AIチャットボットとは、AIを搭載して応対の精度を高めたチャットボットのことです。
AIチャットボットは顧客が入力したテキスト文章の意図を解析し、蓄積された教師データや統計を基に正解になる確率の高い回答を表示するところが特徴です。
AI非搭載のチャットボットにはできない表記揺れへの対応や自然な会話が可能で、顧客の自己解決率やロイヤルティ向上に活用できます。
しかし、AIチャットボットの導入には向き不向きがあるため、AIチャットボットのメリットや特徴を理解して検討することが大切です。
そこでこの記事では、AIチャットボットの導入目的やメリット、注意点をまとめて解説していきます。
◆AIチャットボットとは
◆AIチャットボットを導入する目的
◆AIチャットボットを利用する3つのメリット
◆AIチャットボットを利用するときの注意点
◆AIチャットボットの導入が向いている3つのケース
この記事を最後まで読むとAIチャットボットとはどのようなツールか把握でき、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)の運営に活用できるようになるはずです。
昨今はコンタクトセンターのマルチチャネル化が進んでいるので、導入を検討するためにもぜひ参考にしてみてください。
1.AIチャットボットとは
冒頭でも述べたようにAIチャットボットとは、AIを搭載して応対の精度を高めたチャットボットのことです。
そもそもチャットボットとは「チャット」と「ボット(bot)」を組み合わせた造語で、リアルタイムで使用できる自動会話プログラムを指します。webサイト上やLINEなどに設置し、顧客からの問い合わせにリアルタイムで応対します。
AIチャットボットは顧客が入力したテキスト文章の意図を解析し、蓄積された教師データや統計を基に正解になる確率の高い回答を表示するところが特徴です。
AI非搭載のチャットボットは、あらかじめ登録したルールに沿った回答しかできません。
たとえば、AI非搭載チャットボットでは「私の荷物はいつ届くのでしょうか?」と「僕が頼んだ商品はいつ来るのでしょうか?」は、異なる質問として処理されます。
質問に含まれるキーワードが異なるため、登録したルールでは同じ内容の質問だと認識できないのです。
一方で、AIチャットボットは充分な教師データがあれば「私の荷物はいつ届くのでしょうか?」と「僕が頼んだ商品はいつ来るのでしょうか?」が同じ内容であることを把握できます。
ルールに依存せず、AIが学習したデータを基に回答することが可能です。
そのため、顧客体験価値や顧客の自己解決率アップにつながり、コンタクトセンター(コールセンター)に導入価値のあるツールとして活用できます。
チャットボットの仕組みやメリットについてより詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。
2.AIチャットボットを導入する目的
AIチャットボットは適切な質問と回答を結びつけることを学習し、回答精度を向上させる目的で導入されます。
チャットボットを導入しても回答精度が低ければ、顧客の自己管理率や満足度は向上しません。
場合によってはチャットボット使用後に電話やメールなどの多チャネルを活用する必要があり、顧客の負担感が倍増するでしょう。
AIチャットボットの自然言語を読み取り回答精度を向上させる性能を活かせば、下記のようなことが叶います。
AIチャットボットができること | |
表記揺れに対応できる | 統計データや顧客の利用傾向を分析し「営業日はいつ?」と「店舗がオープンしている日は?」が同じ内容であることを把握できるなど表記の揺れを読み取れる |
会話に近いコミュニケーションが取れる | 学習が進み語彙量が増えると、対話に近いコミュニケーションが取れるようになる |
表記揺れを読み取れると、顧客の自己解決率向上や問題解決時間の短縮につながります。
対話に近いコミュニケーションが取れるようになればチャットボットの堅苦しいイメージを払拭でき、親しみやすいツールとなるでしょう。
また、チャットボットとFAQを結びつけるときには、FAQの数が増えるとルールの作成が複雑化します。
AIチャットボットを活用することで顧客が必要とする回答を探せるようになります。
このように、チャットボットの回答精度を向上させることは、さまざまなシーンでプラスに働きます。
