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カスタマージャーニー分析とは?手順や分析に役立つツールを徹底解説

この記事で学べること

カスタマージャーニー分析とは「カスタマージャーニーマップ上のプロセスに応じて、顧客の行動や感情を明らかにすること」を指します。

  • カスタマージャーニー分析を行う重要性:カスタマージャーニーマップを軸に顧客の行動・感情を「線」で把握することで、顧客視点の最適なコミュニケーション設計、改善箇所の特定、顧客変化の早期検知を可能にし、施策精度と意思決定のスピードを高めます。
  • カスタマージャーニー分析のやり方:まず目的とペルソナを定め、定量(データ・アンケート)と定性(観察・インタビュー)を組み合わせて情報を収集・分析します。得た知見をジャーニーマップに反映し、仮説を検証して施策へつなげます。
  • カスタマージャーニー分析でビジネスを成功に導くためのポイント:顧客の感情の起伏に着目し、揺れた理由を事実ベース(VOC・ログ・アンケート等)で列挙・優先度付けし、効果的な施策を設計→実行→検証して改善サイクルを回すことです。

「カスタマージャーニーマップは作ったが、どう活用すればいいかわからない」
「カスタマージャーニーの分析方法がわからない」

このような悩みをお持ちではありませんか?

カスタマージャーニー分析とは、まず顧客がブランドや商品・サービスを、認知・購入・再購入するまでの一連の体験プロセス=「カスタマージャーニー」を把握することから始まります。

そのうえで、顧客の行動や接点(タッチポイント)を時系列に沿って整理し、可視化した「カスタマージャーニーマップ」を作成します。

それをもとに、各プロセスにおける顧客の行動や感情を分析していく手法です。

一般的なマーケティングでも、顧客の行動ログ分析やアンケート調査等を行うことはあると思いますが、そういった手法では顧客理解が「点」でしか進みません。

しかし、カスタマージャーニーマップのプロセスに落とし込んで分析すると、以下のように顧客の行動や気持ちを「線」で可視化できるため、成果に影響する要因を正しく把握することが可能になります。

カスタマージャーニーのプロセスで「線」で可視化した例

この記事を最後までお読みいただけるとカスタマージャーニー分析に関する基礎知識を一通り得ることができ、より顧客のニーズに沿ったマーケティング活動が可能になるでしょう。

カスタマージャーニーやカスタマージャーニーマップは、下記の記事で詳しく解説しています。

1.カスタマージャーニー分析を行う重要性

カスタマージャーニー分析を行う重要性

そもそも企業にとって、カスタマージャーニー分析が重要な理由は、主に次の3点です。

カスタマージャーニー分析が重要な理由

・顧客視点の最適なコミュニケーションをとることができるようになる
・改善すべき箇所が明確になる
・顧客の変化とその原因をすぐに察知できる

カスタマージャーニー分析は単なる可視化にとどまらず、施策の精度向上と迅速な意思決定を支える基盤になります。

1-1.顧客視点の最適なコミュニケーションをとることができるようになる

カスタマージャーニー分析が重要視される1つ目の理由は、各タッチポイントで、顧客視点の最適なコミュニケーションをとることができるようになることです。

たとえば、「サブスクリクションサービスの申込」という目的がある場合を考えてみます。
カスタマージャーニーのプロセスに沿って顧客の行動や感情を分析すると、次のような顧客視点での課題やボトルネックに気づくことができます。

・WEBサイト来訪時点では多くの訪問者がまだ自分のニーズに気づいていない
・WEBサイト来訪者の中には、あまりよく知らないままWEBサイトを見ている人がいる

こうした発見があると、各接点でのコミュニケーションを目的に合わせて最適化できます。

カスタマージャーニーのプロセスに沿って顧客視点で分析した例

つまり、カスタマージャーニー分析により、個別施策を顧客の行動の流れに沿って最適化でき、企業視点の誤った前提に基づくコミュニケーションを防げます。

1-2.改善すべき箇所が明確になる

カスタマージャーニー分析を行うことが重要な理由の2つ目は、改善すべき箇所が明確になるからです。

「成約率が低い」「リピート率が低い」「商品単価が低い」などの課題があるとき、それぞれの数値を単体で見ているだけでは、どこを改善すればいいのかすぐに決めることができません。

