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チャットボットの成功事例をくわしく解説!課題解決事例や失敗例も紹介

「チャットボットの導入を検討しているので、具体的な導入事例が知りたい」
「チャットボットを利用している企業で、成功した事例と失敗した事例では何が違う?」

この記事を読んでいる方は、そのような疑問を持っていることでしょう。

実際に、チャットボットを活用して成果をあげている企業は多くあります

たとえば、以下のような事例です。

〇日産自動車の事例
チャットボット×有人チャットで日産自動車のオンライン接客を支援、開始から12カ月で数百名を超える送客を実現し車の成約にも貢献

〇九州産業大学の事例
就職支援にチャットボット活用で学生の疑問を365日24時間いつでも解決

〇ソニーネットワークコミュニケーションズの事例
カスタマーサポートのノンボイス(有人チャット、AIチャットボット)シフトを推進、お問い合わせの半数以上をAIチャットボットで対応する体制を構築

一方で、以下のようなケースでは失敗に終わる事例もあります。

・顧客の疑問・問題を解決できない
・顧客のニーズに合っていない
・チャットボットで対応できない場合の対策を用意していない
・チャットボットと有人対応の線引きがあいまい

そこでこの記事では、チャットボットの導入事例についてさまざまなパターンを紹介、検証していきます。

最初に、実際にトランスコスモスが手掛けた成功事例3件をくわしくレポートします。

◎日産自動車
◎九州産業大学
◎ソニーネットワークコミュニケーションズ

その他にも、以下のような例について考えていきます。

◎チャットボットの活用シーン
◎チャットボットによる企業の課題解決事例
◎チャットボットの導入に失敗するケース
◎チャットボット導入を成功させるためのポイント

最後まで読めば、チャットボットのさまざまな事例についてくわしく知ることができるはずです。

これを踏まえて、あなたの会社がチャットボットの導入に成功できるよう願っています。

目次

1.チャットボットの導入事例

実際に、チャットボットを導入して業績を上げたり、顧客満足度の向上に成功した企業は多数あります。

そこで、この記事では最初に、トランスコスモスが携わった事例の中から代表的な成功例を3件ご紹介しましょう。

1-1.【日産自動車】チャットボット×有人チャットで日産自動車のオンライン接客を支援、開始から12カ月で 数百名を超える送客を実現し 車の成約にも貢献

日産自動車では2021年、販売会社のWEBサイト上でチャットボットと有人チャットを組み合わせたオンライン接客サービスの提供を開始しました。

その結果、1年足らずの間にチャット経由で店舗を実際に訪れた人は数百名にのぼり、幅広い年代からの成約につながっています。

Web上での接客について詳しく知りたい方は、下記の記事をご参考ください。

チャットボット導入前に抱えていた課題

従来の自動車販売は、対面接客が基本でしたが、近年のデジタル社会化やニューノーマル時代の到来を踏まえて、非対面・オンラインでの接客やサポートチャネルの導入を検討していたそうです。

WEBサイト上から予約注文、試乗イベントの申し込みなどは受け付けていましたが、それ以外にも顧客の疑問解決や店舗への誘導手段の強化、多様化するタッチポイントをいかにシームレスにつないでいくかという点に課題を感じていました。

WEBサイト上にサポートチャネルを設けようとしても、オンライン接客の手法やサポート導線の設計に関するノウハウがないため、ツールの導入から設計、運用までワンストップで支援を受けられる体制の構築が必要でした。

提案したチャットボットサービス

そこで、提案したのがチャットボットによるオンライン接客です。

購入前であっても、店舗に行かずに気軽に質問や相談ができるチャネルとして、チャットボットが適していると判断しました。

実際のサービスでは、WEBサイトに問い合わせが入ると、まずは定型化された質問であればチャットボットが自動応対します。

もしボットでは対応できない場面があれば、そこから有人チャットに切り替わってオペレーターが直接対応するというシームレスなサービス形態を構築しました。

これは、チャットボットで対応できる問い合わせはスピーディに解決するとともに、成約の可能性が高い見込み客は有人チャットから実店舗へと送客するというスキームで、問い合わせ内容や見込み度によって顧客を最適なサポート導線に誘導することを意図したものでした。

 

