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コールセンター向けIVRとは?できることやメリットを徹底解説

IVRとは コールセンター
この記事で学べること

コンタクトセンター向けのIVR(Interactive Voice Response)は、音声ガイダンスとプッシュ/音声入力で入電を自動応答・一次振り分けする自動音声応答システム。有人対応と連携して応対の入口を自動化します。

  • IVRでできること:FAQの自動応答、用件に応じたオペレーター振り分け、折り返し予約、営業時間外対応、自動発信、予約・受付の自動化など、業務効率化と機会損失防止を実現します。
  • IVRのメリット・デメリット:メリットはオペレーター負荷削減・応対スピード向上・機会損失の低減。デメリットは利用者の操作負担や離脱増、設計が不適切だと顧客にストレスを与える点があげられます。

「コンタクトセンター(コールセンター)で利用されている『IVR』って何?」「導入するとどんなことができるの?」
「自社でもIVRを導入したほうがいいのだろうか?」

コンタクトセンター(コールセンター)に関わる業務をしている方の中には、このような疑問を持つ方も多いでしょう。

IVR(Interactive Voice Response)とは、音声ガイダンスによって自動応答を行うシステムのことです。電話で企業に問い合わせをした際に「音声ガイダンスに接続します」というアナウンスが流れ、プッシュボタンで操作して問い合わせ内容を伝えることができる機能がIVRです。

IVRの概要

利用者が電話の番号をプッシュすることで、あらかじめ録音された音声が自動再生される仕組みであり、

・適切な窓口への誘導
・自動受付・自動応答
・営業時間外の対応

など、幅広い用途で活用できます。

これを活用することで、以下のようなメリットが得られるため、多くのコンタクトセンターで導入が進んでいます。

IVRを導入するメリットの一覧

たとえば、定型的なやり取りであれば、IVRによってオペレーターを介さずに対応できます。
企業側は人的リソースを消費せずに業務効率化ができ、顧客は迅速に問題解決へ進めるという利点があります。

特に近年はコンタクトセンターのオペレーター不足が深刻化しており、オペレーターが不足すると待ち時間の増加や問題解決の遅延を招き、顧客にストレスを与えてしまいます。IVRを効果的に活用できれば迅速な対応が可能となり、企業・顧客双方に大きなメリットが生まれるのです。

そこで本記事では、IVRのメリット・デメリットをはじめ、以下の内容について詳しく解説します。

IVRの導入で失敗しないためにも、基礎知識・メリット・デメリットを把握し、自社のコンタクトセンターに適しているか判断できるようにしておきましょう。

1.コンタクトセンター(コールセンター)におけるIVR(Interactive Voice Response)とは

コンタクトセンター(コールセンター)におけるIVR(Interactive Voice Response)とは

まずは、「IVRとは何か」について詳しく説明します。

IVRとは何かについての章で解説する項目の一覧

1-1.IVRは自動音声応答システムのこと

IVR(Interactive Voice Response)とは、コンタクトセンター(コールセンター)に電話をかけた顧客に対して、自動音声による案内を行う仕組みのことです。

顧客が受話後に聞こえる音声ガイダンスに従ってプッシュ操作を行う、あるいは音声で回答することで、その入力内容に応じた適切な案内や担当オペレーターへの振り分けが自動的に行われます。

IVRの仕組みの概略

コンタクトセンターでは、オペレーターの業務量が増えやすく精神的負担が大きいことに加え、人手不足によって顧客の待ち時間が長くなるなど、日々さまざまな課題を抱えています。また、入電後の一次振り分けを人力で行う場合、顧客への対応開始が遅れやすい点も問題の一つです。

そこでIVRを導入することで、

・適切な窓口に自動で誘導できる
・自動受付・自動応答が可能になる
・無人対応と有人対応を切り替えられる

といったように入電対応を自動化でき、限られたオペレーターでも効率的に運用できるようになります。

人手不足が慢性化している現代のコンタクトセンターにおいて、IVRは欠かせない存在となっています。

1-2.IVRの仕組み

次に、IVRがどのように動作するのか、より具体的に見ていきましょう。
顧客がコンタクトセンターに電話をすると、最初にIVRによる音声ガイダンスが流れます。

IVRの動作の流れ

たとえば、以下のような案内が代表的です。

「資料請求をご希望の方は1を、製品の使い方に関するお問い合わせは2を、故障に関するお問い合わせは3を、それ以外のお問い合わせは4を押してください」

顧客は案内にしたがってボタンを押し、この操作を数回繰り返すことで、自動的に最適なオペレーターや自動受付システムへ接続されるという仕組みです。

2.IVRでできる6つのこと

IVRでできる6つのこと

ここからは、IVRを導入することでコンタクトセンター(コールセンター)が実現できる主な6つの機能について解説します。
(※IVRのサービスによって提供される機能は異なります。)

