
「コールセンターの立ち上げを担当しているが、トークスクリプトはどうやって作成すればいい?」
「トークスクリプトに掲載する正しいトークの文例が知りたい」
コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)に勤めていて、そのような疑問や要望を持っている方も多いのではないでしょうか。
トークスクリプトは、想定される会話の受け答えを具体的な会話文で記載した「台本」のようなもので、コンタクトセンターに欠かせません。
内容は、コンタクトセンターの業種やインバウンドかアウンとバウンドか、オペレーターが担当する業務内容(問い合わせ対応、クレーム対応、注文受付、予約受付、テレアポなど)によってまちまちですが、おおむね以下の要素から成っています。
1)オープニングトーク
2)メイントーク
・傾聴
・共感
・問診
・問題解決
・提案
3)クロージングトーク
これを、以下の点に注意して、フロー図などの形にまとめます。
・対応経験の豊富なスタッフが作成する
・敬語を正しく使う
・見やすいレイアウトにする
・ロールプレイングする
・使いながら随時改訂する
そこでこの記事では、コンタクトセンターでトークスクリプトを作成するために知っておくべきことをひと通りまとめました。
まず最初に、トークスクリプトの意味と意義について理解しておきましょう。
◎トークスクリプトとは?
◎トークスクリプト作成の目的と必要性
その上で、実際に作成するための手順などを解説します。
◎トークスクリプトに必要な3要素
◎トークスクリプト作成の手順
◎トークスクリプト作成の注意点
◎トークスクリプト・よく使われるトーク例
最後まで読めば、あなたも一からトークスクリプトが作成できるようになるはずです。
この記事で、あなたのコンタクトセンターが完成度の高いトークスクリプトを作れるよう願っています。
目次
1.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトとは
一般的に、コンタクトセンター(コールセンター)にはオペレーター向けの「トークスクリプト」が用意されています。
そもそもこの「トークスクリプト」とはどんなもので、なぜ必要なのでしょうか?
まず最初にこの基本的なポイントをあらためて確認しておきましょう。
1-1.トークスクリプトとは?
「トークスクリプト」とは、直訳すると「会話の脚本」です。
コンタクトセンター(コールセンター)業務のメインのひとつは顧客との電話応対ですが、その際に想定される問い合わせ内容に対して、オペレーターはどのように応対すればいいのかを具体的な文例で示したものです。
その内容は、企業が扱う商品やサービスの種類、コンタクトセンターの業務がインバウンドかアウトバウンドか、窓口で扱う内容(契約・解約、予約、問い合わせなど)によって異なるため、コンタクトセンターごとに独自で作成されます。
1-2.トークスクリプトの形式
トークスクリプトの形式は、以前は紙のマニュアルのようなもので、顧客の話の内容に合わせて、その都度オペレーターがページをめくりながら該当するトークを探してしゃべっていました。
最近ではPC上で参照できる形式にまとめるケースも多くなっています。
コンタクトセンター向けのITツールやシステムに「トークスクリプト作成機能」が搭載されているものもあり、これを利用しているコンタクトセンター(コールセンター)も増えているようです。
その場合オペレーターは、ひとつのPCモニターで顧客情報や製品情報などとともにトークスクリプトを見ることができるため、間違った応対をしたり、言葉に詰まったりするリスクを減らすことができ、センターの応対品質をより均質化することに役立ちます。
1-3.トークスクリプト作成の目的と必要性
トークスクリプトを用意する目的は、「応対品質の均質化」です。
電話での問い合わせ対応やテレアポ営業は、担当者個人のトークスキルや業務知識によってその質や成果が大きく左右されます。
トークスキルが高く知識も深い人であれば、顧客を満足する結果に導くことができますが、反対にトークスキルが低く知識も浅い人の場合は、言葉に詰まったり間違ったことを伝えてしまったりして、顧客に不安や不満を抱かせる恐れがあるでしょう。
そこで必要になるのが「トークスクリプト」です。
あらかじめ、「この質問にはこう回答する」「顧客が【YES】と言えばこのトークを、【NO】と言えばこちらのトークをする」と、言うべきことが決められていれば、トークスキルや知識が低いオペレーターでも一定水準以上の対応ができるようになります。
また、研修時からトークスクリプトを用いることで、オペレーターの育成にかかる期間も短縮でき、即戦力化が図れます。
このように、コンタクトセンター(コールセンター)の応対品質を高めるために、トークスクリプトが有効なのです。
2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素
では、トークスクリプトにはどのような内容を盛り込めばいいのでしょうか?
