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CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは?重要性と施策を解説


CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、
顧客が商品やサービスと接触し興味を持った時点から、購入して利用し続けるまでのすべての企業との接点 (顧客接点、タッチポイントと呼ぶ)において、顧客が体験する驚きや楽しさ、快適さなどの付加価値のことです。顧客体験・顧客体験価値や顧客経験価値と呼ばれることもあります。

CX(カスタマー・エクスペリエンス)についての説明

従来は、商品やサービスの価格や機能などの合理的な価値だけでも差別化を図ることができました。しかし、市場が成熟したことで似通った商品やサービスが溢れ、合理的な価値だけでは差別化が難しくなりました。そこで、重要視されるようになったのがCXです。

企業やブランドと顧客が接点を持ち、一連の購買行動に感情的な価値を与えることがこれからの営業活動やサービス提供では欠かせません。

そこでこの記事では、CXの概要や重要性、CXを向上させるための方法を具体的に解説していきます。

◎CXとは
◎CXが重要視される3つの理由
◎CXを測定する2つの方法
◎CXを向上させる4つのステップ
◎CXを向上させるための具体的な3つの施策
◎コンタクトセンター(コールセンター)でCXを向上させるための3つのポイント

この記事を最後まで読めばCXの重要性が把握でき、営業活動やサービス提供に取り入れられるようになるはずです。CXの向上は顧客満足度の向上やロイヤルカスタマー獲得にも直結するため、ぜひ参考にしてみてください。

 

1.CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは

冒頭でも述べたようにCX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、顧客が商品やサービスと接触し興味を持った時点から、購入して利用し続けるまでのすべての企業との接点において、顧客が体験する付加価値のことです。顧客体験・顧客体験価値や顧客経験価値と呼ばれることもあります。

従来は商品やサービスの価格や性能、使いやすさなど商品やサービスそのものが与える合理的な価値が重要視されていました。しかし、商品やサービスが溢れた現在では、合理的な価値だけでは自社の強みや特徴をアピールすることが難しくなってきました。

そこで、企業やブランドと顧客が接点を持ち一連の購買行動に感情的な価値を与えるCXが注目されるようになったのです。

CXでは、下記の5つの感情的な価値があると定義されています。この5つの価値は、CXの生みの親であるバーンド・H.シュミット氏が唱えたものです。

5つの感情的(心理的)な価値

Sence
感覚的提供価値

五感を通じて顧客が体験する価値
例:心地いい音楽と香りにこだわり顧客が居心地のいいと感じる空間を作る

Feel
情緒的提供価値

顧客の感情や内面に訴えかける価値
例:丁寧な接客やサプライズなどワンランク上の接客を行う

Think
知的提供価値

顧客の創造性や知的欲求を満たす価値
例:商品やサービスに関するプラスアルファの情報を発信する

Act
行動、ライフスタイル全般の
提供価値

顧客が体験したことのない新たな体験やライフスタイルを提供する
例:新商品の体験会を開催する

Relate
社会的提供価値

特定の集団やコミュニティに属する特別感や優越感を与える価値
例:ロイヤルカスタマー向けのサービスやコミュニティを構築する

たとえば、飲食店がただ料理を提供するのではなく、照明の明るさや香り、音楽にこだわることで感覚的提供価値を提供することになります。

また、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)が顧客の要望を聞くだけでなく「いつもありがとうございます」「貴重なご意見ありがとうございます」など一言添えて顧客の気持ちに寄り添うことで、情緒的提供価値が提供できます。

このように、ただ商品やサービスを提供するのではなく、顧客の感情が揺れ動く価値を提供することがCXの特徴です。

 

2.CXが重要視される3つの理由

昨今、CXが重要視されるようになった理由として次の3つが挙げられます。

・商品やサービスだけでは差別化しにくくなった
・顧客との接点が多様化・複雑化した
・顧客側の発信力が増加した

CXを理解するうえで重要な部分なので、ぜひチェックしてみましょう。

 

2-1.商品やサービスだけでは差別化しにくくなった

1つ目は商品やサービスが溢れるようになり、機能や価格だけで充分な差別化が難しくなったことです。さまざまな技術の発達とともに、日本の市場は成熟化が進んでいます。

成熟した市場には似通った商品やサービスが溢れているため、今まで価値のあったものでさえ一般的な価格でしか購入してもらえなくなります。そうなると、価格や機能など商品やサービスそのものの合理的な価値だけでは生き残れなくなるのです。

