
「コンタクトセンターに入電が多すぎて、オペレーターでは対応しきれないので、顧客対応を自動化したい」
「顧客対応を自動化するツールにはどんなものがある? わが社にはどんなツールが適している?」
電話対応業務に携わっていて、そのような困りごとや疑問を持っている方も多いでしょう。
顧客対応を自動化するには、主に以下のような方法があります。
【顧客対応を自動化する方法】 ・チャットボット・ボイスボットで対応する |
これらのツールやシステムを導入することで、顧客対応やデータ入力などの業務をボットやAIに任せることができるようになります。
その結果、以下のようなメリットが期待できるでしょう。
【顧客対応を自動化するメリット】 ・業務効率化で人手不足を解消できる |
ただ、コストが発生したり、顧客満足度が下がるリスクがあったりと、デメリットもありますので、導入するかどうかは慎重な検討が必要です。
この記事では、メリット・デメリットを勘案した上で、顧客対応自動化が向いている企業、向いていない企業をまとめましたので、導入検討の参考にしてください。
【顧客対応の自動化が向いている企業・向いていない企業】
向いている企業 | ・問い合わせ件数が多い |
向いていない企業 | ・顧客対応の内容が専門的、高度、個別性が高い |
ほかにも記事中で、以下のような内容について説明しています。
◎顧客対応を自動化する5つの方法 |
最後まで読めば、知りたかったことがわかるでしょう。
この記事で、あなたの会社が効率的で顧客満足度の高い顧客対応をできるようになることを願っています。
1.顧客対応を自動化する5つの方法

企業へは、問い合わせ、注文や契約・解約など顧客からのさまざまな連絡が日々入ります。
これに対して従来は、コンタクトセンター(コールセンター)を設けるなどして人が対応していましたが、近年ではその対応を自動化する企業も増えてきました。
その方法は、おおむね以下の5つです。
・チャットボット・ボイスボットで対応する |
では、それぞれ詳しく説明していきましょう。
1-1.チャットボット・ボイスボット
顧客対応を自動化する方法としてよく用いられるのが、チャット(テキストでの対話)や音声会話を自動で行う「チャットボット」「ボイスボット」です。
「チャットボット」とは、自動でリアルタイムにテキスト会話ができるプログラムを指します。
「チャット(chat)=コンピューターネットワーク上にリアルタイムでテキストを入力して会話すること」と、「ボット(bot)=ロボット」とを組み合わせた言葉です。
顧客が問い合わせたいことをチャット入力すると、オペレーターのかわりにボットが自動でテキスト回答します。
最近では、AIを搭載して応対の精度を高め、より自然な会話が可能になった「AIチャットボット」も普及し始めました。
【チャットボットのイメージ】

一方、「ボイスボット」は、テキストではなく音声で顧客対応するボットです。
顧客からの電話をボットが受け、AIによる音声認識や自然言語処理などの技術を用いて顧客の話す内容を認識、適切な回答を声で伝えます。
【ボイスボットのイメージ】

オペレーターの場合は1対1のコミュニケーションですが、チャットボット・ボイスボットなら複数の顧客に同時に対応できるのがメリットです。
また、ボットなので24時間365日いつでも問い合わせを受けることもできます。
そのため、業務を効率化しながら顧客満足度の向上もはかれるでしょう。
チャットボット・ボイスボット | |
概要 | 顧客の問い合わせに自動で回答するプログラム |
活用シーン | コンタクトセンターでの一次対応 |
解決できる課題 | ・オペレーター不足の解消 |
チャットボットを導入して顧客対応自動化に成功した事例を「2-1.シャトレーゼ様:チャットボット導入で入電26.6%減」で紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
また、より詳しく知りたい場合は、以下の記事がおすすめです。
・【事例】チャットボットとは?導入メリット3つと種類を丁寧に解説
・AIチャットボットとは?AI非搭載型との違いやメリット2つを解説
・ボイスボットとは?メリット・デメリットから導入ポイントまで網羅解説
1-2.IVR・音声認識
顧客からの電話に一次対応して、問い合わせ内容に合わせて自動で担当オペレーターに振り分けたり、必要な情報を伝えたりする「IVR」や「音声認識」も、カスタマーサポートによく導入されています。
「IVR」とは、「Interactive Voice Response(=音声による相互の応答)」の略で、日本語では「自動音声応答システム」とも呼ばれます。
顧客から電話が入ると、あらかじめ録音しておいた音声ガイダンスを自動で流し、プッシュ操作で連絡内容を担当者に振り分けしたり、情報を伝えたりするシステムです。
【IVRのイメージ】

