客のニーズを掴み的を射た施策をするには、リアルな顧客の声が欠かせないからです。具体的には下記のようなシーンで、マーケティングに有効活用できます。

VOCのマーケティング活用方法

・商品やサービスの改善
・カスタマージャーニーの最適化
・顧客満足度の向上
・商品やサービスの訴求力の強化

たとえば、自社の商品・サービスの改善や顧客満足度の向上に活用することが可能です。VOCをマーケティング領域で有効活用するには具体的な収集手法やポイントを理解し、自社のマーケティングの目的に応じて取り入れることが欠かせません。

そこでこの記事では、VOCをマーケティングに活用する必要性や具体的な活用方法をまとめて解説していきます。すぐに実践できる収集手法やVOC収集の課題を解消するツールにも触れているので、必見です。

▼本記事の内容
・VOCはマーケティングに必要
・VOCをマーケティングに活用する方法
・マーケティングに活かすためにVOCを収集する5つの方法
・VOCのマーケティング活用事例
・VOCをマーケティングで活用する際の3つの課題点
・VOCのマーケティング課題を解決できるツール2選
・VOCをマーケティングに最大限活かすための2つのポイント

この記事を最後まで読めば、VOCをマーケティングに活用する理由が理解でき、すぐにVOCを収集する準備を始めることができます。

貴重なVOCを自社の目的に応じてマーケティング施策に有効活用し効果を高めるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.VOCはマーケティングに必要


VOC(Voice of customer)とは、簡単にいうと「顧客の声」という意味です。

企業やブランド、商品やサービスに対するリアルな意見、感想を指します。昨今はVOCを有効活用し、効果的なマーケティングを実施するケースが増えており、VOCはマーケティングに必要不可欠な要素となっています。

VOCがマーケティングに必要な理由としては、次の2つがあります。

▼VOCがマーケティングに必要な理由
・顧客のニーズに応じた施策を検討できる
・顧客の不満や要望にいち早く対応できる

1-1.理由①:顧客のニーズに応じた施策を検討できる

1つ目は、顧客のニーズに応じた施策を検討できることです。昨今は顧客の価値観が多様化しており、変化のない戦略では他社との差別化が難しくなりました。

それだけでなく時代の流れや技術の進歩も早いので、常に顧客のニーズを把握して柔軟に対応する必要があります。そこで重要となるのが、VOCです。顧客のリアルな声を収集、分析をしてマーケティング戦略に活かすことが求められます。

たとえば、化粧品メーカーのマーケティングを例に考えてみましょう。定番の化粧水の売れ行きが低下し、新たなマーケティング施策を検討しています。今までVOCを収集していませんでしたが、初めてVOCを収集してみたところ下記のような声がありました。

【収集したVOCの一例】
・ボトルのデザインが時代に合っていないと感じる
・数年前から成分に変化がないと思っている

VOCを収集していなかったため、ボトルのデザインや成分に不満を抱えている顧客の存在を見落としていたのです。

このように、VOCは顧客のリアルな意見を可視化できるため、ニーズを捉えた上で新たな施策を検討できます。上記の例ではボトルのデザイン変更や成分の見直しなどを実施できるでしょう。

商品やサービスは顧客のニーズに応じて変化させていくことが欠かせません。そのときにVOCは重要な鍵となって、的を射た施策を検討できるようになります。

1-2.理由②:顧客の不満や要望にいち早く対応できる

2つ目は、顧客の不満や要望にいち早く対応できることです。

・顧客満足度や顧客体験の向上につながる
・ネガティブな意見の拡散を防止できる

という2つの視点でVOCは非常に重要です。

①顧客満足度や顧客体験の向上につながる

VOCを収集すると、顧客の不満や悩みにいち早く気付けます。

たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)に、商品の使い方が分からないという問い合わせが多数あったとします。せっかく商品を購入しても使い方が分からないと、ストレスや不満につながります。

この状態を放置すると、商品を購入した顧客の満足度や顧客体験価値は低下するでしょう。

そこで、VOCを参考に、動画配信サイトに商品の使用方法の動画を掲載しました。

このように顧客の不満にいち早く対応することで、顧客満足度や商品、サービスへの信頼性の向上を実現できます。
顧客満足度や顧客体験を向上させるための施策については、こちらの記事もご参考ください。

