
リテンションマーケティングとは、既存顧客との安定した関係を維持し、リピート購入や継続利用、購買単価の向上を促進するマーケティング手法です。この施策を通じて、効率的に売上を向上させる効果があります。
- リテンションマーケティングを実践するメリット:既存顧客を維持することで、新規獲得より低コストで売上を向上できます。LTVの最大化や優良顧客の育成による安定収益、休眠顧客の再活性化、口コミによる新規獲得、さらに顧客の声を活かしたサービス改善や新商品開発にもつながります。
- リテンションマーケティング成功のためのポイント:成果指標を明確に設定し、顧客データを効率的に収集・分析します。顧客セグメントに応じた施策を実施し、効果測定と改善を繰り返すことが重要です。さらに、得られたデータをサービス改善に活かし、顧客満足度を高めることで継続利用を促進します。
リテンションマーケティングは、既存顧客との安定した関係を構築し、リピート購入や継続利用を促す施策です。とくに、効率的に売上を向上させる手法として近年注目されています。
【リテンションマーケティングの具体例】

サブスクリプションビジネスなど、顧客に継続利用を促すサービスを提供している企業は、この施策をうまく活用することで業績拡大に繋げることが可能です。
しかし、リテンションマーケティングの重要性や導入メリットを理解していないと、自社のビジネスに最大限活用することは難しいでしょう。
この記事では、リテンションマーケティングを導入して売上を向上させたい方に向けて、以下の内容を詳しく解説します。
この記事で得られる情報 |
・リテンションマーケティングが重要な理由 |
この記事を最後までお読みいただくことで、リテンションマーケティングの重要性とメリットを理解し、成功に向けた具体的なポイントを把握できます。
その結果、誤った導入や活用不足を避け、自社の重要な資産である既存顧客へのマーケティング効果を最大化し、業績拡大を目指しましょう。
1.リテンションマーケティングとは

リテンションマーケティングとは、既存顧客との安定した関係を維持し、リピート購入や継続利用、購買単価の向上を促進するマーケティング手法です。この施策を通じて、効率的に売上を向上させる効果があります。
リテンション(retention)は、日本語で「保持・維持」を意味します。このため、リテンションマーケティングは、新規顧客の獲得(アクイジション)ではなく、既存顧客との良好な関係を重視したアプローチです。
アクイジションとリテンションの違いは以下の図の通りです。

このため、住宅の売買や結婚式など、一生に一度の利用が多いサービスを提供する企業よりも、SaaSのサブスクリプションや通信販売など、継続的に利用されるサービスを提供している企業では、リテンションマーケティングの導入がとくに重要です。
2.リテンションマーケティングの施策例
リテンションマーケティングにはどのような施策があるのでしょうか。以下に具体例を示します。
リテンションマーケティングの施策例 |
・クーポン |
これらは、クーポンやポイント、特別なキャンペーン情報などのインセンティブを通じて、既存顧客の利用を促進します。

一度でもサービスを利用した顧客は、利用経験がない顧客よりも再度利用する可能性が高いため、効率的に売上を向上させることができます。
たとえば、「リピーター限定クーポン」や「お誕生日月のポイント2倍」といった特別なオファーを提供することが効果的です。
また、過去の購入履歴を元に、顧客が興味を持ちそうな商品やサービスをレコメンドすることも重要な施策です。
【レコメンドの具体例】

Netflixなどの動画配信サービスでは、視聴履歴に基づいて次におすすめのコンテンツを表示します。これにより、顧客は常に自分の好みに合ったコンテンツにアクセスでき、サービスを継続的に利用する意欲が高まります。
さらに、既存の優良顧客に特別なサービスを提供してロイヤルティを高める方法も有効です。
たとえば、航空会社では、年間の利用頻度に応じて会員ランクが上がり、専用の空港ラウンジの利用や優先チェックインの特典を受けられるシステムを導入しています。
こうしたサービスを通じて、顧客は「この会社のサービスを積極的に利用しよう」と考え、良好な関係を継続的に築くことができるのです。
3.リテンションマーケティングを実施するメリット6つ

