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ナレッジマネジメントとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説

ナレッジマネジメントとは、社員が持つ知識や経験を企業内で共有して活かす経営手法のことです。

たとえば、優秀なオペレーターが持っている「セールストークのコツ」をほかのオペレーターにも共有することで、ほかのオペレーターも成功のコツを実践でき、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。全体の成功率を向上させる、というのがナレッジマネジメントです。

ただしナレッジマネジメントは、導入すればすべてのコンタクトセンターが改善されるわけではありません。

状況によってはナレッジマネジメントの導入が合わない可能性があり、せっかく時間やコストをかけて導入したのに全く機能しない危険性があります。

そこでこの記事では、自社にナレッジマネジメントを導入するべきか判断できるよう、ナレッジマネジメントの基礎知識だけでなく、以下の内容を解説します。

・ナレッジマネジメントの導入メリット・デメリット
・ナレッジマネジメントの導入に向いている企業

また本記事の内容は以下のとおりです。

この記事でわかること

・ナレッジマネジメントとは
・ナレッジマネジメントの基本プロセス
・ナレッジマネジメントの4つの種類
・ナレッジマネジメントの導入メリット4つ
・ナレッジマネジメントの導入デメリット3つ
・ナレッジマネジメントの導入に向いている企業
・企業のナレッジマネジメント活用事例
・ナレッジマネジメントを成功させるポイント
・ナレッジマネジメントの導入4ステップ
・ナレッジマネジメントツールの紹介

この記事を読めばナレッジマネジメントの基礎知識や、自社への導入判断ができるだけでなく、ナレッジマネジメントを導入して成果を出すためのポイントや導入ステップがわかります。

目次

1.ナレッジマネジメントとは

まずは「ナレッジマネジメント」の基礎知識について解説します。

1-1.ナレッジマネジメントとは、社員が持つ知識や経験を企業内で共有して活かす経営手法のこと

ナレッジマネジメントとは、個人が持っている「経験知識・ノウハウ」などを、企業内で共有し、社内の資産に変えて、新たな技術革新の促進や全体的な生産性の向上を目指すための経営手法のことです。

たとえば、営業・コンタクトセンター(コールセンター)が行うナレッジマネジメント活用を例に考えてみましょう。

▼営業におけるナレッジマネジメント活用例

【パターン1】
課題:営業担当によって成績に差がある
対策:
①商談が成立した案件に関して、「どういう顧客ニーズに対して、どんな提案をすることで、顧客が購入を決めたのか」を共有する
②営業は、共有されている商談成功ケースの中から、これから行う商談に類似しているケースを見つけて参考にし、顧客へアプローチをかける
効果:「商談の勝ちパターン」が共有され続けるので、自社の営業力30%向上

【パターン2】
課題:顧客・オペレーターが情報を検索する為のツールが欠如
対策:ナレッジマネジメントツールの導入
効果:①EBサイト閲覧数が12%上昇
   ②オペレーターの生産性が60%増加

このようにナレッジマネジメントは、個人が持つ経験知識やノウハウを、ほかの社員も利用できるようにすることで、企業の生産性を向上させたり、新しい商品を生み出したりすることができるのです。

1-2.ナレッジマネジメントが注目される理由・背景

ナレッジマネジメントが注目される主な理由は「人材の持つ『経験知識やノウハウ』の重要性が増したから」です。

終身雇用制度が採用されている時代では、多くの社員が新卒で入社した会社に定年退職まで勤めるというのが一般的でした。そのため、ベテランが積み重ねてきた経験知識やノウハウを、それぞれの職場でゆっくりと時間をかけて次世代に自然継承していました。

しかし終身雇用制度の事実上の崩壊によって、中途採用が活発化し、人材の流動化が生じたため、ベテランの経験知識やノウハウが流出してしまい、自然継承にまかせているだけでは企業全体の知の総量を維持するのが難しくなってしまったのです。

