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コールセンターの4つの分析項目と具体的な方法・ポイントを解説

「コールセンターの現状を改善したいけれどどうすればいい?分析方法はあるの?」
「コールセンターやオペレーターを管理するために分析をしたい!具体的にどのように取り組めばいいの?」

コンタクトセンター(コールセンター)運営では「稼働率が高い」「応答率が低い」など、コンタクトセンターごとに異なる課題を抱えるものです。

現状を把握して改善するためにも分析をしたいけれど、どのように実施すればいいのか分からない方は多いのではないでしょうか。

コンタクトセンターの分析をするには、下記の4つの分析項目を理解しておく必要があります。

項目

種類

概要

まずはKPIからスタート!
KPI

コンタクトセンターとオペレーターを分析する指標

コンタクトセンター運営を可視化する指標を管理する
オペレーターの応対品質を測定する指標を管理する

コールリーズン

コンタクトセンターを分析する指標

コンタクトセンターへの問い合わせ理由を分析する

VOC

コンタクトセンターを分析する指標

コンタクトセンターを利用する顧客の声を分析する

トーク内容

オペレーターを分析する指標

オペレーターのトーク内容を管理する

必要な項目を知っていても適切な分析ができないと、コンタクトセンター運営の改善やオペレーター育成などに活用できません。

下記の3つのポイントを理解して、コンタクトセンター運営に有効活用できるような分析を行うことが大切です。

コンタクトセンター分析の3つのポイント

そこでこの記事では、コンタクトセンターの分析を行う理由や具体的な分析項目、方法を詳しく解説していきます。特に分析項目では、どのような視点で分析すればいいのか理解できます。

【この記事を読むと分かること】

・コンタクトセンター(コールセンター)の分析の必要性が分かる
・コンタクトセンター(コールセンター)の4つの分析項目が分かる
・コンタクトセンター(コールセンター)の分析対象が分かる
・コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行うときのポイントが分かる

この記事を最後まで読めば、それぞれのコンタクトセンターの運営状況に合う方法で継続的な分析ができるようになります。コンタクトセンターの課題を解消し最適化するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

1.コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行う3つの目的

「そもそも、なぜコンタクトセンター(コールセンター)で分析が必要なの?」という方のために、コールセンターの分析を行う目的について解説します。

ポイントは大きく分けて3つあります。

コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行う3つの目的

・応対品質を向上させる
・コンタクトセンター運営を適正化する
・商品やサービスの品質向上・開発に役立てる

1つずつ、みていきましょう。

1-1.応対品質を向上させる

1つ目は、オペレーターの応対品質を継続的に向上させることで、コンタクトセンター全体の応対品質を高めるためです。

例えば、商品やサービスについて不明点がありコンタクトセンターに問い合わせをするとSMSやPCメール宛に、以下のような質問がくることがあります。

【オペレーターの「対応満足度」に関する調査】

①当社オペレーターの対応について、どの程度ご満足いただけましたか?
1. 非常に満足
2.やや満足
3.どちらでもない
4.やや不満
5.非常に不満

②上記を選んだ理由を具体的に教えてください。
(                             )

また、顧客とオペレーターにおける一連のやり取りは録音され、その録音データは保管されていることが多いです。

こうしたSMSアンケートや録音音声を収集・分析し、コンタクトセンター運営やオペレーターへのフィードバックに活かすことでコンタクトセンターの品質向上に役立てられるのです。

SMSアンケートや録音した音声の分析を通じて、以下のようなインサイトが得られます。

分析によって得られるインサイトの例

SMSアンケート

・オペレーターの応対に問題点はないか
・オペレーターの応対のよい点はどこか
・顧客から“プラス評価”されるオペレーターの共通点
・顧客から“マイナス評価”されるオペレーターの共通点
・顧客から“プラス評価”されるオペレーターが支持されている理由
・顧客から“マイナス評価”されるオペレーターが支持されない理由