リテンションマーケティングの重要性について理解が深まったところで、実際に導入することで得られるメリットを詳しく解説します。
リテンションマーケティングを実施するメリット |
・新規顧客獲得より効率的 |
既存顧客からのフィードバックを活用することで、サービスや商品の改善、新たな開発に役立つ情報を得られます。これらのメリットを踏まえて、リテンションマーケティングの施策を検討していきましょう。
3-1.新規顧客を発掘するよりも効率が良い
リテンションマーケティングに注力することで、既存顧客の維持は新規顧客の獲得よりも効率的に売上を向上させることができます。
具体的な効率の違いを示すデータとして、戦略系コンサルティングファームBain&Companyのフレデリック・ライクヘルド氏が指摘した「1:5の法則」があります。この法則によれば、新規顧客を獲得するコストは、既存の顧客を維持するコストの約5倍かかるとされています。

この背景には、新規顧客獲得のためには広告や宣伝、初回割引キャンペーンなど多くのコストが必要ですが、既存顧客のフォローにはそれほどの費用はかからないという事実があります。
つまり、同じ売上を得るためには、既存顧客へのアプローチが新規顧客獲得よりも約1/5のコストで済むということです。
したがって、効率的に売上を増やすためには、新規顧客の獲得にばかり予算を投じるのではなく、一度購入した確度の高い顧客に対するリテンションマーケティングに注力することが、より効果的であると言えます。
3-2.LTV(顧客生涯価値)の向上につながる
リテンションマーケティングにより、顧客が自社のサービスを何度も利用することで、LTV(顧客生涯価値)の向上が期待できます。
LTVとは、顧客が最初にサービスを利用してから終了するまでの間に企業にもたらす利益を指します。これは、長期的な企業の収益性を測る重要な指標であり、最近多くの企業が活用しています。
とくにサブスクリプションサービスでは、LTVの最大化が一つの目標となります。LTVを計算する方法はいくつかありますが、一般的な数式は以下の通りです。
LTV = 平均顧客単価 × 平均購買頻度 × 平均継続期間
このように、リテンションマーケティングによって既存顧客の購入単価や購入頻度、継続利用期間を高めることで、LTVが向上します。
とくに、同一の顧客に何度も利用してもらうことが重要な商材を取り扱っている場合、LTVを高めることは非常に重要です。
したがって、サブスクリプションサービスや通信販売を行っている企業は、リテンションマーケティングを効果的に活用することで大きなメリットを享受できるでしょう。
3-3.優良顧客の育成により売上が安定する
リテンションマーケティングのメリットの3つ目は、優良顧客を育成することで売上が安定する点です。
既存顧客リストには、トライアルとしてお試しサービスを1回しか利用していない顧客と、毎月継続して高単価なサービスを利用している顧客がいます。継続利用の顧客は、安定的な売上をもたらす優良顧客です。
効率的に売上を増やすためには、こうした優良顧客を増やすことが重要です。リテンションマーケティングでは、既存顧客を優良顧客に育成するために以下のようなアプローチを行います。
既存の顧客を優良顧客へと育成するためのアプローチ |
・アップセル:より高級なサービスへの変更を提案 |
これらの方法で、購入金額や頻度の高い優良顧客を増やすことができれば、新規顧客獲得に多大な費用をかけずに済み、会社全体の利益率が向上します。
このように、既存顧客へのアプローチを通じて優良顧客を育成できる点も、リテンションマーケティングの大きなメリットの一つです。
3-4.休眠顧客を掘り起こすことで売上を増やせる
既存顧客の中には、最近サービスを利用していない休眠顧客が多く存在します。これらの休眠顧客は、一度は自社サービスに魅力を感じて利用した経験があるため、ゼロから自社の理解を深める必要のある新規顧客と比較して、有効なアプローチ先です。
リテンションマーケティングを活用することで、休眠顧客を掘り起こし、再度サービスの利用を促すことができます。これにより、効率的に売上を増加させることが可能です。
休眠顧客の掘り起こしや優良顧客の育成には、コンタクトセンター(コールセンター)を活用し、電話やメールなどで顧客へアプローチする施策が効果的です。しかし、膨大な顧客データを手作業で属性別に分類するのは手間がかかります。
そこでおすすめなのが、トランスコスモスで提供するコンタクトセンターシステム「trans-CRM」です。
このシステムでは、既に保有しているリストを取り込み、架電状況などの管理を効率化できます。「現状のやり方では作業が非効率的で改善したい」「エクセルでの顧客管理に限界を感じている」といったニーズをお持ちの企業様に最適なソリューションです。
詳細については、以下のページをご覧ください。
3-5.既存顧客の発信する評判を通じて新規顧客を増やせる
リテンションマーケティングの5つ目のメリットは、既存顧客の発信する評判を通じて新規顧客を増やせる点です。
これは、リテンションマーケティングが直接的に新規顧客を獲得するのではなく、既存顧客との良好な関係を維持し、満足度を高めることによって、間接的に新規顧客を増やす効果があるという意味です。

