企業の
コミュニケーション課題を
チャットで解決する
トランスコスモスの
コンタクトセンター支援サービス
Vol.5
チャット導入・運用サービス [前編]
顧客や見込み顧客とのコミュニケーションにチャットの窓口を用意する企業が増えています。顧客にとって待ち時間なく問い合わせができるのがチャットの大きなメリットですが、単にチャット窓口を用意するだけでは導入時に想定していた成果を上げることができない場合も少なくありません。チャットをいかに上手に活用し、顧客満足度や新しい顧客体験を創出していくか──。トランスコスモスは、そういった視点でチャットの導入・運用をご支援しています。その支援サービスを中心で担っている二人に、企業のチャット活用の現状、そこにおける課題、その解決法などについて語ってもらいました。
横尾 大祐
トランスコスモス
CX事業統括 DX推進本部
DXソリューション統括部
コミュニケーションアーキテクト部 部長
伊良皆 高
トランスコスモス
CX事業統括 DX推進本部
DXソリューション統括部
コミュニケーションアーキテクト部 1課 課長
コミュニケーションにチャットを活用するメリットとは
顧客とのコミュニケーションにチャットを使う企業が増えています。まず、企業がチャットを活用することの意義についてお考えをお聞かせください。
横尾チャットはもともと、デジタルツールの扱いに慣れていて、電話で話すのが苦手な若年層向きのコミュニケーションツールであると言われていました。しかし、トランスコスモスが毎年行っている「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2022-2023」を見ると、チャット活用に関する世代差は年々小さくなっていることがわかります。つまり、チャットは若年層や日中忙しく電話を掛ける時間がない層だけでなく、どのような層に対しても有用なツールになっているということです。
顧客にとって、チャットは自分の都合がよい時間にコミュニケーションができるたいへん便利なツールです。電話の場合、時間帯によっては長い間待たなければならなかったり、結局つながらなかったりするケースも少なくありません。
もちろん、コンタクトセンターを運営している僕たちは、そういったことが極力起こらないよう要員配置を工夫したり、システムを駆使したりするなど、常日頃努力していますが、電話というツールの特性上、待たせてしまうのは致し方ないところもあります。その点、チャットは待つことなく、確実にコミュニケーションをとることができます。それによって顧客満足度(CS)の向上が期待できます。
伊良皆コンタクトセンターを運営する視点から見ると、コミュニケーションの効率化が図れるのがチャットの大きなメリットのひとつです。電話の場合、一人のオペレーターが同時に対応できるのは一人の相手だけですが、チャットは複数の相手と同時並行でコミュニケーションをとることができます。一人の顧客がチャットに書き込んでいる間に、別の顧客に返信するといったことが可能だからです。それによって業務が効率化し、コスト削減にもつながります。
企業のチャット活用にはどのようなバリエーションがありますか。
横尾マーケティング系とサポート系に大きく分けられます。例えば、LINEを使ってプッシュ型のお知らせをするのがマーケティング系の活用に該当します。定期的に顧客や見込み顧客とコミュニケーションを行って、商品やサービスの売り上げにつなげるための方法です。
一方、顧客の困りごとや質問に対応するのがサポート系の活用です。電話やメールに加えてチャットの窓口を用意することによって、サポートの機会を拡大することができます。
サポートにはまた、「新しい顧客体験(CX)の創出」という視点も求められます。困りごとや質問に対応するだけでなく、顧客がより便利になる仕組みを提供するということです。保険の請求、通販の商品変更、宅配の再配達依頼──。そういったことがチャットでできるようになると、よりスピーディかつ確実に顧客の要望に応えられるようになります。新しいCXを創出することによって、チャットをより多くの人に使ってもらえるようになると考えられます。
チャットには、チャットボットと、オペレーターが対応する有人チャットがあります。その組み合わせにはどのようなパターンがあるのでしょうか。
伊良皆先ほどメリットとして挙げたコミュニケーションの効率化は、有人チットのケースですが、最近増えてきているのは、問い合わせの内容などをチャットボットで尋ねたのちにオペレーターが対応するケースや、逆に最初はオペレーターが対応し、その後の定型コミュニケーションをチャットボットに委ねるといったケースです。もちろん、チャットボットで100%対応するケースもあります。商材のタイプや企業がどのようなコミュニケーションを望むかによって、いろいろなやり方を選択することが可能です。