日産自動車のチャットボットによるオンライン接客の導入の図

チャット経由での店舗への送客数・数百名を達成、成約にもつながる

その結果、導入から1年足らずの間に、チャットを経由して店舗へ送客された人数は数百名にのぼりました。

その中から、幅広い年代で成約を獲得することにも成功しています。

この成果を受けて、日産の電気自動車ARIYAの会員特設サイトでもオンライン接客サービスを導入したところ、開始初月から予約注文を獲得することができました。

オンライン接客をより拡充していくための新たな取り組みとして、WEBサイト上で写真や動画、プレゼン資料を表示しながらオペレーターが案内するビデオチャットもスタートしています。

成功のポイント

この事例が成功したポイントとしては、以下が考えられます。

・チャットの早い段階で、顧客が「有人オペレーターへ接続」を選択できる仕組みの構築
 →成約に至る可能性の高い見込み客を、チャットから店舗へ送客できる確率が高まった

・クライアントへの迅速なエスカレーションや、シナリオボットの細かなチューニングを定期的に行うなど、高速でPDCAを回した
 →顧客ニーズに沿ったサービスを早期に確立することができた

1-2.【九州産業大学】就職支援にチャットボット活用で学生の疑問を365日24時間いつでも解決

九州産業大学は2021年より、「九州産業大学キャリア支援センターLINE公式アカウント」を通じて在学生向けにキャリア形成や就職活動支援に役立つ情報の配信を始めました。

チャットボットによって、24時間いつでも就職に関する疑問を解決できるサービスです。

LINEの活用についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

チャットボット導入前に抱えていた課題

学生に対する就職支援は、従来なら対面で担当職員などが行うはずのものでしたが、長引くコロナ禍の影響を受けて、対面での支援が難しい状況が続いています。

そこで、リモート授業などと同様に、就職支援に関してもオンラインでの対応が求められていました。

 

提案したチャットボットサービス

このケースでは、LINEを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)ツール「KANAMETO(カナメト)」を導入しました。

LINEはいまや月間利用者数8, 800万人(2021年3月現在)を誇る一大コミュニケーションインフラです。

学生にも普及しているため、これを利用すれば新たなアプリなどをダウンロードすることなく多くの学生がサービスを利用することができます。

具体的なサービス内容は、主に以下の2つです。

・学年や学部などの学籍情報、現在検討中の希望進路などのデータにあわせて、必要な就職活動情報、就活イベントスケジュールなどをセグメント配信
・チャットボットが、就職活動に関するよくある質問に自動応答して問題解決

 

LINEを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)ツール「KANAMETO(カナメト)の使用例の図

LINEを活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)ツール「KANAMETO(カナメト)の導入の図

 

チャットボットによって24時間365日いつでも疑問を解決

チャットボットを導入したことで、「24時間365日、いつでもどこでも疑問が解消される」という、対面での相談では得られなかったメリットが生まれました。

チャットボットは、「面接、GD(グループディスカッション)」「書類(履歴書、エントリーシート、証明書)」「求人票」「インターンシップ、資格取得」のカテゴリーに分かれているので、学生は少ない手間と時間ですぐ欲しい回答にたどり着けるようになっています。

成功のポイント

この事例の成功ポイントは、以下の点が考えられます。

・LINEという、学生間での普及率が非常に高いコミュニケーションアプリを利用した
 →多くの学生が日常的に利用しているアプリなので、使いやすく、新たなアプリダウンロードなどのハードルもなかった

・チャットボットを、よくある就職活動の疑問ごとにカテゴリー分けした
 →学生が抱く疑問に対して、より適切で細やかな回答シナリオを用意できた

1-3.【ソニーネットワークコミュニケーションズ】カスタマーサポートのノンボイス(有人チャット、AIチャットボット)シフトを推進、お問い合わせの半数以上をAIチャットボットで対応する体制を構築

「NURO」などのIT・通信サービスで知られるソニーネットワークコミュニケーションズ(以下So-net)は、2020年にカスタマーサポートのノンボイス化を推進しました。

約1年半のプロジェクトの結果、有人チャット、AIチャットボット中心の体制を確立することに成功しています。

ノンボイスについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

チャットボット導入前に掲げていた課題

カスタマーサポートやコンタクトセンターでは、従来から人材不足やコロナ禍におけるBCP対応もあり、電話対応のオペレーターをはじめとする人員を安定的に確保することが難しい状態が続いています。

