「会社の公式サイトにあるFAQページを改善するよう指示されたが、どうすればいい?」
「FAQの内容を充実させれば問い合わせの件数を減らせると聞いたけれど、何を改善すべき?」
コンタクトセンター(コールセンター)に勤務していて、そんな疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。
FAQサイトの改善には、いくつかの方法と改善ポイントがあります。例えば以下のような方法です。
◼️FAQの項目を充実させる |
この記事では、FAQサイトの何をどのように改善すればいいのかをわかりやすく解説していきます。
最初に、以下2点について解説します。
◎一般的なFAQサイトの改善ポイント |
その上で、
◎FAQ改善のために確認すべきKPI |
を解説しますので、最後まで読めば自社のFAQサイトの何をどう改善すればいいかが見えてくるはずです。
この記事で、FAQサイトがより充実して、顧客のニーズを満たすものになるよう願っています。
1.FAQサイトの7つの改善ポイント
この記事を読んでいるのは、「FAQを改善したい」という課題を感じている方ではないでしょうか。
そこでまず、「FAQの改善ポイント」を挙げます。FAQの改善ポイントは以下の7点です。
・【改善点①】FAQの項目を充実させる |
では、それぞれ詳しく解説しましょう。
1-1.【改善点①】FAQの項目を充実させる
第一のポイントは、「FAQの項目を充実させる」ことです。
FAQの項目数は、利用者が必要とする内容をなるべく多くカバーすることを目指しましょう。そして、最初に作成したまま放置せず、随時追加して充実させていきます。
その際に重要なのは、コンタクトセンター(コールセンター)に寄せられる顧客の声=VOC(Voice of Customer)です。VOCを集計、分析し、よくある問い合わせ内容はかならずFAQページに回答を掲載するようにします。
そうすれば、顧客はコンタクトセンターに問い合わせる前に、FAQページで問題を自己解決できる率が高まり、その結果、コンタクトセンターへの問い合わせ件数の削減につながります。
問い合わせ件数が減れば、人件費などコスト最適化にもつながりますし、自己解決できることで顧客満足度も向上するでしょう。
VOCの分析については、以下の記事で解説していますので参考にしてください。
1-2.【改善点②】検索性をアップする
FAQページには、「検索の使いやすさ」が不可欠です。
顧客が知りたいことの答えをFAQ内に用意してあったとしても、顧客が検索できなかったり、検索しても欲しい回答が見つからなかったりすると意味がありません。
そのようなことがないよう、2つの視点で検索性を高める必要があります。
・FAQページ内で質問と回答を検索しやすくする |
具体的には、以下のような対策が有効でしょう。
・検索ボックスはサイト内のどのページにも設置する |
検索性アップによる顧客の自己解決力向上については、こちらの記事もご参考ください。
1-3.【改善点③】検索エンジンで上位表示されるようSEO対策をする
Googleなどの検索エンジンから直接自社のFAQページにたどりつける工夫も必要です。そのためには、検索エンジンで検索した際に上位表示されるFAQづくりをしましょう。
具体的には、以下のようなSEO対策が求められます。
・閲覧者がよく検索するキーワードを調べ、FAQページの見出しや解説文の中に仕込む |
トランスコスモスでSEO対策を実装した事例も公開していますので是非参照ください。
関連事例:
・SBIいきいき少額短期保険株式会社
・ピップ株式会社
・株式会社セブン&アイ・ホールディングス
また、FAQのSEO対策については、こちらの記事もご参考ください。
1-4.【改善点④】FAQの項目をカテゴリー分けする
検索性を高めることは最重要課題のひとつですが、一般的に“検索”が得意でないユーザーも多く存在します。
調べたいことがあっても、どんなキーワードで検索すればいいのかわからなかったり、複数のキーワードを組み合わせて検索することができなかったりして、求める検索結果にたどりつけないのです。
そのようなユーザーのために、以下のような方法でFAQを大きくカテゴリー分けしておくといいでしょう。
大・中・小とカテゴリーに階層を設け整理します。例えば「大カテゴリー①」の中に中カテゴリーが3つ、そのうちの「中カテゴリー①」の中に小カテゴリーが5つ、といった方法です。
また、それを基にFAQページの中に「目次」を作り、その項目をクリックすることで各カテゴリーに直接飛べるようにしておけば、「自分の知りたいことはこのカテゴリーかな?」と見当をつけることができます。
目視でも求めるFAQを探し出すことができるようになります。
