「オムニチャネルってなんだろう」
「仕事でオムニチャネルの導入が議題に上がったけど、どういうものなのか詳しく知りたい」
オムニチャネルとは、企業と顧客をつなぐ幅広い接点を融合させることを指します。
例えばコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)でオムニチャネルを導入すると、以下のような複数のチャネルのなかから顧客がどのようなチャネルを用いて問い合わせを行っても、サービス内容に違いがなくスムーズに問題解決に導くことができます。
コンタクトセンターにおけるオムニチャネルの例 |
・電話 |
コンタクトセンター(コールセンター)についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
オムニチャネルがしっかりと構築されている場合は、例えば顧客がメールで問い合わせを行ってから後に電話での対応に切り替えるなどの際にも、顧客情報など必要な情報がスムーズに共有でき、迅速に対応することが可能となります。
オムニチャネルを導入するメリットとしては以下のようなものが挙げられます。
このようにオムニチャネルを導入することのメリットは大きいですが、導入にはある程度コストがかかってしまうというデメリットもあります。
この記事では、オムニチャネルの基礎知識や導入する方法など、以下の内容について詳しく解説していきます。
この記事を読めば分かること |
・オムニチャネルとは |
この記事をお読みいただくことで、オムニチャネルの基本的な知識が理解いただけると思います。ぜひこの記事を参考に、オムニチャネルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
1.オムニチャネルとは
この章では、オムニチャネルの基礎知識について詳しく解説していきます。
1-1.オムニチャネルの意味とは
冒頭でも解説した通り、オムニチャネルとは企業と顧客をつなぐ幅広い接点を融合させることを指します。
オムニチャネル(Omni-Channel Retailing)とは、店舗やECサイト、SNSなど、オンライン/オフライン問わず、あらゆるメディアを活用して顧客と接点を作り、購入の経路を意識させずに販売促進につなげる戦略のことを指します。
即ち、「実店舗とネットショップの境をなくした新しいショッピングの形」です。
”オムニ”はラテン語を語源とし、「あらゆる、すべての」を意味します。”チャネル”はマーケターのみなさまでしたらお馴染みかと思いますが、「経路、集客するための媒体」を指します。
マーケティングやコンタクトセンター(コールセンター)などの業界においては、顧客やユーザと企業の幅広い接点を持ちそれぞれのチャネルを一元管理することで、ニーズに合わせた幅広い対応が可能となるシステムのことをオムニチャネルといいます。
1-2.オムニチャネルとマルチチャネルの違い
オムニチャネルと似た言葉に「マルチチャネル」があります。
マルチチャネルも、顧客と企業をつなぐチャネルが複数あることを指します。ただし、オムニチャネルとの違いとして、オムニチャネルはそれぞれのチャネル同士が連携しているのに対し、マルチチャネルはそれぞれが独立して成り立っている、と言う点があります。
コンタクトセンター(コールセンター)での例を挙げてみましょう。マルチチャネルを導入している企業に問い合わせを行う場合、顧客は電話やメールなど、問い合わせのチャネルを選ぶことが可能です。
しかし、マルチチャネルの場合は最初の問い合わせをメールで行い、その後電話での対応に切り替えるといったことができません。それができたとしても情報の共有に時間がかかったり、顧客が改めて電話での問い合わせをし直す必要が出てしまうこともあります。
オムニチャネルの場合は、メール問い合わせから電話での対応にスムーズに切り替えることが可能です。
このように、顧客と企業を繋ぐ接点が複数あるにも関わらずそれぞれのチャネルが連携できていない状況を、マルチチャネルと言うのです。マルチチャネルについてはこちらの記事で詳しく解説しています。
1-3.オムニチャネルが活用される2つのケース
近年頻繁に使われるようになったオムニチャネルですが、具体的には以下の2つのシーンで活用されることが一般的です。
それぞれについて詳しく解説していきます。
1-3-1.コンタクトセンター(コールセンター)におけるオムニチャネル
まずは、コンタクトセンター(コールセンター)におけるオムニチャネルです。以下は、コンタクトセンターで活用されるオムニチャネルの例です。
コンタクトセンターにおけるオムニチャネルの例 |
・電話 |
コンタクトセンターはもともと、顧客からの問い合わせに対応するための部署として活用されてきました。
