
ナレッジマネジメントとは、社員が保有する知識や経験、ノウハウを組織全体で共有・活用し、業務効率化や生産性向上につなげる経営手法です。
たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)で、優秀なオペレーターが持っている「セールストークのコツ」をほかのオペレーターにも共有することで、ほかのオペレーターも成功のコツを実践でき、全体の成功率を向上させる、というのがナレッジマネジメントにあたります。
ただしナレッジマネジメントは、導入すればすべての業務が改善されるわけではありません。
状況によっては、ナレッジマネジメントの導入が合わない可能性があり、せっかく時間やコストをかけて導入したのに全く機能しない危険性があります。
そこでこの記事では、自社にナレッジマネジメントを導入するべきか判断できるよう、ナレッジマネジメントの基礎知識だけでなく、以下の内容を解説します。
・ナレッジマネジメントの導入メリット・注意点 |
また本記事の内容は以下のとおりです。
この記事でわかること |
・ナレッジマネジメントとは |
この記事を読めばナレッジマネジメントの基礎知識や、自社への導入判断ができるだけでなく、ナレッジマネジメントを導入して成果を出すためのポイントや導入ステップがわかります。
1.ナレッジマネジメントとは

まずは「ナレッジマネジメント」とはどんなものなのでしょうか?
よく知らないという方向けにわかりやすく、基礎知識について解説しておきましょう。
一応理解しているという方も、あらためて確認しておいてください。
1-1.ナレッジマネジメントとは、社員が持つ知識や経験を企業内で共有して活かす経営手法のこと
「ナレッジマネジメント」とは、個人が持っている「経験や知識・ノウハウ」などを、企業内で共有し、社内の資産として活かす経営手法のことです。
これにより、新たな技術革新の促進や全体的な生産性の向上を目指すことができます。

企業に所属している従業員は、それぞれ個人で身につけてきた業務上の知識、経験、スキル、ノウハウなどを持っています。
たとえば営業では、交渉の方法やコミュニケーションスキルの成功パターンは、人によって異なるでしょう。
また、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターであれば、トークのスキル、クレーム対応で培われた経験や知見などは、それぞれ独自のものがあるはずです。
それらは、業務を円滑に遂行し、営業利益や顧客満足度を向上させるための貴重な要素となっています。
つまり、企業にとっては貴重な経営資産なのです。
ただ、これが従業員それぞれに属人化されたままでは、その効果は限定的でしょう。
それよりも、社内で共有して従業員全員のスキル、知識、経験値を底上げしよう、というのが「ナレッジマネジメント」の目的です。
ナレッジマネジメントがうまく機能すれば、企業全体の効率化や生産性向上、新規事業の創造や新商品の開発につながり、新たな企業価値を生み出すことができるでしょう。
1-2.ナレッジマネジメントが注目される理由・背景
ナレッジマネジメントが注目される主な理由は「人材の持つ『経験や知識、ノウハウ』の重要性が増したから」です。
終身雇用制度が採用されている時代では、多くの社員が新卒で入社した会社に定年退職まで勤めるというのが一般的でした。そのため、ベテランが積み重ねてきた経験や知識、ノウハウを、それぞれの職場でゆっくりと時間をかけて次世代に自然継承していました。
しかし終身雇用制度の事実上の崩壊によって、中途採用が活発化し、人材の流動化が生じたため、ベテランの経験や知識、ノウハウが流出してしまい、自然継承にまかせているだけでは企業全体の知の総量を維持するのが難しくなってしまったのです。
そこで人材の持つ経験や知識、ノウハウは自社に資産として保持し、活用することが重要であると考えられるようになり、ナレッジマネジメントが注目されるようになったのです。
近年ではDX推進やリモートワークの普及に加え、生成AIを業務で活用する企業も増えています。
しかし、生成AIの回答品質は参照する社内情報の質に大きく左右されます。社内FAQやマニュアル、業務手順が整備・構造化されていない場合、生成AIを導入しても十分な効果を得られません。
ナレッジマネジメントによって知識を整理・蓄積・構造化しておくことで、生成AIが必要な情報を検索・参照しやすくなり、業務効率化や問い合わせ対応品質の向上につながります。
そのため、ナレッジマネジメントは大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいます。
1-3.ナレッジマネジメントの仕組み
では、ナレッジマネジメントとはどのように実施すればいいのでしょうか?
