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コールセンターでVOCを収集する手法や具体的なステップを解説

「VOCをコンタクトセンターで収集するはどうすればいい?」
「VOCはコンタクトセンターで収集できるの?」

顧客のリアルな声や意見であるVOCをどのように収集し、活用するべきか悩んでいる担当者は多いのではないでしょうか。

結論から言うと、顧客との接点を持つコンタクトセンター(コールセンター)は、VOCを収集するためには最適です。

電話やSNS、メールなど多彩なチャネルを活用して効率よくVOCを収集できます。しかし、コンタクトセンターでVOCを収集するには具体的な手法や使用するべきツールを理解しておかないと、導入時に失敗をする原因となります。

そこでこの記事は、コンタクトセンターでVOCを収集するメリットや具体的な手法、手順などの基礎知識をまとめて解説していきます。

◎VOC(Voice of customer)とは顧客のこと
◎コンタクトセンターでVOCを収集するメリットや注意点
◎コンタクトセンターでVOCを収集するための手法
◎コンタクトセンターでのVOC分析に活用できるツール・システム・サービス
◎コンタクトセンターでVOCを収集・分析するステップ
◎コンタクトセンターでVOCを活用した事例
◎コンタクトセンターが効率よくVOCを収集するためのポイント

この記事を最後まで読めばコンタクトセンターでVOCを収集する方法が理解でき、目的に応じて有効活用できるようになるはずです。VOCを見落とすことなく商品やサービスに反映させるためにも、ぜひ参考にしてみてください。

目次

1.VOC(Voice of customer)とは顧客の声のこと

            
「VOC(Voice of Customer)」とは、企業やサービスに対する顧客の意見や感想のことです。
顧客から取得したアンケートやSNS、ブログなどでのレビューがVOCに該当します。VOCを収集して分析すると、顧客の要望や不満、満足度が可視化できます。

例えば、顧客に対して新商品に関するアンケートを実施したとしましょう。アンケート結果を収集すると商品に満足している声だけでなく、商品のボトルが扱いにくいという声がありました。これは商品開発時にはなかった声で、実際に使用している顧客だからこそ気が付く視点でした。

このように顧客だからこそ気が付く視点のVOCを収集・活用し商品の改良を行うことで、顧客満足度や商品の質を向上させることができます。

VOCは今まで気付かなかった改良点や顧客のニーズ、自社の強みに気付くきっかけとなります。顧客体験や顧客満足度が重要視されている昨今は、VOCを活用しマーケティングを行う企業が増えています。

VOCについて詳しく理解したい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

2.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するメリット

VOCを収集するには顧客との接点が必要ですが、コンタクトセンター(コールセンター)はすでに顧客との接点を持っています。

つまり、コンタクトセンターを活用することで、効率よくVOCを収集できるようになるのです。そこでこのでは、コンタクトセンターでVOCを収集する3つのメリットをご紹介します。

コンタクトセンターでVOCを収集するメリット

①VOCを効率よく収集できる
②優先的に取り組むべき課題が見えてくる
③手法によってはVOCを深掘りできる

2-1.VOCを効率よく収集できる

1つ目は、VOCを効率よく収集できるところです。

VOCを収集するには、大前提として顧客との接点が必要です。新型コロナウイルスが流行する前までは展示会やイベントを始め顧客と担当者が直に接する機会が多々あり、直に接することで顧客のリアルな声を収集ことができていました。

しかし、新型コロナウイルスを機に顧客と接する機会が減り、VOCの収集方法に悩んでいるケースが見受けられます。コンタクトセンターは、非対面でも顧客との接点が持てる強みがあります。

1対1でのコミュニケーションや問い合わせ後のアンケート送付など、さまざまな方法で効率よくVOCを収集できます。また、コンタクトセンターは電話だけでなくSNSやチャット、Webサイトなどマルチチャネルに対応しています。

電話のみやSNSのみといった特定のチャネルに偏ったVOCを収集するとVOCの量や質にも偏りが出る可能性がありますが、さまざまなチャネルを組み合わせて収集することで、短期間で価値のあるVOC分析ができるようになります。

