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コールセンターのトークスクリプト|作成手順からトーク文例まで解説

「コールセンターに欠かせないトークスクリプトはどのように作成するの?作成手順が知りたい」
「トークスクリプトに必要な要素は?サンプルや実際の例が見たい」

コンタクトセンター(コールセンター)に欠かせないトークスクリプトは、どのように作成すればいいのか気になっている担当者は多いのではないでしょうか。

トークスクリプトは、簡単に言うと顧客とのやり取りを会話文で示した台本のようなものです。
どの順番で何を話せばいいのかを示してあり、トークスクリプトを活用することでオペレーターが戸惑うことが少なくなります。

トークスクリプトは下記の手順に沿って作成します。

トークスクリプトの作成手順

STEP1

トークスクリプトの目的とゴールを明確にする

STEP2

想定される質問を洗い出す

STEP3

対応例を考える

STEP4

構成を立てる

STEP5

会話文に落とし込む

STEP6

見やすい形式でまとめる

STEP7

使用しながら随時改訂する

そこでこの記事では、コンタクトセンターでトークスクリプトを作成するために知っておくべきことをひと通りまとめました。

まず、最初にトークスクリプトの意味と意義について理解しておきましょう。

◎トークスクリプトとは?
◎トークスクリプト作成の目的と必要性

その上で、実際に作成するための手順などを解説します。

◎トークスクリプトに必要な3要素
◎トークスクリプト作成の手順

◎アウトバウンドとインバウンドのトークスクリプト例
◎トークスクリプト作成のポイント

最後まで読めば、一からトークスクリプトが作成できるようになるはずです。この記事で、あなたのコンタクトセンターが完成度の高いトークスクリプトを作れるよう願っています。

1.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトとは

一般的に、コンタクトセンター(コールセンター)にはオペレーター向けの「トークスクリプト」が用意されています。

そもそもこの「トークスクリプト」とはどんなもので、なぜ必要なのでしょうか?
最初にこの基本的なポイントをあらためて確認しておきましょう。

1-1.トークスクリプトとは?

「トークスクリプト」とは、直訳すると「会話の脚本」です。

コンタクトセンター(コールセンター)のメイン業務は、顧客との電話応対です。トークスクリプトは想定される問い合わせ内容に対して、オペレーターはどのように応対すればいいのかを具体的な文例で示したものです。

トークスクリプトは下記の3つの要素で作成されており、トークスクリプトを見ることでどのような応対をすればいいのか分かるようになっています。

トークスクリプトの3つの要素

オープニングトーク

挨拶・自己紹介・要件を伝える

メイントーク

インバウンド:問い合わせ内容に応じて問題解決方法を提案する
アウトバウンド:商品やサービスの提案をする

クロージングトーク

お礼・最終確認をする

一例として、トークスクリプトは下記のようにオペレーターが何を話せばいいのか会話形式で作成します。

トークスクリプトの一例

オープニングトーク

「お電話ありがとうございます、○○お客様問い合わせセンターの△△(自分の名前)です。本日はどのようなご用件でしょうか?」

メイントーク

「■■(商品・サービス名)に何か不具合がございましたか?」「詳しくお聞かせください」

クロージングトーク

「本日は、■■にお問い合わせいただきありがとうございました。お客様問い合わせセンターの△△が承りました。失礼いたします」

トークスクリプトの内容は商品やサービスの種類、コンタクトセンターの業務がインバウンドかアウトバウンドか、窓口で扱う内容(契約・解約、予約、問い合わせなど)によって異なるため、コンタクトセンターごとに作成します。

1-2.トークスクリプトの形式

トークスクリプトの形式は、以前は紙のマニュアルのようなものでした。顧客の話の内容に合わせて、その都度オペレーターがページをめくりながら該当するトークを探して会話をしていました。

最近ではパソコン上で参照できるトークスクリプトが多くなっています。

コンタクトセンター(コールセンター)向けのITツールやシステムに「トークスクリプト作成機能」が搭載されているものもあり、これを利用しているコンタクトセンターも増えているようです。

