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BIツールの基礎ガイド|何ができる?選び方は?わかりやすく総解説

BIツールってどんなもの?何ができる?」
BIツールはどうやって選べばいい?」

BIツールについて、このような疑問をお持ちではありませんか?

BIツールとは、企業内外のデータを収集・分析・可視化して、ビジネス上の意思決定を助けるソフトウェアのことです。

BIツールの概要

BIツールは以下のように、主に「経営・マーケティング」「資源の管理」という2つの分野で有効活用できます。

BIツールの活用例

ただし、やみくもにBIツールを導入しても、思うような成果は得られません。「導入したものの使いこなせずに放置してしまう」といった事態になる可能性もゼロではないのです。

BIツールを効果的に活用するためには、BIツールの特性を理解し、導入目的を明確にした上で、自社に適した製品を選ぶことが必要になります。

そこでこの記事では、以下の内容について詳しく解説します。

▼BIツールとは
▼BIツールで解決できる企業の課題
▼BIツールでできること(BIツールの基本機能)
▼BIツールの具体的な活用例
▼BIツールのメリット・デメリット
▼BIツールの導入にあたって守るべきポイント
▼BIツールの選び方

この記事を読むことで、BIツールについての基本的な知識が一通り得られます。それによって、自社にBIツールを導入すべきかどうかが判断できるでしょう。また、製品をどのように選べばよいかということもわかるはずです。

データに基づいた判断によってビジネスを発展させていくための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。

目次 [非表示]

1.BIツールとは

まずは、 BI ツールとは何かということについて確認しましょう。この章では、BIツールを理解するために必要な以下の内容について解説します。

BIツールの言葉の定義
BIツールとExcelとの違い

1-1.BIツールとは|データを収集・分析・可視化してビジネス上の意思決定を助けるソフトウエア

BIツールとは、企業内外のデータを収集・分析・可視化してビジネス上の意思決定を助けるソフトウェアのことです。

BIツールの概要

そもそもBIとは「Business Intelligence」の略で、ビジネスの意思決定に関わる情報という意味です。優れたビジネスインテリジェンスを得るためには、必要なデータを集めて適切に分析し、そこから得られた知見を可視化する必要があります。

しかし、IT化が進んだ現代においては、企業が抱えるデータが量・種類ともに膨大になっているケースも少なくありません。

そのような状況の中で、データの収集・分析・可視化を手動で行うのは、かなり大変な作業になります。その作業を代行してくれるのが、BIツールなのです。

1-2.BIツールは大量のデータを高速処理できる・簡単にできる点でExcelとは異なる

BI ツールとExcelの大きな違いは、以下の2点です。

・大量のデータを高速処理できる
・関数や数式の入力不要で、簡単に加工済みのデータを参照できる

BIツールにはデータの容量制限がなく、大量のデータ処理を前提としたシステムが内蔵されています。また、データの収集と分析が自動化されているため、画面を開くだけで最新の結果を確認することができるのです。

他にも、BIツールがExcelに比べて得意なこととして、以下の点が挙げられます。

・多種多様なソースからデータを収集できる
・同時書き込みやリアルタイムの共有が可能
・データの転記が不要なためミスが起こりにくい

もちろんExcelでもデータの収集・分析・可視化を行うことはできますが、BIツールを活用するとより簡単かつスピーディな作業が可能になるというわけです。

2.BIツールは日本企業におけるデータ活用の大きな助けになる

近年、日本企業ではデータ活用が推進されています。BIツールは、データ活用を効果的かつ簡便に行ううえでとても役立ちます。

この章では、以下の内容について解説していきましょう。

・日本企業におけるデータ活用の現状
BIツールによって解決できる企業の課題

2-1.日本企業の大半は何らかのデータ活用を行っている

総務省の調査(2020)によると、データ活用を行っている企業の割合は、大企業で90.9%・中小企業で55.6に上ります。

データ活用を行っている企業の割合

出典:デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究(総務省)

さらに下図は企業が分析に活用しているデータの具体例を表しており、顧客データからGPS・気象データに至るまで、幅広い種類のデータが用いられていることがわかります。

企業が分析に活用しているデータの具体例

出典:デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究(総務省)

デジタルシフトが進む現代では、インターネットを介して多種多様なデータが集められています。人々のニーズを反映するこれらのデータを、ビジネスに活用しない手はありません。

