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マルチチャネルとは?具体例、メリット、導入法、成功のポイントを解説

「マルチチャネルってどんな意味? オムニチャネルとどう違うの?」
「わが社もマルチチャネル化したいけれど、どうすれば失敗せずに導入できる?」

企業のマーケティング担当やコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)の運営担当の中には、そのような疑問や悩みを持っている方も多いでしょう。

「マルチチャネル」とは、複数の「チャネル=販売経路や接点」を持っている状態を指す言葉です。

たとえば、小売業で実店舗とECサイトと電話受付の販売経路持っているのであれば、マルチチャネルだと言えます。また、コンタクトセンターであれば、電話での問い合わせ受付だけでなく、メールやチャットなどからも問い合わせができるのがマルチチャネルです。

この記事を読めば、マルチチャネルについて以下のことがわかります。

◆マルチチャネルとは何か
マルチチャネルと「オムニチャネル」との違い
◆マルチチャネルはどのような企業に向いているか
◆マルチチャネル化の具体的な方法と成功ポイント

マルチチャネル化すると、以下のようなメリットがあります。

・商品やサービスを販売するチャンスが増える
・顧客とのコミュニケーションが取りやすくなる
・顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできる
・顧客体験(CX)、顧客満足度(CS)が向上する

また、マルチチャネル化を成功させるポイントとしては、以下が挙げられます。

・顧客行動をよく分析、理解する
・マルチチャネルの課題を理解する
・統合ツールを用いて各チャネルを連携させる

企業ごとに最適な方法でマルチチャネル化できれば、業績を大きく向上させたり、顧客体験を高めたりすることが可能です。

そこでこの記事では、マルチチャネルについて知っておくべきことをひととおり解説していきます。

まずは、マルチチャネルに関する基礎知識から見ていきましょう

◎マルチチャネルとは
◎マルチチャネルに含まれるチャネルの種類
◎コンタクトセンター(コールセンター)業務におけるマルチチャネル
◎「マルチチャネル」と「オムニチャネル」の違い
◎マルチチャネルのメリット
◎マルチチャネルの注意点

そのうえで、マルチチャネル化を実践する際に知っておきたいことをお伝えします。

◎マルチチャネル化を成功させるポイント
◎マルチチャネル化を進める方法
◎マルチチャネルを導入した企業の成功事例

最後まで読めば、マルチチャネル化について理解が深まるはずです。

この記事で、あなたの会社がマルチチャネル化の促進に成功することを願っています。

目次

1.マルチチャネルとは

そもそも「マルチチャネル」とは何でしょうか?

その意味、定義をあらためて確認しておきましょう。

1-1.「マルチチャネル」とは何か?

「マルチチャネル」とは、複数の「チャネル=販売経路や接点」を持っている状態を指す言葉です。

企業が顧客に商品やサービス、情報などを提供する経路が「チャネル」であり、それが「マルチ=複数」である場合に使われます。

たとえば、小売業で実店舗とECサイトと電話受付の販売経路持っているようなケースは、マルチチャネルに該当します。
それに対して、「実店舗のみ」「通販サイトのみ」といった場合は「シングルチャネル」と呼ばれています。

マルチチャネルにすれば、顧客との接点=タッチポイントが増え、商品やサービスを知ってもらう機会、購入してもらう機会を増やすことにつながります。

このようなマーケティング手法を、「マルチチャネルマーケティング」と呼び、前述の販売機会を増やすなどの目的で戦略的に用いられています。

ただ、マルチチャネルにおいて各チャネルは独立していて連携されていません
顧客情報や在庫情報は、チャネルごとに管理されている状態です。

そのため、「実店舗では品切れの商品が、ECサイトにはまだある」「ネットでは予約締め切りだったが、店舗に直接電話したら予約できた」といったことも生じるのが難点とされています。

1-2.マルチチャネルに含まれるチャネルの種類

では、実際にマルチチャネルにおいて活用されるチャネルにはどんなものがあるのでしょうか?