IVRでできること(6つ)

1.問い合わせへの自動応対

よくある質問(FAQ)に対して、登録された音声ガイダンスで自動回答ができる。

2.質問内容に合わせた振り分け

利用者の用件に応じて、適切なオペレーターグループや自動受付へ自動で接続できる。

3.折り返し電話の予約

混雑時に、利用者が「折り返し連絡」を予約できる。待ち時間の削減につながる。

4.営業時間外の応対

深夜や休日など、営業時間外でも簡易的な自動応対が可能。必要に応じて折り返し予約にも誘導できる。

5.自動発信

システムが自動で電話発信し、支払い督促・重要なお知らせ・案内メッセージなどを音声で伝える。

6.予約・受付への自動応対

来店予約、再配達受付、注文受付などの手続きを、オペレーターを介さずに自動で完結できる。

2-1.問い合わせへの自動応対

1つ目は、「問い合わせへの自動応対」です。
あらかじめ音声で回答を登録しておくことで、よくある質問に対してオペレーターを介さず自動で案内できます。

(例:航空会社のフライト情報案内)

IVR:「〇〇航空のフライト情報サービスへようこそ。
ご希望の内容に応じて、番号を押してください。

【1】運航状況
【2】搭乗ゲート
【3】予約の変更・キャンセル
【4】その他のお問い合わせ」

顧客:「1」を押す
IVR:「便名を入力してください。」
顧客:「123」と入力
IVR:「便名 123 は、本日15:00発の東京行きです。現在、予定どおり運航しています。」

このように定型的な問い合わせへの応対を、オペレーターを介さずに自動化できるため、オペレーターの業務量を削減し、業務効率を向上させることができます。また、顧客はオペレーターと話さなくても不明点や課題をすぐに自己解決できるため、顧客満足度の向上にもつながります。

なお、問い合わせへの自動応対を取り入れている業種には、ほかにも以下のような例があります。

自動応対を取り入れている業種例

業種

具体例

銀行・金融

残高照会、カード利用額確認

通信キャリア

料金確認、データ使用量確認、契約内容の確認

ECサイト

注文状況、配送状況の確認

2-2.質問内容に合わせた振り分け

2つ目は、「質問内容に合わせた振り分け」です。
顧客がガイダンスに従ってプッシュ操作(または音声入力)することで、適切なオペレーターグループへ自動で接続されます。

