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NPS®とは?その意味とメリット、調査・分析方法、活用事例を解説

「最近会社でNPSが導入されたが、どんなものだかよくわからない」
「NPSの調査はどのようにすればいいだろう? 調査結果の分析方法や活用方法は?」

NPSについて、そんな疑問を抱いている方も多いことでしょう。

「NPS」とは、「顧客ロイヤルティ」を数値化するための指標です。「顧客ロイヤルティ=顧客が企業の商品・サービスやブランドに対して抱く信頼・愛情」を把握し、これを高めることで企業の業績向上につなげることができるため、近年重視されるようになってきました。

その調査は、基本的には「この商品・サービスを家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という究極の質問ひとつを顧客に投げかけるというシンプルなものです。

が、それだけでは顧客からの「推奨度」しかわからないため、ほかにも
▢なぜその商品・サービスを推奨するのか/推奨しないのかという理由
▢商品・サービスまたは企業自体のイメージ、利便性、コストパフォーマンスなどの満足度
▢商品・サービスまたは企業自体への要望
▢何を改善すればより推奨したくなるか
などの質問項目を追加して、商品・サービスの改善に役立てるのが一般的です。

そこでこの記事では、NPSについて知っておくべきことを網羅しました。
まず、
◎「NPS」の意味
◎NPSを調査する必要性・メリット
◎「顧客満足度(CS)」との違い
といった基礎知識から解説します。

それを踏まえて、実際にNPS調査ができるよう、
◎NPS調査の方法
◎NPS調査の分析方法
◎NPS調査の注意点
をわかりやすく説明していきます。

さらに、
◎NPSの活用例
として、実際に調査結果を業績アップのために利用した企業の実例を紹介します。

最後まで読めば、NPSについて必要な知識はひと通り身につくはずです。この記事では、あなたの会社がNPSを適切に調査、活用できるよう願っています。

注:ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標又はサービスマークです。

1.NPSとは

この記事を読んでいる方がもっとも知りたいのは、「NPSとは何か」ということでしょう。
そこでまず最初に、NPSの意味や目的、なぜ必要なのかといった基本的なことからひもといていきましょう。

1-1.「NPS」の意味・定義

そもそも「NPS」という言葉は何を意味するのでしょうか?

「NPS」とは、「顧客ロイヤルティ」を数値化するための指標です。「Net Promoter Score(ネット・プロモーター・スコア)」の略で、日本語では「顧客推奨度」「正味推奨者比率」などと訳されています。

「顧客ロイヤルティ」は、顧客がある企業の商品やブランドに対して抱く「信頼」や「愛情」のことで、これを高めることで企業の業績向上につなげることができるため、近年重視されるようになった概念です。

が、これは顧客の感情に左右されるものであるため、数値化することが難しいのがネックでした。それを定量的に調査する方法として、2003年にアメリカの大手コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー」のフレドリック・F・ライクヘルド氏が提唱したのが「NPS」です。

顧客に対して「この商品・サービスを家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」「というアンケートを行い、点数で回答してもらうことで顧客ロイヤルティを数値化することが可能になりました。

その後、アメリカの大手企業がこのNPSを導入し、実際に有効であることが確認されたため、欧米を中心に広まり、近年になって日本でも採用する企業が増えています。

1-2.NPSを調査する必要性・メリット

NPSの意味はわかりましたよね。では、NPSは企業にとってなぜ有用なのでしょうか?これを調査する必要性、メリットとは何でしょうか。それは主に以下の3つが挙げられます。

企業の業績・収益アップにつながる

NPSは「企業への顧客の信頼度・愛着」をはかる指標であり、「この企業の商品・サービスやブランドを周囲の人にも勧めたいか」という質問に対する回答の結果です。

そのため、NPSスコアが高ければその顧客が商品やサービスを継続して購入する可能性が高く、また顧客間の口コミなどにより新規顧客の獲得につながる可能性も高いと考えられます。

実際に、NPSと企業の業績・収益には強い相関関係があることがわかっています。

前述した「ベイン・アンド・カンパニー」のフレドリック・F・ライクヘルド氏とともにNPSを開発したアメリカの「サトメトリックス」社は、さまざまな業界の400社以上の企業の顧客にアンケートを行い、15万件以上の回答を得た調査結果を「Net Promoter Score: The Power Behind A Single Number」と題する白書にまとめています。

