
「コンタクトセンター(コールセンター)にチャットは導入するべき?」
「コンタクトセンターにチャットを導入することでどのような効果があるの?」
最近、顧客対応手法が多様化する中で、コンタクトセンターにおいてもチャットの導入が注目されています。
しかし、実際に導入すべきかどうか、迷っているコンタクトセンターも多いのではないでしょうか。
結論から言うと、コンタクトセンターにチャットを導入することで、様々な課題を解消できる可能性があります。
電話対応に比べて、一人のオペレーターが複数人の顧客を同時に対応できるため、入電の集中を回避することが期待できます。
また、電話ではFAQで回答できる内容も説明しなければならない場合がありますが、チャットでは関連するFAQを貼り付けるなどの対応が可能です。これにより、業務効率化も見込まれます。
さらに、メール対応に比べ、オペレーターと顧客がリアルタイムでテキスト入力でのやり取りを行うことができ、解決までのスピードも向上します。
このようにチャットの導入には多くのメリットがありますが、効果的な導入のためには、チャットの効果や導入時のポイントを把握する必要があります。
そこで、この記事では以下の内容をまとめて解説していきます。
◎コンタクトセンターで導入できるチャットとは |
最後まで読めば、コンタクトセンターにチャットを導入するメリットや効果を把握でき、導入を具体的に検討できるでしょう。理想的なコンタクトセンター運営を目指すためにも、チャットの有効活用をぜひ検討してみてください。
※なお、この記事で利用している「チャット」とは、Webブラウザやスマートフォンの画面上で文字入力をすることで、顧客とオペレーターがコミュニケーションを取る方法を指します。
- 1.コンタクトセンター(コールセンター)で導入できるチャットとは
- 2.コンタクトセンター(コールセンター)向けチャットの活用場面
- 3.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入する5つのメリット・効果
- 4.コンタクトセンター(コールセンター)で活用するチャットは2種類
- 5.コンタクトセンター(コールセンター)にチャット導入は必須
- 6.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入する際の課題
- 7.コンタクトセンター(コールセンター)でのチャットの導入方法
- 8.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入するときの5つのポイント
- 9.チャットシステムを選ぶときの4つのポイント
- 10.チャットとチャットボットを併用にはDEC supportがおすすめ
- まとめ
1.コンタクトセンター(コールセンター)で導入できるチャットとは
昨今、コンタクトセンター(コールセンター)では、チャット導入の需要が高まっています。
そもそもチャットとは、インターネットを介してリアルタイムに短い文章で会話をする仕組みのことです。
具体的に、チャットには以下2つあります。
種類 | 対応方法 | 特徴 |
チャット | 有人対応 | Webブラウザやスマートフォンの画面上で文字入力をしてオペレーターが顧客対応をする |
チャットボット | 無人対応 | Webブラウザやスマートフォンの画面上で文字入力をしてボットが顧客対応する |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.チャット
チャットは、Webブラウザやスマートフォンの画面上で文字入力を行い、オペレーターとのリアルタイムでのコミュニケーションを実現します。
例えば、顧客が「届いた商品が不良品だった」とチャットに入力すると、オペレーターが内容を確認し、返品方法や代替商品の提案を行います。
電話の場合は一対一で対応する必要がありますが、チャットでは一人のオペレーターが複数の顧客を同じタイミングで対応できるため、業務効率化が期待できます。
また、チャットはパソコンさえあれば勤務可能で、在宅ワークなど多彩な働き方に対応しやすいという特徴もあります。コンタクトセンターにチャットを導入すると顧客満足度の向上や入電の削減、電話が苦手な新たな顧客の獲得につながることが期待されます。
1-2.チャットボット
チャットボットは、リアルタイムで機能する自動会話プログラムのことです。
チャット(chat)の部分はリアルタイムのコミュニケーションを示し、ボット(bot)はロボットを指します。
この二つを組み合わせたものが、チャットボットです。
チャットボットはWebブラウザやLINEなどのアプリケーションと連携し、顧客からの問い合わせや質問に自動で回答します。
事前に登録したFAQやシナリオに基づき、顧客が尋ねる内容に応じて適切な回答を提示します。