このように日本企業の大半は、データ活用の重要性を認識して取り組みを行っているといえるため、BIツール活用の需要があるのです。

2-2.BIツールはデータ活用における企業の課題を解決する

 企業がデータ活用に取り組むうえでは、その推進を阻む課題が生じることも少なくありません。しかしBIツールは以下のような課題を解決し、データ活用の大きな助けになってくれます。

BIツールで解決できる企業の課題

・分析に必要なデータを漏れなく集めることができない
・データ分析の精度が低く、判断に活用できない
・データの収集や分析に時間がかかり、タイムリーに参照できない
・データ関連の業務負担が大きく、本来の業務が圧迫される
・データ活用に精通した人材がいない 

BI ツールを活用すると、分析に必要なデータを社内外から漏れなく集め、 正確な分析結果をスピーディに参照することができます。

また、専門的な知識がなくてもデータの分析や資料化ができるため、誰でも簡単にデータを活用することが可能になります。

その結果、データ活用に取り組むハードルが下がるとともに、効果を最大化することにもつながるというわけです。

3.【基本機能】 BIツールでできる主要な4つのこと

次に、BIツールで何ができるのかということを確認しておきましょう。 BIツールの主な基本機能には、以下の4つがあります。

BIツールの基本機能

それぞれの内容について、解説していきます。

3-1.レポーティング

BIツールの1つめの機能は、「レポーティング」です。データの分析結果をグラフや図表といった形式でわかりやすく表示する機能です。

文字通りレポートをファイルや紙として出力することもできますが、複数の分析結果を共有可能な画面で一覧表示する「ダッシュボード」機能を備えていることがほとんどです。

レポーティングの活用によって、タイムリーに現状が把握でき、問題があれば速やかに察知することが可能になります。

【レポーティング機能活用の具体例】

経営陣と管理職が売上や成約率の分析結果を共有画面でチェックし、数字が落ち込んでいる部署をその場で特定して、注意喚起する。

3-2.OLAP(オンライン分析処理)

BIツールの2つめの機能は、OLAP(オンライン分析処理)」です。OLAPとは「Online Analytical Processing」の略であり、蓄積されたデータをさまざまな角度から多次元的に解析する機能です。

※OLAPにおける「オンライン」とはネットワークにつながっていることではなく、リアルタイムに分析結果を返すことを意味します。

OLAPでは、地域や製品・顧客属性など複数の軸に対して、それぞれの傾向や関連性を見出せます。たとえばスーパーマーケットを例にとると、以下のようなことを把握できるのです。

・売上が伸びるのは何曜日の何時か
1年前と現在の売上はどのように違うか
・天気と来店者数に関連はあるか

OLAPの活用によって、ビジネスの状況をさまざまな観点から検討し、問題とその要因を的確に把握することが可能になります。

OLAP(オンライン分析処理)活用の具体例】

 売上の伸び率が高い商品と該当商品の販売実績が多い社員を特定し、その社員の営業手法を周知させる。

3-3.データマイニング

BIツールの3つめの機能は、「データマイニング」です。データマイニングとは、統計学や機械学習の手法によって、データの中から知見や法則を採掘(マイニング)する機能です。

具体的には、一見すると相関関係のないデータの中から、未知の関連性や傾向を導き出してくれるのです。

たとえばスーパーマーケットを例にとると、以下のようなことを把握できます。

・同時に購入されやすいのはどの商品とどの商品か
・上記の同時購入が起こりやすい時期や顧客層はどこか
・クーポンを配布した場合、どのくらいの顧客が利用しそうか

データマイニングの活用によって、ビジネスの活性化や問題解決についてのヒントを得ることが可能になります。

【データマイニング活用の具体例】 

顧客データや販売実績・曜日・時間帯・天候などを分析することで、「いつ、どんな商品が、どのような顧客に、どれくらい売れているか」を把握し、商品の仕入れを調整したりキャンペーンを行ったりする。