主なものを表にまとめました。

経路\チャネル

リアル

インターネット

その他媒体

販売

・実店舗
・電話営業
・訪問販売

・自社ECサイト
・ECモール
(Amazon、楽天など)

・テレビ通販
・カタログ通販

広告

・チラシ
・パンフレット

・インターネット広告
・ダイレクトメール

・ダイレクトメール
・テレビCM
・雑誌広告
・新聞広告
・街頭看板

コミュニケーション

・電話での
 問い合わせ窓口
店頭接客

・自社サイト
・各種SNS(Twitter、
 Instagram、Facebookなど)
・メールマガジン
・アプリのプッシュ通知
・メールでの問い合わせ窓口
・問い合わせフォーム
・チャットボット
・ウェビナー
・メタバース

投書
ご意見はがき
・FAX

1-3.コンタクトセンター業務におけるマルチチャネル

広義ではマーケティング用語として前項のような意味を持つ「マルチチャネル」ですが、コンタクトセンター業界ではまた少し異なる意味で使われています。

コンタクトセンターにおける「マルチチャネル」は、「コンタクトセンター内に、複数の問い合わせチャネルを持っている状態」を指します。

たとえば、多くのセンターが対応しているチャネルとしては、以下のようなものが挙げられます。

・電話
・メール
・自社サイトに設置した問い合わせフォーム
・チャット
・チャットボット
・SMS
・メッセージアプリ(LINE、+メッセージなど)
・FAQ     など

以前は電話中心の「コールセンター」だったところも、顧客ニーズの多様化やスマートフォンの普及などを受けてマルチチャネル化を推進するケースが増えています。

自社の商品やサービスの特性、顧客層などを踏まえたうえで、適したチャネルを選んで運営するとよいでしょう。

2.「マルチチャネル」と「オムニチャネル」の違い

「マルチチャネル」とは別に、「オムニチャネル」という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

このふたつの言葉は混同されやすいですが、どのような違いがあるのでしょうか?

2-1.「マルチチャネル」と「オムニチャネル」「クロスチャネル」の違いとは?

「マルチチャネル」と似た言葉として「オムニチャネル」があります。さらに、「クロスチャネル」という用語もありますので、あわせて3つのマーケティング用語の違いを考えてみましょう。

「マルチチャネル」「オムニチャネル」「クロスチャネル」は、いずれも複数のチャネルを持っているという点は共通です。

ただ、「マルチチャネル」には1-1.「マルチチャネル」とは何か?で触れたように、各チャネルが独立して運営されているため、顧客情報や在庫情報が連携されていないという弱みがあります。

そこを改善したのが「クロスチャネル」です。「クロスチャネル」では、各チャネルの一部情報が連携されています。

顧客情報や在庫情報などを共有していて、顧客側はひとつのアカウントですべてのチャネルを利用したり、ひとつのチャネルから全チャネル内の在庫情報などを調べたりすることも可能です。

ただ、店舗運営はチャネルごとに独立しているので、ECサイトで買った商品を店舗で受け取ったり、ECサイト利用のポイントと店舗利用のポイントを合算したりすることはできません。

そんなクロスチャネルをさらに進化させ、各チャネルをよりシームレスに連携したのが「オムニチャネル」です。

どのチャネルからでも同じサービス、商品が提供されるため、顧客は商品の検討から購入、ポイント利用、アフターサービスといった購買行動のステップごとに、それぞれ自分の望むチャネルを自由に選んで利用することができます

そのため「自分がどのチャネルを利用しているのか」を意識する必要がなく、高い満足度を得ることができるのです。

「マルチチャネル」「オムニチャネル」「クロスチャネル」の違い

【マルチチャネル/クロスチャネル/オムニチャネルの具体例】

◎実店舗とECサイトなどを展開している企業から、顧客がある商品を購入したい場合

1)マルチチャネル:チャネルが独立顧客情報在庫情報などはそれぞれが管理

欲しい商品の在庫がどのチャネルにあるかわからないので、まず実店舗に行ってみたところ、売り切れだった。   
店員が「ECサイトにならまだ残っているかも…」というので、自分でECサイトを調べたところ、幸い在庫があったので購入した。
商品を実店舗で受け取りたかったができなかったため、ECサイトから宅配の手配を行って受け取った。
また、実店舗でめているポイントが、ECサイトと合算できず、それぞれ別に加算・利用するしかなかった。

