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コールセンターの「あふれ呼」とは?放棄呼との違いと対策を解説

あふれ呼

あふれ呼とは、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)への電話が集中し繋がらない状態のことを指します。

あふれ呼とは

もう少し詳しく説明すると、オペレーター不足で入電に対応できない場合や電話回線の容量よりも入電数が上回った場合に、対応できない入電が発生することです。

あふれ呼が発生するとコンタクトセンターに電話をかけた利用者は話し中や「ただ今回線が混み合っております」というガイダンスの状態が続き、解決したい問題点や知りたい情報をなかなかオペレーターから得ることができません。

そのため、顧客満足度の低下や機会損失に繋がり、企業にとって大きなダメージとなるのです。

顧客満足度の低下を避けるためにも事前にしっかりとあふれ呼対策をして、いつでも利用しやすいコンタクトセンターを維持することが欠かせません。

本記事のポイント

1.あふれ呼とは
2.あふれ呼と待ち呼、放棄呼の違い
3.あふれ呼が発生する4つの原因
4.あふれ呼が引き起こす問題点
5.あふれ呼対策ができる4つの方法

この記事を最後まで読めばあふれ呼がどのような状況で発生するのか理解でき、適正な対策を取れるようになるはずです。

コンタクトセンターは利用者に寄り添う視点で運用することが大切です。ぜひ、この記事を参考にあふれ呼のリスクを回避できるようになりましょう。

1.あふれ呼とは

冒頭でも述べたように、あふれ呼(あふれこ)とはコンタクトセンター(コールセンター)への電話が集中してオペレーターやガイダンスに繋がらない状態のことを指します。

「呼」には電話のコール数という意味があるため、「あふれた呼」というのがあふれ呼の由来です。

あふれ呼は

・電話回線の容量を入電数が上回った場合
・電話回線の容量に問題はなくても、オペレーター不足で対応できない場合

に発生します。

例えば、下記の図のように利用者からの入電よりもオペレーターが少ないと、対応できない入電が出てくるのであふれ呼が発生します。

あふれ呼が発生するシーン

あふれ呼時には利用者側は話し中やコールが続く、また「ただ今回線が混み合っています」とガイダンスが流れる状態となるので、ストレスや不満を与えてしまいます。その結果、顧客満足度の低下や機会損失など企業のイメージを悪化させることに繋がるのです。

3.あふれ呼が発生する4つの原因」で詳しく解説しますがあふれ呼の多発はクレーム等に直結するため、オペレーターにとっても大きな負担となります。

利用者への対応面とコンタクトセンターの運営面のどちらから見ても、あふれ呼を放置せずに適切な対策をすることが大切です。

また、あふれ呼はともばれ、同義語として使用されています。

2.あふれ呼と放棄呼の違い

あふれ呼と似ている言葉として、放棄呼があります。

放棄呼

オペレーターに繋がる前に切断されたコールのこと

オペレーターに繋がるまでに手間がかかり、利用者が途中で切断するケース等がある

それぞれの言葉の意味を正しく把握していないと使い分けることができないので、どのような状態を指しているのか確認しておきましょう。

2-1.放棄呼

放棄呼とは、オペレーターに繋がる前に切断されたコールのことです。

放棄呼は

・オペレーターに繋がる前に利用者側で切断した
・システムやオペレーター側で利用者に繋がる前に切断した

ことで発生します。あふれ呼との違いは、入電の集中が主な原因ではないところです。

放棄呼の主な原因としては

・オペレーターに繋がる前のプッシュ操作などが長くて利用者が切断する
・オペレーターに繋がるまでのコールが長くて利用者が切断する
・入電が集中したときにコンタクトセンター(コールセンター)側のシステムによって切断される

という3つが挙げられます。放棄呼はコンタクトセンターのシステムや運用方法によって、引き起こる可能性が高い側面あります。

あふれ呼(待ち呼)と放棄呼、違いが把握できたところで、あふれ呼が発生する具体的な原因を見ていきましょう。

3.あふれ呼が発生する4つの原因

あふれ呼はどのようなときに発生してしまうのか、気になっている人も多いかと思います。

ここでは、あふれ呼が発生する主な原因として

・一定の時間や曜日に電話が集中する
・コンタクトセンター(コールセンター)の規模が小さい
・1件あたりの問い合わせに時間がかかる
・コンタクトセンター以外の解決方法がない