3-4.プランニング

BIツールの4つめの機能は、「プランニング」です。プランニングは、過去の実績を分析して予算や経営といった計画の根拠となる数値をシミュレーションする機能です。

実績に加えて、天候やキャンペーンなどの条件を加味して予測を立てられるツールも存在します。

プランニングの活用によって、精度の高い予測に基づいたビジネス計画を立てることが可能になります。

【プランニング活用の具体例】

過去の販売実績に加えて需要や為替の予測を行い、全体の利益がどうなるかをシミュレーションすることで、具体的な予算計画を検討する。

 4.BIツールの「経営・マーケティング」「資源の活用」における7つの活用例

BIツールがどのようなものかというイメージができたところで、具体的にはどう役立つのかを見てみましょう。

BIツールは主に「経営・マーケティング」「資源の管理」という2つの分野で有効活用できます。

BIツールの活用例

それぞれの詳しい内容について、解説していきます。

4-1.KPIを一元的に管理しスピーディな経営判断を行う

BIツールを活用すると、各部署のKPIを一元的に管理できるため、スピーディな経営判断が可能になります。

これは社内に複数存在するKPIそれぞれの報告を待つことなく、画面を開けばすぐに状況が把握できるからです。

たとえば、売上を伸ばすというKGIを達成するためには、商談数・WebサイトのCVR・欠品率など、さまざまなKPIの評価が必要になります。

これらのKPIは担当部署が異なるため、BIツールなしで全体像を把握しようとすると、それぞれの部署に報告を要請して取り纏めるという手順が発生し、時間がかかってしまいます。場合によっては、必要な対策が後手に回る恐れもあるでしょう。

一方BIツールがあれば、いつでも簡単に最新のデータを参照できるため、KPIの評価や修正といった判断を遅れずに行えるのです。

4-2.顧客ニーズを把握しマーケティング戦略を最適化する

BIツールを活用して顧客ニーズを把握し、マーケティング戦略を最適化することも可能です。

これはBIツールで顧客データ(属性・購入履歴など)やアンケート結果を分析すると、顧客が何を求めているかが見えてくるからです。また、SNS上のデータを加味することも可能です。

たとえば、特定の顧客層や地域で売れやすい商品や、顧客満足度の高い購入方法を特定し、重点的に施策を講じるということができます。

マーケティングの効果を最大化させるためには、顧客ニーズに応じた方法をとることが欠かせませんが、BIツールはそれをサポートしてくれるのです。

4-3.営業サポートによって効果と効率を上げる

BIツールは、営業業務をサポートし、効果と効率の向上につなげることもできます。

これは営業プロセスを可視化することで、質のばらつきをなくしたり、資料作成を簡略化したりすることが可能となるためです。

たとえば、最も商談成功率の高い営業マンの行動について、新規アポイント数や管理職との面談率・見積提出回数などを明らかにすれば、他の社員もそれを真似ることができます。

また、BIツール内のデータを営業用資料に加工することで、報告や提案のために一から資料を作成する手間を省くことができるのです。

このように、BIツールを活用すると営業業務の改善が可能になります。

4-4.ラインや品質を管理し生産性を向上させる

BIツールはものづくりの現場でも活用でき、ラインや品質を管理して生産性を向上させることに貢献します。

BIツールを活用すると、以下のようなことが可能になるからです。

・各工場や時間ごとの稼働状況をモニタリングする
・生産量や廃棄量の具体的数値をリアルタイムに把握する
・機械のトラブル発生場所や発生率における特徴を明らかにする
・品目ごとの品質検査結果を一元管理する
・不具合の実数や傾向を把握する

これらの実現によって、ベストな稼働状況やトラブル対処法、品質保持のために講じるべき具体策などについて、的確な判断ができるでしょう。

またその判断を迅速に重ねられるため、PDCAが高速化して生産性の向上につながります。

4-5.仕入れや在庫の状況を把握し適正量を保つ

BIツールによって仕入れや在庫の状況を把握し、適正量を保つことも実現できます。

これは各倉庫の入出庫状況をリアルタイムに把握したり、現在庫と適正在庫の相関を確認したりできるからです。

また、在庫管理が計画通りに進捗しているかどうか、そもそも適正在庫はいくつがベストなのか、といったこともわかります。

このように、BIツールを活用すると在庫管理の業務やコストを最適化することができます。

4-6.財務状況をリアルタイムで把握し会計処理の精度とスピードを上げる

BIツールを活用すると、自社の財務状況を正確かつリアルタイムに把握することができるため、会計処理の精度とスピードが上がります

これは予実対比や月次実績推移などあらゆる経費データについて、最新の検索結果をいつでも参照できるからです。また、収支分析や原価計算などの根拠に基づいた予算編成が可能になります。