また、「音声認識」は、顧客の話した内容をテキストデータに変換する技術です。
これをIVRと組み合わせれば、顧客が話した内容をIVRが音声認識し、プッシュ操作しなくても自動的に適した担当者に振り分けたり、顧客に応じた必要な情報を音声で案内したりすることができます。
IVRや音声認識を導入することで、オペレーターが取次業務をする必要がなくなり、効率化が期待できます。
また、コンタクトセンターの営業時間外にも簡単な問い合わせには自動で回答できます。
複雑な内容の場合は、プッシュ操作や音声認識で顧客の連絡先などを記録に残し、営業時間内に折り返すことも可能です。
顧客は何度も同じことを説明することなく、スムーズに担当者につながるため、ストレスが軽減されて満足度の向上も期待できるでしょう。
IVR・音声認識 | |
概要 | 顧客からの電話に一次対応、自動で音声ガイダンスを流し、問い合わせ内容に合わせて担当者に振り分けたり、情報を伝えたりするシステム |
活用シーン | コンタクトセンターでの一次受付 |
解決できる課題 | ・オペレーター不足の軽減 |
IVR・音声認識の導入事例は、「2-2.みずほ信託銀行様:V-IVR導入で入電抑止、コスト削減に成功」を読んでみてください。
また、さらに詳しく知りたい場合は、以下の記事を読むといいでしょう。
1-3.FAQシステム
WEBサイトの「よくある質問」を自動で作成、データベース化する「FAQシステム」も、多くの企業で導入されています。
ユーザーからの問い合わせ内容を分析し、件数の多い質問に対して回答を作成、データベース化して検索できるようにするシステムです。
作成したFAQ(=Frequently Asked Questions/よくある質問)を企業の公式サイトに掲載することで、顧客は自分で知りたいことの回答を見つけることが可能になります。
つまり、顧客の自己解決をうながして、コンタクトセンターへの問い合わせ件数を減らすことができるのです。
【FAQページの例】

出典:トランスコスモス公式サイト「よくあるご質問」ページ
FAQシステムの活用シーンは、顧客からの質問をまとめるだけではありません。
コンタクトセンターのオペレーター向けにFAQを作成すれば、顧客対応中に最適な回答を検索することができます。
また、社内ナレッジとして共有することで、バックオフィスへの問い合わせ負荷を削減することも可能です。
FAQシステム | |
概要 | よくある質問を自動で分析・作成・データベース化・検索できるシステム |
活用シーン | ・公式サイトの「よくある質問」ページの充実 |
解決できる課題 | ・顧客の自己解決率向上 |
FAQ改善で顧客の自己解決率をアップした企業の事例を、「2-3.SUBARU様:FAQ改善でアクセス数500%以上、役に立った率20%以上アップ」で紹介していますので、参考にしてください。
1-4.RPA
データ入力など、人間がパソコンで繰り返し行っている単純な定型作業を自動的に行う「RPA」も、顧客対応自動化に役立ちます。
「RPA」とは「Robotic Process Automation=ロボットによるプロセス(手順)の自動化」の略で、PCで行う作業をシナリオ化してあらかじめ指定しておけば、その通りの作業を自動で実行するシステムです。
たとえばデータ入力やアプリケーションの操作などを自動化できるため、顧客対応では以下のような活用が考えられるでしょう。
・顧客情報の入力、更新 |
顧客との対応自体を自動化するものではありませんが、それに付随するさまざまな事務・庶務作業を自動化することが可能です。
そのため、コンタクトセンターではオペレーターやスーパーバイザーの業務が効率化され、顧客対応に集中することができるようになります。
その結果、応対品質が向上し、顧客満足度アップにもつながるでしょう。
RPA | |
概要 | データ入力などPCで行う定型作業を自動化するシステム |
活用シーン | コンタクトセンターでのルーティーン作業を自動化 |
解決できる課題 | ・業務効率化 |
コンタクトセンターでのRPA活用については、以下の記事もおすすめです。
1-5.AIエージェント
さらに最近では、単に顧客の質問に答えるだけでなく、顧客の課題を解決に導くまでの一連のタスクを自動で行う「AIエージェント」も普及し始めています。
ほかの自動化ツールとは違い、設定された目標に対して自律的にデータ収集・分析・意思決定・行動できるのがAIエージェントの特徴です。
顧客対応に導入した場合は、顧客からの問い合わせや要望を受けて、AIエージェント自身がその内容を理解し、課題解決に向けて最善の対応を選択、提供します。
たとえば、顧客の質問に対して、FAQのデータベースやWEB上から回答を見つけてきて、必要な情報があるWEBページに誘導したり、チャットボットやボイスボットなどと連携して顧客に直接答えたりすることができます。
また、その過程で必要があれば、製品の修理依頼や返品手続きなどをAIエージェントが人の手を借りずにすべて自己判断して行うこともできるのです。
【AIエージェントのイメージ】