これによると、調査した業界の多くにおいて、NPSと企業の財務成長とに高い相関性が認められたそうです。ということは、NPSスコアを上げる=顧客ロイヤルティを高めることで、業績や収益もアップする可能性が高い、といえます。企業としては、財務成長のために定期的にNPSを調査し、改善していく必要があるのです。

顧客に合わせた商品・サービス改善ができる

NPS調査では、顧客をアンケートの回答によって「推奨者」「中立者」「批判者」の3タイプに分類します。

その際に、ただ顧客ロイヤルティの程度を計測するだけでなく、
・推奨者には「どんな理由でこの商品・サービスを支持しているのか」
・批判者には「どんな理由でこの商品・サービスを支持できないのか」
という要因を探っていけば、それを商品やサービスの改善に利用できるのもメリットのひとつです。

ポジティブに支持されているポイントは、自社の「強み」としてより強化し、逆にネガティブな欠点として挙げられたことは、すみやかに見直していくのです。

NPS調査とそれを踏まえた改善をPDCAサイクルに組み込んでいくことで、よりよい商品・サービスを顧客に提供することができ、その結果、顧客ロイヤルティの向上と売上拡大が期待できるというわけです。

競合他社との比較がしやすい

NPSは、その質問項目も評価方法も、業界・企業にかかわらず基本的に共通に定められています。そのため、競合他社とスコアの比較がしやすく、自社が業界内で高い顧客ロイヤルティ得ているのか、あるいは他社に劣っているのかをひと目で把握することができるというメリットがあります。

日本では、「NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション」が前出の「サトメトリックス」社と業務提携を結び、2016年から定期的に「業界別NPSベンチマーク調査」を実施しています。その結果から、業界別にNPSが高かった企業のランキングと傾向分析を「NPS®業界別ランキング&アワードページで公開しているので、比較参照するといいでしょう。

1-3.「顧客満足度(CS)」との違い

「NPS」は顧客ロイヤルティをはかる指標ですが、これと似て非なる概念として「顧客満足度(Customer Satisfaction=CS)」というものがあります。

この2つは混同されがちなので、それぞれの特徴と違いをここで端的に説明しておきましょう。

NPS

◎顧客ロイヤルティ=顧客がその企業や企業が提供している商品・サービスに
 寄せる信頼や愛着を数値化する指標
◎調査・計測の方法は世界共通
 →同業他社との比較が容易
◎企業の業績・収益との相関性が強い
 →NPSが高いと企業の業績・収益も向上する傾向がある
◎顧客の「信頼・愛着」は長期的に継続すると期待できる

顧客満足度
(CS)

◎顧客が購入した商品やサービスにどの程度満足したかを数値化する指標
◎調査・計測の方法に一定の基準はない
 →他社との比較はしづらい
◎企業の業績。収益とかならずしもリンクしない
 →満足度は高くても、継続利用や他者への推奨をしてくれるかどうかは不確
  定
◎顧客の「満足」は商品・サービスの購入時や利用時のもので短期的

NPSが確立される以前は、企業が顧客のニーズや傾向を把握する指標として、顧客満足度が重視されていました。

が、さまざまな研究の結果、顧客満足度が高くても、かならずしも企業の業績アップにはつながらないことがわかってきたのです。

たとえば、「顧客別収益性分析における顧客満足の視点からの考察」(島田康人/「経済科学」第51巻第4号/2004年)では、顧客満足と顧客別の収益性について分析した結果、

顧客満足と顧客ロイヤリティとは密接な関係があり、顧客を保持するためには顧客満足を高めることが不可欠である」としながらも、「顧客満足と顧客別の収益性に上記の顧客満足と顧客ロイヤリティと同様の正の相関関係がかならずしも成立するとはかぎらない。すなわち、顧客満足が高い顧客が高い収益性を示すことは恒常的に成立しない」「個々の顧客に対して企業は顧客満足を高めることに成就したとしても企業全体の収益性が向上することは保証されない」

出典:「顧客別収益性分析における顧客満足の視点からの考察」(島田康人/「経済科学」第51巻第4号/2004年)