これも前述のように、トーク内容はコンタクトセンター(コールセンター)の業種、インバウンドかアウトバウンドか、窓口の種類などによって千差万別です。
が、どんなセンターでも以下の3つの要素は必須といえるでしょう。
◎オープニングトーク:挨拶とつかみ
◎メイントーク:インバウンドであれば問い合わせなどの対応、アウトバウンドであれば営業トーク
◎クロージングトーク:受注内容やアポイント日程などの確認、お礼の挨拶
では、それぞれくわしく説明します。
2-1.オープニングトーク
まず、電話でのやりとりの第一声から導入部分にあたる「オープニング」のトークです。
これは、受電=インバウントと架電=アウトバウンドとで以下のように異なります。
実はこのオープニングトークは、コンタクトセンター(コールセンター)において対応の成否を分ける重要な要素だとされています。
こちらの第一声によって、相手が好印象を抱くか悪印象を感じるかが左右され、その後のメイントークにつなげることができるかが決まってしまいます。
そのため、シンプルな文章ながらも相手の警戒心を解くことができるように、必要十分な表現を心がけましょう。
2-2.メイントーク
オープニングトークで相手が話を聞いてくれる状態になったら、いよいよ「メイン」のトークに入ります。
この内容は、インバウンドとアウトバウンドで大きく異なりますし、業種や扱う製品に合わせて構成する必要がありますが、一般的には以下の5つの要素を組み合わせて作成します。
さらに、「既存顧客の場合/新規顧客の場合」「話を聞いてもらえた場合/『結構です』と断られそうになった場合」「この質問に『YES』と回答された場合/『NO』と回答された場合」といったように、場合分けをしてそれぞれの受け答え例を用意しなければなりません。
これまでの応対記録を洗い出し、相手の反応がよかったトークや成約につながったトークなどを参考にして、文例を組み立てるといいでしょう。
2-3.クロージングトーク
メイントークが終わったら、最後に「クロージング」のトークに入ります。
その内容は、以下のような例が考えられるでしょう。
メイントークで要件は終了していますので、クロージングトークは長くなりすぎないよう、礼儀を保ちつつも簡潔にまとめるようにしましょう。
3.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成の手順
トークスクリプトにはどんな内容を盛り込めばいいのかがわかりました。
では、実際に作成する際には、どのような手順で進めればいいのでしょうか?
一般的には、以下の7ステップに沿って作成するといいでしょう。
1)製品・サービスの特長をまとめる
2)想定される質問を洗い出す
3)対応例を考える
4)構成を立てる
5)会話文に落とし込む
6)見やすい形式でまとめる
7)使用しながら随時改訂する
3-1.製品・サービスの特長をまとめる
まず最初に取り掛かるべきなのは、コンタクトセンター(コールセンター)で扱う対象の製品・サービスについて、その特長を挙げて整理、まとめることです。
特にアウトバウンドの場合は、ここでまとめた内容がセールストークの柱になりますので、競合他社との差別化も含めて顧客にお勧めできるポイントを整理します。
テレアポの場合は、「アポイントの日程」「商談時間」など、前提条件も決めておく必要があるでしょう。
3-2.想定される質問を洗い出す
次に、顧客からどんな質問や返答があるか、考えられる限りのパターンを洗い出します。
インバウンドの場合は、製品やサービスに関するよくある質問に加えて、苦情も想定できるでしょう。
アウトバウンドであれば、名乗っただけで断られたり、セールストークの途中で「それなら必要ない」と切り上げられるケースも考えておかなければなりません。
いずれにしろ、過去の応対記録をチェックして、「トークスクリプトが必要な問い合わせ事項や相手の対応」をリスト化してください。
3-3.対応例を考える
想定質問が出そろったら、次はそれに対する対応のしかたを考えていきます。
たとえば「製品の使い方がわからない」という場合は、使い方を口頭で説明するのか、取り扱い説明のURLなどを案内するのか、遠隔サポートなどを利用するのか、案内の方法だけでもいくつか選択肢があります。
さらに、説明のしかたや、ケースごとの対応を細かく決めていきましょう。
3-4.構成を立てる
質問とそれに対する対応が決まったら、トークスクリプトの構成を立てていきます。
まず、「2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素」をもとに、必要な要素を並べます。