2-2.優先的に取り組むべき課題が見えてくる

2つ目は、優先的に取り組むべき課題を抽出できるところです。コンタクトセンターはカスタマーサポートや、テクニカルサポートとしての機能を持ち合わせています。

顧客自身が問い合わせ窓口に連絡をして、直接オペレーターに伝えたいと感じる緊急性の高いVOCや温度感の高いVOCが集まります。

例えば、商品の故障やトラブルなど使用時の不満の声が多く届いたとします。いち早く商品を確認して対処をすると、大きなトラブルを回避できる可能性が高まります

コンタクトセンターは顧客側から見ても自らの意見や思いを伝える大切な接点となっているため、優先するべき課題が見つけやすいメリットがあります。

2-3.手法によってはVOCを深掘りできる

3つ目は、手法によってはVOCを深掘りできるところです。

電話やチャットなどの手法であればただ単に顧客アンケートを送付するだけでなく、顧客の考えや思いを深掘りすることが可能です。

例えば、電話で対話をしながら行うアンケートの場合は、顧客の回答に応じて質問を変更できます。「商品を気に入っています」と回答した場合に「具体的にどのような部分に満足していますか?」と一歩踏み込んだ質問をすることで、より精度の高いVOCを収集できるでしょう。

臨機応変な対応を行うことで、定量的な手法では拾えないVOCを抽出することも可能です。VOCを分析する効果は下記の記事でも解説しているので、参考にしてみてください。

3.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するときの注意点

コンタクトセンター(コールセンター)でVOCの収集をするメリットが理解できたところで、気になるのは注意点です。

下記の2つの点に注意するようにしましょう。

コンタクトセンターでVOCを収集するときの注意点

①VOCを収集するだけでなく分析する基盤が必要
②運用体制の構築が欠かせない

3-1.VOCを収集するだけでなく分析する基盤が必要

コンタクトセンターでは多くのVOCを収集できますが、分析まで至らないケースがあります。せっかくVOCを収集しても下記のような分析ができないと、商品やサービスに反映することが難しいです。

【VOCの分析内容の一例】
・VOCの全体的な傾向(多い意見や少ない意見)
・時期や期間によるVOCの違いや傾向
・チャネルごとのVOCの違いや傾向

例えば、VOCを収集して数名の顧客の商品の満足度が把握できても、それはVOCの断面的な情報でしかありません。VOC全体を俯瞰的に分析し、全体的な傾向や意見を抽出することが欠かせません。

VOCを分析するときには「5.コンタクトセンター(コールセンター)でのVOC分析に活用できるツール・サービス」で紹介するサービスなどを検討できますが、あらかじめ収集で止まることなく分析までを視野に入れた運用を検討しましょう。

3-2.運用体制の構築が欠かせない

コンタクトセンターでVOCを収集するには、運用体制を整えることが大切です。あらかじめ以下のような運用の準備をしておくことも欠かせません。

・どのオペレーターでもVOCを収集できるようなトークスクリプトの設計
・VOC収集後のシステム入力方法(VOCの残し方)
・VOCを収集する手法の選択や具体的な方法

電話やチャットでオペレーターが顧客に直接質問をする場合は質問項目やトークスクリプトが定まっていないと、収集できるVOCの質に差が生じます。

さらにVOC収集後も分析がしやすいように、どのように応対履歴に残していくのかなどシステムの入力方法を事前に決めておくと分析時の工数を削減できる可能性があります。

また、VOCの運用方法によってはシステムの導入や他チャネルの使用が必要なので、あらかじめ検討しておく必要があるでしょう。

4.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するための手法

コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集する手法には、大きく分けて下記の2つがあります。

コンタクトセンターでVOCを収集する手法

電話・メール・チャット
チャットボット

顧客とのコミュニケーションやアンケートで
VOCを収集する

SNSなどの書き込み

SNSなどへの書き込みや口コミを確認して
VOCを収集する

それぞれどのようにVOCを収集できるのか確認してみましょう。

4-1.電話・メール・チャット・チャットボット

コンタクトセンターでのVOC収集の中心となるのが、電話・メール・チャット・チャットボットのチャネルです。

これらはすべて顧客との接点になるので、顧客と直接やり取りをしてVOCを収集できます。具体的な方法としては、顧客とのコミュニケーションまたはアンケートの実施となります。

