
「コンタクトセンターで、『応対品質が重要』と言われるが、具体的に何を指すのか?」
「自社のコンタクトセンターの応対品質を向上させたいが、どのような施策が効果的か?」
コンタクトセンター(コールセンター)に勤務していて、このような疑問を抱いている方も多いことでしょう。
コンタクトセンターにおける応対品質とは、オペレーターの応対に対する顧客の満足度を示す指標のことです。
顧客の期待を上回るような応対を行えば「応対品質が高い」と評価され、顧客の期待を下回る場合は「応対品質が低い」とされます。
応対品質が低いと顧客が不満を抱き、顧客満足度の低下やブランドイメージの悪化に繋がります。一方、応対品質を高く保てれば、顧客満足度向上や円滑なコンタクトセンター運営が実現します。
そのため、応対品質を向上させるには、以下の2点を理解することが重要です。
・応対品質の適切な評価方法 |
この記事ではコンタクトセンターにおける応対品質の基礎知識に加え、次の内容を解説します。
◎応対品質を評価する6つの項目 |
記事を最後まで読めば、応対品質の概念が理解でき、応対品質を向上させる手法も把握できるでしょう。応対品質はコンタクトセンターの品質を測る重要な指標なので、ぜひコンタクトセンター運営に役立ててください。
1.応対品質とはオペレーターの応対に対する顧客の満足度を示す指標
応対品質とはコンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターによる応対に対する顧客の満足度を示します。顧客の期待を上回る応対は「応対品質が高い」、顧客の期待を下回る応対は「応対品質が低い」と評価されます。
具体的には、以下のような項目がオペレーターによる応対品質の評価基準となります。
【応対品質でチェックする項目例】 |
例えば、顧客が購入した電気ケトルの故障した際に、カスタマーサポートに問い合わせたケースを考えてみましょう。
【応対品質の良い例】
オペレーターが親切かつ丁寧に対応し、顧客の不安を理解し解決に向けた努力を示すことで、顧客は「良い対応を受けた」と感じやすくなります。
このような顧客の期待を上回る応対が「応対品質の高い状態」です。
なお、オペレーターの応対品質は「QA(Quality Administrator)」という、コンタクトセンターのモニタリングやフィードバックを行う担当者が評価を行います。
QAは通話内容をモニタリング、応対品質の評価を行い、評価結果をオペレーターにフィードバックし、顧客満足を向上させるための指導を行います。
2.応対品質を評価する6つの項目
オペレーターの応対品質を評価する際、具体的にはどのような項目があるのでしょうか。
ここでは、応対品質を評価する6つの項目をそれぞれ解説します。
応対品質を評価する6つの項目 | |
正確性 | 正確な情報を提供する |
迅速性 | スピード感のある対応 |
柔軟性 | 臨機応変な対応 |
共感性 | 顧客に寄り添う姿勢 |
安心感 | 信頼できる対応 |
好印象 | 良好な印象を与える |
2-1.正確性
応対品質を評価する項目1つ目は「正確性」です。
正確性は、顧客求める情報を間違いなく提供することです。以下の項目で評価をします。
応対品質「正確性」を評価する際の項目例 |
・商品やサービスに関する正確な情報提供 |
顧客が求める情報とは異なるものを提供したり、情報が間違っていたり、対応した内容にミスがあっては、顧客満足度は下がってしまいます。
以下のようなやり取りを見れば、正確性の重要性が分かるでしょう。
【商品の保証期間についてのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
こうした例からもわかるように、正確性は顧客がオペレーターに求める品質の中で、必須項目と言えます。
2-2.迅速性
応対品質を評価する項目2つ目は「迅速性」です。
迅速性は、顧客の課題解決までのスピードです。評価基準は以下の通りです。
応対品質「迅速性」を評価する際の項目例 |
・平均通話時間(ATT):顧客との1件あたりの通話時間は適切か |
顧客の課題解決までのスピードが速いほど、顧客満足度は上がる傾向にあります。一方で、応対に不必要に時間がかかると顧客は不満を抱きやすくなります。
【通信会社のコンタクトセンター(コールセンター)へのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