2)クロスチャネル:各チャネルの運営は独立、顧客情報や在庫情報などは連携

ほしい商品の店舗在庫があるかをECサイトで確認できたので、確認のうえで実店舗に行って購入した。
その時に別の商品もほしくなったが、実店舗に在庫がなかった。
店員が在庫管理システムで調べてくれたところ、ECサイト上にあと1点だけ残っていることがわかった。
料金をこの場で支払うから、商品は後日配送してもらえないか」と聞いたができなかった。
また、ECサイト利用でまったポイントは実店舗では使えず、それぞれ別に加算・利用するしかなかった。

3)オムニチャネル:各チャネルで情報共有、購買体験をシームレスに連携

ほしい商品の在庫があるかをECサイトで調べたところ、1点だけ残っていたので売り切れる前にECサイトで購入、決済した。
受け取りは配送でも実店舗でも可能だったので、実店舗で受け取った。
ECサイト利用と実店舗利用とでポイントが合算されてどちらでも利用ができるため、ECサイトでの購入時に全ポイント分の割引を用できた。

オムニチャネルについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

2-2.マルチチャネルが向いているケース・オムニチャネルが向いているケース

このように、三者の違いを「マルチチャネル→クロスチャネル→オムニチャネル」という進化の結果だと考えると、「だったらマルチチャネルは必要ないのでは?」「オムニチャネルがベストな方法なのでは?」と結論づけたくなりますが、そうとも言い切れません。

というのも、第一にそれぞれ目的が異なります

マルチチャネルは「顧客との接点を増やす」ことで、商品の購入機会を増やしたり、認知度を高めたりするのが目的です。
つまり、マルチチャネルの中心は「商品、サービス」であって、チャネルごとに「その場で購入してもらう(または購入意欲を高めてもらう)」よう働きかけます。

一方のオムニチャネルは、「シームレスな顧客体験を提供する」ことを目指しています。
こちらの中心は「顧客」であり、その顧客が商品の認知から検討、購入に至る各プロセスでどのチャネルを利用してもよいように、あらゆるチャネルを連携して対応します。

この目的によって、どちらの戦略をとるかは異なるでしょう。

第二のポイントとして、コストや手間が異なります

オムニチャネルは、各チャネルを連携する管理システムや配送システムなどの導入・構築が必要なので、マルチチャネルと比較するとコストや手間がかかります。
小規模な事業であれば、オムニチャネルでは費用対効果が見合わない恐れもあるでしょう。

これらのことを踏まえると、マルチチャネルとオムニチャネルそれぞれに向いているのは、以下のようなケースだといえます。

マルチチャネルに
向いているケース

・商品やサービスの購買機会を増やしたい、認知度を高めたい場合
・事業規模が比較的小さく、複数チャネル化の予算が限られている場合

オムニチャネルに
向いているケース

・顧客がどのチャネルで接点を持っても、
 柔軟でシームレスな顧客体験を提供したい場合
オムニチャネルにおいて、費用対効果期待できる場合

 

3.マルチチャネルのメリット

マルチチャネルとオムニチャネルの違いはよくわかったかと思います。

では、マルチチャネルならではのメリットとは何か、めて考えてみましょう。

それは主に以下の4点です。

・商品やサービスを販売するチャンスが増える
・顧客とのコミュニケーションが取りやすくなる
・顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできる
・顧客体験、顧客満足度が向上する

それぞれ、一般的なマーケティングにおけるメリットとして説明するとともに、「コンタクトセンターの場合に当てはめるとどんなメリットになるか」も挙げていきます。

3-1.商品やサービスを販売するチャンスが増える

第一のメリットは、「商品やサービスを販売するチャンスが増える」ことでしょう。

これは、そもそもマルチチャネルの目的のひとつなので当然ともいえますが、えば実店舗だけでの営業(=シングルチャネル)に比べて、ECサイトや電話での受注などのチャネルも増やせば、その分商品やサービスが売れるチャンスは増加します。