チャットボットには主に以下の3つのタイプがあります。
チャットボットの3つのタイプ | |
シナリオ型 | 分岐型の質問を用意し、顧客の回答によって的確な回答に導く |
FAQ型 | 質問と回答を紐づけ、一問一答形式で表示する |
自然言語(NLP)型 | AIの学習によって自由度の高い応対ができる |
チャットボットは、迅速な問題解決を実現するための強力なツールです。解決できなかった場合は、電話やチャットの有人対応に引き継ぎ、顧客の問題解決をサポートします。
チャットボットについて詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。
1-3.チャットとチャットボットの併用がおすすめ|65%のユーザーが希望
チャットとチャットボットは併用して導入することが推奨されます。
どちらもそれぞれの強みがあり、片方だけでは顧客の要望を全て満たすことは難しいためです。
例えば、コンタクトセンター(コールセンター)の営業時間内の簡単な質問はチャットボットが対応し、解決できなかった場合はチャットに引き継ぐといった運用が考えられます。
実際にトランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2024-2025」では、65%のユーザーがチャットボットから有人対応に引き継ぎ、問題解決まで導いてほしいと回答しています。
出典:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2024-2025」
シームレスなチャットボットとチャットの連携は、ユーザーにとっても重要な要素となっています。
2.コンタクトセンター(コールセンター)向けチャットの活用場面
コンタクトセンター(コールセンター)では、チャットやチャットボットはどのような場面で活用されているのでしょうか。
以下の具体的な活用場面を理解しておくことで、チャットの導入における効果をより実感できるでしょう。
・よくある質問への回答 |
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
2-1.よくある質問への回答
最初の活用場面は「よくある質問への回答」です。
顧客がチャットでよく尋ねる質問には、チャットボットが自動で応答するように設定できます。
これにより、オペレーターが対応せずとも多くの問い合わせに迅速に対応することができます。
例えば、銀行の口座残高に関するよくある質問に対して、チャットボットがあらかじめ登録された回答を提示することで、対応時間を削減し、効率的にコンタクトセンターを運営できます。
2-2.カスタマーサポート
次に、「カスタマーサポート」における活用です。
商品の使用方法や返品方法に関する質問など、顧客からの問い合わせにオペレーターがチャット上で直接回答を行います。
また、顧客がよくある質問をする場合には、チャットボットによる自動応答が効果的です。
このように、商品の問い合わせに対してチャットを活用することで、迅速な対応が可能となります。
2-3.購入サポート
3つめは「購入サポート」です。
顧客が商品やサービスを購入する際のアドバイスをチャット上で行うことができます。
具体的には、以下のように顧客が「ノートパソコンを購入したいが、どのスペックがいいかわからない」といった質問をした場合、オペレーターが想定される使用用途を確認し、適切な商品を提案します。
このように、購入の際にサポートを提供することで、顧客の購買意欲を高めることが可能です。
2-4.緊急対応(トラブル、苦情の一時対応など)
最後の活用場面は「緊急対応」です。
商品やサービスに関連してトラブルが発生した場合、チャットを通じて対応することが可能です。
例えば、以下のように顧客が「商品が届かない」といたクレームをチャットで申し出た場合、オペレーターは即座に問題の確認を行い、適切な対応を提案します。
このように、チャットを通じて迅速に問題に対処することで、顧客の不安を軽減できます。
3.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入する5つのメリット・効果
コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入することで、以下の5つのメリットがあります。
・顧客満足度の向上 |
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
3-1.顧客満足度の向上
トランスコスモスが実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」によると、顧客が求める体験は「解決の速度」と「負担の少なさ」であることが分かりました。顧客は抱えている問題をできるだけ負担なく、迅速に解決したいと考えています。