1-5.【改善点⑤】問い合わせが多い順に並べる
FAQを掲載する際には、問い合わせが多い質問から順に並べるのもひとつのコツです。
そうすれば、検索するまでもなく回答にたどり着ける人も多いでしょう。
また、FAQページの上部に、「問い合わせが多い質問ランキング・ベスト5」などを表示するという方法もあります。
FAQページを閲覧するユーザーのうち一定数は、検索などで探すことなく、自分の知りたい質問・回答にたどり着けるはずです。
1-6.【改善点⑥】回答をわかりやすく記載する
ここまで解説したことを改善すると、顧客は自分が知りたい質問・回答にたどり着きやすくなるでしょう。
しかし、簡単に探せたとしても、見つけた回答の内容がわかりにくければ、利用者は問題を自己解決できずにFAQページから離脱してしまいます。
FAQページの目的のひとつは、ページ内で問題解決して問い合わせをしないですむことです。そのためには大前提として回答をわかりやすく記載することが大切です。
・文章は完結にする |
このような工夫も加えて、誰にでも伝わる回答をまとめましょう。
1-7.【改善点⑦】定期的に内容を更新する
これらの改善を行った結果、FAQサイトは格段に使いやすくなるはずです。しかしその内容はつねに見直して、よりよく更新し続ける必要があります。
・よく検索されるキーワードを定期的に調べ、それに沿った表示順にする |
このようなユーザーのニーズの変化を把握し、それにあわせて必要な改善を加えましょう。改善のためにチェックすべきKPIについては、「3.FAQ改善のために確認すべき主なKPI4種」で解説しますのでそちらを参照してください。
2.FAQサイトの改善手順4ステップ
前章では、「FAQサイトの何を改善すべきか」、改善のポイントについて多角的に考えてきました。
では、実際に改善しようとする際には、何をどのような順序で行えばいいのでしょうか?一般的な手順は以下のとおりです。
1)目標値(KPI)を設定する |
流れに沿って解説しましょう。
2-1.【手順①】目標値(KPI)を設定する
最初に、改善によって目指す目標値=KPIを設定しましょう。
「0件ヒット率(=「検索結果なし」の数)を〇%まで下げる」「コンタクトセンター(コールセンター)やメールでの問い合わせを〇%減らす」など、具体的な数値目標を立てるのがおすすめです。
この目標が、改善の柱になります。
FAQ改善で重視すべきKPIについては、「3.FAQ改善のために確認すべき主なKPI4種」で解説しますのでそちらも読んでください。
2-2.【手順②】改善点と改善方法を決める
次に、定めた目標値を達成するためには、何をどのように改善すればいいのか、を考えます。
例えば、「0件ヒット率が多い」のであれば、検索されたキーワードに対して足りないFAQを追加し、不要なものを削除すればいいでしょう。
「問い合わせ件数を減らしたい」なら、コンタクトセンター(コールセンター)やメールでの問い合わせが多い質問から順にFAQ化していけば解決されそうです。
「3.FAQ改善のために確認すべき主なKPI4種」で解説する各データの数値がよくない原因とその解決策を参考にし、計画を練ってください。
2-3.【手順③】改善する
改善の方針が決まったら、いよいよ実際に改善していきます。
・足りないFAQを作成する |
このようなFAQの内容に関する見直しもあれば、
・検索精度を上げるよう、キーワードを見直し・追加する |
などの、サイト自体を使いやすくする改善も考えられるでしょう。
データから分析される利用者ニーズに合わせて、適切に作業してください。
2-4.【手順④】結果を分析する
改善後は、一定期間にわたってデータを収集・分析し、目標値が達成できたかを確認します。もし達成できなければ、その理由も分析する必要があるでしょう。
それをもとに、次回は達成できるような計画を立てます。目標値を達成していたなら、次はまた別の目標を掲げてその改善を目指してください。
この繰り返しで、FAQサイトはどんどん充実していくはずです。
3.FAQ改善のために確認すべき主なKPI4種
ここまでFAQページの改善ポイントと改善の手順がわかりましたが、「何を改善すべきか」を明確化するためには、データを集めて分析する必要があるでしょう。
では、どんなデータを見ることで、何がわかるのでしょうか?主なものを挙げると、以下の4種です。
・0件ヒット率 |
これらをKPIとして設定して定期的に確認することで、改善点が見えてきます。それぞれ解説しましょう。
3-1.0件ヒット率(「検索結果なし」の数)
まず知りたいのは、「0件ヒット率」です。0件ヒット率をできる限り下げることが、FAQ改善のひとつの目的になります。
これは、利用者がFAQページを検索したにも関わらず、検索結果が1件もヒットしなかった回数が、全体の検索回数に占める割合です。