チャネルが実店舗だけであれば、対象となる顧客はその地域の人がメインになりますが、ECサイトを開設することで、全国あるいは海外からも顧客を呼び込むことが可能になるでしょう。

また、「自宅が交通の便が悪い場所にあるので、実店舗に行くよりインターネットでの買い物が多くなりがち」という人や、「電子機器に弱く、インターネットの通販は利用しない」という人など、特定のチャネルに利用が偏る顧客層も取り込むことができ、幅広い顧客層に対応することが可能となります。

【コンタクトセンターの場合】
これらのをコンタクトセンターに当てはめると、通販窓口などが該当するでしょう。

電話受注だけよりも多様な受付チャネルを用意したほうが、顧客が「ほしい」と思ったタイミングを逃さず購入や注文受付ができ、より多くの注文を受けられる可能性が高くなります

3-2.顧客とのコミュニケーションが取りやすくなる

第二に、「顧客とのコミュニケーションが取りやすくなる」というメリットもあります。

以前は、企業が顧客とコミュニケーションを取れる場は、直接対面する店舗や、電話での問い合わせなどに限られていました。
が、マルチチャネル化によって、メールやフォームからの問い合わせを受け付けたり、こちらからダイレクトメールやメッセージなどを送ったりするなど、多様なアプローチが可能になりました。

顧客側も、「店舗で商品の実物を見ながら、店員に直接質問したい」という人もいれば、「店員に話しかけられるのが苦手なので実店舗には行きたくない。わからないことはネットで質問したい」という人もいて、望む形はさまざまです。

その点マルチチャネルであれば、多種多様なコミュニケーションに対応できるので、顧客へのアプローチの機会を逃さずにすむでしょう。

【コンタクトセンターの場合】
コンタクトセンターは、まさに顧客とのコミュニケーションを担う存在です。

従来の電話中心の「コールセンター」では、アウトバウンドであればテレアポや電話営業、インバウンドならカスタマーサービス業務などを行っていました。

これがマルチチャネルになると、アウトバウンドではSNSでの情報発信や、ダイレクトメールなども可能になり、日中電話に出られない層にもアプローチができます

インバウンドも、メールやチャットなどで24時間365日問い合わせを受け付けることができるので、顧客満足度の向上が期待できるでしょう。

顧客コミュニケーションについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

3-3.顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできる

に、「顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできる」ことです。

前述したように、マルチチャネルではクロスチャネルやオムニチャネルと異なり、顧客情報はチャネルごとに別々に管理されています。
これは、デメリットでもありますが、裏を返せば「それぞれのチャネルごとの顧客層や、消費行動を細かく分析することができる」ともいえます。

たとえば、「実店舗の顧客」と「ECサイトの顧客」とでは、それぞれの年齢層、居住地、可処分所得、購入のきっかけなどに違いがあることも多いでしょう。

となると、どちらも一律に同じマーケティング戦略では対応できません。それぞれの属性や消費傾向などを分析して、チャネルごとに最適な戦略を立てる必要があります。

その点、マルチチャネルであれば、もともと顧客情報はチャネルそれぞれが保有しているので、それを個別に分析すればいいというわけです。

各チャネルの情報を連携したり一括管理したりしているクロスチャネル、オムニチャネルに比べて、これはマルチチャネルならではのメリットといえるでしょう。

【コンタクトセンターの場合】
この項目をコンタクトセンターで考えると、「チャネルごとに顧客ニーズを分析し、それに合わせた対応が可能になる」といえるでしょう。

えば、以下のような場合が考えられます。

・「いますぐ問題を解決したい」場合やクレーム:緊急性が高いので、電話や有人チャットで対応
・「問題を自己解決したい」場合:FAQページのよくある質問に対する回答を充実させる
・「電話問い合わせの営業時間内には電話できない」場合:メールや問い合わせフォーム、チャットボットなどで休日や深夜でも対応       など

逆に、「深夜や休日の利用は少ない」という分析結果が得られた場合などは、その時間の対応工数を減らす工夫もできるでしょう。

3-4.顧客体験・顧客満足度が向上する

第四のメリットは、「顧客体験・顧客満足度が向上する」ことです。

もし、実店舗しか展開していなければ、遠方の顧客や忙しい顧客の中には「なかなか買いに行けない」と不満を持つ人も出てくるでしょう。
あるいはECサイトだけであれば、「実物を見てから購入を決めたい」という人は、購入に踏み切れないかもしれません。