このように、BIツールは会計業務の質と効率を上げることにも貢献してくれます。

4-7.人事データの可視化によって戦略的な労務管理を行う

BIツールによって人事データを可視化し、戦略的な労務管理に役立てることもできます。

BI ツールを活用すると、以下のようなことが可能になるからです。

・残業時間や休暇取得率などの勤怠状況を把握し、それに応じて業務量を調整する
・社員のスキルや経験を一覧化し、人事評価や育成計画に反映する
・勤務状況や従業員サーベイの結果から満足度を把握し、個々へのケアを最適化する 

これらの実現によって、最適な人材配置や育成・柔軟で満足度の高い労働環境が実現できるでしょう。

5.BIツールを活用するメリット

ここまでの解説でもBIツールの魅力に触れてきましたが、そのメリットをまとめてみましょう。

BIツールを活用するメリットには、以下のようなものがあります。

BIツールを活用するメリット

それぞれの内容について、解説していきます。

5-1.必要なデータを漏れなく簡単に収集できる

BIツールのメリットとしてまず挙げられるのは、社内システムを横断し必要なデータを漏れなく簡単に収集できるという点です。

なぜなら、顧客情報と購買情報など別々のシステム内に保管されているデータでも、BIツールと連携すればその全てをクリックするだけで参照・分析することができるからです。

今まで行っていた各システムから一つひとつデータを集める苦労や、収集から漏れて活用できないデータが生まれるといったことはなくなります。

5-2.データや分析結果より容易に現状を把握できる

データやその分析結果がわかりやすく可視化されるため、容易に現状把握ができるようになるというメリットもあります。

BIツールでは、データがグラフやチャートといった視認性の高い形で表示されます。問い合わせ内容の内訳を円グラフで表したり、顧客評価とVOC内容の関係を散布図で表したりすることができるのです。

そのため、今まで手間のかかっていた「今何が起きているか」を捉えるための労力が、羅列されたデータを眺めるよりも圧倒的に少なくて済みます。

5-3.効果的な施策のヒントを得て、適切な判断を迅速に行える

BIツールの分析結果から効果的な施策のヒントを得ることで、適切な判断を迅速に行えるという点も大きなメリットです。

BIツールの機能によって、問題の要因を特定したり、今後起こり得ることをシミュレーションしたりできるからです。つまり、対策すべき内容や効果的と思われるプランがデータに基づいて示されます。

たとえば、応答率が低下したのは何故かを明らかにし、FAQの追加を行った場合の問い合わせ数の変化や音声認識ツールを導入することによる対応時間の短縮などを予測することで、今後の施策をどう進めるかが判断しやすくなります。

「今どう行動すればよいか」という判断に費やす時間と労力を格段に減らせるでしょう。

5-4.レポートの自動化により正確な資料を手間なく共有できる

レポートの自動化によって、正確な資料を手間なく共有できるというメリットもあります。

BIツールでは、データやグラフをそのままレポートとして出力できるからです。もちろん、紙や各ファイルなど、目的に応じた形式に変換できます。

そればかりか、ツールにアクセスすれば誰もが閲覧できるため、資料の配布が不要となる場合もあるでしょう。

また、BIツールによるレポートには自動的に最新のデータが反映されるため、資料の数値ミスを防ぐこともできるのです。

今まで手間をかけていた、正確な資料をその都度一から作成するという大変さから解放されるでしょう。

5-5.社内の誰もがデータを活用できるようになる

初期設定さえ終えれば、運用上の操作に専門知識が必要ないため、社内の誰もがデータを活用できるようになるという点も見逃せないメリットです。

現在のBIツールには、取得したデータを活用するのにスクリプトを書いたり複雑な関数を組んだりといったスキルを必要とせず、誰でも直感的に操作しやすいセルフサービスBIといわれるものも多くなっています。