一方で、顧客からは「疑問や問題はスピーディに解決してほしい」という要望の高まりがありました。

そこで、これら2つの課題を解決する方法として、カスタマーサポートをオペレーターによる電話対応中心の体制から、ノンボイス中心に短期間でシフトすることを考え、ノンボイスプロジェクトを発足しました。

 

提案したチャットボットサービス

ノンボイスプロジェクトには、トランスコスモスからも専任スタッフがアサインし、共同でカスタマーサポートの全面的な改善を行いました。

チャットボットに関しては、So-netのキャラクターであるモモのAI=「AIモモ」が質問に回答する形をとりました。

そして、「AIモモ」が対応できない質問は、有人チャットやサポートページへシームレスに誘導するシステムを構築しました。

 

AIチャットボットと有人チャットを同時に導入するチャットボットサービスの図

 

また、ボット以外にも以下のような施策を行っています。

・過去のノンボイス事例を洗い出し、成功ノウハウを吸収して活用
・オペレーターに対して、「1件の対応時間を短縮する方法」「より多くの案件を同時にこなす方法」などのノウハウを共有、一人ひとりの意識改革を実行
・各サポートチャネルの強化、IVR/WEB/資材の改修
・対応後の事務処理にRPAを導入して無人化を促進      など

 

問い合わせの半数以上にAIチャットボットが対応できる体制を確立

プロジェクトは急ピッチで進められ、約1年半後にはノンボイス中心のカスタマーサポートが実現しました。

その結果、以下のような実績を上げています。

・AIチャットボット:問い合わせの半数以上をAIチャットボットで対応
・有人チャット:プロジェクト開始時の約2倍の生産性を達成

 

成功のポイント

この事例が成功したポイントとしては、以下のことが考えられます。

・クライアントであるSo-netとサービス提供者であるトランスコスモスがシームレスな協力体制を築いた
 →プロジェクトをスピーディに推進することができた

・過去のノンボイス事例を徹底的に洗い出し、成功事例に共通するノウハウを抽出した
 →それをプロジェクトに反映することで、成功に近づくことができた

 

2.チャットボットの活用シーン

以上、チャットボットの具体的な成功事例を3つ紹介しました。

が、これ以外にもチャットボットはさまざまな形で活用することが可能です。

そこで、この章ではよくある活用シーンについて例をあげていきましょう。

2-1.カスタマーサポート

まず、もっともチャットボットと親和性が高いのは、カスタマーサポートにおける利用でしょう。

カスタマーサポートセンター、コンタクトセンター(コールセンター)などには、毎日多数の連絡が入ります。

その内容は、商品の使い方に関する質問や、故障の連絡、修理の依頼、重大なクレームなどさまざまです。

それに対して、以前はオペレーターが直接電話で対応するのが主流でしたが、近年ノンボイス化が推進される流れの中で、企業・自治体もチャットボットを活用し始めています。

具体的な活用例は、たとえば以下です。

・企業のWEBサイト上にチャットボットを設置する
 ↓
・WEBサイトに、顧客から問い合わせ連絡が入る
 ↓
・簡単な質問であれば、チャットボットが設定した定型の回答で対応、解決
 ↓
・チャットボットで解決できない質問や、クレームなどは有人チャットに誘導
 ↓
・オペレーターが対応

この方法であれば、有人で対応しなければならない件数を大幅に減らすことができます。

また、顧客を電話口で長く待たせたり、「返信が遅い」とイライラさせたりすることもなくなります。

「問合せしたくても、平日の仕事終わりでは受付が終了しているし、土日は窓口が休みでなかなか連絡がとれない」という悩みを感じている顧客も多いですが、チャットボットなら24時間365日いつでも対応できます。

人手不足やコロナ対応に苦しむカスタマーサポート部署では、チャットボットは導入メリットが大きいものだといえるでしょう。

2-2.ヘルプデスク

ヘルプデスクは、IT機器などの製品やサービスの利用者をサポートする担当部署です。

「パソコンに不具合が生じた」「家電の使い方がわからない」といったトラブルの際に、ユーザーからの連絡を受けて問題を解決する必要があります。

ヘルプデスクに対する問い合わせは、カスタマーサポート以上に類型化が容易です。

そのため、チャットボットで対応できる件数も多く、導入に適しているといえるでしょう。

具体例は、カスタマーサポートと同様です。

ただ、ヘルプデスクの場合は、チャットボットと有人チャットに加えて、遠隔サポートなども併用するケースがあります。

遠隔サポートは、顧客のPCやスマホなどをオペレーターが遠隔で操作して、使い方を画面上で実践して見せたり、画面を表示して視覚的に問題を解決したりするサービスです。チャットボットでは対応しきれない複雑な問い合わせに対するバックアップ対応として、導入しておくのもいいでしょう。