その場合オペレーターは、ひとつのパソコンモニターで顧客情報や製品情報などとともにトークスクリプトを閲覧できます。間違った応対をしたり、言葉に詰まったりするリスクを減らし、センターの応対品質をより均質化することに役立ちます。

1-3.トークスクリプト作成の目的と必要性

トークスクリプトを用意する目的は、「応対品質の均質化」です。

電話での対応は、オペレーター個人のトークスキルや業務知識によって成果が大きく左右されます。

トークスキルが高く知識も深い人であれば、顧客が満足できる結果につながりますが、トークスキルが低く知識も浅い人の場合は、言葉に詰まったり間違ったことを伝えてしまったりして、顧客に不安や不満を抱かせる恐れがあるでしょう。

そこで必要になるのが「トークスクリプト」です。

あらかじめ、「この質問にはこう回答する」「顧客が【YES】と言えばこのトークを、【NO】と言えばこちらのトークをする」と決められていればトークスキルや知識が低いオペレーターでも一定水準以上の対応ができるようになります。

また、研修時からトークスクリプトを用いることで、オペレーターの育成にかかる期間も短縮でき、即戦力化が図れます。

このように、コンタクトセンター(コールセンター)の応対品質を高めるために、トークスクリプトが有効なのです。

2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素

では、トークスクリプトにはどのような内容を盛り込めばいいのでしょうか?

これも前述のように、トーク内容はコンタクトセンター(コールセンター)の業種、インバウンドかアウトバウンドか、窓口の種類などによって千差万別です。

しかし、どんなセンターでも以下の3つの要素は必須といえるでしょう。

トークスクリプトの3つの要素

オープニングトーク

挨拶・自己紹介・要件を伝える

メイントーク

インバウンド:問い合わせ内容に応じて問題解決方法を提案する
アウトバウンド:商品やサービスの提案をする

クロージングトーク

お礼・最終確認をする

では、それぞれ詳しく説明します。

2-1.オープニングトーク

まず、電話でのやりとりの第一声から導入部分にあたる「オープニング」のトークです。
これは、インバウンドとアウトバウンドとで以下のように異なります。

インバウンドとアウトバウンドのオープニングトーク例

実はこのオープニングトークは、コンタクトセンター(コールセンター)において対応の成否を分ける重要な要素だとされています。

なぜかというと、電話の第一声によって相手が好印象を抱くか悪印象を感じるかが左右され、その後のメイントークにつなげることができるかが決まってしまうからです。

そのため、シンプルな文章ながらも相手の警戒心を解くことができるように、必要十分な表現を心がけましょう。

2-2.メイントーク

オープニングトークで相手が話を聞いてくれる状態になったら、いよいよ「メイン」のトークに入ります。

この内容は、インバウンドとアウトバウンドで大きく異なりますし、業種や扱う製品に合わせて構成する必要がありますが、一般的には以下の5つの要素を組み合わせて作成します。

メイントーク例

さらに、「既存顧客の場合/新規顧客の場合」「話を聞いてもらえた場合/『結構です』と断られそうになった場合」「この質問に『YES』と回答された場合/『NO』と回答された場合」といったように、場合分けをしてそれぞれの受け答え例を用意しなければなりません。

これまでの応対記録を洗い出し、相手の反応がよかったトークや成約につながったトークなどを参考にして、文例を組み立てるといいでしょう。

2-3.クロージングトーク

メイントークが終わったら、最後に「クロージング」のトークに入ります。
その内容は、以下のような例が考えられるでしょう。

インバウンドとアウトバウンドのクロージングトーク例

メイントークで要件は終了していますので、クロージングトークは長くなりすぎないよう、礼儀を保ちつつも簡潔にまとめるようにしましょう。

3.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成の手順

トークスクリプトにはどんな内容を盛り込めばいいのかがわかりました。
では、実際に作成する際には、どのような手順で進めればいいのでしょうか?

