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テキストマイニングとは?実現できることから活用のポイントまで解説

テキストマイニングとは、文章(テキスト)データから有益な情報を発掘する分析方法です。
インターネットやITが発達・普及している現代において文章データは

1.次期のマーケティングに活用する
2.業務改善や経営判断の指標とする
3.顧客との直接対応を支援する

といったように、顧客満足度の向上と業務改善につながることを行える貴重なものであるため、テキストマイニングを導入している企業は増えています。

テキストマイニングは、具体的には次の5つの活用シーンがあります。

1. 既存商材の改善
2. 将来見込みのある商材の企画
3. 最新のFAQの表示
4. チャットボットの精度向上
5. 顧客対応時のトラブル回避

ただし、テキストマイニングはポイントを踏まえて活用していかないと社内で所有している文章データを活かせず、無駄になってしまうため注意しなければなりません。

そこでこの記事では、以下の内容をまとめて説明していきます。

・テキストマイニングの概要
・テキストマイニングで実現できること
・テキストマイニングが活用シーン
・テキストマイニングのやり方〜ツールを使う方法〜
・テキストマイニングのやり方〜Excelを使う方法〜
・テキストマイニングの活用するときのポイント

この記事を読んでいただくと、テキストマイニングとは何か、テキストマイニングでどのようなことを実現できるのか、有効活用するには何をすべきかといったことをお分かりいただけます。

テキストマイニングについて詳しく知りたい方、テキストマイニングの導入を検討している方の参考になれば幸いです。

目次

1.テキストマイニングとは

テキストマイニングとは、文章(テキスト)データから、有益な情報を発掘するテキストデータの分析方法です。

社内で所有している分析したい文章のデータを集め、「自然言語処理」を使って単語や品詞を分割して可視化し、有益な情報を抽出します。抽出したデータは、さまざまな経営課題の発見や業務改善、マーケティング戦略等、企業にとって有益な情報として役立てることができます。

テキストマイニングは、手動でも行うことができますが、効果や精度の高さを求める場合は専門ツールを使うのが一般的です。現在日本では、さまざまなテキスト分析ツールが販売されていますが、分析ツールは、大きく分けると3つのタイプがあります。

分析手法

内容

形態素解析

単語頻度分析・単語相関分析

構文解析

単語&係受けの頻度・相関分析

関連語解析

単語相関を元に、文単位の相関分析

これらのテキスト分析ツールを使うことで、お客様の声を経営に活かす顧客志向経営を実現し、顧客満足度を向上させることができます。

2.テキストマイニングで実現できること3つ

企業戦略において、テキストマイニングは実際にどのように活用されているのでしょうか。
活用する場面を知ることで、自社でテキストマイニングを取り入れるイメージがしやすくなります。

テキストマイニングが活用される主要シーンは、主に以下の3つの場面です。

1.顧客との直接対応を支援する
2.業務改善や経営判断の指標とする
3.次期のマーケティングに活用する

2-1.顧客との直接対応を支援する

テキストマイニングをマーケティング戦略に活用している企業は多くあります。

テキストマイニングの分析結果は、コンタクトセンター(コールセンター)において、顧客との直接対応を支援する情報として活用されています。

最近では、多くの企業がコンタクトセンターを整備し、総合的な対応を推進してデータを統合し、分析・活用が容易になりました。

しかし、年々問い合わせ件数は増える一方なのが現状であり、これに対して「どのように効率化するか?」「どのように回答のレベルアップを図るか?」ひいては「どのように顧客満足度を上げるか?」ということが課題になっています。