例:
「電子レンジの使い方」を知りたい → “2” を押す → 家電説明担当オペレーターにつながる

IVRの仕組みの概略

この機能により、初期受付の工数削減や顧客が必要な情報に最短で到達できるといったメリットがあります。

また、人による対応が必要な場合はオペレーターへ接続し、よくある質問など、想定できる問い合わせは自動応対で対応するといった「有人・無人の切り替え」も可能です。

IVRによって自動対応かオペレーターかを振り分ける流れのイメージ

質問内容に合わせた振り分けを活用している企業は、業種を問わず幅広く存在します。具体的には、以下のようなシーンで利用されています。

振り分けを取り入れている業種例

業種

具体例

銀行・金融

・クレジットカードの盗難・紛失時の連絡は、セキュリティ部門につなぐ
・ローンや住宅ローンの相談は、住宅ローン専門窓口につなぐ

医療機関

・診察時間の案内は、IVRによる自動応対で対応する
・薬の処方に関する問い合わせは、調剤薬局のオペレーター(薬剤師)につなぐ

自動車保険

・自動車事故の報告は、事故担当の部署へつなぐ
・代車の手配に関する問い合わせは、代車担当のオペレーターへつなぐ

2-3.折り返し電話の予約

3つ目は、「折り返し電話の予約」です。
混雑などすべての入電へ応対できない場合に、IVRが代わりに折り返し予約を受け付けます。

具体的には、折り返し電話の予約は次のような手順で案内することができます。

1. 「只今混み合っています」と音声で案内
2.電話番号・希望時間帯をプッシュ操作で入力
3.予約時間になったらオペレーターが発信

こうした機能は、コンタクトセンターが混雑しやすい時間帯や繁忙期、さらには営業時間外などにおいて、顧客の待ち時間を大幅に減らし、スムーズな対応を実現します。

折り返し電話の予約は、特に問い合わせが集中しやすい業種で活用されており、以下のような業界で広く利用されています。

折り返し予約が使われる業種

業種

具体例

公共機関

年金・税金・住民票手続きの相談

インフラ

電気・ガス・水道の契約変更、支払い問い合わせ

不動産

賃貸契約、更新、退去・引越し相談

2-4.営業時間外の応対

4つ目は、「営業時間外の応対」です。
IVRを活用すれば、深夜・休日を含む時間帯でも、簡単な問い合わせについては自動で案内することができます。

複雑な問い合わせの場合は、「2-3.折り返し電話の予約」を利用してオペレーターから折り返し連絡を行うように設定すれば、顧客が何度も電話をかけ直す必要がなくなります。顧客は都合の良いタイミングで電話をかけ、必要な情報をすぐに得られるため、顧客満足度向上が期待できます。

このように、営業時間外であっても何らかの応対ができる点は、IVRの大きな魅力のひとつといえるでしょう。

2-5.自動発信

5つ目は、「自動発信」です。
顧客に対してIVRが自動的に発信し、録音メッセージを届けます。

例:
・支払い遅延者への督促メッセージ
・購買意欲の高い顧客へ、販促メッセージを自動で配信する

営業・督促・案内まで自動化できるため、オペレーターの負担軽減や営業効率アップにつながります。

自動発信を取り入れている業種

業種

具体例

銀行・金融

支払い期限通知、不正利用確認、金利変更案内

ECサイト

配送通知、入荷連絡、購入後フォロー

エンタメ

イベント案内、チケット払い戻し、会員特典案内

2-6.予約・受付への自動応対

6つ目は、「予約・受付への自動応対」です。
IVRを使えば、以下のような受付業務を自動で行えます。

・予約(来店、診療、サービスなど)
・予約変更・キャンセル
・商品注文
・返品・交換の受付

来店予約について例を挙げてみると、以下のように顧客に「電話番号」や「予約日」などをプッシュ操作で入力してもらうことで、予約を完了できます。

IVRによって来店予約を自動予約する例

オペレーターが応対すると時間のかかる作業も、予約を自動化することで業務を効率化できます。
さらに、「電話がつながらないので予約をやめる」といった機会損失も防止できます。

次に荷物の再配達受付を例に挙げると、

・顧客が不在連絡票に記載された番号へ電話をかける
・再配達希望日や時間帯をプッシュ操作で入力する

といった一連の操作によって、荷物の再配達受付が完了します。

こうした再配達受付をすべてオペレーターが対応すると手間がかかりますが、IVRによる自動受付を導入すれば、大幅な業務効率化を実現できます。このようにIVRは、予約や受付といった業務の自動化にも活用できます。

また、IVRの予約・受付機能は、ほかにも以下のような業種で利用されています。

予約・受付機能が使われる業種例

業種

具体例

航空・旅行

航空券の予約・変更、キャンセル

エンタメ

チケット予約、座席予約、観戦チケット申込み

3.IVRを導入する3つのメリット

IVRを導入する3つのメリット

ここでは、IVRを導入することで得られる主なメリットを3つ紹介します。これらのメリットを踏まえ、IVRを導入すべきかを検討してみましょう。

・業務効率化を実現できる 
・顧客満足度が向上する
・機会損失を防止できる

3-1.業務効率化が可能     

IVRを導入する最大のメリットは、業務効率化が実現できることです。
2.IVRでできる6つのこと」で説明したように、IVRは次のようなオペレーター業務を自動化できます。

IVRによって自動化できる業務

項目

内容

問い合わせ応対の自動化

よくある質問を音声ガイダンスで自動回答

予約・受付の自動化

来店予約・注文受付・再配達受付などを自動処理

振り分けの自動化

問い合わせ内容に応じて最適な部署・担当者へ接続

発信の自動化

督促・重要通知・キャンペーン案内などを自動発信

たとえば、以下のような内容が定型化している業務はほぼIVRで対応可能です。

・契約内容の確認
・商品注文や予約の受付
・入電時の担当部門振り分け

そのため、オペレーターが対応するのは臨機応変な応対が必要なケースに限定され、現場の負荷軽減・生産性向上につながります。さらに支払い遅延の督促や販促案内など本来オペレーターが能動的に行う業務であっても、IVRの自動発信機能を活用すれば負担を大幅に減らせます。