出典:トランスコスモス「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2021」
電話チャネルのみの場合、入電が集中するとつながるまでに時間がかかり、顧客のストレスが増します。
しかし、チャットを導入することで、待ち時間が短縮され、リアルタイムで問題解決ができるようになります。
またチャットと他のチャネルを連携させることで、問題解決にかかる時間と手間を省き、顧客満足度の向上につながります。
3-2.生産性の向上
電話対応では、オペレーターと顧客は一対一で通話をするため、対応できる顧客数には限りがあります。
一方、チャットではテキストを用いてのやり取りが可能なため、一人のオペレーターが同時に複数の顧客に対応できます。
顧客からの返信速度は異なるため、オペレーターは複数の顧客に随時対応することができ、業務効率が向上します。また、FAQに該当する内容はチャットで簡単に共有できるため、業務の迅速化にも寄与します。
3-3.電話に抵抗がある顧客の利用促進
顧客の中には、電話でのやり取りに抵抗を感じる顧客もいます。
コンタクトセンター(コールセンター)が電話だけの窓口の場合、特に電話が苦手な顧客や営業時間内に利用できない顧客は問い合わせをためらうことがあります。
チャットを導入することで、電話に抵抗がある顧客でも、手軽に問い合わせができる環境が整います。特に、LINEやFacebook Messengerなどのチャットアプリを使い慣れている世代にとっては、チャットは親しみやすく利用のハードルが下がります。
さらに、チャットボットを活用すれば、24時間対応が可能になり、顧客の利便性をさらに高めることができます。
3-4.新たな顧客層へのアプローチ
チャットを導入することで、今までコンタクトセンター(コールセンター)を利用していなかったターゲット層に対してもアプローチが可能になります。特に、若年層をターゲットとした場合、チャットの導入によって新規顧客獲得の機会が増えます。
チャットを導入することで、従来の電話対応だけではカバーできなかった層にもアプローチができるようになり、顧客や受注の獲得、リピーターの増加が期待できます。
3-5.目的に応じたサポートの実現
チャットの導入方法には、プロアクティブチャットとリアクティブチャットの2種類があります。
これにより、目的に応じたサポートが可能となります。
特徴 | 効果 | |
プロアクティブチャット | Webサイトに滞在している顧客に対し、オペレーターからアプローチを行う方法 | 顧客が一定の行動をしたときに、チャットをポップアップさせることで、売上アップやリピーター獲得につなげることができる |
リアクティブチャット | 顧客が自らチャットを利用するための窓口をWebサイトやアプリに常設する方法 | 顧客が問題解決のために問い合わせを行う際、迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上やロイヤルカスタマー獲得につながる |
このように、企業の課題や目的に応じて活用することで、効果的な顧客サポートが実現できます。
プロアクティブチャットとリアクティブチャットについては4章で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
コンタクトセンターでチャットやチャットボットを活用したいならトランスコスモスにご相談ください |
コンタクトセンターでチャットやチャットボットを併用して活用を検討している場合は、トランスコスモスにご相談ください。 トランスコスモスでは、「DEC support」は、チャットとチャットボットの切り替えが可能なチャットボットソリューションをご提供しています。Webチャットだけではなく、LINEやFacebook Messengerなど複数チャネルに対応可能です。 ◎チャットボットではシナリオ型だけでなく、FAQ型や自然言語型での複合対応が可能。顧客の質問に応じた解決策へと誘導 ◎チャットボットのみで解決が難しい場合には、オペレーターへの切り替えが容易にできる 「DEC support」について詳細を知りたい場合は、下記より資料DLすることが可能です。 |
4.コンタクトセンター(コールセンター)で活用するチャットは2種類
「3-5.目的に応じたサポートの実現」でも解説したように、コンタクトセンター(コールセンター)でチャットを導入するときは主に以下の2つの方法を採用します。
特徴 | 効果 | |
プロアクティブチャット | Webサイトに滞在している顧客に対し、オペレーターからアプローチを行う方法 | 顧客が一定の行動をしたときに、チャットをポップアップさせることで、売上アップやリピーター獲得につなげることができる |