これらの課題に対して、テキストマイニングを活用すると、以下のような3つの成果を上げることができます。

<テキストマイニング活用で期待できる成果>

1.【電話応対担当者の負担軽減】
過去のQ&Aデータを活用し、関連性の高いデータを提示し、回答効率とレベルアップを実現する

2.【コールセンター・コンタクトセンターの業務軽減】
FAQをWeb上で公開して、顧客が自分自身で問題を解決するように促す

3.【電子メール返信作業の軽減】
電子メールの問い合わせに対して、内容別に自動分類し、自動回答できるものは自動回答、それ以外は内容別に担当者に振り分ける

これらの活動は、顧客の生の声(VOC)を収集・分析し、これを経営に生かそうとする活動になります。

大量の顧客の声すなわち大量のテキスト情報をいかに迅速かつ的確に分析するか。
これが、最も重要なポイントになります。

2-2.業務改善や経営判断の指標とする

コンタクトセンターに寄せられる膨大な問い合わせを分析すると、顧客の要望や不満を把握することができ、業務改善や経営判断の指標とすることができます。

「どの商品のどの型番でどのような要望が集まっているのか?」
「そのクレームは増加しているのか?」

テキストマイニングの分析結果を活用すれば、このような質問に即答できるようになり、迅速に不具合に対応することで、機会損失を防止します。

また、これらの情報をマーケティング部門や商品開発部門、品質管理部門などと共有することで、実務知識として活用することが可能です。

実務知識を活用してレベルアップを推進することで、次期商品や次期マーケティング戦略立案にも役立てることができます。

2-3.次期のマーケティングに活用する

テキストマイニングを活用すれば、市場調査のアンケート分析をはじめ、自由記述式のアンケート結果などのデータを分析し、顧客の本音を効率的に引き出すことができます

その際、分析内容が重要で、単に意見を抽出するだけではなく、主要な意見と属性情報とのクロス分析を実施します。

例えば、「なぜこの空気清浄機を選んだのですか?」という問いに対する回答として、単に「デザインが可愛いから」という分析結果を出すのではなく、「20代女性の70%が、デザインが可愛いことを重視して選んでいる」という結果を得ることが重要になります。

また、一般企業において日々収集される営業日報の分析も、マーケティング戦略に活用できます。

さまざまなプロモーションの効果判定や営業マンを通した顧客の意見を分析することで、次期のマーケティング戦略を立てる際に、効果的な役割を果たすことができます。

3.テキストマイニングの活用シーン5つ

顧客満足度の向上と業務改善につながる有益な情報を知ることができるテキストマイニングは、具体的にどのようなシーンで活用できるのでしょうか?

テキストマイニングは、主に次の5つのシーンで活用できます。

1. 既存の商材の改善
2. 将来見込みのある商材の企画
3. 最新のFAQの表示
4. チャットボットの精度向上
5. 顧客対応時のトラブル回避

3-1.既存の商材の改善

既に展開している商材の課題を発見し、その課題を改善することが可能になります。

テキストマイニングの対象となる

・記述式アンケートの回答文
・Webサイトのレビューページ
・コンタクトセンター(コールセンター)におけるオペレーターと顧客とのやり取りの履歴
・Webサイト経由で送られた問い合わせ
・掲示板や口コミサイトの書き込み

といった文章化された顧客の声には、顧客のリアルな意見や要望であふれています。テキストマイニングでは、

この/商品/は/機能/が/多過ぎ/て/使い/づらい
機能/が/たくさん/あって/使い方/が/分から/ない

といったように文章データは単語や品詞に分割されますが、そこから「商材を利用している顧客が持つ不満や課題にはどのようなキーワードがあるのか」といったことが特定の分析方法によって分かるようになります。

上記で挙げた顧客の声の例のように「機能が多過ぎる」といったキーワードが多ければ、その商品に備わっている機能の数を見直すといったように、商材の改善策を考えることができるのです。

テキストマイニングは、既存の商材の顧客満足度を高めるためのアクションを早期に起こすことを可能にします。

3-2.将来見込みのある商材の企画

将来見込みのある商材を企画できるのも、テキストマイニングを行うと実現できることです。

3-1.既存の商材の改善」では、文章データをテキストマイニングすると既存の商材の課題を発見する有益な情報を得られると説明しましたが、同時に顧客のニーズも分かります。

この/商品/は/機能/が/多過ぎ/て/使い/づらい
機能/が/たくさん/あって/使い方/が/分から/ない

このような文章データ化された顧客の声からは「機能が多過ぎる」という課題だけでなく、「顧客はシンプルな機能を好む」というニーズも読み取れます。今後はシンプルな機能を搭載した商品を展開していくと良いのではという、今後売り上げにつながる商材の企画を立てることが可能になるのです。

新しい商材の企画はテキストマイニングを行わなくても立てられますが、将来見込みのある商材を展開するには顧客のニーズを把握することが欠かせません。

今後の売り上げに貢献できる商材のヒントを早期に得られるのがテキストマイニングなのです。

3-3.最新のFAQの表示

顧客満足度を向上させるため、自社の公式ページにFAQを載せている企業も多いのではないでしょうか。テキストマイニングを行えば、このFAQを効率的に更新することができます。