これにより、業務効率化と生産性向上が実現するのはもちろん、顧客データにもとづいてパーソナライズされたサービスを提供することも可能です。
AIエージェント | |
概要 | 顧客の質問に答えるだけでなく、課題解決までの一連のタスクを自動化できるツール |
活用シーン | コンタクトセンターでのさまざまなタスクを人の手を借りずに実行、課題を解決 |
解決できる課題 | ・業務効率化 |
「AIエージェントについてもっと知りたい」という場合は、以下の記事もおすすめです。
2.顧客対応を自動化した成功事例

顧客対応を自動化する方法がわかったところで、実際に自動化して成功した企業の事例を見てみましょう。
より具体的に、導入イメージがわくと思いますので、ぜひ参考にしてください。
2-1.シャトレーゼ様:チャットボット導入で入電26.6%減
シャトレーゼ様 | |
課題 | ・「電話がつながらない」事象を解消したい |
施策 | ・チャットボットを導入 |
成果 | ・アプリ関連のコール問い合わせが26.6%減少 |
お菓子メーカーのシャトレーゼ様では、メディアで取り上げられる機会が増えたことや、アプリの利用が進んだことなどから、お客さま相談室への電話が増え、「つながらない」という状態が生じていました。
そこでトランスコスモスは、まず「チャネル最適化診断」を実施しました。
これは、コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられた問い合わせのうち、チャットやボットの自動応答で解決できるものがどの程度の割合あるのかを可視化するサービスです。
その結果、以下のことがわかりました。
・入電のうち、アプリ関連の問い合わせが約4割を占める |
そこでチャットボットを導入、アプリに関連する問い合わせはチャットボットで自己解決できるようシナリオを設計したのです。
その結果、アプリ関連の電話での問い合わせは、チャットボット導入前の41.3%(2022年6月)から導入後は14.7%(2022年12月)と、26.6%も減少しました。
チャットボットによって業務効率化、顧客満足度向上に貢献できた成功事例です。

2-2.みずほ信託銀行様:V-IVR導入で入電抑止、コスト削減に成功
みずほ信託銀行様 | |
課題 | ・コンタクトセンターへの入電を抑制し、コスト削減したい |
施策 | ・V-IVRを導入 |
成果 | ・自己解決率が向上、入電の抑止に成功 |
みずほ信託銀行様では、コンタクトセンターへの問い合わせ電話の件数を減らし、業務効率化と人件費などのコスト削減を目指したいという課題を持っていました。
トランスコスモスは以前から、コンタクトセンター運用とFAQ制作業務を担当していましたが、この課題に対してV-IVRの導入を提案しました。
「V-IVR(ビジュアルIVR)」とは、IVRの案内機能をWEBサイトやスマホアプリ上でビジュアル化したものです。
【V-IVRのイメージ】

具体的には、証券代行領域に関する問い合わせを、顧客それぞれのニーズに適したFAQに誘導、自己解決をうながすという施策です。
顧客が電話をかけてきた際、待ち時間の間にSMSでV-IVRのURLを送付するなど、オフラインのタッチポイントにも導線を設けました。
また、選択肢の分け方やFAQの内容なども、顧客のニーズを把握して作成されています。
実際にV-IVRを実装したところ、期待どおり自己解決率が向上し、それに伴って入電は減少し、人件費などコンタクトセンターの運用コストを大幅削減することにも成功しました。
【FAQへの誘導イメージ】