録音音声

・オペレーターの一次完結率(1回のやり取りでの問題解決率)
・オペレーターの会話内容・応対態度に問題点はないか
・オペレーターの提案に誤りはないか

こうしたインサイトをコンタクトセンター運営に活かしていくことで、コンタクトセンターの品質向上につながっていきます。

マニュアルや応対指針の作成にも役立つでしょう。だからこそ、コンタクトセンターの分析は行うべきなのです。

1-2.コンタクトセンター(コールセンター)運営を適正化する

2つ目は、コンタクトセンター(コールセンター)運営を適正化するためです。
コンタクトセンター運用が最適化できていないと、以下のような課題が発生することがあります。

【コンタクトセンター運営が適正化できないときの課題】

・オペレーターの稼働率が高く残業が増えている
・顧客対応時間が長くあふれ呼が発生しやすい
・オペレーターの離職率が高い

例えば、オペレーターの稼働率が常に高い状況が続いていると、離職率が増加する可能性があります。また、顧客対応時間が長い場合はあふれ呼や放棄呼が発生しやすく、機会損失につながっているかもしれません。

このような状況は、定期的にコンタクトセンター運営を分析し可視化しないと見えてきません。

分析しないと運営状況が悪化していることにも気付きにくく、企業の目的に合う価値提供ができていない可能性もあるでしょう。
そのため、以下の2つの視点で、コンタクトセンターの分析は欠かせません。

【コンタクトセンター運営を分析して可視化する必要性】

・コンタクトセンターの現状を理解して課題を把握する
・コンタクトセンター運営の改善状況を確認し最適化を目指す

1-3.商品やサービスの品質向上・開発に役立てる

3つ目は、商品やサービスの品質向上に役立てるためです。
普段は接点のない顧客の声が聴ける機会を活かして、商品やサービスの品質向上や開発に役立てるのです。

例えば、ポテトチップスを製造する菓子メーカーのコンタクトセンター(コールセンター)に、以下のような問い合わせが多く寄せられたとします。

●例:ポテトチップスに対する意見・要望

・塩気が強いが、もう少し抑えられないものか?
・しょっぱい気がする。前のシリーズの方が美味しかった
・味が濃くて美味しいが、高血圧なので、毎日食べても大丈夫か知りたい
・子どもにも食べさせたいので、うす味のポテトチップスを開発してほしい
・食べていると、のどが乾いてしまう。味が濃すぎる気がする

意見・要望のニュアンスは異なりますが、要望を一言でまとめれば「塩分を抑えたポテトチップスが食べたい」だと解釈できます。

こうした顧客の声を「うちの商品に文句をつけるな」「嫌いなら食べなければいい」と切り捨てることなく、“ビジネスチャンス”だと考えれば商品の改善や新商品の開発に役立てられるのです。

顧客の声を収集・分析することは“VOC分析”と呼ばれるものです。コンタクトセンターでは、必ずといっていいほど実施されている分析手法です。

コンタクトセンター(コールセンター)分析は“顧客満足度(CS)向上”の為にも必要

コンタクトセンターの分析を行う目的は、以下の2つです。

①コンタクトセンターの品質を向上させる
②商品やサービスの品質向上に役立てる

これらの目的の先にあるのが“顧客満足度(CS)の向上”です。

コンタクトセンターの品質が向上すれば、顧客満足度(CS)が向上します。その結果、顧客は企業に対して良いイメージをもち、継続的に商品を購入してくれる可能性が高まります。

商品やサービスの品質が向上すれば、更に顧客満足度(CS)が向上します。その結果、リピートで購入してくれる可能性が高まるでしょう。

2.コンタクトセンター(コールセンター)の4つの分析項目

続いて、コンタクトセンター(コールセンター)の「分析項目」について解説します。

コンタクトセンターの分析項目は、コンタクトセンターの分析項目とオペレーターに対しての分析項目の2つに分かれます。

コンタクトセンターの分析項目

コンタクトセンターの
分析項目

KPI:コンタクトセンター運営を可視化する指標を管理する
コールリーズン:コンタクトセンターへの問い合わせ理由を分析する
VOC:コンタクトセンターを利用する顧客の声を分析する

