「デジタル化とはなに?」
「デジタル化に取り組むためには、実際どうすればよい?」
このような疑問をお持ちではありませんか?
デジタル化とはデジタル技術を活用した取り組み全般を指し、規模の大小にかかわらずアナログな業務をデジタル技術によって変革することです。
この記事では、デジタル化の基礎知識を網羅的かつわかりやすく解説します。この記事を読むことで、デジタル化とは何かがよく理解でき、取り組みを始める原動力になるはずです。
この記事を読んでわかること |
▼デジタル化という言葉の意味 |
勢いを増すデジタル化の流れに乗り遅れることなく、自社の発展につなげていくための第一歩として、ぜひ最後までお読みください。
1.デジタル化とは?
1章では、デジタル化という概念を理解するために必要な以下の内容について解説します。
・デジタル化という言葉の意味 |
1-1.デジタル化とはデジタル技術を活用した取り組み全般のこと
デジタル化とは、デジタル技術を活用した取り組み全般のことをいいます。
データやネットワーク・ソフトウェアなどを用いて便利で効率的な活動を実現するもので、身近なところでは以下のようなものがデジタル化一例です。
【デジタル化の例】
日常生活におけるデジタル化 | ビジネスにおけるデジタル化 |
・オンラインショッピング | ・ペーパーレス化 |
このうちビジネス面におけるデジタル化は、規模の大小にかかわらずアナログな業務をデジタル技術によって変革するという意味をもちます。
1-2.「DX」「電子化」「IT化」との違い
次に、デジタル化と共によく耳にする「DX」「電子化」「IT化」との違いについても解説します。
【デジタル化と似た言葉の意味】
DX | デジタル化によって企業のあり方を変革すること。デジタル化の一種で規模の大きな概念。 |
電子化 | 紙媒体を電子媒体に変換すること。デジタル化の一種で最初のステップ。 |
IT化 | 情報をシステムやネットワークを用いて活用可能な状態にすること。デジタル化の手段。 |
それぞれの違いを知ることで、よりデジタル化への理解が深まるでしょう。
DX
DX(デジタルトランスフォーメーション)はデジタル化の一種ですが、単なる「D:デジタル化」だけではなく「X:変革」という要素ももつため、一般的に使われるデジタル化という言葉よりも規模が大きな概念になります。
以下は総務省が示している「デジタル化の広がり」を表した図で、DXも含まれています。
出典:総務省:「情報通信白書 for Kids」
経済産業省は、DXを以下のように定義しています。
「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」
出典:経済産業省「デジタルガバナンス・コード2.0」
デジタル技術の活用という点でDXもデジタル化に属するといえますが、それに留まらず企業のあり方を変革するところまでを目指す活動だとされています。
そのため一般的にデジタル化というと、DX以前の「デジタイゼーション(業務のデジタル化)」「デジタライゼーション(フロープロセスのデジタル化)」を指しますが、これらのデジタル化を進めた先にDXがある、とイメージするとよいでしょう。
DXについて詳しく確認したい方は、以下の記事をご覧ください。
電子化
電子化もデジタル化の一種で、紙媒体を電子媒体に変換することを指し、ペーパーレス化と呼ばれる場合もあります。
電子化はデジタル化の最初の一歩であり、電子化なくしてデジタル化を進めることはできません。
以下は経済産業省が示す「デジタル化の構造」です。上へ向かうほどデジタル化の規模が拡大することを表しています。
出典:経済産業省「DXレポート2中間取りまとめ(概要)」
この図から電子化はデジタイゼーションにあたり、デジタル化の基礎を担っていることがわかります。
例えば、それまでは紙媒体で保管していた領収書をスキャンしてデータ化する、紙で配布していたパンフレットをPDF形式にするなどが電子化にあたります。
このような電子媒体を社内で誰もが閲覧できるように管理したり、顧客に向けてオンライン配信したりすることで業務のプロセスもデジタル化すると、次の段階のデジタライゼーションにつながります。
つまり電子化とデジタル化の間には、「電子化したデータを基にしてデジタル化を進める」という関係性があるのです。デジタル化に取り組む場合には、まず電子化を行いましょう。
IT化
IT(Information Technology)は日本語で「情報技術」という意味で、情報をシステムやネットワークを用いて活用可能な状態にすることがIT化であり、IT化はデジタル化の手段です。