2-3.SUBARU様:FAQ改善でアクセス数500%以上、役に立った率20%以上アップ
SUBARU様 | |
課題 | ・FAQコンテンツへのアクセス数が低く、検索ヒット率も低い |
施策 | ・FAQページを改善 |
成果 | ・「検索ヒット率」「役に立った率」20%向上 |
自動車メーカーのSUBARU様では、公式サイトに「よくある質問(FAQ)」のページを設けていましたが、あまり効果を得られていませんでした。
そもそもFAQページへのアクセス数が低く、アクセスしてきたユーザーも、知りたいことを検索しても適切なFAQがヒットしない=検索ヒット率が低いため、自己解決に結びつかないのです。
そのためユーザーアンケートをとると、FAQページは「役に立たない」というネガティブな評価が多数ありました。
そこでトランスコスモスでは、FAQページの改善施策を実施しました。
【検索ヒット率向上 施策例】 ・前週0件ヒットデータの収集 |
【回答の「役に立った」率向上 施策例】 ・お問合せが多くアンケート結果の低いQAを中心に1件ずつ課題の考察 |
このように、FAQページを大幅に見直したところ、2021年度2Qから2022年度3Qの間に、「検索ヒット率」「役に立った率」が20%向上、FAQアクセス数はなんと500%以上という大きな成果を得ることができたのです。
3.顧客対応を自動化するメリット6つ

ここまで、顧客対応をどのように自動化するのかを説明してきました。
「わが社も自動化したほうがいいかもしれない」と考えている方も多いはずです。
そこで、実際に顧客対応を自動化した場合、どのようなメリットが得られるのかについて考えてみましょう。
【顧客対応を自動化するメリット6つ】 ・業務効率化で人手不足を解消できる |
では、それぞれ説明します。
3-1.業務効率化で人手不足を解消できる
顧客対応自動化の最大のメリットは、業務の効率化とそれによる人手不足の解消です。
顧客からの問い合わせに対して、チャットボットやボイスボット、IVR、AIエージェントなどが対応することで、簡単な問い合わせであれば人が応対することなく解決することができます。
また、FAQシステムでよくある問い合わせページを充実させれば、そもそも問い合わせ自体が減少するでしょう。
人が対応しなければならない問い合わせの件数が減ることで、それまで顧客対応に割かれていた時間をコア業務に向けることができ、業務効率化、生産性向上が実現できます。
また、コンタクトセンター(コールセンター)の場合、オペレーター不足に悩んでいるところも多いでしょうが、その課題が解決され、さらに人件費などのコスト削減にもつながるはずです。
3-2.応対品質を平準化できる
また、顧客対応を自動化することで、応対品質の差をなくし、平準化することもできます。
人間が顧客対応する場合、その人のスキルや知見、経験、性格などによって、応対品質にバラつきが出ることはどうしても避けられません。
ベテランで同じような質問を何度も受けたことのある人と、新人でまだ慣れていない人とでは、同じ回答をするにもかかる時間、わかりやすさ、理解の深さなどが異なるのは当然です。
また、疲れている人やストレスに弱い人はミスが増えるかもしれませんし、アンガーマネジメントが苦手な人なら顧客とのやりとりで衝突してしまう恐れもあるでしょう。
その点チャットボットやボイスボット、IVR、AIエージェントなどが対応すれば、同じような質問、要望には常に均一の回答ができます。
プログラムやシステムですから、心身の状態に左右されることもありません。
顧客側としても、常に安定して質の高い課題解決を提供されるので、満足度向上が期待できます。
3-3.24時間365日対応できる
もうひとつ大きなメリットと言えるのが、24時間365日対応の実現です。
顧客が企業に問い合わせや注文などの連絡をするタイミングは、いつ生じるかわかりません。
夜中に製品が故障して困るかもしれませんし、休日にサービス利用の予約をしたくなることもあるでしょう。
ただ、企業側がいつでも常に顧客対応できる体制を整えようとすると、夜間や休日にもオフィスを開けて人員配置する必要があり、大きなコストがかかってしまいます。
その点、チャットボットやボイスボット、IVR、FAQページ、AIエージェントなどの自動化ツールは、一度導入すれば24時間365日いつでも顧客対応が可能です。
ボットやAIでは回答できない質問がきても、営業時間に折り返すようなフローを整えておけば問題ないでしょう。
いつでも対応してもらえるとなれば、顧客満足度も上がります。
また、製品の注文やサービスの利用予約を受けるコンタクトセンターなら、連絡がつながらないことによる機会損失を防ぐこともでき、利益増大にもつながるはずです。
3-4.ヒューマンエラーを減らせる
顧客対応を自動化すると、ヒューマンエラーも減らすことができます。
人が顧客対応する限り、ちょっとしたミスから大きなトラブルまで、何らかの間違いが生じるリスクは常につきまといます。
たとえば顧客情報や注文内容の聞き取りミスや入力ミス、間違った情報を伝えてしまったり必要なことを伝え忘れたりする伝達ミス、顧客の要望を読み違えて望まない提案をしてしまう判断ミスなど、さまざまなミスが起こり得るでしょう。
一方、チャットボットやボイスボット、IVRなどは、あらかじめ決められたシナリオに沿って決められた内容を伝えるので、伝え忘れや伝え間違いなどのリスクは大幅に減らせます。
RPAでデータを自動入力すれば、オペレーターのタイプミスを心配する必要もありません。
人が判断に迷うような場合でも、AIエージェントならデータにもとづいた客観的な判断を下すことが可能です。
3-5.オペレーターのストレスを軽減できる
意外なメリットとしては、顧客対応する人のストレス軽減も挙げられます。
顧客対応というのは、ストレスがかかりやすい仕事です。
特にコンタクトセンターでは、離職の理由の多くが「ストレス」だと言われます。
実際に、株式会社ビズヒッツが行った「コールセンターから他職種への転職理由に関する意識調査」では、転職理由の1位が「ストレスが多い」で、調査対象の3分の1が回答していました。