 

②ネガティブな意見の拡散を防止できる

最近は顧客との接点が複雑化しており、企業の目が届かないところで意図せぬ声が拡散されてしまうことがあります。とくにSNSやWeb上でネガティブな情報を拡散されてしまうと、企業のイメージダウンにつながりかねません。

普段からVOCを収集、分析していれば、ネガティブな声にもいち早く気付けるようになります。その結果、大きなトラブルに発展する前に個人的に連絡を取る、拡散を防ぐなど何らかの対策を検討できます。

このように、VOCの収集はマーケティングを行う上で欠かせない「企業イメージの低下を防ぎ信頼度を向上させる」という重要な役割を担っています。

2.VOCをマーケティングに活用する方法

VOCをマーケティングに活用する主な方法としては、次の4つが考えられます。

▼VOCをマーケティングに活用する方法
・商品やサービスの改善
・カスタマージャーニーの最適化
・顧客満足度の向上
・商品やサービスの訴求力の強化

VOCを収集しても、マーケティングに有効活用できなければ意味がありません。どのような場面で活用できるのか具体的に把握しておきましょう。

2-1.商品やサービスの改善

VOCは、商品やサービスの改善に活用できます。VOCを収集すると顧客のリアルな要望や不満がわかります。商品やサービスを実際に利用しているからこそ見えてくる意見は、社内での議論ではなかなか抽出できません。

例として、スポーツ飲料のリニューアルを検討していたとしましょう。

社内では、下記のような商品の味に関する意見が多数出ていました。

・風味を変えたほうがいい
・味のバリエーションを増やしてみよう

しかし、VOCを収集すると、下記のような意見が多かったのです。

・味には満足しているからおしゃれなデザインがいい
・今の風味に満足していてサイズのバリエーションが欲しい

つまり、机上の空論とVOCには大きな乖離があり、このままリニューアルをしていたらニーズに合わない商品の改善になっていました。

このように、VOCを参考にしながら商品やサービスの見直しを行うことで顧客ニーズを捉えた「本当に欲しいもの」「喜ばれるもの」を作り出せるようになります。その結果、利益の拡大やリピーターの獲得などにつながるでしょう。

2-2.カスタマージャーニーの最適化

カスタマージャーニー(Customer Journey)とは、顧客がブランドや商品・サービスを認知・購入・再購入する顧客体験のプロセスを旅に例えた言葉です。

下記のようなカスタマージャーニーマップに顧客の行動やタッチポイント、顧客の感情変化を時系列に沿ってまとめます。

カスタマージャーニー
自社のカスタマージャーニーマップを理解しておくと、全体像を把握したうえで適切な施策が検討しやすくなります。

実は、カスタマージャーニーマップを考えるときに、VOCが非常に重要な役割を果たします。なぜなら、企業の理想を反映したカスタマージャーニーとVOCにはどうしても差が生まれるからです。

たとえば、上記のカスタマージャーニーマップの「比較」部分に注目してみましょう。企業側では、比較サイトや体験ブログを参考に「これが欲しい」と感じてもらえるストーリーを描きました。

しかし、VOCを分析していくと、商品を検討している顧客は実店舗に足を運んでサイズや素材、使いやすさをリサーチしていたのです。

カスタマージャーニーマップと実際の顧客の行動、心理に大きな乖離があると、適切な施策が検討できません。VOCを基にカスタマージャーニーを作成することで、リアルな顧客行動、顧客心理に沿ったマーケティングができるようになります。

カスタマージャーニーマップの具体的な作成方法や分析方法は下記の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。

2-3.商品やサービスの訴求力の強化

商品やサービスの訴求力を高めたいときにも、VOCは一役買ってくれます。

商品のパッケージに「この商品を使ってよかった」「リピートしています」など、実際に使用している顧客の声が掲載されていることがあります。これがVOCに該当します。

顧客が商品やサービスに感じている魅力は商品のウリとなるため、他のユーザーへのアピールポイントとして活用できるのです。顧客のリアルな声は、商品やサービスを検討しているユーザーにとって重要な判断材料となります。場合によっては、購入を決断するひと押しとなることもあるでしょう。