と述べています。

また、「顧客満足度とロイヤリティの構造に関する研究」(山本祐子、圓川隆夫/「日本経営工学会論文誌」51巻2号/2000年)では、

「最近、CSが高水準を示しているにもかかわらず売上げが下落するという、CSの結果がロイヤリティの上昇につながらない『ロイヤリティ ≠ CS』である事例がいくつか報告されている」としてこれを検証、顧客アンケートの集計結果から、「『ロイヤリティ=CS』とみなすことには問題があり、むしろ『ロイヤリティ≠CS』と考えるほうが妥当ともいえる」「今日、CSが高くても、それが次の購買や継続利用につながるとはいい難い。ロイヤリティの獲得は、CSとそれ以外の要素が絡み合ってはじめて実現するものと考えられる」

出典:「顧客満足度とロイヤリティの構造に関する研究」(山本祐子、圓川隆夫/「日本経営工学会論文誌」51巻2号/2000年)

と結論づけています。

これらのことから、NPSと顧客満足度との最大の相違点は、「企業の収益や業績アップにつながる/つながらない」ということだといえるでしょう。そのため、従来は顧客満足度に注目していた企業も、近年ではNPSのほうに重点を移すようになってきています。

2.NPS調査の方法

ここまでで、NPSとは何なのか、どんな意味があるのかはわかりました。
では、実際にNPSを調べるには、どのような方法をとればいいのでしょうか?
この章では、その調査方法と計測方法をわかりやすく解説します。

2-1.NPS調査の質問項目

まず、顧客にNPSのアンケート調査を実施します。NPS調査の質問項目は、基本的には以下の2問だけに集約されます。

あなたは当社(または当社の商品・サービス)を、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?

これに対して、0から10までの11段階の数値で回答してもらいます。推奨度がもっとも高いのが「10」、もっとも低いのが「0」です。

ただ、この質問だけでは「どんなところが気に入っているのか」「何が不満なのか」といった理由、原因、動機はわかりません。そこで、2問目は「推奨する/推奨しない」評価の理由を聞きます。

上記のように回答した理由をお答えください。/(自由回答)

また、追加で前出の2問に、以下のような質問の中から必要なものを追加するのが一般的です。

◎顧客の属性:年齢・性別・職業など
◎商品・サービスまたは企業自体のイメージ、利便性、コストパフォーマンスなどの満足度
◎商品・サービスの利用状況
◎競合他社の利用状況
◎商品・サービスまたは企業自体への要望  など

たとえば一例として、以下のような質問票が考えられます。

NO.

設問

回答方法

Q1

あなたは当社(または当社の商品・サービス)を、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?

0~10の11段階で回答

Q2

上記のように回答した理由をお答えください。

自由回答

Q3

当社(または当社の商品・サービス)について、以下の点の満足度をお答えください。

1

ブランドイメージの良さ

2

商品の品質

3

従業員・窓口の対応

4

商品説明のわかりやすさ

5

アフターサービス

6

コストパフォーマンス

0~10の11段階で回答

Q4

当社(または当社の商品・サービス)のことを推薦していただくために最も重要な改善すべき点は何でしょうか?

自由回答

質問内容は業種によっても異なりますので、自社に必要な情報を取捨選択して決定してください。

2-2.NPSの計算方法

アンケートが集まったら、その結果を集計しましょう。まず、基本の質問「あなたは当社の商品・サービスを、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」に対する回答を、数値によって以下の3タイプに分類します。

◎9~10:推奨者
◎7~8:中立者
◎0~6:批判者

NPSの計算方法

その上で、以下の計算式でNPSを算出します。

推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)=NPS

たとえば推奨者が40%、批判者が30%の場合のNPSは「10」となり、推奨者が25%、批判者が50%の場合はNPSが「-25」となります。推奨者が多いほどNPSスコアは高くなるわけです。

ちなみに3つのタイプには、それぞれに以下のような特徴があるとされています。調査結果を分析する際の参考にしてください。

顧客属性

点数

特徴

推奨者
(プロモーター)

9~10

その企業(またはその企業の商品やサービスなど)に対して非常に忠実な熱狂的ファン。家族や友人知人、同僚などにその企業(または商品やサービス)について好意的・肯定的に話をし、自らもリピーターになる。

中立者
(パッシブ)

7~8

支払った額に見合う価値は感じていて一応満足しているが、それ以上ではない。推奨者ほど熱心なファンではなく、家族や友人知人などにその企業(または商品やサービス)を紹介することもほとんどない。機会があれば、競合他社の顧客に移行してしまう可能性あり。

批判者
(デトラクター)