出典:株式会社ビズヒッツ「経験者150人に聞いた コールセンターからの転職理由ランキング」
チャットボットやボイスボット、AIアシスタントなどを導入すれば、ストレス源である顧客対応自体をボットやAIに任せることができます。
また、IVRで問い合わせが内容ごとに振り分けされると、あらかじめ難しい対応やクレーム対応が必要な顧客については心構えして臨むことができるでしょう。
あるいはそのようなコールはベテランオペレーターの担当にしておき、新人やストレス耐性の低い人は対応しないといったフローを組むことも可能です。
3-6.VOCを収集できる
6つ目のメリットは、VOC(=顧客の声)を収集できることです。
顧客からの問い合わせは、企業にとっては貴重な情報です。
その中には製品やサービスに対する顧客の意見や要望=VOCが含まれているため、適切に収集、分析すれば、顧客のニーズやインサイトを把握したり、製品の改良・サービス改善のきっかけや新商品開発のヒントを得たりすることができます。
ただ、オペレーターが聞き取った顧客の話を手動でテキスト入力しているだけでは、VOCを統一された形式のデータとして蓄積することは難しいでしょう。
その点、チャットボットやボイスボット、AIアシスタントなどであれば、「同じキーワードが含まれた質問をまとめる」といった方法でテキストデータを整理しやすいのが利点です。
また、「どんな質問が多かったか」「どんな回答が課題解決につながったか」などを分析することもできます。
それをもとに、多い質問はFAQページに記載して自己解決をうながす、顧客満足度が高かった対応をトークスクリプトやシナリオに取り入れて応対品質を向上させる、といった施策を講じるのもいいでしょう。
4.顧客対応を自動化するデメリット3つ