一般的には、以下の7ステップに沿って作成するといいでしょう。

1)トークスクリプトの目的とゴールを明確にする
2)想定される質問を洗い出す
3)対応例を考える
4)構成を立てる
5)会話文に落とし込む
6)見やすい形式でまとめる
7)使用しながら随時改訂する

3-1.トークスクリプトの目的とゴールを明確にする

まずは、トークスクリプトを作成する目的とゴールを明確にしましょう。コンタクトセンター(コールセンター)により役割は異なりますが、一例として下記のような目的が想定できます。

・販売促進のトークスクリプト
・アポイント取得のトークスクリプト
・解約時に好印象を与えるトークスクリプト
・催促や督促のトークスクリプト
・アフターフォローのためのトークスクリプト

例えば、アウトバウンドのコンタクトセンターでは、自社の商品やサービスをアピールすることがあります。商品やサービスの優位性を説明しアポイント取得をゴールとするトークスクリプトが検討できるでしょう。

顧客の問い合わせ対応を行うインバウンドのコンタクトセンターでは、好印象を与える応対が求められます。商品説明や契約、解約など問い合わせ内容に応じたトークスクリプトを作成し、応対品質を向上させることを検討できます。

このように、どのような目的でトークスクリプトを作成するのか明確にしてから具体的な作成に取りかかると、意義のあるトークスクリプトが作成しやすくなります。

3-2.想定される質問を洗い出す

続いて、トークスクリプトの目的やゴールに合わせて想定される質問を洗い出します。
このときにコンタクトセンター(コールセンター)のペルソナを想定すると、質問が検討しやすくなります。

電話だけでなく、チャットやメール、FAQなどの検索数などコンタクトセンターに寄せられている質問内容を集計・分析することで顧客から問い合わせが多い内容が洗い出されます。

以前は、オペレーターが残した対応ログをスーパーバイザーによって集計・分析しているセンターも多い傾向にありましたが、近年では、テクノロジーを活用しVOCを集約している企業が多いです。

コンタクトセンターに寄せられている問い合わせ内容を確認すると、どのような質問が想定されるのか検討しやすくなるでしょう。想定される質問は一覧にしてまとめておくと、トークスクリプトを作りやすくなります。

3-3.対応例を考える

想定質問が出そろったら、次はそれに対する対応のしかたを考えていきます。

例えば「製品の使い方がわからない」という場合は、使い方を口頭で説明するのか、取り扱い説明のURLなどを案内するのか、遠隔サポートなどを利用するのか、案内の方法だけでもいくつか選択肢があります。

さらに、説明のしかたや、ケースごとの対応を細かく決めていきましょう。

3-4.構成を立てる

質問とそれに対する対応が決まったら、トークスクリプトの構成を立てていきます。

まず、「2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素」をもとに、必要な要素を並べます。

オープニングトークとクロージングトークは必須ですが、メイントークの5要素「傾聴・共感・問診・問題解決・提案」については、センターによって順番が異なったり、必要ない要素があったりするかもしれませんので、業務内容に合わせて組み立てましょう。

大まかな構成が決まったら、それに従って想定質問とその対応を並べていきます。
先方の応答次第でこちらの対応が変わることがあるため、以下のように分岐する構成になるでしょう。

【構成例】

トークスクリプトの構成例

3-5.会話文に落とし込む

構成が決まったら、質問に対する対応を、実際に顧客に対してトークする際の会話文に落とし込んでいきましょう。

このとき、顧客側の会話はシンプルで結構です。オペレーター側の応答のみを、実際にそのまま読んで会話が成立する文章に仕立てていきます。

【例】

オペレーター 
「お忙しいところ恐れ入ります、〇〇株式会社の△△と申します。◇◇様はいらっしゃいますでしょうか?」

顧客 【本人が出る】

オペレーター
「◇◇様、先日は弊社の商品※※をご購入いただきましてありがとうございます。その後、問題なくご利用いただけておりますでしょうか?」

顧客
「問題ない/問題がある」

特に注意したいのは「敬語」です。

オペレーターの中には敬語に慣れておらず、謙譲語や尊敬語を間違って使ってしまうケースもよくあります。そのような失礼がないように、トークスクリプトでは必要十分な敬語を正確に使った文例を示す必要があります。