そのため、専門知識をもつ担当者に依頼することなく、それぞれが必要なときにいつでも自分でデータを閲覧したり分析を行ったりすることができるのです。

「いつでも誰でも手軽にできる」ということが、社内全体にデータ活用を浸透させることにつながるでしょう。

6.BIツールを導入するデメリット

一方で、BIツールを実際に導入するとなるとデメリットも存在しますので、確認しておきましょう。

BIツールを導入するデメリットには、以下のようなものがあります。

BIツールを購入するデメリット

それぞれの内容について、解説していきます。

6-1.事前準備に手間がかかる

まず挙げられるデメリットは、事前準備に手間がかかるということです。

5-5. 社内の誰もがデータを活用できるようになる」で述べたとおり専門知識が無くてもデータの活用は誰でも簡単にできますが、BIツールを機能させるためには、既存のデータベースとの連携・各種作業テーブルやレポートの定義など、事前に準備しなければならないことがたくさんあります。

これらの設定を確実に行うために、初期設定の時だけは情報システムに関する詳細な知識が必要になるのです。

この部分についてだけは誰でもすぐにできるわけではないという点が、BIツール導入にあたって最初の難関になるでしょう。

初期設定に不安がある場合には、導入サポートが手厚いベンダーを選ぶことをおすすめします。

また、BIツールは、ただ導入しただけでは効果を得られません。使う人たちがスムーズに対応できるようレポトや会議形式変更など業務プロセスの改善とスタッフ教育を継続的に行うことが求められます。

このような準備も含めて、導入・運営をどのように進めていくのかを事前に検討しましょう。

6-2.継続的にコストが発生する

BIツールを導入すると、継続的にコストが発生するというデメリットもあります。

料金は提供形態とライセンス体系・機能などによって異なり、無料で利用できるツールも存在しますが、多くの場合は導入費用に加えてランニングコストが発生します。

企業の財政状況に見合わないBIツールを導入してしまっては、支払いが困難になるほか、導入したものの使いこなせないということになり、無駄な投資になってしまいます。

導入するにあたっては、しっかりとコスト計画を立てた上で、自社にとっての費用対効果に優れたツールを選びましょう。

これらのポイントは、8.BIツールを選ぶときに検討するべき6つのことでも詳しく解説します。

7.BIツールの導入にあたって守るべき3つのポイント

BIツールのメリット・デメリットを踏まえて、導入してみたいという意思が固まった場合には、守るべきポイントをおさえておきましょう。

BIツールの導入にあたっては、以下3つのポイントを守ることが重要です。

BIツールの導入にあたって守るべき3つのポイント

それぞれの内容について、解説していきます。

7-1.導入の目的を明確にする

BIツールの導入にあたっては、その目的を明確にしておくことが欠かせません

目的が不明確なまま導入すると、「BIツールで何をするのか」が曖昧になり、その機能を十分に活用することができないからです。またそれ以前に、適切なツールを選ぶのも困難になります。

たとえば、「経営層が各部署の売上データから問題点を洗い出す」「マーケティング部門が顧客データから優良顧客を特定する」など、BIツールを用いて誰が何をするのかを事前に明らかにしましょう。

そして、その目的達成のためには本当にBIツールが必要なのかどうかを検討します。もし、いくつかのデータをまとめてグラフ化したいというだけなら、Excelで十分かもしれないのです。

7-2.運用のイメージを具体化しておく

BIツールの導入に先立って、運用のイメージを具体化しておくことも重要です。

「誰が何をするか」という目的に応じて、「いつどのように何をするか」という具体的な流れを決めておくと、そのために使いやすい初期設定をスムーズに行うことができるからです。

また、導入したもののどう使えばよいかわからず時間を無駄にしてしまう、といった事態を避けることもできます。

たとえば「経営層が各部署の売上データから問題点を洗い出す」ことが目的であれば、各部署でのデータ入力や、経営層によるチェックのタイミング・検討材料とする分析内容などをあらかじめ検討しておきましょう。

7-3.各部門からヒアリングを行う

BIツールの導入や選定にあたっては、各部門からヒアリングを行いましょう

関連する人員の間で導入目的や運用イメージが共通理解されていないと、適切なツールの選定や、効果的な運用が難しくなるからです。

たとえば、経営陣は売上チェックさえできればよいと考えていたとしても、現場レベルではそれぞれがアクセス権をもって資料作成を効率化したいというニーズの方が重要かもしれません。