CXを取り入れると商品やサービスの合理的な価値にプラスして、感情的な価値を提供できます。

CXを取り入れるとプラスでできる価値提供についての説明図

たとえば、自動車の購入を検討する際に同価格、同じような機能、デザインの車種は多く存在します。この状態では、顧客に選んでもらうための圧倒的な差別化が難しいでしょう。

担当者の丁寧な対応や試乗の体験などのCXをプラスすると、他にはない体験や感動を経験できます。その結果、他社との差別化ができ選ばれるようになるのです。商品やサービスだけでは差別化が難しい時代だからこそ、CXに取り組む価値があると言えるでしょう。

 

2-2.顧客との接点が多様化・複雑化した

2つ目は、顧客との接点が多様化、複雑化していることです。以前は店舗や通信販売など、顧客の購買ルートはある程度限定されていました。同時に顧客との接点も店舗での接客や電話やメールでのやり取りなど限定されており、その接点さえ押さえれば顧客や利益の獲得ができる状態でした。

しかし、今はインターネットやスマートフォンの普及により、SNSやネットショップなど多彩な接点が生まれています。限定された接点のみに注力していては、顧客を逃してしまうのです。企業やブランド側も多様な接点を活用して、顧客に新たな価値を提供する必要があります。

たとえば、アパレルショップの場合は、今までのように店舗での販売だけに注力しているとネットショップ経由やSNS経由での顧客を逃す可能性があります。ネットショップではチャットによるフォローを、SNSでは顧客の問い合わせへの応対などそれぞれの接点でストレスのない対応をすると、新たな顧客を取り込めるでしょう。

 

2-3.顧客側の発信力が増加した

3つ目はSNSやインターネットの普及により、顧客側の発信力が増したことです。SNSやインターネット上のコミュニティで、商品やサービスへの口コミがどんどん拡散されていきます。いい口コミならプラスに作用しますが、悪い口コミが広がると想像以上のダメージを受ける可能性があります。

トランスコスモスが実施した「消費者と企業の コミュニケーション実態調査2021」では、SNS上の不満の声が購入の躊躇、取りやめにつながっていることが分かりました。同一企業の別商品の購入を考え直すケースもあり、顧客側の発信力を軽視できません。

SNS上の不満の声を見た見込み客の行動のデータグラフ

顧客の発信力を有効活用するには、CXを取り入れて思わず共有したくなる経験を提供することが得策です。たとえば、誕生日にホテルに宿泊した際、室内にサプライズの花束と手紙が置かれていたら思わず共有したくなるでしょう。

SNSなどにアップされた写真を見た他のユーザーは「行ってみたい」「素晴らしい」など、ホテルに対してプラスの感情を抱きます。このように、顧客側にも発信力があるからこそ、感情に訴えかける体験の提供が欠かせない時代となったのです。

 

3.CXを測定する方法

自社のCXの現状を可視化する方法は、NPS (ネットプロモータースコア)やCES(カスタマーエフォートスコア)、Webサイトの平均ページビュー数、顧客獲得率、解約率、LTVなどがあります。

この章ではNPSとCESについて詳しく見ていきましょう。

CX (カスタマーエクスペリエンス)は、「顧客ロイヤルティ」と相関しており、これは商品やサービスの合理的満足度だけでなく、商品やサービスを「知人や周囲へ推薦したいか、否か」といった支持レベルの感情的満足度を目標とした指標です。

NPS
ネットプロモータースコア

顧客ロイヤルティを数値化するための指標

CES
カスタマーエフォートスコア

サービスを利用する際に顧客がどれくらいストレスや手間を感じたのか示す指標

それぞれどのように算出をするのか、参考にしてみてください。

 

3-1.NPS(ネットプロモータースコア)

NPS(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤルティを数値化するための指標です。企業やブランド、サービスへの信頼や愛着を可視化し、潜在的な満足度を把握するために使用します。

NPSの調査方法は、「このサービスを知人や友人にどれくらい勧めたいですか?」など推奨度を測る質問に答えてもらうだけです。10段階評価で回答してもらい0~6は「批判者」、7と8は「中立者」、9と10は「推奨者」と分類します。

NPS(ネットプロモータースコア)の調査方法と分類の図

分類が終わったら、下記の数式に当てはめてNPSを算出します。

推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)=NPS

例えば、推奨者が60%で批判者が30%だった場合は、60% - 30% =30となり、30がNPSスコアです。顧客推奨度は最高で100となり最低は-100となるため、100に近いほどNPSが高いと言えます。

NPSが高いと企業やブランドの価値観、サービスに共感している顧客が多いことになります。現状を把握してCXの施策を検討するために、定期的に測定してみましょう。

NPSのメリットやデメリット、詳しい分析方法は下記の記事で解説しています。

 

