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【完全ガイド】コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラと業務システム

この記事で学べること
  • コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラと業務システム:通話関連設備(PBX、IVR、ACD、CTI)、回線・ネットワーク環境(電話番号・IP電話回線、インターネット回線、LAN・VPN環境、端末機器)、セキュリティ・運用基盤(ファイアウォール、データバックアップ体制、仮想サーバー)を含む計24の要素を解説。
  • コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラを失敗なく導入するための注意点:オペレーターや管理者が使いやすいUIのシステム選定が重要。直感的に操作できるシステムが生産性の向上と顧客満足度に直結する。また、自社の業種や規模に合った経験豊富な専門業者に依頼することで、業界特有の課題に対応できる運用が実現する。

「コンタクトセンターの立ち上げに何を準備すればよいかわからない」
「インフラとシステムの違いが曖昧で、整理できていない」

そんなお悩みをお持ちの方に向けて、本記事ではインフラと業務システムの各要素を明確にしながら、導入のポイントをわかりやすく解説します。そんなお悩みをお持ちの方に向けて、本記事ではインフラと業務システムの違いを明確にしながら、導入のポイントをわかりやすく解説します。

目次 [非表示]

1.コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラと業務システム一覧

コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラと業務システム一覧

コンタクトセンター(コールセンター)の立ち上げには、通信・ネットワークなどの「インフラ」と、顧客対応や情報管理を支える「業務システム」の両方が必要です。ここでは、それぞれの役割と構成要素をジャンル別に整理します。

インフラ(通話・ネットワークの基盤)

コンタクトセンターの運営を支える技術的な土台
通話や通信が安定して行える環境を整えることが目的

通話関連設備

・PBX(構内交換機)
・IVR(自動音声応答システム)
・ACD(着信呼自動分配装置)
・CTI(電話とPCの連携)

回線・ネットワーク環境

・電話番号・IP電話回線
・インターネット回線
・VPN・LAN環境
・パソコン・ヘッドセットなどの端末機器

セキュリティ・運用基盤

・ファイアウォール
・データバックアップ体制
・仮想サーバー

業務システム(顧客対応・情報管理の支援)

オペレーターの対応を支援し、顧客満足度を高めるための仕組み

顧客情報・ナレッジ管理

・CRM(顧客管理システム)
・FAQシステム
・ナレッジベース

オペレーター支援

・トークスクリプト
・応対履歴・分析レポート
・eラーニング・マニュアル管理

電話以外のチャネル・自動化ツール(必要に応じて導入)

顧客接点の多様化や業務効率化を目的としたツール群

顧客接点の拡張

・メール対応システム
・Webチャット・チャットボット
・SNS連携(LINE、Xなど)
・オムニチャネル統合ツール

業務効率化・自動化

・RPA(定型業務の自動化)
・ワークフロー管理ツール
・自動レポート生成ツール

これらのインフラと業務システムを適切に整備し、連携させることで、安定した運営と高品質な顧客対応が可能になります。次章では、それぞれの要素について詳しく解説していきます。

2.コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【通話関連設備】

コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【通話関連設備】

コンタクトセンター(コールセンター)の立ち上げにおいて、通話関連のインフラは顧客との接点を支える最も重要な基盤です。ここでは、代表的な4つの通話関連インフラについて、その役割と導入効果を紹介します。

コンタクトセンターに必要なインフラ【通話関連システム編】

・PBX(構内交換機)
・IVR(自動音声応答システム)
・ACD(着信呼自動分配装置)
・CTI

2-1.PBX(構内交換機)

コンタクトセンターに必要な通話システムの1つめは「PBX(構内交換機)」です。
PBXとは、コールセンターの立ち上げにおいて、通話関連のインフラは顧客との接点を支える最も重要な基盤です。

PBXの機能概要

PBXを導入することで、以下の2つの機能を実現できます。

PBXでできること

1.代表番号の着信を特定の電話機に割り当てる
2.電話番号ごとの発着信ルールを設定する

PBXの導入により、通話管理の効率化と応答率の向上が実現し、機会損失の防止にもつながります。

参考:PBXとは?初心者向けに仕組み・種類・選び方をわかりやすく解説!