前章では、顧客対応自動化のメリットを挙げましたが、もちろんデメリットもあります。
それは以下の3点です。
【顧客対応を自動化するデメリット3つ】 ・導入に時間とコストがかかる |
わかりやすく説明します。
4-1.導入に時間とコストがかかる
第一のデメリットは、自動化には時間とコストがかかることです。
まずチャットボットやIVRなどのツール、システムを導入する際には、初期費用がかかります。
ツール自体の導入費用のほかに、必要な機器や設備の費用、使用するスタッフの研修・教育費用なども必要です。
また、導入準備から実際の運用開始までにかかる期間はツールによって異なりますが、短くても1〜3ヶ月程度、長ければ半年以上かかるケースもあります。
導入後も、ツールの月額利用料など、ランニングコストが発生するでしょう。
自動化による業務効率の向上で、人件費などの削減は期待できますが、そのコストカット分と導入で発生する費用とを試算して、マイナスにならない導入計画を立ててください。
4-2.自動対応だと回答間違いや回答不能が生じる
次に、自動対応は万能ではなく、間違った回答をしたり、回答できなかったりする場合も生じてしまいます。
「3-4.ヒューマンエラーを減らせる」では、入力ミスや伝達ミスなどを減らせると言いましたので、それと矛盾するように感じるでしょうが、そうではありません。
自動化すれば人が顧客対応に携わる部分が減るので、そこでのミスは少なくなります。
ただ、プログラムやシステムも万能ではないので、これまでにデータがないような専門的で深い質問や、複雑な要求を投げかけられた場合、正しい回答を導き出せないこともあるのです。
そのため、ボットやAIの回答を定期的にチェックして、シナリオを改善したりデータを学習させたりと、常に回答の精度を上げていくことが求められます。
4-3.顧客満足度が下がる恐れがある
顧客対応を自動化すると、顧客は電話で長く待たされることもなくなりますが、一方で、機械的な対応が顧客満足度を下げるリスクもあります。
というのも、ボットやAIが複雑な質問に答えられない場合、有人対応など別のチャネルに誘導されますが、これを「二度手間だ」と感じて面倒に思う人もいるためです。
また、そもそも人に直接話を聞いてもらうことがホスピタリティと感じる人にとっては、ボットやAIが対応すること自体に抵抗があるかもしれません。
これは、商品やサービスのターゲット層によっても結果が異なりますので、導入前に慎重にリサーチし、できるだけ満足度が下がらない問い合わせ導線を設計する必要があるでしょう。
5.顧客対応の自動化が向いている企業・向いていない企業