とくにサブスクリプションサービスのように長期間利用されるサービスの場合、見込み客は既存顧客の口コミを参考にして利用を判断することが多いです。
そのため、サービスに満足している既存顧客を増やすことで、「このサービスを利用した人がこれほど満足しているなら間違いない」と思わせることができます。
また、コンタクトセンターを活用したSNSサポートも効果的です。既存顧客が「使ってみたら最高だった」といったポジティブな投稿をした際に、企業アカウントが感謝のリプライをすることで、自社の商品やサービスのメリットを広めることができます。
このように、リテンションマーケティングは間接的に新規顧客の獲得に貢献できる点も大きなメリットです。
3-6.サービスの改善や新商品開発に有益な情報を得られる
リテンションマーケティングの最後のメリットは、企業全体として中長期的なサービス提供を考える際にとくに重要となる点です。それは「サービスの改善や新商品開発に有益な情報を得られる」ということです。
自社のサービスを長く利用している既存顧客からは、質の高いフィードバックを得ることができます。一度しか利用していない顧客の意見も重要ですが、何度も利用している顧客のリアルな声には、継続的な利用を促すためのヒントが詰まっています。
満足している点は、そのサービスのコアとして引き続き高品質を保つことが重要です。逆に、不満の声が上がった部分については改良を加えることで、離脱した顧客を再度つなぎ留めたり、導入を迷っている他の顧客を獲得したりチャンスを広げることができます。
さらに、こうしたフィードバックは新商品の企画や新規事業の開発にも大いに役立ちます。
このように、既存顧客から得られる情報を活用して自社サービスのブラッシュアップにつなげることができるという点も、リテンションマーケティングの大きなメリットの一つです。
4.リテンションマーケティングの流れ

リテンションマーケティングを実施する際のおおまかな流れを理解しておきましょう。このプロセスは、以下の4つのステップの繰り返しによって行われます。

■STEP1:顧客を分類する
まずは既存顧客を分類し、ランク付けから始めます。
1度しか利用していない顧客と、何度も利用し自社サービスへの信頼感を持つ顧客では、必要な施策が異なります。このため、最初の分類が重要です。
■STEP2:分類に応じて最適な施策を実施する
次に、顧客の分類に基づいて適切な施策を実行します。
たとえば、1度だけ利用した顧客にはサービスの理解を促すキャンペーンを案内し、数回購入している顧客には利便性を向上させるオプションサービスのクーポンを提示するなどの方法があります。
■STEP3:効果測定を実施する
実行した施策が有効だったかを確認するため、効果測定を行います。
具体的には、送信したメールによって何パーセントの顧客が追加購入に至ったか、サービス解約率がどの程度下がったかをチェックします。
■STEP4:顧客分類の見直し
最後に、施策による顧客の行動変化を確認し、再度分類を見直します。
一度だけ利用した顧客が再度サービスを利用し始めた場合、その顧客のランクは「一度しか購入していない顧客」から「2回以上購入した顧客」に変更されます。
このようにリテンションマーケティングでは定期的に顧客の分類を見直すことで、より精度の高いアプローチを目指していきます。
5.リテンションマーケティングを成功させるためのポイント5つ