その点マルチチャネルであれば、顧客が商品を検討したり購入したりできる場が増えるので、より充実した顧客体験ができ、顧客満足度の向上が見込めます

【コンタクトセンターの場合】
コンタクトセンターにおいても、マルチチャネル化は顧客満足度の向上につながります。

たとえば「購入した商品の不具合について問い合わせたい」という場合、電話チャネルしかなければ、「営業時間が平日の日中のみなので、仕事で問い合わせできない」とか、「電話をしたけれどなかなかつながらない」といった不満が出ることもあるでしょう。

トランスコスモスの調査では、ネットショッピングユーザーの49%が商品購入決断の際にWEB上のチャットで相談したいと感じたことがあると回答しています。

ネットショッピングユーザーの49%が商品購入決断の際にWEB上のチャットで相談したいと感じたことがあると回答

出典:「消費者のオンライン購入における接客ニーズ調査

電話以外にもメールやチャットでの問い合わせが可能であれば、24時間365日いつでも問い合わせを受け付けられます。チャットボットでよくある問い合わせに自動回答できるようにしておけば、顧客の自己解決率の向上も見込めるでしょう。

とくに、コンタクトセンターへの不満として多いのが「電話がつながらない」ことです。

マルチチャネル化は、これらの不満を解消し、顧客満足度の向上につなげる有効な施策なのです。

顧客の体験価値向上についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

4.マルチチャネルの注意点

このように、さまざまなメリットがあるマルチチャネルですが、一方で注意しなければならない点もいくつかあります。

それは以下の3点です。

・チャネル同士の連携、情報共有が難しい
・在庫管理が難しい
・コストがかかる

これらもそれぞれ、一般的なマーケティングの場合とコンタクトセンターの場合にわけて説明していきましょう。

4-1.チャネル同士の連携、情報共有が難しい

前述したように、マルチチャネルは各チャネルが独立して運営されています。

そのため、同じ企業であるにもかかわらず、顧客情報や在庫情報などはチャネルごとに別々に管理され、チャネルをまたいでの連携が難しいという問題があります。

えば、ある顧客が実店舗でポイントカードなどを作るために、個人情報を店舗に提供したとします。

しかし、同店のECサイトにこれらは共有されないので、ECサイトを利用する際には同じ個人情報を再度登録しなければなりません。
また、実店舗で品切れになっている商品が、ECサイトやECモールなどの別のチャネルに残っているか、店舗側ですぐにわかるシステムがないので、顧客に調べてもらうか、店員が独自に調べるなどの対応が必要です。

クロスチャネルやオムニチャネルであればこの問題は発生しませんが、マルチチャネルで対応するのであれば、顧客満足度が下がらないように、事前に対応を考えておく必要があるでしょう。

【コンタクトセンターの場合】
コンタクトセンターにおいて、各チャネルの連携がとれていないのは大きな問題になる恐れがあります。

えば、ある顧客がセンターの営業時間外にメールで質問を送ってきて、翌営業日に電話で「先日質問した件の回答はどうなっていますか?」と問い合わせてきたとします。

そのとき、電話オペレータにメールの内容が共有されていなければ、「恐れ入りますが、ご質問の内容をもう一度お教えいただけますか?」と聞き直さなければならず、顧客は不満を抱いて満足度が低下したりするでしょう。

また、チャネルごとにいちいち個人情報を聞かれるのも、顧客にとっては面倒です。

そのため多くのコンタクトセンターでは、CTIやCRMといったツールを導入して、顧客情報や応対履歴などを一元管理しています。

これにより、顧客から入電があると同時にオペレータのモニター上に顧客情報が表示されたり、過去の各チャネルでの応対履歴を参照したりすることが可能になるのです。

4-2.在庫管理が難しい

これも前述しましたが、マルチチャネルでは在庫情報も各チャネル別々に管理しているため、全体での在庫管理が難しいのも注意点です。

実店舗とECサイト、ECモールや電話での通販受付など販売チャネルが複数ある場合、「ECサイトでは在庫切れの商品が、実店舗にはまだある」「ECサイトでは在庫切れなのに、ECモール上の店舗では在庫が残っている」といったことはままあります。