その仕組みは非常にシンプルで、「個人の知識やノウハウなど(暗黙知)」を、「マニュアルやFAQなど誰でも参照できる形(形式知)」に落とし込み、「社内Wikiや研修など(共有)」するのが基本です。
この図の左側、個人に蓄積されたナレッジを「暗黙知」、右側の共有できる形にしたものを「形式知」と呼んでいます。
また、ナレッジマネジメントは一度ナレッジを共有して終わりではありません。
共有されたマニュアルやFAQを社員が業務で活用し、その中で得られた新たな経験や知見を再びナレッジとして蓄積・共有することで、組織全体の知識が継続的に成長していきます。
たとえば、ベテラン社員のノウハウをマニュアル化して共有し、それを活用した社員が新たな改善方法を見つけた場合、その内容を追記・更新することで、さらに質の高いナレッジが生まれます。
このように、「知識を共有する → 業務で活用する → 新たな知識を蓄積する」というサイクルを繰り返しながら、組織全体の知識資産を強化していくことがナレッジマネジメントの重要な考え方です。

さらに具体的なナレッジマネジメントの方法は、のちほど「5.ナレッジマネジメントの導入5ステップ」でくわしく説明しますので、導入する際にはそちらをぜひ参照してください。
2.企業のナレッジマネジメント活用事例

ナレッジマネジメントとはどんなものか、大まかには理解できたかと思います。
ただ、「具体的なイメージがわかない」という方も多いでしょう。
そこで次に、トランスコスモスが携わったナレッジマネジメントの事例をご紹介します。
2-1.A社:社員の自己解決力向上により業務の効率化を実現
A社 | |
課題 | 社員が問題を自己解決できるようにして、業務を効率化したい |
施策 | ・FAQ検索ツールを導入 |
成果 | 社員の自己解決力が向上し、業務効率化を実現 |
A社では、社員が何かわからないことがあった際に、「誰に聞けばいいのかわからない」「誰かに聞くことで、お互いに業務効率が下がる」といった課題を抱えていました。
そこで、ナレッジマネジメントを導入して、社員それぞれが疑問を自己解決できるナレッジ共有の仕組みを構築することにしました。
最初に行ったのは、FAQ検索ツールの導入です。
社内でよくある質問およそ2,000件に対して回答を用意し、キーワードで検索できるようにしました。
さらに、FAQでは回答が得られなかった場合に備えて、社内ヘルプデスクも用意、メールやチャットで問い合わせに答えられる体制も構築しました。
これにより、社員は何か知りたいことがあれば、すぐに検索ツールで調べて解決できるようになりました。
その結果、自己解決率が向上し、業務の進捗もスムーズになり、効率化を実現できました。
さらに、社内ヘルプデスクに入った問い合わせを、社内ナレッジとして定期的にFAQに追加することも行っています。
そのため、FAQがさらに充実し、解決率の向上につながっています。
2-2.EC事業者 B社:顧客・オペレーターともに検索できるFAQシステム構築で、生産性60%向上
EC事業者 B社 | |
課題 | コンタクトセンター(コールセンター)で、顧客もオペレーターも正しい情報を検索できる仕組みがほしい |
施策 | 顧客からのよくある質問を検索できるシステムを導入 |
成果 | ・Webサイト閲覧者数(セッション数):10%上昇 |
EC事業を展開しているB社では、コンタクトセンターで顧客からの問い合わせを受け付けています。
ただ、問い合わせ件数が多くなるとオペレーターが対応しきれなかったり、複雑な問い合わせに対して正しい回答を見つけることが難しかったりといった課題がありました。
そのため、顧客が必要としている情報を一元管理し、検索できるシステムを構築しました。
これにより、顧客はECサイトで検索することで自己解決をはかることができるようになりました。
またオペレーターも、顧客対応中にシステムで検索することで、問い合わせに対する正しい回答を即座に得られるようになったのです。
このシステムを導入した結果、Webサイトのセッション数が10%上昇、CSAT(顧客満足度スコア)も20%上昇しました。
