
「コールセンターのDX化」とは、コールセンターにデジタルサービスを導入することで、製品、サービス、ビジネスモデル、業務プロセス、組織、企業文化、風土などに変革を巻き起こし「売上創出」や「顧客獲得」を行うことです。
紙の資料をPDF化する、WordファイルをGoogleドキュメントに変えるなど、単なる「デジタル化」ではない部分に注意が必要です。
導入するデジタルサービスとしては、チャットボット、ボイスボット、音声認識システムなどが挙げられます。
しかし、コールセンターのDX化には「注意点」や「成功させるために押さえるべきポイント」があります。
ポイントを踏まえないと、DX化そのものが「無意味」になったり、顧客満足度(CS)の低下を招く恐れもあるため、注意が必要です。
本記事では、以下について解説します。
本記事でわかること |
・コールセンターのDX化とは? |
この記事を読めば、
・自社の場合は、DX化を行うべきか?
・DX化成功のポイントは何か?
がわかります。
1.コールセンターのDX化とは?
第1章では「コールセンターのDX化とは何か」について解説します。
ポイントは以下の3点です。
コールセンターのDX化とは? |
・そもそも、DX化とは? |
一つずつ、みていきましょう。
1-1.そもそも、DX化とは?
そもそも「DX化とは何か」がよくわからないという方が多いのではないでしょうか。
そのため、DX化(デジタルトランスフォーメーション/Digital Transformation)の定義から、詳しくご説明します。
経済産業省によるDX化の定義は以下の通りです。
経済産業省による「DX化」の定義 |
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
出典:経済産業省「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX 推進ガイドライン)Ver. 1.0」
かみ砕いていえば、デジタル技術を用いて、
・製品
・サービス
・ビジネスモデル
・業務プロセス
・組織
・企業文化
・風土
などに変革を巻き起こすことで、企業の競争力を高めること(=売上の向上を目指すこと)です。
つまり、デジタル技術を用いたサービス提供による顧客ロイヤルティ向上をしていけるかどうかがポイントになっています。
DX化と聞くと「業務のデジタル化」といったイメージをもたれやすいですが、それは「デジタイゼーション」に過ぎません。
顧客に提供する製品やサービス、ビジネスモデルそのものに「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供すること(=新しい顧客体験(=CX)を創造する)で、「売上創出」「売上拡大」「顧客の獲得」「顧客とのロイヤリティ強化」を狙うのが「DX化」なのです。
1-2.DX化とデジタル化の違い
DX化に取り組む多くの企業は「DX化=業務のデジタル化」だと認識してしまっている人も少なからずいます。
全て間違っているわけでもないですが、デジタル化はあくまで手段であり、「業務のデジタル化」を目的に「DX化」を進めようとすると、アナログだったものをデジタルに置き換えることがゴールで終わってしまいます。
前章で触れたように顧客に提供する製品やサービス、ビジネスモデルそのものに「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供すること(=新しい顧客体験(=CX)を創造する)で、「売上創出」「売上拡大」「顧客の獲得」「顧客とのロイヤリティ強化」が達成されることがDX化であり、デジタル化とは目的が異なります。
1-3.コールセンターのDX化とは?