例えば購入した商品に不具合があったり使い方がわからないなどの状況で、メーカーに問い合わせして対応を仰ぐといったことがあるかと思います。
その際に、顧客は電話だけでなくメールやチャットなど様々なチャネルを活用することが可能です。
コンタクトセンターがオムニチャネル化されていると、どのチャネルで問い合わせをしても顧客情報などが一元管理されているため、シームレスにかつ迅速に問題を解決することが可能です。
例えばAIが問い合わせ対応するチャットボットを導入している場合。
顧客はわからないことをチャットボットに問い合わせしますが、チャットボットで解決しきれない問題が起こったときには有人オペレーターへ接続が切り替わり、直ちに対応を行う、といったことがオムニチャネルでは可能となるのです。
チャットボットやFAQについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
1-3-2.販売業界におけるオムニチャネル
次に販売業界においてのオムニチャネルです。以下は、販売業界においてのオムニチャネルの一覧です。
販売業界におけるオムニチャネルの例 |
・実店舗 |
販売業界においては、これらのどのチャネルを利用しても一定の顧客体験を得ることが可能です。
例えば実店舗で在庫のなかった商品を、その場で会計を行い、後からオンラインショップから商品を届けることができます。
またポイントシステムも一元管理できるため、どのチャネルから商品を購入しても同様にポイントを使ったり貯めることができます。
このようにどのチャネルを利用しても、同じレベルでのサービスを受けることができるのがオムニチャネルなのです。
2.顧客行動の多様化によりオムニチャネルは注目されている
オムニチャネルがより注目を集めている背景には、顧客行動の多様化が要因として挙げられます。
近年はスマートフォンの普及により、顧客が場所や時間に関係なく自由に情報収集やショッピングを行えるようになってきました。
スマートフォンが普及するまでは、情報収集をする際には実際にその場に足を運んだりパソコンで調べる必要があったため、利用する時間や場所に制約がありました。
スマートフォンが普及したことにより、いつでもどこでも自分の好きな時間に調べたり、問い合わせを行ったり商品を購入することが可能となったのです。
例えば顧客が問い合わせを行いたい場合、以前は電話かメールでの問い合わせが一般的でした。
しかし近年では外出先の電車内などで急に問い合わせをする必要が出てくるなどのニーズも想定できます。
そうした際にも問い合わせしやすいよう、メッセージアプリやチャットボット等のチャネルを導入することで、顧客は状況に合わせてチャネルを選択できます。その結果、顧客の利便性を上げることが可能となります。
このように顧客行動が多様化した結果、ニーズに合わせたオムニチャネルが注目を集めるようになってきているのです。
3.オムニチャネル化のメリット
それではここからは、メリットについて詳しく解説していきます。具体的には、オムニチャネル化することで以下の3つのメリットが考えられます。
それぞれについて詳しく解説していきましょう。
3-1.顧客行動を把握しやすい
オムニチャネル化を行うことで、それぞれのチャネルで顧客がどのように行動を起こしたのか顧客行動を把握しやすいと言うメリットがあります。
例えば、以下のような顧客行動があった場合に一連のデータを把握することが可能です。
1.顧客Aがオンラインショップで商品を買い物かごに入れる |
1人の顧客に対してこれだけの行動のデータが取れるのはオムニチャネルならではです。
またこれだけではなく、顧客が利用する時間帯や実店舗の利用時間など、幅広い情報を収集できるのです。
こうした収集した膨大なデータを分析することで、マーケティングに活用することも可能です。
それぞれの顧客に合ったマーケティングを行い、購買行動につなげられるようなアプローチをすることで売上向上や顧客維持につなげることができるのです。
3-2.業務効率化できる
オムニチャネル化を行うことで業務効率化も可能となります。
例えばコンタクトセンターでオムニチャネルを導入した場合。
あらかじめ精度の高いFAQやAIのチャットボット等のシステムを導入しておけば、オペレーターなどの人的リソースを使うことなく、顧客の問題解決を目指すことが可能です。
また顧客情報をすべてのチャネルで一元化することで、必要なデータを調べるために時間をかける必要もなくなります。
このようにオムニチャネル化をすることでスピーディに顧客対応ができるようになり、業務効率化が可能となります
3-3.顧客体験を向上できる
オムニチャネル化を行うことで顧客体験を向上することが可能です。
顧客体験とは、顧客と企業における接点で顧客が得られる体験のことを指します。