リアクティブチャット | 顧客が自らチャットを利用するための窓口をWebサイトやアプリに常設する方法 | 顧客が問題解決のために問い合わせを行う際、迅速な対応が可能となり、顧客満足度の向上やロイヤルカスタマー獲得につながる |
それぞれどのように導入をするのか、具体的に解説していきます。
4-1.プロアクティブチャット
プロアクティブチャットとは、Webサイトに滞在している顧客に対して、オペレーター側からアプローチを行う方法です。
具体的には、「買い物カゴに商品が入っている」や「一定時間Webサイトに滞在している」といったあらかじめ定めた条件を満たした際に、「お困りごとはありませんか?」などのポップアップを表示させます。
サポートが欲しい顧客はポップアップ表示をクリックすることで、チャットを開始します。
オペレーターが顧客にアプローチし、疑問や悩みを迅速に解決することで、売上アップや顧客ロイヤリティの向上に貢献します。
プロアクティブチャットは、過去の顧客行動データに基づいて、顧客がサポートを必要とするタイミングを見極めることが成功の鍵を握ります。
4-2.リアクティブチャット
リアクティブチャット(パッシブチャット)とは、WebサイトやLINEなどのアプリ上にチャットの問い合わせ窓口を固定設置する方法です。
このチャットはFAQやチャットボットと併用して、顧客からの問い合わせに迅速に対応するために設置されます。よくある問い合わせページなどの隅に固定設置し、顧客からの問い合わせを待ちます。
顧客からの問い合わせがあった際には、その内容に応じて、リアルタイムで対応が行われます。
リアクティブチャットは顧客が利用しなければ意味がないため、導線や設置方法を考慮し、顧客が使いやすい場所に設置することが必要です。
5.コンタクトセンター(コールセンター)にチャット導入は必須
これまでコンタクトセンター(コールセンター)向けのチャットに関する基礎知識やそのメリットについてお伝えしてきましたが、結論として、コンタクトセンターにチャット導入は必須です。
その理由は、スマートフォンやSNSの普及によってユーザーがリアルタイムで手軽に利用できるチャットでのやりとりを求めるニーズが高まっているからです。
トランスコスモスが実施した「消費者のオンライン購入における接客ニーズ調査2024」によると、オンラインで購入や申し込みを行う際に「チャットで相談したいと思ったことがある」と回答した人は35.4%で2022年度調査の28.8%より増加しています。
出典:トランスコスモスCotra「消費者のオンライン購入における接客ニーズ調査2024」
この結果から、オンラインでの購入や手続きの利用率が高まるにつれて、チャットによるサポートの需要も増加していることがわかります。
さらに年代別のデータを見ると、特に若い世代においてチャットサポートのニーズが高く、20代では半数以上の人がチャットでのサポートを望んでいることが確認されました。
どの年代においても、2022年度の調査からチャットサポートの需要が増加していることから、今後さらにチャットサポートの整備はユーザーの利便性向上に不可欠であると考えられます。
競合他社がチャットを導入する中で競争優位性を維持するためにも、コンタクトセンターにとってチャットの導入は避けて通れない選択肢と言えるでしょう。
6.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入する際の課題
コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入するメリットが明らかになったところで、導入における課題を確認しておきましょう。コンタクトセンターにチャットを導入する課題としては、以下の2点が挙げられます。
・オペレーターへの教育 |
これらの課題に対してどのように対処するかを考え、チャット導入を検討していきましょう。
6-1.オペレーターへの教育
チャットは電話とは異なり、テキストでのやり取りが基本となるため、オペレーターへの新たな教育が求められます。電話では声色や話し方を通じて顧客に寄り添うことができますが、テキストだけでは機械的で冷たい印象を与えてしまうことがあります。
そのため、チャット専用のマニュアルを作成しクッション言葉を使用することや、適切な言葉遣いを意識するように指導をする必要があります。これにより、顧客に好印象を与えるテキスト作成ができるようになります。
さらに、チャットはテキストが形として残るため、失礼な発言や誤った発言が苦情につながる恐れがあります。このため、コンプライアンスに留意し、適切な対応ができるオペレーターを育成するための時間と労力が必要です。
6-2.システム導入・維持のコスト