チャネル

手法

電話

・顧客とのコミュニケション
アンケ調査

・問い合わせ応対中にヒアリング
・通話後にアンケートを実施する

メール

アンケート調査

SMSやEメールでアンケートを送付する

チャット

顧客とのコミュニケーション
アンケ調査

・問い合わせ応対中にヒアリング
アンケトを実施する

チャットボット

アンケート調査

アンケートを実施する

①顧客とのコミュニケーション

顧客と直接コミュニケーションを取り、リアルな声を収集する方法です。電話であれば直接対話をしながら、顧客の考え方や意見を深掘りしていきます。

チャットは、リアルタイムで顧客とテキストベースのコミュニケーションが図れるツールです。顧客からの返信に応じた質問や回答をしながらVOCを収集できます。顧客と直接コミュニケーションが取れることで、信頼性の高いVOCが収集できるところが大きなメリットです。

また、臨機応変な質問ができることで、アンケート調査では追求できない心情や考えを見逃すことなく拾えます。たとえば、自社の優良顧客にターゲットを絞り対話をしながらVOCを収集することで、潜在的な意見や表面化しなかった考えを把握できる可能性があります。

一方で、オペレーターが1対1で対応しなければならないため明確なトークスクリプトが必要なのはもちろん、時間と労力がかかるところがデメリットだと言えるでしょう。

【向いているケース】
・電話やチャットなど顧客とコミュニケーションをとる機会が多い場合
・信頼性のあるVOCを収集したい場合
・特定のターゲットのVOCを深掘りし、より精度の高いVOCを収集したい場合

②アンケート調査

アンケート調査はターゲットを定めてアンケートを実施し、VOCを収集する方法です。チャットやチャットボット、メールでは、アンケートフォーマットやアンケートサイトを送付し顧客に回答をしてもらいます。

電話では通話後に自動音声機能を使いアンケートを開始し、回答してもらう方法があります。アンケート調査はオペレーターの負担が少なく、短期間で大人数を対象に実施できるところが特徴です。

例えば、自社の商品やサービスに関するVOCを少しでも多く集めたい場合に有効です。とくに、コンタクトセンターではマルチチャネルが利用できるため、チャネルごとの異なるターゲットの声を収集できます。

一方で、顧客がアンケートに従って回答をするため、VOCの精度は直接コミュニケーションを取る場合よりも低くなります。誤回答が含まれる可能性があることも前提に置いて、活用を検討するといいでしょう。

【向いているケース】
・短期間で多くのVOCを収集したい場合
・オペレーターの負担や手間を軽減したい場合

4-2. SNSなどの書き込み

SNSなどの書き込みを確認し、VOCを収集するのも一つの手法です。テキストマイニングツールやコンテンツモデレーション(投稿監視)ツールを利用すれば、関連ワードが含まれた書き込みを的確に抽出できます。

電話・メール・チャットなどの手法は、企業やサービスとコンタクトのある顧客が対象です。しかし、企業やサービスに意見や不満があっても企業に接触しないサイレントカスタマーが多いのも事実です。その割合は、顧客の9割にものぼると言われています。

そこで、SNSや口コミサイトなどをチェックして、自社や商品、サービスに関する投稿を抽出しサイレントカスタマーの声に耳を傾けることも大切です。なかなか表面化されない顧客の本音を収集できる可能性があります。場合によってはオペレーターが返信や反応をして、SNSをきっかけに接点を持つこともできるでしょう。

デメリットとしては意図的に悪い意見を書くなどの操作がしやすいため、信頼性のあるVOCかどうか見極める必要があります。中には投稿者の過去の投稿や意見を確認しVOCとして含めるべきか検討しなければならない場合があります。

【向いているケース】
・SNSやWEBサイトなどに口コミが多く集まる場合
サイレントカスタマーのVOCを収集したい場合

5.コンタクトセンター(コールセンター)でのVOC分析に活用できるツール・サービス

コンタクトセンター(コールセンター)でのVOC分析に活用できるツールやサービスとしては、下記の5つがあります。

コンタクトセンターで活用できるVOCツール・サービス

CRM(顧客管理システム)

