
「営業リソースが足りない」
「立ち上げに時間がかかる」
「成果が安定しない」
このような課題を抱える企業にとって、外部パートナーの活用は有効な選択肢となり得ます。
昨今、営業活動の効率化や成果向上を目指すBtoB企業の間で、インサイドセールスの業務委託が注目を集めています。
インサイドセールスの業務委託とは、電話、メール、Web会議ツールなどを使ってリモートで顧客とコミュニケーションを取る「内勤の営業活動」を、外部の企業に委託することを指します。
本記事では、インサイドセールスを業務委託すべき企業の特徴や、委託によって成果を出した成功事例を交えながら、メリット・デメリット、導入時のポイントまでをわかりやすく解説します。
ぜひ最後までお読みください。
1.インサイドセールスの業務委託とは?

営業活動の効率化や成果向上を求める企業が増える中、BtoB企業では「インサイドセールス」の導入が注目されています。
インサイドセールスとは、電話・メール・オンライン商談などを活用し、非対面で見込み顧客との接点を築く営業手法です。主に営業プロセスの初期段階を担い、顧客の興味・関心を引き出し、商談化へとつなげる役割を果たします。
近年、BtoB企業の営業活動においてこのインサイドセールスの重要性が高まっており、従来の訪問型営業(フィールドセールス)と組み合わせることで、営業効率の向上やリード育成の強化が期待されています。
しかし、インサイドセールスの立ち上げには、人材の採用・教育、ツールの導入、運用体制の構築など、多くのリソースが必要です。特に営業部門のリソースが限られている企業や、短期間で成果を求めるプロジェクト型の企業にとっては、大きな負担となることも少なくありません。
そこで選択肢として浮上するのが、インサイドセールスの業務委託です。専門の委託先に業務を任せることで、初期投資を抑えつつ、即戦力の営業体制を構築することが可能になります。
(※外部委託やアウトソーシングと呼ばれることもあります)
特に、デジタルマーケティングの普及や営業活動のオンライン化が進む中で、インサイドセールスの重要性はますます高まっています。こうした流れの中で、専門性の高い外部パートナーに業務を委託することで、スピーディーかつ柔軟に営業体制を構築する企業が増えています。
2.インサイドセールスを業務委託するメリット

インサイドセールスの業務委託は、単なる外注ではなく、営業戦略の一部として活用することで、BtoB企業にとって大きな成果をもたらす可能性があります。ここでは、特に導入効果が高いとされる3つのメリットについて、具体的な背景や活用ポイントを交えて詳しく解説します。
【インサイドセールスを業務委託するメリット】 |
2-1.採用・教育・設備投資のコスト削減
1つ目のメリットは採用・教育・設備投資のコスト削減できる点です。
インサイドセールスを社内で立ち上げるには、まず適切な人材の採用が必要です。しかし、インサイドセールスに適した人材は、単なる電話対応ではなく、顧客の課題を引き出し、商談につなげるスキルが求められるため、採用難易度が高くなります。
加えて、採用後の教育・研修にも時間とコストがかかり、即戦力化には数ヶ月を要するケースも少なくありません。
さらに、業務に必要な環境整備も課題です。
CRM(顧客関係管理)やSFA(セールスフォースオートメーション)などの営業支援ツールの導入、通話録音やモニタリングの仕組み、トークスクリプトや対応マニュアルの整備など、初期段階での設備投資は想像以上に膨らみがちです。
これらをすべて社内で対応しようとすると、数百万円規模の予算が必要になることもあります。
業務委託を活用すれば、これらの初期コストを大幅に削減できます。
委託先はすでに体制やノウハウを持っており、ゼロから構築する必要がないため、スピーディーかつ低コストで営業活動をスタートできます。
特に、限られた予算で成果を求める中小企業や、新規事業の立ち上げフェーズにある企業にとっては、非常に合理的な選択肢です。
項目 | 社内での立ち上げ | 業務委託 |
採用コスト | 高い(人材確保が困難) | 不要 |
教育・研修 | 必要(時間・費用がかかる) | 委託先が実施済み |
ツール導入 | 初期投資が必要 | 委託先が保有 |
立ち上げスピード | 数ヶ月かかることも | 数週間で開始可能 |
2-2.顧客対応の品質向上と対応スピードの強化
2つ目のメリットは、顧客対応の品質向上と対応スピードの強化ができる点です。