この例では質問に対し迅速に回答できていたら、顧客は「すぐに解決してよかった、また利用しよう」と満足するのではないでしょうか。
2-3.柔軟性
応対品質を評価する項目3つ目は「柔軟性」です。
柔軟性は、顧客のニーズに応じた臨機黄変な対応を指します。評価項目は以下の通りです。
応対品質「柔軟性」を評価する際の項目例 |
・マニュアルに基づいた柔軟な対応ができているか |
柔軟性がある良い例と、柔軟性のない悪い例を比較して考えてみましょう。
【ECサイトのコンタクトセンターへのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
こうしたことから、顧客の状況や背景に合わせて柔軟に対応し、どのような顧客も課題を解決できるようにすることが重要です。
2-4.共感性
応対品質を評価する項目4つ目は「共感性」です。
共感性は、顧客の感情に寄り添う姿勢を評価します。以下の評価項目で判断をします。
応対品質「共感性」を評価する際の項目例 |
・顧客の発言を要約し理解を示せているか |
例えば、共感性がある良い例と共感性のない悪い例を比較してみましょう。
【家電メーカーのコンタクトセンターへのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
こうして比較してみると、共感性があるオペレーターのほうが顧客に寄り添っているように感じます。したがって、応対品質を評価するうえで「共感性」は重要な項目の1つといえます。
2-5.安心感
応対品質を評価する項目5つ目は「安心感」です。
安心感は、顧客に信頼を与える対応を指します。以下の項目で評価をします。
応対品質「安心感」を評価する際の項目例 |
・分かりやすい説明ができているか |
安心感がある良い例、安心感のない悪い例で比較してみると分かりやすいのではないでしょうか。
【家電メーカーのコンタクトセンターへのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
このように、応対品質において「安心感」を与えることは重要であるといえるでしょう。
2-6.好印象
応対品質を評価する項目6つ目は「好印象」です。
好印象は、顧客に与える第一印象や応対の質を評価します。以下の項目が基準です。
応対品質「好印象」を評価する際の項目例 |
・明るい第一声 |
オペレーターの応対の印象が良ければ「この会社は丁寧な対応をしてくれる」と好印象を持ち、企業へのイメージ向上・満足度向上につながります。
下記の例のうち、良い例と悪い例を比較すると、良い例のほうが応対として気持ちが良く、満足度につながりやすいと感じるのではないでしょうか。
【クレジットカード会社のコンタクトセンターへのお問い合わせの例】
良い例: 悪い例: |
応対品質の評価するうえでは、好印象を与えられる応対ができているのかも重要な項目となります。
3.応対品質の向上が重要な4つの理由
「応対品質の向上は、本当に必要なの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。
ここでは、応対品質の向上が重要な理由として、4点挙げます。
・苦情などのリスクを避けられる |
3-1.リスクを避けられる
オペレーターの応対品質を向上させることで、苦情や顧客満足度の低下といったリスクを軽減できます。
Cotra編集部が行った【カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024】では、電話チャネルを利用した際に、どのようなストレスを感じたか調査しました。上位はコンタクトセンターのシステムや運営方法に関するものですが、顧客のストレスの原因として以下が挙げられています。
参考:【カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024】
・オペレーターの知識不足 |
これらの不満が続くと、苦情が発生しやすくなります。逆に、応対品質を向上させることで、顧客の不満を減少させ、リスクを未然に防ぐことが可能です。
3-2.企業やブランドのイメージアップに直結する
コンタクトセンター(コールセンター)は企業やブランドの顔と言っても過言ではありません。コンタクトセンターの応対品質が低いと、「冷たい印象」や「不十分な説明」といった負のイメージを与え、ブランドの評価を下げてしまいます。