これは、顧客がサイト内で疑問を自己解決できているためと考えられます。
また、もっとも大きな成果として、オペレーターの生産性が60%も向上しました。
これまで問い合わせへの回答を調べるのにかかっていた時間が短縮され、より短時間で、多くの対応が可能になったのです。
3.ナレッジマネジメントのメリット5つ

ナレッジマネジメントとはどんなものか、ここまでで理解できたかと思います。
それをふまえて、「自社にナレッジマネジメントを導入するべきかどうか」悩む担当者の方もいるでしょう。
そこで次は、ナレッジマネジメントの導入メリットを5つご紹介します。
・業務効率化、生産性向上ができる |
導入検討の判断材料として考慮してください。
3-1.業務効率化、生産性向上ができる
1つめのメリットは「業務の効率化、生産性の向上が実現できる」という点です。
ベテラン社員や優秀な社員の業務の進め方やコツなどをナレッジ(知識)として共有すれば、ほかの社員も真似することができ、今よりも業務を効率良く進められるようになります。
たとえば、資料作りの不得意な社員が、ナレッジ共有されている「先輩が作成した資料」を閲覧し、参考にしながら作成すれば、資料作りのコツが理解できたり、作成時間を短縮できたりするでしょう。
また、業務フローや成功パターンのノウハウなどをマニュアル化して社内システムにアーカイブしたり、社内WikiやFAQで検索できるようにしたりすれば、業務で不明点があってもすぐに解決して、最善の方法をとることができるようになります。
このような仕組みを整えた結果、企業全体の業務効率、生産性が向上するというわけです。
3-2.ナレッジの属人化を防止できる
2つめは、「ナレッジの属人化を防げる」という点です。
ナレッジマネジメントを導入することで、その人がいないと仕事が回らないという属人化した業務の「フロー」や「重要なポイント」などを、マニュアル化して共有することができます。
その結果、そのマニュアルさえ見ればほかの社員でも業務を行えるようになり、属人化を解消することができるのです。
これにより、もし急な休職・退職者が出たとしても、業務の質を落とすことなくスムーズに引き継ぎ、業務を続行できるでしょう。
3-3.人材の教育コストを削減できる
3つめのメリットは、「教育コストの削減」です。
というのも、優秀な社員の経験や知識、業務のノウハウを社内で共有すれば、トップ人材の働きを全社員がすぐにコピーできるため、短い期間で多くの社員のスキルを底上げすることが可能になるのです。
長い期間をかけて、研修やOJTなどを行う場合、教育コストがかさみます。
その点ナレッジマネジメントを実施すれば、研修費用などを大幅に圧縮することができるでしょう。
たとえば、コンタクトセンター(コールセンター)で優秀なオペレーターが編み出した「顧客のタイプ別セールストーク」を、トークスクリプト化して共有したとします。
オペレーター全員がその勝ちパターンを意識して使うようにすれば、短期間で「セールストーク」が身について応対スキルが向上するはずです。
そうなれば、教育を担当するスーパーバイザーの人件費などを低く抑えることになり、低コストで人材を戦力化できるのです。
3-4.社内横断的なコミュニケーションが活性化する
意外なメリットとしては、「社内のコミュニケーション活性化」も挙げられます。
ナレッジマネジメントを実施すると、普段はかかわることの少ない部署のナレッジや情報にも接する機会が増えます。
特に、業務を縦割りする傾向が強い企業の場合は、ナレッジの共有によってこれまで見えなかった社内の全体像が把握しやすくなるでしょう。
そうなると、他部署と横断的にコミュニケーションをとりやすくなります。
たとえば、企画開発部のメンバーが、「営業部に取引先からこんな要望がきているのか。それならこういうサービスを開発してみてはどうだろう?」と、新サービス、新商品のアイデアを得られることもあるでしょう。
また、部署横断的なプロジェクトも立ち上げやすくなるはずです。
社内コミュニケーションが活性化することで、従業員のエンゲージメントも向上し、離職防止につながることも期待できるでしょう。
3-5.顧客満足度が向上する
