
AIチャットボットとは、AI(人口知能)を活用し、ユーザーからの質問にチャット形式で自動回答するサービスです。
入力されたテキストの意図を解析し、蓄積された教師データや統計情報を基に、最も適切な回答を導き出す点が特徴です。
AIチャットボットでできること | |
意図を理解した会話が可能 | 「営業日はいつ?」と「店舗がオープンしている日は?」のように、異なる表現でも同じ質問であると判断できます。 |
自然でスムーズなコミュニケーション | 学習が進むほど語彙が増え、より人との対話に近いコミュニケーションが取れるようになります。 |
複雑な質問にも対応可能 | 例:「東京から大阪へ明日の午後に行きたいのですが、新幹線の料金と所要時間を教えてください。また、大阪駅周辺の安いホテルも知りたいです。」 |
会話データから学習し、精度を向上 | 過去の会話ログや利用者の問い合わせ傾向を学習し、回答精度が向上していきます。 |
AI非搭載のチャットボットでは対応できない表記揺れへの対応や自然な会話が可能で、顧客の自己解決率やロイヤルティ向上にもつなげられます。

ただし、AIチャットボットの導入には向き・不向きがあるため、メリットや特徴を理解したうえで検討することが重要です。
そこで本記事では、AIチャットボットの導入目的や具体的なメリット、注意点をわかりやすくまとめて解説していきます。
・AIチャットボットとは |
この記事を最後まで読むことで、AIチャットボットがどのようなツールなのか理解でき、コンタクトセンター(コールセンター)の運営改善にどのように活用できるかが具体的にイメージできるようになるはずです。
昨今はコンタクトセンターのオムニチャネル化が進んでいるため、導入を検討する際の参考としてぜひご活用ください。
1.AIチャットボットとは

まずは、AIチャットボットの基礎知識について、以下の3点に分けて解説します。
・AIチャットボットとは |
それでは順番に見ていきましょう。
1-1.AIチャットボットとは
AIチャットボットとは、AI(人口知能)を活用してユーザーからの質問にチャット形式で自動回答するサービスのことで、主に「従来型のAI型」と「生成AI型」の2種類があります。
そもそもチャットボットとは「チャット」と「ボット(bot)」を組み合わせた造語で、WebサイトやLINEなどに設置され、ユーザーからの問い合わせにリアルタイムで応対できる自動会話プログラムを指します。
AIが搭載されていないチャットボットは、事前に設定された質問と回答のパターンに沿って応答します。
一方、従来型のAIチャットボットは自然言語処理(NPL)によって、ユーザーが日常に使う言葉の意図を理解し、最適な回答を提示できます。また、利用を重ねるほど会話データを学習し(機械学習)、より精度の高い回答ができるようになります。

たとえば、顧客が営業時間を確認するためにチャットを利用したケースで考えてみましょう。
■AI非搭載のチャットボットの場合 ユーザー「今日の営業時間は?」 ・「今日の営業時間」というニュアンスを理解できず、キーワード「営業時間」に反応して固定の回答しか返せない |
■AIチャットボットの場合 ユーザー「今日の営業時間は?」 ・「今日」という表現から日付を認識 |
このように、AIチャットボットは自然言語処理と機械学習を用いることで、より柔軟かつ精度の高い回答ができるチャットボットだといえます。
【あわせてお読みください】 チャットボットの仕組みやメリットをより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。 |
1-2.AI非搭載チャットボットとAIチャットボットの違い
AIチャットボットをより深く理解するために、まずはAI非搭載チャットボットとの仕組みの違いを比較してみましょう。
両者の大きな差は、「シナリオ(台本)に沿って回答するか」、あるいは「ユーザーの意図をAIが判断して柔軟に回答するか」という点にあります。