近年、企業は自社のブランディングを重視しており、顧客接点全体の品質向上に注力しています。
少し古いデータですが、トランスコスモスが2017年に実施した「消費者と企業のコミュニケーション実態調査」では、消費者が企業のコミュニケーションに求めるものとして「正確で迅速な対応」や「親身な対応」を求めていることがわかりました。
これらの要素は、応対品質の向上によって実現可能です。
3-3.業務改善、業務効率化につながる
応対品質の向上は、 コンタクトセンター(コールセンター)の業務改善や業務効率化に繋がります。
定期的な応対品質の測定により、オペレーターの質を均一化でき、応答速度や提供情報の明確性が向上します。これにより、業務効率化も改善されます。
また、応対品質を測定することで、コンタクトセンターの課題やオペレーター個々の改善点が明確になります。課題を正確に把握し、解消に努めることで、理想的なコンタクトセンターに近づけるのです。
3-4.優良顧客を増やすことができる
応対品質の向上によって「優良顧客」を増やすことができます。
優良顧客とは、企業にとって「ロイヤルカスタマー」であり、頻繁に利用し、高額な購入をする顧客です。
質の良い応対を受けた顧客は、企業への評価が高まり、優良顧客になる可能性が高まります。また、口コミによって家族や友人に製品やサービスを勧めてくれるケースも期待できます。
このように、応対品質の向上は、コンタクトセンターを円滑に運営するために不可欠な要素であると言えるでしょう。
4.応対品質の評価方法
自社のコンタクトセンター(コールセンター)の応対品質を把握するためには、評価を行う必要があります。応対品質の主な評価方法として、以下の4つがあります。
4-1.モニタリング
「モニタリング」は、オペレーターの電話対応をチェックし、スキルやマナーを評価する方法です。
モニタリングは自社のスタッフによる評価と、応対品質チェックの代行業者への依頼の2通りがあり、定期的に実施することで、オペレーター個々の応対品質を把握できます。
モニタリングの方法は、以下の2つがありますので紹介します。
・リアルタイムモニタリング |
リアルタイムモニタリング
「リアルタイムモニタリング」は、オペレーターが顧客対応を行っている様子をリアルタイムでチェックする方法です。
この方法の特徴は、オペレーターの表情や問い合わせ内容の検索方法など、現場ならではの情報を把握できる点です。
リアルタイムモニタリングは以下の状況に適しています。
・オペレーターの対応を細かく評価したい場合 |
リアルモニタリング | |
メリット | ・現場でリアルタイム評価ができ、表情や対応方法を細かくチェックできる |
デメリット | ・1つの通話に集中する必要があり、多くの評価項目を同時にチェックするのが難しい |
利用をおすすめするケース | ・オペレーターの対応を細かく評価したい場合 |
録音によるモニタリング
録音によるモニタリングは、オペレーターの対応を録音した音声データをもとに応対品質を評価する方法です。
コンタクトセンターに電話をすると「この通話は応対品質向上のために録音しております」といったガイダンスが流れることがありますが、これはオペレーターと顧客の会話を録音し、評価するためのものです。
評価者は録音をすることでオペレーターの対応を聞き直すことができ、癖や通話品質を細かく評価できるところが特徴です。
録音によるモニタリングは、以下の状況に適しています。
・初めてモニタリング評価を行う場合 |
録音によるモニタリング | |
メリット | ・録音を何度でも聞き直せるため、オペレーターの癖や通話品質を詳細に評価可能 |
デメリット | ・リアルタイムモニタリングと異なり、表情や通話前後の様子を把握することができない |
利用をおすすめするケース | ・初めてモニタリング評価を行う場合 |
4-2.ミステリーコール
「ミステリーコール」とは、依頼を受けた第三者が顧客のふりをしてオペレーターの応対品質を評価する方法です。百貨店や飲食店での覆面調査員と同様に、コンタクトセンターで行われる調査です。
ミステリーコールは、事前に設定した顧客シナリオや評価基準に基づき、調査業者がコンタクトセンターに電話をかけて評価します。
ミステリーコールは、以下の状況に適しています。
・顧客目線で応対品質を評価したい場合 |