2-2.IVR(自動音声応答システム)

コンタクトセンターに必要な通話システムの2つめは「IVR(自動音声応答システム)」です。
IVRとは、顧客からの電話に対して、録音された音声ガイダンスで自動対応するシステムです。オペレーターの負荷軽減と対応の自動化に貢献します。 

IVRの機能概要

IVRを導入することで、以下の3つの機能を実現できます。

IVRができること

1.音声ガイダンスによる自動受付・案内
2.プッシュ操作による用件の振り分け
3.担当部署への自動転送
4.24時間対応の実現

このように、オペレーターが対応しなくても上記のように音声ガイダンスによる自動化が実現され、取次ぎが不要になることで、コンタクトセンターの業務効率化に寄与します。

【IVRの活用例】

・基本的な銀行取引:残高照会、入出金明細の確認、振込など
・病院の予約受付:診療科の選択、希望日時の入力などを自動受付
・ホテルの宿泊予約:宿泊日、部屋タイプ、人数などを受付
・クレジットカードの紛失・盗難受付:24時間体制で緊急の利用停止手続きを自動化

参考:IVRとは?コールセンターにおけるメリット・デメリット

2-3.ACD(着信呼自動分配装置)

コンタクトセンターに必要な通話システムの3つめは「ACD(着信呼自動分配装置」です。
ACDは、顧客からの着信をオペレーターの状況やスキルに応じて自動的に振り分けるシステムです。対応の最適化により、顧客満足度の向上が期待できます。

ACDの機能概要

ACDを導入することで、以下の5つの機能を実現できます。

ACDができること

1.オペレーターの空き状況に応じた着信分配
2.スキルベースでの振り分け
3.顧客情報に基づく優先順位設定
4.待ち呼・時間外ガイダンスの自動再生

参考:コールセンター用語「ACD」とは?導入メリットと活用方法を解説

2-4.CTI

コンタクトセンターに必要な通話システムの4つめは「CTI」です。
CTIは、電話回線とコンピュータを連携させることで、着信時に顧客情報を画面に表示する仕組みです。対応の質とスピードを大きく向上させます。

CTIの機能概要

このCTIを導入すれば、以下の4つができるようになります。

CTIができること

1.顧客情報のポップアップ表示
2.クリック発信による操作簡略化
3.オートコールによる自動架電と接続
4.応答履歴の確認と対応内容の予測

このように、CTIの導入により、オペレーターの生産性が向上し、顧客対応の精度と満足度が高まります。

参考:CTIとは? 何に役立つ?どう選ぶ?導入判断を助ける基礎知識を解説

3.コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【回線・ネットワーク環境】

コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【回線・ネットワーク環境】

コンタクトセンター(コールセンター)の運営には、安定した通話とデータ通信を支える回線・ネットワーク環境の整備が不可欠です。ここでは、電話番号・IP電話回線、インターネット回線、VPN・LAN環境、端末機器の4つの要素について解説します。

コールセンターに必要なインフラ 【回線サービス編】

・電話番号・IP電話回線
・インターネット回線
・VPN・LAN環境
・PC・ヘッドセットなどの端末機器

3-1.電話番号

コンタクトセンターで使用される電話番号には複数の種類があり、それぞれに特徴と費用負担の違いがあります。以下の表を参考に、自社の目的に合った番号を選定しましょう。

【コンタクトセンターが使用する電話番号の種類】

種類

番号

費用の負担

特徴

ナビダイヤル

0570 

顧客側

全国共通番号。通話料は顧客負担

着信課金番号
(フリーダイヤルなど)

0120/0800

企業側

顧客の通話料が無料。問い合わせ促進に有効

IP電話番号

050 

顧客側

インターネット回線を利用。コスト削減に有効

固定電話

03/06など

顧客側

地域性を持たせた番号。地域密着型の対応に適する

また、IP電話回線は、音声をデジタル信号に変換し、インターネット回線を通じて通話を行う仕組みです。通話コストの削減やクラウドPBXとの連携に優れており、柔軟な運用体制の構築に役立ちます。

3-2.インターネット回線

コンタクトセンターでは、通話だけでなく、CRMやFAQシステムなどの業務ツールを安定して利用するために、高速かつ安定したインターネット回線の整備が不可欠です。特にクラウド型のシステムを導入している場合、通信品質が顧客対応のスピードや正確性に直結します。