例えば、クラウドシステムで情報を共有できるようにする、社内チャットで情報検索できるようにするなどがIT化にあたります。
アナログデータのデジタル化ができたらIT化によってそれらを活用し、次の段階であるプロセスのデジタル化に進んでいくという流れです。
「デジタイゼーションをデジタライゼーションに発展させるために欠かせないのがIT化」という認識がわかりやすいかもしれません。つまり、デジタル化とIT化を並行して進める必要があるといえるでしょう。
1-3.デジタル化として最も多く行われているのは「文書の電子化」
これからデジタル化に取り組もうというときに気になるのは、まず何から始めればよいのかということではないでしょうか。
デジタル化の取り組みとして最も多く行われているのは、「文書の電子化(ペーパーレス化)」です。
以下は独立行政法人中小企業基盤整備機構による調査結果で、中小企業のデジタル化に対する具体的な取り組み内容を表したグラフです。
出典:独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業のDX推進に関する調査(2023年)アンケート調査報告書」
「文書の電子化・ペーパーレス化」に取り組んでいると答えた企業が64.4%で、最多となっています。
「電子化」で解説したように、文書の電子化はデジタル化に必須であり、最初の一歩としてまず取り組みやすい内容です。
1-4.デジタル化は市場競争力強化と多様な働き方を実現するために必須
デジタル化が必要とされる背景には、市場競争力の強化と多様な働き方の実現という企業の課題があります。
近年デジタル技術は急速に発展を遂げており、消費者はスマートフォン1台でさまざまなことができるようになりました。
また経済産業省は、既存のシステムを見直して全社横断的なデータ活用ができなければ、2025年以降は1年あたり最大12兆円(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性がある(「2025年の崖」)と危惧しています。
例えば、メールやチャットといった問い合わせ方法を用意していない企業は、顧客からコミュニケーションが取りにくいと思われるかもしれません。また顧客データを分析した上でのマーケティングができなければ、興味を持ってもらうことが難しいでしょう。
結果として「顧客から選ばれない」可能性が高くなってしまいます。
このような状況の中で企業競争力を高めるためには、デジタル化を進め、市場ニーズの変化に柔軟に対応できるような組織作りをしなければなりません。
2.デジタル化の主な具体例4選【取り組み数多いもの】
デジタル化の意味が理解できたところで、実際には何をするのかということを見てみましょう。よく取り組まれるデジタル化の具体例を4つご紹介します。
2-1.紙書類のデータ化
デジタル化の主な具体例の1つめは、紙書類のデータ化です。
デジタル化のファーストステップとして取り組みやすい内容であり、デジタル化の推進において不可欠なものでもあります。例えば、以下のような紙書類がデータ化に適しています。
・名刺 | ・請求書、領収書 | ・経費申請書 |
また、電子契約もこの方法にあたります。「データ化された契約書に電子署名する」という手続きにすることで、紙書類の作成や郵送・控えの保存といった手間とそれにかかる時間が簡素化できるのです。
紙書類をデータ化すると、情報の検索や共有がしやすく、保管スペースが不要になります。容易にバックアップをとれるという点でも管理性が向上するでしょう。
効果 | 書類の作成・編集・共有・管理プロセスの効率化 |
おすすめの企業 | これからデジタル化を始めようという企業 |
2-2.コミュニケーションのオンライン化
デジタル化の主な具体例の2つめは、コミュニケーションのオンライン化です。
対面や紙媒体で行っていたやりとりを、ネットワークを用いた方法に替えることです。
電話や手紙をメールに変更したり、ビデオやチャットを用いて会議を行ったりする方法があります。
オンライン化ができれば、地理的に離れていてもこまめにお互いの認識を確認できる・集合するための手間や時間が節約できるといったメリットが得られます。
効果 | コミュニケーションの効率化・円滑化・コスト削減 |
おすすめの企業 | チームや顧客が遠隔地・複数拠点に存在する企業 |
2-3.情報の一元管理
デジタル化の主な具体例の3つめは、情報の一元化です。