インサイドセールスは、見込み顧客との最初の接点を担う重要なポジションです。対応の質が低ければ、せっかく獲得したリードが離脱してしまう可能性もあります。特にBtoBでは、初期対応の印象がその後の商談成否に大きく影響するため、対応品質は非常に重要です。
業務委託先の多くは、インサイドセールスに特化した専門チームを持っており、トークスクリプトや対応マニュアルが整備されているため、安定した品質で顧客対応が可能です。
対応スタッフは、業界知識や商材理解を事前にインプットされた上で業務にあたるため、単なる事務的な対応ではなく、営業的な視点を持ったコミュニケーションが可能になります。
また、対応スピードも委託の大きな強みです。
社内リソースでは対応が遅れがちな時間帯や繁忙期でも、委託先なら柔軟に対応でき、リードの取りこぼしを防ぐことができます。
さらに、対応履歴の記録やレポート提出など、業務の可視化が進むことで、マーケティング部門との連携も強化され、リード獲得から商談化までのプロセス全体がスムーズになります。
2-3.営業人材のリソース最適化と時間短縮
3つ目のメリットは営業人材のリソース最適化と時間短縮できる点です。
営業部門の人材は限られており、すべてのプロセスを社内で完結させるのは非効率です。インサイドセールス業務を委託することで、社内の営業担当者はクロージングや提案活動など、より成果に直結する業務に集中できます。
これは、営業活動の「分業化」による生産性向上の典型的な成功パターンです。
委託先がリードの選別や一次対応を担うことで、営業チームは質の高い見込み顧客に絞ってアプローチできるようになります。
たとえば、資料請求やセミナー参加者の中から、興味度の高い層を抽出し、営業にパスする仕組みを構築することで、営業の無駄打ちを減らし、成約率の向上につながります。
また、委託先との連携により、営業活動の可視化やレポート化も進みます。対応履歴や顧客の反応を定期的に共有することで、マーケティング部門との連携も強化され、全社的な営業戦略の精度が高まります。
さらに、委託先が蓄積してきた業界別の対応ノウハウやベストプラクティスを活用することで、社内では得られない視点や改善提案を受けられる点も大きなメリットです。単なる作業代行ではなく、営業パートナーとしての価値を発揮する委託先も増えています。
このように、インサイドセールスの業務委託は、コスト削減・対応品質の向上・営業効率の最大化という3つの観点から、BtoB企業にとって非常に有効な手段となります。
次章では、業務委託に伴う注意すべきポイントとその対策について詳しく見ていきましょう。
3.インサイドセールスを業務委託する際に注意すべきポイントと対策

インサイドセールスの業務委託には多くのメリットがありますが、委託を成功させるにはいくつかの注意点があります。ここでは、BtoB企業が委託を検討する際に押さえておくべき2つの重要なポイントと、それに対する具体的な対策を紹介します。
【インサイドセールスを業務委託するデメリット】 |
3-1.成果を左右するのは「運用設計の精度」
対策:自社に最適化された運用を委託先と共同で構築する
業務委託は、委託先に任せるだけでは成果が出にくく、自社の営業戦略や顧客特性に合わせた運用設計が不可欠です。たとえば、ターゲット顧客の業種・規模・課題感に応じて、アプローチ方法やトークスクリプトを調整する必要があります。
委託先と密に連携し、事前にヒアリング・分析を行うことで、自社に最適化された運用体制を構築することは十分可能です。以下のような設計項目を、委託前に明確にしておくことで、成果の再現性が高まります。
設計項目 | 内容 | 委託先との連携ポイント |
ターゲット定義 | 業種・規模・役職など | 顧客リストの精査・共有 |
トーク設計 | 課題喚起・商材訴求の順序 | スクリプトの共同作成 |
KPI設定 | 商談化率・対応件数など | 週次・月次でのレビュー体制 |
対応方針 | トーン・対応時間帯など | 運用マニュアルの整備 |
委託先と成果を出すための運用設計ポイント |
・自社の営業戦略を共有する |
3-2.社内にノウハウが蓄積されない
対策:情報共有・フィードバック体制の構築
業務委託では、顧客対応の履歴や反応が外部に蓄積されるため、社内にノウハウが残りにくいという懸念があります。特に、将来的に内製化を目指す企業や、営業活動を継続的に改善していきたい企業にとっては、委託期間中の学びが社内に還元されないことは大きな損失です。
この課題に対しては、情報共有とフィードバックの仕組みを構築することが重要です。委託先との連携を密にし、対応履歴や顧客の反応を定期的に社内にフィードバックすることで、ノウハウの蓄積と活用が可能になります。