顧客情報や応対履歴を管理できる

音声認識ツール

通話などの音声を自動でテキスト化するツール

テキストマイニングツール

テキストデータの中から有益な情報を発掘できるツール

VOCマーケティングサービス

トランスコスモスが提供しているVOCマーケティングに特化したサービス

Insight BI(BIツール)

トランスコスモスが提供しているCX最適化支援ダッシュボード

どれもVOCを収集し分析をする際に役に立つため、どのように活用できるのか確認してみてください。

5-1.CRM

CRMは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略で、顧客情報や応対履歴を管理するためのシステムです。

VOCに関連する機能としては、主に以下のようなものが挙げられます。

機能

概要

顧客情報管理

顧客氏名住所電話番号年齢勤務先属性などのかい情報一元管理
顧客情報検索・閲覧することも可能

応対履歴管理

顧客の過去の連絡履歴やオペレータとの応対履歴、商品個入履歴を記録・管理
電話だけでなくメールやチャット、SNSなど多チャネルからのコンタクト情報をまとめて一元管理できるものもある

CTI連携機能

CTIと連携することで「通話録音機能」で自動的録音された通話音声タを、顧客ごとに保存することが可能となる

データ分析
・集計機能

顧客との応対内容や対応時間などのデータを集計し、以下のような分析ができる
・顧客のニーズ
・顧客満足度
・オペレータの稼動状況 など

顧客情報管理機能や応対履歴機能では、音声データや顧客情報をもとにVOCの収集が可能です。例えば、CRMに蓄積した音声データの中から、顧客の貴重な意見を拾うなどの作業も検討できます。

CRMの詳しい機能については、下記の記事を参考にしてみてください。

5-2.音声認識ツール

音声認識ツールとは、通話などの音声を自動でテキスト化できるツールです。

顧客とオペレーターとの対話を文字起こしする手間が省け、膨大な音声からVOCを抽出しやすくなるところが特徴です。

また、トランスコスモスが提供している「transpeech」では、音声認識データの中からキーワードを抽出することも可能です。特定の商品やサービスの単語やキーワードを抽出し、マーケティングに活用することもできます。

電話でのVOC収集や分析を効率化したい場合や膨大な対話の中からVOCを収集したい場合に、向いているツールだと言えるでしょう。

音声認識の仕組みやメリットについては下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

コンタクトセンターでのVOC収集・分析には
音声認識ソリューション「transpeech」がおすすめ!

コンタクトセンターで電話チャネルのVOCを収集・分析したいのであれば、トランスコスモスが提供している音声認識ソリューション「transpeech2.0」がおすすめです。

音声認識機能により顧客との通話内容を自動でテキスト化するのはもちろん、ログの中から特定のキーワードを抽出することもできるため、VOCの分析に最適です。

また、以下のような便利な機能も備えています。

◎感情解析
通話中の顧客の感情を、「興味」「期待」「怒り」などに分けてパラメータ表示します。

◎対話要約オプション
音声認識された会話テキストを要約します。

トランスコスモスでは、「transpeech」の導入から運用までをワンストップで提供しています。くわしいサービス内容については、こちらからのソリューションページをご確認ください。資料の申し込みや問い合わせも可能です。

5-3.テキストマイニングツール

テキストマイニングツールとは、テキストデータの中から有益な情報を発掘できるツールです。テキストを単語や品詞に分割しグループ分けができるため、主に下記のようなことが把握できます。

・単語の出現頻度
・単語の出現傾向
・単語と単語の相関関係

たとえば、顧客からの要望を目的としたアンケートを実施したとしましょう。テキスト化したVOCをテキストマイニングツールで分析したときに「多機能」というワードが多いことが分かれば、顧客は機能性を求めていることが分かります。

ただし、あくまでも単語や品詞の出現頻度や傾向を可視化することしかできないので、

・同じ意味を持つ回答をまとめる
・単語や品詞の意味を理解して結果を提示する

ということはできません。そのため、精度の高い結果を求めることは難しいですが、大量のテキストデータを分析するときの業務効率化にはつながるでしょう。

テキストマイニングツールについては下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

5-4.VOCマーケティングサービス

VOCマーケティングサービスは、トランスコスモスが提供しているVOCマーケティングに特化したサービスです。

VOCマーケティングサービスでは、コンタクトセンターの電話やチャットから収集できるVOCを一元管理する仕組みを提供しています。

それだけでなく、CXアナリストを始めとする専属チームがVOCを分析し、デジタルマーケティングの課題解決を提案します。VOCから見えてきた課題や解決策をタスク化して提案するため、すぐにサイト運営やSNS運用などのマーケティングに活用できます。