5つめのメリットは、「顧客対応力を強化し、顧客満足度向上につながる」ことです。
ナレッジマネジメントの導入により、顧客からの問い合わせや苦情、それらに対応した方法をデータベース化して共有し続けることで、状況に応じた最適な対応策のナレッジが蓄積されるため、顧客対応力を強化できます。
たとえばコンタクトセンターに顧客から問い合わせがあった際、「問い合わせ内容」「問い合わせに対する対応」をナレッジとして共有しておくことで、同じような問い合わせが入った場合に、ほかのオペレーターが窓口になっても同じような対応をすることが可能になるでしょう。
オペレーター全員が多様な問い合わせに対して最適な対応ができるようになれば、顧客満足度も向上します。
また、コンタクトセンター以外の部署でも、ナレッジ共有によって各メンバーの業務品質が向上するでしょう。
営業なら取引先の、接客なら来店客の、マーケティングなら消費者全般の、それぞれの満足度向上が狙えるのです。
4.ナレッジマネジメントの導入に向いている企業

このように、ナレッジマネジメントには多角的なメリットがありますが、まだ「わが社の場合、導入した方がいいのか判断がつかない」という方もあるでしょう。
そこでこの章では、ナレッジマネジメントを導入したほうがよい企業のタイプをずばりお答えします。
それは以下のような企業です。
・テレワークを導入している・導入する予定のある企業 |
それぞれ説明しましょう。
4-1.テレワークを導入している・導入する予定のある企業
ナレッジマネジメントの導入に向いている企業の特徴1つめは、「テレワークを導入している・導入する予定のある企業」です。
なぜならナレッジマネジメントを導入することで、社員が在宅ワーク中にわからないことがあっても共有されたナレッジを見たり、マニュアルを見たりして自己解決できるようになるからです。
そのため、不明点を質問する側・質問される側の両者が作業の手を長時間止めることがなくなり、業務効率化につながるのです。
テレワーク中は、ほかの社員に気軽に話しかけられないため、自分でわからないことを調べて多くの時間を使ってしまったり、自己流で非効率的な方法で業務を行っていたりすることがあります。
それを避けるには、ナレッジマネジメントが最適です。
企業側で、ナレッジを誰でも閲覧できる状態で共有しておくことで、社員は手を止めることなくスムーズな業務遂行が可能になるはずです。
4-2.業務の属人化が課題になっている企業
2つめは、「業務の属人化が課題になっている企業」です。
たとえば、以下のような課題がある場合は、ナレッジマネジメントが一つの解決策になるでしょう。
・決まったマニュアルや業務フローがない |
このようなケースでは、もし担当者が急病になったり、仕事を続けられなくなったりした場合に、業務が滞ってしまう恐れが大いにあります。
そのようなリスクに備えて、各人が持っているノウハウを共有するナレッジマネジメントが必要です。
ぜひ積極的に、導入を検討してください。
5.ナレッジマネジメントの導入5ステップ

ここまでで、「わが社にもナレッジマネジメントが必要そうだ」と思った方には、いよいよ具体的な導入方法をご説明しましょう。
ナレッジマネジメントの導入は、以下の5ステップで進めてください。

順番に説明します。
5-1.【ステップ1】ナレッジマネジメントの推進者を決める
ステップ1は「ナレッジマネジメントの推進者を決める」です。
先にもお伝えしたとおり、ナレッジマネジメントの推進者がいることで、以下のようにナレッジマネジメントの効果を最大限発揮できるようになるのです。
ナレッジマネジメントの | その効果 |
社員の不明点に対してすぐに対応できる | ナレッジマネジメントの共有や利用が社員間でスムーズに行われるようになる |
「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか」といった啓蒙活動ができる | 積極的にナレッジを共有・利用する雰囲気が醸成できる |
運用後の社員に対するフォロー | |
効果検証の実施 | PDCAを回し、より効果的なナレッジマネジメント運用ができる |