という4つの原因をご紹介します。あふれ呼が頻繫に発生していると顧客満足度の低下などの問題につながるため、当てはまる部分はないか確認してみてください。

3-1.一定の時間や曜日に電話が集中する

企業によっては常にあふれ呼が発生しているわけではなく、決まった曜日や時間に入電が集中している場合があります。

例えば、下記のような2つのケースが考えられます。

【ケース1:申し込み開始時や予約受付開始時】

商品の申し込み開始時や予約受付開始時は「欲しい商品を逃したくない」という顧客心理から、短時間に入電が集中することがあります。従来のコンタクトセンター規模では対応しきれない数の入電があると、あふれ呼が発生します。

【ケース2:休業日の翌日】

問い合わせ窓口の休み明けは問い合わせ待ちの利用者が増加しやすく、普段よりも入電が多くなる場合があります。週末休業の場合は月曜日の午前中に入電が集中し、あふれ呼が発生しやすくなります。

このように、外的要因が影響して一時的に入電が増加すると対応しきれなくなり、あふれ呼が起こりやすくなります。

3-2.コンタクトセンター(コールセンター)の規模が小さい

入電量とコンタクトセンター(コールセンター)の規模が合っていない場合、すべての電話に対応できずあふれ呼が発生します。例えば、10人を配置しているコンタクトセンターに毎日平均400件の入電があるとしましょう。

後処理時間を含め1件の問い合わせに15分かかるとすると、一人あたり1時間に4件の対応が限界です。実働時間を7時間と設定した場合は1日に280件しか対応できず、残りの120件はあふれ呼となってしまいます。

コンタクトセンターの規模と入電量のバランスが取れていないと、常にあふれ呼が発生しやすい状態を作ってしまうのです。

3-3.1件あたりの問い合わせに時間がかかる

問い合わせの内容が多岐に渡り解決までに時間がかかる場合も、あふれ呼が発生しやすくなります。

平均通話時間(ATT)が20分の場合、オペレーターが一斉に電話を受けたとすると20分後まで次の電話を受けられません。つまり、20分間にかかってきた電話はあふれ呼となってしまうのです。

また、1件あたりの問い合わせに時間がかかると、オペレーター1人あたりが1日に処理できる問い合わせ数も少なくなってしまいます。その結果、慢性的にあふれ呼が発生しやすい状態を作ってしまいます。

3-4.電話以外の解決方法がない

利用者が疑問解決や問題解決をしたいときの解決手段が電話しかない場合、電話がつながるまで問い合わせをするしかありません。

店舗でのお会計を想像すると分かりやすいのですが、購入希望者が長蛇の列を作っても会計処理は一定のスピードでしか進みません。そのため、列の最後尾には次々と人が並び、どんどん待ち時間が増えてしまいます。

これと同じことが電話でも起きてしまい、電話がつながるのを待つ顧客で入電量が増えてしまうのです。

.あふれ呼対策の4つの方法」で詳しく解説しますが、チャットボットやFAQシステム、音声自動応答サービスなどを導入することでオペレーターと直接会話をしなくても、問題解決ができる可能性があります。電話以外の方法がないことで、入電が集中しやすい環境を作ってしまいます。

4.あふれ呼が引き起こす問題点

コンタクトセンター(コールセンター)であふれ呼が発生している状態を放置すると、どのような問題が起こるのか気になるところですよね。

あふれ呼が発生していると、

・企業の機会損失につながる
・顧客満足度が低下する
・オペレーターの負担が大きくなる

という問題点があります。それぞれどのようなところが問題点となるのか、詳しく解説していきます。

4-1.企業の機会損失につながる

あふれ呼が多いと、多くの機会を損失することになります。

ここでも、2つのケース見てみましょう。

【ケース1:商品に興味がある利用者の場合】

企業の商品に興味がありコンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせを試みたもののなかなか繋がらない場合、購入意欲が低下して購入を断念するケースや他の商品に切り替えてしまうケースがあります。

スムーズに問い合わせ対応ができていれば、商品購入につながった可能性が高いでしょう。あふれ呼が多いことで、自社の顧客を逃すことになります。

【ケース2:サービスへの入会を検討している利用者の場合】

オンラインサービスや習い事などのサービス入会を検討している場合、疑問や不安点が解消したら入会しようと思っている人は少なくありません。

コンタクトセンターに電話をかけても繋がらない場合は、顧客のストレスやサービスのイメージダウンになり入会を見送ることがあります。

リアルタイムで顧客の疑問点や不安点を解消できていれば自社サービスを利用してくれた可能性があるため、大きな機会損失となっています。

このように、あふれ呼が発生することで自社の顧客となり得る人とタイミングよくコンタクトが取れず、結果的に機会損失につながります。

常時あふれ呼が発生している場合は機会損失を続けていると考えられるので、企業の利益や顧客獲得に影響を及ぼしている可能性があります。

4-2.顧客満足度が低下する

あふれ呼は、顧客満足度の低下につながるところも大きな問題点です。

コールセンタージャパンが1年以内に企業のコンタクトセンター(コールセンター)利用した消費者を対象にアンケートを実施したところ、コンタクトセンターの不満点として「待ち時間が長い」「話し中が多い」というのが上位を占めていることが分かりました。コールセンターに電話をかけたときの不満点参考:コールセンタージャパン「コールセンター利用者調査2018」

