「コールセンターで利用されているCRMってどんなシステム?」
「うちのコールセンターでもCRMの導入を検討しているけれど、どんな機能があって、どれを選べばいいのかよくわからない…」
コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)の業務に携わっていて、そのような疑問や悩みを抱いている方も多いのではないでしょうか?
「CRM」とは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略です。
コンタクトセンター(コールセンター)で「CRM」という場合は、「顧客情報や対応履歴、取引履歴などのデータを管理するITシステム」を指します。
具体的な機能としては、主に以下のようなものがあります。
・顧客情報、対応履歴、応対内容などを一元管理することができる
・CTI(電話回線とコンピュータを連携させるシステム)と連携させ、顧客対応の際に上記の情報を参照、把握することができる
・顧客との対応に関する各種データを集計、分析することができる
これを導入することで、「業務の効率化」「応対品質の向上」が実現できるため、多くのコンタクトセンターで活用されています。
そこでこの記事では、コンタクトセンター業務に携わる人がCRMについて知っておくべきことをまとめました。
まず最初に、以下のような基礎知識を説明します。
◎CRMとは何か
◎コンタクトセンターにおけるCRMの必要性
◎CTIとの違い
その上で、さらに次のような観点から深掘りしていきます。
◎コンタクトセンター向けCRMの機能
◎コンタクトセンターにおけるCRM導入のメリット
◎コンタクトセンター向けCRMの選び方
最後まで読めば、コンタクトセンターのスタッフとして必要なCRMの知識が得られるはずです。
この記事で、あなたのコンタクトセンターが最適なCRMを導入、活用できるよう願っています。
1.コンタクトセンター(コールセンター)向けのCRMとは
CRMは、いまや多くのコンタクトセンター(コールセンター)で導入されているITシステムです。
そこであらためて、「CRMとはどんなものか」を確認するところから始めていきましょう。
1-1.CRMとは
「CRM」とは「Customer Relationship Management(顧客関係管理)」の略です。
これには実は、以下の2つの意味があります。
1)顧客との関係(過去の連絡履歴、取引履歴、ニーズなどを含め)を管理・分析することで、その顧客に最適な商品やサービスを提供する経営戦略
2)上記1)のためのITシステム、ITツール
1)の意味を踏まえて、主に営業部門やマーケティング部門で使われることの多いものですが、コンタクトセンター(コールセンター)におけるCRMといえば、基本的には2)の意味と考えていいでしょう。
具体的にいえば、以下の機能を備えたシステムです。
・顧客情報、対応履歴、応対内容などを一元管理することができる
・CTI(電話回線とコンピュータを連携させるシステム)と連携することで、顧客対応の際に上記の情報を参照、把握することができる
・顧客との対応に関する各種データを集計、分析することができる
くわしい機能については、「2.コンタクトセンター(コールセンター)向けCRMの機能」で解説しますので、そちらを参照してください。
1-2.コンタクトセンター(コールセンター)におけるCRMの必要性
CRMは、コンタクトセンター業務において非常に役立つ有用なシステムですが、それはなぜでしょうか?
その理由は主に2つ考えられます。
◎顧客ニーズが多様化した
◎顧客を「リピーター」化する必要がある
それぞれ説明していきましょう。
顧客ニーズの多様化
インターネットが普及したことなどにより、社会は急速に情報化が進みました。
以前はマスマーケティングをもとに大量生産された商品やサービスを、多くの消費者が「右へならえ」で大量消費していました。
しかしながら、大量の情報があふれ、誰もがそれに触れることができる社会になると、顧客の前には無数の選択肢が広がり、それにともなって個々人の好みも多様化するようになったのです。
その結果、顧客それぞれの異なるニーズにこたえるために、より細かい顧客データを収集・分析するマーケティング手法が必要になってきました。そこで重要性を増したのが、顧客情報を管理する「CRM」だというわけです。
CRMを利用して、顧客それぞれの属性、対応履歴、購買履歴などをデータベース化することで、一人ひとりに最適なアプローチをし、ニーズに合った商品やサービスを提供することが可能になるのです。
顧客の「リピーター」化
商品やサービスの選択肢が増えるにつれ、顧客は定着せず、さまざまな商品を複数社で購入するなど「流動化」するようにもなりました。
となると、競合他社との間で顧客の奪い合いが生じてしまいます。
そこで、一度つかんだ顧客は逃さずに、「リピーター」(ファン)になってもらえるような働きかけが必要になります。
CRMで顧客情報を管理していけば、個人個人の細かいニーズや好み、購買傾向などを把握することができるため、顧客満足度をより高めることができるのです。
