「カスタマーサービス業務で『ノンボイス化』という言葉を聞くようになったけれど、どういう意味?」
「会社が電話業務を縮小してノンボイス化しようとしているが、どんなメリットがあるの?」
顧客対応を担当していて、そのような疑問を抱いている方も多いことでしょう。
「ノンボイス」とは、企業の顧客対応業務において「電話=音声通話」以外のコミュニケーション手段を指す言葉です。
たとえばメール、チャット、SNSなどが含まれます。
従来のカスタマーサービスは、コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)での電話対応が主流でしたが、スマートフォンやSNSの普及などの影響で、顧客の問い合わせは電話からWEB経由にシフトしてきました。
そのため企業側でも、電話窓口を縮小し、かわりに「ノンボイス」での対応を増やしていこうという動きが加速しているのです。
そこでこの記事では、ノンボイスについていま知っておくべきことを網羅しました。
まず最初に、
◎「ノンボイス」の意味
◎ノンボイスの種類
◎ノンボイス化が進む背景
といった基本を知ってください。
それを踏まえて、実際にノンボイスを導入する際の参考として、
◎ノンボイス化のメリット・デメリット
◎ノンボイス化の成功事例
◎ノンボイスチャネルごとの特徴比較
◎ノンボイス化の際のポイント
を解説します。
最後まで読めば、顧客対応におけるノンボイスについての基本知識が身につくはずです。
この記事で、あなたの会社が適切にノンボイス化を進められるよう願っています。
1.ノンボイスとは
「ノンボイス」というワードを「最近聞くようになった」という人も多いでしょう。
そんな人のためにも、まずこの言葉の意味をわかりやすく説明しておきましょう。
1-1.「ノンボイス」の意味
「ノンボイス」とは、企業のカスタマーサポート担当部署において、顧客対応をする手段のうち電話以外のものを指します。
たとえば、メールや問い合わせフォーム、SMSなどが含まれます。
「non-voice」つまり「音声ではない」という意味から、電話以外のコミュニケーション手段の総称となっています。
また、顧客対応において、電話以外の手段、特にWEBや新たなコミュニケーションチャネルを利用した方法を取り入れていくことを「ノンボイス化」とも呼んでいます。
1-2.ノンボイスの種類(=チャネル)
ノンボイスに含まれるコミュニケーション手段(=チャネル)には、以下のようなものがあります。
◎Eメール:問い合わせメールなど
◎問い合わせフォーム:企業や団体などの公式サイトに常設して質問を受け付けるフォーム
◎チャット:担当オペレーターがチャットで対応する
(ボットが対応する「チャットボット」もあるが、それは後述)
◎SMS:ショートメッセージによる情報提供など
◎SNS:FacebookやTwitterを利用して顧客対応
以下はよくノンボイスと混同されがちですが、そうではなく「セルフサービス」ですので、本記事では深く記載しません。興味がある場合、以下をご覧ください。
◎チャットボット:人ではなくボットがチャットで対応、AIによるボットもある
◎FAQ:公式サイト内に「よくある質問&回答」を掲載、利用者が疑問を「問い合わせ」せず自己解決できることを目指す
◎ボイスボット:顧客等から電話での問い合わせに対しオペレーターを介さず自動応答するシステム
ノンボイスとオペレーターによる電話での顧客対応の主な違いは、
両者の主な違いは、
- オペレーターによる電話対応はその場で顧客と直接対応するが、ノンボイスは相手とのやりとりにタイムラグがある(即時対応ではない)
- オペレーターによる電話対応は1対1だが、ノンボイスは1対多数の対応も可能
などが考えられるので、企業側も顧客側も場合によって使い分けているのが実状です。
2.ノンボイス化が進む背景
近年ではノンボイス化を進める企業が増えていますが、それはなぜでしょうか?