チャットを運営するためには、システム導入費用や運用サポートサービス費などが必要です。これにより、現状の運営費用にプラスしてコストがかかることになります。
しかし、チャット導入の費用対効果を考慮すると、以下のような効果があります。
・オペレーターの人員削減 |
これにより、結果として費用対効果が大きくなる可能性があります。
「8.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入するときの5つのポイント」でも詳しく解説しますが、目的や課題に合わせた導入を行うことで、チャットシステム導入の費用以上の効果を得られる可能性が高まります。
7.コンタクトセンター(コールセンター)でのチャットの導入方法
ここでは、プロアクティブチャットとリアクティブチャットに分けて、具体的なチャットの導入方法をご紹介します。
どちらの場合も無計画に導入すると、顧客に利用されず期待した効果を得られない可能性があるため、あらかじめ導入時のポイントを把握しておきましょう。
7-1.プロアクティブチャットの導入方法
プロアクティブチャットはWebサイトの滞在時間やサイト導線の遷移などのデータをトリガーとして顧客にアプローチを行います。そのため、蓄積された顧客の行動データを基にしたコミュニケーション戦略を設計することが重要です。
・サイトのゴールを明確にする |
これらがプロアクティブチャットを成功させるポイントとなります。
例えば、商品の購入がゴールであるとするなら、過去のデータから顧客の離脱率が高いタイミング (例:「カゴに商品を入れて5分放置した時」)にプロアクティブチャットを表示させます。
店舗での接客と同様に、商品購入前の悩みを解決するコミュニケーションを積極的にチャット経由で行うことで、顧客が安心して購入できる状況を作り出します。
ただし、プロアクティブチャットは戦略設計が不十分だと、顧客が利用しなかったりポップアップに対して不快感を抱くことがあり、CX(顧客体験)が低下する恐れがあります。効果を得るためには、あらかじめコミュニケーション戦略を設計し、計画的に導入することが求められます。
7-2.リアクティブチャットの導入方法
リアクティブチャットは、導線や設置方法を考慮しないと顧客に活用してもらえません。
そのため、事前に以下の情報を整理して導入を検討しましょう。
・顧客接点の量の整理:他チャネルの利用状況や顧客と接点を持つチャネルを整理する |
例えば、よくある質問ページの閲覧数が多くFAQを見ても問題解決ができなかい場合には、よくある質問ページにチャットを設置することでコンタクトセンター(コールセンター)への入電を軽減できるかもしれません。
よくある質問ページにチャットを固定設置する際には、右下やボタン形式など顧客が利用しやすい方法を検討し導入します。
リサーチや分析、多チャネルとの連携を考えずにリアクティブチャットを導入しても、利用者が増えない可能性があるため注意が必要です。
8.コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入するときの5つのポイント
コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入する際、どのようなことをチェックすべきか気になる方も多いでしょう。ここでは、コンタクトセンターにチャットを導入する際に知っておきたい5つのポイントをご紹介します。
・チャットの導入目的を明確化する |
これらは導入前に把握しておきたいポイントばかりですので、ぜひ参考にしてください。
8-1.チャットの導入目的を明確化する
まずは、チャットを導入する目的を明確にしましょう。導入の目的によって、チャットへの導線や活用方法は大きく異なります。
例えば、電話チャネルの入電を減らすことが目的の場合、顧客が最初にチャットで問い合わせをする導線を考える必要があります。一方、新たなターゲット層にアプローチしたい場合は、LINEやWebブラウザなどさまざまなチャネルで手軽に利用できる配慮が求められます。
コンタクトセンター(コールセンター)が抱える課題や今後の目標を洗い出し、その課題をチャット導入でそのようにカバーできるかを考えることが重要です。
なお、トランスコスモスでは顧客のチャット導入時の導線設計を支援する、「チャネル最適化診断サービス」を提供しています。興味のある方は以下ボタンをクリックして資料をご確認ください。
8-2.チャットで対応する業務範囲を決めておく
チャットはテキストコミュニケーションが基本のため、複雑な回答や長文には向いていません。
最近では、チャットの回答に動画URLや写真を添付して顧客の理解を助ける方法もありますが、音声のやり取りに比べて分かりにくい場合もあります。
したがって、顧客の目的が明確で、読みやすい分量のサポートができる範囲をチャットの業務範囲とすることが求められます。