インターネット回線の選定では、回線速度・安定性・冗長性(バックアップ回線の有無)などが重要なポイントです。回線が不安定だと、通話の途切れやシステムの遅延が発生し、顧客満足度の低下につながります。

また、複数拠点や在宅勤務を行う場合は、拠点ごとの回線品質のばらつきにも注意が必要です。必要に応じて、法人向けの専用線やSLA(サービス品質保証)付きの回線を選ぶことで、安定した運用が可能になります。

3-3.LAN・VPN環境

LAN(Local Area Network)は、社内のPCや業務システムを接続する構内ネットワークで、オペレーター間の情報共有やシステム連携を円滑にする役割を担います。特に、CTIやCRMなど複数のシステムを連携させる場合、LANの構成が業務効率に大きく影響します。

VPN(Virtual Private Network)は、外部から社内システムに安全にアクセスするための仕組みで、在宅勤務や複数拠点の連携に欠かせないインフラです。VPNを導入することで、インターネット経由でも社内ネットワークと同様の環境で業務が行えるようになります。

さらに、セキュリティ対策としては、ファイアウォールの設置やアクセス権限の管理も重要です。VPNとLANを適切に構築・運用することで、安全性と業務効率の両立が可能になります。

3-4.PC・ヘッドセットなどの端末機器

オペレーターが業務を行うためには、パソコンやヘッドセットなどの端末機器の整備も欠かせません。これらの機器は、通話品質や操作性に直結するため、性能や使いやすさを考慮した選定が重要です。

パソコンは、CRMCTIなど複数の業務システムを同時に操作するため、処理速度・メモリ容量・画面サイズなどが業務効率に影響します。ヘッドセットは、長時間の通話に耐えられる装着感・音質・ノイズキャンセリング機能が求められます。

また、端末機器の整備は、オペレーターのストレス軽減や離職防止にもつながります。快適な作業環境を整えることで、対応品質の向上だけでなく、職場満足度の向上にも寄与します。

このように、回線・ネットワーク環境は、コールセンターの安定運営と顧客対応の品質を支える技術的な基盤です。次章では、顧客対応や情報管理を支える業務システムについて解説します。

4.コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【セキュリティ・運用基盤】

コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラ【セキュリティ・運用基盤】

コンタクトセンター(コールセンター)では、顧客情報や通話履歴など、機密性の高いデータを日常的に扱うため、セキュリティと運用の安定性を支える基盤の整備が不可欠です。ここでは、代表的な3つの要素について解説します。

コンタクトセンターに必要なインフラ【セキュリティ・運用基盤】

・ファイアウォール
・データバックアップ体制
・FTPサーバーとクラウドストレージ

4-1.ファイアウォール

ファイアウォールは、社内ネットワークと外部インターネットの間に設置されるセキュリティの防壁です。外部からの不正アクセスやマルウェアの侵入を防ぎ、顧客情報や業務システムを守る役割を担います。

コンタクトセンター(コールセンター)では、以下のような場面でファイアウォールが活躍します。

・オペレーターが使用するパソコンの通信を監視・制御
・外部からのアクセスを制限し、社内システムを保護
・特定のIPアドレスやポートへの通信を遮断

ファイアウォールの導入により、サイバー攻撃のリスクを低減し、安心して業務を行える環境が整います。

4-2.データバックアップ体制

コンタクトセンターでは、通話録音データ、顧客情報、対応履歴など、消失すると業務に大きな支障をきたすデータが多数存在します。これらを守るためには、定期的なバックアップ体制の構築が不可欠です。

■バックアップ体制のポイント

・毎日、毎週など、業務に応じた頻度で自動バックアップを実施
・異なる場所(オンプレミス+クラウド)にデータを分散保存
・復元テストを定期的に行い、万が一の際に迅速な復旧が可能な状態を維持

バックアップは、システム障害・人的ミス・災害などのリスクに備える“保険”のような存在です。

4-3.仮想サーバー

仮想サーバー環境は、コンタクトセンターの運用基盤として、業務システムやデータ管理を支える重要なインフラです。物理サーバー上に仮想的なサーバーを構築することで、柔軟なリソース管理と高い可用性を実現します。