次にコールセンターのDX化について解説します。
コールセンターのDX化も、一般的な業種におけるDX化と基本的な考え方は同じです。
コールセンターで行われる「顧客との接点」に「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供することで、顧客視点では、利便性の向上や顧客体験価値の改善が提供され、企業目線では売上拡大やコスト効率の最適化が実現されます。
コールセンターにおける顧客の体験価値向上のためのDXについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
2.コールセンターのDX化を実現するための3つのポイント
2-1.コミュニケーションチャネルのデジタル化
まずはコミュニケーションチャネルのデジタル化です。
コミュニケーションチャネルのデジタル化というのは、従来電話だけで対応していたカスタマーサービスをメールやWEBチャット、LINEやSNSなど顧客にアプローチされやすいチャネルやそのチャネルに合ったサポート形態(SNSであれば、アクティブサポート等)を準備したり、お問い合わせ内容によっては、自動化、つまりチャットボットやボイスボット、FAQなどセルフサービスを準備して顧客が求める解決手段を提供していくことです。
具体的にわかりやすい事例として「チャットボットの導入」を例にあげて説明します。
チャットボットとは、顧客からの問い合わせに応じて、最適な回答を自動で返すチャットサービスのことです。
企業ホームページなどにアクセスした際、画面横にサポート用のポップアップが表示されたり、FAQの中でリンクやボタンを押して以下のような会話の画面を利用して疑問を解消します。
チャットボットの活用は、顧客に対して電話を用いずに問題解決を図る手段として活用されています。
電話の場合は、込み合っていることも多く、解決まで時間を要することがありますが、チャットボットの場合は「いつでも」「好きな時に」対応することができたり、すぐに回答を得ることが可能なため、顧客としてはサービスの利便性が向上します。
またチャットボットで回答できない内容に関しては、有人チャットに連携の上解決を図ることも可能です。
企業は、サービス提供時間の拡大によるアプローチ数拡大や自動化やテキストコミュニケーションでの1対Nの対応により人件費の最適化が図れるといったメリットがあるので、コミュニケーションチャネルのデジタル化には欠かせない対応になります。
チャットボットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
2-2.プロセスのデジタル化
次にプロセスのデジタル化です。
プロセスのデジタル化というのは、従来の企業側のオペレーションプロセスをデジタルツールの活用で変革していくことです。
例えばコールセンターの従来型の電話オペレーションでは、電話を受付けた際に顧客情報をヒアリングして、顧客情報をCRMで検索した上で応対を開始し、質問内容からFAQを検索し、回答、内容がわからなければ管理者に手上げして対応、その後応対内容を記録。というのが一般的なオペレーションでした。
プロセスをデジタル化することで、電話を受け付ける前に、顧客が何に困ってWEBを閲覧していたのかWEB閲覧状況が把握できるようになり、顧客情報のヒアリングはなくなり、予め顧客特定されている状態で応対開始が出来る上に、事前にどのような画面を見ていたかも把握することも可能になるので、要件特定することが早くなります。
また質問内容からFAQを検索する際にも、自動的にレコメンドで回答案を準備したり、困っている際には自動的に管理者にアラートを上げることも出来、応対時間が短縮できます。
応対内容を記録する際にも音声認識機能や要約機能を活用することで、後処理を飛躍的に改善させることが可能です。
顧客は、通話中に待たされる時間が減ることや解決までにたらいまわしにされる可能性が少なくなるので、満足度が向上します。
企業側も、応対時間の短縮や管理工数の短縮によるコスト最適化も可能になりますし、短縮工数を基に顧客応対をパーソナライズ接客に転換させることも可能です。
2-3.デジタルデータ利活用
最後にデジタルデータ利活用です。
デジタルデータ利活用というのは、コンタクトセンターに関連するコミュニケーションチャネル全てで得られるデータ、つまり電話だけでなく、メールやWEBチャット、LINEやSNSといったチャネルの顧客の声(voice of customer)やその問い合わせに至るまでのプロセスをプラットフォーム上に蓄積、分析の上で、企業活動に還元していくことです。