オープニングトークとクロージングトークは必須ですが、メイントークの5要素「傾聴・共感・問診・問題解決・提案」については、センターによって順番が異なったり、必要ない要素があったりするかもしれませんので、業務内容に合わせて組み立てましょう。
大まかな構成が決まったら、それに従って想定質問とその対応を並べていきます。
先方の応答次第でこちらの対応が変わることがあるため、以下のように分岐する構成になるでしょう。
【構成例】
3-5.会話文に落とし込む
構成が決まったら、質問に対する対応を、実際に顧客に対してトークする際の会話文に落とし込んでいきましょう。
このとき、顧客側の会話はシンプルで結構です。オペレーター側の応答のみを、実際にそのまま読んで会話が成立する文章に仕立てていきます。
【例】 オペレーター「お忙しいところ恐れ入ります、〇〇株式会社の△△と申します。◇◇様はいらっしゃいますでしょうか?」 顧客【本人が出る】 オペレーター「◇◇様、先日は弊社の商品※※をご購入いただきましてありがとうございます。その後、問題なくご利用いただけておりますでしょうか?」 顧客「問題ない/問題がある」 |
特に注意したいのは「敬語」です。
オペレーターの中には敬語に慣れておらず、謙譲語や尊敬語を間違って使ってしまうケースもよくあります。そのような失礼がないように、トークスクリプトでは必要十分な敬語を正確に使った文例を示す必要があります。
また、漢字を多用しすぎると読みにくくなりますので、ある程度ひらがなやカタカナで表記する、難しい漢字にはフリガナをつけるといった工夫も重要です。
3-6.見やすい形式でまとめる
ここまでできれば、いよいよ最後の仕上げです。
トークスクリプトを、オペレーターが見やすい形式でまとめましょう。
前述したように、過去にはトークスクリプトは紙のマニュアルでした。そのため、オペレーターは対応しながらページをめくり、今進行中に会話に該当するトークを探さなければなりませんでした。
現在は、ExcelやPowerPointなどでフロー図の形に作成し、PC上で顧客情報などの情報と並べて閲覧できるようにしているケースが多いようです。
また、コンタクトセンター(コールセンター)向けのITツールの中には、音声認識機能でトーク内容を瞬時に認識し、それに該当するトークをモニターに表示するという機能を備えたものもあります。
その場合は、前項で作成した会話文をツール内に入力すれば結構です。コストを考えた上で、自社のセンターでもっとも使いやすい形式を選択してください。
3-7.使用しながら随時改訂する
さて、ここまででトークスクリプトは一応完成しました。
が、実際には、新しく作成したトークスクリプトを実践で使用してみると、想定していなかった質問が顧客から飛んできたり、あらかじめ想定していたメイントークだけでは顧客の要望に十分応えられなかったりと、さまざまな不備や改善点が見えてくるものです。
そこで、いったん作成したトークスクリプトも、使用しながら随時改訂していくようにしましょう。
まずは一定期間使用してみて、スーパーバイザーやオペレーターから改善点、疑問点を吸い上げます。
それを踏まえて、足りないトークを追加したり、より訴求力の高いセールストークにブラッシュアップするなど改訂を加え、また実践で使用してみます。
このPDCAサイクルを繰り返すことで、より応対品質と顧客満足度を高められるトークスクリプトに近づけることができるでしょう。
4.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成の注意点
トークスクリプトの作成手順が分かりました。
実際の作成においては、いくつか注意しなければならないポイントがあります。
この章では、それらの注意点を挙げておきましょう。
4-1.対応経験の豊富なスタッフが作成する
トークスクリプトに記載する文例は、顧客の疑問や不満を十分に解決して満足させたり、自社の商品やサービスに興味を持たせて契約・購入に至らせるものでなければなりません。
それには、過去に多くの顧客対応を経験し、成功例を蓄積しているスーパーバイザーやオペレーターの意見が重要になってきます。
そこで、トークスクリプトの作成は、経験豊富なベテランスーパーバイザー、ベテランオペレーターが参加して行うようにしましょう。
「過去にこういうトークで新規顧客を契約に導いたことがある」
「『✖✖という理由でその商品は必要ない』と拒否する相手に、このような切り返しトークをしたところ購入してもらえた」
「こういう苦情には『〇〇〇〇』という対応をすれば、短時間で相手を納得させることができる」
