
「コンタクトセンター運営を最適化するには”コールリーズンが重要”だといわれた。コールリーズンとはどのようなものだろう?」
「コールリーズンの収集、分析を開始したものの有効活用できていない。コールリーズンは、どのように活用できるの?」
コンタクトセンター(コールセンター)運営をしていると、耳にする「コールリーズン」。
聞いたことはあるものの「どのようなものなのか」「どのように活用できるのか」と疑問に感じている担当者も多いでしょう。
コールリーズンとは、顧客がコンタクトセンターへ問い合わせを行った理由を分類・記録したデータのことです。「商品の使い方が分からない」「商品が故障した」など、さまざまな声が該当します。
また、問い合わせ分析やVOC分析の基礎データとして活用され、顧客ニーズの把握やコンタクトセンター業務の改善に役立ちます。

コールリーズンを収集、分析すると顧客の要望やコンタクトセンターの課題が分かり、有効活用できれば顧客満足度の向上やコンタクトセンター運営の最適化につなげられます。
ただし、コールリーズンを単に分析して、やみくもに対応しても思ったような成果が出ません。コールリーズンに優先順位を付けて何から改善するべきか可視化できる分析方法を理解することが重要です。
そこでこの記事では、コールリーズンの概要や分析の重要性、具体的な収集方法や分析方法を解説します。
最後まで読めばコールリーズンとはどのようなものか理解したうえで、有効活用できるようになります。
コンタクトセンターで収集したコールリーズンを活用せずに蓄積するだけでは、貴重な顧客接点データを十分に活かせません。
顧客満足度の向上やコンタクトセンター運営の最適化を目指すためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.コールリーズンとは顧客がコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをした理由のこと

冒頭でも触れたように、コールリーズンとは、顧客がコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをした理由のことです。
顧客は何らかの理由があり、コンタクトセンターに問い合わせをします。
下記のような「再購入したい」「商品が故障していた」など、コンタクトセンターに問い合わせをするさまざまな理由がコールリーズンに該当します。

コールリーズンは収集、分析して、コンタクトセンター運営や商品・サービス改善に役立てることができます。
たとえば、コールリーズンを収集、分析して「パソコンの電源の入れ方が分からない」という声が多かったとしましょう。
この結果を踏まえて、説明書や商品の改善、説明動画の作成などをすると、顧客が迷いなく商品を使えるようになります。

また、コンタクトセンター運営においても、よくある問い合わせを事前に把握しておくと、スムーズに回答できる体制を整えられます。
このように、「顧客がなぜコンタクトセンターに問い合わせをしたのか」を逃さずにしっかりと把握することで、コンタクトセンター運営や商品・サービス改善に役立てられるようになります。
2.コールリーズンを分析したほうがいい3つの理由

コールリーズンの概要が分かったところで、コンタクトセンター(コールセンター)でコールリーズンを収集、分析したほうがいい理由をご紹介します。
コールリーズンを分析するとどのように活用できるのかも踏まえて解説するので、参考にしてみてください。
コールリーズンを分析したほうがいい3つの理由 |
・顧客満足度の向上につながる |
2-1.顧客満足度の向上につながる
1つ目は、顧客満足度の向上につながることです。コールリーズンを分析すると、顧客ニーズや問い合わせ傾向が可視化でき、CX(顧客体験)の向上に向けた対策を講じやすくなります。
コールリーズンを分析していない場合は、顧客が自社の商品やサービスに何を求めているのか、どのような不満があるのか理解できません。
一方で、コールリーズンを分析すると、顧客ニーズに基づいた商品・サービスの改善や品質向上に活かせます。
たとえば、コールリーズンを分析すると「商品の詰め替え方法が分からない」という問い合わせが多かったとしましょう。