【具体的な取り組み例】
・対応履歴の共有:CRMやSFAと連携し、委託先の対応ログを社内でも確認可能にする |
委託中でもノウハウを蓄積するには? |
・対応履歴を社内ツールに連携 |
このように、インサイドセールスの業務委託は、単なる外部任せではなく、自社の戦略に沿った設計と委託先との密な連携によって、成果を最大化できる営業手法です。
4.インサイドセールスの業務委託に向いている企業、内製に向いている企業

インサイドセールスの業務委託は、すべての企業にとって最適な手段とは限りません。委託によって成果を最大化できる企業もあれば、内製化の方が適している企業もあります。
ここでは、業務委託に向いている企業・向いていない企業の特徴を整理し、自社に合った判断ができるように解説します。
業務委託に向いている企業 | 内製に向いている企業 |
・ 一時的にインサイドセールスを立ち上げたい | ・インサイドセールスを社内資産として育てたい |
4-1.業務委託に向いている企業
まずはインサイドセールスの業務委託に向いている企業をご紹介します。
企業タイプ | 委託の目的 | 委託のメリット |
新規事業立ち上げ企業 | 一時的な営業体制構築 | スピード・初期コスト削減 |
プロジェクト型企業 | 限定期間で成果を出す | 専門チームによる短期成果 |
分業型営業体制の企業 | 業務効率化 | 提案・クロージングに集中可能 |
一時的にインサイドセールスを立ち上げたい企業
新規事業の立ち上げや、キャンペーン期間中など、短期的に営業体制を構築したい企業にとって、業務委託は非常に有効です。採用や教育に時間をかけず、すぐに稼働できる体制を整えられるため、スピード重視のプロジェクトに適しています。
また、社内に営業体制を持たない企業が、まずは市場反応を見たいというケースでも、業務委託はリスクを抑えたスタートが可能です。委託先のノウハウを活用することで、初期段階から一定の成果を見込める点も魅力です。
限定期間で成果を出したいプロジェクト型の企業
展示会後のフォロー、期間限定のリード獲得施策など、成果を短期間で求められるプロジェクト型の営業活動にも業務委託は向いています。委託先の専門チームが対応することで、限られた期間でも商談化率を高めることが可能です。
特に、マーケティング施策と連動した営業活動では、タイミングとスピードが重要です。社内で体制を整える時間がない場合でも、委託先なら即時対応が可能で、施策の効果を最大化できます。
営業活動の一部を外部に任せて効率化したい企業
既存の営業チームが提案やクロージングに集中できるよう、インサイドセールス業務だけを外部に任せる分業型の運用も効果的です。リード対応や一次ヒアリングを委託することで、営業効率が向上し、成果に直結する活動にリソースを集中できます。
このような分業体制は、営業人材の限られた企業にとって特に有効です。社内では対応しきれないボリュームのリードに対しても、委託先が対応することで、取りこぼしを防ぎ、営業機会を最大化できます。
インサイドセールスの業務委託が特に効果を発揮するケース |
・営業人材の採用が難しい |
4-2.インサイドセールスの内製に向いている企業
次にインサイドセールスの内製に向いている企業をご紹介します。
企業タイプ | 委託が不向きな理由 | 推奨される対応 |
内製化志向の企業 | ノウハウを社内に蓄積したい | 自社で体制構築・育成 |
高専門性商材の企業 | 顧客対応に専門知識が必要 | 専門人材による社内対応 |
インサイドセールスを社内資産として育てたい企業
インサイドセールスを単なる業務ではなく、社内の営業資産として長期的に育てたい企業には、業務委託は不向きな場合があります。自社でノウハウを蓄積し、営業戦略に深く組み込んでいくことを重視する企業では、内製化の方が成果につながりやすいです。
特に、営業活動を通じて社内に知見を蓄積し、他部門と連携して事業全体を成長させたいと考える企業では、外部委託では得られない学びや改善の機会が重要になります。
顧客対応に高い専門性やセンターリティが求められる商材を扱う企業
医療・金融・法務など、専門性が高く、顧客との信頼関係が重視される商材を扱う企業では、対応の質や深さが求められるため、業務委託では限界が生じることがあります。
こうした商材では、顧客の状況に応じた柔軟な対応や、専門知識を活かした提案が必要となるため、社内での対応が望ましい場合があります。
インサイドセールスの業務委託をする際に慎重な検討が必要なケース |
・顧客対応に高度な専門知識が求められる |