しかし、全体像を時系列で可視化すると、どこに改善点があるのかを一目で理解することができます。

カスタマージャーニー分析で課題を可視化した表の例

たとえば、「自社サービスの契約数が伸びない」という課題があるとしましょう。

カスタマージャーニーマップを作成して分析することで、

・資料請求の段階:顧客は興味を持ってくれている
・検討段階:問い合わせ内容も、契約を前提に前向きに考えている
・契約する段階:「手続きが大変」と尻込みしてしまう
・契約後の利用段階:気に入って使い続けてくれている

という一連の流れが見えてくれば、問題は「契約手続きの煩雑さ」であることがわかります。

そこで、契約手続きの見直しにフォーカスして改善することで、施策の無駄打ちをなくし、効率的に契約数向上につなげることができるようになります。

1-3.顧客の変化とその原因をすぐに察知できる

カスタマージャーニー分析を行うことが重要な理由の3つ目は、顧客の変化とその原因をすぐに察知できるという点です。

近年は新しい考え方やサービスが増え、顧客の感情や行動様式が常に変化しています。
定期的に自社のカスタマージャーニーを分析しておけば、変化早期に検知して迅速に対策を講じることができます。

たとえば、何の前触れもなくコンバージョンが急落した場合でも、カスタマージャーニーの各プロセスに沿って分析できていれば、どの段階で離脱が起きたのか、どの行動や感情が要因かを論理的に特定できます。

これにより「気づいたときには顧客の気持ちが離れて手遅れだった…」という事態を避けられます。
変化の激しい時代だからこそ、定期的なカスタマージャーニー分析が不可欠です。

2.カスタマージャーニー分析の主な手法

カスタマージャーニー分析の主な手法

ここまででカスタマージャーニー分析の重要性を述べました。実際に取り組むには、「どの手法を使うか」を決める必要があります。主に使われる手法は以下のとおりです。まずはこの中から目的・予算・社内リソースに合う手法を選定してください。

・インターネットリサーチ
・データ分析
・顧客観察調査(ショップアロング)
・N1分析

2-1.インターネットリサーチ

1つ目の手法は「インターネットリサーチ」です。

インターネットを活用して行う調査全般を指し、Webサイトのアンケートフォーム、メールアンケート、SNSでのアンケートなどを通じた定量調査で主に用いられます。調査対象に応じて大きく以下の2種類に分けられます。

種類

クローズ型調査
(モニター調査)

オープン型調査
(ビジター調査)

アンケート対象

顧客リストやモニター登録者など、特定の対象者を抽出して実施

Webサイトの訪問者やSNSの閲覧者、サービス利用者など不特定多数を対象に実施

特徴

・特定のターゲット層について詳しく把握できる
・回答の信頼性が比較的高く、データ精度も高い

・潜在顧客や一般消費者の行動・ニーズを把握できる
・市場の動向やトレンドを広く把握できる

向いているケース

・特定顧客のニーズ把握
・ターゲットを絞った商品開発や細かなマーケティング戦略
・自社ブランドや商品のイメージ調査、改善点の抽出

・市場規模やトレンドの把握
・新規サービスの需要予測や仮説検証

特定のターゲット層について深堀りしたい場合はクローズ型を、市場全体やトレンドを把握したい場合はオープン型を使い分けると効果的です。

2-2.データ分析

2つ目の手法は「データ分析」です。企業に蓄積される各種データを統合・分析することで、カスタマージャーニー上の行動や感情の変化を可視化できます。

データの種類

概要

データからわかること










顧客データ

・顧客の属性(年齢・性別・居住地など)
・購買履歴、利用回数、金額、キャンペーン反応、解約履歴
・ロイヤルティランクなど

・セグメント別の購買傾向
・リピート/離脱パターン
・LTVの高い顧客特性
など

Web上の行動データ

・自社サイトへのアクセスログや、サイト内での行動履歴(滞在時間、ページ遷移、クリック履歴、流入経路など)
・自社アプリの利用履歴(利用頻度、利用した機能など)

関心領域、離脱ポイント、導線の最適化ポイントなど

VOC
(顧客の声)