次の章ではAIチャットボットを導入するメリットを詳しく見ていきましょう。
3.AIチャットボットを利用する3つのメリット
AIチャットボットを導入するメリットには
- 顧客の自己解決率がアップする
- 顧客の体験価値が向上する
の2つが挙げられます。
それぞれどのような部分がコンタクトセンター(コールセンター)にとってメリットとなるのかチェックしてみてください。
3-1.顧客の自己解決率がアップする
1つ目は、顧客の自己解決率がアップすることです。
先ほども述べたようにせっかくチャットボットを導入しても、顧客の悩みや疑問が解決できなければ意味がありません。
AIチャットボットは顧客の利用が増えれば増えるほど、多くの教師データが蓄積されていきます。
そのデータを基に確率の高い回答を表示するので顧客が望む回答と一致しやすく自己解決率が向上するのです。
顧客の自己解決率が向上すると顧客満足度がアップするのはもちろんのこと、コンタクトセンター(コールセンター)への架電集中を避けられるようになります。
3-2.顧客の体験価値が向上する
2つ目は、顧客の体験価値が向上することです。
顧客体験価値とはカスタマーエクスペリエンス(CX)とも呼ばれており、顧客が商品やサービスに興味を持ち購入、アフターサービスを受けるまでの一連の体験を指します。
情報や商品、サービスが増えて競合他社との差別化が困難となってきた昨今では、顧客体験価値を重要視して顧客と良好な関係を構築する企業が増えてきました。
AIチャットボットを活用すれば、顧客が悩んだときや困ったときに手厚いフォローができます。
たとえば、顧客が商品の購入を悩んだときにAIチャットボットを利用し、リアルタイムで的確な回答を得られたとしましょう。
回答の精度や迅速さから店舗で接客を受けているかのようなサポートだったと感じると、顧客体験価値は向上します。
また、AIチャットボットは学習を繰り返すことで、幅広い表現に対応できるようになります。
機械的な回答ではなく対話に近いコミュニケーションができるため、人と会話をしているような安心感が得られるところもポイントです。
このように、AIチャットボットは回答精度とコミュニケーション能力が高いため、顧客体験価値の向上に一役買ってくれるでしょう。
4.AIチャットボットを利用するときの注意点
メリットの多いAIチャットボットですが、あらかじめ知っておきたい注意点として下記の2つがあります。
- 蓄積される教師データの質に回答が左右される
- 利用者が増えなければ精度が向上しない
AIチャットボットの効果を最大限に活かすためにも、注意すべき点を事前に確認しておきましょう。
4-1.蓄積される教師データの質に回答が左右される
AIチャットボットの回答は、蓄積されているデータの質に左右されます。
データが少なかったり誤ったデータが蓄積されていたりする状況では、高精度な回答ができません。
たとえば、膨大なデータが蓄積されていても質問と回答の結びつきが誤っていると、顧客が満足する回答を表示できないでしょう。
そのため、下記のようにAIチャットボットに正しい回答を指示するメンテナンスや正確な情報を伝えるメンテナンスが欠かせません。
- 適切な質問と回答を結びつけるメンテナンス
- アンケート結果を基に満足度の高い参照ページの情報を伝える
- 蓄積された学習データと回答の確認
AIチャットボットはメンテナンスフリーという訳ではなく、精度の高い情報の提供や学習データの確認が必要なことは把握しておきましょう。
4-2.利用者が増えなければ精度が向上しない
AIチャットボットはより多くの回答を繰り返すことで教師データが蓄積され、回答の精度が向上します。
言い換えるとAIチャットボットの利用者が増えなければ、いつまでも回答の精度が向上しません。
利用者が増えないAIチャットボットのままでは、顧客満足度や自己解決率の向上などAIチャットボットならではのメリットを実感できないでしょう。
そのため、AIチャットボットの利用者が増えるような動線や周知が欠かせません。
- AIチャットボットを導入したことを公式サイトや公式LINEなどで周知する
- AIチャットボットが利用しやすい動線やポップアップ表示などの工夫をする
など表示や導入方法を工夫し、少しでも早く学習データが蓄積されるようにしましょう。
5.AIチャットボットの導入が向いている3つのケース
最後に、AIチャットボットの導入が向いている3つのケースをご紹介します。