VOCマーケティングサービスのイメージ

コンタクトセンターで収集できるVOCは有効活用したいけれど、分析まで手が回らないケースも多いかと思います。VOCマーケティングサービスを導入すれば、手間や負担が増えることなくVOCを有効活用できます。

コンタクトセンター領域からデジタルマーケティング領域まで幅広いノウハウと技術があるトランスコスモスだからこそ提供できるサービスですので、お気軽にお問い合わせください。

5-5.Insight BIサービス

「Insight BI」は、トランスコスモスが提供しているCX最適化支援ダッシュボードです。複数のチャネルを運用している場合、各チャネル単体で管理、分析をしているケースが多いかと思います。

「Insight BI」は自社サイトやSNS、電話など複数のチャネルを一元管理でき、VOCを集約できるところが特徴です。各チャネルの管理や分析にかかる時間を大幅に削減でき、効率よくVOCを収集できます。

Insight BIサービスのイメージ

収集したVOCはすぐに可視化でき、どのような声が多いのかさまざまな切り口から分析できます。

たとえば、テキストリサーチを使うと、キーワードを含むVOCのみを抽出することが可能です。絞り込んだVOCはファイルダウンロードができ、他の部署や担当者との共有もしやすくなっています。

Insight BIサービスの使用イメージ

3.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するときの注意点」でも触れましたが、VOCは収集するだけでなく分析をして活用できる状態にしておくことが重要です。

「Insight BI」を導入するとVOCの収集から活用までを仕組み化でき、VOCを重要な資産として有効活用できます。「Insight BI」に興味がある場合は、こちらのソリューションページをご覧ください。

6.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集・分析するステップ

ここからは、コンタクトセンターでVOCを収集し分析する手順をご紹介します。どのようにVOCを収集し活用していけばいいのか理解できるので、参考にしてみてください。

コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集・分析するステップの解説

6-1.目的を明確にする

まずは、VOCを収集する目的を明確にしましょう。目的が定まっていないと、調査するべき項目やターゲットを決めることができません。せっかくVOCを収集したとしても、有効活用できない可能性があります。

・顧客満足度の向上
・商品、サービスの改善
・Webサイトの集客の改善
・顧客満足度の向上

など、VOCをどのような目的で活用したいのか検討してみてください。

6-2.調査項目と収集方法を決める

VOCを収集する目的が定まったところで、VOCを調査する項目や対象者、収集する方法を決めます。

調査をする項目や対象者は、目的に応じて設定するといいでしょう。新製品や新サービスを開発するなら今のサービス・製品に対して抱いている不満や要望に絞り調査を実施すると、実際はどんなサービス・製品が求められているか分析できます。

収集方法は「4.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するための手法」で解説したようなチャネルを検討してみてください。このときにターゲットに応じて、複数のチャネルを同時に活用することもおすすめです。たとえば、20~30代の男性・女性がターゲットであれば、メールやSNSだけでなく、チャットの利用も多いと考えられます。

有効な回答を得られそうなチャネルを複数組み合わせることで、効率よくVOCを収集できます。

6-3.期間を決めてVOCを収集する

VOCを収集するターゲットや方法が決まったところで、期間を決めてVOCを収集します。

もちろん継続的なVOCの収集は必要ですが、目的に応じたVOCを集める期間を決めて取り組んだほうがVOCを反映した戦略を検討しやすいです。

電話を使い1ヶ月でVOCを収集する、既存顧客にメールやチャットでアンケートの依頼をして、2ヶ月間でVOCを集めるなど期限を決めて取り組んでみてください。

6-4.VOCデータを分析する

VOCが収集できたらそのままにしておくのではなく、可視化できるように分析をすることが大切です。VOCを分析するときには「5.コンタクトセンタ(コルセンタ)でのVOC分析活用できるツビス」の利用を検討すると、効率よく分析ができます。