といった実体験が、完成度の高いトークスクリプト作りに役立つはずです。
また、「顧客からはこういう質問も出るのではないか?」「ここの言い回しは、『おすすめです』より『いかがでしょうか?』のほうが、顧客に受け入れられやすい」「この敬語は二重敬語なので間違っている」など、トークスクリプトの問題点、改善点も鋭く指摘してくれるでしょう。
4-2.敬語を正しく使う
また、繰り返しになりますが、敬語はくれぐれも正しく使用する必要があります。
敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種があり、それぞれ以下のように使い分けます。
◎尊敬語:相手自身、相手の状態や動作、相手に関する物事を敬って使う敬語
◎謙譲語:自分や身内の状態や動作、自分や身内に関する物事をへりくだって使う敬語
◎丁寧語:「です・ます」などのていねいな言い回しをする敬語
コンタクトセンター(コールセンター)でよく使う敬語の中には、尊敬語と謙譲語を間違われやすいものもあります。
それらを以下に表にしましたので、トークスクリプトを作成する際には参考にしてください。

4-3.見やすいレイアウトにする

トークスクリプトは、相手の返答によってこちらの対応が変わるため、途中で分岐したフロー図のような形になるのが一般的です。
が、分岐が増えすぎたりやりとりが長くなったためにフロー図が複雑化し、「このトークの次はどのトークにつなげればいいのか」がわかりにくくなってしまうケースが度々あります。
そこで、オペレーターにとってできるだけ見やすいレイアウトを心がけましょう。
・トークから次のトークにつなげる矢印は、できるだけ交差しないようにする
・場合分けに合わせて色分けする(YESの場合は赤、NOの場合は青の文字にするなど)
・細かい商品説明などは別紙に分ける
といった工夫が有効です。
4-4.ロールプレイングする
トークスクリプトができたら、実戦で使用する前に、かならずスーパーバイザーやベテランオペレーターの間でロールプレイングを行いましょう。
実際に読んでみると、言葉遣いの不自然な点や言いにくいフレーズが浮き彫りになったり、レイアウトの見づらさに気づいたりすることがあるでしょう。
スーパーバイザーやベテランオペレーターでも問題を感じるトークスクリプトであれば、一般のオペレーターはもっと使いづらいはずです。
ロールプレイングで洗い出された問題点を改善した上で、より完成度の高いトークスクリプトを現場に渡すようにしましょう。
5.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト・よく使われるトーク例
さて、ここまでトークスクリプトの作り方についてくわしく解説してきました。
が、実際に作成しようとすると、「どんな文章が適切かわからない」「こういう場合にどうトークすればいいのか思いつかない」と悩むこともあるでしょう。
そこで最後に、コンタクトセンター(コールセンター)でよく使われるトーク例を挙げておきますので、トークスクリプト作成の参考にしてください。
5-1.オープニングトーク
オープニングトークは、コンタクトセンター(コールセンター)の業種にかかわらず比較的共通しています。
以下がその例の一部です。
【インバウンド】
「お電話ありがとうございます、株式会社〇〇・お客様問い合わせセンターの△△(自分の名前)です」
「お待たせいたしました、株式会社〇〇・カスタマーサポートセンター△△(自分の名前)が承ります」 など
【アウトバウンド】
「お忙しいところ恐れ入ります、私、株式会社〇〇の△△と申します。◇◇様のお宅でしょうか? ◇◇様はご在宅でしょうか?」
「突然お電話差し上げまして失礼いたします、私、※※サービスを扱っております株式会社〇〇の△△と申します。※※のご担当者様はご在籍でしょうか?」 など
→不在の場合
「さようでございますか、それではまたあらためさせていただきます。恐れ入りますが、お戻りのご予定は何時ごろでしょうか?」 など
→留守電の場合
「私、株式会社〇〇の△△と申します。本日は、※※サービスのご案内でご連絡いたしました。またあらためさせていただきます。失礼いたします」 など
5-2.メイントーク
メイントークは、コンタクトセンター(コールセンター)の業種や扱う商品・サービスなどによって全く異なります。
そこで、「傾聴」「共感」「問診」「問題解決」「提案」の5要素それぞれのシンプルなトーク例を挙げておきます。
また、相手に断られた場合の「切り返しトーク」も重要ですので、いくつか例を示しましょう。
5-2-1.傾聴
まず、相手の話をじっくり聞きます。たとえば、以下のようなトークで促しましょう。