リテンションマーケティングのメリットについて詳しく解説してきましたが、「これだけのメリットがあるなら早速導入しよう!」と思うかもしれません。
リテンションマーケティングは、データ分析と施策実行をロジカルに繰り返すプロセスです。準備が不十分な状態でやみくもに取り入れると、失敗する可能性が高くなります。
そこで、導入前に必ず知っておくべき「リテンションマーケティングを成功させるためのポイント」として、以下5つを紹介します。
リテンションマーケティングを成功させるためのポイント5つ |
・最初に成果指標を明確にする |
5-1.最初に成果指標を明確にする
さまざまな施策を実施しても、その効果が不明な場合、継続すべきか改善すべきか、中止すべきかの判断が難しくなります。これにより、効果のない施策に無駄なコストをかけ続けてしまう危険性があります。
この問題を避けるために重要なのが、最初に成果指標を明確に設定しておくことです。
目標となる数値がはっきりしていれば、到達していない理由を推測し、新たに投じるべき予算を算出することが可能になります。リテンションマーケティングでよく使用される指標としては、以下のようなものがあります。
①リテンションレート(既存顧客維持率)
リテンションマーケティングを実施する際に最初に確認すべき指標が、リテンションレートです。
リテンションレート(既存顧客維持率)とは |
リテンションレート(既存顧客維持率)とは、サービスの継続率や定着率を数値化したもので、新規顧客の中で一定期間内にサービスを再利用したユーザーの割合を示します。 リテンションレート(%)=(一定期間における継続顧客数 ÷当初加入した新規顧客数) × 100 |
たとえば、ある期間の初日に新規顧客が100人増え、60日後に再利用していた顧客が30人であれば、「60日後のリテンションレートは30%」となります。
対象となる期間は特に決まっていません。1年ごと、四半期ごと、1ヵ月ごと、1週間ごとなど、自社に最適な期間を設定できます。SaaSのように申し込みと解約が頻繁なビジネスモデルでは、1日ごとに測定して推移をチェックすることもあります。
自社の過去の数値や競合他社のデータを参考にしながら、目標を設定することが重要です。
②チャーンレート(解約率)
リテンションレートが「継続している顧客」に焦点を当てた指標であるのに対し、チャーンレートは「解約した顧客」に着目しています。
チャーンレート(解約率)とは |
チャーンレート(解約率)は、サービスを解約した顧客の割合を数値化したもので、一定期間内に解約した顧客数を、その期間前に保有していた顧客数で割ることで算出します。 チャーンレート(%)=(期間中に解約した顧客数 ÷ 期間前の総顧客数) × 100 |
たとえば、11月末の顧客数が100名で、12月中に解約した顧客が10名の場合、チャーンレートは「10÷100×100」で10%となります。
対象期間は、自社が分析したい期間を設定すると良いでしょう。月次の平均チャーンレートについては、SaaS業界では4~6%、消費財では9~10%程度が目安とされています。
ただし、サービス内容やビジネスフェーズ(サービス立ち上げ初期かどうか)、主要ターゲット(BtoB・BtoC)によって異なるため、自社の実態に即した目標を立てることが重要です。
③NPS(Net Promoter Score:ネットプロモータースコア)
顧客のロイヤルティを数値化した指標がNPS(ネットプロモータースコア)です。
NPS(ネットプロモータースコア)とは |
NPSは、企業やブランドに対する顧客の愛着や信頼度を数値化したものです。顧客に対して「このサービス(企業/ブランドなど)を友人や同僚に薦める可能性はどのくらいありますか?」という質問を行い、その評価によって算出されます。 NPSスコア=「高得点(9~10点)をつけた顧客の割合」−「低評価(0~6点)の顧客の割合」 |
NPSの特徴は、購入回数や金額を元に計算するのではなく、顧客へのアンケートを通じて得られるため、少し手間がかかる点です。また、日本では高得点をつける人が少ないため、評価がマイナスになりやすいという特性もあります。
重要なのは、1回の調査結果で良し悪しを判断するのではなく、定期的に調査を実施し、数値の推移を確認することです。これにより、顧客ロイヤルティを高めるための施策を検討したり、自社のサービス水準を管理する基準として活用したりすることができます。