・収集したVOCをWebサイトや商品のパッケージに記載する
・収集したVOCをもとにリピーター率や満足度などのグラフを作成する

など、VOCをデータとして活用し販売促進を行うことも可能です。

3.マーケティングに活かすためにVOCを収集する5つの方法

VOCをマーケティングに活用するには、VOCを効率よく収集する必要があります。VOCを収集する主な手法としては、次の5つがあります。

VOCを収集する手法
電話コンタクトセンター(コールセンター)などの電話窓口で顧客と会話しながら声を収集する
チャット・チャットボットテキストベースで顧客とコミュニケーションしながら声を収集する
モニター調査自社の商品やサービスに関する意見を求める
SNSX(twitter)やInstagramなどのSNSから口コミや意見を収集する
お問い合わせフォーム・メールWebサイトやランディングページに設けているお問い合わせフォームやメールを活用する

それぞれ収集方法や向いているケースが異なるため、どのような手法を活用するべきか検討してみてください。

3-1.電話

電話は、顧客のリアルな声を直接収集できる貴重な手法です。電話窓口には、

・商品やサービスに関する問い合わせ
・商品やサービスに関する要望
・商品やサービスに関するクレーム

などさまざまなVOCが集まります。これらを漏らすことなく収集するだけでも、課題の把握や対応するべきポイントが見えてきます。場合によってはオペレーターとの対話によって深掘りができ、VOCをより深く理解することができるでしょう。

電話受付は「すぐにオペレーターに伝えたい」という緊急性の高いVOCも多く、鮮度の高い意見を収集しすぐに改善や対処を検討したいときに役立ちます。

電話でVOCを収集するメリット・デメリット

メリット

・顧客の本音を収集できる
「商品・サービスについての意見を持った顧客からの電話」は顧客の本音が出やすい
・VOCの質が高い
直接顧客と対話をしながら心情や考えを深掘りできるため本音を引き出しやすい

デメリット

・対応時間・対応件数に制限がある
オペレーターの稼働時間内しか対応できないため短期間に大量のVOCを収集することは難しい

向いているケース

・精度の高いVOCを収集したい
・一人の顧客の声を深堀りしたい

コンタクトセンター(コールセンター)におけるVOC収集やVOCマーケティング活用については、こちらの記事もご参考ください。

3-2.チャット・チャットボット

チャットやチャットボットは、テキストベースで顧客とコミュニケーションを取るツールです。

種類

対応方法

概要

チャット

有人対応

Webブラウザやスマートフォンの画面上に文字入力をして問題解決をする方法

チャットボット

無人対応

リアルタイムで使用できる自動会話プログラム
事前に登録しておいた回答を提示して問題解決をする方法

チャットは有人対応となりますがチャットボットは無人対応なので、時間に囚われることなく利用できる点が特徴です。電話のようにオペレーターと会話する必要がないため利用ハードルが低く、手軽に利用してもらえます。

そのため、問い合わせが多い質問を集計でき、FAQの作成や商品、サービスの改善に役立てることが可能です。ツールによってはアンケート機能を使い、顧客に対してアンケートを実施することもできます。

チャット・チャットボットでVOCを収集するメリット・デメリット

メリット

・VOCを効率よく収集できる
顧客のタイミングに応じて利用できる
・VOCを蓄積できる
顧客の選択した質問や入力した質問などをデータとして蓄積できる

デメリット

・利用者が偏る可能性がある
幅広い年齢層のVOCを収集する目的には向いていない

向いているケース

・できるだけ手間をかけないでVOCを収集したい

チャットやチャットボットの機能、導入メリットについて詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

3-3.モニター調査

モニター調査とは、自社の商品やサービスに関する意見を求める手法です。商品やサービスに対する率直なVOCを収集したいときに向いています。主な手法としては、下記の6種類があります。

モニター調査の種類

インターネット調査

インターネット経由でアンケートを実施する

郵送調査

対象者にアンケートを郵送し回答してもらう

サンプル調査

商品やサービスを無料で提供し、使用感や感想を回答してもらう

インタビュー調査

一対一もしくはグループでインタビューを実施する

会場調査

対象者を会場に集めて調査をする

モニター調査は収集したいVOCに応じて、手法を選択し取り組める点が特徴です。たとえば、商品やサービスのリアルな使い心地を知りたい場合は、サンプル調査が検討できるでしょう。