結果として、オペレーターの稼働を最適化し、業務効率を大きく向上させることができます。  

3-2.顧客満足度の向上につながる

IVRは顧客満足度の向上にも貢献します。

その理由は、IVRにより顧客がストレスなくスムーズに情報を得られるようになるためです。

顧客満足度向上につながるIVRの機能

機能

内容

顧客メリット

問い合わせ応対
の自動化

よくある質問に対して、音声で自動回答する

オペレーターと話さずに自己解決できる

振り分け
の自動化

用件に応じて最適な部署やオペレーターへ自動で振り分け

待ち時間なく、必要な情報にすぐアクセスできる

折り返し電話
の予約

入電が混雑している際、コンタクトセンターからの折り返し電話を予約できる

電話がつながるまで待つ必要がなくなる

営業時間外
の応対

営業時間外でも、簡単な問い合わせに自動応対

都合の良いタイミングで必要な情報を得られる

トランスコスモスの「消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2021」では、顧客が企業に望むのは「感動的な対応」よりも「ストレスのない対応」であることが示されています。

「おもてなし」より「ストレスフリー」の方が重要視されていることを表すグラフ

トランスコスモス株式会社「消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2021

これは裏を返せば、コンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせを行う顧客は、それだけストレスや負担を感じているともいえます。したがって、顧客満足度を高めるには、こうしたストレスをできる限り軽減することが重要です。

IVRの機能を活用すれば、顧客はストレスなく問い合わせを行えるため、結果として顧客満足度の向上につながります。

3-3.機会損失を防止できる

IVRを導入することで、機会損失を未然に防げることも大きなメリットです。

たとえば、入電が集中した際に何の対策も講じていないと、あふれ呼や放棄呼が発生し、顧客獲得や商品購入の機会を逃すことにつながります。

しかし、折り返し電話機能を利用すれば、ガイダンス案内とプッシュ操作によってオペレーターから利用者へ折り返し連絡する約束ができ、機会損失を防止できます。

また、自動受付を活用すれば、コンタクトセンターの営業時間外であっても、商品の注文受付や資料請求、再配達などの対応を自動で行えるようになります。

その結果、「回線がつながらないので商品購入を諦める」「今すぐ使いたいのに他の商品を選ばざるを得ない」といった機会損失も防ぐことができます。

4.IVRの3つのデメリット

IVRの3つのデメリット

IVRには多くのメリットがありますが、一方で以下のようなデメリットも存在します。それぞれのデメリットについて詳しく解説します。

・利用者の手間が増える
・離脱率が高くなる可能性がある
・シナリオ設計によっては顧客にストレスを与える

4-1.利用者の手間が増える

IVRはプッシュ操作や音声入力など、利用者側で一定の操作を行う必要があるため、どうしても手間が増えてしまいます。とくに階層が深いIVRの場合、ガイダンスに従い何度も選択操作をする必要があり、「面倒だ」と感じる利用者も出てきます。

一方、IVRを導入していないコンタクトセンター(コールセンター)であれば、混雑していない限り電話番号を押すだけでオペレーターにつながります。つまり、IVRの便利さは“自動化のために利用者が操作する”ことの上に成り立っており、それがデメリットになるケースもあるといえます。

4-2.離脱率が高くなる可能性がある

IVRの設計次第では、利用者が途中で通話を切ってしまう(離脱する)可能性が高まります。

離脱が起きやすいケースの例
・プッシュ操作が何度も続き、フローが長い
・オペレーターにつながるまでのステップが複雑
・ガイダンスの内容が分かりにくい

利用者側でのプッシュ操作が続く場合や、なかなかオペレーターにつながらない場合には、途中で通話を切られてしまうことがあります。通話が中断されるということは、利用者が問題解決に至っていないことを意味するため、顧客満足度の低下やクレームにつながる恐れがあります。

離脱率は、IVR導入時のフロー設計やプッシュ操作の構成を工夫することで抑えることが可能です。利用者が「面倒だ」と感じないよう、分かりやすくシンプルな導線を設計することが欠かせません。