0~6

その企業(または商品やサービス)を利用したことについて、良いとは感じていない、もしくは失望している。家族や友人知人、同僚などにはその企業(または商品やサービス)の悪い評判を伝え、競合他社の顧客に移行していく。もし、やむを得ず利用し続けなければいけない状況であれば、クレームを寄せてくる可能性あり。

2-3.NPS調査の流れ

では、実際にNPS調査はどのような手順で行えばいいのでしょうか?一般的には以下のような流れになります。

①調査の種類を決める
NPS調査には、大きくわけて以下の2種があります。

◎リレーショナル調査:企業ブランド全体に対する推奨度調査
 →顧客がその企業のブランドについて、商品を購入したりサービスを利用したり問い合わせをし
  たりといったすべての体験を含めた上で、推奨度を評価します。

◎トランザクショナル調査:個別の利用体験ごとの推奨度調査
 →顧客がその企業の商品を購入したりサービスを利用したり、WEBサイトを閲覧したりといった
  体験をした直後に、その体験のみについての推奨度を評価します。

この2種のうちどちらを実施するかで、質問内容やアンケート方法、調査時期などが異なってきますので、まずこれを決めましょう。

一般的には、先にリレーショナル調査を行って全体像を把握し、特に推奨度が低かった点についてトランザクショナル調査を行う、という順番をとることが多いようです。

②アンケートの実施方法を決める
次に、アンケートの実施方法を決めましょう。
・店舗などで来店客にアンケート用紙に記入してもらう
・既存顧客にメールでアンケートを依頼する
・WEBサイト利用後にアンケート画面に誘導して回答してもらう
など、さまざまな方法が考えられます。

お得意様に回答してほしいのか、新規顧客や見込み顧客にも回答してほしいのか、どんな属性の人を対象にするのかなど、欲しい回答にあわせてアンケート方法を決めてください。

③アンケートの質問項目を考える
同時に、アンケートの質問項目を考えます。

2-1.NPS調査の質問項目で説明したように、
Q1:あなたは当社(または当社の商品・サービス)を、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?
Q2:上記のように回答した理由をお答えください。
の質問は基本的には固定として、

Q3:当社(または当社の商品・サービス)について、以下の点の満足度をお答えください。
について考えていきましょう。

その際には、「顧客体験(カスタマー・エクスペリエンス)」を意識してください。顧客が実際にどのようにして商品やサービスに興味を持ったか、どのように購入に至り、どのように利用して何を感じたかという具体的な体験をイメージし、それに沿って質問項目を考えれば、有用な回答が得られるアンケートをつくることができます。

たとえば飲食店の場合、顧客体験とそこから考えられる質問は、
・店舗に行く:立地は便利か?
・注文をする:接客対応は良いか?
・料理がくる:提供までの時間は早いか遅いか?
・食べる:味はどうか?
・支払いをする:コストパフォーマンスは良いか?
などが挙げられるでしょう。

④顧客にアンケート調査を実施する
質問項目が決まってアンケートができたら、②で決めた方法でアンケートを実施します。サンプル数は多ければ多いほどより精度の高いNPSスコアが得られますので、できるだけ多くの回答を集めましょう。統計的には、最低でも400件のサンプルが必要とされていますので、それ以上、できれば1000件単位を目指してください。

⑤アンケートを集計する
回答が集まったら、「あなたは当社の商品・サービスを、家族や友人・知人にどの程度勧めたいですか?」の質問に関しては、「 2-2.NPSの計算方法 」で説明したように集計し、NPSを算出します。また、それ以外の質問の回答もそれぞれに集計しましょう。自由回答の項目については、似たような回答を集めて分類します。

⑥アンケート結果を分析する
集計・計算した結果を踏まえて、推奨度や顧客ロイヤルティの傾向や課題を洗い出し、分析します。これについては、次章3.NPSの分析方法で説明しますので、そちらを参照してください。

⑦課題を改善し、強みを強化する
NPSを分析することで、自社の強みと課題が浮き彫りになります。それにたいして、強みはより強化し、課題はすみやかに改善するために、施策を検討しましょう。

この一連の流れを繰り返すことで、NPSが向上し、顧客ロイヤルティは高まり、その結果として収益アップにつなげることができるはずです。

3.NPS調査の分析方法

NPS調査の分析は、以下の3つにわけて行います。

1)基本の質問「あなたは当社の商品・サービスを、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくら
  いありますか?」の回答からNPSスコアを算出する
2)「推奨する/推奨しない理由」などの自由回答を集計・分類して分析する
3)「商品・サービスまたは企業自体のイメージ、利便性、コストパフォーマンスなどの満足度」を
  集計、座標図にして改善点を抽出する