顧客の立場からすると、コンタクトセンターを利用したいときになかなか繋がらないのは大きなストレスになります。

問い合わせ窓口を目的としている場合は、問題解決や不満点の解決ができずにブランドイメージの低下につながるかもしれません。

また、商品の購入や予約を目的としている場合はなかなか購入できないことが不満となり、クレームや機会損失となり得ます。

このように、あふれ呼を放置することで顧客満足度にも大きな影響を与えてしまうのです。

4-3.オペレーターの負担が大きくなる

あふれ呼が頻繫に発生していると、オペレーターにとって大きな負担となります。

利用者によってはコンタクトセンター(コールセンター)に繋がらないストレスから、オペレーターに繋がった瞬間怒鳴ったりクレームを言ったりします。オペレーターがいくら真摯に対応しようと思っても、毎回クレームなどを言われると心身への負担は大きいでしょう。

また、あふれ呼を削減するために具体的な対策を導入しないで

・通話時間の削減
・後処理時間の削減

などをオペレーターに課すこともプレッシャーとなります。その結果、オペレーターが負担を感じて離職率の増加や応対品質の低下を招くところも問題点だと言えるでしょう。

5.あふれ呼対策ができる4つの方法

あふれ呼を発生させないためには、あらかじめ対策をすることが欠かせません。

そこで最後に、あふれ呼対策ができる

・オペレーターを増員する
・チャットボットやFAQシステムを活用する
・音声自動応答サービスを利用する
・ワークフォースマネジメントシステムを取り入れる

という4つの方法をご紹介します。自社で実践できそうな方法を検討してみてください。

5-1.オペレーターを増員する

あふれ呼対策としてまず考えたいのは、オペレーターの増員です。オペレーターが増えれば、その分受けられる電話件数が増えるのであふれ呼が発生しにくくなります。

ここで重要なのは、自社に適正なオペレーターの人員数を把握することです。無駄にオペレーターを増員してもコストがかさみますし、オペレーターが少な過ぎるとあふれ呼が発生します。

自社に適正なオペレーターの人員数は、アーランC式で算出できます。アーランC式は

平均処理時間(AHT):顧客からの問い合わせを処理するためにかかる平均的な時間
・1時間当たりのコール数:1時間あたりの入電数
サービスレベル目標値:20秒以内に80%の電話に対応するのが一般的な目標

の3つの数値が分かれば活用できます。数式自体は階乗計算などを用いており難解ですが、自動計算サイトを利用することで目安が算出できます。

あふれ呼を発生させないように、自社のコンタクトセンター(コールセンター)の稼働状況に合わせたオペレーターの増員を検討してみてください。

5-2.ワークフォースマネジメントシステムを取り入れる

ワークフォースマネジメント(WFM)とは、コンタクトセンター(コールセンター)の品質を下げることなくオペレーターを適正に配置するマネジメント方法です。

最近では、コンタクトセンター運用に欠かせないシステムとして導入する企業が増えています。ワークフォースマネジメントシステムを導入すると、過去の入電実績を分析して

・入電予測
・必要なオペレーターの人員予測
・オペレーターの手配管理
・オペレーターのスキル管理

ができます。(システムによって機能が異なります)

つまり、入電が集中する時間をあらかじめ予測してあふれ呼が発生しないようにオペレーターの配置ができます。

このシステムは決まった曜日や時間帯にあふれ呼が発生しやすい場合や、現状どのタイミングであふれ呼が発生しているのか掴めていない場合に有効です。

常時オペレーターを増員するのも一つの手段ですが、少しでもコストを抑えて必要なタイミングでオペレーターを増やしあふれ呼対策をしたい場合は検討してみてください。

5-3.チャットボットやFAQシステムを活用する

あふれ呼対策として導入したいのが、チャットボットやFAQシステムです。

システム名

特徴

利用シーン

チャットボット

自動会話プログラム。利用者とコミュニケーションを取りながら、問題を解消していく

・LINEでのチャットボット問い合わせ

・企業サイトでの問い合わせ対応

FAQシステム

質問や問い合わせに対する回答をデータ化し管理できるシステム

・企業サイトのよくある質問や質問集

チャットボットは、利用者とチャット上でコミュニケーションを取りながら顧客の問題点や疑問点を解消します。

例えば、商品を返却したい場合、チャットボットに「商品を返却したい」と打ち込んだりチャットボットが提示する選択肢に従って操作したりすることで、商品の返却方法が把握できます。