総合的に考えて最適な導入を行うためには、社内で十分にコミュニケーションをとることが必要なのです。

8.BIツールを選ぶときに検討すべき6つのこと

最後に、BIツールの選び方をお伝えしておきます。BIツールを選ぶときには、以下6つのことを検討しましょう。

BIツールを選ぶときに検討すべき6つのこと

それぞれの内容について、解説していきます。

8-1.データの「収集」「分析」「可視化」のどこに重きをおくか

まずは、BIツールの仕組みであるデータの「収集」「分析」「可視化」のどこに重きをおくかを決めましょう。

製品によって、これらのうちどこに強みをもつかが異なるからです。

データの「収集」「分析」「可視化」の具体的な内容は、以下のようになります。

収集

既存の基幹系システムや業務アプリケーション内のデータをインプットして集約する。

BIツールへのデータのインプットは「ETLツール」と「DWH(データウェアハウス)」を介して行われる。

※ETLツール:各ソースからデータを抽出(Extract)し、用途に応じて変換・加工(Transform)した上で、格納先に送出(Load)するツール。
※DWH:ETLツールから受け取ったデータを目的別・時系列に保管するシステム。

ETLツールとDWHの機能を付帯したBIツールも存在するが、大量のデータを効率よく処理する性能を重視するなら、各機能に特化したツールをそれぞれ導入する方がよい。

分析

以下のような分析を行う。

OLAP:データをさまざまな角度から多次元的に解析する
・データマイニング:データの中から知見や法則を採掘する
・プランニング:計画の根拠となる数値をシミュレーションする

多くのツールでは基本的な統計手法がテンプレートで用意されているが、得たい分析結果に応じてカスタマイズすることもできる。

可視化

データやその分析結果をグラフ・図表といった形式でわかりやすく表示する。 

「ダッシュボードで共有する」「任意のファイルで出力する」という方法がある。対応するファイル形式を確認し、希望に合うものを選択する。

上記を踏まえて、たとえば以下のように選択するのがよいでしょう。

・複数のデータソースを統合し、気軽に閲覧できる環境を整えたい「収集」が得意なツール
・問題の発見や新たな知見の獲得につなげたい「分析」が得意なツール
・速やかな現状把握や、資料作成の負担軽減に役立てたい「可視化」が得意なツール

つまり、大切なのはやはり導入の目的を明確にすることだといえます。

8-2.操作性と分析レベルが運用イメージに合っているか

操作性と分析レベルが運用イメージに合っているかという点も重要です。

BIツールをどのように使いたいかということと、操作性・分析レベルにミスマッチがあると、こんなはずではなかったと後悔する可能性があるからです。

操作性と分析レベルは、誰でも扱いやすいオーソドックスなものから、ある程度のスキルを用いる高度なものまであります。

操作性

データの閲覧や分析を行うための操作には、以下のタイプがある。

・選択式:クリックやドラッグ&ドロップによって選択するだけでよい
・スクリプト式:スクリプト(SQL)の記述が必要

専門知識がなくても直感的に扱いたい場合には選択式を、自由度の高い細かな操作がしたい場合にはスクリプト式を選ぶ。

分析レベル

BIツールで使われる統計手法には、主に以下のようなものがある。

・予実分析:予算(目標)と実績を比較する
ABC分析:商品を売上や在庫などによってランク付けする
・アソシエーション分析:2つの条件の関連性と信頼度を推測する 
・デシル分析:顧客を購入金額の高い順にランク付けする 
RFM分析:Recency(最終購入日)・Frequency(購入頻度)・Monetary(累計購入金額)の切り口で顧客を分類する 
・クロス集計:全体のデータを複数の属性に分けて集計・分析する
・クラスター分析:サンプルを類似性に基づいてグルーピングする 