従来は電話での問い合わせ傾向を分析し、FAQに反映させて電話を減らしていくという活動が一般的でしたが、全てのチャネルでの傾向や行動を分析した上で、デジタル上ではどのような対応をしていけばいいか、どのような情報やサービスを顧客は求めているかといった部分まで踏み込んで改善できるようになります。
1つの行動だけを見て改善活動が行うということではなくなるので、顧客の体験価値(CX)は向上していき、企業に対するロイヤルティも上がっていきます。
このようにコールセンターのDX化は、顧客・企業双方にメリットがある施策なのです。
3.コールセンターのDX化で導入されているサービス4例
「コールセンターのDX化とは何か?」について説明してきました。
しかし、どのようなサービスを導入してDX化を図るのか、イメージが湧きづらい方もいるのではないでしょうか。
そこで、コールセンターのDX化で用いられているサービスについて一部紹介したいと思います。
この記事では以下の4例を紹介します。
コールセンターのDX化で導入されているサービス4例 |
・チャット/チャットボット |
一つずつ、みていきましょう。
3-1.チャット/チャットボット
一つは「チャット」や「チャットボット」などのサービスです。
「チャットボット」は先ほどご説明した通りです。顧客の選んだ選択肢によって、最適な回答を自動で返すチャットサービスのことをいいます。
一方「チャット」は、顧客からの問い合わせに応じて、オペレーターが最適な回答を打ち込むことで、リアルタイムのやり取りを実現するものです。
チャット/チャットボットによる「DX化」のメリットは、以下の通りです。
チャット/チャットボットによる「DX化」のメリット | |
企業にとってのメリット | 顧客にとってのメリット |
・1人で複数人の対応ができるので、人件費を最適化できる(チャット) ・電話と比べ用意に24時間の対応が可能(チャットボット) ・利用率が高めることで他のチャネル(コールやメール)の問い合わせ量を減らせる場合がある ↓ 『利便性向上』『経費適正化』 | ・いつでも利用ができる ・電話ができない場所でも問題解決できる ・知りたい情報に素早くアクセスできる
↓ 『顧客満足度(CS)の向上』につながる |
チャットの導入メリットやチャットボットの成功事例については、こちらの記事で詳しく解説しています。
3-2.音声認識システム(音声ファイルのテキスト化)
コールセンターにおけるDX化としては「音声認識システム」の活用も挙げられます。
音声認識システムは様々ありますが、よく活用される例として、音声ファイルをテキスト化する仕組みです。
具体的にはオペレーターと顧客のやり取りを自動的に認識・文字化して、コールセンターにおける品質管理に活用して顧客満足度(CS)を高めたり、テキストを分析して既存商品の改善、新商品の開発などに役立てられるものです。
また、音声認識システムの活用方法として一つとしては「関連ナレッジのポップアップ機能」があります。
例えば、顧客が「支払い方法が知りたい」と述べた場合に、オペレーターのパソコン画面に「支払い」に関するトークスクリプトが自動的にポップアップされます。
それによって、知識の浅いオペレーターでも、素早く顧客が必要な情報を提供できるようになります。
このように、音声認識システムは、企業の売上UPに貢献するDX化の一つなのです。
トランスコスモスでは音声認識システムを活用したサービスtranspeechを提供しています。ご興味のある方は以下より資料をお取り寄せください。
音声認識についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
3-3.音声認識システム( ボイスボット)
「音声認識システム」の活用としてもう一つボイスボットがあります。
ボイスボットとは、顧客からの電話による「問い合わせ」を文字化して読み取り、解析システムによって最適な回答を選択し、自然言語で回答するサービスのことです。
コミュニケーションの方法がボイス(音声ファイル)であることが特徴として挙げられます。
例えば、顧客が「商品Aを購入したい」と電話口で話したとします。
そうした場合、その音声をボイスボットの解析システムが一旦「テキスト化」し、システムの「自然言語処理解析」によって「A商品の申し込み・発送手続きを行うオーダーだ」と把握します。
その解析に基づいた「回答メッセージ」を生成して、顧客に流します。