4-3.シナリオ設計によっては顧客にストレスを与える

IVRは便利な一方で、シナリオ設計(フロー設計)が適切でないと、顧客にストレスを与えてしまう可能性があります。IVRでは利用者がプッシュ操作などで項目を選択しながら進むため、操作を誤ると正しい対応ができません。

また、自動受付を利用しているケースでは、利用者が住所や電話番号を誤入力すると、商品や資料が届かないといった問題も発生し得ます。とくに、プッシュ操作が多段階になっていたり、選択肢が多すぎたりすると、利用者が操作を誤りやすくなり、ストレスが増大します。

このように、IVRは一次解決を実現したり、重要な情報を入力したりする場面で、利用者自身の操作が前提となるため、誤操作によって適切なフローで処理できなくなるリスクがあります。

5.IVRはどんなコンタクトセンター(コールセンター)が導入すべき?

IVRはどんなコンタクトセンター(コールセンター)が導入すべき?

IVRの機能やメリット・デメリットを踏まえると、「自社のコンタクトセンター(コールセンター)がIVR導入に向いているのか?」と気になる方も多いでしょう。ここでは、IVRの導入が向いているコンタクトセンター/向かないコンタクトセンターの特徴をまとめました。

5-1.IVRを導入すべきコンタクトセンター

IVRの導入が向いているコンタクトセンターは、以下のとおりです。

IVRを導入すべきコンタクトセンターの特徴一覧

オペレーターの離職率が3割を超えている

離職率が平均を大きく上回っているコンタクトセンターは、IVRの導入によってオペレーターの負担軽減につながり、離職率の改善が期待できます。

一般的にコンタクトセンターの離職率は高い傾向にあり、株式会社リックテレコムの調査では「入社1年以内の離職率が31~71%以上」という企業が半数以上を占めています。

入社1年以内の新人オペレーターの離職率を表すグラフ

平均よりも離職率が高い場合は、業務環境の改善が必要です。
まだIVRを導入していない場合は、まず導入を検討し、オペレーターの負担を軽減することで離職率の抑制を目指すことをおすすめします。

コンタクトセンターの離職率改善については、下記の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

定型的な問い合わせが多い

コンタクトセンターで扱う問い合わせ内容の分析を行い、定型的で自動応答できる問い合わせが一定数ある場合は、IVR導入が非常に効果的です。

【例】
・定休日の確認
・店舗への予約
・住所の案内
・営業時間の確認

こうした問い合わせは自動応答だけで完結できるため、オペレーターの手間削減や業務効率化、さらにはあふれ呼防止にもつながります。

対応窓口が複数存在する

コンタクトセンターの窓口が複数ある場合でも、IVRの導入はおすすめです。
たとえば、以下のように複数の窓口がある場合、IVRを利用しないと電話を引き継ぐ手間が発生します。

・新規購入者窓口
・再購入者窓口
・修理受付窓口
・商品の使い方に関する窓口

IVRのスキルベースルーティング機能を活用すれば、問い合わせ内容を事前に把握したうえで、最適な窓口へ自動的に振り分けることができ、業務効率化につながります。

また、窓口によっては自動受付機能などと組み合わせることで、人員削減を図れる可能性もあります。

このように、IVRを導入することで、利用者・オペレーター双方にメリットが生まれます。複数窓口を運用しているコンタクトセンターは、IVRの導入をぜひ検討してみてください。

5-2.IVRの導入が向かないコンタクトセンター

一方で、以下のようなコンタクトセンターはIVRの導入効果が限定的、または逆効果になる可能性があります。

・問い合わせ内容が複雑化しやすい

問い合わせ内容が複雑化しやすい

コンタクトセンターへの問い合わせ内容が定型化しにくく、利用者ごとに異なる問題を抱えている場合は、IVRを導入しても大きな効果は期待できません。

たとえば、故障受付専用窓口のように専門的な知識を要したり、利用者側で複雑な操作が必要になったりするケースでは、自動応答だけでは解決が難しいでしょう。

また、問い合わせ内容が複雑な場合は、IVRのプッシュ操作フローも長くなりやすく、利用者の離脱率や不満の増加につながる傾向があります。

このため、利用者一人ひとりに合わせた柔軟な対応が求められるコンタクトセンターでは、IVRの効果が発揮される場面は限られるかもしれません。

6.IVRの2つの種類

IVRの2つの種類

ここまでの解説を踏まえ、「自社でもIVRを導入したい」と考えた方も多いでしょう。IVRには大きく分けてオンプレミス型とクラウド型の2種類があり、導入方法や特徴が異なります。それぞれの特徴を理解し、自社のコンタクトセンターに適した導入方法を検討しましょう。

