
コールログとは、コンタクトセンター(コールセンター)における顧客との電話でのやりとりを記録した情報です。主にテキストや音声録音として保存されます。
- コールログを分析するメリット:顧客対応の品質向上、リスク軽減、業務効率化、商品やサービスの改善、顧客満足度向上、効果的なマーケティング施策の実行が可能となる
- コールログを分析する際の注意点:データの適切な保管が求められ、分析結果の精度が低下するリスクがある
- コールログを活用した企業の成功事例:コールログの分析を通じて顧客対応プロセスの見直しを行い、業務改善を実現した事例を紹介。業務改善を図った結果、問い合わせ対応時間を30%短縮し、顧客満足度が向上。さらに、新商品の開発により初月売上が20%増加。
- コールログの分析を効果的に取り入れるポイント:目的を明確にし、適切なツールを選定し、PDCAサイクルを活用することで、分析の効果を最大化できる。
「コールログってどういう意味なのかわからない」
「自社にとってコールログの分析は意味はあるの?」
と感じていませんか?
コールログとは、コンタクトセンター(コールセンター)や顧客対応部門における「電話での会話の記録」を記録したものです。コールログの分析は、企業にとってメリットをもたらします。
コールログを分析する6つのメリット |
・顧客対応の品質向上 |
導入にあたっては以下の注意点も考慮が必要ですが、導入メリットが大きいため、どの企業にとってもコールログの取得・分析は必須であるといえます。
・データの適切な保管 |
この記事では、以下の内容をお伝えします。
この記事で分かること |
◆コールログとは |
本記事を読むことで、コールログの基礎知識を理解し、自社におけるコールログの取得・分析の必要性を判断できるようになります。ぜひ、最後までお読みください。
1.コールログとは
まずはコールログの基礎知識について、以下の3つの視点から解説します。
・コールログの定義 |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1-1.コールログの定義
コールログとは、コンタクトセンター(コールセンター)や顧客対応部門において、「顧客との電話でのやりとり」に関する情報を記録したものです。この記録は「テキスト」または「音声」として行われます。
一般的に、コールログには以下の情報が含まれます。
・顧客の情報(誰が電話をかけてきたか) |
企業がコールログを分析する目的は主に以下の通りです。
・コンタクトセンター業務の改善 |
具体的にコールログは、以下の情報を記録します。
コールログの内容例 | |
基本情報 | ・通話日時 |
顧客情報 | ・顧客名 |
問い合わせ内容 | ・問い合わせの種類(質問、苦情、要望など) |
対応内容 | ・オペレーターの対応内容の記録 |
結果 | ・問題解決の有無 |
※企業によってコールログの内容は異なります。
このようにコールログでは、自社のために活用できるような情報を収集しています。
1-2.コールログの種類
コールログの具体的な形式について、その種類を把握しておきましょう。コールログには以下の2種類があります。
【コールログの種類】
テキスト | 通話に関する情報を文章として記録する ▼メリット ▼デメリット |
音声録音 | 通話に関する情報を音声として記録(録音)する。通話内容やビデオ通話を録音することがある ▼メリット ▼デメリット |
このように、コールログには大きく2つの種類があり、企業によってどちらでコールログを取得しているのかは異なります。コールログを取得するだけでなく分析も行う場合は、テキストデータが必要です。
分析ツールは基本的に音声を文字にしてからしか、分析を行えないため、テキストでの取得をおすすめします。
ただし、オペレーターの手入力テキストは、情報の精度が低下する可能性があるため、音声録音を文字起こししたもの、もしくは応対中にリアルタイムでテキスト化されたものを分析に活用しましょう。
1-3.コールログ 3つの活用シーン
それでは、コールログはどのような場面で活用されているのでしょうか。
コールログは主に以下3つのシーンで活用されています。
・コンタクトセンター(コールセンター)の業務改善 |
それぞれの具体的な活用例は以下のとおりです。
【コールログの活用シーン例】
主な活用シーン | 活用例 |
コンタクトセンターの業務改善 | ◆オペレーターの対応を評価し、改善する ◆優秀なオペレーターのやり取りを共有する |
商品・サービスの改善・開発 | ◆テキストを分析してニーズを把握する |