■ AI非搭載チャットボットの場合
AI非搭載チャットボットは、あらかじめ設定されたシナリオに沿って、決められたとおりに回答します。
たとえば飲食店の予約受付を行うケースでは、次のように想定された流れに従って会話が進みます。
例:飲食店予約チャットボット 顧客「予約したい」 チャットボット「ご予約ですね!ご希望の日付を教えてください」 顧客「3月10日」 チャットボット「ありがとうございます。ご希望の時間を教えてください」 顧客「18時」 チャットボット「何名様ですか?」 顧客「3人」 チャットボット「ご予約を承りました!お名前を教えてください」 |
この場合、「3月10日の18時に3人で予約したい」のように複数の情報をまとめて伝えた場合や、「テラス席は予約できますか?」といったシナリオ外の質問をした場合には、適切な回答を返すことができません。
■ AIチャットボットの場合
一方、従来型のAIチャットボットは、自然言語処理(NLP)を用いて、ユーザーが入力した文章の意図を理解し、その場に応じた適切な回答を生成できます。
例:航空会社のAIチャットボット 顧客 AIチャットボット AIは以下のように文脈を判断します。 |
さらにAIチャットボットは機械学習により、過去の会話データからより良い応答を学習し、精度を高めていける点も大きな特徴です。
■AI非搭載チャットボットとAIチャットボットの比較
項目 | AI非搭載チャットボット | AIチャットボット |
仕組み | ・事前設定のシナリオに沿って回答 | ・ユーザーの意図を理解し適切な回答を生成 |
対応能力 | ・決まった質問にのみ対応 | ・文脈を理解した自然な会話が可能 |
1-3.AIチャットボットは「従来型のAI型」「生成AI型」の2種類がある
実はAIチャットボットには、さらに「従来型のAI型」と「生成AI型」の2種類が存在します。
従来型のAI型チャットボットは、事前に用意された回答の中から適切なものをそのまま提示します。一方、生成AI型チャットボットは、ユーザーの質問に合わせてその場で新しい回答文を生成して提示する点が大きな違いです。
【AI非搭載型・AI型・生成AI型チャットボットの比較表】
種類 | AI非搭載型 | AI型 | 生成AI型 |
仕組み | 事前シナリオ通りに回答 | 学習データから | 質問に合わせて |
複雑な質問対応 | × | 〇 | 〇 |
自然な対話 | × | 〇 | ◎ |
対応範囲 | 想定質問のみ | 学習データの範囲内 | 予想外の質問にも柔軟に対応 |
文脈理解 | × | 〇 | ◎ |
回答の正確性 | 想定内の質問には | 学習データ内なら高い | 広く対応可能だが |
AI型チャットボットは、ユーザーの入力意図を理解した上で、あらかじめ学習させた回答候補の中から最適な回答を選び出して提示します。
人が事前に確認した回答文を表示する仕組みであるため、誤った回答をする心配がほとんどありません。
一方、生成AIチャットボットは、顧客の入力意図を理解したうえで、生成AIモデルが学習した膨大なデータや文脈に基づき、その場で回答文を作成します。
しかし、生成AI型は事前チェック済みの回答を使うわけではないため、場合によっては誤った情報を提示する可能性があります。
このような仕組みの違いから、AI型チャットボットと生成AI型チャットボットでは、対応能力にも次のような差が生じます。
【従来型のAI型と生成AI型の対応能力の違い】
AI型チャットボット | ・学習データの範囲内であれば、正確な回答が可能 |
生成AI型チャットボット | ・想定外の質問にも柔軟に回答 |
同じ質問を投げかけた場合に、従来型のAI型と生成AI型でどのような回答の違いが生まれるのかを、具体例を用いてご紹介します。

このように、一口にAIチャットボットといっても複数の種類があり、それぞれで回答の柔軟性が大きく異なります。
では、どのような場面でAI型チャットボットが適しており、どのようなケースで生成AI型チャットボットが向いているのか、具体的に見ていきましょう。
2.AIチャットボットを利用する2つのメリット

