「自社内でコンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げたいけど、何から始めれば良いか分からない」
「コンタクトセンター立ち上げに必要なステップや費用が知りたい」
このようにお考えではないですか?
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げようとしても、何から手を付けて良いか分からないことがあるでしょう。
コンタクトセンターの立ち上げは以下の流れで行うことが一般的です。
また、コンタクトセンターを立ち上げる場合には、企業の目的や方向性に合ったプランを設計する必要があります。
具体的には以下の3つの点についてもしっかり考える必要があるでしょう。
この中でも特に注目すべきなのが、「顧客のニーズに合わせたチャネルを用意する」という点です。
近年では電話だけでなくチャットやメール、メッセージアプリなど様々なチャネルを活用する顧客が増加しています。
顧客のニーズに合わせたチャネルを採用することで、顧客は自身の使いやすいツールを活用して自由に問い合わせができるようになります。
その結果顧客満足度向上につながるなど、企業としても業務効率化に期待ができます。
そこでこの記事では、コンタクトセンター立ち上げのステップや成功させるポイントなど、以下の内容を詳しく解説していきます。
この記事のポイント |
・コンタクトセンター立ち上げまでの6ステップ |
この記事をお読みいただくことで、コンタクトセンターの立ち上げに必要な情報はすべて網羅できると思います。
ぜひこの記事を参考にしていただき、コンタクトセンター立ち上げ時の参考にしていただければ幸いです。
1.コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げまでの6ステップ
それでは早速、コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げるステップについて解説していきます。
具体的には、コンタクトセンター立ち上げまでには、以下のような6つのステップがあります。
以降、具体的なステップごとの詳細を解説していきます。
1-1.【ステップ1】コンタクトセンター(コールセンター)の目的・ゴールを決める
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げる最初のステップは、コンタクトセンターを設置することで何を実現したいのか、その目的とゴールを決めることです。現状はどのような状態なのか、そしてあるべき姿はどのようなイメージなのかを具体化します。
コンタクトセンターにおいては目的・ゴールをKGIという指標を用いて設定します。
KGIとはKey Goal Indicatorの略で、最終的な目標のことを指します。「売上個数」や「顧客獲得数」など、自社の利益につながるものをKGIとして設定します。
コンタクトセンターにおいてKGIの設定は必須です。
目的・ゴールが曖昧なままコンタクトセンターを立ち上げてしまうと、運営方針にズレが生じ、結果的にオペレーターのモチベーション低下や顧客満足度の低下につながってしまうためです。
コンタクトセンターの目的やゴールが定まらないと、ルールなどが変わるたびに振り回される従業員は不満を持ち、モチベーションが下がってしまいます。
そうした状況下でコンタクトセンターを運営しても、モチベーションの低下が影響して応対品質も下がり、結果的に顧客満足度も下がってしまう可能性があるのです。そのため、コンタクトセンターの目的やゴール(KGI)をしっかりと設定し、全従業員に理解してもらうことが大切です。
例えばコンタクトセンターでは、以下のように具体的な数値目標をKGIとして設定します。
コンタクトセンターの目的の設定例 |
・顧客満足度の前年比〇%アップを狙う |
目標設定を行う場合には、以下の「良い例」のようにゴールを具体的に数値で設定するようにしましょう。そうすることで達成しているかどうかを客観的に評価することができます。
良い例 | 悪い例 |
顧客満足度を20%向上させる | 顧客満足度を向上させる |
定期購入顧客を10%増加させる | 定期購入顧客を増加させる |
解約率を30%減少させる | 解約率を減少させる |
トランスコスモスでは、コンタクトセンターの目的やゴールを設定する際には、ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)活動を通して具体化していく方法を推奨しています。
MVVを策定することで、企業のありたい姿(Vision)を理解し、コンタクトセンターが果たすべき役割・存在意義(Mission)を認識した上で、ミッション・ビジョンを実現するための個人の行動指針(Value)まで落とし込みます。
MVVの策定について詳しく知りたい方は、以下の記事をぜひご参考にしてください。
1-2.【ステップ2】構築に向けたプランを設計する
ステップ1で決めた目的・ゴールに基づいて、構築に向けた具体的なプランを設計していきます。