この背景には、以下のような事情があると考えられています。
2-1.スマートフォンの普及
第一に、スマートフォンが爆発的に普及したことが挙げられるでしょう。
これにより、人と人とのコミュニケーションのメインストリームは、従来の「電話による音声通話」から、メールやSNSなどを使った「インターネット上でのやりとり」にシフトしました。
何かわからないことがあれば、本で調べるか人に問い合わせるかしかなかった時代から、スマホで気軽に検索して自己解決できるようにも変わってきました。
その結果、電話を利用する機会はどんどん減少し、特に若い世代では「電話は面倒、好きではない」と感じる人が多くなっています。
そのため、電話よりも気軽にアクセスできるノンボイスの需要が高まっているのです。
2-2.コンタクトセンター(コールセンター)業務の見直し
次に、従来の顧客対応を中心的に担ってきたコンタクトセンター(コールセンター)での電話窓口に関して、その業務内容の見直しが進んでいることがあります。
というのも、コンタクトセンター業務はさまざまな問い合わせに対応する必要があるため、オペレーター教育に時間とコストがかかります。
一方で、クレーム対応も多いためにオペレーターにはストレスがたまりやすく、離職率が高いと言われています。
そこで、電話窓口業務を効率化、スリム化して、かわりにノンボイスでの顧客対応を増やしていこうという動き(様々なチャネルで顧客と企業のコミュニケーションを結ぶコンタクトセンターへの変革)が進んでいるわけです。
特にチャットボットでシステム化すれば、人的リソースもコストも抑えることができるので、今後ますますノンボイス化を推進する企業は増えてくるでしょう。
2-3.新型コロナウイルスの影響
このノンボイス化の流れをさらに加速させたのは、昨年から続いている新型コロナウイルスによる影響です。
従来のコンタクトセンター(コールセンター)では、一箇所に集まったオペレーターがヘッドセットマイクに向かって話し続けるのが日常でしたが、現在では新型コロナウイルスの感染防止のため、企業側はオペレーターの人数を減らして運営したり、在宅で受電できるようなシステムを採用したりする必要に迫られています。
そんな中で、従来型のコンタクトセンター運営自体が困難と考え、センターを縮小してノンボイス化、更にはセルフサービス化を進める企業が増えているのです。
つまり、ノンボイス化は、これらの事情が複合的に絡み合った結果の選択というわけです。
3.ノンボイス化のメリット
社会や世情の変化によって、ノンボイス化が加速することは理解できましたよね。
ではノンボイス化によって、企業側にはどんなメリットがあるのでしょうか?
それは主に、以下の6点です。
3-1.顧客は24時間いつでも好きなタイミングで問い合わせできる
電話窓口を24時間対応で運営するには、多大な人的リソースが必要になります。
一方ノンボイスであれば、オペレーターがいなくても、顧客からの問い合わせを問い合わせフォームやチャットを利用して24時間体制で受け入れることも可能です。
そのため顧客は、窓口の営業時間を気にすることなく、24時間いつでも好きなタイミングで問い合わせを入れることができます。
ただし、企業側は24時間いつでも即時に返信・回答する体制を用意できるとは限りません。
多くのケースでは、コンタクトセンターの対応時間外の問い合わせに対しては、「お問い合わせありがとうございます。〇日以内にご回答いたしますのでお待ちください」といった定型のメールやチャットを自動返信することで対応していたり、セルフサービスを導入して自動応答する仕組みを構築しています。
3-2.コストを削減できる
電話窓口の運営には人件費や設備費、オペレーターの教育費などで多大なコストがかかります。
ノンボイス化すれば、電話窓口への問い合わせを減らすことができ、後述しますが生産性向上も期待できることからコストも削減できるのです。
ノンボイスの導入コストは必要ですが、電話窓口での毎月の固定費と比較すれば大きな出費ではないでしょう。
3-3.人材不足を解消できる
前述したように、コンタクトセンター(コールセンター)、特に電話窓口を対応するオペレーターは恒常的に人材不足だと言われています
そこで、電話窓口への問い合わせの何割かをノンボイスに誘導できれば、人材不足も解消されるでしょう。
ただそのためには、ノンボイスでの顧客対応の質を向上させる必要があります。