しかし、その情報を共有していないので、「在庫があるチャネルからないチャネルへ商品を移し、在庫切れを未然に防ぐ」といった対応が難しいのです。

在庫切れが発生すると、せっかく購入を考えていた顧客も諦めてしまい、販売機会を逃してしまいます。

そのようなことを避けるには、各チャネル間での在庫管理をどうするか、マニュアル化しておく必要があるでしょう。

4-3.コストがかかる

3つめの注意点は、「コストがかかる」ことです。

2-2.マルチチャネルが向いているケース・オムニチャネルが向いているケース」で予算が限られているケースに向いているとお話ししましたが、チャネルを増やす際には、どうしても導入コストがかかりますし、その後も運用コストが発生し続けます。

また、新たなチャネルの認知度を高めるための広告宣伝費も必要になるでしょう。

「販売機会が増えるので、売り上げ増加が期待できる」と考えるかもしれませんが、その費用対効果が見合っているかどうかが重要です。自社の商品・サービスの場合、どのチャネルを増やせば売上増につながるかをよく分析しましょう。

コストと売上をシミュレートした上で、バランスのいいマルチチャネル化を計画してください。

【コンタクトセンターの場合】
コンタクトセンターの場合、コスト管理は難しい問題です。
そのため、導入コストや運用コストが増加するマルチチャネル化を実行する際には、事前に綿密な分析と計画が欠かせません。

どのチャネルが有効でどのチャネルが不要か、それによりどの程度の成果が期待できるか、先行投資分を回収するにはどの程度の期間かかるかなど、細かく試算しましょう。

さらに、思うような成果が上がらないリスクに備えて、スモールスタートするのもいいでしょう。

自社のセンターに無理がない規模から始めてみてください。

コンタクトセンターのマルチチャネル化について、「どのチャネルが必要か」「どのチャネルを増やすべきか」に迷ったときには、トランスコスモスの「チャネル最適化診断」サービスが有効です。

しくは、以下をご確認ください。

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トランスコスモスでは、コンタクトセンターに寄せられているお問い合わせのうち、チャットやボット(自動応答)で解決できるお問い合わせが何%あるのかを可視化する簡易診断サービスをご提供しています。

お問い合わせ内容を以下の6つの要素に分解、これによりノンボイスチャネル導入時のポテンシャルを可視化することが可能です。

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5.マルチチャネル化を成功させるポイント

マルチチャネルのメリットと注意点を知ったところで、「実際にわが社もマルチチャネル化したい」と考えた方も多いことでしょう。

では、実際にマルチチャネル化を成功させるには、どうすればいいでしょうか?

そのポイントは主に以下の3点です。

・顧客行動をよく分析、理解する
・マルチチャネルの課題を理解する
・統合ツールを用いて各チャネルを連携させる

ここまで同様、一般的なマルチチャネルの話に、コンタクトセンターの話を加えて解説します。

5-1.顧客行動をよく分析・理解する

第一のポイントは、「顧客行動をよく分析・理解する」ことです。

​​3-3.顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできるで説明したように、マルチチャネルの大きな強みは、顧客データや顧客行動をそれぞれのチャネルごとにわけて分析できることです。

しかもそれだけでなく、顧客ごとの消費行動を時系列に沿って把握することも可能なので、「チャネルごと」という大きな枠組みにとどまらず、「顧客ごと」に最適なアプローチの方法を講じられるようになります。

さらに、実行したマーケティング施策の効果も追えるので、顧客ニーズをよりきめ細やかに理解したうえで、効果的な戦略を立てることができるでしょう。

【コンタクトセンターの場合】

これをコンタクトセンターに置き換えると、「顧客ひとりひとりの取引履歴や問い合わせ履歴をよく理解する」といえるでしょう。

そうすれば、それぞれの顧客に対応する際に、過去のやりとりを踏まえて「以前に◯◯についてお問い合わせいただきましたね」など顧客に合った応対をして信頼度を高めたり、より顧客ニーズに沿った提案ができたりするはずです。