具体的には、以下の4点を中心にプランを立てていきましょう。
それぞれについてより詳しく解説していきます。
業務プロセスを設計する
構築に向けたプラン設計の最初のステップは、業務プロセスの設計です。ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)内の業務をどのようなプロセスで行うのかを決定します。
まずは、コンタクトセンターを立ち上げた後に想定される業務を全て洗い出します。
以下の項目を詳細に決めておくと、目標達成のための運用や緊急時のトラブルの際にもスムーズに対応できるため、参考にしてください。
コンタクトセンターの業務プロセス一覧 |
・コンタクトセンターの運営内容 |
課題や業務フローを洗い出したら、具体的にどう対応するかまで検討して、業務プロセスを設計していきます。
以下は、オペレーターの業務の報告に関してのプロセスの例です。
・出勤後、業務管理システムに各々のIDでアクセスする |
以上はまだざっくりとした業務プロセスです。実際には細かなトークスクリプトの設計が必要ですし、業務管理システムの内容によりその業務フローは大きく異なります。
かなり細かい業務フローまで想定して洗い出し、対応策まで設定することで、具体的な業務プロセスを設計できます。
マネジメント体制・管理方法を設計する
「業務プロセスを設計する」で設計した業務プロセスをもとに、今度はそれらの業務プロセスが問題なく回るためのマネジメント体制や管理方法を設計していきます。
業務を上手く回すために必要となる管理項目を洗い出し、どのタイミングで、どのような手法で管理するのかを明確にします。
そうすることで、うまく運営出来なかった場合に軌道修正ができたり、経営判断の基準にしたりすることができるのです。
正しくマネジメントするためには「KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)」を設定して目標を可視化しておくと、コンタクトセンター(コールセンター)の運営が問題なく行えているか判断しやすくなります。
コンタクトセンターにおいてKPIとして一般的に設定されることが多い指標は以下のとおりです。
コンタクトセンターにおいてKPIとして一般的に設定される指標 | |
応答率 | 着信に対してオペレーターが応対した割合のこと |
放棄率(放棄呼率) | オペレーターが対応する前に切れたコールのことを「放棄呼」という |
サービスレベル(SL) | 設定した時間内にオペレーターが対応した割合のこと |
平均応答速度(ASA) | 着信から応答にかかるまでの時間の平均のこと |
稼働率 | オペレーターの労働時間のうち、応対にかけた時間の割合のこと |
平均処理時間(AHT) | 通話や後処理など、顧客の対応にかけた時間の平均のこと |
平均後処理時間(ACW) | 顧客との通話後の後処理にかけた時間の平均のこと |
コスト・パー・コール(CPC) | 1件あたりの電話対応にかかるコストのこと |
欠勤率 | オペレーターの予定勤務日数に対して、欠勤した日数の割合のこと |
離職率 | 一定期間内に離職したオペレーターの割合のこと |
こうしたKPIを設定してコンタクトセンターの運用が上手くいっているかどうかを判断できるようにしておきましょう。
コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げに必要な組織体制を設計する
ここまでに洗い出した項目をもとに、コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げに必要な工数を計算し、構築に必要となる組織体制プランを設計していきます。
運用時に必要となる人員だけでなく、立ち上げ時に必要となる人員も同時に考えなければなりません。
立ち上げ時の人員 | ・システム設計・構築やマニュアル作成などの実際の作業を誰が担当するか |
運用時の人員 | ・コンタクトセンターのオペレーターは何名必要になるか |
「1-1.【ステップ1】コンタクトセンター(コールセンター)の目的・ゴールを決める」でも解説した通り、組織体制を設計する上では、最初に設定した目的やゴールが大切になります。
コンタクトセンターを立ち上げることで実現したい内容を明確にすることで、そのために必要な組織の人数もおのずと決まってくるでしょう。
たとえば小規模のコンタクトセンターを作るならば、オペレーターやマネジメント要員は数人で済みます。数人のオペレーターを採用し、別部署の社員にマネージャーを兼務してもらうなどで対応できるかもしれません。
しかし、企業の売上アップに寄与するような戦略的なコンタクトセンターを立ち上げたいならば工数はそれなりに大きくなります。必要な規模によっては自社内で人員を賄うことが難しくなったり、場合によってはコンタクトセンターのアウトソーシングが最適と判断することもあるでしょう。
いずれにしても早い段階で必要なリソースを、なるべく具体的に想定しておくことをおすすめします。
人材育成プランを設計する