例えば、「Insight BI」を利用すると、埋もれがちなVOCを一元化し、色々なダッシュボードと掛け合わせながら顧客の声を分析することで、思いもよらない重要な声の発見や、起きた出来事の真因・背景や想いを知ることができ、VOCを活用した施策実施や改善活動を強力に推進できます。

VOCの分析に時間や手間がかかると継続的な運用が難しくなるので、このようなサービスの導入も検討してみてください。

6-5.業務に活用する

可視化したVOCをもとに、目的に応じて業務に活用します。顧客満足度の向上が目的だった場合は、VOCの分析結果をもとに、顧客満足度の向上につながるポイントを探します。

たとえば、「既存顧客向けのサービスが欲しい」というVOCが多かった場合は、既存顧客向けの割引や展示会など新たなサービスを検討することができるでしょう。

このように、コンタクトセンターで収集したVOCは収集して終わるのではなく、目的に応じて現場で活用することが大切です。

7.コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを活用した事例

実際に、コンタクトセンター(コールセンター)でどのようにVOCを収集し活用しているのか、気になる方も多いかと思います。ここでは、2つの好事例をご紹介します。

コールセンターでVOCを活用した事例

①VOCデータを活用してリテンション・クロスセル施策をした事例
②VOCを収集してCXの向上に活用した事例

VOCを効率よく収集して業務に活用するためにはどのようなことに留意するべきか把握できるので、参考にしてみてください。

7-1.VOCデータを活用してリテンション・クロスセル施策をした事例

あるサービス業の企業様では、解約抑止などのリテンションとクロスセルの促進による売上拡大という2つの課題を抱えていました。

そこで、電話やSNS、Webサイトなどを横断し下記のようなVOCを収集しました。VOCを収集、分析することで、解約の理由やクロスセルの成功事例を抽出することが目的です。

電話

オペレーターと顧客の通話履歴をテキストデータ化しトーク内容を解析。報告書ベースよりも精度の高い解約理由や成功トークを抽出

TwitterなどのSNS

サービスへの不満やクロスセル機会などの潜在的な声を収集

Webサイト

コンバージョン導線や主要ページの流入数・閲覧数などから、解約予備軍・クロスセル予備軍の傾向、ボトルネックを把握

また、VOCの分析結果をもとに、マーケティングやCSが一体となり改善活動も実施しました。

VOCの分析結果をもとにした、マーケティングやCSの改善活動のイメージ

たとえば、コールログから得られた解約理由や成功トークとWebサイトやSNSで得られた解約予備軍・クロスセル予備軍の傾向をもとに、アウトバウンド対象リストやトークシナリオの見直しに活用しました。

コンタクトセンターで網羅できる複数のチャネルのVOCを有効活用することで、目的に沿った業務改善を実現できた事例です。

7-2.VOCを収集してCXの向上に活用した事例

株式会社セブン&アイ・ホールディングス様では、顧客ロイヤリティを向上させるための問い合わせ導線と応対方法の改善を模索していました。そこで、AIチャットボットの改善とVOCの活用を実施することにしました。

AIチャットボットの改善とVOCの活用のイメージ

まずは、AIチャットボットでの自己解決率を向上させるために、顧客目線でチャットシナリオを見直しチューニングを行いました。

それだけでなく、カスタマーセンターに蓄積されたよくある問い合わせや顧客の関心度が高い内容をチャット内のFAQに反映することで回答精度・解決率を高めました。

また、VOCの収集、分析を行い、サービスに関する顧客のマイナス印象を改善する取り組みも実施しました。

たとえば、予約商品のキャンセル理由のVOCを分析したところ、カードの引き落としエラーが原因だと分かりました。VOCをもとに決済時の運用を見直電話による連絡を追加したところ、同事象での商品キャンセルを防ぐことができました。

この2つの取り組みにより顧客のロイヤリティを高めることができ、顧客体験価値が大きく向上しました。VOCを丁寧に収集し理由を分析したことで、顧客の不満ポイントの削減が実現できた好事例だと言えるでしょう。

