「ノンボイスを活用したいものの導入方法が分からない。自社と同じ業界ではどのように活用されているの?」
「ノンボイスを活用した成功事例は?ノンボイスを導入するとどのような成果が出るの?」
昨今注目を集めているノンボイスですが、活用するとどのような成果が出るのか気になっている担当者は多いのではないでしょうか。
ノンボイスとは、音声を使わないコミュニケーションのことです。メールやチャット、チャットボットなどが該当します。
ノンボイスの一例 |
・メール |
ノンボイスは下記のように幅広い業界で活用されており、具体的な成功事例も数多く出ています。
業界別ノンボイス活用事例一覧 | |
製造業界 | 電話着信数の削減『電話対応件数を約56.5%削減』 |
通信業界 | ノンボイス比率の拡大『チャットサポート比率が5年で10%から60%に拡大』 |
生損保業界 | ノンボイスでの相談受付 |
流通小売業界 | 店舗接客レベルのチャットカウンセリングの導入『コンバージョン率は1%から5%へ向上し平均購入単価も増加』 |
ライフライン | 電話中心の顧客サポートからノンボイスチャネルへの移管『月間25,000件の問い合わせうち1/3を自動化』 |
金融業界 | 顧客の利便性が向上するサービスを提供 |
医薬業界 | ノンボイスチャネルでの迅速な問い合わせ対応『LINE登録者数が1日で約2万人増加』 |
不動産業界 | ノンボイスチャネルで潜在顧客と接点を構築『問い合わせ数が15%増加』 |
公共 | LINEで手軽に相談できる環境を構築『窓口開設から2週間で年間電話問い合わせ件数の2倍を記録』 |
ノンボイスは導入だけで終わるのではなく、導入方法や活用方法を把握して成果が出せるように取り組むことが欠かせません。
そこでこの記事では、業界別のノンボイス活用事例やノンボイスを活用するポイントを解説していきます。とくに業界別の事例では、どのような成果を出しているのか分かるため必見です。
この記事から分かること |
◎業界別ノンボイス導入の成功事例 |
この記事を最後まで読めば、ノンボイスを自社でどのように活用できるのかイメージできます。ノンボイスの活用は今後より拡大していくと予測されるので、ぜひ参考にしてみてください。
1.業界別ノンボイス導入の成功事例
ノンボイスとは、チャネルの中で音声を使わないコミュニケーションを指します。コンタクトセンター(コールセンター)ではメールやチャットボット、FAQなど電話以外のチャネルが該当します。
コンタクトセンターで使用するノンボイス一覧 | |
メール | 顧客からのメールに返信する |
チャットボット | リアルタイムで使用できる自動会話プログラム |
チャット | オペレーターと顧客がリアルタイムでテキストコミュニケーションを取る方法 |
ボイスボット | AIを活用した自動応答サービス |
FAQ | 顧客から頻繫に尋ねられる質問と回答をまとめた問答集 |
SMS | 電話番号宛てにメッセージを送信できるサービス |
SNS | X(旧Twitter)やInstagram、TikTokなどのインターネット上のコミュニティサイト |
「コールセンター白書2022」によると、ノンボイスを導入するコンタクトセンターは拡大傾向にあります。とくにチャットボットは43.6%、FAQを構築・管理するシステムは46.7%と約半数のコンタクトセンターで活用されています。
次の章からはコンタクトセンターでノンボイスを活用するとどのような成果を得られるのか、業界別の事例を解説していきます。
ノンボイスの基礎知識やメリット、デメリットは下記の記事で解説していますので、参考にしてみてください。
2.製造業のノンボイス事例
製造業はデジタル化やDXが推進されており、コンタクトセンター(コールセンター)でもノンボイス活用が増えています。
ここでは、製造業のノンボイスの活用事例をご紹介します。
製造業でのノンボイス活用事例 |
①電話着信数の削減 |
ノンボイスを導入したことでどのような変化があったのか分かるため、ぜひ参考にしてみてください。
2-1.電話着信数の削減
コンタクトセンターにおいてよくある課題として挙げられるのが、コンタクトセンターに問い合わせが集中してしまい、稼働率や応答率が低下する課題です。
製造業のA社では応答率が課題となっていました。そこで、電話とメール対応のみだったコンタクトセンターにチャットを導入しました。
その結果、電話対応件数を約56.5%削減。とくに注文前の問い合わせが減少し、応答率を安定させることができたそうです。
製造業B社ではLINEのチャットサポートとチャットボットツールを導入したことで、前年より30.6%も着信数を削減できています。