例えば、商品の購入や配達状況の確認など目的が明確であれば、迅速なサポートが可能です。しかし、顧客の環境や状況をヒアリングするテクニカルサポートは、テキスト量が多くなり顧客側の作業負荷が増えてしまいます。このため、利便性を考慮して、業務範囲を設定することが重要です。
無理にすべてをチャットで解決しようせず、チャットボットとつながる導線を用意したり、電話とハイブリッドでサポートできる体制を整えることも推奨します。是非ご検討ください。
8-3.受付時間を決めておく
チャットを導入する際には、あらかじめ受付時間を決めて明記しておくことが重要です。
受付時間を明記しないと、顧客はいつでも問い合わせに対応してもらえると誤解してしまいます。
電話チャネルと同様の時間帯や、週末も受付をするなど無理のない運用ができる時間を設定しましょう。
24時間対応を希望する場合は、チャットボットと組み合わせることが一つの方法です。有人対応と無人対応を切り替えられるチャットシステムを選び、対応時間終了後は無人対応のチャットボットに任せることが可能です。
ただし、「1.コンタクトセンター(コールセンター)で導入できるチャットとは」にも記載した通り、チャットボットが提示できる回答には限界があるので、問題解決ができなかった場合は、対応時間内に折り返し回答をするなどの対処法を用意しておくことが大切です。
8-4.顧客向けのアンケートを用意する
電話チャネルと同様に、チャットも品質管理が必要です。
チャット対応の質が悪いと、利用する顧客が減少し、チャット導入のメリットや成果を実感できなくなります。
チャットの品質をチェックする方法はいくつかありますが、代表的なものとして顧客向けのアンケートを用意する方法があります。
チャットのやり取りが終了した後に顧客向けアンケートを表示するように設定し、チャット対応の質や速度を評価してもらいます。後日、顧客向けアンケートを集計することで、チャットの課題が明らかになります。
チャットは導入したら終わりではなく、利用者が増加するように品質を高めていく必要があります。
電話チャネルと同様に、顧客目線で品質チェックができるような仕組みを導入しておきましょう。
8-5.マニュアルを作成し同じ品質で対応できるようにする
チャットでのやり取りも電話チャネルと同じく、一定の品質を保つ必要があります。オペレーターによって回答や対応時間に差があると、顧客満足度の低下や利用者の減少につながります。
オペレーターが一定の品質でチャット対応ができるように、マニュアルを作成します。マニュアルには基本的なやり取りの方法や、疑問点が発生したときのエスカレーションの方法などをまとめると、一定の質を維持し、迅速な回答が可能になります。
また、返答用のテンプレートを用意して、オペレーターが問い合わせ内容に応じて適宜利用できるようにしておくと返答速度を向上させることができるでしょう。
チャットはシステムだけ導入してもその効果を発揮できないため、チャット対応の質を担うオペレーターの教育も計画的に進める必要があります。
9.チャットシステムを選ぶときの4つのポイント
コンタクトセンター(コールセンター)にチャットを導入するには、チャットシステムを選定する必要があります。
ここでは、チャットシステムを選ぶ際に抑えておきたい4つのポイントをご紹介します。
・顧客が利用しやすい表示ができるかどうか |
9-1.顧客が利用しやすい表示ができるかどうか
チャットはテキストでのやり取りが基本であるため、顧客が利用しにくいデザインでは利用者の減少や離脱率の増加につながります。顧客目線に立ち、利用しやすい表示ができているかどうかを確認しておきましょう。
例えば、Webブラウザやスマートフォンで表示した際にチャット画面が小さすぎると、扱いにくく、顧客が興味を持たない可能性があります。
また、選択肢やボタンを表示する際には、わかりやすいデザインであることも重要です。チャットシステムによってはトライアル期間を設けている場合もあるので、実際に利用してみて、使いやすさを確認するのもいいでしょう。
9-2.オペレーターが使いやすいかどうか
チャットシステムがオペレーターにとって使いやすいかどうかも重要なポイントです。複雑な管理画面では、導入時に手間がかかるだけでなく、操作ミスが発生しやすく、処理に時間がかかるなどのデメリットがあります。
使いやすいチャットシステムの一例として、顧客からの問い合わせが入った際に一目でわかる工夫がされているものがあります。これにより、見落とすことなく迅速な対応が可能になります。
また、顧客情報が蓄積できる場合は、以前の問い合わせを参照することもでき、スムーズなやり取りが実現します。
このように、オペレーター目線で簡単に利用できるかどうかを確認することが大切です。
9-3.複数のチャネルに対応しているかどうか