例えば100回検索されたうち、「検索結果なし」が10件あれば、0件ヒット率は10%というわけです。
0件ヒットが発生する原因としては、以下の2パターンが考えられます。
1)そもそもそのキーワードに関連するFAQがない |
1)については、0件ヒットのキーワードに関するFAQを、2)の場合は、FAQのほうに0件ヒットのキーワードを追加することで解決できます。
0件ヒットのキーワードを追加するとSEO対策にも有効です。FAQのSEO対策については、こちらの記事もご参考ください。
3-2.クリックスルー率
「クリックスルー率」は、そのサイトで表示された検索結果や広告に対して、利用者が実際にクリックしてリンク先を閲覧した割合です。
FAQページの場合は、「クリック数/検索結果の表示回数=クリックスルー率」で求められます。
クリックスルー率が高ければ、今あるFAQが利用者のニーズに合致していて、多く閲覧されていることを示します。
反対にクリックスルー率が低い場合は、検索されたキーワードに合致するFAQはあって、検索結果に表示はされたものの、利用者が求める内容ではなかったため、クリックはされなかったケースが多い、ということになります。
この原因としては、以下の2つが考えられます。
1)キーワードに合致するFAQはあるが、ニーズを満たしていない |
1)は、検索されたキーワードに対して、用意されているFAQが利用者の求める内容ではないということなので、そのキーワードに関して多くの人が本当に知りたい疑問は何なのか、あらためてリサーチしてそのFAQを追加する必要があります。
2)は、内容はニーズに合っているにもかかわらず、検索結果として表示された質問文が、利用者にとっては「自分が知りたい質問とは違う」、もしくは「よくわからない」と感じられたためクリックされなかったわけです。このような場合は質問文を見直し、より多くの人が理解・共感できるものに改良するといいでしょう。
3-3.閲覧後の問い合わせ件数
FAQページを閲覧したあとに問い合わせをした件数や割合がわかれば、これも参考になります。
Googleアナリティクスなどを使って利用者がページ遷移した導線の履歴を確認するなどの方法で、調べてみてください。
閲覧後に問い合わせした利用者は、FAQページだけでは問題解決が完結しなかったわけで、その原因は以下のようなものが予想されます。
1)FAQの回答が不十分 |
1)は、回答がわかりにくい、または求める内容から外れている、解説が足りない、などといったケースなので、回答内容をわかりやすく詳しく適切に書き直す必要があるでしょう。
2)の場合は、あとで問い合わせられた内容を確認して、その内容をFAQに追加するといいでしょう。
3-4.コンタクトセンター(コールセンター)のVOC=顧客の声
コンタクトセンター(コールセンター)があるならば、そこに集まるVOC=顧客からの声も非常に有用なデータになります。
問い合わせ内容をリスト化したり集計したりして、現在のFAQに不足している質問があれば、それに答える内容を新たに追加しましょう。
コンタクトセンターでVOC=顧客の声を収集する手法については以下の記事で解説していますので、こちらも参考にしてください。
4.FAQサイトの改善点を見極める3つのチェックポイント
前章では、KPIを設定してFAQサイトの利用状況を確認することで、改善点を見つける方法を解説しましたが、それだけでなく、FAQサイトの構成や利便性についても正しく評価して、改善点を洗い出す必要もあります。
KPI以外に改善点をチェックするポイントは、以下の3点です。
・閲覧者が求めるFAQをすぐに見つけることができるかどうか |
これらの中で、「自社のFAQページは、この点ができていない、または不十分だ」と感じるものがあれば、そのサイトは改善の余地があるということになります。
では、これら3つのチェックポイントについて、まずは解説しておきましょう。
4-1.求めるFAQをすぐに見つけることができるか
そもそもユーザーがFAQサイトを閲覧するのは、解決したい疑問があるからです。
そう考えると、「よいFAQサイト」の第一条件は、閲覧者が求める質問と回答をすぐに見つけられることだと言えるでしょう。
そのために重要な要素は、以下の3点です。
・アクセスのよさ |
1)アクセスのよさ
多くの閲覧者は、知りたいことがある際に、下記のいずれかの方法をとるでしょう。
①Googleなどの検索エンジンから疑問を直接検索し、解決できそうなページを探す ②その疑問を解決できそうなサイトを見つけて、その中のFAQページを探す |
どちらの方法でも、FAQページにたどり着きやすくすることが重要です。
①については、検索数の多いキーワードに対応したFAQをつくるなどのSEO対策が必要です。