また、漢字を多用しすぎると読みにくくなりますので、ある程度ひらがなやカタカナで表記する、難しい漢字にはフリガナをつけるといった工夫も重要です。

3-6.見やすい形式でまとめる

ここまでできれば、いよいよ最後の仕上げです。

トークスクリプトを、オペレーターが見やすい形式でまとめましょう。

前述したように、過去にはトークスクリプトは紙のマニュアルでした。そのため、オペレーターは対応しながらページをめくり、今進行中に会話に該当するトークを探さなければなりませんでした。

現在は、ExcelやPowerPointなどでフロー図の形に作成し、PC上で顧客情報などの情報と並べて閲覧できるようにしているケースが多いようです。

また、コンタクトセンター(コールセンター)向けのITツールの中には、音声認識機能でトーク内容を瞬時に認識し、それに該当するトークをモニターに表示するという機能を備えたものもあります。

コストを考えた上で、自社のセンターでもっとも使いやすい形式を選択するとよいでしょう。

3-7.使用しながら随時改訂する

さて、ここまででトークスクリプトは一応完成しました。

しかし実際には、新しく作成したトークスクリプトを実践で使用してみると、顧客から想定していなかった質問があったり、あらかじめ想定していたメイントークだけでは顧客の要望に十分応えられなかったりと、さまざまな不備や改善点が見えてくるものです。

そこで、いったん作成したトークスクリプトも、使用しながら随時改訂していくようにしましょう。
まずは一定期間使用してみて、スーパーバイザーやオペレーターから改善点、疑問点を吸い上げます。

また直近の問い合わせの傾向を学ばせたAIを活用したり、トーク分析が可能なテクノロジーを活用するなどして、足りないトークの追加や、より訴求力の高いセールストークにブラッシュアップするなど改訂を加え、また実践で使用してみます。

このPDCAサイクルを繰り返すことで、より応対品質と顧客満足度を高められるトークスクリプトに近づけることができるでしょう。

4.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト例

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトの作成手順が分かったところで、実際のトークスクリプトの事例を見てみましょう。

ここでは、アウトバウンドとインバウンドに分けて、具体的なトークスクリプトの内容をご紹介します。

4-1.アウトバウンドのトークスクリプト例

まずは、アウトバウンドのコンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト例です。アウトバウンドのコンタクトセンターとは、顧客に架電するコンタクトセンターのことです。

・商品やサービスの提案をする
・既存顧客に新しい商品やサービス、リピートの案内をする

などが該当します。アウトバウンドのコンタクトセンターではどのようなトークスクリプトを作成したらいいのか、確認してみてください。

アウトバウンドのコンタクトセンターについては別の記事で詳しく解説しています。

オープニングトーク

アウトバウンドのコンタクトセンター(コールセンター)のオーブニングトークは、下記のように挨拶・自己紹介・要件の順で作成します。

「お忙しいところ恐れ入ります、私、株式会社〇〇の△△と申します。◇◇様のお宅でしょうか? ◇◇様はご在宅でしょうか?」

「突然お電話差し上げまして失礼いたします、私、※※サービスを扱っております株式会社〇〇の△△と申します。※※のご担当者様はご在籍でしょうか?」 

不在や留守電の場合のトークスクリプトも考えておくと、新人オペレーターでも焦らずに応対しやすくなるでしょう。

・不在の場合
「さようでございますか、それではまた改めさせていただきます。恐れ入りますが、お戻りのご予定は何時ごろでしょうか?」

・留守電の場合
「私、株式会社〇〇の△△と申します。本日は、※※サービスのご案内でご連絡いたしました。また改めさせていただきます。失礼いたします」

メイントーク

アウトバウンドのメイントークは、自社の商品やサービスを提案します。
下記のように要件を簡潔に伝えてから、相手の意見や思いを傾聴するトークスクリプトを作成するといいでしょう。相手の意見に応じて、悩みや不安を払拭できる提案ができれば心を掴みやすくなります。