ミステリーコール | ||
メリット | ・顧客の視点から評価ができるため、不満点を見つけやすい | |
デメリット | ・業者への依頼が必要なため、他の評価方法よりもコストがかかる | |
利用をおすすめするケース | ・顧客目線で応対品質を評価したい場合 |
4-3.アンケートサービスを利用する
「アンケートサービス」とは、オペレーターとの電話が終わった後に、顧客にアンケート回答を依頼する方法です。
主な方法は以下の通りです。
・後日、顧客にアンケートのための電話をかける |
これにより、顧客が実際に受けた印象に基づいて評価することが可能です。アンケート結果により、コンタクトセンターの応対品質向上の方針と顧客満足のギャップを確認できます。
例えば、「業務遂行力」の向上を目指していたが、アンケートで顧客が「共感力」を求めていたことが判明した場合、方針の見直しが必要です。
アンケートサービスは以下の状況に適しています。
・他の評価結果と併せて顧客のリアルな声を把握したい場合 |
アンケートサービス | ||
メリット | ・顧客のリアルな声が把握でき、印章評価が可能 | |
デメリット | ・オペレーター個々の応対品質を評価しにくい | |
利用をおすすめするケース | ・他の評価結果と併せて顧客のリアルな声を把握したい場合 |
4-4.音声認識技術により自動評価
ここまで紹介した評価方法はいずれも労力と時間がかかります。そのため、迅速にコンタクトセンターの応対品質を把握することは難しいのが現状です。
そこで最近では、「音声認識技術を用いたサービス」を導入することで、応対品質評価の一部自動化するケースが出てきています。
音声認識技術を導入すると、以下の機能が実現します。
①オペレーターの自動評価
オペレーターの応対品質を自動評価し、改善点を洗い出します。過去の成績やデータを統合することで、オペレーター個々の応対品質をまとめて管理できます。
②リアルタイムでのオペレーターの応対品質管理
オペレーターが「必須トーク」を話しているか、NGワードを使用していないかをリアルタイムで管理します。問題が発生した場合、管理者にアラーム通知が届き、即座に改善指示を出すことが可能です。
音声認識技術を導入することでコストや時間を節約し、オペレーターの応対品質評価を迅速におこなうことができます。その結果、以下のようなメリットがあります。
・応対品質低下の要因を迅速に特定し対応できる |
トランスコスモスでは、音声認識ソリューション「transpeech」を提供しています。
transpeechでは毎回、以下の機能で案内漏れや誤案内を防止します。
・コールリーズン毎に、必須の案内事項をセット |
transpeechの導入を検討したい方や、コンタクトセンターの運用について課題を感じている方は、お気軽にお問い合わせください。
5.モニタリングによる応対品質の評価から改善までの5ステップ
応対品質の向上が重要であることは理解できましたが、実際にどのように評価し改善すればよいのでしょうか。以下の5段階の手順が一般的です。ここでは「モニタリング」を用いた評価手順をご紹介します。
評価方法については、「4.応対品質の評価方法」で詳しく説明していますので、そちらを参照してください。では、各ステップについて説明していきましょう。
5-1.応対品質を評価するチェック項目を決める
まずは、「どのような基準で応対品質を評価するか」を決定します。
チェック項目は最大でも30項目程度に絞り、20項目程度に目安にすることが推奨されます。
チェック項目はコンタクトセンター(コールセンター)の目標に基づき、現時点での応対品質を把握できるようにしましょう。
ちなみにこのチェック項目については、「6.応対品質の品質基準チェック項目5つ」で詳しく解説しますので、そちらも参照してください。
5-2.評価基準を明確にし、認識を合わせる
応対品質を評価するチェック項目が決まったら、評価基準を明確にし、評価者同士で基準を合わせるための「カリブレーション」を実施します。
カリブレーションを行うことで、複数の評価者がモニタリングを行っても、評価に主観やブレのない適切な評価が可能となります。
設定する評価基準としては、5段階評価と加重評価があります。
5段階評価
5段階評価は、達成度に応じて5段階で評価する方法です。
1つの質問に対して1から5のスケールで評価していきます。