電話対応だけでなくノンボイス対応を実施することで顧客の問題解決がスムーズになり、着信数自体を減らせます。その結果、応答率や稼働率の適正値を維持でき、オペレーター対応が必要な問い合わせを逃さない環境を構築できます。
2-2.オペレーターの業務効率化
ノンボイスチャネルの追加はオペレーターの業務効率化が期待できますが、製造業でも同様です。
C社では下記のようなルールで、オペレーターや管理者のチャット同時対応を実施しています。
C社のチャット同時対応のルール | |
オペレーター | 1人3件まで同時対応 |
管理者 | 1人5件まで同時対応 |
繫忙時間帯 | 一時的に全員が1人5件まで同時対応 |
ポイントは問い合わせが集中しやすい午前中に限定し、同時対応件数を最大5件まで引き上げていることです。
コンタクトセンターのチャネルが電話のみの場合はどうしても1対1の対応が必要ですが、チャットでは同時対応が可能です。オペレーターが複数人を同時対応できれば顧客からの問い合わせが貯まることなく、応答率が安定します。
また、C社ではオペレーターのチャット対応の負担を軽減するために、テンプレートを用意しています。顧客から問い合わせがあったときに最初に返信する下記のようなテンプレートを用意しておけば、業務効率化が実現できます。
【テンプレートの一例】 ○○様 この度は、ご連絡ありがとうございます。○○とのこと、ご不便をおかけして申し訳ございませんでした。対処法をお調べしてすぐに返信させていただきますので、今しばらくお待ちください。 カスタマーサービス ○○ |
テンプレートは日々情報の更新や修正を行っており、オペレーターが活用しやすい内容を盛り込むようにしているそうです。
その結果、テンプレートの使用率は約半年間で、39.58%から61.98%まで向上しました。
チャネルが増えるとオペレーターの負担が増えることが懸念されますが、テンプレートの導入や対応件数の調整によりオペレーターの負担軽減と品質の均一化を両立しています。
2-3.顧客との新たな接点の構築
製造業では、顧客との新たな接点を構築するためにノンボイスチャネルが活用されています。
D社では製品購入後に利用する製品保証登録用のWebサイトが有効活用できておらず、顧客情報の収集ができない課題がありました。
そこで、カスタマージャーニーを見直し、製品保証登録が簡単にできるようにLINEでの登録に変更しました。その後のサポートは、LINEで1on1のコミュニケーションができるように設計しています。サポートを次の購入へとつなげ、リピーターやロイヤルカスタマーの育成を目指します。
ノンボイスチャネルで顧客との接点を増やし、情報収集や顧客とのコミュニケーション強化に役立てている事例だと言えます。
3.通信業界のノンボイス事例
通信業界は、新規加入の問い合わせや利用中の質問、解約手続きなどコンタクトセンター(コールセンター)に架電が集中しやすいです。
そこで、ノンボイスを活用し架電集中を回避しながら、顧客と良好な関係を構築する事例が増えています。
通信業界でのノンボイス活用事例 |
①ノンボイス比率の拡大 |
通信業界ではどのようにノンボイスを有効活用しているのか参考にしてみてください。
3-1.ノンボイス比率の拡大
通信業界では、ノンボイスチャネルを導入しノンボイス比率を拡大した事例が多数あります。
A社ではノンボイスプロジェクトを発足し、カスタマーサポートをチャット・チャットボットに移行する取り組みをしました。
取り組み前は電話での問い合わせが半数以上を占めていましたが、取り組み後はチャットボット経由での問い合わせが半数以上を占めるようになりノンボイス中心のサポートへと変革できました。
B社では問い合わせ内容を分析し、問い合わせの多いFAQやWebページにチャットバナーを設置しました。その結果、チャットサポート比率は5年で10%から60%まで拡大しました。
C社では、チャット上での本人確認を開始しました。チャットで対応できる業務を増やしたことでチャット対応比率が8%から25%まで向上しています。
このように
・ノンボイスチャネルを導入してノンボイスでの対応に移行する |
などの取り組みにより、カスタマーサポートのノンボイス比率を向上させることができます。
3-2.必要なオペレーター数の削減
コンタクトセンターでのノンボイスが定着したことで、オペレーター数の削減につながった事例もあります。
D社ではチャットボットとチャットを活用したLINEサポートを導入したことで、従来電話応対をしていた問い合わせの約40%がLINEサポートに流入しました。その結果、電話での問い合わせ数が減り、オペレーターを3.3人減らすことに成功しています。