新規顧客獲得のトークスクリプト例

傾聴・問診

「本日は、弊社の商品※※についてのご案内でご連絡いたしました。御社は、△△についてお困りではありませんか?」

 →(困っている)
 「さようでございますか、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?」

提案

「▲▲でお困りでしたら、弊社の※※(商品・サービス名)がお役に立てるかと思います。(ここから商品説明)」

「ぜひ一度御社にお伺いして、詳しくご説明させてください。ご都合の良い日時を教えていただけますか?」

リピーター獲得のトークスクリプト例

傾聴・問診

「先日は、※※(商品・サービス名)のご注文をいただきましてありがとうございました。無事お届けできましたでしょうか?」

 →(届いた)
 「さようでございますか、安心いたしました。使い心地はいかがでしょうか?」

 →(まだ届かない)
 「大変失礼いたしました。ただいま配送状況を確認いたします」

提案

「それでしたら、新製品の☆☆にお買い替えをおすすめいたします。先ほどお伺いしたご不満点を改良した商品で、(ここから商品説明)」

「今なら、キャンペーン価格〇〇円でお買い求めいただけますので、まとめてご購入なさるとお得です」

メイントークのトークスクリプトの作成時には相手の意見に応じて柔軟な応対ができるように、複数の切り返しトークを用意しておくと安心です。

切り返しのトークスクリプト例

「忙しいので結構です」
と断られた場合

「お取込み中に失礼いたしました。すぐにお切りいたしますので、1分だけお時間いただくことは難しいでしょうか?」

「お忙しいところ失礼いたしました。では、改めさせていただきます。何時ごろでしたらお手すきでしょうか?」

「予算がない」
「値段が高い」
と断られた場合

「そうおっしゃるお客様もたくさんいらっしゃいます。ちなみに、どのような点で『高い』と思われましたか?」

「総費用だとお高いと感じますが、1か月あたりにすれば〇〇円です。毎月このサービスを外部に委託する費用と比べると、お得ではないでしょうか?」

「◎◎や◇◇もご利用いただけますので、費用に見合ったサービスをご提供できると思います」

「ちょっと考えます」
「検討しておきます」
と言われた場合

「ありがとうございます。ちなみに、何か気になる点はございますか?」

 →(●●が不安…)
 「わかります。そうおっしゃる方は多いので弊社でもその点には特に力を入れておりまして・・・(ここから相手の不安を解消するような商品・サービス説明)」

特に新人のオペレーターの場合は、予期せぬ返答があると言葉に詰まる可能性があります。あらかじめ見本となるトークスクリプトを複数用意しておくことで、機会損失を防ぐことにつながります。

クロージングトーク

クロージングトークでは顧客に感謝の思いを伝え、最後まで丁寧な応対を心がけます。

特にリピーター獲得の場合はすでに信頼関係が構築できているケースが多いので「寒い日が続きますが、お体にお気をつけてお過ごしください。」「残暑が厳しいですが、お体ご自愛ください」など労りの一言を伝えられるといいでしょう。

新規顧客獲得の場合

「他に何かご不明点やご要望はございませんか?」

 →(ない)
 「承知いたしました、◇◇様、本日は※※のご注文をいただき、ありがとうございました。〇日程度でご自宅にお届けできると存じますので、もし何かありましたら、こちらの番号までお問い合わせください。担当△△が承りました。ありがとうございました。失礼いたします」

リピーター獲得の場合

「本日は、貴重なお時間をいただきありがとうございました。また何かご希望やご質問などございましたら、フリーダイヤル0120-xxx-xxxまでご連絡ください。寒い日(暑い日など)が続きますが、お体にお気をつけてお過ごしください。本日はありがとうございました、失礼いたします」

4-2.インバウンドのトークスクリプト例

続いて、インバウンドコンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト例をご紹介します。インバウンドのコンタクトセンターとは、顧客からの入電を受けるコンタクトセンターのことです。

・商品やサービスの故障、使い方などの問い合わせ対応をする
・商品やサービスの購入希望者の対応をする

などが該当します。インバウンドのコンタクトセンターではどのようなトークスクリプトを作成するといいのか参考にしてみてください。

インバウンドのコンタクトセンターについては別の記事で詳しく解説しています。こちらも参考にしてください。

オープニングトーク

インバウンドのオープニングトークはアウトバウンドと同様に、挨拶・自己紹介・要件の3つを伝えられるトークスクリプトを作成します。

「お電話ありがとうございます、株式会社〇〇・お客様問い合わせセンターの△△(自分の名前)です。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「お待たせいたしました、株式会社〇〇・カスタマーサポートセンター△△(自分の名前)が承ります。故障の状態を詳しく伺えますか?」 