AIチャットボットを導入するメリットとして、主に次の2点が挙げられます。
・顧客の自己解決率がアップする |
それぞれがコンタクトセンター(コールセンター)にどのような効果をもたらすのか、詳しく見ていきましょう。
2-1.顧客の自己解決率がアップする
1つ目のメリットは、顧客の自己解決率が向上することです。
従来のチャットボットは、あらかじめ設定された質問パターンにのみ対応する仕組みのため、表現が少し異なるだけで適切な回答が得られないケースがあります。また、複数の質問が一度に入力されると混乱し、正しく対応できないこともあります。
一方、AIチャットボットは多様な言い回しや表現から意図を汲み取り、同じ意味の質問であれば異なる表現でも対応可能です。
さらに、複数の要素を含む質問でも全体を理解し、包括的な回答を返せます。
加えて、AIチャットボットは過去の会話データから学習することで回答精度を向上させていくため、顧客が求める回答を迅速に提示しやすくなり、自己解決率の向上につながります。
自己解決率が上がると、顧客満足度が向上するだけでなく、コンタクトセンターへの問い合わせ集中を抑制でき、オペレーターの負荷軽減にも寄与します。
2-2.顧客の体験価値が向上する
2つ目のメリットは、顧客の体験価値(カスタマーエクスペリエンス/CX)が向上することです。
顧客体験価値とは、商品やサービスに興味を持つ段階から、購入、アフターサービスまでの一連の顧客体験全体を指します。
近年、情報や商品が飽和し差別化が難しくなったことから、多くの企業が顧客体験価値を重視し、良好な関係構築に力を入れています。
従来型のチャットボットは、すべての顧客に同じような画一的な回答を行うため、感情や文脈を理解できず、対応も機械的になりがちです。そのため「ロボットが対応している」という印象になりやすく、体験価値向上にはつながりにくいと言えます。
これに対し、AIチャットボットは顧客の悩みや背景を読み取りながら柔軟に回答し、必要となる情報を先回りして提供することが可能です。
たとえば、顧客が商品の購入を迷っている場面でAIチャットボットを利用したとします。
AIチャットボットは、質問の意図を正確に読み取りながら適切な回答を返すだけでなく、質問の背景にある意図を推測し、顧客が次に必要としそうな情報を先回りして提示することができます。
こうした対応により、まるで店舗で接客を受けているかのようなサポートだと感じられれば、顧客体験価値は大きく向上します。
また、AIチャットボットは学習を繰り返すことで、対応できる表現の幅が広がり、より柔軟な対応が可能になります。
機械的な回答ではなく、対話に近い自然なコミュニケーションを実現できるため、「人と会話しているような安心感」を生み出せる点も重要なポイントです。
このように、AIチャットボットは高い回答精度と自然なコミュニケーション能力を備えているため、顧客体験価値の向上に大きく貢献します。
3.AIチャットボットを利用するときの注意点

メリットの多いAIチャットボットですが、導入前に把握しておきたい注意点として、次の2つが挙げられます。
・蓄積される教師データの質に回答が左右される |
AIチャットボットの効果を最大限に引き出すためにも、以下のポイントを事前に確認しておきましょう。
3-1.蓄積される教師データの質に回答が左右される
AIチャットボットの回答精度は、蓄積されるデータの質に大きく依存します。
データ量が不足していたり、誤ったデータが登録されていたりすると、AIは適切な回答を導き出せません。
たとえば、蓄積データが多くても、質問と回答の関連付けが間違っている場合には、顧客が満足する回答を提示できない可能性があります。
そのため、AIチャットボットには継続的なメンテナンスが欠かせません。具体的には、次のような作業が必要です。
・適切な質問と回答を正しく紐づける |
AIチャットボットは「導入したら終わり」ではなく、精度の高い情報を提供し続けるためには、定期的な学習データの確認や更新が必要であることを理解しておきましょう。
3-2.利用者が増えなければ精度が向上しない
AIチャットボットは、利用を重ねるほど教師データが蓄積され、回答の精度が向上していきます。つまり、利用する顧客が増えなければ、学習が進まず、精度向上にもつながりません。
利用者が少ない状態では、顧客満足度の向上や自己解決率の改善といったAIチャットボット本来のメリットも十分に得られない可能性があります。
そのため、AIチャットボットを導入した際は、以下のような施策によって利用を促す工夫が必要です。
・公式サイトや公式LINEなどでチャットボット導入を積極的に告知する |
こうした導線設計を行い、できるだけ早く学習データを蓄積していくことが重要です。
4.AIチャットボットの導入が向いている3つのケース