2-3.社内コミュニケーション

チャットボットは、企業と顧客の間だけの利用に限られません。

社内での社員同士のコミュニケーション手段として利用されるケースも増えています。

・社内の別部署(人事、総務、経理など)への問い合わせ
・部署内、チーム内でのナレッジ共有
・上司から部下への伝達

など、さまざまなシーンでの利用が可能で、会話形式で気軽にやりとりできるのが利点です。

また、電話と違って記録が残ること、一度に複数人で情報を共有できること、問い合わせ対応の工数を減らせることなどのメリットもあるため、生産性向上にもつながるでしょう。

3.チャットボットによる企業の課題解決事例

また、実際にチャットボットで企業の課題が解決された事例も多数あります。

そこで、よくある事例をいくつか紹介しておきましょう。

3-1.コンタクトセンター(コールセンター)での問い合わせ対応を効率化、人件費も削減

もっとも多い成功事例のひとつが、カスタマーセンターなどでの「問い合わせ対応の効率化」でしょう。

企業のカスタマーセンターには、毎日膨大な問い合わせが入ります。

が、少子高齢化やコロナ禍の影響で、コンタクトセンター(コールセンター)業務は慢性的な人手不足が続いているのが現状です。

オペレーターによる電話対応やメール・リアルタイムチャット対応は、1件当たりの対応に数分はかかるため、多くの企業では、対応しきれず顧客を待たせてしまうという課題を抱えています。

そこで、チャットボットなら、オペレーターと異なり同時に複数の問い合わせに対応することができます。

また、1件当たりの対応に何分かかっても顧客を待たせることがないので、放棄呼やあふれ呼を減らすことが可能なのです。

これにより、オペレーターを増やす必要がなくなったので、人件費を大幅に削減できたという企業もありました。

コンタクトセンターにおけるチャットボットの必要性についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3-2.コンタクトセンターで応対品質を均質化し顧客満足度が向上

電話応対を中心としたコンタクトセンターの中には、「オペレーターごとに応対品質に差がある」という課題を持っているところも多くあります。

オペレーターの知識やスキル、習熟度によって、顧客の満足度が左右されてしまうのです。

たとえば同じ問い合わせをしても、オペレーターAさんはくわしく回答ができる一方、オペレーターBさんは答えがわからず、顧客をしばらく待たせてマニュアルを調べたり、エスカレーションしなければならない、ということがあります。

これでは顧客は、その企業に対して不安や不満を感じてしまうでしょう。

その点チャットボットなら、応対品質の均質化にも貢献することができます。

あらかじめ顧客のニーズに合ったFAQや対応をチャットボットに用意しておけば、顧客はつねに高いレベルの回答を得ることができるわけです。

その結果、顧客満足度の向上が実現できるのです。FAQについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

3-3.ホームページ訪問者に対し資料請求を誘導

自社のホームページで、商品やサービスの資料請求を受け付けている企業も多いでしょう。

が、「なかなか資料請求の件数が伸びず、見込み客が獲得できない」という悩みもよくあるようです。

アクセス解析をしてみると、資料請求フォームで離脱する顧客が多いのです。

このような場合も、チャットボットが有効に働いたケースがありました。

ホームページの資料請求フォームは、名前、住所、メールアドレスなどさまざまな情報を一度に入力しなければなりません。

が、チャットボットなら会話形式で1問ずつ回答するので、フォームよりも気軽に入力できるという強みがあるのです。

チャットボット導入の結果、資料請求の件数が大幅に増えた企業もあり、大きな効果を生んでいます。

3-4.社内で従業員からの問い合わせを一元対応

顧客向けだけでなく、社内向けの問い合わせ業務でもチャットボットは活躍します。

企業では、社員から社内の他部署へさまざまな問い合わせが発生します。

「IT機器の使い方、不具合」はヘルプデスクへ、「休暇の取得、福利厚生の利用に関する質問」などは人事総務部へ、「年末調整など税金、給与に関する問い合わせ」は経理部へ、といった具体です。