チャット活用の
3つの課題とその解決法
企業のチャット活用にはどのような課題がありますか。
横尾大きく3つの課題があると考えられます。1つ目は「チャットを用意したけれど活用してもらえない」という課題、2つ目が「顧客が求める回答になかなかたどり着けない」という課題です。そして3つ目として、個人情報に関する課題が挙げられます。
1つ目の課題は、チャット窓口を用意していることが知られていないということでしょうか。
伊良皆そうです。チャットに至るコミュニケーション導線に問題があるために、顧客がチャット窓口を見つけることができない、あるいは、顧客がコンタクトセンターへ問い合わせをしようと思った際に問い合わせチャネルとして電話番号しか見つけられないといったケースが多いですね。例えば、問い合わせをしようと思って企業のホームページにアクセスしても、チャット窓口の案内が目立たないためにスルーしてしまうようなケースです。また、企業によっては、ホームページなどのデジタル接点が未整備という場合もあります。その際は、説明書や商品カタログにチャットにアクセスするためのQRコードをつけておくといった施策が必要になります。まずは、問題点がどこにあるのかを特定することが課題解決への第一歩になりますね。
2つ目は、チャットの精度の問題ということでしょうか。
横尾そう言っていいと思います。チャットにはさまざまなツールがあって、トランスコスモスも独自のツール「DEC Support」を開発しています。どのツールを選ぶかは、予算や重視する機能によって変わってきます。一般に、精度の高いチャットツールはより高価格になります。また、高価格帯のツールほど、独自にカスタマイズできる余地も多くなります。費用対効果を考えながら、最適なツールを選んでいくことが必要です。
3つ目の個人情報に関する課題とはどのようなものですか。
横尾お客様企業のチャット導入を支援する際、僕たちはチャット活用がどのくらい有効かを診断する「チャネル最適化診断サービス」を提供しています。診断の結果、従来の電話やメールのコミュニケーションの6割から7割をチャットに置き換えることが可能であると考えられるケースもあります。しかしその中には、問い合わせをしてきた人の個人情報を特定しないとコミュニケーションが成立しない場合が少なくありません。個人情報特定の必要があるために、あらためて電話窓口に誘導することになってしまっては、チャット窓口を設置している意味がなくなってしまいます。
電話の場合、会話の中で問い合わせをしてきた人の個人情報を聞くことができます。それができるのは、情報が外部に流出する危険性が少ないと考えられているからです。それに対してチャットは、一般にツールを提供しているベンダーのクラウドサーバー上で運用されるために、個人情報が第三者のもとに残ることになります。企業様がこれをセキュリティ上のリスクと捉えられることが多くあり、チャットで個人情報を聞くことが難しい理由となっています。
トランスコスモスは、それらの課題を解決できるのでしょうか。
横尾すべての課題に対応することが可能です。1つ目の課題に対しては、顧客がどのような導線を辿ってコンタクトセンターへ問い合わせをしているか、WEBサイトの構造に問題がないかといったことを特定する調査を行います。また2つ目に関しては、お客様企業のニーズや予算に基づいて最適なツール選定をアドバイスさせていただきます。
3つ目については、サポートテック企業のモビルスが開発した「Secure Path(セキュアパス)」 というソリューションを導入することで、チャットにおける個人情報管理の厳密化を実現しています。Secure Pathは、セキュリティ向上を担保する「PCI DSS認証」を取得しているソリューションで、これによって個人情報が外部に流出することを防げるので、チャットでも個人情報に基づいたコミュニケーションができるようになります。
【Secure Pathを使った事例はこちら】
チャットの周辺領域を含めたトータルなコンサルティング
課題解決力のほかに、トランスコスモスのチャット導入・運用サービスにはどのような強みがあるのでしょうか。
伊良皆まず、チャットの導入と運用支援に関して、非常に多くの実績があることが挙げられます。その知見に基づいて、お客様企業ごとに最適なご提案をし、最適なサポートをご提供することができます。