一方で、推進者を決めなければ、現場業務が優先され、後回しになってしまう可能性があります。
現場に任せておけば、勝手にナレッジがたまっていく、というわけではないのです。推進者を決める際には、以下を参考にするとナレッジマネジメントが成功しやすくなります。
・リーダーシップを発揮して周囲を動かせる影響力のある人が全体統括を担い、各事業部に責任者を設定する |
5-2.【ステップ2】ナレッジマネジメントの目的を設定する
ステップ2は「ナレッジマネジメントの目的を設定する」です。
ただ単に「社内でノウハウを共有する」といったあいまいな目的では、社員の意識は上がらず、積極的なナレッジの共有や利用につながりません。
そこでしっかり目的設定をすることで社員の意識が高まり、ナレッジマネジメントのスムーズな運用が可能になります。
たとえば以下のように、目的とそのメリットを設定し社内に共有することで、ナレッジマネジメントの重要性が理解でき、社員の意識が高まります。そして、積極的なナレッジの共有や利用につながります。
【ナレッジマネジメントを行う目的】 リモートワーク化において、社員同士直接コミュニケーションが取れないことから、業務に関する疑問点をほかの社員に問い合わせる手間、問い合わせを受けた社員は質問に対応する手間が発生している。 そこでナレッジマネジメントを導入することで、社員間の「質問する手間」「回答する手間」をなくし、その分業務に集中して取り組める環境づくりを推進する。 |
「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか、どんなメリットがあるのか」を明確にするようにしましょう。
5-3.【ステップ3】可視化し、共有する情報を明確にする
ステップ3は「可視化し、共有する情報を明確にする」です。
ナレッジマネジメントでは、何でもナレッジを共有すればいいというものではありません。ナレッジマネジメントを行う目的に応じて「可視化・共有化する必要のある情報」を蓄積していかなければ、ナレッジマネジメントの効果が出ない可能性が高まるからです。
そのため「どんな情報を可視化し、共有することで目的が達成されるのか」を明確にする必要があるのです。
可視化・共有化する情報は、現場目線で検討することで、社員にとって活用価値のある情報を蓄積できるため、必ず現場でのヒアリングを行います。
・「どんな課題があるのか」 |
など、社員にとって欲しい情報が何かをヒアリングすると良いでしょう。そして、以下を参考にしながらどのようにして可視化するのかを検討しましょう。
▼可視化する方法例 |
5-4.【ステップ4】業務に取り入れるための仕組みをつくる
ステップ4は「業務に取り入れるための仕組みをつくる」です。
現場の状況を把握して、可視化・共有する情報を策定し終えたら、実際にどのようにナレッジマネジメントを取り入れるのかを検討していきます。
業務に取り入れる仕組みを作らなければ、「ナレッジマネジメントを導入して終わり」といった状況になりかねず、せっかくシステム投資をしても無駄になってしまう可能性があります。
たとえば、以下のように仕組みづくりを行うことで、業務の中でナレッジマネジメントを仕組み化でき、実際の運用につなげることができるでしょう。
【可視化し、共有すると決めた情報】 【業務に取り入れるための仕組み】 |
5-5.【ステップ5】仕組みの効果検証を行い、PDCAを回す
ステップ5は「仕組みの効果検証を行い、PDCAを回す」ということです。
ナレッジマネジメントでは、社員がナレッジを共有・活用しやすい環境を作らなければ、「ただ導入されただけ」になり、導入の意味がありません。
そのため、うまく情報が共有されていなかったり、活用されていない場合には改善し、「価値のあるナレッジマネジメントの運用」を行う必要があるのです。
実際にナレッジマネジメントの運用が始まったら、ログを集計し、解析を行うようにしましょう。
そしてナレッジの共有・活用がうまくいっていない場合は「原因」を追求し、「改善」をしていきます。
また、効果検証を行う際には、事前にKPI(重要業績評価指標)を設定しておくことも重要です。