が、社員数が多くなると、時期によって問い合わせが集中して業務に支障をきたしたり、対応漏れがあったりといった問題も発生します。

そこで、チャットボットを導入する企業が出てきました。

「IT関連の質問」「人事総務への質問」などのカテゴリー分けをすることで、どんな質問でもまずはチャットボットに問い合わせることができ、よくある質問であればその場で回答が得られます。

これにより、各部門への直接の問い合わせが激減し、本来の業務が滞りなく行えるようになった企業もあるそうです。

4.チャットボットの導入に失敗するケース

ここまで、チャットボットの成功例を挙げてきましたが、中にはうまく活用できず、失敗してしまうケースもあるようです。

たとえば、以下のような例です。

4-1.顧客の疑問・問題を解決できない

チャットボットは、顧客や社内からの問い合わせに的確に回答することで、有人対応の工数を削減して効率化することが可能です。

逆に言えば、問い合わせに対して必要な回答ができない、問題を解決できないのであれば、結局有人対応が必要になってしまいます。

この場合は、なぜ問題が解決できなかったのか、原因を突き詰めて改善する必要があります。

チャットボットは、利用者によくある問い合わせ内容を広くカバーして、的確な回答を用意しておく必要があります

顧客データなどの情報が十分でなかったり分析が間違っていると、顧客が求めるFAQが用意されていないというケースが増えてしまうのです。

これを解決するには、顧客が何を知りたいか、何のためにWEBサイトを訪れているかといったデータを集めて的確に分析し、それに対応するFAQを十分に用意する必要があるでしょう。

4-2.チャットボットで対応できない場合の対策を用意していない

どれだけ豊富なFAQを用意しても、それに該当しない問い合わせはあるものです。

その場合の対応策が設けられていないと、顧客は必要な解決策が得られないままサイトを離脱せざるをえません。

これではチャットボット導入の意味がなくなってしまいます。

そうならないよう、チャットボットがこたえられなかった場合にどうするのか、バックアップ策を用意しておきましょう。

一般的なのは、途中から有人チャットに切り替える方法です。

他にもメールなど他チャネル回答するなどの解決方法が考えられますので、実施しやすい方法をとってください。

4-3.チャットボットと有人対応の線引きがあいまい

チャットボットと有人チャットを組み合わせた場合でも、失敗してしまうケースはあります。

それは、どこまではチャットボットが対応して、どこから有人チャットに切り替えるのか、その線引きがあいまいな場合です。

チャットボットのFAQを充実させるのはいいですが、どこまで細かく回答を用意してもすべてをカバーすることはできません。

ある分野では細かい質問にもボットがこたえてくれるのに、別のジャンルの簡単な質問には回答が用意されていない、といった混乱に陥りかねません。

そこで、あらかじめ「一問一答でこたえられる範囲まではチャットボットが担当し、さらに踏み込んで二次的な質問をされた場合は有人に切り替える」など、基準を設けておくとよいでしょう。

チャットボットの失敗例について、さらにくわしく知りたい場合は、別記事「失敗事例から考えるコールセンターにおけるチャットボット導入の方法」を参照してください。

5.チャットボット導入を成功させるためのポイント

ここまで、チャットボットの成功事例や失敗事例などについて解説してきました。

それを踏まえて、最後に「どうすればチャットボットの導入を成功させることができるか」、そのポイントについても触れておきましょう。

5-1.顧客の課題やニーズに的確に答える

4-1.顧客の疑問・問題を解決できないで説明したように、チャットボットは顧客がどんな疑問・問題を抱いているか、何を知りたいか、何を望んでいるかを的確に把握し、満足いく回答を与えることができてはじめて「成功」といえます。