IVRなどのシステムを導入している場合は、顧客の問い合わせ内容ごとにオペレーターを分けることがあります。例えばIVRで「商品の故障」を選択しているのにも関わらず、再度「本日はどのようなご用件でしょうか?」と聞いてしまうと顧客に不信感や手間感を与えます。

オペレーターごとに案件の割り振りをしている場合は、応対内容を踏まえてトークスクリプトを作成しましょう。

メイントーク

インバウンドのメイントークは、応対内容によって多岐に渡ります。基本的には相手の意見や思いを傾聴しながら、求めていることを解決できるよう応対しましょう。一例として、商品やサービス購入と故障受付のトークスクリプトを紹介します。

サービスや商品購入のトークスクリプト例

傾聴・問診

「ありがとうございます。お客様、※※(商品・サービス名)のご利用は初めてでしょうか?」

 →(初めて)
 「では、お客様情報をご登録いたしますので、お名前、ご住所、お電話番号をお教えください」

提案・問題解決

「購入される商品は○○を1点でよろしいでしょうか?」

「今ならキャンペーン価格〇〇円でお買い求めいただけますので、まとめてご購入なさるとお得です」

商品の故障受付のトークスクリプト例

傾聴・問診

「※※(商品・サービス名)に何か不具合がございましたか?」

「詳しくお聞かせください」

提案・問題解決

「いま※※(商品名)はお手元にありますでしょうか? 裏蓋のところに製品番号が書かれていますので、読み上げていただけますでしょうか」

「このような方法はお試しいただきましたか? 結果はいかがでしたか?」

「▢▢は正常に作動していますでしょうか?」

 →(正常)
 「かしこまりました。では、▲▲の部分は正しく動いておりますか?」

 →(正常でない)
 「さようでございますか。その場合は✕✕の不具合が考えられますので、お預かりして修理させていただきます。恐れ入りますが、今から申し上げる修理センター宛てにお送りいただけますでしょうか?」

故障受付の場合は、扱っている商品によっては複数の提案ができるかと思います。トークスクリプト例のように、顧客に試してもらえる方法や故障状況の確認方法などを細かく作成すると、均一な応対がしやすくなります。

クロージングトーク

インバウンドのクロージングトークはアウトバウンドと同様に、感謝の気持ちを伝え最後まで丁寧に応対します。

「ご案内は以上ですが、他に何かご質問はございますか?」

「本日は、※※にお申込みいただきありがとうございました。カスタマーサポートセンターの△△が承りました。お電話ありがとうございました、失礼いたします」

このように、コンタクトセンターのトークスクリプトは目的とゴールに応じてできるだけ細分化し、作成することが大切です。

5.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成のポイント

トークスクリプトの作成手順が分かりました。実際の作成においては、いくつか注意しなければならないポイントがあります。

トークスクプトを作成するときのポイント

①AIやテクノロジーを活用する
②敬語を正しく使う
③見やすいレイアウトにする
④ロールプレイングする

この章では、それらのポイントを挙げておきましょう。

5-1.AIやテクノロジーを活用する

トークスクリプトに記載する文例は、顧客の疑問や不満を十分に解決して満足させたり、自社の商品やサービスに興味を持たせて契約・購入に至らせるものでなければなりません。

以前は経験豊富なスーパーバイザーによって、トークスクリプトを作成するコンタクトセンター(コールセンター)も多かったのですが、AIやテクノロジーの発達により、トークスクリプトの作成方法も変化しています。

AIやテクノロジーの活用により、特定の個人の経験値に左右されないコンタクトセンターの過去の対応履歴や、傾向を分析することが可能となります。

そのため、顧客に、より一貫したサポート体験を提供することができ、問題解決や質問に対しての迅速な対応が可能となるでしょう。

また、過去に多くの顧客対応を経験し、成功例を蓄積しているスーパーバイザーやオペレーターに事前にロールプレイングで確認をしてもらうとよいでしょう

「過去にこういうトークで新規顧客を契約に導いたことがある」
「『✖✖という理由でその商品は必要ない』と拒否する相手に、このような切り返しトークをしたところ購入してもらえた」
「こういう苦情には『〇〇〇〇』という対応をすれば、短時間で相手を納得させることができる」