そこで人材の持つ経験知識やノウハウは自社に資産として保持し、活用することが重要であると考えられるようになり、ナレッジマネジメントが注目されるようになったのです。

1-3.ナレッジマネジメントの仕組み

ナレッジマネジメントの仕組み

ナレッジマネジメントは、「暗黙知」を「形式知」に変えるというシンプルな仕組みになっています。

暗黙知

個人に蓄積された知識やノウハウ、長年の勘といわれるものが暗黙知です。

暗黙知は個人の過去の経験から成り立つ主観的な知識や、言語化されていない(もしくはできない)知識です。

例:同じ業務に取り組む人が多い部署で「より効率良くすすめる方法」を自分なりに確立している人がいる場合、その人は暗黙知を持っているといえます。

また熟練職人が、長年の経験で培った技術も暗黙知です。

形式知

知識や経験をマニュアルなどで他者に共有できる状態にしたものを形式知といいます。

形式知は主観的な知識を、文章や図表などで言語化・見える化し、客観性のある有益な知識として共有されます。

例:社内のある社員が持っていた「業務Aを効率良くすすめる方法」を、言葉や文章、図表などにしてデータ化し、社内の人なら誰でも閲覧できるようにすること。

企業は、社員個人が持つ「暗黙知」を形式知化し、ほかの社員にも活用できるようにすることで、より効果的な業務遂行を推進できるようになるのです。

2.ナレッジマネジメントの基本プロセス

ナレッジマネジメントは以下の「SECI(セキ)モデル」という、フレームワークを活用して進めます。

SECI(セキ)モデル

「SECI(セキ)モデル」とは、暗黙知を形式知化し、新たな発見を創出するための、4つのプロセスから成るフレームワークです。一橋大学大学院教授の野中郁次郎氏らが提唱し、ナレッジマネジメントにおける基礎理論として用いられています。

「SECI(セキ)モデル」の4つのプロセスがうまく機能すれば、企業活動において個人の持つ属人的な暗黙知をほかの社員に理解できる形で共有でき、社員全体のスキルアップや新商品・サービスの開発などを促すことが可能です。

2章では、フレームワーク「SECI(セキ)モデル」の基本的な4つのプロセスについて解説します。

2-1.共同化

1つめのプロセスは「共同化」です。

共同化とは、暗黙知を持つ個人が他人に同じ体験をさせることで、暗黙知を他人に移転させます。

たとえば、ベテラン社員や職人の仕事を見て覚える、一緒にやってみる、などが共同化といえます。

暗黙知を受け取った他人がその身体的感覚や五感などを正しく言語化するために、まずは個人が持つ暗黙知を、他人が同じように体験する必要があるのです。

2-2.表出化

2つめのプロセスは「表出化」です。

表出化とは、共同化によって得た暗黙知を、形式知へと変換するプロセスです。

業務のマニュアル化はこのプロセスにあたります。

ベテラン社員や職人など、暗黙知を持った人から学んだ知識や技術を、言葉や図表を使って見える化し、誰が見ても理解できるようにまとめます。個人から個人へ共同化したプロセスとは異なり、より多くの人に共有が可能です。

2-3.連結化

3つめのプロセスは「連結化」です。

連結化とは、表出化した形式知と別の形式知を連結し、新たな知を創出します。

たとえば、自分の仕事に他人の知識やノウハウを取り入れることで、新たな方法で業務を効率化したり、新たなアイデアを発見するなどは、連結化といえます。

2-4.内面化

4つめのプロセスは「内面化」です。

内面化とは、連結化して生まれた新たな形式知を個人が取り入れることで、再び暗黙知を形成していくプロセスです。形式知を実践するうちに、コツや勘を掴んだり、自分なりのアレンジを加えたりすることで、個人の中で暗黙知へと変化していきます。

たとえば、新しく導入したソフトウェアの操作を繰り返し行うことで、毎回マニュアルを見なくても素早く操作できるようになり、さらには個人なりの効果的な使い方や効率化する方法(暗黙知)が生まれます。

このように、暗黙知は形式知となり、再び個人の中で暗黙知となるため、共同化〜内面化までの4つのプロセスを常に繰り返すことで、個人の知識や技術がスキルアップします。そしてその結果、組織全体の知識や技術が知識資産となって蓄積されていくのです。

3.ナレッジマネジメントの3つの種類

営業やコンタクトセンターで活用できるナレッジマネジメントには大きく3つの種類があり、活用目的と活用手段から分類することができます。

1つずつ詳しく見ていきましょう。

3-1.ベストプラクティス共有型

1つめは「ベストプラクティス共有型」です。

「ベストプラクティス共有型」とは、組織の中でトップクラスの優秀な社員が持っている経験知識や行動、思考を形式知化し、共有することで、組織全体のスキルの底上げをするというものです。

たとえば、優秀なオペレーターが持っている「セールストークのコツ」をほかのオペレーターにも共有することで、ほかのオペレーターも成功のコツを実践でき、コンタクトセンター全体の成功率を向上させるというものがあります。