例えば、Webサイトに寄せられた問い合わせやコンタクトセンターにおけるオペレーターと顧客とのやり取りの履歴といった文章データ化した顧客の声をテキストマイニングすると、問い合わせをした顧客の感情や行動傾向が分かる単語を素早く抽出できます。

サービス/の/退会/方法/が/分から/ない
サービス/は/どのように/退会/すれ/ば/いい/の/です/か

このように「退会方法が分からない」といったキーワードが多いのであれば、FAQに退会方法を示す必要があることが分かります。つまり、顧客の声に応じて追加・更新する必要があるFAQを迅速に見つけだすことが可能になるのです。

テキストマイニングを利用しなくてもFAQにとって重要な項目を収集することは可能です。しかし、展開する商材が多数ある場合、顧客とのやり取りの履歴をもとにカウントしてFAQを更新していく作業は膨大な時間を要します。

テキストマイニングを行えば、顧客が抱える課題の解決に役立つFAQ構築を早期に実現可能にします。

3-4.チャットボットの精度向上

チャットボットの精度を向上できることも、テキストマイニングで実現できることの1つです。

チャットボットとは文章(テキスト)での問いかけに対し自動で回答するプログラムのことですが、問い合わせ対応の効率化と顧客満足度向上のため公式ページの問い合わせに導入している企業も多いのではないでしょうか。

チャットボットは、

1. 想定される顧客からの質問とその答えを登録する
2. 顧客とのチャット内容を学習させる

といった方法で回答の精度を上げていくのが基本ですが(チューニング)、時間を要するのが課題です。

しかし、このチューニング時にテキストマイニングを活用することができます。顧客がチャットボットに入力した文章データをテキストマイニングすると、チャットボットで課題解決できた内容、できなかった内容は何かといったことがすぐに分かります。

チャットボットに入力された内容が

サービス/の/退会/方法/が/分から/ない
サービス/は/どのように/退会/すれ/ば/いい/の/です/か

のように「退会方法が分からない」といったキーワードが多いのであれば、その結果をもとに質問と回答を作ることができます。チャットボットのチューニング時にその質問と回答を活用すれば、チャットボットの質も上がり、顧客満足度の向上につながることも期待できます。

テキストマイニングは、顧客満足度を高めるチャットボットを構築する手助けともなるのです。

3-5.顧客対応時のトラブル対策

テキストマイニングを行えば、顧客対応時のトラブル対策ができるようになります。

例えばコンタクトセンターにおけるオペレーターと顧客のやり取りの履歴をテキストマイニングしたとき、

・どのようなトラブルが多いか
・オペレーターがどのようにトラブルを対応したのか

といったことを定量的にテキストにして可視化できます。今後、同じようなトラブルが起きたときに他のオペレーターが対応できるような対策を考える際の材料となるのです。

テキストマイニングをしなくても顧客対応時のトラブルを回避する対策は考えられますが、テキストマイニングでは膨大な量の文章データを素早く分析して有益な情報を可視化できるため、大きなトラブルが起こる前に対策を考えることができるようになります。

顧客とのトラブルを避け、顧客満足度向上につなげられるのがテキストマイニングなのです。

4.テキストマイニングのやり方〜ツールを使う方法〜

テキストマイニングは、どのような手順で行うのでしょうか。基本的な流れは次の通りです。

テキストマイニングの基本的な流れ

テキストマイニングはツールを使って行うのが基本ですが、作業内容によっては上記の通り手動による作業が必要となります。

4-1.分析したい文章データを集める【手動】

テキストマイニングの基本的な流れ 分析したい文章データを集める【手動】

まず、テキストマイニングの対象として、分析する文章(テキスト)データを準備します。
この作業は、テキストマイニングの目的に合う文章データを集めることがポイントになります。

例えば、以下のように収集すると良いでしょう。

テキストマイニングの目的

集める文章データの例

既存顧客の意見を聞いて商材に反映させたい

・記述式のアンケート回答文
・コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられた問い合わせ履歴

将来見込みのある商材を企画する参考材料を集めたい

FAQを最新にしたい

コンタクトセンターやWebサイト経由など直近に寄せられた顧客からの問い合わせ

上記のようにテキストマイニングの目的を定めれば、どの文章データが必要なのかが明確になり、本当に必要とする有益な情報を得やすくなります。

何となく有益な情報を得られそうな文章データを集めてテキストマイニングを行っても、どの情報が自社にとって有益なのかが分かりにくくなり、せっかく集めた文章データを有効活用できなくなることは注意しなければなりません。