代表的な構成としては、「アマゾン ウェブ サービス(以下AWS)」などのクラウドサービスや、社内に設置されたオンプレミス環境が挙げられます。

仮想環境は、複数拠点や在宅勤務など多様な働き方にも対応でき、運用の柔軟性とセキュリティを両立させることが可能です。

■仮想サーバー環境の利点

・必要に応じたリソースの割り当てと拡張が容易
・セキュリティポリシーの統一とアクセス制御の強化
・障害発生時の迅速な復旧(スナップショット・レプリケーション機能)
・クラウド環境との連携による災害対策と運用効率の向上

AWSなどのクラウドサービスを活用することで、地理的に分散したデータセンターによるリスク分散も可能となり、BCP(事業継続計画)にも貢献します。

仮想サーバー環境は、コンタクトセンターの信頼性と継続性を支える“裏方”のインフラです。次章では、顧客対応や情報管理を支える業務システムについて解説します。次章では、顧客対応や情報管理を支える業務システムについて解説します。

参考:日本最大の “AWS を学ぶイベント”AWS Summit Japanにトランスコスモスが登壇!事例セッションを実施

5.コンタクトセンター(コールセンター)に必要な業務システム【顧客情報・ナレッジ管理】

コンタクトセンター(コールセンター)に必要な業務システム【顧客情報・ナレッジ管理】

コンタクトセンター(コールセンター)では、顧客対応の質を高めるために、顧客情報の一元管理と、ナレッジの共有・活用を支える業務システムの整備が重要です。ここでは、代表的な3つのシステムについて解説します。

コンタクトセンターに必要な業務システム【顧客情報・ナレッジ管理】

・CRM(顧客管理システム)
・FAQシステム
・顧客情報・ナレッジ管理

5-1.CRM(顧客管理システム)

CRMは、顧客との関係性を管理・分析するためのシステムで、氏名や連絡先などの基本情報から、過去の問い合わせ履歴、購入履歴、VOC(顧客の声)までを一元管理できます。

CRMの主な機能

・顧客情報の登録・更新・検索
・応対履歴の記録と参照
・CTIとの連携によるポップアップ表示(着信時に顧客情報を自動表示)
・データ分析による傾向把握(問い合わせ内容、対応時間、満足度など)

CRMを活用することで、オペレーターは顧客の状況を瞬時に把握し、パーソナライズされた対応が可能になります。結果として、対応のスピードと精度が向上し、顧客満足度の向上につながります。

参考:コールセンター向けCRMとは?機能、導入メリット、選び方を解説

5-2.FAQシステム

FAQシステムは、よくある質問とその回答を体系的に管理・提供するための仕組みです。顧客が自己解決できる環境を整えることで、オペレーターの負荷軽減と対応効率の向上が期待できます。

FAQシステムの主な機能

・質問と回答のデータベース化
・キーワード検索機能
・カテゴリ分類による整理
・回答内容の更新管理
・アクセス分析(よく見られている質問、検索傾向など)

このようにFAQシステムを導入することで、定型的な問い合わせへの対応を標準化し、対応時間の短縮と顧客の自己解決率の向上が実現します。

参考:FAQの有効活用によって企業のコミュニケーションを大きく進化させる

5-3.ナレッジベース

ナレッジベースは、オペレーターが業務を行う上で必要な情報やノウハウを蓄積・共有するための仕組みです。FAQよりも広範な情報を扱い、社内向けの業務支援に特化しています。

■ナレッジベースの主な活用例

・応対マニュアルやスクリプトの共有
・商品・サービスに関する詳細情報の蓄積
・過去の対応事例やトラブルシュートの記録
・新人教育や研修資料の管理

ナレッジベースが整備されていることで、オペレーター間の情報格差が解消され、対応品質の均一化と教育コストの削減が可能になります。

顧客情報・ナレッジ管理の仕組みは、コンタクトセンターの対応力と組織力を高める“知的インフラ”です。

6.コンタクトセンター(コールセンター)に必要な業務システム【オペレーター支援】

コンタクトセンター(コールセンター)に必要な業務システム【オペレーター支援】

コンタクトセンター(コールセンター)の対応品質は、オペレーターのスキルや知識に大きく左右されます。そこで重要になるのが、オペレーターの業務を支援し、対応力を底上げするための仕組みです。ここでは、代表的な3つの支援ツールについて解説します。

コンタクトセンターに必要な業務システム【オペレーター支援】

・トークスクリプト
・応対履歴・分析レポート
・eラーニング・マニュアル管理

6-1.トークスクリプト

トークスクリプトは、顧客との会話の流れや使用すべき言葉遣いを示した応対のガイドラインです。新人オペレーターでも自信を持って対応できるよう、標準化された対応フローや言い回し、分岐シナリオが用意されています。