チャットを積極的に使用してもらうためには、どのチャネルに対応しているのか事前に把握することが重要です。
チャットは以下のようなサポートチャネルで導入することが可能です。
・Webブラウザ |
複数のチャネルで導入することができるため、利用して欲しいターゲット層に合わせて検討できます。
9-4.データ分析機能が充実しているか
チャット導入後の改善点や課題を明確にするためには、データ分析機能が充実しているチャットシステムを選ぶことが重要です。搭載されているデータ分析機能はチャットシステムによって異なりますが、以下のようなデータを蓄積できます。
・使用チャネルの種類 |
これにより、どのチャネルから利用されるのか、よくある質問は何かを分析し、チャットの運営に役立てることができます。
また、オペレーター別の分析機能があるシステムを選ぶのもおすすめです。オペレーターごとの勤務状況や対応履歴を把握できるため、現状の可視化が可能になり、改善点や課題の発見が容易になります。
10.チャットとチャットボットを併用にはDEC supportがおすすめ
最後に、トランスコスモスの「DEC support」をご紹介します。
「DEC support」は、チャットとチャットボットの切り替えが可能なチャットソリューションです。Webチャットだけではなく、LINEやFacebook Messengerなどの複数チャネルにも対応しております。
長年にわたってさまざまなチャットツールを利用してきた経験から、顧客とオペレーター両者の利便性にこだわって開発されました。
このチャットボットはシナリオ型だけでなく、FAQ型や自然言語型での複合対応が可能で、顧客の質問に応じた解決策へと誘導します。もし、チャットボットだけでは解決が難しい場合には、オペレーターへの切り替えが可能で、スムーズな導線を構築することができます。
さらに、オペレーターがチャット対応を行う際には、誤字を防ぐための文章構成機能が搭載されていますこの機能は、入力した日本語の文章を解析し、間違った表現や不適切な表現を視覚的に確認できるため、オペレーターの使い勝手の良さも追及しています。
分析においては、コンタクトセンター(コールセンター)のKPI管理に必要な対応時間データや、30分間隔での件数データを取得することが可能です。
「DEC support」について詳細を知りたい場合は、以下より資料ダウンロードすることが可能です。チャット導入サポートや運営も含めたアウトソーシングサービスも提供していますので、ぜひ一度ご検討ください。
まとめ
いかがでしたか?コンタクトセンター(コールセンター)で需要が高まっているチャットについて把握でき、導入の検討が進んだことと思います。
最後にこの記事の内容を以下のようにまとめました。
◎コンタクトセンターで導入できるチャットとは、Webブラウザやスマートフォンの画面上で文字入力を通じて問題解決をする方法。オペレーターによる有人対応で、顧客に寄り添った回答が可能。
◎コンタクトセンターで導入できるチャットボットとは、リアルタイムで使用できる自動会話プログラムのこと。無人対応で、事前に登録しておいた回答を提示し問題解決を図る。
◎チャットとチャットボットの主な違いは下記の通り
チャット | チャットボット | |
回答の内容 | 顧客の質問内容に応じて柔軟に対応できる | あらかじめ登録しておいた回答しか提示できない |
回答の速度 | オペレーターがテキスト入力をするため、チャットボットより時間がかかる | 登録しておいた回答を提示するだけなので、迅速な対応が可能 |
対応時間 | 24時間対応にすると負担がかかる | 無人対応なので人的な負担がなく24時間問い合わせ対応ができる |
◎コンタクトセンターにチャットを導入するメリットは次の5つ
1)スピーディーで顧客の手間が少ない対応ができるため、顧客満足度の向上につながる |
◎コンタクトセンターで活用できるチャットの種類は次の2つ
1)プロアクティブチャット:Webサイトに滞在している顧客に対してオペレーター側からアプローチを行う方法 |
◎コンタクトセンターにチャットを導入するデメリットは次の2つ
1)マニュアルの作成やオペレーターへの教育が必要 |
◎コンタクトセンターにチャットを導入する方法は次のとおり
1)プロアクティブチャット:Webサイトの滞在時間やサイト導線遷移などのデータをトリガーとして、顧客にアプローチを開始する |
◎コンタクトセンターにチャットを導入するときのポイントは次の5つ
1)チャットの導入目的を明確化する |
◎チャットシステムを選ぶときのポイントが次の4つ
1)顧客が利用しやすい表示ができるかどうか |
この記事を参考にして、コンタクトセンターにチャットを導入するべきかを判断し、より理想的なコンタクトセンター運営が実現できることを願っています。