テキストマイニングの目的を明確にした上で、文章データを集めることは大切です。

4-2.文章データをAIの「自然言語処理」を使って単語や品詞に分割する【ツール】

テキストマイニングの基本的な流れ 文章データをAIの「自然言語処理」を使って単語や品詞に分割する【ツール】

テキストマイニングの対象とする文章データ準備したら、テキストマイニングツールに搭載されている辞書を整備していきます。

テキストマイニングツールでは文章データをAIの「自然言語処理」を使って単語や品詞に分割する事が一般的になりました。

テキストマイニングには

・同じ意味の文章をまとめることが難しい
・複数の意味にとれる単語を判別することも難しい

といった言葉の判別についての課題があります。辞書を整備することで表現が異なる言葉を同じ意味の言葉として認識させます(例:過去形「書いた」→ 現在形「書く」と同じ意味である など)

ただし、以下のような事例は分割できない場合が多いです。

・同じ表現をする言葉を別の意味の言葉として判別させる
(例:「辛い」→ 「からい」と「つらい」の意味がある など)

そのため、1つの言葉に1つの意味を設定する、つまり固有名詞登録という機能があるので、活用するとよいでしょう。

テキストマイニングの対象とする文章データを適切に分割するために、辞書機能の整備は重要です。

4-3.分割した単語を集計・分析し、グラフなどで可視化する【ツール】

テキストマイニングの基本的な流れ 分割した単語を集計・分析し、グラフなどで可視化する【ツール】

テキストマイニングツールに搭載されている辞書機能を整備したら、文章(テキスト)データを単語や品詞に分割していきます。

文章データの分割は「自然言語処理(人間が日常生活で使う言語をコンピュータが処理すること)」という方法で行われます。

テキストマイニングツールで行われる自然言語処理は、

1. 形態素解析による処理
2. 構文解析による処理

の2段階で行われることが多いです。それぞれの処理方法を見ていきましょう。

形態素解析による処理

形態素解析は、文章(テキスト)データを最小単位で分割することです。

形態素解析が
行われる前の文章

形態素解析が
行われた後の文章(例)

自然言語処理とは人間が日常生活で使う言語をコンピュータが処理することです

自然言語処理/とは/人間/が/日常生活/で/使う/言語/を/コンピュータ/が/処理/する/こと/です

上記を見てお分かりいただけるように、形態素解析が行われた後の文章は名詞や動詞、助詞といった品詞で分割されます。

通常、文章データは数で表して具体化できませんが、上記のような形態素解析による処理が行われれば、文章データを定量的に扱うことができるようになります。

構文解析による処理

形態素解析による処理が行われたら、構文解析が行われます。
構文解析というのは、形態素解析によって分割された単語と単語の、文法上の関係性を解析することです。

先ほど例として上げた形態素解析が行われた後の文章

自然言語処理/とは/人間/が/日常生活/で/使う/言語/を/コンピュータ/が/処理/する/こと/です

の中に出てくる「人間/が/日常生活/で/使う」というのは、「言語」を修飾しているということを整理するのが構文解析です。文章を構成している単語同士の関連性を自動で判別してくれます。

4-4.集計・分析結果から有益な情報を発掘する【手動】

テキストマイニングの基本的な流れ 集計・分析結果から有益な情報を発掘する【手動】

文章(テキスト)データの分割を行ったら、単語から有益な情報を発掘(マイニング)する作業をツールで行います。分割された単語から有益な情報を発掘する方法として代表的な手法を3つ紹介します。

1. 感情分析(センチメント分析)
2. 共起分析
3. 係り受け分析

上記の方法で発掘された有益な情報は可視化されて、視覚的に分かりやすく表示されます。それぞれの分析方法を見ていきましょう。

感情分析(センチメント分析)

感情分析はテキストマイニングで最も使われる方法で、感情情報を発掘するものです。単語となった文章(テキスト)データは、下記3つに分かれて評価されます。

【感情分析の評価例】

感情分析の評価

単語となった文章データ

肯定的(ポジティブ)

好き/楽しい/面白い など

中立的(ニュートラル)