顧客が「メールやチャットで問い合わせてもよくわからなかった」とか、「返信が遅すぎる」などの不満を感じれば、結局電話窓口に問い合わせてくるので、人数を減らすことが出来ません。
また顧客側は、最終的な解決までに時間がかかることで手間・負担感を感じてしまい、顧客満足度も低下します。
それを避けるためには、できるだけ顧客に負担をかけないようなサービス設計が求められるのです。
3-4.業務を効率化・時短化できる
オペレーターが電話で顧客に対応する場合、それなりの時間を要します。
顧客の質問をくわしく聞き取って、それに対する解決法をマニュアルで調べ、相手が納得するまでわかりやすく説明しなければならないからです。
それに対してメールや問い合わせフォーム、チャットなら、上記の手順を効率化し、時間を短縮することが可能です。
というのも、まず先方は質問を整理して文章化しているので、口頭で聞くより理解しやすい傾向があります。
回答もある程度自動化したり、事前にフォーマットをつくったりしておくことができるので、スピーディに返信できます。
また電話の場合、入電が殺到すると顧客を長時間待たせてしまいますが、ノンボイスなら多人数からの連絡でも同時に受け付けることができるため、顧客側のストレスを大幅に軽減できるのも利点でしょう。
結果として、顧客対応にかかる手間と時間は大幅に削減されるというわけです。
3-5.コロナ禍での業務リスクを低減できる
2020年から続く新型コロナウイルスの影響で、ビジネスを取り巻く環境も大きく変化しました。
在宅勤務を増やして、オフィスでの人との接触は極力避けるようになったのも、そのひとつです。
中でもコンタクトセンター(コールセンター)での電話対応は、一日中デスクの前に座って話し続ける仕事なので、感染リスクが懸念されます。
そこで有効なのが、ノンボイス化です。
問い合わせのチャネルを増やし、電話窓口への入電件数を減らすことができれば、オペレーターの人数や勤務時間を減らせるでしょう。
またノンボイス化することにより、在宅勤務への移行も容易になります。電話であれば、生活音が入ることへの懸念や、利用環境によっては、回線品質が悪くなったりしますが、ノンボイスであればそれらを気にすることなく対応することが可能です。
3-6.企業側からも情報提供できる
ノンボイスは、音声情報ではなくテキストデータによるやりとりがメインです。
そのため、顧客が求める質問への解答だけでなく、こちらが伝えたい情報も一緒に提供することが可能です。
たとえば、返信のメールやメッセージの本文下に、商品情報やURLなどを貼っているケースはよく見かけるでしょう。
問い合わせフォームに、「メールマガジンやお知らせメールを受け取る」のチェック欄があり、チェックをつけた顧客にのみお知らせメールを随時送信するシステムも普及しています。
企業としては、こちらから顧客にアプローチする手段にもなるというわけです。
4.ノンボイス化のデメリット
企業がノンボイス化を進めることには、さまざまなメリットがあることがわかりました。
では逆に、デメリットはあるのでしょうか?
それは以下の1点に集約されます。
4-1.あらゆる問い合わせに対応できるわけではない
ノンボイスは、テキスト中心のコミュニケーション方法です。
それゆえに、複雑な質問や回答は、電話に比べて伝わりづらいという難点があります。
また、声に比べて文章では感情も伝わりにくいため、顧客がどの程度困っているのか、あるいは怒っているのかといった、カスタマーサービスにおいて重要な情報が不足しがちです。
そのため、ノンボイスだけでは疑問が解決できず、結局電話窓口のオペレーターが対応するケースも時々あります
さらには、メールやチャットは使い方がわからないという人や、スマートフォンやパソコンを持たず、コミュニケーションツールは電話のみという人もまだいるでしょう。
ノンボイスは、すべての顧客に対応できる万能ツールではない、ということは心得ておいてください。
このデメリットを解消するには、完全にノンボイス化せず、電話の対応窓口を残す必要があります。
メールやチャットのチャネルなど、ノンボイスでは対応しきれなくなったら、電話窓口に切り替えるプロセスなどを構築するとよいでしょう。
5.ノンボイス化の成功事例
ノンボイスにはメリット・デメリットがあることがわかりました。
が、実際にノンボイス化によって、どのような成果が得られるのでしょうか?