ナレッジマネジメントは導入そのものが目的ではなく、「業務効率化や生産性向上につながったか」を確認することが大切です。そのため、何をもって成功とするのかを明確にし、定量的な指標で継続的に測定しましょう。
たとえば、以下のようなKPIを設定すると成果を可視化しやすくなります。
・ナレッジ閲覧数(または業務に対する閲覧率) |
これらの指標を定期的に確認することで、ナレッジが十分に活用されているか、運用上の課題はないかを把握できます。また、改善施策の優先順位を判断しやすくなり、より効果的なナレッジマネジメント運用につなげることができます。
実際の運用では、KPIを活用することで改善点を把握できます。
たとえば、イントラの利用率を確認し、「利用率の低い部署にはアナウンスをする」といった改善を行うことができます。
【可視化し、共有すると決めた情報】 【業務に取り入れるための仕組み】 |
このようにして、定期的に効果検証を行い、効果の高いナレッジマネジメント運用ができるようにしましょう。
6.ナレッジマネジメントの導入の注意点3つ

これで、ナレッジマネジメントの導入方法がわかりました。
ただ、実際に導入するにあたっては、注意してほしいことがあります。それは以下の3点です。
・システム導入に時間がかかる |
わかりやすく説明しますので、かならず留意して計画を立ててください。
6-1.システム導入に時間がかかる
1つめは、「システム導入に時間がかかる」という点です。
ナレッジマネジメントを行うには、ナレッジマネジメントツールの導入が必須ですが、どの製品を導入するか比較検討したり、導入のための環境を整える必要があったりするなど、導入までに時間がかかることも少なくありません。
たとえばナレッジマネジメントツールを導入する際には「どの情報を形式知に変換して共有が必要なのか」を把握する必要があります。そのため、担当者は各部署へのヒアリングや現場の観察を行って、見たり聞いたりした情報から自社のナレッジマネジメントの仕組みを構築します。
このような期間はナレッジマネジメントの導入の際には必要な時間であるため、どうしてもシステムを導入して運用するまでには時間がかかってしまうのです。「すぐに導入して効果を実感したい」と感じている企業は注意が必要です。
6-2.社員に浸透しない可能性がある
2つめは「社員に浸透しない可能性がある」という点です。
多くの社員は、通常業務で忙しいため、ナレッジの共有に時間を割くメリットを感じられません。
さらに成果主義の企業であれば、成果につながる独自のノウハウを他人と共有したくないと考える可能性もあります。
そのため「ナレッジマネジメントを共有した社員はインセンティブを与える」「評価制度にナレッジ共有の項目を作る」などの仕組みを整えて解決することが重要です。
ナレッジマネジメントは、企業内で工夫をしなければ社員に浸透しないリスクがあるため、導入検討の際には自社にナレッジマネジメントを浸透させるだけの仕組みを作れるのかをよく考えましょう。
6-3.ナレッジマネジメントの管理や活動を推進する担当者が必要になる
3つめは「ナレッジマネジメントの管理や活動の推進をする担当者が必要になる」という点です。
もしナレッジマネジメントツールの、システム面の理解ができていて、わからないところがあればすぐに対応できる人材がいなければ、ナレッジマネジメントの共有や利用が社員間でスムーズに行われません。
また担当者がツールの使い方だけでなく、
・「ナレッジマネジメントをなぜ行うのか」といった啓蒙活動 |
をすることで積極的にナレッジを共有・利用する雰囲気が醸成できたり、より効果のあるナレッジマネジメントを運用できるなど、ナレッジマネジメントの利用効果を最大限に発揮できるような環境を作り上げられます。
ナレッジマネジメントの導入・運用・管理・啓蒙を行うには以下のような対応をするとより効果が期待できます。
・「社内向けナレッジマネジメント利用セミナー」を開催して、その必要性や利用方法について伝える |
このような、管理や活動を推進する担当者を用意するのが困難な企業は、ナレッジマネジメントの導入の前に体制を構築することが必要です。
7.ナレッジマネジメントにはツール導入がおすすめ