できるだけ多くのVOCを収集したい場合は、インターネット調査や郵送調査などが向いています。このように、VOCの用途を踏まえて有効活用できる手法を選び実施できます。

モニター調査でVOCを収集するメリット・デメリット

メリット

・VOCの用途に応じて手法を選択できる
インターネット調査やサンプル調査、インターネット調査など必要なVOCの量や質に応じて検討できる
・VOCが収集しやすい
VOCを収集する目的で顧客に参加してもらうため、VOCが積極的に収集できる

デメリット

・手法によっては日数や費用がかかる
サンプル調査や会場調査などは費用や手間がかかる

向いているケース

・自社の商品やサービスに関するVOCを収集したい
・複数の手法から選択したい

モニター調査についてより詳しく知りたい場合は、下記の記事を参考にしてみてください。

3-4.SNS

X(Twitter)やInstagramなどのSNSからも、VOCを収集できます。

・自社の公式アカウントでのコメントや反応を確認する
・自社のブランド名や商品名で検索をして口コミや評価を確認する

などの方法でVOCを収集することが可能です。SNSのVOCは自社の商品やサービスを利用している顧客だけでなく、検討中のユーザーのVOCも含まれます。そのため、他のツールでは収集できない声を拾うこともできるでしょう。

また、VOCを見つけたときにはアクティブサポート(企業側から顧客に対して直接アプローチを行う手法)を行い、顧客との関係を深めることも可能です。

アクティブサポートについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

SNSでVOCを収集するメリット・デメリット

メリット

・自社の顧客ではないユーザーのVOCを収集できる
自社の顧客のVOCだけでなく検討中の顧客や商品やサービスに興味を持ち始めた顧客の声を収集できる
・アクティブサポートにつなげやすい
VOCに対してすぐに反応できると新たな顧客との関係を構築できる

デメリット

・信憑性の低いVOCが含まれる
不特定多数のユーザーのVOCが含まれるためVOCの精度が担保できない

向いているケース

・自社の顧客有無問わず広くVOCを収集したい
・アクティブサポートを実施したい

3-5.問い合わせフォーム・メール

Webサイトやランディングページに設けているお問い合わせフォームやメールからも、VOCを収集できます。問い合わせフォームやメールは時間を問わず手軽に使用できるため、顧客が意見を伝えやすいメリットがあります。

また、問い合わせフォームやメールによっては質問内容や属性を選択する項目が設けられています。このデータを収集することでどのような問い合わせが多いのか、どのような属性が利用しているのかなどの分析に役立てられます。

問い合わせフォーム・メールでVOCを収集するメリット・デメリット

メリット

・顧客が手軽に使用できる
時間を問わず手軽に使用できる
・アンケート機能を活用できる
問い合わせフォームやメールに簡単なアンケート機能をつけるとVOCを収集しやすくなる

デメリット

・VOCの深掘りがしにくい
テキストベースとなるため長文での記載は難しく、簡単な内容しか伝えられないことが多い

向いているケース

・手間をかけないでVOCを収集したい
・目的に応じたアンケート機能を使用したい

4.VOCのマーケティング活用事例

ここでVOCのマーケティング活用事例をご紹介します。

事例を知ることでどのようにマーケティングでVOCを活用しているのか、どのようにVOC収集をするのかなど具体的なイメージが分かるので、ぜひ参考にしてください。

4-1.飲料メーカーの事例

1つ目は、飲料メーカーのVOC活用事例です。

ある飲料メーカーではVOCを収集するために、「飲み比べ会」を実施しました。「飲み比べ会」とは参加した顧客の声を参考にしながら、今後発売予定のドリンクの味や香りを決める催しです。