といった実体験が、完成度の高いトークスクリプト作りに役立つはずです。

また、「顧客からはこういう質問も出るのではないか?」「ここの言い回しは、『おすすめです』より『いかがでしょうか?』のほうが、顧客に受け入れられやすい」など、トークスクリプトの問題点、改善点も鋭く指摘してくれるでしょう。

5-2.敬語を正しく使う

また、繰り返しになりますが、敬語はくれぐれも正しく使用する必要があります。

敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種があり、それぞれ以下のように使い分けます。

◎尊敬語:相手自身、相手の状態や動作、相手に関する物事を敬って使う敬語
◎謙譲語:自分や身内の状態や動作、自分や身内に関する物事をへりくだって使う敬語
◎丁寧語:「です・ます」などのていねいな言い回しをする敬語

コンタクトセンター(コールセンター)でよく使う敬語の中には、尊敬語と謙譲語を間違われやすいものもあります。

それらを以下に表にしましたので、トークスクリプトを作成する際には参考にしてください。

「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の例

5-3.見やすいレイアウトにする

トークスクリプトは、相手の返答によってこちらの対応が変わるため、途中で分岐したフロー図のような形になるのが一般的です。

しかし、分岐が増えすぎたりやりとりが長くなったためにフロー図が複雑化し、「このトークの次はどのトークにつなげればいいのか」がわかりにくくなってしまうケースが度々あります。

そこで、オペレーターにとってできるだけ見やすいレイアウトを心がけましょう。

・トークから次のトークにつなげる矢印は、できるだけ交差しないようにする
・場合分けに合わせて色分けする
(YESの場合は赤、NOの場合は青の文字にするなど)
・細かい商品説明などは別紙に分ける

といった工夫が有効です。

5-4.ロールプレイングする

トークスクリプトができたら、実戦で使用する前に、必ずスーパーバイザーや経験豊富なオペレーターの間でロールプレイングを行いましょう。

実際に読んでみると、言葉遣いの不自然な点や言いにくいフレーズが浮き彫りになったり、レイアウトの見づらさに気づいたりすることがあるでしょう。

スーパーバイザーや経験豊富なオペレーターでも問題を感じるトークスクリプトであれば、一般のオペレーターはもっと使いづらいはずです。

ロールプレイングで洗い出された問題点を改善した上で、より完成度の高いトークスクリプトを現場に渡すようにしましょう。

まとめ

いかがでしたか?
コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトについて、知りたいことがわかったかと思います。

最後にもう一度、記事のポイントを振り返ってみましょう。

◎コンタクトセンターのトークスクリプトに必要な要素は、

1)オープニングトーク
2)メイントーク

 ・傾聴
 ・共感
 ・問診・問題解決
 ・提案

3)クロージングトーク

◎トークスクリプトの作成手順は、

1)トークスクリプトの目的とゴールを明確にする
2)想定される質問を洗い出す3)対応例を考える
4)構成を立てる
5)会話文に落とし込む
6)見やすい形式でまとめる
7)使用しながら随時改訂する

◎トークスクリプト作成のポイントは、

・AIやテクノロジーを活用する
・敬語を正しく使う
・見やすいレイアウトにする
・ロールプレイングする
・使いながら随時改訂する

正しくスクリプトが利用されているのかを評価したい場合はモニタリングもありますが、工数がかかるので、音声認識ツールを活用しながら分析・評価するのがよいでしょう。

トランスコスモスが提供している音声認識ツールtranspeechでは、オペレーターの応対の「正誤判断」をAIにて判断できる機能を有しており、応対評価工数を80%削減した事例もあります。興味のある方はこちらをご確認ください。

この記事で、あなたのコンタクトセンターが使いやすくて応対品質向上につながる良質なトークスクリプトを作成できるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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