NPSについて別の記事でも詳しく解説しています。
④LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)
LTVは、リテンションマーケティングの効果を測定する上で最も重要な指標です。
LTV(顧客生涯価値)とは |
LTVは、その顧客と取引を開始してから終了するまでに得られる利益を数値化したものです。 ①LTV = 平均顧客単価 × 平均購入頻度 × 平均継続期間 |
LTVはリテンションマーケティングの成果を総合的に表す指標です。算出のための式は上記のようにいくつかあるため、自社のサービスに適したものを選択しましょう。
最も基本的な式は①です。「平均顧客単価」と「平均購入頻度」「平均継続期間」を全てかけ合わせて算出します。たとえば、月額5,000円のサービスを平均で3年間継続する場合、LTVは「5,000円×12回/年×3年=180,000円」となります。
②の式は、顧客1人当たりの利益を考慮して算出する方法です。年間60,000円分のサービスを利用し、利益率が60%、平均継続期間が3年の場合、「LTV=60,000円×60%×3=108,000円」と算出できます。
③の式は、売上と費用を分けて算出するため、費用対効果を考慮した施策を取るのに役立ちます。たとえば、平均購入単価が5,000円、平均購入回数が12回の場合、売上は60,000円となります。新規顧客の獲得に3,000円、顧客維持費用として1,000円かかる場合、総費用は4,000円となり、「LTV=60,000円-4,000円=56,000円」となります。
LTVはサービスの価格やコスト構造によって異なるため、自社の実態に即した数値目標を設定することが重要です。また、ここで紹介した以外にも既存顧客の継続利用につながる指標があるため、自社の状況に沿った目標設定が求められます。
LTVも別の記事で詳しく解説しています。
5-2.データを効率よく収集・分析する
リテンションマーケティングを成功させるための重要なポイントの2つ目は、データを効率よく収集・分析することです。既存顧客との良好な関係を継続するためには、以下のようなデータを集めて分析し、継続的に管理する必要があります。
【リテンションマーケティングで活用するデータの例】
・顧客の過去の購】入履歴 |
しかし、これらのデータを手作業で収集して分析するのは膨大な手間がかかります。また、人の手による作業はミスを招きやすいため、リテンションマーケティングを成功させるには、データ処理やマーケティング活動を支援するシステムを活用することをおすすめします。
リテンションマーケティングに役立つツール | |
MA | 顧客獲得や育成のためのマーケティング活動を可視化・自動化するシステム。顧客への施策に対する反応(メールの開封状況など)を把握できるため、効率的にアプローチを進めることが可能。 |
SFA | 顧客との電話内容やアプローチ状況を社内で共有・管理するツール。複数の担当者が同じ情報を共有できるため、引継ぎ漏れを防ぎ、質の高いアプローチを効率的に進めることができる。 |
CRM | 顧客情報の管理をサポ―トするシステム。顧客の属性や過去に送ったメール、参加したキャンペーンなどの情報を一元管理でき、顧客とのつながりを可視化することが可能。 |
これらのマーケティングツールを活用することで、効率的なリテンションマーケティングを実現していきましょう。
5-3.顧客の分類に合わせて施策を変える
リテンションマーケティング成功のために重要なポイントの3つ目は、「顧客の分類に合わせて施策を変える」ことです。
顧客には日々多くのダイレクトメールが届きます。その中で自社のメールを開封し、内容に興味を持ってもらうためには、顧客が求めている情報や関心のあるオファーを精度高く提供することが必要です。
自分に関連のない情報だと感じられると、件名だけで削除されてしまう危険性があります。
このような事態を避けるためには、顧客を適切に分類し、それぞれに合った施策を実施することが極めて重要です。
顧客のランク付けには「RFM分析」がよく用いられます。RFM分析では、以下の3つの指標を使って顧客を分析します。
RFM分析を行う際の3つの指標 |
・R(Recency):直近の購入日 |
これらの指標に基づき、顧客を5段階のランクに分け、スコアが「5」の顧客が最も優良な顧客として分類されます。