コンタクトセンター(コールセンター)やチャットでの問い合わせ、アンケート回答、要望、不満

顧客の本音
満足度変動要因
改善優先箇所

広告・キャンペーンに関するデータ

広告のクリック・CV、DM開封率、SNSへの反応

認知~関心期の有効タッチポイント、施策の効果、潜在顧客への訴求方法

オフラインの行動履歴

来店履歴、POSデータ、店舗での滞在・行動、紙アンケート

実店舗での購買傾向、オンラインとの行動差分




SNS・レビュー

投稿や口コミ評価、反応

ブランドイメージ、非顧客の認識、感情の変遷

各種統計

公的機関や民間の調査データ

ターゲット層の消費傾向、業界トレンド、市場規模の把握

これらのデータを組み合わせて分析すれば、カスタマージャーニーの各タッチポイントでの行動・感情が明確になります。

とくにコンタクトセンターに集まるVOCは顧客の生の声として重要です。
VOCを中心にデータを活用すれば、適切なタイミングでの最適なアプローチが可能になり、マーケティング施策や顧客対応の精度向上につながります。

2-3.顧客観察調査(ショップアロング)

3つ目の手法は「顧客観察調査(ショップアロング)」です。
特定の対象者が買い物をする様子に調査員が同行するか映像で記録し、終了後にインタビューで行動や感情を深堀りします。

得られる情報は、購買行動の詳細、顧客が惹かれる要因、意思決定のプロセス、カスタマージャーニー上の感情変化などで、VOCでは把握しきれない現場の実態をリアルタイムで確認できます。

注意点として、一定のサンプルを得るには時間とコストがかかるため、ネットリサーチやデータ分析などの定量調査と組み合わせ、定性的なインサイト獲得手段として活用するのが効果的です。

2-4.N1分析

4つ目は「N1分析」です。

N1分析は「1人の顧客」を対象に、インタビュー、行動観察、日記記録などでその体験・行動・思考・心理を継続的に深掘りする定性調査手法です。ショップアロングが主に「行動観察」に着目するのに対し、N1分析は動機や価値観など「深層心理」を明らかにする点が大きな違いです。

N1分析では、ニーズの奥にある顧客インサイトを抽出できるため、新商品開発、ブランディング、コンセプト設計など戦略的施策に有効です。

注意点として、サンプル数は少数になりがちで一般化には限界があるため、ネットリサーチなどの定量調査と組み合わせて活用すると効果的です。

3.カスタマージャーニー分析の手順(6STEP)

カスタマージャーニー分析の手順(6STEP)

カスタマージャーニー分析の手法が整理できたら、実際の分析は以下の6ステップで進めます。
各ステップを順に進めることで、再現性のあるインサイト抽出と施策につなげることができます。

・【STEP1】分析目的を明確化する
・【STEP2】ペルソナを設定する
・【STEP3】分析手法を決める
・【STEP4】データ収集・リサーチを実施する
・【STEP5】カスタマージャーニーマップに落とし込む
・【STEP6】仮説を検証し改善する

3-1.【STEP1】分析目的を明確化する

まず「何のためにカスタマージャーニーを分析するのか」目的を明確にします。
目的によって必要なデータや分析手法、優先すべき顧客接点(タッチポイント)が変わるためです。

たとえば、新規顧客獲得と、既存顧客のリピート促進では、調査対象やKPIが異なります。

【代表的な目的例】
・自社製品・サービスやブランドイメージの向上
・新規顧客に初回購入(利用)してもらう
・既存顧客のリピート購入(利用)を促す
・購入後の顧客満足度を高める
・口コミ(紹介)を増やす
・顧客接点(タッチポイント)の過不足や無駄を解消・最適化する
・顧客ニーズを把握して新商品開発に反映する
・会員登録の促進
・SNSフォロワーやエンゲージメントを増やす

最適な分析設計のために、まずは明確で測定可能な目的を定めてください。

3-2.【STEP2】ペルソナを設定する

目的が定まったら、「どの顧客のカスタマージャーニーを分析するか」を明確にするため、詳細なペルソナを設定します。ビジネスでのペルソナは、ターゲットをさらに具体化した“典型的な顧客像”です。

【参照すべき情報例】
・既存顧客情報(属性、購入履歴、問い合わせ履歴)
・自社サイトのアクセス解析データ
・コンタクトセンターへの問い合わせ内容(VOC)
・顧客アンケートや個別インタビュー結果
・店舗スタッフや営業担当からのヒアリング
・SNS・口コミサイトのコメント