マーケティング戦略への活用 | ◆顧客のニーズを把握し、マーケティングのヒントにする ◆ターゲットを明確にし、適切なアプローチを検討する |
このように、コールログは3つのシーンにおいて、日々活用されています。
2.コールログを分析する6つのメリット
コールログの基礎知識を理解したところで、自社への導入を判断するためにコールログのメリットを見ていきましょう。
コールログを分析することにより、以下6つのメリットがあります。
コールログを分析する6つのメリット |
・顧客対応の品質向上 |
これらのメリットを把握することで、導入の判断材料となるため、それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1.顧客対応の品質向上
1つ目のメリットは、「顧客対応の品質向上」です。
コールログを分析することで、以下の点を特定できます。
・優秀な対応内容 |
優れた対応をトークスクリプトに組み込んで全オペレーターに共有すれば、顧客対応の品質が向上します。さらに、以下のような問題点を特定することができます。
【コールログによって分かる顧客対応の問題点・改善点の例】 |
例えば、家電メーカーA社のコンタクトセンター(コールセンター)において、新商品の洗濯機に関する問い合わせが急増している場合、コールログを分析し、以下のように改善策を講じることができます。
(1)多くの顧客が操作パネルの使い方を理解できていない (2)特定の質問が頻発している (3)オペレーターの説明に一貫性がなく、顧客の混乱を招いている |
このように、コールログを分析することで自社の顧客対応の問題点を明確にし、適切な改善策を実行できます。
2-2.リスク軽減
2つ目のメリットは「リスク軽減」です。
コールログ分析により、商品やサービスに関する問題点や顧客の不満を早期に発見できます。これにより、小さな問題が大きな苦情に発展する前に対策を講じることが可能です。
例えば、家電メーカーA社のコンタクトセンター(コールセンター)で、洗濯機の特定のコースに関する異音の問い合わせが増加傾向にあることをコールログ分析で発見しました。
この結果をもとに、以下の対応を行いました。
(1)該当部品の改良を開始 (2)既に販売された商品について無料点検・修理を実施 (3)コンタクトセンターのオペレーターに対し、この問題に関する適切な対応方法を指導 |
このように、コールログ分析が企業のリスクを軽減できることは、大きなメリットのひとつといえるでしょう。
2-3.業務効率化
3つ目のメリットは「業務効率化」です。
コールログを分析すれば、顧客からよく質問される問い合わせが明らかになります。
そのため、以下の対応が可能です。
・よくある問い合わせをFAQに追加 |
例えば、通信会社のコンタクトセンター(コールセンター)がコールログ分析から「インターネット接続がうまくいかない」という問い合わせが多いことを把握し、FAQに解決策を追加しました。
その結果、
・顧客側も電話による問い合わせの必要がなくなり、問い合わせ件数が減少 |
といったことが実現できました。
このように、コールログ分析によって業務効率化が可能になります。
2-4.商品やサービスの改善・開発
4つ目のメリットは「商品やサービスの改善・開発」です。
コールログ分析を通じて、顧客のニーズを把握できるため、商品の改善や新商品の開発に役立てることができます。
具体的な流れは以下の通りです。
(1)コールログのテキストデータを分析 |
例えば、家電メーカーA社がコールログ分析を商品改善へと活用する場合を考えてみましょう。
【コールログ分析を商品改善へと活用する例:家電メーカーA社の場合】 (1)冷蔵庫に関する問い合わせ、苦情などのコールログを収集・分析 |
このように、コールログを活用すれば、顧客の求めている状態に商品を改善や開発が可能となります。
2-5.顧客満足度の向上
5つ目のメリットは「顧客満足度の向上」です。
コールログを分析することで、改善が必要な顧客対応や顧客のニーズが明確になります。
これにより、顧客が求めるサービスを提供でき、結果として満足度を向上させることが可能です。
例えば、以下のようにコールログ分析を活用すれば、顧客満足度の向上が期待できます。
・顧客が理解しづらい説明をしてしまっている ・オペレーターの知識やスキルが不足している ・多くの顧客が商品に対して感じる不満がある |
このようにコールログの活用によって、顧客満足につながる解決策を実行できる点は、企業にとって利益の大きいメリットといえるでしょう。
2-6.より効果的なマーケティング施策の実行