その結果、応対品質や顧客満足度の向上が期待できます。

顧客の期待を超える方法についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

5-2.マルチチャネルの課題を把握する

次のポイントは、「マルチチャネルの課題を把握する」ことです。

4.マルチチャネルの注意点で挙げたように、マルチチャネルには以下の3つの課題があります。

【マルチチャネルの注意点】

・チャネル同士の連携、情報共有が難しい
・在庫管理が難しい
・コストがかかる

マルチチャネルを成功させるには、これらについてよく理解したうえで、必要な対策を講じてください。
たとえばチャネルをまたいで、情報共有できる仕組みや在庫管理のマニュアルを作るのもよいでしょう。

また、マルチチャネル化には初期費用や運用コストなどがかかります。

コストに対して費用対効果があまり期待できない場合は、コストカットを考えたりすることも必要になるでしょう。

【コンタクトセンターの場合】

コンタクトセンターをマルチチャネル化する場合も、チャネル同士の情報共有やコスト面は課題になります。

それらを改善するために、顧客情報管理ツールを導入したり、必要なチャネルを絞ってコストを抑えたりするとよいでしょう。

顧客とのタッチポイントについての全体像を客観的に把握したいとお考えの方は、トランスコスモスが提供する「顧客接点のあり方 診断サービス」がおすすめです。

顧客接点のあり方 診断サービスについて詳しくは以下をご覧ください。

5-3.統合ツールを用いて各チャネルを連携させる

前項でも触れましたが、マルチチャネルの大きな課題である「各チャネルが連携していない」ことを解決するためには、「統合ツールを用いて各チャネルを連携させる」ことが有効です。

「統合ツール」とは、複数のITシステムや情報を一元管理するものです。

マルチチャネル化の場合は、以下のような統合ツールが役に立つでしょう。

・CRM:Customer Relationship Management(顧客関係管理)

顧客ごとの属性や応対履歴などを一元管理する 
コンタクトセンターでは、顧客から着信があると即座に
オペレータのモニター上に顧客情報を表示することができる
データ分析機能もある

・MA:Marketing Automation(マーケティングオートメーション)

見込み顧客の情報を集めて管理や、メール配信など適切なアプローチができる

【コンタクトセンターの場合】

コンタクトセンターの場合、CRMは必要性が非常に高いツールです。

前述のように、顧客から着信があれば、その場ですぐに顧客情報や応対履歴をモニターに表示することができるため、顧客に適切な対応ができます。

アウトバウンドであれば売上増加、インバウンドであれば顧客満足度向上にも役立つでしょう。

 

6.マルチチャネル化を進める方法

ここからは、コンタクトセンターのマルチチャネル化に話題を絞っていきましょう。

まず、実際にコンタクトセンターをマルチチャネル化するには何をすればいいのでしょうか?

その方法は、大きくわけて2つあります。

・IVRを導入する
・CTIシステムを導入する

それぞれどういうことでしょうか?

6-1.IVRを導入する

まずひとつの方法は、「IVRを導入する」ことです。

「IVR」とは、「Interactive Voice Response=自動音声応答システム」のことです。

顧客からコンタクトセンターに入電があると、まずIVRがあらかじめ録音された自動音声で応対します。

そして、「新規のお申し込みは1番、ご解約は2番、その他のお問合せは3番を押してください」といったように顧客にプッシュボタン操作をうながし、各担当オペレータに顧客を振り分けることが可能です。

さらに、電話チャネルでの応対だけでなく、顧客の電話番号にショートメールを送ったり、WEBサイトのFAQやチャットボットなど他のチャネルに誘導することもできるので、マルチチャネルやオムニチャネルには欠かせないツールだといえます。