情報の一元化とは、企業がもつさまざまな情報源やデータを統合し、統一された場所や形式で管理することを指します。身近なものでは、クラウドシステムを利用して文書やファイルを共有する・カレンダーアプリでチームのスケジュールやタスクを可視化する、などの例が挙げられます。
企業内にある複数のデータソースからデータを抽出・集約し、統合・格納・分析できるシステムも存在します。
一元化に適した情報には、以下のようなものがあります。
・顧客情報 | ・従業員情報 | ・経理情報 |
情報を一元化すると、情報へのアクセスと共有が容易になるため、検索にかかる手間と時間を削減できます。それによって、意思決定のスピードが上がることも期待できます。
また、構造的に整理された状態での保管が可能になることから、情報の分析や活用がしやすくなるというメリットもあります。
効果 | 情報の収集・共有・管理の効率化 |
おすすめの企業 | データソースが多岐に渡る企業 |
2-4.業務を自動化できるツールの導入
デジタル化の主な具体例の4つめは、業務を自動化できるツールの導入です。
例えばRPA(Robotic Process Automation)は、パソコン上で行う作業を自動化できるソフトウェアロボット技術のことです。
他にもMA(Marketing Automation)ツールやAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)などのデジタル技術があり、これらによって以下のような業務を自動化することができます。
・データ入力・チェック | ・文書作成 | ・売上や支払管理 |
このように業務の自動化を図ることで、効率や生産性が向上します。手作業に割いていた時間や人材を減らせるため、コストも削減できるでしょう。また、ヒューマンエラーの予防にもつながります。
効果 | 業務効率・生産性の向上、コスト削減 |
おすすめの企業 | 定型業務が多い企業 |
3.デジタル化により市場競争力が向上した成功事例4つ
次に、デジタル化の成功事例をいくつかご紹介します。
3-1.顧客対応にチャットを導入し順調に利用率を40%まで向上(株式会社協和)
エイジングケアブランド「fracora(フラコラ)」を展開する株式会社協和は、問い合わせ窓口にデジタルチャネルを導入することによって顧客の利便性を向上させました。
メインターゲット層である40~60歳代が希望するサポート導線の整備という課題に対して、電話やメールに加えてビジュアルIVRやチャットボットを導入したのです。
同時に顧客をデジタルチャネルへ誘導する施策も講じた結果、当初は6%だったデジタルチャネルでの問い合わせ比率が40%まで拡大し、顧客ニーズに即した問い合わせシステムを実現しました。
出典:トランスコスモス「導入事例 株式会社協和」
3-2.新入社員のオンライン研修で研修後テストの成績が過去最高の95.9点(TOPPANホールディングス株式会社)
総合印刷会社のTOPPANホールディングス株式会社は、新入社員研修をオンライン形式で実施し、過去最高の成果を上げました。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、2020年の新入社員約420名に対する研修を完全にオンライン化したのです。
主な内容は動画を用いた講義とライブ配信セミナーで、新入社員20名に対して1名の割合でトレーナー(先輩社員)を配置する・アプリで睡眠時間などのコンディションを把握するといったサポートを行いました。
その結果、研修後の総合テストにおいて、過去8年間の中で最も高い平均95.9点(前年比約7%増)が得られたそうです。
出典:TOPPANホールディングス株式会社「凸版印刷、新入社員在宅オンライン研修の成果について」
3-3.CRMを活用することで観客動員数を61%向上(株式会社西武ライオンズ)
プロ野球球団の西武ライオンズは、CRM(Customer Relationship Management:顧客関係管理)の活用によって観客動員数を伸ばしました。
2007年のシーズン、西武ライオンズの観客動員数はプロ野球12球団の中で最低の数字でした。この状況を打破するためにCRMを導入し、データに基づいたマーケティングを行うようになったのです。
CRMに顧客の動向に関するデータを蓄積し、その分析結果に応じて施策の仮説立案・実行・検証を繰り返した結果、観客動員数は右肩上がりとなり、2018年のシーズンには2007年比で61%増加しました。
出典:トランスコスモス「西武ライオンズが観客動員数を61%増できた理由~コネクテッドスタジアム化でさらなる進化を目指す~」