社内では気づかなかった「商品の詰め替えに困る顧客が多い」という課題が浮き彫りになります。
このコールリーズン分析結果を踏まえて、下記のような改善ができればリピーターや新規顧客獲得が見込めるでしょう。
【コールリーズン分析の結果を踏まえた改善例】 ・商品の詰め替え方法を変える |
コールリーズンを分析すれば顧客に寄り添った商品・サービスの開発や改善ができるようになり、顧客満足度の向上につながるのです。
【コールリーズンとVOCとの違い】 VOC(Voice of Customer)とは、顧客の声のことです。「この商品を改善して欲しい」「この前の接客態度に不満がある」といった、顧客の要望や不満、感謝の声などが該当します。 VOCはコンタクトセンターだけでなく、店頭アンケートやWeb調査などさまざまな方法で収集することが可能です。 コールリーズンは、VOCを収集・分析するための手段の1つで、コンタクトセンターに寄せられる問い合わせの中から顧客のリアルな声を把握して活用できます。 ▼VOCの基礎知識は、下記の記事で詳しく解説しています。 |
2-2.自己解決の向上が見込める
2つ目は、顧客の自己解決の向上が見込めることです。コールリーズン分析をするとよくある質問の傾向が分かり、FAQやチャットボットのトルツメに反映できるからです。
昨今のコンタクトセンターでは、顧客が自己解決できるサービス提供がトレンドになっています。
しかし、顧客が抱えやすい課題、悩みとコンタクトセンター側が提供する情報が一致しなければ、FAQやチャットボットでの自己解決率が伸びず、コンタクトセンターに入電が集中してしまうのです。
コールリーズンを分析すればよくある問い合わせの傾向を把握したうえで、自己解決を促せます。
たとえば、営業時間に関する問い合わせが多いと把握できれば、FAQに営業時間に関する項目を追加することで顧客の自己解決の向上が見込めます。

FAQやチャットボットへスムーズにアクセスできる導線を整備しておけば、顧客が疑問を抱いた際に自己解決を促せます。
このように、顧客が本当に知りたい情報を自己解決する手段に反映させることで、無人対応と有人対応の切り替えもしやすくなります。
▼自己解決を促すFAQやチャットボットの基礎知識は、下記の記事で解説しています。
・【FAQの作り方】5つのステップと6つのポイントを具体的に解説
・FAQサイトはどう改善すべき?データから改善点を導く方法と改善手順
・チャットボットはコールセンター運営に必要!事例や活用方法を解説
2-3.オペレーターの負担を軽減できる
3つ目は、オペレーターの負担を軽減できることです。コールリーズンを分析すると、下記のように、入電数の削減や業務改善につながり、オペレーターが顧客応対しやすい環境を整えられるからです。
【オペレーターの負担を軽減できる理由】 ・トークスクリプトを整備できて顧客応対しやすくなる |
たとえば、自動音声で案内をして、入電理由に応じた担当オペレーターの振り分けができるIVR(自動音声応答システム)を使用するとしましょう。
コールリーズン分析から「商品の使い方」「商品の再購入」「商品の故障」の問い合わせが多いことが明確になったら、下記のように問い合わせ対応先を分けます。

各領域に特化したオペレーターに割り振ることで、問題解決にかかる時間、負担を軽減できます。
また、コールリーズンの分析結果からA商品の初期設定に関する問い合わせが多いと分かった場合は、初期設定方法を伝えるトークスクリプトを作成して、オペレーターがスムーズに回答できるようにします。

このように、コールリーズンの分析結果をオペレーターの教育やコンタクトセンター運営に活用すると、オペレーターが顧客応対しやすい環境を目指せます。
▼オペレーター教育の基礎知識は、下記の記事で解説しています。
▼IVRの基礎知識は、下記の記事で詳しく解説しています。
3.コールリーズンの2つの収集方法