種類

特徴

オンプレミス型

サーバーやソフトウェアを自社内に設置し、自社で運用する方式

クラウド型

インターネット経由でIVRサービスを利用する方式

6-1.オンプレミス型IVR

オンプレミス型IVRとは

IVRに必要なサーバー・ソフトウェア・管理システムを自社内に設置し、自社で運用する仕組み

おすすめの企業

・既存のソフトウェアやシステムと連携し、自社に合わせて柔軟にカスタマイズしたい
・顧客情報を扱うため、セキュリティ対策を最優先にしたい
・長期間にわたって安定した運用を行いたい

オンプレミス(on-premises)とは、サーバーやソフトウェアなどの情報管理システムを自社内に設置し、運用する方式を指します。

自社のインターネット環境や既存設備、導入したい機能に合わせてIVRシステムを構築できるため、自由度が高く、使いやすい形にカスタマイズできる点が大きなメリットです。

また、クラウド型のように不特定多数の利用者がアクセスする外部サービスを経由しないため、セキュリティ面を強化しやすいという利点もあります。

一方で、導入にはコストと時間がかかる点がデメリットとして挙げられます。

一からシステムを構築する必要があるため、利用開始までに数ヶ月を要することもあります。構築後は安定した運用が可能ですが、クラウド型と比較すると初期費用も導入期間も大きくなる傾向があります。

以下のような要件を持つ企業には、オンプレミス型が向いているといえるでしょう。

・既存のソフトウェアやシステムと連携し、自社に合わせて柔軟にカスタマイズしたい
・顧客情報を扱うため、セキュリティ対策を最優先にしたい
・長期間にわたって安定した運用を行いたい

6-2.クラウド型IVR

クラウド型IVRとは

IVRの機能をインターネット経由で利用する仕組み

おすすめの企業

・できるだけ早くIVRを導入したい
・初期費用を抑えて運用したい
・多くのクラウドサービスを比較し、自社に最適なサービスを選びたい

クラウド型IVRとは、IVRのサービスや機能をインターネット経由で利用できる仕組みのことです。IVRを提供するクラウドサービスと契約するだけで、利用を開始でき、自社でサーバーやソフトウェアを準備する必要がありません。

この点が、クラウド型の大きなメリットといえます。設備投資を抑えられるため、導入初期の負担が軽減され、スピーディーにIVRを稼働させることが可能になります。

さらに、現在は多様なクラウド型IVRサービスが提供されており、機能や価格帯の選択肢が豊富です。自社の利用目的に合わせて必要な機能だけを選べる柔軟性も、多くの企業がクラウド型を選ぶ理由の一つです。

一方で、毎月の利用料が発生するクラウド型は、長期間の運用ではコストが積み上がり、オンプレミス型より総額が高くなる場合があります。

また、クラウドサービス側でセキュリティ対策は講じられているものの、インターネットを経由する仕組み上、不特定多数のユーザーが同じ基盤を利用する環境となるため、オンプレミス型と比較するとセキュリティ面で弱くなりがちです。

こうした特性から、クラウド型IVRは以下のようなニーズを持つ企業に適しています。

・できるだけ早くIVRを導入したい
・初期費用を抑えて運用したい
・複数のクラウドサービスを比較し、自社に最適なプランを選びたい

これらの要件に当てはまる場合、クラウド型IVRは非常に相性の良い選択肢となるでしょう。

7.IVRを導入するときの4つの注意点

IVRを導入するときの4つの注意点

IVR導入時には、以下の4点に注意する必要があります。

IVRを導入するときの注意点一覧

7-1.問い合わせの細分化は最大3回〜4回までにする

IVRを導入する際は、メニュー内容を複雑化しすぎないよう注意が必要です。
利用者の問い合わせ内容を細かく分類しようとすると、階層が深くなり、操作の手間が増えるため、途中で離脱してしまう可能性があります。