オムニチャネルを導入することで顧客は時間や場所に縛られることなく、自分の好きな時間に好きなチャネルを用いて商品の購入や問い合わせを行うことが可能となります。
これまでは、実店舗に行くしか商品を購入することができなかったり、問い合わせをする際に電話でしかできなかったためにオペレーターにつながりにくいなどの弊害が多く発生してきました。
しかしオムニチャネルを導入すると、顧客がこうしたストレスを感じることなく商品の購入や問題解決を行えるため、顧客体験が向上します。
顧客体験が向上すると顧客のリピート率が上がるなどの大きなメリットが得られるのです。顧客体験の向上についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
4.オムニチャネル化のデメリットはシステム導入の手間がかかること
オムニチャネル導入のデメリットとしては、システムの導入に手間がかかるという点が挙げられます。
オムニチャネルを導入する際には、顧客管理システムやコールセンターシステムを導入する必要があります。そうしたシステムは導入すれば終わりではなく、社員が使いこなさなければ効果を発揮できません。
そのため一人ひとりにオムニチャネルで導入したシステムの使い方をレクチャーするなどの手間がかかってしまうという点は、デメリットと言えるかもしれません。場合によっては新たなマニュアルなどを作成する必要も出てきます。
もちろんそうした問題は、システムの利用に慣れてしまえば大きいとは言えないでしょう。とはいえ、導入を始めた頃には作業効率が下がってしまうことは十分に考えられます。
5.オムニチャネルを導入すべき企業とは
それでは実際に、オムニチャネルを導入するべき企業とはどのような企業でしょうか。
ここでは以下の2つを例としてあげたいと思います。
5-1.マルチチャネルを活用しているが効果が見られない企業
まずは、すでにマルチチャネルを活用しているものの、情報の共有がうまくいかないなど効果が見られない企業です。
例えばコンタクトセンター(コールセンター)で、電話やメール、メッセージアプリなど様々なチャネルを活用しているにもかかわらずそれぞれのチャネルで顧客情報が共有されていない場合。
顧客がメールでのやりとりから電話に切り替えたいと思っても、顧客の情報や問い合わせ内容が反映されず解決に時間がかかってしまうといったことが起こりえます。
また顧客が商品へのクレームを電話で行った際に、切り替え先のチャネルで顧客情報が共有されていなければ、もう一度顧客情報を引き出すなど顧客に余計な手間をかけさせてしまう可能性があります。
クレーム等の場合、顧客は既に対応に不満を持った状態で電話しているため、そこでの情報共有がうまくいかないとより大きなトラブルになってしまうことも考えられるでしょう。
このようなことがないようにあらゆるチャネルでの問い合わせに対し、顧客情報を一元管理するオムニチャネル化は重要と言えるでしょう。
すべての部署で顧客情報を共有できていれば、こうした問題が起こりにくくなります。
5-2.人的リソースが足りていない企業
人的リソースが足りていない企業も、オムニチャネルを活用するのに適していると言えるでしょう。
「3-2.業務効率化できる」でも解説した通り、オムニチャネルを導入することで業務効率化を図ることが可能となります。
具体的にはコンタクトセンターなどで顧客からの問い合わせに対し、精度の高いFAQを設置したりAIのチャットボットを導入するなどで、顧客がオペレーターと直接話をする前に自力で問題解決を図ることも可能となるためです。
またオムニチャネルを導入すると顧客情報の共有をしやすくなるため、情報を調べるために時間を使うといったことが激減します。
その結果、顧客対応を効率よく行えるようになり、少ない人数で顧客対応を回すことが可能となるのです。
オムニチャネルを充実させると、1つのチャネルに顧客が殺到してしまうといった現象も少なくなるといえます。
顧客は混雑を避けてさまざまなチャネルを利用することが可能なので、その点においても人的リソースを効率的に使うことができるのです。
6.オムニチャネルを導入する方法
それではここからは、オムニチャネルを導入する方法についてより詳しく解説していきます。具体的には以下の2つの方法を紹介します。
6-1.顧客管理システムとデータベースを一元化する
まずは、顧客管理システムやデータベースを一元化します。
ここまででも解説してきた通り、オムニチャネル化にとって最も重要な事はデータや情報の共有をスムーズに行えるシステムを構築することです。そのためには顧客管理システムとデータベースを一元管理できるシステムの導入がおすすめです。
例えばCRM(顧客関係管理システム)などのように顧客情報を管理したりその情報を共有できるシステムを導入することで、どのチャネルで顧客がアクセスしてきてもすぐに必要な情報を引き出すことが可能となります。