【トークスクリプトの具体例】

トークスクリプトの具体例

この具体例のように、トークスクリプトは単なる決まった会話の流れではなく、さまざまな状況に対応できるよう設計されています。

■トークスクリプトの活用効果

・応対品質の均一化とブランドイメージの維持
・新人教育の効率化と即戦力化
・複雑な問い合わせへの対応力向上
・顧客満足度の安定化

状況に応じた複数パターンのスクリプトを用意することで、例外対応や感情的な顧客への応対にも柔軟に対応できるようになります。

参考:コールセンターのトークスクリプト|作成手順からトーク文例まで解説

6-2.応対履歴・分析レポート

応対履歴や分析レポートは、コールセンターの運営状況を数値と記録で可視化する仕組みです。定期的なレポート作成により、業務の改善点や対応品質のばらつきを把握できます。

【主な分析項目】
・着信数・応答数・応答率
・平均通話時間・保留時間・後処理時間
・顧客満足度(CSAT)・VOC(顧客の声)
・オペレーター別の対応実績・傾向

これらのデータをもとに、業務改善や教育方針の見直し、シフト調整などの運営判断が可能になります。

6-3.eラーニング・マニュアル管理

eラーニングやマニュアル管理システムは、オペレーターの継続的なスキル向上と情報共有を支える教育・ナレッジツールです。特に多拠点・在宅勤務体制では、オンラインでの教育環境の整備が不可欠です。

eラーニング・マニュアル管理の主な機能

・応対マニュアルや業務手順書の共有・更新
・動画やクイズ形式によるeラーニングコンテンツ
・進捗管理と理解度チェック
・新人研修・定期教育の標準化

これらの仕組みにより、教育コストの削減と対応品質の底上げが実現し、オペレーターの定着率向上にもつながります。

オペレーター支援の仕組みは、人材の育成と対応品質の安定化を支える“組織力強化のインフラ”です。

7.コンタクトセンター(コールセンター)における電話以外のチャネル・自動化ツール

コンタクトセンター(コールセンター)における電話以外のチャネル・自動化ツール

これまで、電話を中心としたコンタクトセンター(コールセンター)のインフラや業務システムについて紹介してきました。しかし、顧客との接点は電話だけに限らず、メール、チャット、SNSなど多様化しています。

顧客は自分にとって使いやすいチャネルを選び、企業とのコミュニケーションを求めるようになっており、コンタクトセンター側もそれに応じた対応が求められています。

本章では、電話以外のチャネルを活用するために必要なシステムや自動化ツールについて解説します。

電話以外のチャネル・自動化ツール

顧客対応関連

・メール対応システム
・Webチャット・チャットボット
・SNS連携(LINE、Xなど)
・オムニチャネル統合ツール

業務効率化・自動化

・RPA(定型業務の自動化)
・ワークフロー管理ツール
・自動レポート生成ツール

7-1.顧客対応関連

コンタクトセンターの顧客対応は、電話だけでは不十分な時代になっています。顧客は自分にとって使いやすいチャネルを選び、企業とのコミュニケーションを求めるようになっており、センター側もそれに応じた対応が求められています。

ここでは、電話以外のチャネルで顧客対応を行う際に必要なシステムやツールについて、代表的な4つのカテゴリに分けて紹介します。

メール対応システム

メールは、非同期で対応できるチャネルとして、今なお多くの顧客に利用されています。特に、詳細な説明が必要な問い合わせや、資料のやり取りを伴うケースでは、電話よりもメールの方が適していることが多いです。

主な機能

・件名や本文のキーワードによる自動振り分け・タグ付け
・よくある問い合わせに対応するテンプレート管理・自動返信
・過去のやり取りを蓄積・検索できる履歴管理機能

導入メリット・効果

・対応の抜け漏れ防止と業務の効率化
・顧客ごとの履歴を参照し、一貫性のある対応が可能
・非同期対応により、業務負荷の分散が可能

活用シーン

・商品仕様や契約内容に関する詳細な問い合わせ
・添付ファイルを伴う申請や資料請求
・クレーム対応や履歴確認が必要なケース

Webチャット・チャットボット

Webチャットは、顧客がWebサイト上でリアルタイムに問い合わせできるチャネルとして急速に普及しています。チャットボットを組み合わせることで、対応の自動化が進み、人的リソースの最適化が可能になります。