肯定的あるいは否定的とも認識できない単語

否定的(ネガティブ)

嫌い/つまらない/飽きる など

感情分析では、特定のことに対して人がどのような気持ちを持ったのかが分かるため、主に以下のようなケースで活用できます。

テキストマイニングの目的

対象とする文章データの例

商材に対する顧客の本音を引き出し、商材の改善や将来見込みのある商材の企画につなげたい

・商材の公式ページに掲載のレビュー
・SNSの投稿文
・掲示板や口コミサイトの書き込み

コンタクトセンターに問い合わせをした顧客の感情から、オペレーターの電話対応向上につながる対策を考えたい(顧客対応時のトラブルを回避したい)

コンタクトセンターにおけるオペレーターと顧客とのやり取りの履歴

顧客が商材やサービスに抱いた率直な意見・評判を把握し、商材の課題改善や新商材の企画、業務改善に活かしたいときに適しているのが感情分析です。

実際に、トランスコスモスでは、コンタクトセンターにおいてVOCを自動でテキスト化、AIを活用した音声要約などを実現する「transpeech(トランスピーチ)」というツールを用意しています。

通話内容をテキストのデーターベースとして保有できるため、さまざまな解析をかけたり、特定キーワードで検索をかけたりすることが可能になります。

「transpeech(トランスピーチ)」では解析や特定キーワードの検索が可能

収集したVOCを解析し活用すれば、業績改善へと直結します。さらに商品の改良や新サービスの開発など、ビジネスの根幹に反映させることで、CXの質を高めていくことができます。

感情分析についてもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

共起分析

共起分析とは、1つの文章で一緒に使われる単語情報を発掘することです。

例えば、

・このパスタはボリュームが多過ぎて食べづらい
・量が多過ぎて食べきれないパスタ

といったレビューをテキストマインドすると、「パスタ」という商材名と一緒に「多過ぎる」といった単語が一緒に使われているという結果が表示されます。

この場合、パスタの量が多いと感じる顧客がいることが分かり、パスタの量を減らして食べやすくした方が良いのではと考えることができます。

つまり、共起分析は特定の商材に対して一緒に使われる単語を洗い出し、商材の課題を見つけて改善策を考えるヒントを得るときに適している方法になります。

また、顧客が抱える課題を見つけることもできるため、最新のFAQの表示やチャットボットの精度向上のための対策を考えるときにも活用できます。

係り受け分析

係り受け分析は、テキストマイニングでよく用いられる手法でもっともイメージがしやすい分析方法かもしれません。

主語―述語、連体修飾語―体言などの係り受け関係を解析することで話題から発見を抽出します。日本語表現の文節同士にある関係を、文法ルールや機械学習を取り入れたアルゴリズムに基づいて解析することで、複数の言葉の関係性を定量的に可視化します。

具体的には

「私/は/スポーツ/を/している/ときに/喉/が/乾く/と/水分/を/とる」

という自然語解析の結果に対し、「私」という主語が、どんな時に水分をとるのか、どんな行動をするのか、述語や修飾後と結びつきから分析をする方法です。

コンタクトセンター(コールセンター)の音声分析などで良く活用されます。

5.テキストマイニングのやり方〜Excelを使う方法〜

テキストマイニングは、専用のツールを利用して行うのが一般的ですが、やり方さえ押さえればExcelでも分析できます。

ただし、Excelの場合は、内容がシンプルなものに限定されること、関数などの知識がある程度必要であること、さらに効率的に行うには分析用のソフトが必要です。

Excelを使ってテキストマイニングを行う方法は、以下の3STEPです。

1.データを収集する
2.文章を単語化する
3.単語を集計する
4.ワードクラウドを作る

それぞれのSTEPについてお伝えします。

5-1.STEP1:データを収集する

はじめに、テキストマイニングの対象として、分析するデータを収集します。

Excelで分析するのであれば、記述式のアンケート回答文や電子メールなど、社内にある比較的規模の小さいデータ群の中から分析したいデータを集めましょう。

データを収集する際のポイントは、「テキストマイニングの目的に合ったデータを集める」ということです。
目的を定めれば、どの文章データが必要なのかが明確になり、有益な情報を得やすくなります。