顧客対応自動化には、メリットとデメリットの両面があることがわかりましたが、そのせいで、「結局、わが社の場合は導入すべきかどうか判断できない」と迷ってしまった方もいるかと思います。
そこで、顧客対応の自動化が向いているのはどんな企業か、反対に導入しないほうがいいのはどんな企業かを考えてみましょう。
下の表を見てください。
【顧客対応の自動化が向いている企業・向いていない企業】
向いている企業 | ・問い合わせ件数が多い |
向いていない企業 | ・顧客対応の内容が専門的、高度、個別性が高い |
それぞれ説明します。
5-1.向いている企業
まず、顧客対応自動化が向いているのは、以下のような企業です。
・問い合わせ件数が多い |
問い合わせ件数が多い
チャットボットやボイスボット、AIアシスタントなどは、人間のオペレーターと違って同時に複数の顧客に対応することが可能です。
そのため、問い合わせ件数が多い企業では、効率化やコスト削減の効果が大きく期待できます。
また、FAQシステムを導入すれば、顧客のうち何割かは自己解決できて問い合わせ自体をしなくなるので、これも導入効果は高いでしょう。
具体的には以下のような業種です。
・ECサイト |
問い合わせ内容が定型的で、同じ対応の繰り返しが多い
ボットやAIは複雑な質問には回答できないことがありますが、同じ質問を何回もされるようなケースでは、精度の高い回答を毎回返すことができるので、適しているといえます。
たとえば、商品の発送状況や契約内容の確認、パスワードの再設定などは、人がいちいち対応するまでもなく、自動化で十分対応できるので導入が適しているでしょう。
業種で言えば、以下のようなものです。
・運送会社 |
24時間対応が求められる
前述したように、顧客対応自動化の大きなメリットのひとつが「24時間365日対応」ですので、これが必要な企業にも導入が向いています。
たとえば、ライフラインにかかわる企業やいつ起こるかわからない事故やトラブルに対応する企業は代表的なものでしょう。
また、グローバル展開をしている企業も、時差があっても対応できる自動化が適しています。
具体的には以下のような業種が該当します。
・電気、ガス、水道会社 |
デジタル化、DX化が進んでいる
また、すでに顧客体験(CX)のDX化を進めていて、顧客データの管理や業務プロセスなどがデジタル化されている企業であれば、顧客対応の自動化もスムーズに進むでしょう。
顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)などの既存のツールと連携することで、ボットやAIが過去の取引履歴などにもとづいた回答をしたり、商品のレコメンドをしたりといったよりパーソナルな顧客対応が可能になります。
具体的な業種としては、主に以下のようなものが考えられるでしょう。
・ECサイト |
5-2.向いていない企業
反対に、顧客対応の自動化が向いていない企業もあります。
以下のような企業です。
・顧客対応の内容が専門的、高度、個別性が高い |
顧客対応の内容が専門的、高度、個別性が高い
ボットやAIは、高度に専門的な質問や、特殊性・個別性が高く一般化しづらいことがらに対応するには限界があります。
たとえば医療や法律に関する相談、企業の基幹戦略にかかわる意思決定などでは、求められるのは一般的な回答ではなく、深い専門知識と経験、個別事例ごとの理解にもとづいた高度な判断が求められます。
現状のボットではこのような高度な対応はできません。
AIも、学習データが足りなかったり古かったり、偏っていたりすることで「ハルシネーション(誤情報や誤回答を生成すること)」を起こすリスクがあります。
そのため、以下のような専門性の高い業種では、もし顧客対応を自動化するにしても、かならず人による対応にも労力を割く必要があるでしょう。
・医療機関(一次対応などは自動化OK) |
顧客との信頼関係やロイヤルティを重視している
「4-3.顧客満足度が下がる恐れがある」で説明したように、顧客対応を自動化することをよしとしない顧客層もいます。
そのような層をターゲットにしている企業もまた、自動化には慎重になったほうがよいでしょう。
たとえば、ハイブランドやラグジュアリーホテルなどは、ブランドイメージにファンがついています。
そのイメージの中には、ホスピタリティも含まれているので、画一的な自動応答では満足できない恐れがあります。
あるいはBtoBで長期取引をしているお得意さまには、決まった担当者がていねいにコミュニケーションを取り続ける必要があるでしょう。
自動応答で一般的な対応をされては、信頼関係が損なわれるかもしれません。
自動化するにしても、夜間や休日のみ自動応答にして、営業時間になったらすぐに担当者が折り返す、といった有人対応を中心にしたほうがよいでしょう。
具体的な業種でいうと、以下のようなものが該当します。
・ファッションやジュエリー、時計などのハイブランド |
社内のITリテラシーが不足している
「デジタル化、DX化が進んでいる」とは反対に、社内でデジタル化が進んでおらず、ITリテラシーが不足している企業も、自動化は向かないでしょう。
というのも、顧客対応自動化は、ツールを導入すればそれで完結するわけではありません。
適切に運用するには、担当者はもちろん顧客情報にかかわるすべてのスタッフが、ある程度ツールを理解している必要があります。
リテラシーが不十分だと、データを正しく集積できなかったり、不用意に情報を漏洩の危険にさらしてしまったりといったリスクが生じるでしょう。
そもそもツール自体を使いこなせず、かえって業務に混乱をきたすかもしれません。
もし自動化したいのであれば、事前に研修を行うなど、社内のリテラシーを高めておくことが求められます。
具体的には、以下のような企業、業種は内部のデジタル化が進んでいないケースも多いので要注意です。
・役所などの公共サービス |
顧客層が高齢者中心であるなど、デジタル対応が難しい
また、顧客層がデジタル対応に慣れていない場合も、顧客対応自動化は難しいでしょう。
たとえば高齢者がターゲットである企業などは、まさにこれに該当します。
最近のシニアは、PCやスマホを使いこなす人たちが増えている一方で、まだまだ電話や対面でのコミュニケーションを好む人も多いようです。
そのような顧客が多い企業は、顧客がチャットボットやFAQページなどをうまく利用できず、結局電話オペレーターなどの有人チャネルに連絡してくることが多くなる可能性があります。
となると、せっかく自動化ツールを導入しても、期待したほどの業務量削減にはつながらないかもしれません。
むしろ反対に、「利用しづらい」として顧客満足度が下がってしまう恐れも考えられます。
そのようなことにならないよう、以下のような企業は注意してください。
・介護サービス |
6.顧客対応を自動化する際の注意点