3-2.CES(カスタマーエフォートスコア)

CES(カスタマーエフォートスコア)は、顧客がサービスを利用する際にどれくらいストレスや手間を感じたのか示す指標です。日本語では、顧客努力指標と訳されます。

CESの調査方法は「サービスの利用に手間がかかりましたか?」「サービスの利用にストレスを感じましたか?」など、顧客がどれほど努力が必要だったか測定できる質問に回答してもらいます。

7段階で評価を行い6〜7点と回答した顧客の割合から、1〜3点と回答した顧客の割合を差し引いて計算します。例えば、6~7点と回答した顧客が50%で1~3点だと回答した顧客が30%だった場合は、50% - 30% =20となり、20がCESスコアです。

CESは低ければ低いほどサービス利用に顧客の手間がかからないことになり、ストレスの少ないCXを提供できていると判断できます。

 

4.CXを向上させるための4つのステップ

CXを可視化してみると、もう少しCXを向上させたいと感じる方は多いのではないでしょうか。CXを向上させるには、下記の4つのステップを実施するといいでしょう。

 

CXを向上させるための4つのステップの流れの説明

それぞれのステップでのポイントを細かく解説していくので、ぜひ実践してみましょう。

4-1.カスタマージャーニーマップを作成する

まずは、カスタマージャーニーマップを作成します。

カスタマージャーニーマップとは、顧客の購買行動を旅に例えたマップです。下記のように顧客との購買行動を時系列にまとめながら、それぞれの接点ごとの顧客の感情や行動を整理します。

カスタマージャーニーマップの図

顧客との接点と感情、行動を可視化できるため、どのフェーズでどのようなCXを実施するべきか施策するときに役立ちます。

カスタマージャーニーマップは、下記の手順で作成するといいでしょう。

①ペルソナを設定する
自社の商品やサービスを購入する標準的顧客モデルペルソナを設定します。年齢や性別、趣味や仕事などできる限り細かく設定しましょう。ペルソナを設定する際のポイントは、企業側の理想ではなく実際に商品やサービスを購入している顧客をモデルにすることです。

理想の人物像でペルソナを設定してしまうと現状と乖離したカスタマージャーニーマップに仕上がります。蓄積した顧客データやアンケートを参考に、現状に近いリアルなペルソナを設定してみてください。

②顧客の行動を設定する
続いて、ペルソナが実際に商品やサービスを購入する際に、どのような行動を辿るのか明確にします。商品やサービスを認知してから購入に至るまでの行動を細かく分析してみましょう。

③顧客との接点を明確にする
顧客の行動を基に、顧客と商品やサービスの接点を抽出していきます。例えば、商品やサービスを認知するのはSNSや広告が中心の場合は、認知のフェーズでの接点はSNSと広告になります。接点を抽出する際も理想ではなく、顧客のリアルな行動を基に分析することが大切です。

④顧客の感情や思考を記入する
最後に、カスタマージャーニーマップの各過程で顧客がどのような感情や思考を抱いているのか記入します。顧客の感情の揺れや高ぶりを把握することで、効果的なCXの施策が検討できます。

カスタマージャーニーマップが完成したら、次のステップへと進みます。カスタマージャーニーマップの詳しい作成方法は、下記の記事も参考にしてみてください。

 

4-2.顧客との接点を軸に課題を見つける

カスタマージャーニーマップで明確になった顧客との接点を軸に、現状の課題を見つけます。例えば、商品やサービスを購入するフェーズでは、インターネットと店舗が接点となっていたとしましょう。

店舗での接客サービスはあるもののインターネットではサイズや色、素材が分かりにくいと購入まで及びません。インターネット経由でも顧客が商品やサービスが購入しやすくなる工夫が必要です。

また、他の商品との比較のフェーズでは、実際の使い心地が知りたくて口コミを検索しているケースもあるでしょう。このフェーズで体験会や商品説明会などの接点を作れば、顧客の不安を解消できるはずです。

このように、接点ごとに顧客の悩みやストレスの原因となっている課題を明確にしていきます。

 

4-3.課題を解決するための具体的な施策を考える

接点ごとの課題が分かったところで、CXが向上する施策を考えます。

例えば、商品やサービスの購入段階で店舗だけでなくネットショップの接点がある場合は、ネットショップ上にチャットを設置し常にサポートができる状態にするとCXが向上します。

CXの施策は「1.CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは」で解説をした5つの体験回を基準に考えると、多彩な施策が浮かびやすくなります。

また施策の実行にあたっては、その効果を測る指標とともに、数値目標を設定しておきましょう。CXを測定する指標については「3.CXを測定する方法」を参考にしてください。