オペレーターに対しての
分析項目

KPI:オペレーターの応対品質を測定する指標を管理する
トーク内容:オペレーターのトーク内容を管理する

コンタクトセンターとオペレーターの2つの軸で分析するには、分析項目を理解しておく必要があります。

どのような項目を管理すればいいのか把握するためにも、ぜひ参考にしてみてください。

2-1.コンタクトセンター(コールセンター)のKPI

KPIとは「重要業績評価指標(Key Performance Indicator)」のことで、目標に対する達成度合いを評価する指標のことです。

コンタクトセンター(コールセンター)では、コンタクトセンターの接続品質や、オペレーターの生産品質などのパフォーマンス目標に対して、どの程度達成したかについてのKPI分析が行われています。

KPI分析における主な分析対象は、「コンタクトセンター/オペレーター」です。
大きく分けて4カテゴリーあります。今回はそのうち2つに焦点を当てて説明します。

コンタクトセンターのKPI指標2つ

・接続品質:コンタクトセンターの“つながりやすさ”を測る
・生産品質:オペレーターの“対応の速さ”を測る

上記であげた接続品質と生産品質の2カテゴリーごとに、KPI指標の定義と計算式をご紹介します。

コンタクトセンターの「接続品質」(つながりやすさ)

応答率

【定義】
全体の総着信に対してオペレーターが対応できた受電件数の割合
【計算式】
オペレーターが対応できた受電数 ÷ 総着信数 × 100

放棄呼率

【定義】
全体の総着信に対してオペレーターが対応できなかった受電件数の割合
【計算式】
放棄呼数 ÷ 総着信数 × 100

サービスレベル
(SL)

【定義】
目標時間内に電話に出られた件数の割合
【計算式】
設定時間内に受電した数 ÷ 総着信数 × 100

平均応答速度
(ASA)

【定義】
顧客が電話を架けてからオペレーターが電話に出るまでの平均時間
【計算式】
オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計 ÷ 総着信数

話中率

【定義】
顧客が電話を架けたがオペレーターにつながらず、話し中となってしまった着信の率
【計算式】
オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計 ÷ 総着信数

オペレーターの「生産品質」(速さ)

Call Per Hour
(CPH)

【定義】
1人のオペレーターが一定時間内に対応できる処理件数
【計算式】
総処理件数 ÷ 総稼働時間

平均処理時間
(AHT)

【定義】
顧客との通話開始から後処理終了までに要した時間の平均値
【計算式】
(総通話時間 + 総後処理時間 ) ÷ 総処理件数

平均通話時間
(ATT)

【定義】
オペレーターが顧客と通話をしている時間の平均値
【計算式】
総通話時間 ÷ 総処理件数

平均後処理時間
(ACW)

【定義】
通話が終わった後の後処理(対応履歴の記入等)1件あたりにかかる時間の平均値
【計算式】
総後処理時間 ÷ 総処理件数

稼働率

【定義】
オペレーターの労働時間全体から顧客対応にあてられる時間を判断するために用いられる指標
【計算式】
(通話時間+ 保留時間 +後処理時間+ 受付可能時間)÷(給与時間 ) ×100

占有率

【定義】
顧客 対応にあてられる時間が効率的か判断する為に用いられる指標
【計算式】
(通話時間+保留時間+後処理時間) ÷(通話時間+保留時間+後処理時間 + 受付可能時間)×100

平均保留時間
(AWT)

【定義】
1件当たりの保留時間の平均値
【計算式】
総保留時間 ÷ 総処理件数

コンタクトセンターは、総じて離職率が高い傾向にあります。
そうしたなか、コンタクトセンターの品質管理の一環として、離職率や勤怠率を分析することもあります。

離職率とは、コンタクトセンターにおけるオペレーターの定着率を測る指標です。年間を通じた採用人数を離職した人数で割ることで、離職率が算出できます。

一方、勤怠率は、オペレーターの勤務状況を測る指標です。出勤したシフトの日数を、実際に出勤した日数で割ることで、勤怠率が算出できます。
コンタクトセンターのKPI指標について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご参照ください。

コンタクトセンターで重視しているKPIは「CS」「応答率」「サービスレベル」

トランスコスモスが実施した「コンタクトセンターコンタクトセンター運営に関する意向調査2023」を見てみると、コンタクトセンター運営で重視しているKPIとして「CS」「応答率」「サービスレベル」が上位を占めています。

重要視しているKPI(SLA)は何ですか?