最後に、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターやマネジメントを行う担当者の人材育成プラン(教育プラン)を設計します。
自社の商品・サービスが良くても、コンタクトセンターでの応対品質が悪ければ、顧客への企業イメージや顧客満足度が低下してしまうおそれがあります。
そのため、コンタクトセンターの応対品質が自社の売上・利益に影響を与えることを理解し、応対レベルの高い人材を育成するプランを設計しましょう。
人材育成において行うべき研修は「スタッフを育成する」で解説しています。
ちなみにコンタクトセンターを業務委託する場合は管理経験者を保有していることがほとんどなので、内製コンタクトセンターよりも期間とコストの短縮が見込まれます。
1-3.【ステップ3】コンタクトセンター(コールセンター)のシステムを構築する
「1-2.【ステップ2】構築に向けたプランを設計する」で設計した内容をもとに、実際にコンタクトセンター(コールセンター)のインフラやシステムを構築していきます。
洗い出した業務プロセスや業務フローに必要なインフラやシステムを設計し、構築します。
以下はコンタクトセンターで一般的に導入されているシステム・ツールです。自社に必要なものを以下から選びましょう。
電話(PBX)設置 | 電話回線・ヘッドセット・PBX(電話交換機)を必要数用意し、アナウンス、通話録音などの設定を行う |
CTIシステム導入 | コンピューターと電話をつなぐことができるシステム。 ひとつの電話番号にかかってきた問い合わせを複数の電話機に振り分けて、複数人のオペレーターが応対できる |
FAQシステム | 顧客からの問い合わせの際、顧客からの質問内容をシステムに入力することで、回答内容が表示されるシステム |
ネットワーク設計 | 自社のネットワークセキュリティポリシーの要件に合うネットワーク設計を進める |
設備(ファシリティ)の準備 | コンタクトセンター内部のレイアウトを決定し、必要となる什器、備品を手配。工事スケジュールに沿って準備を進める |
CRMツールの準備 | 現場のオペレーター目線で使いやすさを検証しながら、各種情報の設定を行う。管理者とオペレーターの権限設定も行い、動作を検証する |
ノンボイスサービスの準備 | 電話以外のノンボイスサービスを導入する場合は、各種ツール準備と導線設定を行う |
運用利用ツールの準備 | 運用で必要となるシステムを準備する |
ネットワーク設計・構築を行う際には、企業ごとに設定されたネットワークセキュリティポリシーの準拠が必要となります。
コンタクトセンターのシステムについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。
1-4.【ステップ4】各種マニュアルを作成する
コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げ時には、ハードウェアやソフトウェアといった物理的な準備とともに、各種マニュアルの用意も必要です。必要なマニュアルとしては、主に以下が挙げられます。
コンタクトセンター立ち上げ時に作成するべきマニュアル | |
オペレーター向け | ・現場オペレーター向けの応対マニュアル・トークスクリプト |
スーパーバイザー向け | ・顧客からの問い合わせなどをエスカレーションするマニュアル |
システム操作マニュアル | ・パソコンの操作方法・ID/PWルール |
コンタクトセンターごとに必要なマニュアルは異なります。上記以外にも自社に必要と思われるマニュアルを確認し作成しておきましょう。
コンタクトセンターのマニュアルの作り方について詳しくは、以下の記事も参考にしてください。
1-5.【ステップ5】必要なスタッフを確保する
各種マニュアルを用意できたら、いよいよオペレーターなどの人材を配置していくフェーズに入ります。
「コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げに必要な組織体制を設計する」で設計した組織体制をもとに、必要な人数のスタッフを確保しましょう。
ここでは、必要なスタッフの「採用」と「育成」の二つのフェーズについて解説します。
スタッフを採用する
まずは自社のコンタクトセンター(コールセンター)で働くスタッフを採用しましょう。
ある程度規模が大きなコンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げるのであれば、現場オペレーターは新しく採用することになるでしょう。委託や派遣、アルバイトなどを雇い入れしてコンタクトセンターを構築していくのが一般的です。
ただし、人材不足が常態化しているコンタクトセンター業界では、採用競争が激化しています。優秀なスタッフを確保するためには、応募者に選ばれる魅力的な条件や労働環境、業務内容をアピールすることが大切です。
具体的には、
・キャリアアップや将来に向けたスキルアップに役立つ |
といったように、自社のコンタクトセンターで働くメリットをしっかりと提示しましょう。