AIチャットボットのメリットを有効活用できるケースを把握するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.顧客ロイヤルティ向上を目指してチャットボットを導入したい場合
AIチャットボットは、顧客ロイヤルティ向上のために新たなチャネルを用意したいときに向いています。
トランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」によると、顧客が問題解決時に望むのは、「わかりやすさ」「すぐ解決できる」などの簡便さや、「たらい回し」「何度も問い合わせる」などの反復行動の解消にあることがわかりました。
参考:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」
AIチャットボットなら、情報の質と負担感の少なさの両方をカバーすることが可能です。
AIチャットボットは多くの教師データが蓄積されると、精度の高い回答ができます。
その結果、迅速に問題が解決できるため、顧客が負担を感じにくいです。
また、AIチャットボットは機械学習が進めば機械的ではない自然なコミュニケーションに近づくため、親近感を得やすい側面もあります。
- 顧客ロイヤルティの向上を目指したい
- 優良顧客やロイヤルカスタマーを増やしたい
という場合は、AIチャットボットの導入を検討してみてください。
5-2.FAQ数が多い場合
FAQとは、頻繫に尋ねられる質問と回答をまとめた問答集のことです。
チャットボットでは質問と回答を紐づけて、顧客からの質問に一問一答形式で回答できるように活用することができます。
FAQは顧客からの問い合わせや質問をある程度網羅しないと、自己解決率の向上につながりません。
そのため、FAQの数が多くなることもあるでしょう。
AIチャットボットなら蓄積された教師データを基に、顧客の質問と関連のありそうな質問を見つけ出すことができます。
そのためFAQが増えても回答の質を下げることがなく、顧客の自己解決率や迅速な回答の提示を維持することが可能です。
FAQ数の多いチャットボットを運営したいと考えている場合は、AIチャットボットが向いています。
5-3.顧客からの質問が複雑である場合
コンタクトセンター(コールセンター)によっては、顧客からの質問が多岐に渡り複雑になることがあります。
ルールに沿った回答しかできないAI非搭載のチャットボットでは柔軟な対応ができないので、問題が解決できない可能性が高いでしょう。
AIチャットボットなら教師データが蓄積されると回答のバリエーションが増えるため、複雑な回答にも対応しやすくなります。
表記揺れにも柔軟な対応ができるので、AI非搭載のチャットボットよりも幅広い顧客の質問に対応できることは間違いないでしょう。
営業時間や休業日のお知らせ、返品方法のアナウンスなどの単調な質問だけでなく、もう一歩踏み込んだ説明や案内をしたい場合は、AIチャットボットを選ぶといいでしょう。
トランスコスモスでは個別に相談を受けながら必要な要件を整理し、最適なソリューションをご提案いたしますのでご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
AIチャットボットの導入目的やメリットが把握でき、コンタクトセンター(コールセンター)に導入するべきか判断できたかと思います。
最後に、この記事の内容をまとめてみると
◆AIチャットボットとはAIを搭載して応対の精度を高めたチャットボットのこと
◆AIチャットボットは適切な質問と回答を結びつけることを学習し、回答精度を向上させる目的で導入されている
◆AIチャットボットを利用するメリットは次の2つ
- 回答の精度が高いため顧客の自己解決率がアップする
- 顧客の体験価値が向上する
◆AIチャットボットを使用するときの注意点は次の2つ
- 蓄積される教師データの質に回答が左右される
- AIチャットボットの利用者が増えなければ精度が向上しない
◆AIチャットボットの利用が向いているのは次の3つのケース
- 顧客ロイヤリティ向上を目指してチャットボットを導入したい場合
- FAQの数が多い場合
- 顧客からの質問が複雑で柔軟な対応が必要な場合
この記事をもとにAIチャットボットの魅力やメリットを把握でき、コンタクトセンター運営に活用できることを願っています。