1位(33.8%)

顧客満足度(CS)

2位(22.8%)

応答率

3位(8.6%)

サービスレベル

この結果から、顧客の満足度やコンタクトセンターのつながりやすさを重視していることが分かるでしょう。コンタクトセンターのKPIはセンターの課題や現状により変わりますが、コンタクトセンターを分析する際に「どの指標を重要視するべきか」参考にしてみてください。

2-2.コールリーズン

コールリーズンとは、顧客がコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをする理由のことです。

顧客から「店舗の営業時間を知りたい」と問い合わせがあった場合は、“店舗の営業時間”がコールリーズンに該当します。毎日大量の入電があるコンタクトセンターではコールリーズンを把握していないと、顧客からの問い合わせ傾向が把握できません。

コールリーズンを分析していれば、トークスクリプトの最適化やFAQの見直しなどコンタクトセンター運営を最適化できる施策を検討できます。

【コールリーズンを分析すると改善できること】

・IVRの見直し
・オペレーターのトークスクリプトの改善
・FAQの見直し
・オペレーターの研修の最適化

例えば、コールリーズンを分析して営業時間の問い合わせが多いことが理解できれば、公式サイトのFAQの中に入れて自己解決を促せるようになるでしょう。

また、修理に関する問い合わせが多いことが分かればトークスクリプトを改善し、できるだけ短い時間で問題解決できるよう工夫できるかもしれません。

コールリーズンは下記の2つの方法で収集できるため、手軽に分析に活用できます。

コールリーズンの分析方法

CWC
(コールワークコード)

・通話中や応対後に電話機のボタンから問い合わせ理由を入力し、コールワークコードレポートとして集計できる仕組み
・CMSの標準機能として搭載されていることが多い

CRMシステム

・顧客管理システムにコールリーズンを入力する方法

CRMシステムを活用する場合は、顧客との通話後に問い合わせ理由を入力します。
そうすることで、コールリーズンが蓄積され、「どのような問い合わせ理由が多いのか」といった傾向が見えてきます。見えてきた傾向をカテゴリーとして定義して仕分けることで分析もしやすくなります。

コールリーズンについては、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

2-3.VOC

VOCとは「Voice of Customer」の略で、「顧客の声」を意味します。
コンタクトセンター(コールセンター)では、顧客の声を分析する“VOC分析”が行われています。

VOC分析は「1-3.商品やサービスの品質向上・開発に役立てる」でご説明した通り、顧客の声を分析したうえで、商品やサービスの改善に役立てたり、新しい商品・サービスの開発に役立てるものです。

例えば、ポテトチップスに対して「しょっぱい」「味が濃い」といった意見が多く集まった場合。以下のようなインサイトが得られます。

・ポテトチップスの塩分を抑えた方がいい
・減塩バージョンのポテトチップスを開発すると売れるかもしれない
・調味料の配合を変えたポテトチップスを開発すると売れるかもしれない

こうしたインサイトを得ることが、ビジネスの発展につながります。インサイトを得るために、顧客の声を分析するのが、VOC分析ということです。

VOC分析について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

2-4.トークの内容

コンタクトセンター(コールセンター)では顧客とオペレーターのトークの内容も分析対象です。 

トーク内容の分析によって得られた気づきを、オペレーターにフィードバックすることで、能力アップに役立てるのが、トーク分析の目的です。
主なチェック観点は、以下の通りです。

トーク分析のチェック観

・自然な会話の流れになっているか
・解決策をわかりやすく伝えられているか
・適切な言葉遣いができているか
・一つの質問に対して、複数の回答をして顧客を混乱させていないか
・NGワードを使用していないか
・顧客の話に言葉を被せて会話を遮っていないか
・顧客の悩みに対して適切な解決策を提示できているか
・マニュアルに沿った応対ができているか