ここではノンボイス化に成功した実例を2件ほどご紹介しておきましょう。
5-1.【ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社】チャットで生産性が2倍に
「NURO」などのIT・通信サービスで知られるソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社(So-net)は、2020年にカスタマーサポートのノンボイス化に着手しました。
各サポートチャネルの強化と並行して注力したのが、「AIチャットボット+チャット」の導入と体制確立です。
So-netのキャラクターであるモモのAI=「AIモモ」がまず質問に回答し、「AIモモ」が対応できない質問には、チャットやサポートページへシームレスに誘導するシステムを構築しました。
約1年半のプロジェクトの結果、チャットでプロジェクト開始時比約2倍の生産性を達成することができました。
5-2.【日産自動車株式会社】チャット経由での店舗への送客数が数百名超え
日産自動車では2021年、販売会社のWEBサイト上で、チャットボットとチャットを併用したオンライン接客サービスの提供を開始しました。
店舗に行かずとも、誰でも気軽に質問や相談ができるチャネルとして、チャットボットが適しているとの判断からです。
そこで、WEBサイトに問い合わせが入るとまずチャットボットが自動応対し、ボットでは対応できない場面になると、チャットに切り替わってオペレーターが直接対応する、というサービス形態を構築しました。
簡単な問い合わせはボットでスピーディに解決し、成約の可能性が高い見込み客はチャットから実店舗へと送客するというスキームです。
その結果、1年足らずの間にチャット経由で店舗を実際に訪れた人は数百名にのぼり、幅広い年代からの成約につなげることができました。
日産自動車の成功事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
6.ノンボイスチャネルごとの特徴比較
このように、メリットも多く需要が高まっているノンボイスですが、前述の通りその種類は多様です。
それぞれに特徴が異なるので、業種やターゲット層などに合わせて最適なものを利用する必要があるでしょう。
そこでこの章では、各ノンボイスチャネルの特徴について説明していきます。
6-1.Eメール
公式サイトに「問い合わせ用メール」のアドレスを掲載している企業も多いでしょう。
Eメールは、顧客側からすれば電話よりも質問内容をじっくり吟味して伝えることができるのが利点です。
また、24時間いつでも自分の都合がいいときに送ることもできます。
企業側にとっても、オペレーターが必要なくいつでも受信でき、ログも残るので「言った・言わない」の不確実性を避けられるのがメリットです。
ただ、どちらも文章作成に時間がかかるのと、返信がいつもらえるかわからないのが難点でしょう。
ノンボイスの中では、時間と手間のかかるもののひとつと言えます。
【Eメールの特徴】
企業 | 顧客 | |
メリット | ・受信オペレータが必要ない | ・質問内容をじっくり考えて伝えることができる |
デメリット | ・回答の文章作成に時間がかかる | ・問い合わせの文章作成に時間がかかる |
6-2.問い合わせフォーム
メールアドレスではなく、ホームページ内に定型の「問い合わせフォーム」を設置しているケースもよくあります。
この場合、企業側にとってメールとの違いは、
- フォームに個人情報記入欄や企業からの質問欄を設ければ、企業側が顧客情報を収集できる
- 文字数制限をかけることで、長文の問い合わせを避けて簡潔化をはかれる
- 文章での問い合わせの前に「問い合わせの種類」の選択欄を設ければ、問い合わせの分類がしやすくなる
などが挙げられます。
一方で顧客側にとっては、
- メーラーを立ち上げなくてもホームページから直接メッセージを送信できるので、顧客にとって手軽
- ただし、選択式のフォームや文字数制限のあるフォームの場合は、くわしい質問や要望内容を伝えきれない場合もある
という差異があります。
総じて企業側にとっても顧客側にとっても、メールより利便性が高いチャネルになっています。
【問い合わせフォームの特徴】
企業 | 顧客 | |
メリット | ・顧客情報の収集、データ化に利用できる | ・メーラーを立ち上げる必要なく、ホームページから直接送信できる |
デメリット | ― | ・選択式や文字数制限がある場合は、伝えたい内容を十分に記載しきれない場合がある |
6-3.チャット
電話と比較した際にメールや問い合わせフォームの弱点のひとつに、「即時性がない」ことが挙げられます。
メールや問い合わせフォームの返信にはタイムラグがあるため、「今すぐ回答が欲しい」という顧客には対応しきれません。