このように顧客を分類することで、よりその顧客に合った施策を実施できます。
たとえば、直近の利用日が1ヵ月以内の顧客グループにはサービス利用に役立つ情報を送り、関係性を構築することができます。また、購入金額が大きな顧客グループにはお得意様限定キャンペーンの情報を提供することで特別感を出し、利用促進を図ることが可能です。
それぞれの顧客に合った戦略でアプローチすることで、リテンションマーケティングの効果を最大限に発揮できます。
より契約につながりやすい顧客を効率よく絞り込みたい場合は、「DataRobot」という機械学習自動化AIプラットフォームの利用をおすすめします。
Datarobotを使うと、既存の顧客リストを分析し、相関関係を把握することで、より確度の高いリストをスコア化できます。売上向上につながりやすい顧客を自動でスコア化するため、リテンションマーケティングを実施する上で非常に有効なシステムです。
DataRobotについて詳しく知りたい方は、以下のページもご覧ください。
5-4.実行した施策の効果測定と改善を繰り返す
リテンションマーケティングは、「一度施策を実行したらそれで終わり」ではなく、常に効果測定と改善を繰り返すことで成果が得られるものです。
そのため、「5-1.最初に成果指標を明確にする」で紹介した指標の中から、自社で管理したい指標を選び、週に1回や月に1回などの頻度で推移をチェックしていきましょう。
効果が出ない点が見つかった場合は、迅速に改善を行い、PDCAサイクルを回すことが重要です。
たとえば、メールの開封率が低ければタイトルを変更してみる、メールの途中までしか読まれない場合は重要な内容を最初に持ってくる、キャンペーンリンクは踏まれたのに申し込みに至らなかった場合は申し込みページの動線を見直す、など改善できる箇所は必ず存在します。
定期的な効果測定によって結果を確認し、常に改善を繰り返すことで、より効果的なリテンションマーケティングを実現していきましょう。
5-5.得られたデータをもとにサービス改善などにつなげる
リテンションマーケティングを成功させるためには、得られたデータをサービス改善に活かすことが重要です。
顧客に継続して自社サービスを利用してもらうには、顧客がそのサービスに対して満足している状態を維持しなければなりません。そのため、顧客の行動を分析し、得られたデータを基に満足度を高める施策を講じることが大切です。
たとえば、動画配信サービスのNetflixでは、ユーザーがどのコンテンツを観たか、観なかったか、どの速度で、どのデバイスで、どの時間帯に視聴したかなど、細かい行動データを分析しています。
これらのデータをもとに、ユーザーごとにおすすめのコンテンツをレコメンドし、サービスの利便性を向上させています。
実際、ユーザーが視聴したコンテンツの約75%はレコメンドシステムによって選ばれたもので、多くのユーザーがこのサービスに魅力を感じていることがわかります。
このように、顧客の行動データを活用して有効な施策を検討・実行することで、継続利用率を高め、LTVの向上につなげることが可能です。
5-6.コンタクトセンター(コールセンター)を有効活用する
リテンションマーケティングを成功させるためには、既存顧客との関係性を構築し続けることが重要です。そのため、普段から顧客と接点を持つことができるコンタクトセンターを活用し、顧客をサポートしながら様々な施策を実施することが大切です。
「3-4.休眠顧客を掘り起こすことで売上を増やせる」や、「3-5.既存顧客の発信する評判を通じて新規顧客を増やせる」といった施策に加え、コンタクトセンターは顧客データやサービスに対する満足度など、顧客の状況をヒアリングするための理想的な場となります。
リテンションマーケティングを検討する際は、コンタクトセンターの活用方法を改めて考えることをお勧めします。トランスコスモスでは、コンタクトセンターを有効活用するための現状診断から再構築、運営支援までお手伝い可能です。
興味のある方は、ぜひこちらからお問い合わせください。
また、リテンションマーケティングを成功させるためのコンタクトセンター運営に関しては、以下の記事も参考になりますので、ご一読ください。
まとめ
リテンションマーケティングとは、既存顧客との安定した関係を維持するためのマーケティング施策を指します。具体的には、リピート購入や継続利用、購買単価の向上を促進する施策を通じて、効率よく売上を向上させる効果があります。
この記事では、リテンションマーケティングを導入して自社の売上を向上させたい方に向けて、その重要性やメリット、成功のためのポイントをお伝えしました。
リテンションマーケティングを実施するメリット |
・新規顧客を発掘するよりも効率が良い |
リテンションマーケティングを成功させるためのポイント |
・最初に成果指標を明確にする |
最後までお読みいただき、リテンションマーケティングを正しく取り入れ、自社ビジネスに活かすイメージを持てたのではないでしょうか。自社の既存顧客へ効率よくアプローチし、LTVを高めて売上拡大を目指しましょう。