3-4.RPAツールの導入によって作業時間を6分の1に短縮(奄美市)
奄美市では、RPAツールの導入によって業務を効率化しています。
ふるさと納税の寄付受付や予算査定のための資料作成をRPA(Robotic Process Automation)で自動化し、「毎日45分の労働時間削減」「年間240時間かかっていた作業時間を40時間に短縮」といった成果を上げたのです。
同市が職員などを対象に行ったアンケート結果では、46の業務で「RPAできそう」という回答があり、今後はより適用を拡大していく意向だそうです。
出典:奄美新聞「RPA事業で労働時間削減」
4.デジタル化を進めることで得られる5つのメリット
デジタル化がイメージできたところで、デジタル化のメリットを確認していきましょう。
デジタル化を進めることで得られるメリットには、以下の5つがあります。
4-1.業務効率と生産性が向上する
1つ目のメリットは、業務効率と生産性が向上することです。
デジタル化によって業務を省力化・自動化すると、従業員の負担が減り、少ない時間・人数で業務を遂行することが可能になるからです。
例えば、RPAを活用してデータ入力作業を自動化したとしましょう。データ収集・入力・チェックに割いていた時間が不要になり、最終確認を行う人員のみ配置すればよいことになります。
余剰となった時間や人員を他の業務に充てることができるため、当該業務以外の業務効率と生産性も向上するだけでなく、新製品・サービスの創出につながるクリエイティブな作業を行う余裕も生まれます。
4-2.データの保管や共有がスムーズになる
2つ目のメリットは、データの保管や共有がスムーズになることです。
電子化したデータをクラウドシステム上に格納すれば、紙書類よりも簡単に保管でき、従業員はどこからでも求める情報にアクセスすることが可能になります。
例えば共有リンクを使用してチームメンバーでファイルを共有すれば、リアルタイムで最新の情報を共有できるとともに、複数の人複数拠点から同時にコメントや編集を行っても効率的に質の高いコンテンツを制作できるでしょう。
このようにデジタル化は、企業が保有するデータをうまく活用していくことにつながります。
4-3.コスト最適化につながる
3つ目のメリットは、コスト最適化につながることです。
デジタル化によって以下のようなコストが不要になったり、減額されたりするからです。
・紙代・印刷代・郵送代(ペーパーレス) |
デジタル化の推進には一定のコストが必要になりますが、それを上回るコスト削減効果が得られる場合もあるため、試算してみてはいかがでしょうか。
4-4.多様な働き方が可能になる
4つ目のメリットは、多様な働き方が可能になることです。
データ共有とコミュニケーションをオンライン化することで、リモートワーク・テレワーク可能となります。
出社が必須でなくなれば、遠隔地に居住する人や自宅を離れられない理由がある人でも業務を行うことができます。業務内容によっては、場所だけでなく時間にとらわれない働き方も可能になるかもしれません。
このようにデジタル化は、昨今の企業課題である働き方改革において重要な役割を果たすのです。
4-5.BCP対策になる
5つ目のメリットは、BCP対策になることです。
BCP(Business Continuity Plan)とは「事業継続計画」のことで、企業が自然災害やテロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合でも中核となる事業を継続できるような方策を取り決めておくものです。
デジタル形式で保存された情報は、紙媒体に比べてバックアップや復旧が容易です。このことが重要な情報が失われるリスクを低減し、緊急時の事業継続につながります。
また、デジタル化によってリモートワークが可能になっていれば、従業員が出勤できない状況でも業務を遂行できますし、RPAなどを導入していれば従業員が稼働できなくても一部の業務を自動的に継続することができるのです。
このようにデジタル化は、情報の保護と拠点や人員の制約を受けない業務プロセスを実現するという点でBCPに寄与するのです。
5.デジタル化を進める上での注意点
デジタル化は社会の流れであり、前述したように多くのメリットがありますが、その一方で注意点も存在します。失敗や後悔を防ぐために、押さえておきましょう。
5-1.一定のコストがかかる
デジタル化を進めるためには、一定のコストがかかります。
デジタル技術の導入や運用に際しては、以下のような費用が必要になるからです。