6つ目のメリットは「より効果的なマーケティング施策の実行」です。
コールログ分析により、以下のようにマーケティング施策のヒントとなる情報が得られます。
【コールログ分析によってマーケティング視点でできること】 ◆顧客のニーズを把握し、マーケティングのヒントにする ◆ターゲットを明確にし、適切なアプローチを検討する |
これまでより、顧客への解像度が高い状態で、マーケティング施策を考えられるようになるため、より効果のあるマーケティング施策を打てるようになるでしょう。
3.コールログを活用した企業の成功事例
コールログのメリットを理解した後、他社の成功事例を通じて、自社への導入を具体的にイメージできるよう、以下にコールログ分析を導入した2つの成功事例を紹介します。
・応対品質向上に向けたコールログ分析の導入事例 |
導入判断の参考として確認してみましょう。
3-1.応対品質向上に向けたコールログ分析の導入事例
1つ目は「応対品質向上に向けたコールログ分析の導入事例」です。
製造業のお客様相談窓口では、「基礎的な応対品質を底上げするため、通話全件のチェックと改善フィードバックを強化したい」と考えていました。
しかし、人の耳によるモニタリングに多大な工数がかかり、業務効率が低下していました。
そこでトランスコスモスのtranspeechを活用し、以下の取り組みを行い、以下の成果を出しています。
取り組んだこと |
・オペレーターによる顧客対応を全件、コールログとして取得 |
成果 |
・オペレーターの顧客対応品質チェック工数が80%削減 |
3-2.新人育成期間の短縮に向けたコールログ分析の導入事例
2つ目は「新人育成期間の短縮に向けたコールログ分析の導入事例」です。
あるサービス業のアポイント獲得窓口では、「来店のアポイントを獲得する業務において、早期に新人育成を行う事で全体の獲得率を向上させたい」と考えていました。
しかし、品質評価に必要な「聞き起こし」に時間がかかり、モニタリングやフィードバックの時間が取りづらいという課題を抱えていました。
そこでトランスコスモスのtranspeechを活用して、以下の取り組みを行いました。その結果、以下のような成果を得ることができました。
取り組んだこと |
・オペレーターの通話音声データを全件テキスト化してコールログを取得 |
成果 |
・聞き起こし作業を約40%削減 |
このようにコールログを取得し、モニタリング分析することによって、顧客対応の品質を向上させることができました。
4.どのような企業でもコールログを分析すべき理由
コンタクトセンター(コールセンター)や顧客対応部門を持つ企業は、どのような業種であっても、コールログを分析するべきです。
その理由は、コールログ分析を行うことで、得られる以下のような重要なメリットがあるからです。
・コンタクトセンターの業務改善 |
さらに、総務省「デジタルデータの経済的価値の計測と活用の現状に関する調査研究の請負報告書」によると、入電ログや音声データなどのコールログ、さらにSNS投稿データの企業活用は、5年前と比較して2倍以上に増加しています。
これは、コールログを分析し、売上に結びつける活動が今後のビジネスにおいて必須であることを示しています。逆に言えば、コールログ分析を行い、その結果を活用しない企業は、競合他社に後れを取るリスクが高まります。
そのため、コールログの取得・分析はもはや企業運営において欠かせない要素となっているといえるでしょう。
5.コールログを分析する際の2つの注意点
コールログには、企業にとって大きなメリットがありますが、同時に注意すべき点も存在します。コールログのマイナス面も理解することで、自社に導入する際の適切な判断ができるようになります。
5章では、コールログを分析する際の注意点を以下2つご紹介します。
コールログを分析する際の2つの注意点 |
・適切にデータを保管する必要がある |
5-1.適切にデータを保管する必要がある
1つ目の注意点は「適切にデータを保管する必要がある」ということです。
コールログには、以下のような個人情報が含まれています。
・個人情報(氏名、住所など) |
これらの情報が不正アクセスや情報漏えいによって悪用されると、次のような深刻な事態が発生する可能性があります。
・顧客のプライバシーが侵害され、精神的苦痛を与える |
企業にとっても、以下のようなリスクを抱えています。
・情報漏えい、不正アクセスに対処するためのコストが発生 |
そのため、セキュリティ対策を施してコールログを適切に保管することが重要です。
コールログを取得・分析する際には、以下の対策を講じることで、セキュリティリスクを軽減できます。