すべての質問を5段階で評価していき、合計点数が高いオペレーターは応対品質が高いと評価されたことになります。
しかし、この方法だと3.どちらともいえない を選びやすくなりがちです。3.どちらともいえないが多くなると評価のメリハリがつきにくく、オペレーターとしても改善が必要なのかがわかりにくいので、できるだけ3以外で評価をつけるようにしましょう。
また、評価項目が多い場合、「N/A (ノーアンサー:判定不能)」が生じることもあります。クロージングトークの前に顧客から切電されクロージングに関わる項目が評価できない場合などです。
その場合は評価できた項目のうちどのくらいの点数が付いたかで評価するなど事前に取り決めておくことも必要です。
加重評価
加重評価は、各質問に点数を割り振り、合計が100点になるように評価する方法です。
例えば、以下はルールとマナーのチェック項目全体で100点にする場合です。重要度に応じて自由に点数の割り振りができます。
調査項目 | 加重評価点数 | 実際の評価点数 | |
言葉遣い | 顧客に不快感を与えない言葉遣いができる | 30点 | 20点 |
敬語・尊敬語 | 敬語や尊敬語の使い方を間違えていない | 20点 | 15点 |
ルールの厳守 | コンタクトセンターのルールを守っている | 25点 | 15点 |
コンプライアンスの厳守 | コンタクトセンターのコンプライアンスを守っている | 25点 | 17点 |
5-3.モニタリングを実施する
ここまで準備ができたところで、モニタリングを実施します。
モニタリングはスーパーバイザー(SV)・コンタクトセンターの品質管理担当者・外部の業者が担当する場合が多いので、実施日時や評価担当を明確にして進めていきます。
具体的な方法は、「4-1.モニタリング」で説明していますので、それを参考にしてください。
5-4.モニタリングの結果から問題点を洗い出す
モニタリングが終了したら結果を集計し、以下の3つの視点で問題点を洗い出します。
最も評価が高かった質問と評価が低かった質問をチェック
評価が高い質問と評価の低い質問を比較し、問題がない点と課題を把握します。
応対品質全体のレベルを把握
オペレーター個人の評価だけでなく、コンタクトセンター全体の平均値を算出し、応対品質が目標レベルに達しているか確認します。
個人差のある項目をチェックする
平均値が問題ない場合でも、個人差が大きい項目はオペレーターによって応対品質に差が生まれる可能性があります。
どのような項目で差ができているのか把握し、改善策を考えるようにしましょう。
5-5.応対品質の改善をする
課題や問題点が明確になったら、応対品質の向上に取り組みます。モニタリングの結果をオペレーターと共有し、良かった点や改善が必要な点を話し合います。改善に取り組む際は、期限を決めて現状の改善に取り組むことが重要です。
「5-2.評価基準を明確にし、認識を合わせる」で行ったカリブレーションはモニタリング後の改善方法やどこをポイントに改善を行っていくかの認識合わせでも必要となります。
このように応対品質を評価することで、具体的な良い点や課題が見えてきます。まずは正しく評価することが応対品質向上の第一歩です。
6.応対品質を改善する5つの方法
ここまで、応対品質をどのように調べるのかを説明してきました。
では、応対品質のレベルを把握し、課題が明確になったら、どのように改善すれば良いのでしょうか?一例ですが具体的な改善方法としては、以下の5つです。
・MVVを策定・徹底する |
それぞれ詳しく説明しましょう。
6-1.MVVを策定・徹底する
応対品質の根本的な改善には、「MVV(Mission・Vision・Value)」が重要です。
コンタクトセンター(コールセンター)の目指すべき姿を明確にし、全メンバーが共通の目標を持つことで、認識の齟齬を防ぎます。
MVVについて詳しく知りたい方は、別記事を参照してください。
トランスコスモスが トランスコスモスでは、コンタクトセンターの事業所MVVの策定から運用までをサポートしています。 応対品質や生産性の向上など、コンタクトセンター運用の課題改善はもちろん、CXの創出やプロフィット化などコンタクトセンターの戦略的な活用も視野に入れ、企業価値向上に貢献します。 MVVの策定だけでなく、事業所全体に目指すべき姿を浸透させたコンタクトセンター運営をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。 |