このように、顧客の「声」を解析して、最適な回答を返す一連の仕組みを有するのが、ボイスボットというコールセンターシステムです。
コールセンターにおいては、注文、予約、夜間応対、あふれ呼応対などの場面で用いられています。
ボイスボットを活用することで、オペレーターを配置することで発生する人件費を削減したり、「営業時間外の問い合わせ」や混雑時の「あふれ呼」による「機会損失」を防いだりすることができる点で、企業側には大きなメリットがあります。
ボイスボットは、顧客の問題解決を「話す」というアクションだけで解決するため、面倒な情報入力が一切ない点でも評価できるサービスです。
ボイスボットも、コールセンターにおける「DX化」の好例といえるでしょう。
トランスコスモスではコンタクトセンターのボイスボット導入について支援を行っております。ご興味のある方は以下からお問い合わせください。
また、ボイスボットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
3-4.AIシステム
AIも、コールセンターにおけるDX化で活用されるシステムの一つです。
AIを活用したサービスは幅広く、これまであげたチャットボットや音声システムでも活用しています。これらと違い、コールセンターの分析に対してAIを活用して予測を立てる仕組みが活用されています。
具体的な例として「DataRobot」を紹介します。
「DataRobot」とは、コールセンターから取得したデータを分析し、「問い合わせ件数」や「オペレーターの離職率」「受注できそうな顧客」「顧客ごとに電話がつながりやすい時間帯」などを予測する際に活用されています。
「問い合わせ件数」や「オペレーターの離職率」が予測できれば、顧客の入電件数を対応できるだけのオペレーター配置の計画が行いやすくなります。
その結果、コールセンターへの「つながりやすさ」が向上し、顧客満足度(CS)が上がるでしょう。
また、「受注できそうな顧客」や「顧客ごとに電話がつながりやすい時間帯」などがわかれば、効率よく売上を上げることができるようになります。「収益性の向上」に貢献するでしょう。
AIについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
4.コールセンターをDX化するメリット3つ
続きまして、コールセンターをDX化する「メリット」を改めて解説します。
ポイントは以下の3点です。
コールセンターをDX化するメリット |
・【メリット①】「顧客満足度(CS)」が向上する |
一つずつ、みていきましょう。
4-1.【メリット①】「顧客満足度(CS)」が向上する
コールセンターをDX化する最大のメリットとしては「顧客満足度(CS)の向上」が挙げられます。
なぜならば、コールセンターのDX化で用いられるサービスは、コールセンターの顧客体験の改善につながるものが多いからです。
以下は、コールセンターのDX化に用いるサービスごとに、どのように顧客体験の改善を実現するのかをまとめた一覧です。
コールセンターのDX化による効果 | |
チャット/チャットボット | ・いつでも利用ができる ・電話ができない場所でも問題解決できる ・知りたい情報に素早くアクセスできる ↓ 『顧客満足度(CS)の向上』につながる |
音声認識システム(音声ファイルのテキスト化) | ・モニタリングに活用することで品質が改善され、心地よい対応をしてもらえる ・パーソナライズ化された情報を提案してもらえる ↓ 『顧客満足度(CS)の向上』につながる |
ボイスボット | ・「言葉」で、知りたい情報にアクセスできる ・情報入力のわずらわしさから解放される ↓ 『顧客満足度(CS)の向上』につながる |
AI | ・コールセンターがつながりやすくなる ・自分に対して適切な受け答えや情報を取得できる ↓ 『顧客満足度(CS)の向上』につながる |
ご覧の通り、DX化できるサービスを導入することで、知りたい情報に素早くアクセスできるようになったり、コールセンターのつながりやすさが向上するなど、顧客満足度(CS)の向上に役立っています。
上記は「3.コールセンターのDX化で導入されているサービス4例」で、事例を用いながら、詳細にご説明した通りです。
このように、「DX化」は「顧客満足度(CS)の向上」を実現することができます。
4-2.【メリット②】「サービス品質」が向上する
コールセンターをDX化するメリットとしては「サービス品質の向上」も挙げられます。
なぜならば、DX化すると、コールセンターの「つながりやすさ」が向上したり「マルチチャネル対応」が可能になり、コールセンターの「総合的なサービス品質」が向上するからです。