ですが、ノンボイスの中でもチャットなら、ほぼ電話に近い即時対応が可能です。
お互いのやりとりが音声ではなくテキストデータになっただけで、リアルタイムで会話のようにメッセージを送りあうことができるのです。
そのため企業の中には、LINEなどのSNSに備わっているチャット機能を利用して、顧客とコミュニケーションをとるものも出てきました。
ただ、チャットは手軽なだけに、メールと異なり短文を何度もやりとりしがちです。
複雑な質問や説明は送りにくく、また、送ったメッセージがどんどん流れてしまって、ひと目で全体を把握しづらいという弱みがあります。
チャットツールによっては、ログの保存期間が有限なものもあるので、その場合はログをデータ化して保存しておく必要もあるでしょう。
まとめると、リアルタイムなやりとりが手軽にできるかわりに、長文での込み入った問い合わせにはあまり向かないと言えそうです。
【チャットの特徴】
企業 | 顧客 | |
メリット | ・電話に近い、即時対応が可能 | ・◎電話に近い、即時的な回答が得られる |
デメリット | ・短文になりがちなので、複雑な説明はしにくい | ・長文の問い合わせはしにくい |
チャットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
チャットを導入するなら コンタクトセンターにチャットを導入したいのであれば、トランスコスモスが提供するチャットサポートソリューション「DEC Support」をおすすめします。 LINE/WEBチャット/Facebook Messengerなど複数のチャネルに対応したチャット機能が利用可能です。 また、以下のような便利な機能も備えています。 ◎分析・レポーティング くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。 |
6-4.SMS
SMS=ショートメッセージは、携帯番号さえわかれば気軽に送信できる便利なチャネルです。
ただ、文字数制限があって短文しか送れないため、カスタマーサポートにおいては相互コミュニケーションではなく企業から顧客への「お知らせ」に利用されることが多いようです。
たとえば以下のような用途で利用されています。
◎商品やサービスなどの「ご案内」
◎サービス利用料金の「お知らせ」
◎「あふれ呼対応」
→コンタクトセンター(コールセンター)に入電が多い場合、受電できずに待たせてしまうユーザーに対してSMSを送信し、「こちらのURL(電話番後)からもお問い合わせいただけます」と別のチャネルに誘導する
実はSMSは、メールなどと比較して開封率が非常に高いといわれています。
そのため、SMSのみで顧客対応を完結させるのではなく、ほかのチャネルに誘導する入り口として利用されることが多いのです。
【SMSの特徴】
企業 | 顧客 | |
メリット | ・携帯番号だけわかれば送信できる | ・電話に近い、即時的な回答が得られる |
デメリット | ・文字数制限があり、短文しか送れない | ・文字数制限があり、短文しか送れない |
6-5.SNS
普及率の高いチャネルとしては、SNSも有用なノンボイスです。
企業側が公式アカウントを開設して随時情報を発信するのはもちろん、FacebookやTwitterからの問い合わせを受け付けて対応する企業も出てきました。
この場合、企業からの返信方法は多様です。
たとえば、
◎AIが自動で回答する
◎チャット機能を利用してやりとりする
◎電話窓口につないでオペレーターが会話する
と、解決するまで段階を踏むことも可能です。
顧客側からすれば、自分が普段使いなれたSNSでやりとりできるので、問い合わせのハードルは低いと言えるでしょう。
【SNSの特徴】
企業 | 顧客 | |
メリット | ・普及率が高い | ・普段から使い慣れた媒体でやりとりでき、問い合わせしやすい |
LINEの活用についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
以上、ノンボイスは種類によって異なる特徴を備えています。
企業側は、それを理解した上で適切に使い分けることが必要です。
たとえば若い世代向けの商品・サービスの場合は、ターゲット層になじみの深いチャットやSNSを利用するのもひとつの手でしょう。
使い方の難しい商品であれば、込み入った質問と説明が可能なメールや問い合わせフォームが求められます。
工数やコスト面なども加味した上で、ケースごとに最適なチャネルを選んでください。