②については、企業などの公式サイトには、トップページをはじめに商品やサービスの紹介ページ、企業情報ページなどさまざまなページがあります。その中で、FAQページに簡単にたどり着けるよう導線を設計しなければなりません。
どのページにもわかりやすい位置にリンクがあって、クリックひとつでFAQに飛ぶことができればいいですが、「FAQページがどこにあるのかわかりづらい」といった場合は、導線に改善の余地があります。
2)使いやすいデザイン
FAQページの中で、探している項目が目につきやすく読みやすいか、といったデザイン的な使いやすさも必要です。
特に今は、パソコンやスマートフォン、タブレットなどどんなデバイスから閲覧しても、それぞれに対応したデザインがなされていること=レスポンシブデザインは必須でしょう。
3)検索のしやすさ
FAQページの中で求める質問と回答を探すには、検索機能が充実していなければなりません。
「1-2.【改善点②】検索性をアップする」「1-3.【改善点③】検索エンジンで上位表示されるようSEO対策をする」でも解説したように、キーワードで検索しても適切なFAQがヒットしなかったり、複数のキーワードで検索できなかったりするサイトは、非常に使いにくいので改善しましょう。
4-2.FAQ内で問題を解決できるか
次に、「よいFAQサイト」であれば、多くの閲覧者が知りたいことが網羅されていて、それを見れば疑問や問題を自分で解決できるように作られています。
そのようなサイトにするには、以下の点をおさえなければなりません。
・FAQの数と内容の充実 |
1)FAQの数と内容の充実
「1-1.【改善点①】FAQの項目を充実させる」でも解説したとおり数が少なすぎると、多くの人の疑問をカバーすることはできないため、想定される質問は網羅しておく必要があります。
また、古くて現状に即さない内容など、不要なものは随時削除することも大切です。
2)回答のわかりやすさ
せっかく求める質問を見つけても、それに対する回答がわかりにくければ、FAQ内で問題を解決しきれず、コンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせるなど別の方法をとらざるを得ません。
そのようなことのないよう、「1-6.【改善点⑥】回答をわかりやすく記載する」のように回答はわかりやすく、長くなりすぎない範囲で必要十分に書くことが重要です。
3)双方向性
FAQページは閲覧者の疑問に答えることが目的ですが、できればそれに対して閲覧者からの反応も受け取ることができる仕組みをつくっておきたいものです。
例えば、FAQ閲覧後に「あなたの疑問は解決しましたか?」といった選択式アンケートが表示されることがあるでしょう。そのような方法で閲覧者の満足度をリサーチすれば、今後のFAQページのさらなる改善に役立てることができます。
4-3.FAQを随時更新、改善できているか
前述したように、FAQページは一度作ったら終わりではありません。
新しい商品やサービスをリリースすれば、もちろんそれに関するFAQを追加する必要があります。顧客ニーズや社会情勢などが変化すれば、必要とされるFAQも変わってくるでしょう。
つまりFAQの内容は、随時更新、改善していくべきなのです。その際に、重要なのは以下の要素です。
・更新のシステム化 |
1)更新のシステム化
FAQページを見直すにあたって、どんなサイクルと手順で行うのか、システム化しておくことです。
「気づいたときや手が空いたときに、誰かが見直して更新する」といったやり方では、適切な更新はできません。
担当者を決めて作業手順をシステム化し、定期的に見直しと更新を行うことで、FAQページを常に最適に保つことができるでしょう。
2)利用状況の分析
FAQページがどのように利用されているか、KPIだけでなく、アクセス解析や利用後のアンケートなどからも分析します。
それをもとに、より利用者ニーズに合った使いやすいFAQページへの改善、更新を行うことも重要なポイントです。
まとめ
いかがでしょうか?FAQサイトの改善はどのように行えばいいか、納得できたかと思います。
では最後にもう一度、記事の内容を振り返ってみましょう。
◎一般的なFAQサイトの改善ポイント
・サイト全体の検索性をアップする |
◎FAQ改善のためには、以下のデータを確認する
・0件ヒット率 |
以上をもとに、あなたの会社のFAQサイトがよりよいものに改善されるよう願っています。SEO対策や運用改善等を自社で実施するのが難しい場合は、専門のツールやサービスを利用するといいでしょう。
トランスコスモス株式会社では、FAQの構造化とSEO対策を通じてFAQ管理・運用を最適化する「 FAQサービス」を提供しています。 |