これらの情報をもとに、具体的な一人の人物像を「ペルソナシート」に落とし込みます。履歴書を作るようにプロフィールを詳細に設定し、過去の行動ストーリー、1日の行動パターン、今後の計画なども想定してください。

ペルソナシートの例

このペルソナの設定はカスタマージャーニー分析の精度に直結します。
ペルソナがずれていると、導き出されるカスタマージャーニーや施策も誤るため、既存データに基づき的確かつ具体的に作成してください。

3-3.【STEP3】分析手法を決める

目的とペルソナが定まったら、次に分析手法を選びます。
2.カスタマージャーニー分析の主な手法」で挙げた以下の手法のいずれがよいか、最適なものを選びましょう。

・インターネットリサーチ
・データ分析
・顧客観察調査(ショップアロング)
・N1分析

もちろん分析方法は、ひとつである必要はありません。
分析手法ごとの特徴と向いているケースを整理しました。目的に合わせて選んでください。

概要

向いているケース

インターネットリサーチ

クローズ型

特定の条件で対象者を抽出して実施するアンケート

特定顧客層のニーズ把握、細かいマーケティング施策やターゲットを絞った商品開発

オープン型

Web上の不特定多数を対象に実施し、市場トレンドや潜在層を把握する調査

ブランドイメージや市場動向の把握、一般消費者の反応確認、改善点抽出

データ分析

顧客データ、VOC、SNS投稿、アクセスログなど既存データを収集・解析する手法。

各タッチポイントでの最適なアプローチ設計、離脱ポイントや行動パターンの特定、施策効果測定。

顧客観察調査
(ショップアロング)

購買現場で顧客の行動を直接観察し、意思決定プロセスや感情の動きを明らかにする。

実店舗や購買導線のUX改善、現場での具体的な障壁・改善点の発見。

N1分析

一人の顧客を長期間深堀り(インタビュー・日記・行動観察)して深層心理やインサイトを抽出する定性手法。

新商品開発、ブランド戦略、コンセプト設計など、顧客の潜在動機を掘り下げたい場合。

定量(インターネットリサーチ・データ分析)で傾向を把握し、定性(ショップアロング・N1)で「なぜ」を深掘りする併用が最も実践的です。

3-4.【STEP4】データ収集・リサーチをする

分析手法が決まったら、各手法に応じて必要なデータを収集します。

インターネットリサーチ

クローズ型

顧客リストやモニター登録者から条件に合う対象を抽出してアンケート実施、回答の集計・クロス集計を行う
例:属性、購入頻度、検討経路、満足度スコアなど

オープン型

WEBサイト訪問者やSNS利用者など不特定多数を対象にアンケートを実施、トレンドや認知・イメージを把握する
例:ブランド認知、購買意向、改善要望の自由記述

データ分析

収集項目:既存顧客データ(属性・購買履歴)、サイト・アプリの行動ログ、コンタクトセンターのVOC、広告・キャンペーン効果、店舗での行動履歴、SNS・レビューの投稿データ、公開統計データ等
目的:タッチポイント別の行動・離脱分析、セグメントごとのLTVやCVR算出

顧客観察調査
(ショップアロング)

対象者に同行して購買行動を観察、購買中の動作・感情・意思決定の理由をインタビューで確認
収集項目:現場での行動ログ、観察メモ、購入直後の発言・評価

N1分析

1人の顧客を対象に、ンタビュー、行動観察、日記法などで長期にわたり深掘りして記録を収集
収集項目:体験記録、思考過程、感情変化、潜在ニーズ・インサイト

調査対象を選ぶ際は、必ず「調査目的に合致した顧客」を選定してください。目的に即したセグメントを抽出することで、得られる示唆の精度が高まります。

たとえば次のように絞り込みます。

・特定キャンペーンの効果測定:キャンペーン軽油の訪問者・購入者に限定してアンケートや行動ログを分析する。
・複数施策の比較検証:各施策の訪問者ごとに行動履歴やアンケート結果を比較する。
・解約原因の把握:直近で解約した顧客に限定してヒアリングやアンケートを実施する。

3-5.【STEP5】カスタマージャーニーマップに当てはめる

データが揃ったら、顧客の行動を時系列で整理してカスタマージャーニーマップを作成します。

Webサイトの訪問履歴などのように定量的なデータが得られた場合、以下の赤枠で囲った部分のように、そのままカスタマージャーニーマップの対応する部分に当てはめていくとわかりやすいです。