主な機能

・FAQ対応に適したルールベース型チャットボット
・自然言語処理による柔軟な応答が可能なAI型チャットボット
・チャット履歴の蓄積と有人対応へのスムーズな引き継ぎ

導入メリット・効果

・24時間365日の対応が可能
・定型的な問い合わせを自動化し、オペレーターの負担を軽減
・多言語対応によるグローバルな顧客サポート

活用シーン

・商品の使い方やトラブルシューティングの案内
・キャンペーン情報の自動案内
・会員登録やパスワード再設定などの手続き支援

参考:企業のコミュニケーション課題をチャットで解決する

SNS連携(LINE、Xなど)

SNSは、顧客が日常的に利用しているプラットフォームであり、企業との接点としても非常に有効です。LINEやX(旧Twitter)などを活用することで、より自然な形で顧客とつながることができます。

主な機能

・LINE公式アカウントやXのDMによる問い合わせ受付
・新商品情報やキャンペーンのプッシュ通知・情報配信
・投稿やコメントを通じた顧客の声の収集

導入メリット・効果

・顧客との距離が縮まり、エンゲージメントが向上
・若年層やスマホユーザーへのリーチが強化
・顧客満足度とブランド認知の向上

活用シーン

・LINEでの問い合わせ対応や自動応答
・SNS上でのキャンペーン告知やアンケート実施
・顧客の投稿を分析し、商品改善に活用

参考:SNS運用とは?重要性と成功事例、具体的な取り入れ方まで徹底解説

オムニチャネル統合ツール

複数のチャネルを活用する際に課題となるのが「情報の分散」です。電話、メール、チャット、SNSなど、それぞれのチャネルで顧客対応を行っていると、対応履歴や顧客情報がバラバラになり、対応の一貫性が損なわれる恐れがあります。

そこで導入が進んでいるのが「オムニチャネル統合ツール」です。

主な機能

・電話・メール・チャット・SNSなどのチャネル統合管理
・顧客属性・対応履歴・購買履歴などのプロファイル統合
・対応件数や満足度などを可視化する分析・レポート機能

導入メリット・効果

・オペレーターの業務効率が向上し、対応品質が安定
・顧客がどのチャネルを使っても一貫性のある対応が可能
・データに基づいた戦略的な運営が可能

活用シーン

・複数チャネルを活用している企業の顧客対応統合
・顧客満足度向上を目指すカスタマーサクセス施策
・マーケティング部門との連携による顧客理解の深化

このように、電話以外のチャネルを活用することで、顧客との接点を広げ、より柔軟で質の高い対応が可能になります。コンタクトセンターの運営においては、これらのツールを適切に組み合わせ、顧客体験の向上と業務効率の両立を目指すことが重要です。

参考:オムニチャネルとは?導入するべきかどうかの基礎知識を一挙解説!

7-2.業務効率化・自動化関連

コンタクトセンターでは、顧客対応だけでなく、対応後の処理や管理業務も膨大です。これらの業務を効率化・自動化することで、限られた人材でも高品質な運営が可能になります。特に、定型業務の自動化や情報管理の最適化は、オペレーターの負担軽減と対応スピードの向上に直結します。

ここでは、業務効率化・自動化を支える代表的な3つのツールについて紹介します。

RPA(定型業務の自動化)

RPA(Robotic Process Automation)は、人間がPC上で行っている定型的な作業をソフトウェアロボットが模倣し、自動で実行する技術です。コンタクトセンターでは、対応後の事務処理やデータ入力など、繰り返し発生する業務に活用されています。

主な機能

データ入力・転記

・複数システム間での情報転記やフォームへの自動入力

データ抽出・集計

・Webサイトやデータベースからの情報収集、レポートの自動生成

ファイル管理

・ファイルのダウンロード・アップロード、フォルダ整理、ファイル名の一括変更

メール処理

・定型メールの自動送信、振り分け、添付ファイルの処理

導入メリット・効果

反復的な作業の自動化により、後処理時間を大幅に短縮
複数システム間の連携作業を自動化し、人的ミスを防止
・オペレーターや管理者の業務負荷を軽減し、対応に集中できる環境を構築