1)については2-2.NPSの計算方法で説明済みですので、ここでは2)と3)について解説しましょう。

3-1.自由回答の分析方法

「商品・サービスを推奨する理由」または「推奨しない理由」については、自由回答や選択式回答になるでしょう。その場合は、以下の手順で集計・分析を行います。

・回答を「ポジティブ」と「ネガティブ」にわける
集まった回答を、それぞれ以下のようにして肯定的=ポジティブな意見と否定的=ネガティブな意見とに仕分けます。

その際には、
・顧客属性:推奨者・中立者・批判者のいずれか
・基本の質問への回答=推奨度:0~10
・顧客情報:性別や年齢、商品購入回数やサービス利用回数など

などの情報も整理しておきましょう。

<仕分けの例>

推奨度

性別・年齢

利用
回数

自由回答コメント

ポジティブ
ネガティブ

10

女性・20代

5

店員さんの対応がとても感じがいい

ポジティブ

6

男性・30代

3

他店にはない珍しい商品がある

ポジティブ

2

女性・20代

1

買ったものがすぐ故障した

ネガティブ

7

女性・40代

8

アフターサービスが充実している

ポジティブ

4

男性・20代

2

商品はいいと思うが値段が高い

ネガティブ

3-2.満足度の分析方法

2-1.NPS調査の質問項目で挙げた質問票の例では、Q3で「商品・サービスまたは企業自体のイメージ、利便性、コストパフォーマンスなどの満足度」を質問しています。

これについては、3段階、5段階、10段階などの段階制で回答してもらうといいでしょう。そして、その結果を数値として集計し、以下のような座標図にマッピングします。これは、顧客満足度の分析でよく利用される方法です。

【顧客満足度分析の座標図の一例】

顧客満足度分析の座標図の一例

この座標の横軸は、アンケートで回答された満足度の平均値です。また縦軸は、満足度と推奨度との相関係数、つまり「各項目の満足度が、顧客ロイヤルティとどの程度強い関係があるか」を示しています。上記のデータのように改善点を抽出し、改善施策に活用します。

4.NPS調査の注意点

NPSの調査方法と分析方法を説明してきましたが、実際に調査を実施する際には、注意しなければいけないポイントがあります。この章ではその注意点を説明します。

4-1.他社との比較は同業種内でする

実はNPSスコアには、業種によって平均値に最大30ポイントほどの大きな差が生じるという特徴があります。そのため、他業種の企業のスコアを参照・比較しても意味がないと言われています。

NPSスコアを他者と比較するなら、かならず同業種内に限定しましょう。そうすれば、自社が業界内でどの程度の立ち位置にいるか、顧客からどう評価されているかを把握することができます。

4-2.日本では数値がマイナスに出やすいことを意識する

NPSは世界共通の指標ですが、なぜか日本では全体的に数値が低くなりやすく、マイナスのスコアが出がちだと言われます。これは、日本の文化的背景などから、アンケートではつい真ん中の数値を選んでしまう「中心化傾向」があるためではないかと分析されています。

通常のアンケートであれば、中心値は「普通」をあらわしますが、NPSでは「0~6」は「批判者」です。そのため、厳しい結果が出やすいというのです。

となると、同業他社を比較する際に、海外のデータとは比較できないということになります。もし海外のデータを参照する場合は、「日本のスコアは全体的に低く出ている可能性がある」ことを前提として見るようにしましょう。

4-3.サイレントマジョリティの存在を忘れない

これはNPS調査に限ったことではありませんが、顧客にアンケートを実施する際、回答してくれるのは一部の顧客、それも「アンケートに協力しよう」「自分の意見を伝えよう」という意識を持った、一定以上に能動的な顧客だということを忘れてはいけません。

能動的な顧客の意見は、ときに偏った傾向を示すことがあります。そこにばかり耳を傾けて、そのニーズにこたえていくと、反対にサイレントマジョリティの要望からは離れてしまうかもしれません。トランスコスモスの自主調査である「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」では、不満発生時の「サイレントマジョリティ」は「46%」も存在します。