・ソフトウェアやハードウェアの開発・購入 |
費用が用意できず企画倒れになったり、システムの運用継続が困難になって成果を得られなかったり、という事態を防ぐために、事前に総合的なコストを把握して適切な予算計画を立てることが必要です。
5-2.厳重なセキュリティ対策が必須になる
デジタル化を進める上では、厳重なセキュリティ対策が必須になります。
デジタル化によって情報をシステムやネットワーク上に保管するということは、外部への流出や不正利用といったセキュリティリスクにもつながるからです。
実際に、顧客情報流出に対する企業の謝罪やサイバー攻撃のニュースなどを耳にする機会が増えたと感じている人は少なくないでしょう。
そのため、データの暗号化やアクセス管理によって情報を保護し、ネットワークセキュリティ対策を導入するとともに、全社員がセキュリティポリシーを遵守することが求められます。
5-3.システム障害のリスクがある
デジタル化に不可欠なシステムが障害を起こすリスクもあります。
ハードウェアが故障したり、ソフトウェアがバグやエラーによって機能しなくなったりする場合があるからです。
システム障害の程度によっては業務が中断され、生産性や顧客サービスの質が低下してしまいます。情報の紛失や漏洩にまで至る可能性もゼロではなく、その場合のダメージは非常に深刻です。
このようなリスクを最小限に抑えるために、システムのバックアップやメンテナンスを徹底することが重要です。
6.デジタル化を行う正しい手順
デジタル化に取り組んでみたいという気持ちが湧いてきた方へ向けて、どのような流れで進めるのかということをお伝えしましょう。
デジタル化は、以下の手順で行います。
それぞれの内容について、解説していきます。
6-1.目的と課題を明確化する
まずは、デジタルを行う目的とそれを達成するにあたっての課題を明確化します。
目的と課題が曖昧だと、デジタル化をどのように進めるかという戦略が見出せないからです。
自社にとってなぜデジタル化が必要なのかを掘り下げ、何を達成したいのか明らかにしましょう。そしてアナログで行っている業務を洗い出し、目的達成のためにデジタル化した方がよいものを検討します。
デジタル化は規模が大きくなればDXとして組織の変革にもつながっていくため、各部門から意見を募り企業全体で戦略を練るとよいでしょう。
デジタル化の戦略立案については以下の記事をご覧ください。
6-2.システムやツールを選定・導入する
デジタル化の目的と課題が明確化したら、システムやツールの選定・導入を行います。
どの業務をどこまでデジタル化するかを決定し、それに必要な機能を備えたシステム・ツールを検討します。適切なものを見定めたら、実際に導入するという流れです。
目的に見合った機能を備えているかということに加えて、操作性やコスト・サポート体制なども考慮し、類似のツールがあれば十分に比較検討しましょう。
6-3.セキュリティ対策を講じる
システムやツールを導入したら、セキュリティ対策を講じます。
情報を複数人が共有するデジタル化においては、どうしても漏洩や不正利用のリスクが発生するため、不可欠なステップです。
物理的に情報を守るためにネットワークセキュリティシステムを導入したりアクセス管理したりするのはもちろんのこと、セキュリティポリシーを策定し従業員に周知することも欠かせません。加えて、従業員のセキュリティリテラシーを高めるための教育も必要になります。
6-4.導入効果を検証し改善を行う
実際にシステムやツールの運用を始めたら、導入効果を検証し改善を行うことが重要です。
デジタル化のゴールはシステムやツールを導入することではなく、定めた目的を達成するところにあります。他のあらゆる施策と同じように、PDCAを繰り返すことが欠かせません。
例えば業務の効率化が目的であれば、業務にかかる時間や処理件数・従業員の負担感などを指標としてデジタル化の効果を検証し、改善点を見出しましょう。
見直しを重ねてツールやプロセスをブラッシュアップしていくことが、自社にとってベストなデジタル化の実現につながります。
7.デジタル化を成功させるためのポイント
最後に、デジタル化を成功させるためには、以下のポイントを押さえましょう。
7-1.全社員のコミットメントを促す
デジタル化を成功させるためには、全社員のコミットメントを促すことが重要です。デジタル化には、全社員が部門を超えて取り組む必要があるからです。