カスタマージャーニーマップに調査結果を当てはめた例

一方、インタビュー結果などのような定性的なデータの場合は、以下のように複数の対象者の行動や感情を共通パターンに分類し、カスタマージャーニーマップ上に当てはめていきます。

複数対象者の行動や感情を分類した例

カスタマージャーニーマップの作り方は、下記の記事で詳しく解説しています。

3-6.【STEP6】仮説を検証する

ここまででカスタマージャーニーマップは完成しましたが、その中で想定した顧客の行動や感情はあくまで「仮説」です。最後に、その仮説がどの程度確からしいか必ず検証しましょう。

特定の行動や感情が観察できても、それが一部の顧客に限られる場合、それだけに基づいて施策を進めると方向性を誤るリスクがあります。そこで、顧客データや各種情報を用いて客観的な裏付けを取ることが重要です。

例:既存顧客へのアンケートで「月額料金が高い」という不満が多かった場合

【注意点】
・アンケート回答者は比較的協力的な層に偏ることがあり、サポート対応に不満を持って既に解約している顧客の声は反映されない可能性があります。
・そのため「料金が問題」という結論だけで施策を打つと、本当の解約要因を見落とす恐れがあります。

【検証例】
・全解約者のサポート利用履歴と解約率の関連を分析する(定量データ)
・口コミサイトやレビューの傾向を調査する(外部の定性情報)
・コンタクトセンターの解約時VOCを収集・分析する(現場の声)
・必要に応じて過去に解約した顧客への退会理由調査(回収方法を工夫して行う)

このように、定量/定性の両面からデータを補強して仮説を検証してください。
仮説の妥当性が確認できれば、カスタマージャーニーマップは有効な設計図となります。それを基に、効果的なマーケティング施策を検討・実行していきましょう。

4.カスタマージャーニー分析でビジネスを成功に導くためのポイント

カスタマージャーニー分析でビジネスを成功に導くためのポイント

6つのステップでカスタマージャーニー分析の手順をお伝えしましたが、分析自体が目的になってはいけません。重要なのは、分析で明らかになった顧客の行動や感情などのプロセスに基づいて改善・強化を行い、顧客とのコミュニケーションを最適化することです。

ここでは、カスタマージャーニー分析を実際のビジネス成果につなげるためのポイントを解説します。具体的には次の3点に着目してください。

カスタマージャーニー分析でビジネスを成功に導くためのポイント

・顧客の感情の起伏に着目する
・感情が揺れた理由を列挙する
・有効な施策案を出していく

分析後は、このポイントを踏まえて改善項目を優先度付けし、実行と検証を繰り返していきましょう。

4-1.顧客の感情の起伏に着目する

まずは、顧客体験(CX)を損なっている箇所がないかを確認します。

ネガティブな感情はブランドイメージの低下や解約に直結するため、早急に対応すべきです。一方で、顧客の感情がポジティブに揺れている箇所も見逃してはいけません。ポジティブな体験をさらに強化すれば、競合との差別化につながります。

たとえば、顧客管理ツールを検討する企業担当者のカスタマージャーニーを作成した場合、図中の赤枠が「注視すべきネガティブポイント」に該当します。

カスタマージャーニーの「注視すべきネガティブポイント」の例

一方、以下の青枠が「強化すべきポジティブポイント」に該当します。

カスタマージャーニーの「強化すべきポジティブポイント」の例

アンケート結果や統計だけでは不十分です。重要なのは「なぜその結果になったのか(顧客がどんな感情になったのか)」を深掘りすることです。定量データと合わせてVOCや口コミ、コンタクト履歴などの定性情報を参照し、本質的な原因を特定してください。

また、カスタマージャーニーマップに感情の起伏を反映させる際は、絵文字や色分けを使うと一目で感情の流れが分かり、チームでも共有しやすくなります。

4-2.感情が揺れた理由を列挙する

顧客の感情の起伏が生じているタッチポイントを特定したら、次は「なぜそうなっているのか」を可能な限り多く挙げていきます。原因の洗い出しは、施策を適切に設計するための必須作業です。