コンタクトセンターの分析項目(分析対象)について、理解いただけましたでしょうか。
本章で取り上げた分析項目3つを以下の表にまとめました。

コールセンターにおける分析項目3つ

分析項目

概要・効果

分析対象

KPI分析

●概要
「コールセンターシステムに蓄積されたオペレーターの稼働状況」を分析する
●効果
接続品質/生産品質の改善

コールセンターシステムに蓄積された定量的な情報
例:処理時間、稼働率、処理件数

VOC分析

●概要
「顧客から寄せられた声」を分析する
●効果
商品・サービスの改善・開発

顧客から寄せられた意見・要望
例:コールログ、SMSアンケート、メールフォームからの問い合わせ、チャットボット

トーク分析

●概要
「顧客とオペレーターのやり取り」を分析する
●効果
オペレーターの能力アップ

顧客とオペレーターがやり取りする録音音声

ご覧の通り、分析項目によって、分析対象や得られる効果が異なります。こうした違いを押さえたうえで、コンタクトセンターの分析を行っていきましょう。

3.コンタクトセンター(コールセンター)の4つの分析対象

前項では、コンタクトセンター(コールセンター)における「分析項目(=何を分析するのか)」について、解説しました。
本項では、収集した分析対象について詳しく解説します。

コールセンターの分析対象4つ

・コールセンターシステム
・モニタリング
・コールログ
・アンケート調査

一つずつ、見ていきましょう。

3-1.コンタクトセンター(コールセンター)システム

コンタクトセンター(コールセンター)における生産品質/接続品質は、各種定量的な数値を分析することが必要になります。

コンタクトセンターシステムは、オペレーターの生産品質(業務効率)やコンタクトセンターの接続品質(稼働状況=つながりやすいか)などを分析することができるシステムです。

以下の通り、「定量的なデータ(時間、件数など)」を収集して、コンタクトセンターの品質を計測するのが、コールセンターシステムの基本的な特徴です。

コンタクトセンター(コールセンター)システムの分析内容

●オペレーターの生産品質(業務効率)
「スピーディな応対」が、オペレーターに求められる要件の一つ
この要件を満たしているかについて、
「時間」や「件数」などの指標で計測する


<計測する指標例>
・平均処理時間(AHT)
・平均通話時間(ATT)
・平均処理件数(CPH)
・平均後処理時間(ACW)

●コンタクトセンターの接続品質(稼働状況=つながりやすいか)
つながりにくいコンタクトセンターは、それだけ顧客にマイナスな印象を与える
この要件を満たしているかについて、
「時間」や「件数」などの指標で計測する


<計測する指標例>

・応答率
・サービスレベル(SL)
・放棄呼率

3-2.コールログ

顧客からの声を集約する方法としてコールログの分析があります。
コールログとは、オペレーターが顧客応対したあとに、応対内容をCRMシステムに記録したデータのことです。

コールログは顧客が何に疑問をもったか、何に関心があるか、どういう希望を抱いているかが記録された貴重なデータとなります。またどういう応対を行うことで満足されたのか、オペレーターに対応されたときの顧客の心理・気持ちもわかるため、VOC分析の基礎データとなります。

自社のコンタクトセンター(コールセンター)のVOC分析はコールログからが始めやすいです。

3-3.アンケート調査 

顧客からの声を集約するもう一つの方法として、アンケート調査もあります。

アンケート調査では、メールやチャットボットなどを通じて、オペレーターの応対品質や商品・サービスに対する満足度を測ります。
「アンケート調査項目」としては、以下のようなものが挙げられます。

アンケート項目の例

●オペレーターに対するアンケート
・オペレーターの応対に満足できたか
・オペレーターの応対によって、問題は解決されたか

●商品・サービスに対するアンケート
・商品・サービスについて満足しているか
・商品・サービスをどのくらい同僚や友人に紹介したいか
 (=NPS(ネットプロモータースコア))

このうち、上記の4つ目で挙げた「NPS(Net Promoter Score/ネットプロモータースコア」では、「商品・サービスが、どのくらいおすすめできるか」を顧客に質問することで、顧客推奨度を分析します。