またそうした顧客管理システムの導入と同時に、企業内の情報を各部署で共有できるデータベースの一元化も必要となります。
これを行うことで、顧客に必要な情報を管理でき、またそうした情報はチャネルをまたいでもシームレスに共有できるようになります。
いずれの場合も、社内でシステムを開発するのでは手間とリソースがかかるため、既存のシステムを導入することが一般的です。
6-2.コンタクトセンター(コールセンター)システムを導入する
コンタクトセンター(コールセンター)においてオムニチャネル化を進める際には、コンタクトセンターシステムを導入することをおすすめします。
コンタクトセンターをオムニチャネル化する場合には、顧客の情報やデータを管理するシステムのほかに、精度の高いFAQやチャットボットなどを構築し、必要に応じてオペレーターにシームレスに誘導するためのシステムも必要となります。
こうしたシステムを導入すればチャットボットで対応できる問題にリソースを割く必要がなくなります。
最初にチャットボット等でAI対応し、AIでは対応しきれない問題に関しては直ちに友人のオペレーターにつなぐことで顧客の問題解決をスムーズに行うことが可能となります。
幅広いチャネルに対応したコンタクトセンターシステムを導入する事は、顧客の問題解決を速くするだけでなく業務効率化を図ることができるため重要と言えるでしょう。
コンタクトセンターシステムの導入についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
7.オムニチャネルを成功させるポイント
それではここからはオムニチャネルを成功させるポイントについて詳しく解説していきます。
具体的には、以下の2つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれについて詳しく解説します。
7-1.オムニチャネルの認識を揃えておく
まずは各チャネルにおいてオムニチャネルの認識をそろえておきましょう。
オムニチャネルの運営を成功させるために重要なのは、すべてのチャネルにおいてしっかりと情報を共有し連携を取ることです。それぞれのチャネルで認識を揃えておかないと、スムーズな対応が困難になるためです。
例えばコンタクトセンター(コールセンター)においては、問い合わせの内容や必要に応じて別のチャネルや別の部署に顧客を誘導する必要があります。
また顧客の希望によっては、メールでの問い合わせから電話での問い合わせに変更する等の対応も必要となることがあります。
そうした状況で、各部署がそれぞれオムニチャネルの必要性や活用方法などを統一した認識で用い、スムーズに対応できるよう準備しておく必要があるのです。
各部署での認識が揃っていない場合、どのような状況で顧客情報をどのように抽出するかなど対応がスムーズに行われず、結果として顧客の問題解決に時間がかかってしまうといったことも考えられるのです。
以上のことからも、オムニチャネルを導入する場合には、必ず各部署で認識を揃えておく必要があるのです。
7-2.PDCAを回しながら改善する
オムニチャネルを導入したら、PDCAを回しながら常に改善していくよう心がけましょう。
オムニチャネルはいちど導入したらそれで終わりではありません。オムニチャネルを活用していく上で必ず何らかの問題が発生することはあるでしょう。
そうした問題が起こった際にその場で解決して終わりでなく、そうした情報を周知したりそれを踏まえてシステムを改善するなど、PDCAを回し続けることでより良いシステムを育てることが可能です。
オムニチャネルはPDCAを回し改善することで、顧客にとっても企業にとってもより使いやすいものとなっていくのです。
コンタクトセンターのオムニチャネルについて詳しくはトランスコスモスにお問合せください |
コンタクトセンター(コールセンター)のオムニチャネル化をお考えであれば、詳しくはトランスコスモスにお問合せください トランスコスモスでは、コンタクトセンター/コールセンターの運営においてより顧客との接点を見出すためのサービスを提供しています。 以下はトランスコスモスで対応できるサービスの一例です。
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まとめ
以上この記事では、オムニチャネルの基礎知識や導入する方法など、以下の内容について詳しく解説してきました。
この記事を読んで分かったこと |
・オムニチャネルとは |
この記事をお読みいただくことで、オムニチャネルの基本的な知識が理解いただけたかと思います。
ぜひこの記事を参考に、オムニチャネルの導入を検討してみてはいかがでしょうか。