先ほどのカスタマージャーニーマップの「検討」プロセスで感情がネガティブに触れていた部分を例に挙げて考えると、以下のようになります。

「検討」プロセスで悩んでしまった理由
・選択肢が多すぎて比較が難しい
・どのように検索すれば必要な情報が得られるか分からない
・公式サイトで価格が明示されていない
・商品紹介が導入判断の決め手になっていない
・自社の規模・業種で本当に適合するかが分からない

反対にポジティブな感情を持っていた「成果」のプロセスの場合なら、以下のような理由を挙げられます。

「成果」プロセスで満足感を得られた理由
・実際に期待した成果が出た
・成果の検証が簡単で、短期間で可視化できた
・投入コストに対するリターンが十分だった

ここで気を付けておきたいポイントとしては、挙げた理由は可能な限り仮説ではなく事実ベースで裏付けてください

アンケート結果、営業の日報、コンタクトセンターのVOC、口コミサイトの評価、CTI/利用ログなどの定量・定性データを組み合わせることで、原因の優先度付けと施策設計がしやすくなります。

4-3.有効な施策案を出していく

カスタマージャーニー上で感情の起伏とその要因が明らかになったら、それぞれに対する有効な施策案を出します。ネガティブなポイントは改善してプラスに転じるよう補強し、ポジティブなポイントはさらに強化して差別化要素に育てます。

先ほどの例であれば以下のように考えていくと良いでしょう。

ネガティブな感情を防ぐための改善策の検討例

複数の原因を一つの改善策で同時に解消できるケースは多いです。この例のようにネガティブな感情が生まれた理由を左に、改善策の案を右に並べ、対応するものを線で結び付けていくというやり方をとるとわかりやすくなります。

このように、カスタマージャーニーマップ上に分析結果の数字や顧客の声を落とし込んで可視化していくことで、顧客目線のマーケティングやサービス自体の改善を実現することができます。

上記3つのポイントを意識していただくことで、カスタマージャーニー分析の結果を活用し、あなたのビジネスを成功に導いていきましょう。

5.【事例】カスタマージャーニー分析で成果をあげた企業

【事例】カスタマージャーニー分析で成果をあげた企業

ここまででカスタマージャーニー分析の手順を説明してきましたが、「実際の成果イメージがわかない」という方もいるかもしれません。

そこで、トランスコスモスが支援したクラブツーリズム様の事例を紹介します。カスタマージャーニー分析を軸にした施策で、新規獲得と既存顧客のLTV最大化に成果を出した事例です。

クラブツーリズム様(旅行会社/オンライン中心の販売体制)

課題

・継続的に新規顧客を獲得したい
・既存顧客の顧客生涯価値(LTV)を最大化したい

実施施策

トランスコスモスはカスタマージャーニー分析を実施し、顧客がサービスや商品に接触するタイミングや行動を可視化。その上で、顧客一人ひとりの状況に応じた適切なアプローチを設計・実行

主な施策の内容

1)年代別おすすめ特集の訴求 
顧客を世代ごとにセグメントし、それぞれに最適化した特集ページを作成して誘導。申込検討の促進を図った
2)「考え中BOX」の活用促進
ユーザーが気になるツアーを保存できる「考え中BOX」を活用。保存されたツアーを起点にアプローチし、申込忘れ防止と申込確度の向上を図った
3)申込検討顧客への後押し表示
ツアー詳細ページ閲覧者に対し、過去1週間の購入人数などの実績情報を表示して、購買意思決定を後押し

成果主要KPI

・年代別おすすめ特集への遷移率:約4%向上
・「考え中BOX」への遷移率:4.1%向上
・申込検討顧客のコンバージョン率(CV率):1.3%向上

カスタマージャーニー分析で新規獲得と既存顧客のLTV最大化に成果を出した事例

トランスコスモスでは、これ以外にもクラブツーリズム様のカスタマージャーニー施策をさまざまに展開し、サポート開始から9年でWeb売上高を4倍に拡大することができました。

6.カスタマージャーニー分析に役立つツール

カスタマージャーニー分析に役立つツール

カスタマージャーニー分析の具体的なやり方や、それを活用していくためのポイントについて解説してきました。

ただし、実際にこういった分析を行っていくためには、ITツールを活用して顧客の行動を収集することが必要不可欠です。

そこでこの章では、カスタマージャーニー分析のためのデータ収集に役立つ具体的なツールとして以下の2つを紹介します。

カスタマージャーニー分析に役立つツール

・Webサイト診断ツール
・プロセスマイニングツール

それでは早速詳しく解説していきます。

6-1.Webサイト診断ツール

顧客のWeb上での行動を把握するには、どの経路(流入元)を経て自社サイトに訪問し、その後どのようにページを遷移して離脱またはコンバージョンに至ったかを把握する必要があります。