そのため、つねに顧客の疑問や課題、ニーズを把握し、それに対応できるよう改善を重ねていく必要があります。

1章の日産自動車の事例でも、成功要因のひとつは「シナリオボットの細かなチューニングを定期的に行ったこと」でした。

顧客のニーズは時々刻々と変化するので、顧客データを的確に分析して要望に応えていきましょう。

5-2.回答だけで終わらず次のステップも用意する

チャットボットで疑問が解決されたからと言って、顧客はそこで完全に満足するとは限りません。

たとえば、「商品に不具合がある」という質問に対して、「それは修理が必要です」という回答で終わってしまえば、質問には答えていても顧客の問題は解決されません。

顧客が本当に望んでいるのは、「なぜ不具合があるのか」を知ることではなく、「不具合を解消すること」だからです。

そこで、修理が必要な場合には、次に修理担当部署につなぐなど、問題解決のステップに誘導しましょう。ここまでフォローしてはじめて、顧客が満足を感じるのです。

5-3.有人での対応手段も用意する

4-2.チャットボットで対応できない場合の対策を用意していないことが原因で失敗するのを避けるためには、チャットボットで対応できない場合に備えて有人での対応手段を用意しておくことも必須です。

一般的には、最初はチャットボットが対応し、回答できない質問が出たら有人チャットに切り替えるというケースが多いようです。

あるいは、オペレーターとの通話につなぐ、後日メールで回答するなどの対応も考えられます。

なるべく多くの件数をチャットボットだけで対応できるようにしつつ、ある程度は有人対応が必要であることを覚悟して、オペレーターを教育しておきましょう。

5-4.データを蓄積し、回答精度を上げる

有人対応を用意しておくと、「いざとなったらオペレーターが対応すればいい」と考えてしまうかもしれませんが、やはりチャットボットを導入するからには、ボットが対応できる割合をできるだけ増やしていく努力が必要です。

そのためには、さまざまなデータを蓄積、分析して、ボットがより適切な回答を提供できるように改善し続けなければなりません。

たとえば顧客からの問い合わせ内容やコミュニケーション履歴、WEBサイトへのアクセス解析などから、「顧客は何を知りたいのか」「どんなことを望んでいるのか」「どんな回答が得られれば問題が解決し、満足するのか」を正しく理解しましょう。

それに沿って、ボットの回答を随時アップデートしていってください。

5-5.顧客の離脱ポイントを把握して改善する

前項とも関係しますが、チャットボットを利用した顧客がどこで離脱したか、そのポイントを検証することも有効です。

それによって、「十分に回答できていると思っていたが、ボットの答えがわかりづらかったのか」「2番目の質問までは回答できていたが、3番目の〇〇に関する質問に対する答えがよくなかったのか」など、問題点が見えてきます。

これもまた、ボットの回答精度を上げて顧客満足度を向上させる結果につながるでしょう。

チャットボットを導入するなら
チャットサポートソリューション「DEC Support」がおすすめ!

コンタクトセンターにチャットボットを導入したいのであれば、トランスコスモスが提供するチャットサポートソリューション「DEC Supportをおすすめします。

LINE/WEBチャット/Facebook Messengerなど複数のチャネルに対応したチャットボット機能が利用可能です。

くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。

まとめ

いかがでしたか?

チャットボットに関してさまざまな事例を知ることができたかと思います。

では最後にあらためて、記事の要点を振り返ってみましょう。

◎チャットボット導入事例と成功のポイントは、

1)日産自動車
 チャットボット×有人チャットで日産自動車のオンライン接客を支援、
 開始から12カ月で 数百名を超える送客を実現し 車の成約にも貢献
 ・チャットの早い段階で、顧客が「有人オペレーターへ接続」を選べる選択肢を設けた
 ・クライアントへの迅速なエスカレーション、シナリオボットの細かなチューニングを定期的に行うなど、高速でPDCAを回した

2)九州産業大学
 就職支援にチャットボット活用で学生の疑問を365日24時間いつでも解決
 ・LINEという、学生間での普及率が非常に高いコミュニケーションアプリを利用した
 ・チャットボットを、よくある就職活動の疑問ごとにカテゴリー分けした

3)ソニーネットワークコミュニケーションズ
 カスタマーサポートのノンボイス(有人チャット、AIチャットボット)シフトを推進、
 お問い合わせの半数以上をAIチャットボットで対応する体制を構築
 ・シームレスな協力体制を築いた
 ・過去のノンボイス事例を徹底的に洗い出し、成功事例に共通するノウハウを抽出した

◎チャットボットの導入に失敗するケースは、

・顧客の疑問・問題を解決できない
・チャットボットで対応できない場合の対策を用意していない
・チャットボットと有人対応の線引きがあいまい

以上を踏まえて、あなたの会社がチャットボットをうまく活用し、課題を解決できるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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