したがって、暗黙知となっている優秀な社員の行動原理を形式知化するという試みがベストプラクティス共有型なのです。

3-2.専門知識型

2つめは「専門知識型」です。

「専門知識型」とは、組織内で質問されることの多い事項をデータベース化して、すぐに検索・閲覧できるようにするというものです。

たとえば企業内の情報システム部は、社員が使用している社内システムやPCについての問い合わせが頻繁に発生します。こうした部署では、社内の問い合わせ対応に追われてしまい、本来の業務ができなくなってしまいます。

そこで情報システムに質問されることの多い事項をデータベース化してすぐに検索・閲覧できるようにすることで、情報システム部に対する問い合わせを減らすことが可能です。

専門知識型のナレッジマネジメントは、いわゆるFAQページのようなもので、質問事項への回答をあらかじめ閲覧できるようにしておくことで、質問を受ける担当者の負担を減らし、本来の業務に取り組む時間を確保できるようになるのです。

3-3.顧客知識共有型

3つめは「顧客知識共有型」です。

「顧客知識共有型」とは、顧客からの問い合わせや苦情、それらに対応した方法などをデータベース化して共有することで、最適な対応策を導き出す、というものです。

たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)では「顧客からの質問」「質問の回答」をデータベース化して形式知にしておくことで、オペレーターは同じ対応をすることが可能です。そのため「担当者によって言っていることが違う」といった顧客の不満を避け、常に顧客にとってベストな回答を提供し続けることが可能です。そして顧客満足度の向上ができるようになります。

このようにして顧客知識共有型は、自社戦略知的情報かすのではなく、顧客のために知識使うというナレッジマネジメントなのです

4.ナレッジマネジメントの導入メリット4つ

ナレッジマネジメントの基礎知識を理解したところで、「自社にナレッジマネジメントを導入するべきかどうか」悩む担当者の方もいるのではないでしょうか。

そこで4章はナレッジマネジメントの導入メリット4つをご紹介します。

ナレッジマネジメントの導入メリット4つ

4-1.業務の効率化ができる

1つめのメリットは「業務の効率化ができる」という点です。

ベテラン社員や優秀な社員の業務の進め方やコツなどをナレッジ(知識)として共有すれば、ほかの社員も真似することができ、今よりも業務を効率良く進められるようになります。

たとえば、資料作りの不得意な社員が、ナレッジ共有されている「先輩が作成した資料」を閲覧し、参考にしながら作成すれば、資料作りのコツが理解できたり、作成時間を短縮できたりするため、業務の効率化につながります。

したがって、ナレッジマネジメントを実施すれば、優秀な社員の業務効率化をほかの社員も真似できるようになるので、企業全体として業務効率が向上するのです。

4-2.短期間で社員のスキルアップができる

2つめは「短期間で社員のスキルアップができる」という点です。

というのも、優秀な社員の経験知識や業務のノウハウを形式知として社内で共有すれば、トップ人材の働きを全社員がすぐにコピーできるため、短い期間で多くの社員のスキルを底上げすることが可能です。

たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)で優秀なオペレーターが編み出した「顧客のタイプ別セールストーク」をナレッジマネジメントの実施によって横展開する場合です。コンタクトセンターのオペレーター全員がその勝ちパターンを意識して使うようにすれば、短期間で「セールストーク」が身について応対スキルが向上し、売上を向上させやすくなるでしょう。

こうして優秀な社員のノウハウは、ナレッジマネジメントを実施して積極的に共有することで、多くの社員のスキルを向上させ、企業全体の成果につながるのです。

4-3.顧客対応力を強化できる

3つめのメリットは「顧客対応力を強化できる」という点です。

ナレッジマネジメントを導入して、顧客からの問い合わせや苦情、それらに対応した方法をデータベース化して共有しつづけることで、状況に応じた最適な対応策のナレッジが蓄積されるため、顧客対応力を強化できるのです。

たとえばコンタクトセンター(コールセンター)に顧客から問い合わせがあった際、「問い合わせ内容」「問い合わせに対する対応」をナレッジとして共有しておくことで、同じような問い合わせが入った場合に、ほかのオペレーターが窓口になっても同じような対応をすることができます。

顧客からの問い合わせは状況によってさまざまであるため、ナレッジマネジメントを導入することで、あらゆる状況に対する最適な対応が蓄積され、それに伴って、企業として顧客対応力を強化していくことができるのです。