【インバウンド】
◎注文・予約受付の場合
「ありがとうございます。お客様、※※(商品・サービス名)のご利用は初めてでいらっしゃいますか?」
→(初めて)
「では、お客様情報をご登録いたしますので、お名前、ご住所、お電話番号をお教えください」
→(2回目以降)
「いつもご利用ありがとうございます。では、お客様情報をご確認いたしますので、会員番号かご登録のお電話番号をお教えください」
◎問い合わせの場合
「本日はどのようなお問い合わせでしょうか?」
「※※(商品・サービス名)に何か不具合がございましたか?」「くわしくお聞かせください」
【アウトバウンド】
◎新規顧客への営業の場合
「本日は、弊社の商品※※についてのご案内でご連絡いたしました。御社では、△△についてお困りではありませんか?」
→(困っている)
「さようでございますか、くわしくお伺いしてもよろしいでしょうか?」
◎既存顧客へのフォローの場合
「先日は、※※(商品・サービス名)のご注文をいただきましてありがとうございました。無事お届けできましたでしょうか?」
→(届いた)
「さようでございますか、安心いたしました。お使い心地はいかがでしょうか?」
→(まだ届かない)
「大変失礼いたしました。ただいま配送状況を確認いたします」
5-2-2.共感
相手からの質問や要望、悩み事などをくわしく聞いたら、それに対して共感を示しましょう。
共感によって、相手の警戒心のハードルを下げ、信頼感を高めることができます。
【インバウンド・アウトバウンドともに】
「さようでございましたか。それはご不便をおかけして大変申し訳ございませんでした」
「おっしゃる通りです。同じご意見を他のお客様からもいただいております」
5-2-3.問診
共感を示した後は、相手の質問や要望、悩み事をさらにくわしく掘り下げていきます。
これは、営業などのアウトバウンドでは必要ないケースもありますので、ここではインバウンドのトーク例のみ挙げておきましょう。
【インバウンド】
◎問い合わせの場合
「どのような状況か、くわしくお聞かせください」
「いま※※(商品名)はお手元にありますでしょうか? 裏蓋のところに製品番号が書かれていますので、読み上げていただけますでしょうか」
「このような方法はお試しいただきましたか? 結果はいかがでしたか?」
5-2-4.問題解決
相手の疑問や要望、悩み事について十分に聞くことができたら、いよいよ「問題解決」のフェーズに移ります。ひとつひとつの問題を、順番に「確認→解決」していきましょう。これも問診同様に、アウトバウンドでは必要ないケースもあるので、インバウンドのトーク例のみ紹介します。
【インバウンド】
◎問い合わせの場合
「まず、▢▢は正常に作動していますでしょうか?」
→(正常)
「かしこまりました。では、▲▲の部分は正しく動いておりますか?」
→(正常でない)
「さようでございますか。その場合、✕✕の不具合が考えられますので、お預かりして修理させていただきます。恐れ入りますが、今から申し上げる修理センター宛てにお送りいただけますでしょうか?」
5-2-5.提案
メイントークの最後は、顧客への提案です。顧客の疑問や悩みなどは、すでにこの前のフェーズで解決済みですが、そこからさらに踏み込んで、新商品を紹介したり、キャンペーンの利用を勧めたりします。
インバウンドでは、この提案フェーズは必要ない場合があり、特に入電が立て込んでいるときには省略されるケースもあります。
反対に、アウトバウンドの場合は、問診や問題解決のフェーズが省略され、提案フェーズのボリュームが大きくなるケースも多いでしょう。
そこでこの記事では、アウトバウンドのトーク例のみ紹介します。
【アウトバウンド】
◎新規顧客への営業の場合
「▲▲でお困りでしたら、弊社の※※(商品・サービス名)がお役に立てるかと思います。(ここから商品説明)」
「ぜひ一度御社にお伺いして、くわしくご説明させてください。ご都合の良い日時をお教えいただけますか?」
◎既存顧客へのフォローの場合
「それでしたら、新製品の☆☆にお買い替えをおすすめいたします。先ほどお伺いしたご不満点を改良した商品で、(ここから商品説明)」
「今なら、キャンペーン価格〇〇円でお買い求めいただけますので、まとめてご購入なさるとお得です」
5-2-6.切り返しトーク
ここまでは、メイントークが順調に進んだ場合のトーク例を紹介しました。
が、実際には途中で「必要ない」と断られたり、最初から話を聞いてもらえなかったりすることも多いものです。そこでトークスクリプトには、そんな場合の切り返しトークも盛り込んでおく必要があります。