デジタル化するのは一部の業務だという場合でも、それによってプロセスが変化し、影響が他の部門にも及ぶことは少なくありません。各部門がデジタル化を共通理解して協力しなければ、望ましい効果の波及が塞き止められてしまうかもしれないのです。
実際に独立行政法人中小企業基盤整備機構による調査結果によると、デジタル化を進めるにあたっての課題として「DXに取り組もうとする企業文化・風土がない」「経営者の意識・理解が足りない」ことを挙げる企業が一定数あります。
デジタル化をスムーズに進めるためには、目的とロードマップを周知し、全社員が自分事として認識できるように働きかけることをおすすめします。
7-2.スモールスタートで始める
デジタル化はスモールスタートで始めるのが効果的です。スモールスタートによって、デジタル化に失敗するリスクを低減できるからです。
前述のとおり、デジタル化では効果の検証と改善が不可欠です。規模の小さな取り組みであればこのプロセスが容易になるため、早期にベストプラクティスに辿り着ける可能性が高くなります。
スモールスタートで得たノウハウを活かして規模を拡大すれば、スムーズにデジタル化が進むはずです。成功体験が従業員のモチベーションになり、継続的な取り組みを後押しするという効果も得られるでしょう。
全ての業務を一度にデジタル化しようとせず、目的に見合った業務の中で簡単に実現できそうなものから始めてみることをおすすめします。
7-3.従業員にとって使いやすいツールを選定する
デジタル化にあたっては、従業員にとって使いやすいツールを選定することも重要です。
利便性が悪いと、せっかく導入したツールがうまく活用されずに成果を上げられないばかりか、全く使われず業務やプロセスが元通りになってしまったという事態にさえ陥るかもしれません。
スムーズな導入と継続的な運用のためには、必要な機能が簡単に操作できるツールを選ぶようにしましょう。
7-4.外部サポートを有効活用する
デジタル化を進める際には、外部サポートを有効活用することをおすすめします。
デジタル化を成功させるためにはデジタル技術に優れた人材が必要になりますが、自社で十分な人数を確保するのは難しいという企業が多いです。また、デジタル化に苦慮して本来業務が疎かになるとい事態も避けたいでしょう。
実際に独立行政法人中小企業基盤整備機構による調査結果によると、デジタル化推進における課題のうち「ITに関わる人材が足りない」「DX推進に関わる人材が足りない」が最多になっています。
そこでデジタル化のノウハウを持ち導入や運営をサポートしてくれるサービスを利用すれば、リソース不足に悩むことなく最短距離で成功を目指すことができます。
デジタル化に取り組んでみようと考えたら、まず気になる会社をいくつかピックアップしてみてはいかがでしょうか。
顧客接点のデジタル化ならトランスコスモスにお問い合わせください |
顧客接点におけるデジタル化をお考えの場合は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。 トランスコスモスでは、問い合わせ窓口へのデジタルチャネル導入やデータの管理・分析など、コンタクトセンター(コールセンター)におけるデジタル化をサポートいたします。 お客様企業の課題やご要望に応じてご用意できる多種多様なソリューションと、企業様のデジタル化を数多くお手伝いしてきたノウハウをもとに、成果を最大化するためのパートナーとして伴走させていただきます。 何から始めればよいのかわからない、施策の具体化に不安があるなど、どんなことでもお気軽にお問い合わせください。 |
まとめ
この記事では、デジタル化に関する基礎知識を解説しました。以下に要点をまとめます。
デジタル化とは、デジタル技術を活用した取り組み全般のことをいい、規模の大小にかかわらずアナログな業務をデジタル技術によって変革するという意味です。
デジタル化の具体例には、主に以下の4つがあります。
・紙書類のデータ化 |
デジタル化を進めることには、以下のようなメリットがあります。
・業務効率と生産性が向上する |
一方で、デジタル化を進めるにあたっては以下の注意点を押さえておきましょう。
・一定のコストがかかる |
実際のデジタル化は、以下の手順で進めます。
・目的と課題を明確化する |
デジタル化を成功させるためのポイントには、以下のようなものがあります。
・全社員のコミットメントを促す |
デジタル化を進めることで、競争力の強化や多様な働き方の実現といった企業の課題を解決することができます。既に社会の流れとなっており抗えないという現実もありますので、この記事をきっかけに行動を起こしてみてはいかがでしょうか。