4-4.業務の属人化を解消できる

4つめは「業務の属人化を防げる」という点です。

ナレッジマネジメントを導入することで、その人がいないと仕事が回らないという属人化した業務の「フロー」や「重要なポイント」などを、マニュアル化して共有することができます。その結果、そのマニュアルさえ見ればほかの人でも業務を行えるようになり、属人化を解消することができるのです、

急な休職・退職者が出たとしても、業務の質を落とすことなくスムーズに引き継ぎができ、業務を続行できるため、業務が属人化してしまっているような場合はナレッジマネジメントを導入することをおすすめします。

5.ナレッジマネジメントの導入の注意点3つ

次にナレッジマネジメントの導入の注意点を3つご紹介します。

ナレッジマネジメントの導入の注意点3つ

5-1.システム導入に時間がかかる

1つめは、「システム導入に時間がかかる」という点です。

ナレッジマネジメントを行うには、ナレッジマネジメントツールの導入が必須ですが、どの製品を導入するか比較検討したり、導入のための環境を整える必要があったりするなど、導入までに時間がかかることも少なくありません。

たとえばナレッジマネジメントツールを導入する際には「どの情報を形式知に変換して共有が必要なのか」を把握する必要があります。そのため、担当者は各部署へのヒアリングや現場の観察を行って、見たり聞いたりした情報から自社のナレッジマネジメントの仕組みを構築します。

このような期間はナレッジマネジメントの導入の際には必要な時間であるため、どうしてもシステムを導入して運用するまでには時間がかかってしまうのです。

「すぐに導入して効果を実感したい」と感じている企業は注意が必要です。

5-2.社員に浸透しない可能性がある

2つめは「社員に浸透しない可能性がある」という点です。

多くの社員は、通常業務で忙しいため、ナレッジの共有に時間を割くメリットを感じられません。
さらに成果主義の企業であれば、成果につながる独自のノウハウを他人と共有したくないと考える可能性もあります。

そのため「ナレッジマネジメントを共有した社員はインセンティブを与える」「評価制度にナレッジ共有の項目を作る」などの仕組みを整えて解決することが重要です。

ナレッジマネジメントは、企業内で工夫をしなければ社員に浸透しないリスクがあるため、導入検討の際には自社にナレッジマネジメントを浸透させるだけの仕組みを作れるのか、をよく考えましょう。

5-3.ナレッジマネジメントの管理や活動を推進する担当者が必要になる

3つめは「ナレッジマネジメントの管理や活動の推進をする担当者が必要になる」という点です。

もしナレッジマネジメントツールの、システム面の理解ができていて、わからないところがあればすぐに対応できる人材がいなければ、ナレッジマネジメントの共有や利用が社員間でスムーズに行われません。

また担当者がツールの使い方だけでなく、

・「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか」といった啓蒙活動
・運用後の社員に対するフォロー
・効果検証の実施

をすることで積極的にナレッジを共有・利用する雰囲気が醸成できたり、より効果のあるナレッジマネジメント運用できるなど、ナレッジマネジメントの利用効果を最大限に発揮できるような環境を作り上げられます。

ナレッジマネジメントの導入・運用・管理・啓蒙を行うには以下のような対応をするとより効果が期待できます。

・「社内向けナレッジマネジメント利用セミナー」を開催して、その必要性や利用方法について伝える
ナレッジマネジメントシステムの利用状況とその効果を分析するなどして、より良いナレッジの共有方法や積極的に利用してもらうための施策を考える

このような、管理や活動を推進する担当者を用意するのが困難な企業は、ナレッジマネジメントの導入の前に体制を構築することが必要です。

6.ナレッジマネジメントの導入に向いている企業

ナレッジマネジメントの導入に向いている企業の特徴は以下の2つです。

ナレッジマネジメントに向いている企業

6-1.テレワークを導入している・導入する予定のある企業

ナレッジマネジメントの導入に向いている企業の特徴1つめは「テレワークを導入している・導入する予定のある企業」です。

なぜならナレッジマネジメントを導入することで、社員が在宅ワーク中にわからないことがあっても共有されたナレッジを見たり、マニュアルを見たりして自己解決できるため、不明点を質問する側・質問される側の両者が作業の手を長時間止めることがなくなり、業務効率化につながるからです。

テレワーク中はほかの社員に気軽に話しかけられないため、自分でわからないことを調べて多くの時間を使ってしまったり、自己流で非効率的な方法で業務を行っていたりすることがあります。

そこでナレッジを誰でも閲覧できる状態で共有しておけば、不明点があっても参照しながら作業を進められ、質問する手間も、質問されて回答する手間もなくなり、業務を効率良く進めることができます。