たとえば、顧客が好みそうな商品の情報を、適切な時期にお知らせすることによって「リピーター」として囲い込み、他者に流れていくリスクを回避することも可能でしょう。
以上の理由により、近年のコンタクトセンターではCRMの重要性がますます大きくなっているというわけです。
1-3.CTIとの違い
多くのコンタクトセンターでは、CRMを導入する際に、「CTI」というシステムと連携させて運用します。
この2つはよく混同されがちなため、ここでその違いを明確にしておきましょう。
「CTI」とは、「Computer Telephony Integration(コンピュータと電話機能の統合)」の略で、電話やファックスとコンピュータを連携させるシステムを指します。
かかってきた電話をコンピュータで制御・管理したり、通話相手の情報をコンピュータ上で閲覧・記録したりする機能を備えているため、多くのコンタクトセンター(コールセンター)では必要不可欠なシステムとして活用されています。
CRMとCTIの違いを表にまとめましたので、以下を見てください。
CRM | CTI | |
役割 | 顧客情報を管理・分析し、顧客に最適なサービスや商品を提供する | 電話回線とコンピュータを連携して、電話応対を自動化・効率化する |
主たる目的 | 顧客サービス、顧客満足度の向上 | 電話応対業務の効率化 |
対応チャネル | 電話に加えてEメール、チャット、SNS、郵便などあらゆるチャネルに対応 | 基本的には電話回線を使用する通話とファックスに特化 |
このように整理すると、CRMとCTIの違いは明確です。
ただ、実際にはCTIとCRMの機能や役割が重複している以下のようなケースもあります。
・簡単な顧客管理機能が備わったCTIシステム
・機能のひとつにCTIを含むCRMシステム
また、「1-1.CRMとは」でも前述したように、CTIとCRMを連携させて運用しているコンタクトセンターも多くあり、CTIとCRMは密接に関係したシステムだと言えるでしょう。
2.コンタクトセンター(コールセンター)向けCRMの機能
「1-1.CRMとは」では簡単に触れただけでしたが、CRMにはコンタクトセンター(コールセンター)業務に役立つさまざまな機能があります。
導入する際には、それらの機能のうち自社に必要なものが備わっているシステムを選んだり、自社向けにカスタマイズしたりして運用します。
そこで、どんな機能があるのか具体的に知っておきましょう。
2-1.顧客情報管理
まず、CRMのもっとも重要な機能として「顧客情報管理」が挙げられます。
顧客の氏名、住所、電話番号、年齢、勤務先、属性といった細かい情報を一元管理する機能です。必要に応じて特定の顧客情報を検索・閲覧することも可能です。
2-2.応対履歴管理
顧客情報管理とともに、その顧客の過去の問い合わせ履歴やオペレーターとの応対履歴、商品個入履歴を記録し管理する「応対履歴管理」機能もあります。
いつ、どんな内容の連絡があったか、何を買ったか、あるいは購入を検討中か、といった細かい情報を記録・管理します。
最近では、電話だけでなくメールやチャット、SNSなど多様なチャネルで顧客とコンタクトをとれるセンターが増えているため、CRMの中にも、これら多チャネルからのコンタクト情報をまとめて一元管理できるものが登場しています。
2-3.CTI連携機能
上記の2機能の説明でも触れましたが、CRMをコンタクトセンターで活用する場合、CTIとの連携が不可欠です。
この機能を利用することで、CRM、CTI相互の有用性が以下のようにより広がります。
◎着信と同時に、発信番号に該当する顧客の情報をオペレーターのモニター画面にポップアップ表示する
◎モニター画面に表示された顧客情報や応対履歴の電話番号をクリックするだけで架電できる
これにより、業務の効率化、顧客満足度の向上につなげることができます。
2-4.データ分析・集計機能
また、「データ分析・集計機能」では、顧客との応対内容や対応時間などさまざまなデータを集計し、以下のような切り口で分析することができます。
・顧客のニーズ
・顧客満足度
・問い合わせの傾向 など
これらをもとに、改善点や課題を洗い出したり、顧客満足度や応対品質の向上に役立てることが可能です。
2-5.セキュリティ
CRMが管理する情報は、顧客の個人情報や、企業にとって貴重なVOC(「Voice of Customer=顧客の声」)、売上や業績に関するデータといった機密性の高いものばかりです。
そのため、不測の情報漏洩や外部からの不正アクセス、データの改ざんなどを未然に防ぐことができる、強固なセキュリティ機能も備わっています。
◎データの暗号化
◎二段階認証
◎利用者アカウントにアクセスできるIPアドレスの制限
◎操作ログ(誰がいつどんな操作をしたか)の記録
これらの機能によって、セキュリティを強化しています。
3.コンタクトセンター(コールセンター)におけるCRM導入のメリット
CRMには便利な機能がさまざまあることがわかりました。
では、これを導入することで、コンタクトセンターやそこで働くオペレーターにはどんなメリットがあるのでしょうか?