つまり、商品開発の段階で顧客に参加してもらいVOCを収集し、その場で商品開発に反映させたのです。

参加した顧客にはコミュニティサイトのライターとして活躍してもらうことで、顧客の声や体験を発信できる工夫を取り入れています。

積極的にポジティブなVOCを発信してもらうことでファンの醸成、新規顧客の獲得を狙うことは非常に斬新なVOC活用事例です。

4-2.通販会社の事例

2つ目は、通販会社の事例です。

ある通販会社では、「新しい電化製品を購入すると、元々使っていた電化製品が不要になる。処分に困ってしまう」というVOCがあることを知りました。

そこで電化製品の下取りサービスを開始したところ、顧客からの高評価を得て実際に売上が向上しています。

VOCをマーケティングに有効活用することで、顧客に刺さるサービスを展開できるようになるのです。

4-3.音響メーカーの事例

3つ目は、音響メーカーでの活用事例です。ある音響メーカーでは、新製品の開発時に以下のようなVOC収集を行いました。

・コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられた旧製品への声を収集
・数万の声を聞いてきたコンタクトセンター部門担当とのワークショップ

その結果、「どう販売すれば顧客が買いやすいのか」「マイナーチェンジして喜ばれる部分はないか」について具体的なアイデアが抽出でき、新製品販売に取り入れることができました。

販売後にも蓄積されたVOCを活用して問い合わせがありそうな質問をあらかじめFAQに盛り込みました。また、VOCをもとに顧客視点で読みやすいメルマガを配信するなどの工夫をして、顧客満足度を向上させています。

5.VOCをマーケティングで活用する際の3つの課題

実際にVOCをマーケティングで活用するときには、下記の3つの課題が起こりやすいです。

▼VOCをマーケティングに活用するときの課題
・目的に応じたVOCを収集できていない
・VOC分析に時間や労力がかかる
・VOCを商品・サービス改善に活かしきれない

あらかじめ課題を把握しておくと対策を検討できるため、参考にしてみてください。

5-1.目的に応じたVOCを収集できていない

VOCは、とにかく収集すればいいわけではありません。マーケティング施策の目的や課題に応じて、必要なVOCを収集することが大切です。

たとえば、自社商品の訴求ポイントを把握するためにVOCを収集したいとしましょう。このときに、コンタクトセンター(コールセンター)や問い合わせフォームのVOCを分析しても、思ったようにVOCを活用できない可能性があります。

・モニター調査などを実施して確実に自社商品の良さを伝えてくれるVOCを収集する
・SNSから客観的な口コミを収集する

などを実施したほうが、目的に応じてVOCを活用しやすくなります。

3.マーケティングに活かすためにVOCを収集する5つの方法」で解説したようにVOCを収集する手法は複数あるため、目的に応じて使い分けをすることが大切です。

5-2.VOC分析に時間や労力がかかる

VOCの収集や分析に時間がかかり、活用するまで至らないケースが多々あります。とくに、複数のチャネルを運用していると、チャネルごとにVOCを収集し分析することは、非常に労力がかかります。

たとえば、SNSとコンタクトセンター(コールセンター)、Webサイトなどそれぞれのチャネルを分断して管理していると、各々にVOCを収集し分析する作業が発生します。VOCの全体像を掴みにくく、チャネルごとの比較や、チャネルに共通して多いVOCなども検討しにくいです。

この課題を解決するには、VOCの収集、分析を効率化できるツールや複数のチャネルを一元管理できるツールの導入が欠かせません。詳しくは、「6.VOCをマーケティングに活用するときの課題を解決できるソリューション2選」で解説しているので参考にしてみてください。

【コンタクトセンターでのVOC収集・分析をサポートする「transpeech」】

コンタクトセンターはVOCが効率よく収集できるものの、分析に時間がかかると悩んでいるケースがあると思います。トランスコスモスが提供している「transpeech」は、コンタクトセンターの課題解決を支援することをコンセプトとした音声認識ソリューションです。

「transpeech」の核となる音声認識は、認識率90%を超える高精度な認識ができます。通話をリアルタイムかつ自動でテキスト化できるため、VOC収集にかかる労力を大幅に削減することが可能です。

また、蓄積された音声データから単語を抽出したり自動要約したりすることができ、VOCの分析にも活用できます。「transpeech」の機能は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

VOC分析の効果や具体的な分析手順については、こちらの記事もご参考ください。

5-3.VOCを商品・サービス改善に活かしきれない

VOCを部門ごとに収集・管理していると、VOCをマーケティングに活用しきれないことが多いです。

たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)とマーケティング部門、商品開発を管轄する部門がそれぞれVOCを管理しているとしましょう。