NPSの例

NPSは、コンタクトセンター(コールセンター)でよく用いられるアンケート調査の一つです。

注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標又はサービスマークです。

NPSについて下記の記事で詳しく解説しています。こちらもご確認ください。

3-4.モニタリング

トーク分析を行うには応対内容を確認し、適切な応対がされているかの分析が必要になります。そのため手法としては、モニタリングが最適です。

モニタリングとは、スーパーバイザーなどが、録音されたオペレーターと顧客の「応対記録」を聴き、その評価をオペレーターにフィードバックすることで、能力アップに役立てることです。

先述の“コンタクトセンター(コールセンター)システム”は、時間や件数などの定量的なデータを収集・分析する一方、モニタリングは、定性的な情報(=オペレーターと顧客がやり取りする音声)を分析する点で、大きな違いがあります。

モニタリングでは、“オペレーターに求める理想の応対”を明確化したうえで、あらかじめ設けたチェック項目と突き合わせて評価するのがポイントです。

モニタリングのチェック項目としては、以下のようなものが挙げられます。

モニタリングのチェック項目例

●オペレーターに対するチェック項目
・挨拶や敬語などを適切に使えたか
・聞き取りやすい話し方だったか
・顧客と円滑に会話できたか
・顧客の悩みを、正確に把握できたか
・顧客がストレスを感じている様子はなかったか
・顧客は再び問い合わせる必要はなくなったか
・顧客から好意的な反応が得られたか
・顧客の感情を理解して受け止め、寄り添う姿勢を示せたか

4.コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行うときの3つのポイント

最後に、コンタクトセンター(コールセンター)の分析をするときに知っておきたいポイントをご紹介します。活用できる有意義な分析をするためにも、これからお伝えする3つのポイントを意識してみてください。

コンタクトセンター(コールセンター)の分析をときの3つのポイント

・「データ分析の目的」を明確化する
・「仮説」を立てて分析する

・データの正確性・可視化性・期間を確認する

4-1.「データ分析の目的」を明確化する

コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行う時にはデータ分析の目的を、明確化しておきましょう。

一言でいえば「データ分析を行うことで達成したいゴールを決めておく」ということです。
「他のコンタクトセンターも行っているから自社でもデータ分析を行おう」といった曖昧な目的で行っても、成果を生み出さないからです。

“分析のための分析”にならないよう、注意してください。達成したいゴールを決めることで、おのずとデータ分析項目も定まります。

例えば、ポテトチップスを製造する菓子メーカーの場合は、以下のようなプロセスに従ってデータ分析の目的を設定します。

データ分析の目的設定のプロセス

<現状の課題>
・ポテトチップスの売上が落ちている
 ↓

<データ分析の目的(ゴール)>
・〇月〇日までに、ポテトチップスの売上を向上させる
 ↓

<データ分析項目>
・自社のポテトチップスの「味」に関する「顧客の意見・要望」
・自社のポテトチップスに対するポジティブな(もしくはネガティブな)「顧客の意見」
・自社のポテトチップスに対する「イメージ」に関する「顧客の意見」
・ポテトチップスのブランド、メーカーに関する「顧客の意見」
・「こんな商品があったら嬉しい」といった新商品に関する「顧客の意見・要望」

4-2.「仮説」を立てて分析する

データ分析を行う際には“どのデータを分析すべきかについて仮説を立てる”のがポイントです。

数えきれないほど存在するデータ項目のすべてを分析することはできないからです。
最短ルートで知りたい情報を得るためには、仮説を立てて(=あたりをつけて)、分析に取り組むことが大切です。

例えば、ポテトチップスを製造する菓子メーカーが“女性向けの低カロリーポテトチップス”を開発したが、売上が低迷している場合、どんな項目を分析すべきだと、仮説を立てられるでしょうか。

考え方は、さまざまあるため、「これが正解」というものはないかもしれません。
しかし、一つの考えとしては、以下のような項目を分析するのではないでしょうか。

女性向けの低カロリーポテトチップスの売上が低迷している場合の分析項目

・女性顧客の声
ターゲットが女性なので、男性の声は外す
・低カロリーポテトチップスに対する「改善要求」に関する声
・低カロリーポテトチップスではなく、別のポテトチップスを購入する理由に関する声