6-2.業務の属人化が課題になっている企業

2つめは「業務の属人化が課題になっている企業」です。

というのも、特定の人にしかわからない状態になっている業務の進め方や方法、コツをマニュアル化できるので、属人化を解消できるのです。

たとえば、以下の例を考えてみましょう。

【属人化している業務】
K社への受注データの納品方法
スーパーバイザーのAさんが新規立ち上げたコンタクトセンター(コールセンター)で、Aさんがいつも対応しているため、誰もK社への納品方法がわからない

【ナレッジマネジメント後の変化】
ナレッジマネジメントを行ったことで、K社の
納品フロー
納品方法
納品の際にK社の誰に連絡すればいいのか
などがわかり、誰でもK社への商品の納品が可能になった。

このようにナレッジマネジメントを行うことで属人化の解消ができるため、属人化が課題となっている企業は積極的にナレッジマネジメントの導入をおすすめします。

7.企業のナレッジマネジメント活用事例

具体的にナレッジマネジメントの活用イメージが描けるよう、7章では企業のナレッジマネジメント活用事例をご紹介します。

7-1.社員の自己解決力向上より、業務の効率化に成功

トランスコスモスのある顧客企業A様における「専門知識型」のナレッジマネジメント活用事例で、質問の多い事項をデータベース化し、社員の自己解決力を向上させ、業務の効率化を実現した事例です。

トランスコスモスの顧客企業A様は、以下のような課題・要望を持っていました。

Q&A検索ツールの導入がしたい
約2,000件のQ&Aを検索でき、GoogleやYAHOO!知恵袋のようにキーワードを単語入力すると、キーワードに紐付いたQ&Aが抽出されるツールが利用したい
オペレーターが検索して回答を表示させるような仕組みが欲しい

そこで弊社がご提案したのは、社内のナレッジ(知識)をデータベース化し、さらに社内ヘルプデスクがメールやチャットでお問い合わせ対応や案件管理までをワンストップで実現するクラウド型のサポートソリューションでした。

実際に導入すると、誰でも直感的に不明点を検索できるため、社員が効率良く不明点を解決できるようになりました。

また、社内ヘルプデスクがQ&Aに存在しない問い合わせを受けた際には、データベースに問い合わせ内容とその回答を追加することで、社内ナレッジが蓄積し、社員の自己解決力が向上しました。

7-2.社員の自己解決力向上より、業務の効率化に成功

EC事業企業B様における「顧客知識共有型」のナレッジマネジメント活用事例で、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターが求めている情報をデータベース化し、管理者へエスカレーションすることなく応対を完結させ、生産性を向上させた事例です。

EC事業企業B様は、以下のような課題・要望を持っていました。

顧客やオペレーターにとって正しい情報を検索、見つける為のツールが欠如している

そこでナレッジマネジメントシステムを導入後、以下のような効果が出ました。

・WEBサイト閲覧者数(セッション数)が10%上昇
・オペレーターの生産性が60%増加
・CSAT(顧客満足度スコア)が20%上昇

このようにナレッジマネジメントを導入することによって、社内の暗黙知を形式知化することができ、わからないことはすぐに検索して、社員が効率良く業務を進められるようになるのです。

8.ナレッジマネジメントを成功させるポイントは、目的・ビジョンを浸透させること

ナレッジマネジメントを成功させるポイント

ナレッジマネジメントを成功させるポイントは、「ナレッジマネジメントの目的・ビジョンを浸透させる」ことです。

なぜなら、目的やビジョンを伝えて、その重要性に共感してもらい、社員のナレッジ共有につなげる必要があるからです。

自分自身の「知識や経験」の形式知化に時間を割いたり、全体共有するメリットを感じなければナレッジの蓄積が進みません。またそれに伴って、活用できるナレッジも少ないため、ナレッジマネジメントの効果を全く発揮できなくなってしまいます。

このような「ナレッジマネジメントの失敗」を避け、成功させるためには、「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか」「行うことでどんなメリットがあるのか」を社員に伝え浸透させることで、積極的なナレッジ共有を促す必要があるのです。