また、プッシュ操作や音声認識を何度も繰り返すと、操作ミスが発生しやすくなるうえ、利用者自身が「何を選んだのか」を覚えていられなくなることもあります。そのため、IVRメニューの階層は、最大でも3〜4ステップ程度で完了する構成にすることが理想的です。

理想のガイダンス回数と多すぎるガイダンス回数のイメージ

7-2.ガイダンスの内容を簡潔にまとめる

ガイダンスの内容は、1度聞いただけで理解できるシンプルな文章にまとめることが大切です。
利用者は、ガイダンスを「聞きながら」操作するため、説明が長かったり複雑だったりすると内容を十分に理解できず、操作が難しくなることがあります。

その結果、何度も聞き直す必要が生じ、問題解決や目的達成までに時間がかかり、顧客満足度の低下につながる可能性があります。

短く、明確で、操作がすぐイメージできる文章を心がけましょう。

7-3.オペレーターにつながる導線を用意しておく

IVRを導入する際は、必ずオペレーターにつながる動線を用意しておくことが重要です。
自動音声だけでは対応しきれない問い合わせは必ず発生するため、それに適切に対応するためのオペレーター接続は欠かせません。

IVRによる自動応答や自動受付で利用者の問題が解決できれば、コンタクトセンター(コールセンター)にとっては業務効率化や入電集中の緩和など、大きなメリットがあります。

しかし、利用者の中には、「オペレーターと直接話したい」「人に相談して判断したい」といったニーズを持つ方も多くいます。

IVRを活用してオペレーターへの接続を減らしたいという運用側の思いは理解できますが、利用者の利便性や満足度を損なわないためにも、オペレーターにつながる選択肢は必ず残しておくべきです。

7-4.メニュー構成をしっかりと考える

IVRを導入する際は、必要な情報をただ並べるのではなく、利用者が迷わずに使えるメニュー構成を意識することが重要です。その際に役立つメニュー構成の決め方として、主に次の2つの方法があります。

問い合わせ頻度の多い順に並べる

もっとも一般的な方法が、問い合わせの頻度に応じてメニューの並び順を決める方法です。

たとえば、コンタクトセンターへの問い合わせで「修理受付」がもっとも多い場合は、メニューの最初に修理受付を配置します。問い合わせ件数の多い項目を上位に配置することで、利用者が選びたいメニューに素早くアクセスでき、操作のストレスを軽減できるというメリットがあります。

工程順に並べる

メニューを「利用者がたどる工程順」に並べる方法も、直感的で分かりやすい構成にするうえで有効です。

たとえば、スマートフォン関連の問い合わせが中心の場合、「申し込み→契約状況の確認→操作方法→解約方法」というように、利用者が実際に体験する流れに沿って配置すると、メニュー全体を理解しやすくなります。

メニュー構成は、コンタクトセンターの問い合わせ内容や業種によって最適な形が異なります。
利用者目線に立ち、迷わずプッシュ操作や音声認識ができる構成になっているかどうかを基準に、最適な方法を選びましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
この記事を通して、コンタクトセンター(コールセンター)におけるIVRとは何か、そして自社で導入すべきかどうかを判断するためのポイントを理解いただけたと思います。

最後に、本記事の内容を整理してまとめます。

◎IVR(Interactive Voice Response)とは、自動音声応答システムのこと
入電時に音声ガイダンスを流し、プッシュ操作・音声認識によって自動案内や振り分けを行う仕組み。

IVRでできる主な6つのこと

問い合わせへの自動応対

よくある質問に自動で回答

質問内容に合わせた振り分け

最適なオペレーターや自動受付へ接続

折り返し電話の予約

混雑時の待ち時間削減

営業時間外の応対

深夜・休日でも自動案内が可能

自動発信

督促や通知、案内を自動発信

予約・受付の自動応対

来店予約、再配達受付などを自動化

◎IVRを導入するメリット

・業務効率化が可能
・顧客満足度の向上につながる
・機会損失を防止できる

◎IVRを導入するデメリット

・利用者の手間が増える
・離脱率が高くなる可能性がある
・シナリオ設計によっては顧客にストレスを与える

◎IVRの導入が向いているコンタクトセンター

・オペレーターの離職率が3割を超えている
・定型的な問い合わせが多い
・対応窓口が複数ある

◎IVRの導入が向いていないコンタクトセンター

・問い合わせ内容が複雑化しやすい

この記事が、業務効率化や顧客満足度向上につながるIVR導入の一助となれば幸いです。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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