活用シーン

・顧客対応後のCRMや社内システムへのデータ登録
・日次・週次のレポート作成業務
・定型メールの送信やファイルの整理業務

参考:コールセンターとRPA|具体的な活用法や導入の注意点をくわしく解説

ワークフロー管理ツール

コンタクトセンターでは、問い合わせ対応後に社内の複数部署と連携して処理を進めるケースも多くあります。ワークフロー管理ツールは、こうした業務の流れを可視化・標準化し、スムーズな連携を支援します。

主な機能

業務プロセスの設計・可視化

・対応フローや承認ルートを明確にし、属人化を防止

タスクの自動割り当て・進捗管理

・対応状況をリアルタイムで把握し、遅延や抜け漏れを防止

通知・リマインダー機能

・対応期限や次のアクションを自動で通知

導入メリット・効果

業務の標準化と属人化の防止により、対応品質が安定
部門間の連携がスムーズになり、処理スピードが向上
進捗の可視化により、管理者の負担軽減と対応漏れの防止

活用シーン

・顧客からの要望を社内で処理する際のフロー管理
・クレーム対応や契約変更など、複数部署が関与する業務
・オペレーターの対応状況の把握と業務配分

自動レポート生成ツール

コンタクトセンターでは、対応件数や満足度、応答時間などのデータを定期的に集計・分析する必要があります。自動レポート生成ツールを導入することで、これらの作業を効率化し、迅速な意思決定を支援します。

主な機能

データの自動収集・統合

・複数のシステムから必要なデータを抽出し、一元化

レポートテンプレートの作成・自動出力

・定型フォーマットでのレポート作成を自動化

グラフ・可視化機能

・対応状況や傾向を視覚的に把握できるダッシュボード

導入メリット・効果

集計作業の自動化により、レポート作成時間を大幅に削減
リアルタイムでの状況把握が可能になり、迅速な対応判断が可能
・データに基づいた戦略的な運営・改善施策の立案が可能

活用シーン

・日次・週次・月次の対応件数や満足度の報告
・KPIの達成状況のモニタリング
・顧客対応の傾向分析と改善提案

このように、業務効率化・自動化ツールを活用することで、コンタクトセンターの運営はよりスマートかつ安定したものになります。顧客対応の質を保ちながら、限られたリソースで最大の成果を出すためには、こうしたツールの導入と運用が不可欠です。

8.コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラを失敗なく導入するための注意点

コンタクトセンター(コールセンター)に必要なインフラを失敗なく導入するための注意点

コンタクトセンター(コールセンター)の立ち上げには、通信・ネットワークなどのインフラと、業務を支えるシステムの両方が欠かせません。しかし、必要な構成要素を知っているだけでは、スムーズな導入は実現できません。

実際の導入では、操作性の低さや業者選定のミスマッチなど、見落としがちなポイントが後々の運用に大きな影響を与えることがあります。

この章では、コンタクトセンターのインフラ・システム導入を失敗なく進めるための注意点を2つに分けて解説します。

コンタクトセンターに必要なインフラを失敗なく導入するための注意点

・オペレーターや管理者が使いやすいUIのシステムを選ぶ
・自社の業種や規模に合った経験のある専門業者に依頼する

8-1.オペレーターや管理者が使いやすいUIのシステムを選ぶ

まず重要なのは、オペレーターや管理者が直感的に操作できるUI(ユーザーインターフェース)を備えたシステムを選ぶことです。UIが複雑だと、対応に時間がかかり、顧客満足度の低下につながります。

■UIが使いやすいシステムを選ぶメリット

・顧客対応に集中でき、業務効率が向上
・必要な情報にすぐアクセスでき、対応スピードが改善
・操作ミスやストレスが減り、オペレーターの定着率向上にも貢献

使いやすいシステムのUIの特徴は以下の通りです。

使いやすいUIの特徴

1.シンプルで直感的な操作性

・1画面で必要な情報を確認できる
・ワンクリックで機能にアクセス可能
・視認性の高い画面設計

2.効率的な情報アクセス

・顧客情報、対応履歴、マニュアルなどを統合
・複数チャネル(電話・メール・チャット)の情報を一元管理
・高性能な検索機能を搭載

3.業務フローに沿った設計

・オペレーターや管理者の作業手順に合わせた画面遷移
・よく使う機能を優先配置
・最小限の操作で完了できる動線設計

UIの使いやすさは、コンタクトセンターの生産性と顧客体験の質を左右する重要な要素です。導入前に、実際の操作画面を確認し、現場の声を反映した選定を行いましょう。

8-2.自社の業種や規模に合った経験のある専門業者に依頼する

次に重要なのが、自社の業種・規模に合った経験豊富な専門業者を選ぶことです。コンタクトセンターのインフラ・システム導入は、業界特有の要件や運用ルールを理解しているパートナーでなければ、スムーズに進みません。