そのために、具体的にはナレッジマネジメントの推進者は、

ナレッジマネジメントに関する社内セミナーを開催
ナレッジ共有会を運営
社内広報でナレッジマネジメントの活用効果を解説

などを行い、ナレッジマネジメントの重要性を理解してもらうように働きかけを行うようにすると良いでしょう。

9.ナレッジマネジメントの導入5ステップ

レッジマネジメントの導入を検討する場合、その導入ステップを知っておくとスムーズに自社に取り入れることができます。

そこで9章では「ナレッジマネジメントの導入ステップ」を解説します。

ナレッジマネジメントの導入5ステップ

9-1.【ステップ①】ナレッジマネジメントの推進者を決める

ステップ①は「ナレッジマネジメントの推進者を決める」です。

先にもお伝えしたとおり、ナレッジマネジメントの推進者がいることで、以下のようにナレッジマネジメントの効果を最大限発揮できるようになるのです。

ナレッジマネジメントの
推進者ができること

の効果

社員の不明点に対してすぐに対応できる

ナレッジマネジメントの共有や利用が社員間でスムーズに行われるようになる

「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか」といった啓蒙活動ができる

積極的にナレッジを共有・利用する雰囲気が醸成できる

運用後の社員に対するフォロー

効果検証の実施

PDCAを回してより効果のあるナレッジマネジメント運用できる

一方で、推進者を決めなければ、現場業務が優先され、後回しになってしまう可能性があります。

現場に任せておけば、勝手にナレッジがたまっていく、というわけではないのです。

推進者を決める際には、以下を参考にするとナレッジマネジメントが成功しやすくなります。

・リーダーシップを発揮して周囲を動かせる影響力のある人が全体統括を担い、各事業部に責任者を設定する
ナレッジマネジメント推進リーダーとして、新たに人材を採用する
(過去にナレッジマネジメントを行っていた人材が望ましいが、採用が難しい場合は「社内関係者との各種調整、対応段取りの経験がある」「プロジェクトマネージャーの経験がある」といった人物の採用がおすすめ)

9-2.【ステップ②】ナレッジマネジメントの目的を設定する

ステップ②は「ナレッジマネジメントの目的を設定する」です。

ただ単に「社内でノウハウを共有する」といったあいまいな目的では、社員の意識は上がらず、積極的なナレッジの共有や利用につながりません。

そこでしっかり目的設定をすることで社員の意識が高まり、ナレッジマネジメントのスムーズな運用が可能になります。

たとえば以下のように、目的とそのメリットを設定し社内に共有することで、ナレッジマネジメントの重要性が理解でき、社員の意識が高まります。そして、積極的なナレッジの共有や利用につながります。

【ナレッジマネジメントを行う目的】
リモートワーク下における業務の効率化
リモートワーク化において、社員同士直接コミュニケーションが取れないことから、業務に関する疑問点をほかの社員に問い合わせる手間、問い合わせを受けた社員は質問に対応する手間が発生している。
そこでナレッジマネジメントを導入することで、業務社員間の「質問する手間」「回答する手間」をなくし、その分業務に集中して取り組める環境づくりを推進する。

「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか、どんなメリットがあるのか」を明確にするようにしましょう。

9-3.【ステップ③】可視化し、共有する情報を明確にする

ステップ③は「可視化し共有する情報を明確にする」です。

ナレッジマネジメントでは、何でもナレッジを共有すればいいというものではありません。

ナレッジマネジメントを行う目的に応じて「可視化・共有化する必要のある情報」を蓄積していかなければ、ナレッジマネジメントの効果が出ない可能性が高まるからです。

そのため「どんな情報を可視化し、共有することで目的が達成されるのか」を明確にする必要があるのです。

可視化・共有化する情報は、現場目線で検討することで、社員にとって活用価値のある情報を蓄積できるため、必ず現場でのヒアリングを行います。

「どんな課題があるのか」
「あったらいいなと思う情報はなにか」

など、社員にとって欲しい情報が何かをヒアリングすると良いでしょう。

そして、以下を参考にしながらどのようにして可視化するのかを検討しましょう。

▼可視化する方法例
データベース化して検索できるようにする
・FAQ形式にする
イントラなどのグループウェアにする

9-4.【ステップ④】業務に取り入れるための仕組みをつくる

ステップ④は「業務に取り入れるための仕組みをつくる」です。

現場の状況を把握して、可視化・共有する情報を策定し終えたら、実際にどのようにナレッジマネジメントを取り入れるのかを検討していきます。

業務に取り入れる仕組みを作らなければ、「ナレッジマネジメントを導入して終わり」といった状況になりかねず、せっかくシステム投資をしても無駄になってしまう可能性があります。

たとえば、以下のように仕組みづくりを行うことで、業務の中でナレッジマネジメントを仕組み化でき、実際の運用につなげることができるでしょう。

【可視化し、共有すると決めた情報】
人事に関する各種申請方法の変更
経理の発注ルールの更新

【業務に取り入れるための仕組み】
社内のイントラに集約する
質問に対して都度回答する方法を廃止する(イントラを見れば自己解決できるようにする)