例えば、DX化の一環として、AIシステム「DataRobot」を導入した場合は、着信予測を立てる機能があるため、ハイレベルな人が実施する着信予測を代わりに素早く立てることができます。
着信予測に対して配置が正しくされると、電話がつながりやすくなるため、コールセンターの「サービス品質」を向上できます。
また、DX化の一環として「音声認識システム(音声ファイルのテキスト化)」を導入した場合も同様です。
「顧客と会話した内容」を音声認識システムが認識し、テキスト化することでオペーターが会話した言葉や話の流れを視認できます。
それをみて、案内が正確にできているか、スクリプトを利用できているかなど、応対品質のチェックが用意にできるようになります。
その結果、オペレーターは、顧客の抱える問題を解決する力が向上し、的確な応対ができるようになるため、コールセンターの「サービス品質の向上」に貢献できます。
このように「サービス品質の向上」も、コールセンターのDX化で享受できるメリットの一つなのです。
4-3.【メリット③】「収益性」や「売上」が向上する
コールセンターをDX化するメリットとしては「収益性・売上の向上」も挙げられます。
コールセンターをDX化すると、様々なチャネルから顧客の要望や声を聞く事ができるので、機械損失を防いだり、商品開発に役立てられるからです。
例えば、コールセンターに「チャットボット」を導入すると、顧客はスマホやパソコンの画面上で、予約や注文ができるようになります。
その結果、電話が使えない場所や企業の営業時間外にも、売上を上げることができます。つまり「収益性が向上するのです。
また、顧客の声を「テキスト化」し、情報を収集・分析すれば「既存商品の改善」や「新規商品の開発」に役立つ情報を抽出できます。
顧客の声に基づいて開発された商品は、ヒット商品になる可能性があり、「売上の向上」に貢献する可能性があるでしょう。
このように「収益性の向上」「売上の向上」も、コールセンターのDX化で享受できるメリットです。
5.コールセンターの DX化を推進する際の注意点2つ
コールセンターのDX化には「メリット」だけでなく「注意点」もあります。ポイントは以下の2点です。
コールセンターをDX化する際の注意点2つ |
・【注意点①】「単なるデジタル化」に留まってしまう場合がある |
一つずつ、みていきましょう。
5-1.【注意点①】「単なるデジタル化」に留まってしまう場合がある
「1-2. DX化とデジタル化の違い」でお伝えした通り、DX化を単なる「デジタル化」と混同してしまう企業担当者が多いのが現状です。
単純な「デジタル改革」を行ってしまうと、単なる「業務効率化」に留まってしまいます。
そうなると、社内からは「DX化をしても、意味がなかった」と思われてしまうでしょう。
繰り返しお伝えしている通り、顧客に提供する製品やサービス、ビジネスモデルそのものに「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供すること(=新しい顧客体験(=CX)を創造する)で、「売上創出」や「顧客の獲得」を狙うのが、DX化です。
5-2.【注意点②】「サービス品質の維持・向上」に失敗する場合がある
先述の通り、DX化の本丸は「売上の創出」や「顧客の獲得」です。
しかし、だからといって「売上向上」や「人件費の削減」ばかりにフォーカスしてしまうのは注意が必要です。
例えば、チャットボットを導入して、オペレーターを減らして「コスト削減」を狙う事例の場合、
ごく簡単な問い合わせ内容が多い商品・サービスであれば、大きな問題にはならないでしょう。
しかし、パソコンの周辺機器などのように、問い合わせの種類や回答パターンが多くなりがちな商品・サービスの場合には、オペレーターの削減によって「コールセンターのサービス品質の低下」を招く恐れがあります。
DX化を実施する際には、売上や新規獲得の観点も大事ですが「現状のサービス品質の維持・向上」にも、しっかりと目を向けるようにしましょう。
なお、トランスコスモスでは、問題を抱えているコールセンターの現状を調査・分析する「アセスメントサービス」をご提供しています。
このサービスにより、顧客から頼りにされるコールセンターの構築が可能になります。
「コールセンターのどこに問題があるのかわからない」
「コールセンターの顧客満足度(CS)が低い」
「機会損失につながっているようだ」
このような悩みを抱えている方は、お気軽にお問い合わせください。