こちらの事例の詳細は下記の記事でも紹介していますので、参考にしてみてください。

8.コンタクトセンター(コールセンター)が効率よくVOCを収集するためのポイント

最後に、コンタクトセンター(コールセンター)が効率よくVOCを収集するためのポイントを3つご紹介します。

コンタクトセンターが効率よくVOCを収集するためのポイント

①複数のチャネルを活用してVOCを収集する
②PDCAサイクルを回す
③ITツールやシステムを活用する

VOCを効率よく収集して有効活用するためにも、参考にしてみてください。

8-1.複数のチャネルを活用してVOCを収集する

VOCを活用した好事例や「6.コンタクトセンタでVOCを収集・分析するステップ」でも触れましたが、VOCを収集するときには目的やターゲットに応じて複数のチャネルを使うようにしましょう。

たとえば、自社の商品に関するできるだけ多くのVOCを集め商品開発に役立てたい場合は、電話やメール、チャネルなど複数のチャネルを利用したほうがさまざまなVOCを収集できます。

既存顧客のみにターゲットを絞りたい場合は、既存顧客用のメールマガジンや既存顧客との対話からVOCを収集するのも一つの方法です。

チャネルを絞ってしまうと、そのチャネルを利用しない世代やターゲット層のVOCを拾えない可能性をあります。効率よくできる限り多くのVOCを収集するためにも、複数のチャネルの利用を検討してみてください。

8-2.PDCAサイクルを回す

VOCは収集して終わりではなく、目的に応じPDCAサイクルを回して有効活用することが欠かせません。

◎P(計画=Plan):VOC収集の目的を明確にし、調査項目や分析方法などを決める
◎D(実行=Do):VOCを収集、分析をする
◎C(評価=Check):目的に応じてVOCを活用する
◎A(改善=Action):検証結果をもとにVOCの収集方法や目的を見直す

とくに、忘れがちなのは、VOCを有効活用した後の効果測定です。たとえば、商品改良のためにVOCを収集、分析をして、商品のパッケージを変更したとしましょう。商品改良に対する反響によって、VOCの活用方法が適切だったのか判断できます。

もし、VOCを活用しても効果が得られない場合は、収集方法や分析方法が誤っている可能性があります。再度見直しをして、目的に沿った精度の高いVOCを収集できるようにしましょう。

8-3.ITツールやシステムを活用する

VOCの収集や分析は少なからず、手間や時間がかかります。コンタクトセンターによってはコア業務で忙しく、VOCの収集や分析まで手が回らないこともあるでしょう。

その場合はVOCの収集や分析を諦めるのではなく、「5.コンタクトセンタ(コルセンタ)でのVOC分析活用できるツビス」で紹介したようなITツールやシステムの活用を検討してみてください。導入コストやランニングコストは発生しますが、それよりも資産となるVOCを確実に収集できます。

また、トランスコスモスが提供している「VOCマーケティングサービス」や「Insight BI」であれば、コンタクトセンターの負担を増やすことなくVOCの収集や分析を開始できます。

トランスコスモスはVOCを活用した企業売上拡大に力を入れており、この他にもVOCを有効活用できるサービスを提供しています。コンタクトセンターのVOC収集や分析に課題を感じている場合は、お気軽にお問い合わせください。

まとめ

いかがでしたか?コンタクトセンター(コールセンター)でVOCを収集するメリットや具体的な方法が理解でき、導入を検討できるようになったかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめてみましょう。

◎VOC(Voice of Customer)」とは企業やサービスに対する顧客の意見や感想のこと

◎コンタクトセンターでVOCを収集するメリット
・VOCを効率よく収集できる
・優先的に取り組むべき課題が見えてくる
・手法によってはVOCを深掘りできる

◎コンタクトセンターでVOCを収集するときは収集だけでなく分析ができる基盤の準備や運用体制の構築が必要

◎コンタクトセンターでVOCを収集する手法
「電話・メール・チャット・チャットボット」または「SNSへの書き込み」

◎コンタクトセンターで活用できるVOCツールやサービス
・CRM(顧客管理システム)
・音声認識ツール
・テキストマイニングツール
・VOCマーケティングサービス
・Insight BIサービス

◎コンタクトセンターで効率よくVOCを収集するには以下3つが大切
・複数のチャネルを活用してVOCを収集する
・PDCAサイクルを
ITツルやシステムを活用する

この記事をもとにコンタクトセンターでVOCを収集、分析できるようになり、課題の解決や顧客満足度の向上などに活用できることを願っています。

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