ここまでで、顧客対応の自動化とはどんなものか、あなたの会社に適しているのかがわかったでしょう。
ただ、導入が向いている企業でも、注意しなければならないことはあります。
そこで最後に、顧客対応自動化に際しての注意ポイントを挙げておきましょう。
・有人対応も併用する |
6-1.有人対応も併用する
まず、何度か触れたように、自動で顧客対応してくれるボットやAIも、複雑な質問に答えるのは困難ですし、間違いもゼロではありません。
そのため顧客対応を完全に自動化するのではなく、かならず有人対応も残して併用してください。
たとえば、一次対応はIVRが用件によって振り分け、質問内容が簡単な場合はボイスボットが回答、難しい場合はコンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターに引き継ぐ、といった導線設計です。

この場合、どんな問い合わせに自動応答するか、どこでオペレーターにバトンタッチするか、それぞれカバーする範囲を明確にしてからシナリオ設計するようにしましょう。
また、導入する自動化ツールが、有人対応への切り替えに対応しているかどうかの確認も必要です。
6-2.オペレーターの教育・研修をする
自動化ツールを導入するにあたっては、事前にオペレーターの教育を徹底しておくことも重要です。
顧客対応のうち、簡単なものや定型的なものにはボットやAIが自動応答できるようになるということは、オペレーターには難しい問い合わせや、対応に細心の注意が求められるクレームなどが集中することになります。
そのため、製品やサービスへの理解をより深め、トークスキルを高めておかなければなりません。
もちろん、導入するツールについても知っておく必要があります。
マニュアルやトークスクリプトを改訂し、ベテランSVやツールにくわしい者が研修を行うとよいでしょう。
6-3.顧客満足度が下がらないよう、応対品質を保つ
「4-3.顧客満足度が下がる恐れがある」で説明したように、顧客対応を自動化すると、それを不満に感じる顧客も一定数出てくるでしょう。
その人たちに、「応対がよくなかった」「課題が解決しなかった」と感じさせないよう、顧客満足度を高める工夫も求められます。
まず、有人チャネルのオペレーター教育を強化し、より質の高い応対を目指しましょう。
また、導入するボットやAIのシナリオ、FAQ(想定される質問と回答)も十分に精査・検討して、顧客が求める十分な解決を提示できるようにしてください。
6-4.定期的に改善する
さらに、自動化ツールの導入後にも、定期的に改善のPDCAを回し続けましょう。
自動化に際しては、あらかじめボットやAIに想定される質問と回答を用意しておく必要があります。
ただ実際に運用してみると、FAQが不足していて自動応対での解決率が上がらなかったり、顧客が不満を感じたりするといった課題が見えてくるはずです。
そこで、足りないFAQを随時追加して、自動応対できる問い合わせの範囲を広げたり、顧客の要望に沿ったシナリオに変更したり、チャットボットから有人対応への引き継ぎ導線をよりスムーズにしたりと、必要に応じた改善を加えていくことが重要です。
そうすれば、より顧客満足度の高い対応が実現でき、顧客対応自動化を成功に導くことができるでしょう。
顧客対応の自動化を検討しているなら トランスコスモスでは、顧客対応を自動化してコンタクトセンター運営の効率化を実現するソリューションをさまざまに提供しています。 ・チャットボット・有人チャット立ち上げ・運用支援サービス「DEC Support」 コンタクトセンターの多様な課題をデジタル技術を活用してサポート、解決に導きます。 |
まとめ
いかがでしたか?
顧客対応の自動化について、知りたいことがわかったでしょう。
では最後に、記事の内容を振り返ってみます。
◎顧客対応を自動化する5つの方法は、
・チャットボット、ボイスボット |
◎顧客対応を自動化するメリットは、
・業務効率化で人手不足を解消できる |
◎顧客対応を自動化するデメリットは、
・導入に時間とコストがかかる |
◎顧客対応の自動化が向いている企業・向いていない企業は、
向いている企業 | ・問い合わせ件数が多い |
向いていない企業 | ・顧客対応の内容が専門的、高度、個別性が高い |
◎顧客対応を自動化する際の注意点は、
・有人対応も併用する |
この記事で、あなたの会社が顧客対応の自動化に成功し、応対業務が効率化されるよう願っています。