 

4-4.PDCAサイクルを繰り返す

CXを向上させる施策を実践したら、終わりではありません。施策の効果を分析して、次の施策へと活かす必要があります。

カスタマージャーニーマップの作成を含めPDCAサイクルを回して改善を繰り返すと、顧客満足度の高いCXを実現できるようになります。

CXは一度実施したら終わりではなく、顧客の心情や顧客との接点、環境や時代の変化に応じて柔軟に対応していく必要があります。今回ご紹介した4つのステップを繰り返して、常に質の高いCXを提供できるようにしましょう。

 

5.CXを向上させるための具体的な3つの施策

ここからは、トランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」をもとに、実際にコンタクトセンター(コールセンター)でCXが向上した施策をご紹介します。

CXは重要だとは分かっていても具体的な施策が分からない方は多いかと思うので、ぜひ参考にしてみてください。

 

5-1.スムーズな問題解決ができる導線設計

顧客は問題解決時に、素早く手間のかからない対応を求めています。問題解決時のCXが向上するいい体験としては「素早く解決できる」が1位となっています。

問題解決時のいい体験問題解決時の悪い体験
1位

素早く解決できる

転送・たらい回しにあう

2位

1回の問合せで解決できる

横柄・態度が悪い

3位

説明が分かりやすい

何度も問合せが必要になる

インターネットが普及した現在では、顧客の問題解決はWeb上での検索から始まることが多いです。

そのため、検索結果表示画面から直接FAQに移動できる機能が求められています。

検索結果表示画面から直接FAQに移動できる機能を利用希望者のアンケート結果

実際にSEO対策済みのFAQへと改変したことで、FAQへのアクセスが倍増し顧客の利便性も向上した事例もあります。顧客が問題解決時にまず利用するFAQを見直すことは、CX向上の第一歩となるでしょう。

FAQの改善方法や手順は下記で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

 

5-2.オムニチャネルを活用したハイブリッドサポート

続いての施策は、オムニチャネルを活用したハイブリッドサポートです。

昨今のコンタクトセンター(コールセンター)では顧客との多様な接点を活かすために、電話だけでなくチャットボットやチャット、メールなどの他チャネルを活用しています。

顧客はチャネル同士のスムーズな連携を望んでおり、チャットボットで問題解決ができなかった場合は有人対応のチャットの利用を望む声が90.6%と非常に高くなっています。

オムニチャネルを活用したハイブリッドサポートの説明図

また、他チャネルに連携した際には同じ説明を行うことに負担を感じている消費者が多く、データ連携機能を望む声も82.6%と高くなっています。

そのため、CXを向上させるには、消費者が負担を感じにくいスムーズな他チャネル連携を検討することが必要です。

例えば、チャットボットを活用する場合は電話やチャットへと連携できるボタンを設けるなど、一つのチャネルで問題解決ができなったときを想定した施策を検討してみてください。

チャットボットやチャットについてより詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

 

5-3.顧客との接点を積極的に創出するアクティブサポート

SNSやWebサイトが顧客との接点になっている場合は、顧客の声に反応するアクティブサポートも有効な施策です。

アクティブサポートを行うとメッセージを受け取った本人が好印象を受けるのはもちろんのこと、アクティブサポートを見た第三者も好印象を持つことが分かっています。

顧客との接点を積極的に創出するアクティブサポートでできることの解説

例えば、消費者がSNSで「この商品が良かった」と共有していた場合は、投稿に対して「ご利用ありがとうございます。」などのコメントを返答します。コメントを受け取った消費者は好印象を持ち、この投稿をみた第三者も企業やブランドに好印象を持つのです。

アクティブサポートをすると消費者とのコミュニケーションそのものがCXの向上となり、好印象の輪が広がっていきます。

アクティブサポートについて詳しく知りたい方は以下の記事も参考にしてください。

 

6.コンタクトセンター(コールセンター)でCXを向上させるための3つのポイント

最後に、コンタクトセンター(コールセンター)でCXを向上させるためのポイントをご紹介します。昨今のコンタクトセンター運営には欠かせないポイントとなるため、ぜひチェックしておきましょう。

 

6-1.オムニチャネルを導入し顧客と多彩な接点を持つ

顧客との接点を増やし有効活用するためには、オムニチャネルの導入が欠かせませんオムニチャネルとは複数のチャネルを活用し、シームレスなCXを提供する手法です。

例えば、コンタクトセンター(コールセンター)への問い合わせ方法が電話しかない場合、架電が集中しあふれ呼が発生しやすくなります。顧客の待機時間や問題解決までの時間が長くなりCXが低下するでしょう。