他にも、E社ではチャットボットとチャットの導入により、コンタクトセンターへの問い合わせ数が減りました。その結果、4ヶ月で最大10%のサポートコスト削減を実現しています。
オペレーター数が減ると人件費削減ができるだけでなく、深刻化しているコンタクトセンターの人材不足解消にもつながります。
3-3.画像や動画を使い効率よく情報を伝える
通信業界では料金説明や使い方の説明、現状の確認など口頭やテキストだけでは伝わりにくい部分が多々あります。
E社では画像を使いながらチャットでやり取りをすることで、最大50%の対応時間削減につながりました。
例えば、通信サービスの料金がテキストだけでは分からない場合は、分からない部分を画像や動画で送信してもらいます。オペレーターは画像から必要な情報を判断して返信をします。テキストだけでなく画像や動画を見ながらコミュニケーションを取ることで、効率よく問題解決ができるようになったそうです。
また、E社ではチャットを導入したことで、外国語を話す人や電話が苦手な人とも効率よくコミュニケーションが取れるようになったと感じています。
ノンボイスチャネルを活用することで、より双方が分かりやすい方法でコミュニケーションが取れるようになります。
4.保険業界のノンボイス事例
保険業界では、業務効率化や顧客との新たな接点を創出するためにノンボイスが活用されています。
保険業界でのノンボイス活用事例 |
①ノンボイスでの相談受付 |
ただノンボイスを導入するだけでなく工夫をしながら成果を出しているので、ぜひチェックしてみましょう。
4-1.ノンボイスでの相談受付
保険業界では、保険相談や保険の見直しなど顧客との接点を少しでも多く創出し契約につなげることが大切です。
しかし、保険の相談はハードルが高いと感じている顧客が一定数いるため、手軽に相談できる仕組みづくりが課題となりやすいです。
生命保険サービスを提供しているA社では、LINE経由で手軽に保険の相談ができる仕組みを構築しました。
【サービスの特徴】 ・保険に関する簡単な悩みはFAQやチャットボットで自己解決できる |
とくに、LINE経由で保険プランナーに相談できるため顧客の負担感が少なく、手軽に利用してもらえます。
実際に「子供がいるからなかなか保険相談ができずLINEでできるのはありがたい」という声や「手が空いているときに相談内容を見直せるのがいい」などの声が届いています。
4-2.コンタクトセンター(コールセンター)運営の最適化
保険業界は申し込み時前の相談や保険の利用、更新などさまざまな目的の問い合わせがあり、コンタクトセンターに入電が集中しやすいです。
そこで、B社では既存のコンタクトセンター内にチャット・FAQチームを立ち上げ、ノンボイスチャネルへの移行に取り組みました。
顧客側には電話だけでなくチャットとチャットボット、FAQを構築、オペレーター側にはナレッジ画面を表示し運用しやすい環境を整えています。
4-3.データを新規顧客獲得に活用
C社ではチャットのシナリオ作成に、CXプラットフォームや競合他社分析を活用しています。
他社調査やVOCの収集、Webサイト訪問者の分析結果をもとに、チャットのシナリオを作成している点が特徴です。運用後には契約につながっているかどうかの効果測定を実施し、効率よくPDCAを回し改善を重ねています。
また、コンタクトセンター内にチャットチームを構築することで、情報共有や効果測定のしやすい環境を整えています。
5.流通小売業界のノンボイス事例
流通小売業界では新型コロナウイルスの流行を機に、オムニチャネル化が加速しました。店舗販売だけでなく、ECサイトやSNSなど多様なチャネルを駆使して購入体験を提供することが求められています。
そこで、重要となるのがノンボイスです。店舗接客だけでなくECサイトやSNSでも顧客と良好なコミュニケーションが取れることで、購入やリピートにつながります。
実際にノンボイスを導入して、売上やリピート率向上などの成果を出した好事例があります。
流通小売業界でのノンボイス活用事例 |
①店舗接客レベルのチャットカウンセリングで売上が向上 |
ノンボイスをどのように有効活用しているのか分かるため、ぜひ参考にしてみてください。
5-1.店舗接客レベルのチャットカウンセリングで売上が向上
コスメ系のECサイトを運用しているA社では、オンライン経由での売上拡大を目指してチャットでのサポートを開始しました。
より顧客に寄り添うチャットサポートを実現するために
・商品詳細や購入ページで顧客が迷うポイントや悩みを解決し離脱防止に努める |
を目的として、チャットカウンセリングも実施しています。
チャットカウンセリングではECサイト上に一定時間滞留している顧客に対して「お困りですか?チャットでカウンセリングができます」などのチャット案内をポップアップ表示します。