5-2.STEP2:文章を単語化する

STEP2では、分析対象となる文章を一つひとつの単語に分けて分解します(形態要素分解)。
単語レベルで分解することで、単語の頻出度の測定が可能になります。

文章を分解する際は、「形態素解析エンジン」を用います。日本語を形態素解析できるエンジンを探し、インストールする準備が必要になるため注意しましょう。

ここで注意したいのが、「表記ゆれ」についてです。
「サーバー」と「サーバ」など、表記方法に複数の種類がある単語は、表記ゆれを修正する必要があります。

5-3.STEP3:単語を集計する

次に、分解した単語がどのくらい登場するかを集計します。
Excelで行うテキストマイニングを実施する際は、単語を指定して「COUNTTIF関数」を使用します。

ただし、アンケートの感想のような単語数が多い場合や、人によって表現が異なるようなデータの場合は、Excelの関数で集計することが難しく、集計しきれない可能性があります。

5-4.STEP4:ワードクラウドを作る

ワードクラウドとは、文章に出てくる単語を一覧で表示する機能です。
単語の出現度の高さを、文字の大きさや色に反映させて図解します。

Excelでワードクラウドを作る場合は、Excelと連動できる「ワードクラウドソフト」を利用する必要があります。
対象となる単語が多ければ多いほど、見応えがあり効果の高いワードクラウドができます。

6.テキストマイニングを活用するときのポイント

実際にテキストマイニングを行うときには、下記の5つのポイントを意識することが大切です。

1. テキストマイニングの目的を明確にする
2. テキストマイニングの知識を習得する
3. 辞書を定期的に更新する
4. 結果は他部署へ展開して共有する
5. PDCAサイクルを回す

これらを意識することで、テキストマイニングをマーケティングや業務改善のために有効活用できるようになります。

6-1.テキストマイニングの目的を明確にする

1つ目のポイントは、テキストマイニングの目的を明確にすることです。

テキストマイニングは、数値化することができない文章(テキスト)データを定量的に扱い、効果的なマーケティングや業務改善につながる有益な情報を得られる手段です。「何かしらの有益情報を得られるから、何かに役立つだろう」と漠然とした目的で導入しようとすると、

・どの文章データを収集すべきか
・得られた結果をどのように活用すれば良いか

といったことが分からず、テキストマイニングを導入しても有効活用できなくなることは注意しなければなりません。

テキストマイニングの目的を定めれば、収集すべき文章データを絞ることができ、結果をどのように活用すべきかという点も見えてきます。

【テキストマイニングの目的の例】

目的

集める文章データ

活用方法

既存顧客の意見を分析したい

・記述式のアンケート回答文
・コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられた問い合わせ履歴

商材の課題を改善させる対策のヒントとして活用する

2.テキストマイニングで実現できること3つ」を参考に、テキストマイニングで何を実現したいのか、行う目的を明確にしましょう。

6-2.テキストマイニングの知識を習得する

2つ目のポイントは、テキストマイニングの知識を習得しておくことです。

「テキストマイニングによる有益な情報の発掘は、ツールで自動的に行われるからそれほど知識がなくても問題ないのでは?」と思われる方もいるかもしれません。

しかし、テキストマイニングによって抽出された有益な情報をどう活かすかまでは、ツールは自動的に示してくれません。
テキストマイニングの知識がなければその結果をもとにして活用することは難しく、実施したテキストマイニングが無駄になってしまいます。

文章化された膨大な顧客の声や業務内容の中から有益な情報を抽出できるテキストマイニングを有効活用するためにも、テキストマイニングについて学習しておくことは非常に重要です。

6-3.辞書を定期的に更新する

3つ目のポイントは、テキストマイニングツールに搭載されている辞書を定期的に更新することです。

辞書はテキストマイニングの過程で、文章(テキスト)データを単語や品詞に分割する作業において重要な役割を果たします。辞書を更新して整備することにより、文章情報を適切に分割する精度が高まります。

「辞書を一度整備しておけば、問題ないのでは?」と思われるかもしれませんが、新しい商材を発表すれば既存の商材にはなかった顧客の声が出てきます。

この際、辞書を古い情報のままにしておいては、新しいテキストマイニングの精度が落ち、顧客の声から有益な情報は発掘できなくなるでしょう。

新商材の発表後など辞書を更新する頻度を決めて、常に精度を高めておきましょう。

6-4.結果は他部署へ展開して共有する

4つ目のポイントは、テキストマイニングの結果は他部署へ展開して共有することです。

テキストマイニングの結果は主にマーケティングで活用されますが、「2.テキストマイニングで実現できること3つ」でも説明した

・最新のFAQの表示
・チャットボットの精度向上
・顧客対応時のトラブル回避

のように、コンタクトセンター(コールセンター)やカスタマーサポートといった部署においても有効活用できるものになります。
関連する部署にも共有することで、その部署の業務改善につながり、結果として自社商材の顧客満足度も向上します。