コールリーズンを収集する代表的な方法には、主に2つあります。それぞれ収集方法が異なるため、現状のコンタクトセンター(コールセンター)運営方法と照らし合わせながら、導入しやすい方法を選択しましょう。
コールリーズンの収集方法 | 概要 |
CWC | ・通話中や応対後に電話機のボタンから問い合わせ理由を入力集計できる仕組み |
CRMシステム | ・顧客管理システムを活用してコールリーズンを入力する |
3-1.CWC(コールワークコード)
CWC(コールワークコード)とは、オペレーターが通話後に事前に定義した問い合わせカテゴリに対応するコードを入力することで、問い合わせ内容を記録・集計できる仕組みのことです。
CMS(Call Management System:コールマネジメントシステム)の機能に標準で搭載されていることが多いです。
たとえば、1に返品・交換、2にクレームと定義して割り振りをしておきます。顧客との通話後に、オペレーターが「1」を入力すると、返品・交換による問い合わせだったと記録できます。
CWCを利用するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
▼CWCを利用するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・ボタンをプッシュするだけなので操作が簡単 | ・入力をうっかり忘れてしまうことがある |
3-2.CRMシステム
CRMシステムとは、顧客の基本情報や購買履歴、問い合わせ履歴などをデータとして蓄積・管理するシステムです。
コンタクトセンターでは、CRMシステムに問い合わせ内容を入力しますが、同じ画面でコールリーズンのカテゴリ分類ができるようにすると、コールリーズンを残すことが可能です。
収集したコールリーズンをCSVなどで出力できれば、Excelを使ってグラフや表を用いた分析がしやすくなります。
CRMシステムを利用してコールリーズンを収集するメリット・デメリットは、以下のとおりです。
▼CRMシステムを利用するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
・コールリーズンを入力しないと顧客対応画面をクローズできないようにして、入力漏れを防げる | ・操作方法を覚える必要がある |
CRMシステムの詳しい機能や選び方のポイントについては、こちらの記事もご参考ください。
トランスコスモスでは、CRMシステムの機能が含まれる「trans-CRM」をご提供しています。
「trans-CRM」では、電話機でのコールリーズン収集ではなく、応対履歴を入力する際にコールリーズンも登録できるようになっています。
またPBX環境とのCTI連携も可能なため、応対時間と連動させた分析も可能になります。
画面設計はシンプルなユーザーインターフェースで、視認性が高く、直感的な操作ができるため、オペレーターの操作を覚える負担を軽減します。
ぜひトランスコスモスの「trans-CRM」をご検討ください。
4.コールリーズン分析では分析結果に基づいた適切なアプローチが重要

ここまで、コールリーズンを分析する重要性や具体的な収集方法を解説しました。「コールリーズンを収集して役立てたい」と感じた方も多いでしょう。
コールリーズンは単に収集、分析するのではなく、適切にデータを可視化してコールリーズン分析の結果に基づいた改善施策ができるように整えることが重要です。
下記のような視点で分析できないと、顧客満足度の向上やコンタクトセンター(コールセンター)改善に役立てるアプローチがしにくいからです。
【コールリーズンを分析するときに必要な視点】 ・コールリーズンの重要度を見極めて優先順位をつける |
たとえば、コンタクトセンターに集まるコールリーズンにランダムに対応していると、緊急度の高い課題や多くの顧客が望んでいる声を逃す可能性があります。
コールリーズンを適切な方法で分析して、優先順位をつけることで、迅速な対応がしやすくなるのです。

このように、適切なアプローチでコールリーズンを分析するには、パレート図の活用がおすすめです。
パレート図とは、発生している問題のなかでも、大きな割合を占めているものを特定できるグラフです。

イタリアの経済学者ヴィルフレート・パレートが提唱した「パレートの法則」が名前の由来であり、棒グラフと折れ線グラフを組みあわせて図式化します。
コールリーズン分析でパレート図を利用すると、優先度の高いコールリーズンや各コールリーズンが全体に占める割合などが分かります。
次の章では、パレート図を使ってコールリーズンを分析するステップを詳しくご紹介します。
5.パレート図を使ったコールリーズンの分析ステップ

ここからは、パレート図を使ったコールリーズンの分析ステップをご紹介します。
今回は、Excelを使って手軽にパレート図を作成して、実際に分析するまでの工程を分かりやすくまとめています。
ぜひ、収集したコールリーズンを有効活用するためにも、参考にしてみてください。
5-1.ステップ1:コールリーズンと件数を書き出す
まずは、CWCやCRMシステムに集約したコールリーズンの内容と件数を書き出します。Excelを使って下記のように、一定期間の内容をまとめるといいでしょう。