ポップアップ表示後には
・お肌のお悩み相談 |
など、商品購入時に知りたい情報を提供しています。A社では顧客対応する際には店舗研修が義務付けられており、チャット対応でも店舗と同様の研修を実施し品質を維持しています。
チャットカウンセリングは対面では話しにくい悩みを相談できるところが受け入れられ、対応後のアンケートでは90%の顧客が 「購入する」「たぶん購入する」 と回答しています。コンバージョン率は1%から5%へ向上し、平均購入単価も増える成果を残しています。
5-2.顧客との新たな接点の創出
流通小売業界では、新たな顧客との接点としてノンボイスチャネルを活用している事例もあります。
基礎化粧品や医薬部外品を扱うB社では、時代の流れとともに顧客の購入チャットが電話からデジタルに移行していました。デジタルでも顧客の気持ちに寄り添うコミュニケーションを実現するために、LINEでのチャット対応やID連携を開始しました。
チャット対応ではオリジナルキャラクターのチャットボットが一次受付を行い、オペレーターが「LINEでお肌相談」を担当します。キャラクターを使用したカジュアルなコミュニケーションで気軽な問い合わせを促し、その後有人対応することで信頼感を得ながら相談内容の解決を図ります。
実際に「LINEでお肌相談」の利用後には
・翌月リピート率が従来よりも3.4%増加 |
などの変化がありました。
また、LINE上でID連携をすることで翌月のリピート率が2%上昇する効果も得られました。
5-3.深刻な人材不足の解消
流通小売業界は、人材不足に課題を抱えているケースがあります。ノンボイスチャネルを使うと、求人サイトや求人情報誌に掲載する手間とコストを抑えながら求人募集ができます。
C社では自社のLINEに求人チャネルを追加しました。LINEで自分の写真と情報を送信するだけで、手軽に求人に応募ができます。
求人に応募する側は履歴書や写真の用意に負担を感じやすいため、応募のハードルを下げることで応募率が30%も増加しました。
深刻な人材不足を解消したい場合には、ノンボイスチャネルを活用した施策も検討できるでしょう。
6.ライフライン業界のノンボイス事例
ガスや電気、水道などのライフライン業界でも、ノンボイスチャネルの活用は拡大しています。
産業ガスの供給サービスをしているA社では、顧客サポート業務を電話中心で行っていました。
チャットやチャットボットなどのノンボイスチャネルに移管するために、LINE上でLPガスや灯油利用者の問い合わせや申し込みに対応するサービスを開始しました。
LINE上のチャットボットでは、利用開始、停止日のヒアリングや簡単な問い合わせに回答できます。チャットボットやチャットでの解決が難しい場合は、オペレーターに引き継ぐことも可能です。
LINE上で24時間365日の対応ができるようになったことで、月間25,000件の問い合わせうち1/3を自動化ができました。
7.金融業界のノンボイス事例
金融業界では、LINEを活用したノンボイスの好事例があります。
メガバンクA社では銀行口座がありインターネットバンキングに登録している顧客を対象に、下記のようにLINE経由で残高照会や入出金明細の確認ができるサービスを提供しています。
問い合わせボタンからは手軽に問い合わせができ、コンタクトセンター(コールセンター)への架電集中の回避にもつながるでしょう。
また、LINEで接点を作っておくことで、顧客のライフステージに応じた提案やサービスの紹介がしやすくなります。
登録されている顧客情報をベースに、子供のための学資保険や資産運用などの提案をすることも検討できるでしょう。
8.医薬業界のノンボイス事例
医薬業界では、LINEを活用したガーデニング製品サポートが反響を呼んだ事例があります。
LINE上でガーデニングの悩みをテキストや写真で共有すると、対処法が返信されます。最後には自社製品へのリンクを送付しており、自社製品の購買へとつなげています。
サポート対応内容が反響を呼び、LINE登録者数は1日で約2万人増加しました。X(旧Twitter)では1日で約5万リツイートを獲得しており、認知度の向上にも貢献しています。
ノンボイスチャネルを使った斬新なサービスを提供することで、潜在顧客や新規顧客との接点構築や顧客満足度の向上、自社製品の認知度向上につながった事例だと言えるでしょう。
9.不動産業界のノンボイス事例
不動産業界では潜在顧客との接点を構築するために、ノンボイスチャネルが活用されています。
不動産賃貸仲介を行っているA社はスマートフォンやSNSの普及に伴い、LINE上で物件検索から店舗への問い合わせまでができるサービスの提供を開始しました。