運営するコンタクトセンターが小規模なものであれば、社内から人材を確保し育成するという方法もあります。コンタクトセンターの規模にもよりますが、管理職を社内から選出して、オペレーターを採用するという方法もよく取られています。
スタッフを育成する
人材を確保できたら、オペレーターや管理者に向けた研修を実施し、実際のコンタクトセンター(コールセンター)運営に向けてスタッフを育成していきます。そのために必要な研修プログラム、研修で使用するテキスト、マニュアルなども事前に用意しておく必要があります。
【コンタクトセンター立ち上げ前に実施する研修の例】
応対品質研修 | 話の聞き方、敬語の使い方、ビジネスマナーなど基本的な応対品質を身につけるための研修 |
業務内容研修 | 企業概要や商品・サービスの内容を学ぶ研修 |
システム研修 | 対応に利用するシステムやツールの使い方や、ルールを学ぶ研修 |
情報セキュリティ研修 | 情報セキュリティについて守るべきポイントを学ぶ研修 |
コンプライアンス | 企業が定めるコンプライアンスを遵守するための研修 |
OJT研修 | 座学が終わった後に、現場で実際に行う研修 |
スキルアップ研修 | すでに現場に出たことがある経験者向けの研修 |
管理者向け研修 | エスカレーション対応、オペレーターの育成方法などについての研修 |
研修内容の分かりやすさや充実度が、そのままコンタクトセンタースタッフの定着率に直結します。
しっかり丁寧に研修を行うことはもちろん、座学とOJTを混ぜて行い、より実際の応対をよりイメージできるような研修を行うことが重要です。
また、コンタクトセンターが立ち上がったあとも、スキルアップ研修や1on1ミーティングなどを通じて、スタッフの気持ちに寄り添いながら適切なフォローを続けていきましょう。
そうした努力の積み重ねが、コンタクトセンターの質やスタッフのモチベーションをアップさせ、離職を防ぐポイントとなります。
1-6.【ステップ6】実行と検証・改善を繰り返す
人材育成のあとは、いよいよコンタクトセンター(コールセンター)を稼働させます。
実際には稼働しながらさまざまな課題が見えてくることと思います。定期的にマニュアルやオペレーションを見直しながら、向上させていきましょう。
コンタクトセンターの検証や改善には、短いスパンでPDCAを回すことをおすすめします。2〜3週間や1カ月など短いスパンで「計画」「実行」「評価」「改善」を行うことで、継続的に業務改善を行うことが可能となります。
2.コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げにかかる費用
それではここからは、コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げにあたりどのような費用がかかるのかを確認していきましょう。
立ち上げ時にかかる費用は、主に以下の2種類に分けられます。
それぞれについて、解説していきます。
2-1.初期設備にかかる費用の相場
コンタクトセンター初期費用 | 数十万・数百万円~(設備費のみ) |
コンタクトセンター(コールセンター)を新しく立ち上げるには、「1.コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げまでの6ステップ」までで解説したようにさまざまな設備やシステムを用意する費用が必要です。
・コンタクトセンターの内装工事費、場所代(家賃) |
上記項目に関連して、コンタクトセンターの規模や目的、必要なセキュリティ要件によって費用は大幅に変わるため一概に言えません。
しかし、ある程度の規模のコンタクトセンターを立ち上げるのであれば設備費だけでも2〜300万円はかかります。場所の準備から必要な場合は数千万単位以上の費用が発生する可能性もあるでしょう
また社内で準備する場合は、各種準備をしていくための調査工数・費用も含めて検討しておく必要があります。
2-2.人材採用にかかる費用の相場
オペレーターの時給 | 時給1,500~1,600円(首都圏相場) |
求人媒体利用料 | 20~40万円/月 |
コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げにあたって社内の人材リソースを使う場合は別ですが、新たにスタッフを雇う場合は人材を採用するためのコストが必要です。コンタクトセンターの業務内容や地域によって人件費は異なりますが、首都圏では1,500〜1,600円が相場といわれています。
また、その他にも特に新たにSVなどの管理者を雇う場合は、優秀な人材を確保するために相応のコストがかかります。
求人サイトは掲載箇所をどうするか、採用人数は何人かなどによってかなり採用費は大きく異なります。
2-3.業務委託の場合
コンタクトセンター(コールセンター)は業務委託することも可能です。委託する場合の費用は委託することも可能です。委託する場合の費用は業務内容や業務量によって異なります。コンタクトセンターの業務内容は以下のように「インバウンド」「アウトバウンド」の2種類に大別できます。
【コンタクトセンターを業務委託する際に委託できる業務一覧】