その文例もいくつか紹介しておきましょう。
5-2-6-1.「忙しいので結構です」と断られた場合
「お取込み中に失礼いたしました。すぐにお切りいたしますので、1分だけお時間いただくことは難しいでしょうか?(短時間に区切ることで、『それくらいなら…』と思わせる)」
「お忙しいところ失礼いたしました。ではまたあらためさせていただきます。何時ごろでしたらお手すきでしょうか?」
5-2-6-2.「予算がない」「値段が高い」と断られた場合
「さようでございますよね。そうおっしゃるお客様もたくさんいらっしゃいます。ちなみに、どのような点で『高い』と思われましたか?(共感→問診)」
「総費用だとお高いと感じますが、1か月あたりにすれば〇〇円です。毎月このサービスを外部に委託する費用と比べると、むしろお得ではないでしょうか?(手ごろな費用に感じられるよう言い換える)」
「◎◎や◇◇もご利用いただけますので、費用に見合ったサービスをご提供できると思います」
5-2-6-3.「ちょっと考えます」「検討しておきます」と言われた場合
「ありがとうございます。ちなみに、何か気になる点はございますか?」
→(●●が不安…)
「わかります。そうおっしゃる方は多いですので、弊社でもその点には特に力を入れておりまして、(ここから相手の不安を解消するような商品・サービス説明)」
このほかにも、さまざまな断り文句が想定されますので、それぞれにどう切り返せば話を聞いてもらえるのか、対応をトークスクリプトに盛り込みましょう。
5-3.クロージングトーク
最後はクロージングトークです。クロージングも、オープニング同様にあまり大きな違いはありません。
以下のようなトークで締めくくりましょう。
【インバウンド】
◎注文・予約受付の場合
「本日は、※※にお申込みいただきありがとうございました。
カスタマーサポートセンターの△△が承りました。
お電話ありがとうございました、失礼いたします」
◎問い合わせの場合
「ご案内は以上ですが、他に何かご質問はございますか?」
→(ない)
「承知いたしました。
本日は、カスタマーサポートセンター・担当△△(自分の名前)が承りました。
お電話ありがとうございました」
【アウトバウンド】
◎新規顧客への営業の場合
「他に何かご不明点やご要望はございませんか?」
→(ない)
「承知いたしました、◇◇様、本日は※※のご注文をいただき、ありがとうございました。
〇日程度でご自宅にお届けできると存じますので、もし何かありましたら、こちらの番号までお問い合わせください。
では、担当△△が承りました。
ありがとうございました。失礼いたします」
◎既存顧客へのフォローの場合
「本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございました。
また何かご希望やご質問などございましたら、フリーダイヤル0120-xxx-xxxまでご連絡くださいますようお願いいたします。
寒い日(暑い日など)が続きますが、お体にお気をつけてお過ごしください。
本日はありがとうございました、失礼いたします」
まとめ
いかがでしたか?
コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトについて、知りたいことがわかったかと思います。
最後にもう一度、記事のポイントを振り返ってみましょう。
◎コンタクトセンターのトークスクリプトに必要な要素は、
1)オープニングトーク
2)メイントーク
・傾聴
・共感
・問診
・問題解決
・提案
3)クロージングトーク
◎トークスクリプトの作成手順は、
1)製品・サービスの特長をまとめる
2)想定される質問を洗い出す
3)対応例を考える
4)構成を立てる
5)会話文に落とし込む
6)見やすい形式でまとめる
7)使用しながら随時改訂する
◎トークスクリプト作成の注意点は、
・対応経験の豊富なスーパーバイザーやオペレーターが作成する
・敬語を正しく使う
・見やすいレイアウトにする
・ロールプレイングする
・使いながら随時改訂する
正しくスクリプトが利用されているのかを評価したい場合はモニタリングもありますが、工数がかかるので、音声認識ツールを活用しながら分析・評価するのがよいでしょう。
トランスコスモスが提供している音声認識ツールtranspeechでは、オペレーターの応対の「正誤判断」をAIにて判断できる機能を有しており、応対評価工数を80%削減した事例もあります。
興味のある方はこちらをご確認ください。
この記事で、あなたのコンタクトセンターが使いやすくて応対品質向上につながる良質なトークスクリプトを作成できるよう願っています。