LINE上では
・AIリコメンド機能の備わった物件検索(希望条件に合う物件を表示) |
など、物件探しを始めるときに知りたい情報や機能が揃っています。オフラインである店舗接客や内見とシームレスな連携ができ、契約まで効率よく進めます。
潜在顧客と接点の持てるサービスの導入により、問い合わせ数は15%増加しました。
10.公共のノンボイス事例
トランスコスモスはLINE株式会社と共同で「全国SNSカウンセリング協議会」を設立し、若者がLINEで手軽に相談できる環境を整えました。
LINEはチャットで相談できるのはもちろんのこと、LINE経由で電話をすることも可能です。
「ココロの健康相談」ではLINE相談窓口開設から2週間で,年間電話問い合わせ件数の2倍を記録しました。ノンボイスの利点である手軽さと相談のしやすさを上手に活用した事例だと言えるでしょう。
11.事例から見えてきたノンボイスを活用するときの3つのポイント
ここからは、さまざまな業界のノンボイス活用事例から分かるノンボイスを活用するときのポイントをご紹介します。
ノンボイスを活用するときの3つのポイント |
①オペレーターの対応件数を工夫する |
ノンボイスは導入するだけではなく有効活用できる基盤を整えることが重要なので、参考にしてみてください。
11-1.オペレーターの対応件数を工夫する
1つ目は、オペレーターの対応件数を工夫することです。「2.製造業のノンボイス事例」でもあったように、ノンボイスチャネルではオペレーターが複数人を同時対応できます。
電話の場合はどうしても1対1での対応になりますが、チャットやメールは同時に複数人の対応が可能です。着信のバラつきや稼働率を加味した同時対応は約1.7前後が標準ですが、繫忙時間帯は下記のように2.7人や3人など、同時対応人数を増やすことも検討できます。
例えば、繫忙時間帯である10時~12時は1人のオペレーターが3人のチャット対応ができるようにすれば、顧客からの問い合わせ対応が滞りにくくなります。1人のオペレーターが同時に複数人対応できると、コンタクトセンター(コールセンター)の人手不足解消や稼働率の最適化が実現できるでしょう。
オペレーターが複数人を同時対応するには、ノンボイスチャネルを活用してオペレーターの稼働率を下げることも大切です。
今まではオペレーターが電話で100%対応していたところをチャットボットの自動対応で20%対応できれば、20%分の空き時間が生まれます。この時間を複数人のチャット対応に充てれば、オペレーターの負担を増やすことなくノンボイスチャネルを活用できるでしょう。
11-2.ノンボイスから得たVOCを戦略に活用する
2つ目は、ノンボイスから得たVOCを戦略に活用することです。
VOCとは、顧客のリアルな声のことです。昨今はVOCをヒントにマーケティングや商品開発などを行うケースが増えています。ノンボイスでは顧客とのやり取りや顧客の入力内容がそのまま残ります。
・チャット:顧客からの質問内容や疑問を解決できた流れがそのまま残る |
チャットのデータを収集できれば、顧客が抱えやすい問題や問題解決に結びつきやすいトークの傾向が掴めます。効率よく問題解決できるトークの傾向をもとに、トークスクリプトや定型文を改良できます。
また、チャットボットやFAQであれば利用の多い質問を分析し、マーケティングや商品開発に活用できます。たとえば、「商品の使い方が分からない」というVOCが多ければ、使いやすいように商品や説明書を改良することが可能です。
このように、ノンボイスでは顧客の意見や不満を収集しやすいので、データを有効活用できる仕組みを構築できるといいでしょう。
VOCについては下記の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
11-3.求人時にはノンボイス業務をアピールポイントにする
3つ目は、求人時にはノンボイス対応をしていることをアピールポイントにすることです。
「コールセンター白書2022」を見ると、コンタクトセンター(コールセンター)の運営課題として人材不足や人材育成が挙がっています。
実は、ノンボイス業務は求人活用時の大きな魅力になります。
実際に電話とノンボイス対応の求職者のニーズを比較すると、採用倍率と求人数ともにノンボイスが上回っています。とくにノンボイス業務は若い世代から注目を集めており「LINEを使った仕事に興味を持てた」「電話業務ではないことが決め手だった」という声もあります。
項目 | 電話業務 | ノンボイス業務 |
求人数 | 100% | 109% |
採用倍率 | 100% | 130% |
20代の採用割合 | 14.7% | 35.2% |