ナレッジマネジメントを効果的に運用するためには、ナレッジベースや社内FAQを構築できる専用ツールの導入がおすすめです。
なぜならツールを導入することで、多くのステップを踏まなくてもナレッジを共有できたり、ナレッジを検索しやすくなったり、Excelやスプレッドシートを利用した方法よりもナレッジマネジメントの運用を効率化できるからです。
ただし、ナレッジマネジメントツールにはそれぞれ得意分野が異なるため、以下の中から自社の目的に合う種類のツールを選択するようにしましょう。
ツール | 説明 |
データマイニングツール型 | 文章(テキスト)を単語やフレーズに分解して、社内に蓄積されているデータとして瞬時に検索を行えるツール。 |
グループウェア型 | メッセージやチャットを使ったコミュニケーションや、ファイル共有、スケジュール管理などができるツール。 |
ヘルプデスク型 | ある業務や製品について、FAQや社内Wikiを作成して情報共有するタイプ。BtoCのWebサイトに設置されている「よくある質問」をベースに設計されている。 |
知的情報検索型 | 散在したデータやファイルをさまざまな方法で検索し抽出するという、強力な検索機能をもって情報を集約するツール。 |
8.ナレッジマネジメントツールの導入はトランスコスモスにお任せください
ナレッジマネジメントツールの導入をお考えの際には、トランスコスモスにご相談ください。
トランスコスモスでは「SEO対策FAQマネジメントサービス」をご提供しており、「社員からのよくある質問をFAQとして蓄積し、いつでも閲覧可能な状態にしておくナレッジマネジメント」を行ううえで、社員の自己解決力を最大限に引き上げることができます。
具体的には「SEO対策FAQマネジメントサービス」には、以下のような特徴があります。
・ツール利用のための研修を行わなくても、FAQの作成や編集、カテゴリー作成、表示順位変更などが直感的に行える |
上記の特徴を持った「SEO対策FAQマネジメントサービス」をご利用いただくことで、
・新商品に関する疑問や、新人が抱える不明点などは自己解決できるようになり、研修工数やコストの削減ができる |
など、これらの実現が可能になります。
このように、トランスコスモスの「SEO対策FAQマネジメントサービス」を利用することで、ナレッジマネジメントの運用がスムーズになります。ぜひ一度ご検討ください。
9.ナレッジマネジメントに関するよくある質問
情報を蓄積するだけでなく、誰もが検索・活用できる仕組みを整えることが重要です。
・テレワークを導入している企業
・業務の属人化が課題となっている企業
・ベテラン社員の退職によるノウハウ流出に不安がある企業
・社員教育に多くの工数がかかっている企業
こうした課題を抱える企業では、ナレッジ共有による効果を実感しやすいでしょう。
・業務効率化・生産性向上
・属人化の防止
・教育コストの削減
・社内コミュニケーションの活性化
・顧客満足度の向上
組織全体で知識を活用できる状態をつくることで、さまざまな経営課題の解決につながります。
・導入目的を明確にする
・運用を推進する担当者を配置する
・継続的にナレッジを更新・改善する
また、社員が簡単に検索・活用できる環境を整えることも成功の重要な要素です。
まとめ
この記事ではナレッジマネジメントの基礎知識やメリット・注意点、導入に向いている企業や導入ステップなどを解説しました。
ここで改めて本記事の内容をおさらいしましょう。
◆ナレッジマネジメントとは、社員が持つ知識や経験を企業内で共有して活用する経営手法のこと
◆ナレッジマネジメントの導入メリット5つ
・業務効率化、生産性向上ができる |
◆ナレッジマネジメントの導入に向いている企業
・テレワークを導入している・導入する予定のある企業 |
◆ナレッジマネジメントの導入5ステップ
・【ステップ1】ナレッジマネジメントの推進者を決める |
◆ナレッジマネジメントの導入の注意点3つ
・システム導入に時間がかかる |
これを踏まえて、あなたの会社がナレッジマネジメントをスムーズに導入し、業務効率化を実現できるよう願っています。