6-2.応対品質に関わるKPIを設定し、達成を目指す
MVVを策定したら、それを実現するためのKPIを設定しましょう。
コンタクトセンター(コールセンター)の応対品質に関わるKPIは、主に以下のようなものがあります。
・モニタリングスコア: |
KPIを設定することで、応対品質の変化や課題を客観的に把握することができ、それを目標として応対品質の向上を目指せるようになります。
コンタクトセンターのKPIに関しては、別記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらも読んでみてください。
6-3.トークスクリプトの作成・見直しをする
「トークスクリプト」は顧客対応の具体的なシナリオです。
適切なトークスクリプトを作成し、随時見直すことで応対品質が向上します。
高い応対品質を実現するためには、想定される顧客からの質問とそれに対する対応を漏れなく考慮することが重要です。
トークスクリプトは、一般的には以下のような手順で作成します。
1)製品・サービスの特長をまとめる |
トークスクリプトの作成については以下の記事で詳しく解説しています。
6-4.ナレッジを見直し・改善する
「ナレッジ」とは、業務に必要な知識や情報のことを指します。オペレーターの良い対応例や顧客ニーズを共有することで、全体の業務レベルが向上します。
ナレッジとその共有方法については、別記事に詳しく説明しています。
6-5.トレーニングや研修を充実させる
最後に、オペレーター向けのトレーニングや研修を定期的に実施することが重要です。
特にスコアが低いオペレーターに対しては、その改善に特化した研修(「敬語の使い方講座」「高齢者向けの説明のしかたレッスン」など)を実施するとよいでしょう。
定期的なトレーニングを実施することで、オペレーターのスキルを更新し、応対品質を向上させることができます。
7.応対品質を向上させるための3つのポイント
最後に、応対品質を向上させるためのポイントとして、以下の3つを紹介します。
・応対品質が向上する環境を整える |
応対品質を向上させるためには具体的にどのようなことを実施したらよいのか、詳しく解説します。
7-1.応対品質が向上する環境を整える
応対品質の向上はオペレーター任せではなく、コンタクトセンター全体で取り組むべきです。次のような仕組みを整えましょう。
・IVR(自動音声応答システム)を導入する |
目標や課題を設定し、スタッフ全員が共通の認識をもち、応対品質の向上に取り組める環境を作ることが重要です。
7-2.応対品質の評価は定期的に実施する
応対品質の評価は一度きりではなく、3か月~4か月ごとに定期的に実践することが大切です。このサイクルを繰り返すことで、常に新たな課題を洗い出し、改善を続けることができます。
調査 | 対応品質の評価を実施して、現状を把握する |
課題 | 応対品質の評価結果をもとに、課題を見つける |
準備 | 課題を共有し、改善できるように準備をする |
実践 | 課題を改善できるようにオペレーターが実践する |
このプロセスを繰り返すことで、効果的な応対品質の向上が見込めます。
7-3.オペレーターの評価や問題点のフィードバックは即実行する
評価後は、できるだけ早くオペレーターにフィードバックを行いましょう。
特に個々の課題は、オペレーターが覚えているうちに伝えることが重要です。また、高評価を受けたポイントも伝えることで、オペレーターのモチベーション向上にも繋がります。
オペレーターの心構えや姿勢が変わることで、応対品質にも良い影響が出ます。全体評価と個人評価の両方でフィードバックを行うことが効果的です。
まとめ
いかがでしたか?
この記事では、応対品質の理解を深め、自社のコンタクトセンター(コールセンター)での応対品質向上に向けた道筋を示しました。
最後に内容をまとめます。
◎応対品質とは
コンタクトセンターのオペレーターの応対に対する顧客の満足度を示す指標のこと
◎応対品質の向上が必要な理由は次の4つ
1)苦情や顧客満足度低下などのリスクを避けられる |
◎応対品質の主な評価方法
◎応対品質を向上させるポイントは次の3つ
1)IVRの導入や目標設定など応対品質が向上する仕組みや環境を整える |
この記事が、応対品質の向上と顧客満足度が高いコンタクトセンター運営に役立つことを願っています。