30代の採用割合 | 10.6% | 11.5% |
コンタクトセンターの人材不足に困っている場合は「コンタクトセンター業務」と求人をするのではなく
・LINEやチャットを使ったノンボイス業務 |
など、ノンボイス対応を行っていることアピールすると人材獲得につながりやすくなるでしょう。
12.トランスコスモスのノンボイス導入サービス
ここまで見てきたように、ノンボイスを導入すると業務効率化や顧客満足度の向上、利益の拡大などさまざまな課題を解消できます。
トランスコスモスではノンボイス導入をサポートするサービスを提供しています。
トランスコスモスのノンボイス導入サービス | |
DEC Support | 独自開発のチャットプラットフォーム |
Contact-Link | コミュニケーションデータを一元管理できるサービス |
どのようなサービスなのか簡単に解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
12-1.DEC Support
「DEC Support」は、独自開発のチャットプラットフォームです。
内閣官房 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)の「LINE利用ガイドライン」に準拠している安全性の高さが特徴です。
LINEやWebチャットなどのノンボイスチャネル使い顧客との新たな接点を創出するだけでなく、レポートや分析の作成までを一貫して行えます。
また、ノンボイスチャネルをただ実装するのではなく、自社の目的に応じて活用できるように研修やツール整備、シナリオ作成も実施します。
たとえば、下記のようにチャットボットとチャットの切り替えを行うハイブリッド対応も実現できます。
「DEC Support」は幅広い業界で導入していただいているサービスなので、ノンボイスチャネルの導入時にお役立てください。
▼「DEC Support」のサービス概要はこちらで詳しくご確認いただけます。
DEC Supportサービスページ
▼「DEC Support」の機能を詳しく紹介しています。
12-2.Contact-Link for CTS
「Contact-Link for CTS」は、コミュニケーションデータを一元管理できるサービスです。
ノンボイスチャネルを導入するとチャットや電話、チャットボットなどチャネルごとにデータが分離しがちです「Contact-Link for CTS」を活用すると1つのシステムでまとめて管理できるため、運用しやすい環境を構築できます。
また、オペレーター向けのFAQ機能やテンプレート機能、顧客の過去履歴参照などオペレーターの負担を軽減できる機能が用意されている点もポイントです。
他にも、オペレーターの自動割り振りやコンディション確認など、「Contact-Link for CTS」のみでコンタクトセンター(コールセンター)運用を最適化できます。
電話とノンボイスチャネルの連携やノンボイスチャネルの運用に課題を感じている場合は、お気軽にお問い合わせください。
まとめ
いかがでしたか?業界ごとのノンボイス事例が理解でき、ノンボイスの活用方法がイメージできたかと思います。最後に簡単にこの記事の内容をふり返ってみましょう。
◎業界別のノンボイス活用事例一覧
業界別ノンボイス活用事例一覧 | |
製造業界 | 電話着信数の削減 |
通信業界 | ノンボイス比率の拡大 |
保険業界 | ノンボイスでの相談受付 |
流通小売業界 | 店舗接客レベルのチャットカウンセリングの導入 |
ライフライン業界 | 電話中心の顧客サポートからノンボイスチャネルへの移管 |
金融業界 | 顧客の利便性が向上するサービスを提供 |
医薬業界 | ノンボイスチャネルでの迅速な問い合わせ対応 |
不動産業界 | ノンボイスチャネルで潜在顧客と接点を構築 |
公共 | LINEで手軽に相談できる環境を構築 |
◎事例から見えてきたノンボイスを活用するときのポイントは次の3つ
①オペレーターの対応件数を工夫する |
◎トランスコスモスが提供しているノンボイスサービスは下記のとおり
トランスコスモスのノンボイス導入サービス | |
DEC Support | 独自開発のチャットプラットフォーム |
Contact-Link | コミュニケーションデータを一元管理できるサービス |
ノンボイスは幅広い業界で活用されており、工夫次第で着実な成果に結びついています。
トランスコスモスではボトルネックとなるノンボイス導入をサポートするサービスを提供しています。ノンボイスを活用したいものの、導入にハードルを感じている場合はお気軽にお問い合わせください。