売れていない理由を探る
・女性がポテトチップスを食べたい場所・シーンに関する声
食べたい場所やシーンに応じたパッケージデザインに変えるための声を収集する
例:「家でワインを飲みながら食べたい」→「オシャレなおつまみ」を彷彿させるパッケージにするなどのインサイトを得る

低カロリーポテトチップスの「味やパッケージデザイン」に関する声
売れるためのポイントを探る
 ↓

上記の項目をデータ分析すれば、狙ったターゲットに売れるために必要なデータを集められる

「現状の課題は〇〇だから、△△にアタリをつけて分析する」といったプロセスを経ると、スピーディかつ確実に、現状改善につながるデータが得られます。

4-3.データの正確性・可視化性・期間を確認する

コンタクトセンター(コールセンター)の分析をするときには「正確性」「可視化性」「期間」の3つを意識しましょう。

項目

概要

正確性

適切なKPI・分析項目に沿って計測している

可視化性

継続して分析データを可視化できている

期間

同等の期間・基準で比較している

正確性は、コンタクトセンターの分析をする基準を明確に定めているかどうかです。
例えばオペレーターの稼働率や出勤状況を分析したいと考えたとしましょう。

このときにAさんは出勤簿をもとに管理、Bさんは稼働率をもとに管理していると同等の基準で分析できません。誰もが同じKPI・分析項目をベースに、正確な分析を行うことが大切です。

可視化性は、継続して分析データを可視化することです。
コンタクトセンターの分析は中長期的に行い、比較検討することが重要です。

一定期間データが抜けていると、適切な数値をもとに判断できません。
分析項目に応じたシステムを導入して、継続的に可視化できる仕組みを整えるようにしましょう。

そして期間は、同等の期間・基準で比較をすることです。
たとえば、オペレーターに関するKPIの分析期間とコンタクトセンターのKPIの分析期間が異なると、多忙期や閑散期、業務内容などのズレがあり適切な分析ができません。

必ず同じ期間・基準で比較をして「どのような課題があるのか」「どこが改善できているのか」確認するようにしてください。

5.コンタクトセンター(コールセンター)の分析はプロに任せよう

「コンタクトセンター(コールセンター)の分析をどうすればいいのかわかったが、工数がなく自社でやり切る自信がない…」
「チャネルも多様化してきており、複数チャネルでの結果をどのように分析していけばいいかわからない」

もしかしたら、このような課題をお持ちの方もいるのではないでしょうか。
とりわけ、中規模~大規模コンタクトセンターの場合であれば同様の課題をお持ちの方も多数いらっしゃいます。

扱うデータ量が増えるため、自社だけで対応するのが困難になってくるので、そういう際にはアウトソーシングを検討してみてもよいでしょう。

コンタクトセンターの状態により分析すべきポイントは多種多様になり、状況から分析すべき部分と新たな分析の手法を考えることができます。

トランスコスモスでは、運営を委託いただくことによりコンタクトセンターの品質向上だけでなく、企業で重要となるVOCを活用した商品やサービスの品質向上に向けた提案も実施していくことが可能です。

コンタクトセンターの品質を向上させて、価値を上げたいとお考えの方はお気軽にご相談ください。

まとめ

いかがでしたか。
ここまでの記事を通じて、コールセンターの分析に関して、理解が深まったのではないでしょうか。

ここで、本記事の内容をまとめます。

〇コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行う3つの目的は下記のとおり

・応対品質を向上させる(タイトルのみ変更)
・コンタクトセンター運営を適正化する
・商品やサービスの品質向上・開発に役立てる

〇コンタクトセンター(コールセンター)の分析項目は下記のとおり

・コールセンターのKPI
・コールリーズン
・VOC
・トークの内容

〇コンタクトセンター(コールセンター)の分析対象は下記のとおり

・コンタクトセンターシステム
・コールログ
・アンケート調査 
・モニタリング

〇コンタクトセンター(コールセンター)の分析を行うときの3つのポイントは下記のとおり

・「 データ分析の目的」を明確化する
・「仮説」を立てて分析する
・データの正確性・可視化性・期間を確認する

本記事が、データ分析について知りたい方のお力になれましたら幸いです。

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