それは大きくわけて以下の2点です。
3-1.業務を効率化できる
まず第一に、CRMの最大の目的でありメリットとなっているのは「コンタクトセンター業務を効率化できる」ことです。
具体的には、以下のような効果があります。
・問い合わせ傾向を分析し、FAQをページ公開することによりユーザーの自己解決率を促進する
応答率を改善したい場合、問い合わせ傾向を分析し問い合わせの多いFAQを作成し、WEBに掲載することで、ユーザーの自己解決率を向上し応答率の低下を防ぐことができるでしょう。
・過去履歴を参照できることで、顧客に同じ説明をさせることなく対応することが可能
顧客対応時間を短縮したい場合、一から顧客にヒアリングしようとすると、状況把握に時間がかかりますが、顧客情報管理や過去履歴を参照することにより、オペレーターは「電話の相手は誰なのか」「いつ・どんな連絡をしてきたのか」「いつ・どんな商品(またはサービス)を購入・利用したことがあるか」といった情報を把握しながら応対することができ、対応時間の短縮が可能になります。
オペレーターにとっては、時間と手間を大きく減らすことができるのです。
3-2.応対品質の向上を図れる
さらに、「応対品質を向上させる」ことも可能です。
CRMは、コンタクトセンターの業務を効率化するだけではありません。オペレーターはPCモニターに表示された顧客情報からさまざまな事情を知ることができます。
・過去の応対履歴をふまえて顧客に応対できるので、顧客ごとに最適な対応をとることができる
・過去の応対履歴がくわしく残せるので、通話を引き継ぐ場合にも情報が共有され、顧客に同じことを何度も確認するストレスをあたえない
たとえば、「前回は〇月〇日に、〇〇についての問い合わせがあったが、その問題はまだ解決していないので、今日もそれについての問い合わせだろう」とか、「この顧客はクレームにつながりやすいようなので、応対には特に気をつけなければ」、または「前回応対したオペレーターから、〇〇についてお答えするように引継ぎがあるので、それを伝えなければならない」などを残すことが出来、顧客は一から説明する手間を減らすことが出来ます。
顧客側は「前回の件をちゃんと理解した上で話してくれている」「こちらの事情を理解して対応してもらえる」という安心感、信頼感をもってくれるでしょう。
・各種データを分析することで、より顧客ニーズに沿った応対やサービス提供ができる
応対履歴を分析することで、「この応対では質問に対して全て回答をしてるとはいえない」、「この問い合わせはオペレーター全体的に応対する際の理解度が足りていない」といった問題を洗い出すことが可能で、「それなら回答をFAQにして見やすくしよう」、「全体に追加研修をして問い合わせに対して理解度を深めよう」といった改善策を講じることができるため、よりよいセンター運営につながるでしょう。
このように、オペレーター個人、そしてコンタクトセンター全体の質を高め、顧客満足度を向上させることもできるのがCRMなのです。
4.コンタクトセンター(コールセンター)向けCRM選びのポイント
業務効率化と応対品質向上という大きなメリットがあるCRMを、「ぜひ導入したい」という方も多いでしょう。
ただ、前述したようにCRMにはさまざまな機能があり、また各社から多種多様なタイプのCRMシステムが提供されているため、「どの会社のCRMがいいのか」「どの機能が必要なのか」を判断するのが難しいと感じるかもしれません。
そこで、CRMを選ぶ際に判断基準になるポイントを挙げておきますので、以下の点をチェックして選んでみてください。
4-1.幅広いチャネルでの対応履歴を一元管理・閲覧できるか
現在のコンタクトセンターでは、多チャネル化が急速に進んでいます。
電話対応だけでなく、メール、チャット、SNSなどさまざまなチャネルから顧客のコンタクトを受け付けるため、ひとりの顧客があるときは電話で、あるときはメールで連絡してくるというケースも多く発生します。
そこで重要なのが、「多チャネルでの対応履歴を一元管理できること」です。
たとえば、以下のような機能が求められます。
・ひとりの顧客について、電話での対応履歴とメールでの対応履歴、LINEやチャットでの対応履歴をひとつの画面に集約して同時に閲覧できる