コールセンターの | 説明 | 委託できる業務 |
インバウンド業務 | 顧客からの電話に対応する業務 | ・商品の受注 |
アウトバウンド業務 | 顧客へ電話をかける業務 | ・テレアポ(新規顧客の開拓) |
また料金体系は主に「月額固定型」「従量課金型」「成果報酬型」の3パターンがあります。
【コンタクトセンターの主な3つの料金体系】
料金体系の種類 | 説明 |
月額固定型 | 毎月定額の費用を支払う料金体系のこと |
従量課金型 | 「コール件数×コール単価」によって料金を算出する料金体系のこと |
成果報酬型 | コールセンターの業務委託先の企業が達成した成果(アポイントメント取得件数など)に応じて料金が発生するという料金体系のこと |
3.コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げを成功させるポイント
それではここからは、コンタクトセンター(コールセンター)の立ち上げを成功させるための3つのポイントについて詳しく解説します。具体的には以下の3点について見ていきましょう。
・コストを見ながら規模を考える |
3-1.コストを見ながら規模を考える
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げる場合には、捻出できる費用を見ながら規模を考えるようにしましょう。いくら大規模なコンタクトセンターを設置しようとしても、予算が無ければ適切な問い合わせチャネルや応対品質の確保などが難しくなります。
コンタクトセンターは、広くしようとすればするほど当然ですがコストはかかります。
コンタクトセンターを充実させて顧客満足度の向上を狙いたいと考える企業も多いですが、そのような目的で規模の大きなコンタクトセンターを導入しても、実際には入電が少ないといったことになると意味がありません。
また、システムは充実しているのにオペレーターのスキルや人数が不足していれば、コンタクトセンターとして十分な機能を発揮できません。
例えば、規模はそれほど大きくなくても充実したスキルを持ったオペレーターを採用・育成したいと考えるのであれば、人件費に費用の多くを投入するのも一つの案です。
コンタクトセンターの費用の内訳の例 | |
オペレーター時給 | 1,500円/人 |
求人媒体利用料 | 100万円/月 |
コンタクトセンターのどの部分にどの程度の費用をかけるのかをしっかりと想定したうえで、規模やシステムの内容を詳しく考えていくことをおすすめします。
3-2.コンタクトセンター(コールセンター)システムを導入する
運用したいコンタクトセンター(コールセンター)の規模にもよりますが、ある程度の規模で立ち上げたいのであればコンタクトセンターシステムの導入をおすすめします。
コンタクトセンターシステムは企業によってその内容は異なりますが、主に以下のような機能が備わっています。
PBX/ACD | 構内交換機・着信呼均等分配 |
CTI | 電話とパソコンを連携させるシステム |
CMS | 着信呼数、応答呼数、放棄呼数、通話時間、後処理時間などのKPIをデータベース化して分析し、自動的に統計レポートを作成するシステム |
CTS | 一元的に顧客データベースを管理できるようにするシステム |
通話録音システム | 顧客との通話内容を録音できる機能 |
IVR | 自動音声応答 |
このように、コンタクトセンターシステムにはコンタクトセンターに必要なさまざまな機能が備わっています。ある程度の規模のコンタクトセンターを立ち上げたいのであれば、システム導入をおすすめします。
コンタクトセンターシステムに関して、より詳しい内容は以下の記事でも解説しています。ぜひ参考にしてみてください。
3-3.顧客のニーズに合わせたチャネルを用意する
コンタクトセンター(コールセンター)を導入するのであれば、なるべく多くのチャネルを用意するようにしましょう。
冒頭でも解説しましたが、近年ではコンタクトセンターの利用は電話だけに留まりません。以下のようなツールも一般的に良く活用されています。
・チャット |
近年では、チャットやメールからカスタマーサポートの利用を開始する人がいるということがトランスコスモスの調査で分かっています。
トランスコスモスの【カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024】によると、2022年の調査では約半数である45.2%は電話でしたが、今回の調査では41%まで電話は減少しています。
次いで多かったのは「人が対応したと思われるチャットによる問い合わせ」で2022
年には17.0%であったのに対し、今回の調査では18.6%と微増しています。
参考:【カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024】
そうしたニーズに応えるためにさまざまなチャネルを活用し、顧客が利用しやすいツールで自由に問合せできるように設計することをおすすめします。