6-2.CTIシステムを導入する

次に、「CTIシステムを導入する」のも方法として重要です。

「CTIシステム」とは、「Computer Telephony Integration(コンピュータと電話機能の統合)」の略です。

これを導入すれば、顧客からの着信に合わせて顧客情報や各チャネルでの応対履歴をモニターにまとめて表示することが可能です。

また、CRM(顧客関係管理)システムやSFA(営業支援ツール)と連携させることで、コンタクトセンター以外の営業部門で収集した顧客情報もあわせて利用できるようにもなります。

マルチチャネル化のデメリットである情報共有や在庫管理の難しさが解消され、メリットである顧客行動の分析がよりしやすくなるでしょう。

7.マルチチャネルを導入した企業の成功事例

ここまでで、マルチチャネルに関して知っておきたいことはひととおり説明しました。

最後に実際にコンタクトセンターにマルチチャネルを導入して成功した企業の事例を紹介しておきましょう。

より具体的に、マルチチャネルについて理解できるはずです。

7-1.So-net:カスタマーサポートに有人チャットとAIチャットボットを導入し、CPHが2倍に

「NURO」などのIT・通信サービスで知られるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)は、2020年にカスタマーサポートのノンボイスプロジェクトを発足しました。

具体的には、「有人チャット」と「AIチャットボット」を導入したのです。

顧客がチャットボットに質問を入力すると、So-netのキャラクターであるモモのAI=「AIモモ」がまず質問に回答します。

そして「AIモモ」が対応できない質問があれば、チャットやサポートページへシームレスに誘導するというシステムです。

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)のノンボイスプロジェクト

その結果、有人チャットのCPH(オペレータひとりが1時間当たりに対応したコール数)は、プロジェクト開始から約1年半で2倍に拡大し、各サポートチャネルの利用率は、AIチャットボットが半数以上を占めるようになりました。

【有人チャット平均サポート件数(CPH)】 

有人チャット平均サポート件数(CPH)

【サポートチャネルの利用割合】

サポートチャネルの利用割合

このマルチチャネル化により、オペレータの電話対応件数が減り、カスタマーサポート全体の業務効率化が実現しました。

ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社の事例や、チャットボット導入の他の事例については。こちらの記事で詳しく解説しています。

7-2.協和:デジタルチャネルでの問い合わせ比率を2年で40%まで拡大。顧客ニーズに合わせたマルチチャネル化を実現したことにより顧客の利便性を向上

先端美容を追求しエイジングケア美容液ブランド「fracora(フラコラ)」を展開する株式会社協和。
当初メールが中心で6%だったデジタルチャネル利用率が、チャット・チャットボットの導入とSMS(ショートメッセージサービス)での誘導や
V-IVR(ビジュアルIVR)を開始しマルチチャネル化したことで20%を超えました。

まずは電話やメールに加えて有人チャット・チャットボットを追加し、利便性を向上させるためのチャネルを拡大しました。
更にオンラインに不慣れな顧客にもわかりやすいインターフェイスで各種手続案内やWebサイトの利用ガイドページへ誘引するために、V-IVRの立ち上げも実施しました。

他にもSMSを有効利用し、電話での問い合わせの際、口頭で伝わりにくい回答を詳細情報のURLリンクへご案内することで補完したり、営業時間外の問い合わせにはV-IVRへ誘導したりすることで顧客の利便性の向上につながっています。

まとめ

いかがでしたか?

マルチチャネルについて、理解が深まったと思います。

ではめて、記事の要点をまとめましょう。

◎マルチチャネルとは、複数の「チャネル=販売経路や接点」を持っている状態を指す言葉

◎マルチチャネルのメリットは
・商品やサービスを販売するチャンスが増える
・顧客とのコミュニケーションが取りやすくなる
・顧客の消費行動をチャネルごとに分析、アプローチできる
・顧客体験、顧客満足度が向上する

◎マルチチャネルの注意点は
・チャネル同士の連携、情報共有が難しい
・在庫管理が難しい
・コストがかかる

◎マルチチャネル化を成功させるポイントは
・顧客行動をよく分析、理解する
・マルチチャネルの課題を理解する
・統合ツールを用いて各チャネルを連携させる

◎マルチチャネル化を進める方法は
・IVRを導入する
・CTIシステムを導入する

これを踏まえて、あなたの会社がマルチチャネル化に成功するよう願っています。

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