コールログにおいてセキュリティリスクを防ぐための対策 |
・IDやパスワードを適切に管理 |
5-2.分析結果の精度が下がるケースがある
2つ目の注意点は「分析結果の精度が下がるケースがある」ということです。
例えば、以下のような状態ではコールログのデータが不可全となり、分析結果の精度が低下する可能性があります。
・顧客との通話内容が最後まで記録されていなかった |
具体的には、次のような場合に分析精度が低下します。
◆通話内容が途中で切れてしまった場合 ◆オペレーターの記録にムラがある場合 |
コールログ分析の精度を高めるには、以下の対策を講じておきましょう。
コールログ分析結果の精度を高めるための対策 |
・全オペレーターが同じ形式(フォーマット)でコールログを記録 |
6.コールログの分析を効果的に取り入れる際の3つのポイント
これまでの内容を通じて、コールログの分析が重要であることをご理解いただけたかと思います。しかし、コールログを分析するだけでは意味がありません。
その分析結果を自社に適した形で活用し、顧客満足や売上向上につなげる必要があります。
そこで6章では、コールログ分析を自社に効果的に取り入れるためのポイントを解説します。
コールログの分析を効果的に取り入れる際の3つのポイント |
・目的を明確化する |
それぞれ詳しく見ていきましょう。
6-1.目的を明確化する
1つ目のポイントは「目的を明確化する」ことです。
目的を定めずにコールログ分析を行ってしまうと、以下のような問題が発生します。
・不要なデータ分析に時間を費やす |
そのためコールログ分析のほうこくせいを決め、効果的な分析を行うことが重要です。
コールログ分析の目的は大きく3つに分類されます。
・コンタクトセンター(コールセンター)の業務改善 |
まずは以上の3つの中から、どれを目的とするかを定めましょう。
その後、以下のステップに従って「自社にフォーカスした目的」を明確化します。
自社にフォーカスした目的を明確化するステップ |
(1)現状分析 (2)経営課題の特定 (3)各部門の課題の特定 (4)顧客ニーズの把握 (5)優先順位の設定 |
6-2.適切なツールを選定する
2つ目のポイントは「適切なツールを選定する」ことです。
適切なツールを選ぶことで、分析の精度や効率が向上し、企業にとってより価値ある情報を抽出できます。
分析ツールは、コールログ分析の目的によって異なります。以下を参考にして必要な分析ツールを明らかにしましょう。
【目的別】コールログ分析のツール一覧 |
◆コンタクトセンター(コールセンター)の業務改善 【◎文字起こしツール】 ◆商品・サービスの改善・開発 ◆マーケティング戦略への活用 |
6-3.PDCAサイクルを回す
3つ目のポイントは「PDCAサイクルを回す」ことです。
コールログ分析においてPDCAを繰り返し回すことで、より正確な洞察を得ることができます。
例えば、コンタクトセンター(コールセンター)の業務改善の一環として「顧客満足度の向上」をコールログ分析の目的とした場合を考えてみましょう。
【顧客満足度向上のためのPDCAサイクル】 Do(実行) Check(評価) Act(改善) |
このように、仮説検証を繰り返すことで、より正確な情報を抽出できるようになります。
コールログ分析ではPDCAを常に回し、価値ある情報を得ることが重要です。
コールログ分析についてご興味がある方は詳しくはトランスコスモスにお問い合わせください |
トランスコスモスでは、コールログ分析のできるツールtranspeechをご提供しています。 transpeechでは、業務改善と品質向上を通じて効率化を図ることはもちろん、お客様の課題解決スピードの向上とVOC活用も掛け合わせて顧客体験の向上を加速化します。 コールログ分析をご検討中のご担当者様は、ぜひ一度、トランスコスモスへご相談ください。 |
まとめ
この記事では、コールログについての基礎知識、コールログ分析のメリットや成功事例、導入すべき理由について解説しました。
◆コールログとは
コンタクトセンター(コールセンター)や顧客対応部門において「顧客との電話でのやりとり」に関する情報を記録したもの
◆コールログの種類
・テキスト |
◆コールログ 3つの活用シーン
・コンタクトセンターの業務改善 |
◆コールログを分析する6つのメリット
・顧客対応の品質向上 |
◆コールログを分析する際の2つの注意点
・適切にデータを保管する必要性 |
◆コールログの分析を効果的に取り入れる際の3つのポイント
・目的を明確化する |
本記事がコールログの取得・分析をご検討中の方にご参考になれば幸いです。