コンタクトセンターで得た、商品に改善に関する重要なVOCが他の部門に連携できないため、商品やサービスの改善に至りません。

VOCを集めるには、それなりに作業時間が発生します。改善につながらないVOC収集に時間をかけるのは無駄だと判断されると、VOCを集めること自体を辞めてしまう可能性もあります。

VOCを有効活用するにはVOCを一元管理し、所属部門にかかわらず共有できる組織体制が必要です。そのために導入したいツールは次の章で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

6.VOCをマーケティングに活用するときの課題を解決できるソリューション2選

トランスコスモスでは、VOCをマーケティングに活用するときの

・VOCの収集、分析に時間と労力がかかる
・チャネルや部署ごとにVOCが分断されている

という悩みを解消する2つのソリューションを提供しています。

トランスコスモスが提供しているVOCの集計、分析ソリューション

Insight BI

自社サイトやSNS、電話窓口など複数のチャネルを一元管理できるダッシュボード

VOC活用サービス

テキストマイニングツールYOSHINAを使ったVOCの分類や発見、集計

それぞれの特徴や魅力を解説していくので、ぜひ導入を検討してみてください。

6-1.Insight BI

「Insight BI」は、トランスコスモスが提供しているCX最適化支援ダッシュボードです。「Insight BI」は自社サイトやSNS、電話窓口など複数のチャネルを一元管理できるため、VOC収集の課題となるチャネルの分断を避けられる点が大きな魅力です。

各チャネルの管理や分析にかかる手間や時間を減らしながら、効率よくVOCを収集できます。

Insight BI

また、煩雑なデータを瞬時に分かりやすく表示できるため、活きたデータをすぐに活用できます。たとえば、SNSの分析では、ポジティブなVOCとネガティブなVOCの比率やVOCの一覧表示などができ、すぐに施策を検討できます。

ポジティブなVOCとネガティブなVOCの比率やVOCの一覧表示

他にも

・過去のVOCを検索できる機能
・指定のキーワードでVOCの絞り込みができる機能
・VOCのファイルをダウンロードして共有できる機能

など、VOCをマーケティングに活用するための機能が揃っています。実際に使用している担当者からは

・複合チャネルの膨大なデータを扱いながらも、非常に洗練されたダッシュボードで使いやすい
・SNS見るだけではなくレポートを自動作成してくれるのは非常にありがたい

などの声をいただいています。VOCの収集や管理、活用の課題を解消できる「Insight BI」についてはこちらも参考にしてください。

BIツールの基礎知識や導入のメリット・デメリットについては、こちらの記事もご参考ください。

6-2.VOC活用サービス

VOC活用サービスに利用する「YOSHINA」はVOCの分類や発見、集計ができるテキストマイニングツール(大量のデータから必要な情報を抽出し可視化するツール)です。

大量のテキストデータをAIが自動分類してくれるため、可視化したVOCデータを基に考えることだけに注力できます。

YOSHINA

各チャネルのデータをインポートするだけで準備が完了し、下記のように全体集計、時系集計、注目するべきVOCのピックアップができます。

体集計、時系集計、注目するべきVOCのピックアップ

部署ごとに分断されたVOCデータや大量のVOCデータをすぐに可視化でき、VOCを有効活用できるようサポートします。大量のVOCを素早く集計、可視化できる「YOSHINA」を使ったVOC活用サービスについてはこちらもご覧下さい。

テキストマイニングの基礎知識や活用方法については、こちらの記事もご参考ください。

7.VOCをマーケティングに最大限活かすための2つのポイント

VOCを収集して、マーケティングに活用したい場合は、最大限活かすためのポイントを知っておきましょう。

ポイントを知らなければ、ただVOC収集して終了してしまい、マーケティングに活かしきれない状況に陥る可能性があります。

VOCをマーケティングに最大限活かすためのポイントは以下の2つです。

▼VOCをマーケティングに最大限活かすための2つのポイント
・複数のチャネルを利用して収集する
・VOC収集の目的を決める

7-1.複数のチャネルを利用して収集する

VOCを収集してマーケティングに活かす際には、複数のチャネルを利用して収集するようにしましょう。

3.マーケティングに活かすためのVOC収集方法」でも触れたように、チャネルによって特徴が異なります。

たとえば、電話で苦情や不満などを伝える顧客は、「直接この不満を伝えたい!」という強い思いがあり電話を選択しています。VOC収集チャネルが電話のみになると、強い意見や不満な声ばかりを集める可能性があります。