多くの場合、アンケートに回答しない顧客のほうがはるかに多数派で、その「声をあげない多数の顧客=サイレントマジョリティ」の意見も非常に重要なのです。

そこで
◎アンケートはなるべく多くの顧客から回答をもらう
◎できればアンケート以外の顧客情報、購入履歴やサイト閲覧履歴なども分析して、サイレントマジョリティの意見もくみとる
といった取り組みが必要でしょう。

5.NPSの活用例

ここまで「NPS」とは何か、どのように調査・分析するのかを解説してきました。
では各企業は、このデータをどのように活かしていけばいいのでしょうか?
最後に、実際にNPSをうまく活用して成果をあげた企業の事例を紹介します。

5-1.東京メトロ

東京メトロは、2004年の民営化を機に、利用者の声をサービス改善に生かそうと考え、WEBアンケートやモニター調査などさまざまなチャンネルで意見を集めています。

NPSも導入し、2015年からは駅に置かれる自社のパンプレットの裏面にNPSアンケートを掲載することにしました。その結果、2,000通もの回答が集まりましたが、適切に分析するノウハウがなく、せっかくのアンケートをうまく活かせなかったそうです。

そこで、専門のリサーチ会社にアンケート調査と分析を依頼しました。
・路線の推奨度
・パンフレットの推奨度
の2点について質問したところ、

たとえばパンフレットについては、
・年配者から「文字が小さくて読みにくい」という意見が多かったので、次号から文字を大きくし
 た
・子どもを持つ親からは、「子どもと読むことが多い」という声があがったため、子ども向けにル
 ビをふったコンテンツをつくった
などの改善を行い、利用者の要望に応えています。
引用:クリエィティブサーベイ社  NPS®の活用事例9選

5-2.アメリカン・エキスプレス・インターナショナル

世界中で「アメックス」として知られるクレジットカードを発行するアメリカン・エキスプレス・インターナショナルは、2007年にNPSを本格的に導入しました。年2回のNPS調査を実施して、顧客ロイヤルティの向上に成功しています。

一例をあげると、NPSの分析結果から、顧客がカードを紛失したときの対応が顧客ロイヤルティに大きく影響しているということがわかったそうです。そこでアメックスは、カードの再発行を迅速に行える仕組みをつくって顧客の要望にこたえました。

さらに、海外からカード紛失の連絡をしてきた人には、アメックス以外のクレジットカードや銀行のキャッシュカードなどの連絡先も案内するようにしたといいます。

それ以外にもさまざまな取り組みを行った結果、
・顧客のカード解約率が25%まで減少
・一人当たりのカード利用額の平均が10%アップ
など、業績が上がる結果となりました。
引用:クリエィティブサーベイ社  NPS®の活用事例9選

まとめ

いかがでしょうか?
NPSについて、基本的な知見が整理できたかと思います。
なお、さらに詳しく知りたい方は以下リンクが参考になりますので是非ご確認ください。

トランスコスモスでは、顧客のタッチポイント(コンタクトポイント)となる情報接点において、顧客ロイヤルティを向上させるために様々な施策に取り組んでおります。

WEB接点では、顧客が知りたい内容にダイレクトにアクセス出来るようにFAQ導線の改善、企業ページ上では、顧客が求めている場面でのWEB接客(チャットボットやチャット)の実施、接客を実施する際にも、顧客が求めていることに対して、企業の顔としてどのような対応を実践したいかをお客様企業と取り決めたうえでタッチポイントでの顧客ロイヤルティ向上を支援しております。

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ではあらためて、この記事の要点を振り返ってみましょう。

◎「NPS」とは、「顧客ロイヤルティ」を数値化するための指標

◎NPSを調査する必要性・メリットは、
・企業の業績・収益アップにつながる
・顧客に合わせた商品・サービス改善ができる
・競合他社との比較がしやすい

◎NPS調査の質問項目は、
・「あなたは当社の商品・サービスを、家族や友人、同僚に薦める可能性はどのくらいあります
 か?」の1問が基本
・そこに、顧客の属性、推奨する/推奨しない理由、どうすればより推奨したくなるかなどの質問
 を追加する

◎NPSは0~10までの10段階評価で、
・9~10:推奨者
・7~8:中立者
・0~6:批判者
 に分類する
 →推奨者の割合(%)-批判者の割合(%)=NPS

これを踏まえて、あなたの会社が適切にNPSを調査・分析し、業績アップにつなげられるよう願っています。