■専門業者を選ぶメリット

・業界特有の課題や規制に対応できる
・運用後のトラブルを未然に防げる
・自社に最適なインフラ設計・システム構成を提案してもらえる

【コンタクトセンターのインフラ・システム導入を依頼する専門業者の選定ポイント】

1.実績と専門性

5〜10年以上の導入実績
自社業種に関する知識と経験があるか

2.提供サービスの品質

24時間365日対応や短期運用への柔軟な対応
必要な規模(席数)への対応力
電話・メール・チャット・SNSなど複数チャネルへの対応
システムの拡張性や柔軟性の提案力

3.信頼性とセキュリティ

・プライバシーマークなどの認証取得
・システムの安定性と事業継続性の確保

専門業者の選定は、導入の成否を左右する最重要ステップです。複数社を比較し、提案内容・対応力・サポート体制を総合的に判断しましょう。

コンタクトセンターのインフラ・システム導入ならトランスコスモスへ

トランスコスモスコンタクトセンターVol.13 担当者インタビュー記事のバナー

コンタクトセンターのインフラ・システム導入は、単なる設備投資ではなく、顧客体験の質を高める戦略的な取り組みです。特に、オペレーターや管理者が使いやすいUIや、業務フローに沿った設計は、現場の生産性と顧客満足度の向上に直結します。

一方で、導入には専門的な知識と経験が求められ、社内だけで完結するのは難しいケースも少なくありません。だからこそ、業界知見と現場理解を兼ね備えたパートナーの存在が、成功への鍵となります。

トランスコスモスでは、多様な業界・規模に対応したコンタクトセンターの構築・運用支援を行っています。インフラ設計からシステム導入、運用設計まで、ワンストップでサポートいたします。

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もし、貴社の業種や規模に合ったコンタクトセンターの立ち上げ・改善を検討されているなら、ぜひ一度ご相談ください。
インフラからシステム、運用設計までワンストップで支援いたします。

まとめ

この記事ではコンタクトセンター(コールセンター)のインフラ・システムの導入について、必要なものを一つずつ解説しました。以下に本記事のまとめを掲載します。

インフラ(通話・ネットワークの基盤)

コンタクトセンターの運営を支える技術的な土台
通話や通信が安定して行える環境を整えることが目的

通話関連設備

・PBX(構内交換機)
・IVR(自動音声応答システム)
・ACD(着信呼自動分配装置)
・CTI(電話とPCの連携)

回線・ネットワーク環境

・電話番号・IP電話回線
・インターネット回線
・VPN・LAN環境
・パソコン・ヘッドセットなどの端末機器

セキュリティ・運用基盤

・ファイアウォール
・データバックアップ体制
・仮想サーバー

業務システム(顧客対応・情報管理の支援)

オペレーターの対応を支援し、顧客満足度を高めるための仕組み

顧客情報・ナレッジ管理

・CRM(顧客管理システム)
・FAQシステム
・ナレッジベース

オペレーター支援

・トークスクリプト
・応対履歴・分析レポート
・eラーニング・マニュアル管理

電話以外のチャネル・自動化ツール(必要に応じて導入)

顧客接点の多様化や業務効率化を目的としたツール群

顧客接点の拡張

・メール対応システム
・Webチャット・チャットボット
・SNS連携(LINE、Xなど)
・オムニチャネル統合ツール

業務効率化・自動化

・RPA(定型業務の自動化)
・ワークフロー管理ツール
・自動レポート生成ツール

◆コンタクトセンターに必要なインフラ・システムを失敗なく導入するための注意点

・オペレーターや管理者が使いやすいUIのシステムを選ぶ
・自社の業種や規模に合った経験のある専門業者に依頼する

本記事がコンタクトセンターのインフラ・システムの導入にお役立てできれば幸いです。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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