9-5.【ステップ⑤】仕組みの効果検証を行い、PDCAを回す

ステップ⑤は「仕組みの効果検証を行い、PDCAを回す」ということです。

ナレッジマネジメントでは、社員がナレッジを共有・活用しやすい環境を作らなければ、「ただ導入されただけ」になり、導入の意味がありません。そのため、うまく情報が共有されていなかったり、活用されていない場合には改善し、「価値のあるナレッジマネジメントの運用」を行う必要があるのです。

実際にナレッジマネジメントの運用が始まったら、ログを集計し、解析を行うようにしましょう。

そしてナレッジの共有・活用がうまくいっていない場合は「原因」を追求し、「改善」をしていきます。

前述の以下の例であれば、イントラの利用率を確認し、「利用率の低い部署にはアナウンスをする」といった改善を行うことができます。

【可視化し、共有すると決めた情報】
人事に関する各種申請方法の変更
経理の発注ルールの更新

【業務に取り入れるための仕組み】
社内のイントラに集約する
質問に対して都度回答する方法を廃止する(イントラを見れば自己解決できるようにする)

このようにして、定期的に効果検証を行い、効果の高いナレッジマネジメント運用ができるようにしましょう。

10.ナレッジマネジメントツールの種類4つ

ナレッジマネジメントを行う上で、専用ツールの導入をおすすめします。

なぜならツールを導入することで、多くのステップを踏まなくてもナレッジを共有できたり、ナレッジを検索しやすくなったり、Excelやスプレッドシートを利用した方法よりもナレッジマネジメントの運用を効率化できます。

ただし、ナレッジマネジメントツールにはそれぞれ得意分野が異なるため、以下の中から自社の目的に合う種類のツールを選択するようにしましょう。

ツール

説明

データマイニングツール型

文章(テキスト)を単語やフレーズに分解して、社内に蓄積されているデータとして瞬時に検索を行えるツール。

グループウェア型

メッセージやチャットを使ったコミュニケーションや、ファイル共有、スケジュール管理などができるツール。

ヘルプデスク型

ある業務や製品について、FAQや社内Wikiを作成して情報共有するタイプ。BtoCのWebサイトに設置されている「よくある質問」をベースに設計されている。

知的情報検索型

散在したデータやファイルをさまざまな方法で検索し抽出するという、強力な検索機能をもって情報を集約するツール。

10-1.データマイニングツール型

データマイニングツール型は、AI技術を用いて、企業が収集する大量のデータを分析し、有用なパターンやルールを発見して経営に活かすための形式知を作り出すツールです。

データマイニングツールを利用することで蓄積された情報をAIが分析し、たとえばこれまでの営業の顧客との打ち合わせや商談の議事録から、成功パターンを見つけ出して形式知化できるなど、営業戦略や経営判断といった高度な分析や知見が必要になる場面で活用できます。

10-2.グループウェア型

グループウェア型は、ファイルや社員同士のメール、スケジュール、チャット、社員のブログなどでナレッジの共有を図るツールです。

本来、朝礼やミーティング、個別のコミュニケーションなどで伝達していたナレッジを、グループウェアツールの導入によって、業務に携わるすべての社員に共有することで、業務に関する専門知識や情報が多くの社員に理解されるようになり、社員一人ひとりのスキルアップを見込めます。

たとえば、グループウェア型のツールには、以下のような機能が含まれています。
・電子メール
・掲示板
・チャット
・情報ファイルや画像などのライブラリ
・ファイル共有
・電子決済を行えるワークフロー
・スケジュール管理

10-3.ヘルプデスク型

ヘルプデスク型は、社員からのよくある質問をQ&Aとして蓄積し、いつでも閲覧可能な状態にしておくことで、社員の自己解決を促すツールです。

ヘルプデスク型を導入することで、社員が社内のヘルプデスクや、情報システム部門、総務部などに疑問点を確認した内容を、回答とあわせてナレッジとして蓄積していけるため、社員は社内のシステムや規則などの疑問点を自己解決できるようになります。