コールリーズンは電話応対後にデータ入力を忘れてしまうと、正確な結果を出せません。
コールリーズンの収集方法によって運用は変わりますが、チェックリストなどを使ってコールリーズンを入力したかどうかをセルフチェックできるようにしておくといいでしょう。
5-2.ステップ2:件数が多い順にコールリーズンを並び替える
続いて、件数が多い順にコールリーズンを並び替えます。ここで並び替えておくと、コールリーズンの傾向が掴みやすくなるからです。
Excelの機能で「範囲を選択する>データ>並び替え>降順」を選択すると、並び替えができます。

上記の例では「サービスの操作方法」に関する問い合わせ件数が多いことが分かります。
5-3.ステップ3:累計件数と累計比率を計算する
続いて、累計件数(各項目のデータ数を足した件数)と累計比率(各項目のデータを累積件数の合計で割った数値)を計算します。
【累計件数と累計比率で分かること】 ・累計件数:各項目が全体に占める割合が理解できてどの項目から改善するべきか分かる |
コールリーズン件数が一番多い「サービスの操作方法」を基準として、まずは累計件数を足していきます。

次に、累積比率を計算します。累積比率は「累積件数÷総件数×100」で算出します。

その結果、以下のような表が完成しました。

これでパレート図を作るための素材は完成です。
5-4.ステップ4:パレート図を使ってグラフ化する
ステップ3で完成した素材をもとにして、パレート図を作成します。
早速、先ほどのExcelデータを使って、パレート図を作成していきましょう。グラフに「累積件数」は使わないため、非表示にします。

「コールリーズン、件数、累積比率を範囲選択>メニューバーで『挿入』を選択>「おすすめグラフ」を選択」をします。

すると、以下のようにパレート図が作成できます。

5-5.ステップ5:パレート図を見て分析をする
完成したパレート図を見て「コールリーズンにどのような傾向があるのか」実際に分析をしましょう。

上記のパレート図からは、下記のようなことが分かります。
【パレート図から分かること】 ・「サービスの操作方法」がコールリーズンとして件数が多い |
この分析結果より、「サービスの操作方法」「サービスの加入方法」に対する施策を最優先して考えるべきだといえるでしょう。
このように、パレート図を利用してコールリーズンの分析をすると、自社の課題の優先順位が明確になり、効果的な改善施策を立案しやすくなります。
6.コールリーズンに関するよくある質問
一方でコールリーズンは、顧客がコンタクトセンターへ問い合わせをした理由を分類・記録したデータです。コールリーズンはVOCを収集・分析するための重要な情報源の一つとして活用されています。
・顧客満足度の向上につながる
・FAQやチャットボットの改善によって自己解決率を高められる
・オペレーターの負担軽減や業務効率化につながる
分析結果を商品・サービス改善やコンタクトセンター運営に反映することで、顧客体験(CX)の向上が期待できます。
・FAQサイトの改善
・チャットボットシナリオの最適化
・商品・サービスの改善
・IVR(自動音声応答)の見直し
・オペレーター教育やトークスクリプトの改善
問い合わせの原因そのものを解消できれば、顧客満足度の向上とコンタクトセンターの業務効率化を同時に実現できます。
特に、オペレーターごとに判断基準が異なると分析結果に偏りが生じる可能性があります。入力ルールの統一や定期的な運用見直しを行い、信頼性の高いデータを蓄積することが大切です。
まとめ
本記事では、コールリーズンの概要や分析したほうがいい理由、具体的な分析方法をまとめて解説しました。
最後に、この記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。
〇コールリーズンとは、顧客がコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをした理由のこと
〇コールリーズンを分析したほうがいい理由は下記のとおり
・顧客満足度の向上につながる |
〇コールリーズンを収集する方法は下記の2つ
・CWC(コールワークコード):通話中や応対後に電話機のボタンから問い合わせ理由を入力集計できる仕組み |
〇パレート図を使ったコールリーズンの分析ステップは下記のとおり
・ステップ1:コールリーズンと件数を書き出す |
コールリーズンを分析すると、コンタクトセンター運営や商品・サービス開発に役立てられます。
コンタクトセンターで収集できるコールリーズンを有効活用するためにも、収集、分析できる環境を整えましょう。