テキストマイニングで得た結果は社内掲示板に載せたり回覧したりするなど共有する手段を決めて、共有すると良いでしょう。

6-5.PDCAサイクルを回す

5つ目のポイントは、テキストマイニングはPDCAサイクルを回して行っていくことです。

テキストマイニングを行うことで実現可能な下記5点は

1. 既存の商材の改善
2. 将来見込みのある商材の企画
3. 最新のFAQの表示
4. チャットボットの精度向上
5. 顧客対応時のトラブル回避

テキストマイニングを一度実施するだけで叶うわけではありません。

P(Plan)

テキストマイニングの目的を決める

D(Do)

テキストマイニングを実施する

C(Check)

テキストマイニングの結果をもとに課題の整理を行う

A(Act)

整理した課題を解決する対策を決めて実行する

PDCAサイクルを繰り返して行っていくことで、実現に近づきます。
特に顧客の声は、時間の経過によって変わっていくものです。ある特定の時期に集めた顧客の声をテキストマイニングしてその結果を施策に反映しても、顧客満足度を維持できません。

変化する顧客の声に応えるためにも、テキストマイニングはPDCAサイクルを回して行うことは非常に重要です。

7.コンタクトセンター(コールセンター)のVOC収集にはテキストマイニング

トランスコスモスでは、コンタクトセンターにおいて、顧客の声を自動でテキスト化、AIを活用した音声要約などを実現する「transpeech」というツールをご用意しております。

「transpeech」を導入することで、コンタクトセンターでのすべてのやりとりがテキストデータとして残されるので、オペレーターの判断で重要な情報を取りこぼしてしまうリスクがなくなりました。

また、人手を介することなくデータ化できるため、VOCの収集に関する現場の負荷が格段に軽減されました。

「transpeech」はインバウンドだけでなく、アウトバウンドにも活用でき、会話テキストを分析し、その傾向から勝ちパターンを導き出します。

「transpeech」のセールストーク解析

また、トランスコスモスの「VOC活用サービス」では、レトリバ社のYOSHINAというツールを活用しています。

YOSHINAは、VOCの分類・集計・発見をサポートするいわゆるテキストマイニングツールの一種ですが、大きな特徴として、「VOCの分類軸をAIが見つけて自動で分類してくれる」ことと、「結果が直感的に理解できて現場で運用できる」ことの2点が挙げられます。

このYOSHINAを活用することによって、データ分析の自動化と内製化が実現し、時間とコストを大きく削減することが可能になります。

VOC活用サービスについては、担当者が詳しく解説しています。是非こちらも参考にしてください。

VOC活用サービス

まとめ

テキストマイニングとは、文章(テキスト)データから有益な情報を発掘することです。

インターネットやITの発達・普及している現代において顧客満足度の向上と業務改善につながることを行える貴重なものであるため、テキストマイニングを導入している企業は増えています。

テキストマイニングが活用される主要なシーンは、次の5つです。

1. 既存の商材の改善
2. 将来見込みのある商材の企画
3. 最新のFAQの表示
4. チャットボットの精度向上
5. 顧客対応時のトラブル回避

テキストマイニングは、以下の5つを踏まえて活用していくことがポイントになります。

1. テキストマイニングの目的を明確にする
2. テキストマイニングの知識を習得する
3. 辞書を定期的に更新する
4. 結果は他部署へ展開して共有する
5. PDCAサイクルを回す

テキストマイニングはExcelでも手動で分析を行うことはできますが、効果や精度の高さを求める場合は専門ツールを使うのが一般的です。以下の流れで行われるのが基本です。

テキストマイニングを活用し、貴社のマーケティング施策や業務改善がうまく行われることを願っています。

トランスコスモスの音声認識ソリューション transpeech は、音声認識だけでなく
トークの自動応対チェック・Chat GPTを活用した対話要約AIなど自社開発機能を追加し、7つの機能へ進化
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