その結果、社内に関する専門知識を持つ社員への問い合わせが減り、問い合わせに回答する負担を軽減させることができます。

10-4.知的情報検索型

検索特化型は、散在したデータやファイルをデータベースとして蓄積し、さまざまな方法で検索し抽出するという、強力な検索機能をもって情報を集約するツールです。

社内でのありとあらゆるナレッジをデータベースとして蓄積でき、そのうえ検索しやすいため、社員は利用価値の高いナレッジを効率良く手に入れることができます。

たとえば、
・社内で情報を共有するイントラネット
・企業内検索エンジンと呼ばれているエンタープライズサーチ
などが知的情報検索型ナレッジマネジメントに当てはまります。

11.ナレッジマネジメントツールの導入はトランスコスモスにお任せください

ナレッジマネジメントツールの導入をお考えの際には、トランスコスモスにご相談ください。

トランスコスモスでは「SEO対策FAQマネジメントサービス」をご提供しており、「社員からのよくある質問をFAQとして蓄積し、いつでも閲覧可能な状態にしておくナレッジマネジメント」を行ううえで、社員の自己解決力を最大限に引き上げることができます。

具体的には「SEO対策FAQマネジメントサービス」には、以下のような特徴があります。

・ツール利用のための研修を行わなくても、FAQの作成や編集、カテゴリー作成、表示順位変更などが直感的に行える
サイト内検索機能が高く、キーワード検索だけでなく、自然文での検索もできる
表示されているFAQに関連するFAQを任意に設定できる
顧客からの問い合わせとWebサイトにすでに掲載されているFAQを分析し、必要なFAQを選定、コンテンツライターが読みやすい内容にしてFAQを作成することも可能

上記の特徴を持った「SEO対策FAQマネジメントサービス」サービスをご利用いただくことで、

新商品に関する疑問や、新人が抱える不明点などは自己解決できるようになり、研修工数やコストの削減ができる
社員は疑問点については自己解決できるようになるので、社内ヘルプデスクや問い合わせ先部署の問い合わせ対応負担の軽減ができる
・よくある質問がFAQ化され、高い検索性でわかりやすいFAQをいつでも見られるため、顧客対応の際にも役立てられ、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターの対応品質が向上する

など、これらの実現が可能になります。

このように、トランスコスモスの「SEO対策FAQマネジメントサービス」を利用することで、ナレッジマネジメントの運用がスムーズになります。ぜひ一度ご検討ください。

 

まとめ

この記事ではナレッジマネジメントの基礎知識やメリット・注意点、導入に向いている企業や導入ステップなどを解説しました。

ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。

◆ナレッジマネジメントとは社員が持つ知識や経験を企業内で共有して活かす経営手法のこと

◆ナレッジマネジメントの基本プロセス

・共同化
・表出化
・連結化
・内面化

◆ナレッジマネジメントの3つの種類

ベストプラクティス共有型
専門知識型
顧客知識共有型

◆​​ナレッジマネジメントの導入メリット4つ

業務の効率化ができる
短期間で社員のスキルアップができる
顧客対応力を強化できる
業務の属人化を解消できる

◆ナレッジマネジメントの導入の注意点3つ

システム導入に時間がかかる
社員に浸透しない可能性がある
管理や活動を推進する担当者が必要になる

◆ナレッジマネジメントの導入に向いている企業

テレワークを導入している・導入する予定のある企業
業務の属人化が課題になっている企業

◆ナレッジマネジメントを成功させるポイントは、目的・ビジョンを浸透させること

◆ナレッジマネジメントの導入5ステップ

【ステップ①】ナレッジマネジメントの推進者を決める
【ステップ②】ナレッジマネジメントの目的を設定する
【ステップ③】可視化し、共有する情報を明確にする
【ステップ④】業務に取り入れるための仕組みをつくる
【ステップ⑤】仕組みの効果検証を行い、PDCAを回す

◆ナレッジマネジメントツールの種類4つ

ツール

説明

データマイニングツール型

文章(テキスト)を単語やフレーズに分解して、社内に蓄積されているデータとして瞬時に検索を行えるツール。

グループウェア型

メッセージやチャットを使ったコミュニケーションや、ファイル共有、スケジュール管理などができるツール。

ヘルプデスク型

ある業務や製品について、FAQや社内Wikiを作成して情報共有するタイプ。BtoCのWebサイトに設置されている「よくある質問」をベースに設計されている。

知的情報検索型

散在したデータやファイルをさまざまな方法で検索し抽出するという、強力な検索機能をもって情報を集約するツール。

 

トランスコスモスのコンタクトセンター/コールセンターサービスでお取引いただいたお客様は、業界問わず1,700社を超え、様々なノウハウを保有しています。コンタクトセンター/コールセンターの運営に関して、お悩みの方は一度お問合せください。
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