一方でFAQシステムは、質問や問い合わせの回答をデータ化して管理するシステムです。企業サイトで多く活用されており、利用者が知りたい回答が検索できるようになっています。

この2つの共通しているのは、利用者が自己解決できるところです。利用者自身で疑問点や不安点を解決できる手段を用意しておくことで、電話の問い合わせを減らせます。

また、どちらも基本的には24時間365日対応できるため、休業日明けの入電の集中を防ぎたい場合にも有効です。(有人対応チャットボットを除く)

利用者の疑問や不安の解決手段が電話に一本化されているとどうしても入電が集中しやすいため、他の解決手段や対応方法も取り入れてみてください。

5-4.IVR(音声自動応答システム)を利用する

あふれ呼対策として、IVR(Interactive Voice Response)を導入してみるのも一つの方法です。

IVRとは、コンタクトセンター(コールセンター)で音声ガイダンスによる自動応答をするコンピューターシステムを指します。利用者がガイダンスに従いプッシュ操作をすることで、下記のようなあふれ呼対策ができます。

IVRの機能

あふれ呼対策に繋がるポイント

適切なオペレーターに電話をつなぐ

利用者の要件とオペレーターグループを紐付けし、要件に合わせて最適なオペレーターに繋ぐ。

1件当たりの通話時間が短縮でき、入電の集中を軽減できる。

自動受付

利用者がガイダンスに従いプッシュ操作をすることで、資料請求や商品購入、再配達受付などを自動で行う。

オペレーターに接続する入電を削減でき、あふれ呼対策につながる。

有人対応と無人対応の切り替え

利用者の問い合わせ内容に従い、ガイダンスのみの対応とオペレーターを要する有人対応への切り替えを行う。

オペレーターに繋ぐ要件を選別できるので、あふれ呼対策につながる。

時間外の対応

オペレーターの対応時間外に自動受付などの時間外対応をすることで、営業時間内に入電が集中することを防げる。

折り返し電話機能

コンタクトセンターが混雑してオペレーターに繋がらないときに、後ほどオペレーター側から折り返し電話をする予約ができる。

あふれ呼による機会損失を防げる。

SMSの活用

電話番号にSMSを送り、ウェブサイトの質問集やチャットボットなどに誘導する

とくに、折り返し電話機能はコンタクトセンターが混雑しているときに、後ほど折り返し連絡をする予約ができる機能です。

あふれ呼時に逃してしまう利用者とコンタクトが取れるようにすることで、機会損失が防げます。IVRは導入するシステムによってどのような機能が使えるのか異なりますが、あふれ呼対策に繋がる機能が揃っています。

IVRの仕組みや導入方法について詳しく知りたい場合は、下記の記事も参考にしてみてください。

あふれ呼対策はコンタクトセンターの現状を見極めて、適した方法で実施することが大切です。弊社では利用者目線に立ち、コンタクトセンターと利用者との接点をデザインし続けています。あふれ呼対策を始め、コンタクトセンター運用でお困りごとがある場合は、お気軽にお問い合わせください。

 

6.まとめ

いかがでしたか?あふれ呼とはどのような状態なのか把握でき、自社に合う対策を検討できるようになったかと思います。

最後にこの記事の内容をまとめてみると

◎あふれ呼とはコンタクトセンター(コールセンター)への電話が集中し、つながらない状態のこと

◎あふれ呼(待ち呼)と間違やすいと放棄呼の意味は下記のとおり

放棄呼

オペレーターに繋がる前に切断されたコールのこと

オペレーターに繋がるまでに手間がかかり、利用者が途中で切断するケース等がある

◎あふれ呼が発生する理由は次の4つ

1)一定の時間や曜日に電話が集中する
2)コンタクトセンターの規模が小さく、オペレーターが不足している
3)1件あたりの問い合わせに時間がかかる
4)利用者が電話で問い合わせをする以外の解決方法がない

◎あふれ呼が引き起こす問題点は次の3つ

1)自社の顧客となり得る利用者からの問い合わせが含まれているため、機会損失につながる
2)オペレーターに繋がるまでの時間が長く、顧客満足度が低下する
3)利用者からのクレーム等が増えるので、オペレーターの負担が大きくなる

◎あふれ呼対策として実施できる方法は次の4つ

・オペレーターを増員し、適正な人員を配置する
・ワークフォースマネジメントシステムを取り入れる
・チャットボットやFAQシステムを活用し、電話の問い合わせを減らす
・音声自動応答サービスを利用する

この記事をもとに、自社に合うあふれ呼対策ができるようになり顧客満足度の高いコンタクトセンター運用ができるようになることを願っています