そうすれば、わざわざ日中に時間を見つけて電話をしなくても、通勤時間にメッセージアプリを利用して問い合わせを行うといったことも可能です。運用したいコンタクトセンターの規模にもよりますが、多くのチャネルを導入することは顧客満足度の向上も期待できるため、おすすめです。
Cotraでは「カスタマーサポートに対するカスタマーニーズ調査2024」を実施いたしました。その他、ボイスボットやオムニチャネル、問い合わせフォームなどの調査も実施しておりますので、各種調査レポートもご一読ください。
4.コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げで理解しておくべき注意点
最後に、コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げる際に事前に理解しておくべき注意点を2つ解説します。
事前に頭に入れた上で設計や構築を進めていくようにしましょう。
4-1.顧客情報の共有・連携がスムーズに行えるか
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げる際には、顧客情報の共有・連携がスムーズに行えるかをしっかり確認しておきましょう。
たとえば、最初に対応したオペレーターでは対応しきれない問題があったとします。
そういう場合は対応できるオペレーターに引き継ぐことが一般的ですが、その場合に顧客情報や問い合わせ内容を共有できていないと対応に時間がかかったり、顧客が何度も同じ内容を説明するといったことになってしまいます。
そのようなことが起こると顧客にストレスを与えてしまうため、避ける必要があるでしょう。
コンタクトセンターにおいては顧客情報の共有は急務です。それと同時にセキュリティ保持も重要であるため、実は簡単ではありません。
セキュリティを保持したまま顧客情報の共有をスムーズに行うには、コンタクトセンターシステムやCRMといった顧客情報管理システムの導入をおすすめします。
4-2.応対品質管理に注意する
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げる際には、オペレーターのマネジメントについて注意しておく必要があります。品質の良いコンタクトセンターを運営するためには優秀な管理者が不可欠です。
管理者には、難易度の高い問い合わせや苦情にも適切に対応するためのスキルが求められます。さらに、現場のオペレーターの不満点に気付き、フォローしていくことも必要です。
コンタクトセンターの運用においては、応対品質の維持が簡単ではありません。特にあまり経験のない自社の社員をコンタクトセンター管理者に指名するなど、内部リソースの活用でコンタクトセンターを立ち上げようとする場合には注意が必要です。
これらがうまく機能しないとオペレーターの士気が下がったり辞めてしまったりする原因となり、結果的にコンタクトセンターの応対品質が低下してしまいます。
管理者が応対品質の維持・向上に向けた管理していくことはもちろんですが、応対品質管理の補助をしてくれるツールもありますのでツール導入も含め応対品質管理については体制を検討してみましょう。
5.コンタクトセンター(コールセンター)を外部委託することも検討しよう
コンタクトセンター(コールセンター)を立ち上げるのであれば、外部委託もおすすめです。
以下のような業務委託が可能です。
コールセンターの | 説明 | 委託できる業務 |
インバウンド業務 | 顧客からの電話に対応する業務 | ・商品の受注 |
アウトバウンド業務 | 顧客へ電話をかける業務 | ・テレアポ(新規顧客の開拓) |
ここまでにも解説してきた通り、コンタクトセンターを効果的かつ効率的に運用していくためには、様々な注意点やコストがかかります。
立ち上げだけでなく継続的に運用することを考えると、場合によっては外部委託する方が効率的な場合もあります。
規模によって効果は異なりますが、社内で用意する場合と比べると以下のようなことが可能です。
・立ち上げにかかる労力を減らせる |
コンタクトセンターの外部委託にご興味がある場合は、ぜひトランスコスモスのコンタクトセンターサービスもご検討ください。
本記事で紹介してきたステップを踏まえたうえで立ち上げを実施し、コンタクトセンターを運営していきます。
コンタクトセンターの立ち上げを支援する担当者にインタビューを実施いたしました。事例を交えながら支援サービスについて語っていますので、こちらも参考にしてください。
まとめ
この記事では、コンタクトセンター(コールセンター)立ち上げに関する以下のような情報をお伝えしてきました。
・立ち上げまでに必要な6つのステップと詳細 |
ノウハウや経験がない状態でコンタクトセンターを立ち上げるのはそれなりの工数と費用がかかります。
立ち上げの目的や規模感にもよりますが、立ち上げの際には一度業務委託を検討してみるのもよいでしょう。この記事を読んで参考にしていただき、より良いコンタクトセンターが構築されることを願っています。
さらに立ち上げについての詳細を知りたい方は、当サイト内の「コンタクトセンターの始め方」をご確認ください。
参考リンク:コンタクトセンター構築までの流れ