5.インサイドセールスの業務委託導入前後に確認すべきポイント

インサイドセールスの業務委託は、単なる外注ではなく「成果を出すための戦略的パートナーシップ」です。導入前後で確認すべきポイントを押さえることで、委託の効果を最大化し、社内との連携もスムーズに進められます。
【インサイドセールスの業務委託先を選ぶ3つのポイント】 |
5-1.自社課題に合った委託サービスを選定する
1つ目のポイントは、自社課題に合った委託サービスを選定ことです。
業務委託を成功させるためには、まず「自社が何に困っているのか」「どんな成果を求めているのか」を明確にすることが重要です。課題が曖昧なまま委託を進めると、期待とのギャップが生まれやすくなります。
■よくある課題と委託サービスの対応例
自社課題 | 委託サービスで解決できること | 成果イメージ |
アポ獲得率が低い | トークスクリプトの最適化 | アポ率1.5倍 |
営業リソースが足りない | 専任チームによる即戦力の提供 | 月間対応件数が2倍に |
顧客対応のばらつき | 品質管理体制による対応の均一化 | 顧客満足度の向上、クレーム減少 |
■チェックポイント |
5-2.導入前後の体制・条件を整える
2つ目は、導入前後の体制・条件を整えることです。
委託を成功させるには、委託先だけでなく「社内の受け入れ体制」も整っている必要があります。特に、情報共有やフィードバックの仕組みがないと、委託先との連携がうまくいかず、成果が出にくくなります。
導入前に整えるべき体制 | |
社内窓口の明確化 | 委託先との連絡・調整を担う担当者を決める |
KPIの設定 | アポ数、商談化率、対応件数など、成果指標を明確に |
顧客情報の共有ルール | CRM連携、個人情報管理、対応履歴の記録方法など |
導入後に確認すべきこと | |
定期的な振り返りミーティングの実施 | 月次・週次で成果報告と改善提案を受ける |
成果レポートのフォーマットと頻度 | 見やすく、比較しやすいレポート形式を事前に決定 |
改善提案の受け入れ体制 | 委託先からの提案を柔軟に取り入れる文化を醸成 |
5-3.委託先の実績・対応範囲・柔軟性を確認する
3つ目は、委託先の実績・対応範囲・柔軟性を確認することです。
委託先の選定では、「実績」「対応範囲」「柔軟性」の3つの観点が特に重要です。これらが揃っている委託先は、単なる作業代行ではなく、成果創出のパートナーとして機能します。
観点 | 確認項目 |
実績 | 同業種・同規模企業での導入事例があるか |
対応範囲 | 架電だけでなく、メール・SMS・フォーム対応なども可能か |
柔軟性 | スクリプトや対応時間のカスタマイズが可能か |
インサイドセールスの業務委託は、「任せる」だけではなく「共に成果を出す」ための選択です。導入前後の確認ポイントを丁寧に押さえることで、委託の効果を最大限に引き出し、社内の営業活動全体を底上げすることが可能になります。
「委託先は“実行力”だけでなく“柔軟性”があるかが鍵」となります。 固定型のサービスではなく、変化に対応できるパートナーかどうかを見極めましょう。
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まとめ
この記事では、インサイドセールスの業務委託に関する基礎知識から、メリット・デメリット、委託先の選び方までを幅広く解説してきました。ここで改めて、本記事の内容をおさらいしましょう。
◆インサイドセールスの業務委託とは
電話・メール・Web会議ツールなどを活用し、リモートで顧客とコミュニケーションを取る「内勤型の営業活動」を、外部の代行会社やフリーランスに委託することを指します。 |
◆インサイドセールスを業務委託する主なメリット
・採用・教育・設備投資のコスト削減 |
◆業務委託の注意点と対策
・成果を左右するのは目標設定の精度 |
◆インサイドセールスの業務委託に向いている企業、内製に向いている企業
業務委託に向いている企業 | 内製に向いている企業 |
・一時的にインサイドセールスを立ち上げたい | ・インサイドセールスを社内資産として育てたい |
◆インサイドセールスの業務委託先を選ぶポイント
・導入前後の効果を定量的に測定する |
インサイドセールスの業務委託は、営業活動の効率化と成果創出を両立できる有力な手段です。
委託の目的を明確にし、自社の課題に寄り添ってくれる信頼できるパートナーと連携することで、委託の効果を最大限に引き出すことができます。
本記事が、インサイドセールスの業務委託を検討中のご担当者様にとって、少しでも参考になれば幸いです。