最後に、AIチャットボットの導入が特に効果を発揮する3つのケースをご紹介します。
自社での活用シーンを検討する際の参考にしてみてください。
4-1.顧客ロイヤルティ向上を目指してチャットボットを導入したい場合
AIチャットボットは、顧客ロイヤルティを向上させる新たなコミュニケーションチャネルとして非常に有効です。
トランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」によると、顧客が問題解決時に求めているのは、「わかりやすさ」や「すぐに解決できる」といった簡便さに加え、「たらい回し」や「何度も問い合わせる」といった反復行動の解消であることが明らかになりました。

参考:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」
AIチャットボットは、多くの教師データが蓄積されるほど精度の高い回答が可能になり、顧客が迅速に解決へたどり着けるため、負担感が軽減されます。
さらに、機械学習が進むことでより自然なコミュニケーションが実現し、親近感を持たれやすい点も特徴です。
・顧客ロイヤルティを強化したい |
という場合には、AIチャットボットの導入がとても効果的です。
4-2.FAQ数が多い場合
FAQ(よくある質問)とは、頻繫に寄せられる質問と回答をまとめたものです。
チャットボットにFAQを組み込むことで、顧客の質問に一問一答形式で自動応答できます。
しかし、FAQは顧客から寄せられる問い合わせや質問をある程度網羅していなければ、自己解決率の向上にはつながりません。そのため、結果的にFAQの項目数が多くなる場合もあります。
AIチャットボットであれば、蓄積された教師データを基に、質問と関連性の高い内容を見つけ出すことができます。そのため、FAQが増えても回答の質が低下せず、顧客の自己解決率や迅速な回答提示を維持することが可能です。
FAQ数の多いチャットボット運営を考えている企業には、AIチャットボットが非常に適しています。
4-3.顧客からの質問が複雑である場合
コンタクトセンターでは、扱う商品やサービスの特性によって、顧客からの質問が複雑化・多岐化するケースがあります。
AI非搭載チャットボットはルールベースで回答するため、想定外の質問に対応できず、問題解決に至らない可能性が高くなります。
AIチャットボットは、教師データが蓄積されるほど回答のバリエーションが増え、より複雑な質問にも対応しやすくなります。また、表記揺れにも柔軟に対応できるため、AI非搭載のチャットボットに比べて、より幅広い顧客の質問に応えることができます。
営業時間や休業日の案内、返品方法などの定型的な質問だけでなく、さらに踏み込んだ説明や状況に応じた案内を行いたい場合は、AIチャットボットを選択することで高い効果を期待できます。
トランスコスモスでは、お客様からの個別のご相談を伺いながら要件を丁寧に整理し、最適なソリューションをご提案いたします。どうぞお気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたでしょうか。AIチャットボットの導入目的やメリットを理解いただき、コンタクトセンター(コールセンター)へ導入すべきか判断する材料になったかと思います。
最後に、この記事の内容を振り返ってまとめます。
■AIチャットボットとは
AIを活用し、チャット形式で寄せられた質問に自動で回答するサービスのこと。
■AI非搭載型・AI型・生成AI型チャットボットの違い
AI非搭載型 | AI型 | 生成AI型 | |
仕組み | 事前設定されたシナリオ・ルールに基づき回答 | 用意した学習データから適切な回答を選択 | 質問に合わせてその場で新しい回答を生成 |
複雑な質問への対応 | × | 〇 | 〇 |
自然な対話 | × | 〇 | ◎ |
対応範囲 | 想定質問のみ | 学習データの範囲内 | 予想外の質問にも柔軟に対応 |
文脈理解 | × | 〇 | ◎ |
回答の正確性 | 想定内の質問には高い正確性 | 学習データ内なら高い正確性 | 幅広く対応可だが誤情報の可能性あり |
■AIチャットボットを導入するメリットは次の2つ
1.回答精度が高く、顧客の自己解決率が向上する |
■AIチャットボットを利用する際の注意点は次の2つ
1.蓄積される教師データの質が回答を左右する |
■AIチャットボットの利用が向いているケースは次の3つ
1.顧客ロイヤリティ向上を目的にチャットボットを導入したい場合 |
この記事を通じてAIチャットボットの魅力やメリットを理解いただき、今後のコンタクトセンター運営に活かしていただければ幸いです。