もちろんVOCの中にはポジティブな意見もあるため、各チャネルのターゲット層や実際の利用者を把握したうえで複数のチャネルを活用することが大切です。

・チャットボットと電話、モニター調査を組み合わせる
・チャットとチャットボット、電話、SNSなどあらゆる接点でVOCを収集する

など、1つのチャネルに限定しないようVOCの収集方法を工夫してみてください。

7-2.VOC収集の目的を決める

VOC収集の目的を決めることで、マーケティングに最大限活用できるようになります。その理由はVOCを収集する際に、漠然と集めても的確な分析がしにくくなるからです。

たとえば、「顧客の意見を反映した商品・サービスに改善したい」という目的であれば、「商品・サービスに対する不満・要望」を中心に収集する必要があります。

一方で、「商品の認知度向上」を目的としたキャンペーンをしたい場合には、商品に対する意見を収集しても意味がありません。

それよりも、「どこでその商品を知ったのか」「何を見て購入しようと思ったのか」など、商品を認知するきっかけを収集することが大切です。

VOCの収集を開始する前に

・どのような目的でVOCを活用したいのか
・VOCを活用してどのような課題を解消したいのか

あらかじめ明確にしておくといいでしょう。

8.VOCの収集や活用にお悩みの場合はトランスコスモスの「VOCマーケティング」

トランスコスモスではSNSやコンタクトセンター(コールセンター)、チャットなどさまざまなチャネルで蓄積されるVOCを一元管理する仕組みと、CXアナリストが戦術化してデジタルマーケティングの課題解決を提案する「VOCマーケティング」の提供を開始しました。

VOCマーケティングの概要

トランスコスモスでは今までの実績やノウハウから、業界トップレベルのCXを目指すためにはVOCカバー率90%以上の施策対応が必要と定義しました。

このVOCカバー率をKPIとして設定し、チャネルごとに点在するVOCデータを統合して分析し、運用チームと連携しながらWebサイトやデジタルマーケティング運用の改善を実現するのがVOCマーケティングです。

VOCマーケティングの効果を最大化するためにはVOCの質を継続的に向上させ、ユーザーの声の価値を高める必要があります。そのため、ただVOCを収集するのではなく仮説に基づくVOCの収集、戦略的分析、タスクの実施・改善のサイクルを実現する運用フローの「VOCマーケティングループ」を構築します。

VOCマーケティングループの運用フロー

VOCの収集や分析、活用方法にお悩みの場合は、コンタクトセンター領域からデジタルマーケティング領域まで横断してサービスを提供できるトランスコスモスならではの強みを活かし、お客様企業にとって有益な提案と運用サービスを提供いたします。お気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事ではマーケティングにおいてVOCが重要な理由、活用方法やそのポイントなどをご紹介しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしていきましょう。

◆マーケティングVOCが必要な理由は次の2つ
・顧客のニーズに応じた施策を検討できる
・顧客の不満や要望にいち早く対応できる

◆マーケティングにおけるVOCの活用方法は次の3つ
・商品やサービスの改善
・カスタマージャーニーの最適化
・商品やサービスの訴求力の強化

◆マーケティングに活かすためのVOCの収集手法は次の5つ
・電話
・チャット・チャットボット
・モニター調査
・SNS
・問い合わせフォーム・メール

◆トランスコスモスが提供しているVOCの集計、分析に活用できるソリューションは次の2つ
・Insight BI
・YOSHINA

◆VOCをマーケティングに最大限活かすための2つのポイント
・複数のチャネルを利用して収集する
・VOC収集の目的を決める

トランスコスモスではコンタクトセンター領域からデジタルマーケティング領域まで横断してサービスを提供できる強みを活かし、VOCを有効活用できる提案と運用サービスを提供しております。

VOCのマーケティング活用にお悩みの場合は、お気軽にお問い合わせください。

【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
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