そのために役立つのが、Webサイト診断ツールです。自社ならばGoogle Analyticsやsearch consoleである程度の分析は可能です。このツールでは、以下のようなことを知ることができます。

Webサイト診断ツールでわかることの例

・サイトの読み込みは遅くないか
・構造は複雑でないか
・コンバージョンまでの動線はスムーズか
・狙った検索キーワードで上位表示されているか
・ユーザーがサイトに満足し必要な情報を得られたか

上記を診断できると、コンバージョンを妨げている原因が明確になるため改善すべきポイントを絞り込みやすくなります。

たとえば「競合他社よりも検索結果が下に表示されているため流入が少ない」ということであれば、キーワードの見直しや記事の質の改善を行ったり、検索順位が上位に上がってくるまでは周辺キーワードの執筆を継続していく必要があるということがわかります。

一方で、「サイトの構造が複雑でユーザーが離脱している」のであれば、構造の改善や注目してもらいたい購入ページへ誘導するバナーをポップアップで表示させる、などの対策が有効となります。

6-2.プロセスマイニングツール

プロセスマイニングとは、業務や顧客行動のログデータをもとに、実際のプロセスを可視化・分析する手法です。プロセスマイニングツールは現状把握と課題抽出に非常に有効で、近年注目が高まっています。

カスタマージャーニー分析にプロセスマイニングを活用すると、Web上で記録される行動履歴や業務ログを元に、以下のような分析が可能になります。

プロセスマイニングツールでできること’(例)

・数値データから顧客の行動パターンを可視化する
・Webサイト、コンタクトセンター、CRMなど複数チャネルをまたぐ回遊の実態を把握する
・行動分析により、自己解決率が低いコンテンツやボトルネックを特定する

プロセスマイニングツールの使用イメージ

こうして得られたビジュアルなプロセス図は、カスタマージャーニー上の「どの箇所で顧客が離脱・悩んでいるか」を効率的に特定できるため、精度の高い施策設計に役立ちます。

カスタマージャーニー分析なら、トランスコスモスの
CX最適化支援ダッシュボード「trans-Insight BI」

トランスコスモスの「trans-Insight BI」は、顧客接点チャネルにおけるさまざまなデータを統合し、お客様事業におけるCX最適化を支援するダッシュボードです。

WebサイトのFAQページ、Chat、Callなど、カスタマーエクスペリエンスにまつわるあらゆるチャネルのデータを一元的に集約、洗練されたビジュアルでシンプルに可視化することで、CX/カスタマージャーニー全体を俯瞰できます。

カスタマーがお困りの箇所を素早く特定して改善、カスタマージャーニーを最適化します。
また、チャネルごとの流入量を見直してコントロールすることで、コスト効率化も可能です。

まとめ

カスタマージャーニー分析について、重要性や具体的なやり方などについて詳しく解説してきました。
最後に、要点を簡単にまとめておきます。

■カスタマージャーニー分析が重要な理由

・顧客視点の最適なコミュニケーションをとることができるようになる
・改善すべき箇所が明確になる
・顧客の変化とその原因をすぐに察知できる

カスタマージャーニー分析のやり方

・【STEP1】分析目的を明確化する
・【STEP2】ペルソナを設定する
・【STEP3】分析手法を決める
・【STEP4】データ収集・リサーチをする
・【STEP5】カスタマージャーニーマップに当てはめる
・【STEP6】仮説を検証する

■カスタマージャーニー分析でビジネスを成功に導くためのポイント

・顧客の感情の起伏に着目する
・感情が揺れた理由を列挙する
・有効な施策案を出していく

■カスタマージャーニー分析に役立つツール

・WEBサイト診断ツール
・プロセスマイニングツール

最後までお読みいただいたことで、カスタマージャーニーの分析について理解することができ、具体的にどんなツールを使ってどのように分析を進めればよいのか、という点までイメージできるようになったのではないでしょうか。

カスタマージャーニーの分析を正しく行うことで顧客の行動や気持ちを「線」で可視化し、顧客視点のマーケティングを実現していきましょう。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションのノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。