・ひとりの顧客について、インバウンドの対応履歴とアウトバウンドの対応履歴も同様にひとつに集約してみることができる
しかし、実際には、すべてのチャネルの履歴を統合できるCRMシステムは、そこまで多くないのが現状なのです。
かわりに「メインをひとつのチャネルに絞り、補助的に他のチャネルも記録できる」というCRMはあります。
そこで、「うちのセンターは電話のインバウンド中心で、メールとSMSがサブ的な位置づけ」とか、「メールでの問い合わせがメインで、それができない場合だけ電話での問い合わせが入る」といったセンターごとの特性に合わせて、一元管理できるCRMを選ぶといいでしょう。
4-2.顧客対応状況を他部署と連携できるか
また、CRMで管理する顧客情報を、コンタクトセンター外の他部署と連携できるかどうかも重要です。
というのも、CRMが扱う顧客情報は、集まるのも利用するのもコンタクトセンターだけに限りません。
たとえば営業部門も顧客とコンタクトをとりますので、独自の顧客情報を持っています。
そのデータとコンタクトセンターで得られる顧客情報とを統合することで、より精度の高い顧客ニーズ把握が可能になるはずです。
さらに、集まった顧客データを分析した結果は、コンタクトセンターの応対品質向上のためだけでなく、以下のようにさまざまな部署で有効活用できるものです。
・契約件数や成約率を上げるための営業戦略をたてる
・より顧客のニーズに合った商品やサービスを開発する
・商品やサービスの認知度を上げるための広告宣伝戦略をたてる
そのために、CRMの情報を他部署と連携する必要があるのです。
たとえば、以下の連携は非常に効果的です。
・SFA(営業支援システム)との連携
・MA(マーケティングオートメーション)との連携
CRM導入の前には、どんなシステムと連携が可能かをかならず確認する必要があるでしょう。
4-3.操作性・使いやすさ(UI)に優れているか
3つめのポイントは. 操作性・使いやすさ(UI)に優れているか
忘れてはならないのが、オペレーターにとっての操作性や使いやすさなど、UI(ユーザーインターフェイス)の評価です。どんなに高度な機能を持つシステムであっても、現場のオペレーターにとって使いづらければ、その機能性を発揮できません。
実際、最終的に「現場で使いづらいから」という理由でシステム入れ替えを行う企業も少なくありませんので、事前にしっかりチェックしたいポイントです。
5.多チャネルを一元管理できる「Contact-Link for CTS」がおすすめ
「4.コンタクトセンター(コールセンター)向けCRM選びのポイント」で、もっとも重要なポイントとして「幅広いチャネルでの対応履歴を一元管理・閲覧できるか」を挙げました。
そこでおすすめしたいのが、「Contact-Link for CTS」です。
「Contact-Link for CTS」は、電話、メール、チャット、SMSなどマルチチャネルの対応履歴を一元管理できるシステムです。
シンプルでわかりやすいインターフェースで、オペレーターは瞬時に対応履歴を把握することができます。
他にも以下のような充実した機能を備えているのが特長です。
インバウンド | アウトバウンド |
・対応履歴管理 | ・架電履歴管理 |
共通機能 | |
・FAQ | |
オプション | |
・CTI連携 |
くわしい資料のご請求、お問い合わせは以下のリンクからお願いいたします。
まとめ
いかがでしたか?
コンタクトセンター(コールセンター)におけるCRMの役割や機能などについて、よく理解できたかと思います。
ではあらためて、記事の内容を振り返ってみましょう。
◎コンタクトセンターにおける「CRM」とは、「顧客情報や対応履歴、取引履歴などのデータを管理するITシステム」
◎コンタクトセンター向けCRMの主な機能は、
・顧客情報管理
・応対履歴管理
・CTI連携
・データ分析、集計
・セキュリティ
◎コンタクトセンターにおけるCRMの導入メリットは、
・業務の効率化
・応対品質の向上
◎コンタクトセンター向けCRM選びのポイントは、
・幅広いチャネルでの対応履歴を一元管理できるか
・顧客対応状況を他部署と連携できるか
・自社にとって必要十分なセキュリティ強度が得られるか
以上を踏まえて、あなたのコンタクトセンターが最適なCRMを導入、活用できるよう願っています。