6.コールセンターのDX化のカギは「デジタル×アナログの融合」
コールセンターのDX化を成功させるうえで「絶対に外せない重要なポイント」が一つあります。
それは「デジタル×アナログの融合」です。
DX化を推進するというと「すべてをデジタル化する」ことをイメージされるかもしれませんが、それは大きな勘違いです。
顧客によっては、チャットやSNSなどのデジタルチャネルの使い方がわからなかったり、使いたくない人もいるため、顧客満足度(CS)の低下を招く恐れがあるからです。
あくまでも、電話やメールなど、旧来のチャネルを残しつつ、チャットボットやボイスボットなど、新しい顧客体験(CX)を提供するサービスを導入することで、DX化を目指すべきだということです。
トランスコスモスは、2020年に「消費者と企業のコミュニケーション実態調査」を行っています。
調査では「アフター(ウィズ)コロナで、チャネルの使い分け状況」に関する調査を行っています。結果は以下の通りでした。
アフター(ウィズ)コロナにおける「チャネル」の使い分け状況 | ||
チャネル | コロナ禍で利用頻度が | 今後積極的に |
公式Webサイト(スマホ版) | 27% | 44% |
公式Webサイト(PC版) | 22% | 42% |
ビデオ通話 | 15% | 9% |
電話 | 14% | 42% |
チャット/チャットボット | 8% | 15% |
店舗・店頭 | 5% | 20% |
ご覧の通り「今後積極的に利用していきたいコミュニケーション手段」としては、デジタルに分類される「公式Webサイト(スマホ・PC)」と同じくらい「電話」のようなアナログなコミュニケーション手段も選ばれています。
コールセンターは、顧客とのタッチポイントを複数もっておく「マルチチャネル化」を目指すべきことが大切です。
顧客との接点としては、以下のようなものが挙げられます。
顧客とのタッチポイント |
・電話 |
DX化を推進するうえでは、デジタルサービスの導入も大切ですが、デジタルチャネルのみとなり顧客とタッチできなくなると離反を生みます。
今まで取り扱ってきたアナログなタッチポイントも残すことを心がけましょう。
トランスコスモスは経済産業省と東京証券取引所が選出する「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)2022」において、「DX注目企業2022」として選定されました。
デジタル技術を活用したモデルへの取り組みについて、コールセンター含めたデジタルフロントのコミュニケーションや仕組みを変革していきたい方はご相談ください。
「マルチチャネル」についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
まとめ
いかがでしたか。
コールセンターのDX化について、理解が深まったのではないでしょうか。
ここで、本記事の内容をまとめます。
◆コールセンターのDX化とは?
・そもそも、DX化とは?
経済産業省による「DX化」の定義 |
企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。 |
顧客に提供する製品やサービス、ビジネスモデルそのものに「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供すること(=新しい顧客体験(=CX)を創造する)で、「売上創出」や「顧客の獲得」を狙うのが「DX化」
・DX化とデジタル化の違い
デジタル化はあくまで手段、DX化は顧客に提供する製品やサービス、ビジネスモデルそのものに「デジタルな要素」が内包されていて、それを顧客に提供すること(=新しい顧客体験(=CX)を創造する)
◆コールセンターのDX化を実現するための3つのポイントとは?
・コミュニケーションチャネルのデジタル化
・プロセスのデジタル化
・データの利活用
◆コールセンターのDX化で導入されているサービス4例
・チャットボット・有人チャット
・音声認識システム(音声ファイルのテキスト化)
・音声認識システム(ボイスボット)
・AIシステム
◆コールセンターのDX化のカギは「デジタル×アナログの融合」
DX化といえども、デジタルに依りすぎたコールセンター運営を目指すべきではない。
あくまでも、電話やメールなど、旧来のチャネルを残しつつ、チャットボットやボイスボットなど、新しい顧客体験(CX)を提供するサービスを導入することで、DX化を目指すべきである
本記事が、コールセンターのDX化について知りたい方の参考になりましたら幸いです。