導入目的に見合った分析ができるツールを選ぶ。

たとえば、うまく使いこなせるように簡単な操作のツールを選んだものの、求める分析ができなかったとなれば、本末転倒です。

導入目的に照らして、操作性と分析レベルのバランスがとれたツールを選びましょう。

8-3.既存のシステムと連携できるか

データソースとなる既存のシステムと連携できるかどうかも、重要なチェックポイントです。

既存のシステムとうまく連携できなければ、BIツールのデータを収集・分析・可視化するという仕組みは、どれも成立しないからです。

そのため、事前にベンダーに確認し、導入したいツールと既存システムの相性を見極めることが大切です。

8-4.希望する提供形態があるか

BIツールの提供形態には「オンプレミス型」と「クラウド型」があります。自社の状況に合う方を選びましょう。

それぞれの特徴を踏まえて選択することが、運用やコストの最適化につながります。

提供形態

オンプレミス型

クラウド型

特徴

自社が保有しているサーバ内にシステムを構築して利用する。

インターネット上で利用する。

メリット

柔軟にカスタマイズでき、自社のセキュリティレベルを担保できる。

サーバ構築が不要なため、オンプレミス型よりも短期間・低コストで導入できる。

デメリット

クラウド型よりも初期費用が高くなる。
導入や管理に手間がかかる。

カスタマイズが難しい場合がある。

またクラウド型では、スマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスに対応しているものもあります。

8-5.導入実績や事例は十分か

導入実績や事例は十分かという点も、しっかりと事前にチェックしておくことが重要です。

これまでに導入した数や成功例が多いという事実は、信頼できるBIツールだという判断材料になるからです。

特に、自社と似たような課題を解決していることがわかれば、適性の高いツールである可能性があると判断できます。

まずはツールのサービスサイトを見て、事例紹介や顧客の声を確認しましょう。情報が足りなければ、ベンダーに問い合わせるという方法もあるので、試してみましょう。

8-6.サポート体制が充実しているか

サポート体制が充実しているかどうかも、外せないポイントです。

BIツールの導入時には、設定や操作方法などでサポートを必要とする場面が多くなります。また運用中も、トラブルが起きたとき速やかに対応してもらえれば、ビジネスの流れがストップすることを防げるでしょう。

中には、初心者に対するレクチャーや、目的設定からPDCAまでのトータルサポートを提供しているベンダーもあります。

自社の準備状況に応じて、必要十分なサポートをしてくれるツールを選ぶと安心です。

9.コンタクトセンター(コールセンター)のBIツールなら「Insight BI」

コンタクトセンター(コールセンター)でBIツールを活用したいというご希望がある場合には、ぜひInsight BIをご検討ください。

Insight BI」とは、各チャネルのデータを統合し、顧客コミュニケーション成功のための施策を見出すBIツールです。

Insight BIの概要

Insight BI」を導入すると、DXCX推進における課題を一つひとつ捉え、解決していくことが可能になります。

なぜなら、「Insight BI」によってDXCX推進のために取り組むべき領域が可視化され、統合データ・レポートをいつでも確認できるため、全体最適視点で説得力のある施策を実行できるからです。

たとえば、「コール量が多いカテゴリでFAQPV数が少ない」という状況を発見し、FAQの内容を充実させる、SEO対策によってアクセス数を増やすなどの呼減施策を行うといったことが可能になります。

「Insight BI」の詳細についてはこちらからご確認ください

まとめ

BIツールとは、企業内外のデータを収集・分析・可視化してビジネス上の意思決定を助けるソフトウェアのことです。

BIツールの概要

BIツールは、以下のような課題を解決することで、データ活用の大きな助けになってくれます。

BIツールで解決できる企業の課題

・分析に必要なデータを漏れなく集めることができない
・データ分析の精度が低く、判断に活用できない
・データの収集や分析に時間がかかり、タイムリーに参照できない
・データ関連の業務負担が大きく、本来の業務が圧迫される
・データ活用に精通した人材がいない 

 BIツールの主な基本機能には、以下の4つがあります。

BIツールの基本機能

BIツールは主に「経営・マーケティング」「資源の管理」という2つの分野で有効活用できます。

BIツールの活用例

BIツールを活用するメリットには、以下のようなものがあります。

BIツールを活用するメリット

一方で、BIツールを導入するデメリットには、以下のようなものがあります。

BIツールを購入するデメリット

BIツールの導入にあたっては、以下3つのポイントを守ることが重要です。

BIツールの導入にあたって守るべき3つのポイント

BIツールを選ぶときには、以下6つのことを検討しましょう。

BIツールを選ぶときに検討すべき6つのこと

BIツールを活用すると、根拠とスピード感のあるビジネス上の意思決定を行うことが可能になります。そのためには、自社の状況に適したツールを選ぶことが欠かせません。

BIツール導入にあたっての入念な検討に、この記事が役立つことを願っています。

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