もう一点、支援をチャットの導入・運用に限定していないこともトランスコスモスのサービスの特徴です。先ほどの第一の課題について述べたように、ホームページなどにおけるチャット窓口までの導線を調査し、問題点があったら改善提案をさせていただきます。また、既存のFAQの内容を精査し、改善の道筋を示すこともできます。チャットだけでなく、その周辺領域を含めて最適なコミュニケーションの形をつくることができること。それがトランスコスモスの強みであると僕たちは考えています。
横尾導線設計、コミュニケーション設計をトータルでコンサルティングできる。そう表現してもいいかもしれませんね。
チャット導入・運用サービスを中心で担っているお二人の強みについてもそれぞれお聞かせいただけますか。
横尾これまで、さまざまなサービス開発やプロジェクトに関わる中で、社内各部署や社外のパートナーとの広範なネットワークを築いてきました。そういったつながりを活かして、お客様企業にとって最適なサービスを提供できるフォーメーションをつくれることが大きな強みだと自分では考えています。個人的な性格としては、必要なことは周囲の反感を買っても淡々と前に進めていける「鈍感力」があること。それが一番の強みかなと思っています(笑)。
伊良皆キャリアのスタートはコンタクトセンターでのオペレーター業務でした。その「現場感」があることが自分にとって大きな強みになっている気がします。電話やメール業務の経験もあるので、コミュニケーションチャネル全体を見渡して、どこにチャットを使うのが最適かを考えられることもできます。その「俯瞰力」も強みの一つだと思っています。
チャット運用の
KGIとKPI
チャットを新たに導入する場合、どのようなフローでの作業になるのでしょうか。
伊良皆まず、コンサルティング担当がお客様企業の要望やお悩みをお聞きして、最適なツールやサービスを選定しご提案します。その後僕たちチャット担当が、導入とその後の運用が軌道に乗るところまでをサポートします。チャット運用が軌道に乗るまでの期間は、おおむね3カ月から半年くらいです。そこまでをしっかり伴走させていただきます。その先は、各コンタクトセンターでの運用ということになりますが、チャットのメンテナンスや改善などには引き続き関わらせていただきます。
チャット運用においては、どのようなKGI、KPIが設定されることが多いのですか。
横尾「CS向上」をKGIとし、それを達成するために「応答率」「対応時間」「離脱率」「解決率」などの改善をKPIとするケースが多いですね。
伊良皆有人チャットの場合は、「応答率」や「対応時間」の向上がKPIとなります。問い合わせに対してどれだけ対応できたかを示すのが「応答率」で、一つの案件にどれだけ時間がかかったかを示すのが「対応時間」です。これらは電話窓口と共通する指標ですね。
一方、「離脱率」「解決率」は、主にチャットボットを活用する場合の指標です。チャットでコミュニケーションを進める過程で、なかなか必要とする情報に辿り着かなかったり、やり取りが面倒になったりして、途中で離脱してしまう人がいます。その割合が離脱率です。「解決率」は、求める情報に辿り着いて、問題が最終的に解決した人の割合です。離脱率をいかに下げ、解決率をいかに上げるか。それが重要なKPIになります。
商品やサービスの改善、あるいはコミュニケーションの品質向上にVOC(顧客の声)を活用する企業が増えています。チャットからVOCを収集して分析するケースも多いのでしょうか。
伊良皆チャットにはアンケート機能をつけることが可能です。やり取りが終わった後に、選択式で満足度を聞いたり、フリーコメントを書き込んでもらったりすることでVOCを集めることができます。
もう一つ、チャットからVOCを得る方法として、やり取りの履歴からキーワードなどを抽出するやり方があります。これには、トランスコスモスが導入しているVOC分析ツールを活用することが可能です。
【VOC分析・活用サービスついて詳しくはこちら】
横尾チャットはテキストコミュニケーションなので、電話よりもVOCを集められやすいと以前は考えられていました。しかし、ここ数年で音声認識の技術が格段に発達して、電話でのやり取りもテキスト化できるようになっています。ですから最近は、電話、メール、チャットを含むコミュニケーションチャネル全体でVOCを収集し、それらをまとめて分析、活用するという方法が主流になっていますね。
※本記事に記載されている情報は、2023年8月時点のものです
後編では、チャット活用によってもたらされる成果などを詳しく見ていきます
トランスコスモスはお客様企業のビジネスを成功させるため、あらゆる形で支援します。
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