それだけでなく、電話に抵抗がある顧客やコンタクトセンターの営業時間内に問い合わせが難しい顧客はなかなか利用できず接点が生み出せません。

オムニチャネルを導入すれば、スマートフォンやパソコン、電話など顧客が使いやすいデバイスから問い合わせができるため、顧客との接点が増やせます。

5-2.オムニチャネルを活用したハイブリッドサポート」でも解説したように、チャネル同士の連携を図ればスムーズな問題解決ができ、CXの向上が実現できます。

 

6-2.パーソナライズ化して顧客に寄り添う

価値観が多様化した現在では、均一化されたサービスやサポートの提供だけではCXの向上が見込めません。顧客一人一人の要望や願望を踏まえ、サービスやサポートを提供する工夫が必要です。

例えば、消費者のデータを蓄積し架電があった際に過去のデータを基に対応できればプラスアルファの価値が提供できるでしょう。リピーターの場合は「〇〇〇様(お客様のお名前)、先日ご購入いただいた〇〇〇(商品)はいかがでしたか?」などの一言を添えるだけでも、他の消費者と差別化をした特別な体験ができます。

また、過去のデータと照らし合わせて商品やサービス、特典の案内をすることもパーソナライズ化につながります。コンタクトセンターは運営をしていくことで、データの蓄積ができます。データを有効活用して、一人一人に寄り添う応対ができればCXの向上が見込めるでしょう。

6-3.CXマネジメントの実施

CXの向上は、管理者や一部のオペレーターだけでは実現できません。コンタクトセンター(コールセンター)全体で同じ意識を持ち取り組むためにも、CXマネジメントを実施しましょう。

・CXの目的や目標
・CXを向上させるためのオペレーション
・消費者からのフィードバック

などを共有して、なぜCXが重要なのか把握したうえで業務に取り組むことが大切です。余力がある場合は、CXの向上を目指すための研修やフィードバックを実施すると、オペレーター一人一人が消費者にワンランク上のサービスを目指せます。

Cotraでは「CX向上・DX推進」に注力したい方向けに、これからのコンタクトセンターのあり方について、コンテンツをご用意しております。

またCXを起点に、DXの重要要素となる“顧客接点”に関する取り組みを評価、診断。今後のDX戦略におけるロードマップ策定を強力に支援するサービスも提供しております。

くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。

 

まとめ

いかがでしたか?CXの概要や重要性、取り組み方が把握でき、CXの向上が目指せるようになったかと思います。最後にこの記事の内容をまとめてみると

 

〇CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、
顧客が商品やサービスを認知し購入、使用する過程での体験価値のこと

 

〇CXが重要視される理由は次の3つ

1)商品やサービスが持つ合理的な価値だけでは差別化しにくくなった
2)顧客との接点が多様化・複雑化したためそれに合わせたサポートやサービスが必要となった
3)顧客側の発信力が増したので好印象を共有してもらう取り組みが必要となった

 

〇CXの現状を可視化する評価方法

1)NPS(ネットプロモータースコア):顧客ロイヤルティを数値化するための指標
2)CES(カスタマーエフォートスコア):サービスを利用する際に顧客がどれくらいストレスや手間を感じたのか示す指標

 

〇CXを向上させるためのステップは次のとおり

1)カスタマージャーニーマップを作成する
2)顧客との接点を軸に課題を抽出する
3)CXを向上させるための具体的な施策を考える
4)施策は一度実施して終わりではなくPDCAを繰り返し実施する

 

〇CXを向上させるためにコンタクトセンター(コールセンター)で実施できる具体的な施策は次のとおり

1)問題があったときにまずは検索エンジン経由で問題解決を図る顧客が多い。スムーズな問題解決ができる導線設計が必要
2)チャネル同士のスムーズな連携ができるハイブリッドサポートが求められている
3)顧客の声に反応するアクティブサポートを行うことでメッセージを受け取った本人が好印象を受けるのはもちろんのこと、アクティブサポートを見た第三者も好印象を持つ

 

〇コンタクトセンター(コールセンター)でCXを向上させるためのポイントは次の3つ

1)オムニチャネルを活用して顧客と多彩な接点を持つ
2)顧客一人一人の要望や願望を踏まえ、サービスやサポートを提供する工夫が必要
3)CXの向上の重要性やスキルを共有するCXマネジメントを行う

 

CXは今では商品やサービスを提供するときに欠かせない重要な価値です。この記事を参考に、CXの向上に取り組めるようになることを願っています。

【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
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