マルチチャネル(メール、チャット、SMS、電話など)対応履歴の一元管理なら トランスコスモスが提供する「Contact-Link for CTS」は、メール、チャット、SMS、電話などマルチチャンネルの対応履歴を一元管理できるシステムです。 シンプルでわかりやすいインターフェースで、オペレーターは瞬時に対応履歴を把握することができます。 他にも以下のような充実した機能を備えているのが特徴です。
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7.ノンボイス化する際のポイント
ノンボイスのメリット・デメリットがわかりました。
これを踏まえて、「わが社もますますノンボイス化を推進しよう」と考える人も多いでしょう。
その際には、いくつかポイントがありますので、以下に挙げておきます。
7-1.顧客層に合ったチャネルを選ぶ
3章の末尾でも触れましたが、ノンボイスには種類によって一長一短があります。
やみくもにどれを利用しても効果が上がるわけではありません。
どれを利用するかを決める際には、特にターゲット層を意識するといいでしょう。
たとえば、10代20代であれば、よく利用するのはチャットやLINEだと思われます。
逆に高齢者であれば、チャットのスピード感を求めていない可能性もあり、電話や長文メールでじっくり話を聞いてほしい、そもそもキーボード入力や携帯の文字入力が苦手という人も多いはずです。
さらに言えば、男性と女性の違い、学生と社会人との違い、職業や家族構成、年収などの属性による違いもあるでしょう。
顧客対応にノンボイスを導入する場合には、商品やサービスの顧客層を正しく把握して、そのターゲットにピッタリ合ったチャネルを選んでください。
7-2.電話対応の窓口も残しておく
「4-1.あらゆる問い合わせに対応できるわけではない」の項でも触れましたが、ノンボイスは便利で低コストな反面、顧客対応を100%カバーできるものではありません。
中には「ノンボイスでは説明がよく理解できない」という人や、「メールの返信が待てない、今すぐ回答が欲しい」という人、「どうしても人と直接話したい」という人もいて、オペレーターが電話で対応しなければ解決しないケースもあります。
そのため、電話窓口を完全廃止せずに、数は少なくとも電話で対応できる窓口も残しておくといいでしょう。
カスタマーサービスは、効率化することも重要ですが、同時に顧客満足度も上げなければなりません。
多様化する顧客ニーズにこたえるためには、ノンボイス化と多チャネル化の両方が求められています。
複数のチャネルを持つ「オムニチャネル」についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
7-3.部門横断的なプロジェクトチームを立ち上げる
ノンボイス化は、コンタクトセンターだけで実現するよりも、マーケティング部門や営業部門など、顧客とのタッチポイントを有するすべての部門が協力して行う方が効果的です。
各部署間でデータを共有することで、対応もしやすくなりますし、得られたデータをマーケティングや営業活動に活用することも可能になります。
そのため、まずは各部門からスタッフを集めた部門横断的な「ノンボイス化プロジェクト」を立ち上げましょう。
その中で、お互いの持つ情報やノウハウを持ち寄って、顧客からの問い合わせに対する最適な導線を設計してください。
7-4.各チャネルの提供範囲を決める
ノンボイス化の主な目的は、問い合わせ対応の効率化と対応品質向上です。
そこで、顧客との接点ごとに、「どのチャネルにどんなツールを導入すれば、どの程度の成果が上がるか(問い合わせへの対応率、解決率などで評価)」をまず確認した上で、ノンボイスの提供範囲を各チャネルごとに決定する必要があります。
が、実際にどのチャネルでどこまでノンボイス化できるかは、企業やその提供する製品、サービスによって異なるのが実情です。
たとえば、チャットなどノンボイスで対応するのか、FAQなどのセルフサービスで自己解決を促し問い合わせが減少できるのか、など確認が必要です。
この確認には、トランスコスモスの「チャネル最適化診断」サービスが有効です。
くわしくは、以下から資料をご確認ください。
トランスコスモスの「チャネル最適化診断サービス」 トランスコスモスでは、コンタクトセンターに寄せられているお問い合わせのうち、チャットやbot(自動応答)で解決できるお問い合わせが何%あるのかを可視化する簡易診断サービスをご提供しています。 お問い合わせ内容を以下の6つの要素に分解、これによりノンボイスチャネル導入時のポテンシャルを可視化することが可能です。 くわしくは、こちらから資料をご請求ください。 |
まとめ
いかがでしたか?
ノンボイスとは何か、それぞれどんな特徴があるのかなどよく理解できたかと思います。
ではもう一度、記事の内容をおさらいしてみましょう。
◎「ノンボイス」とは、電話以外の顧客対応手段
◎主なノンボイスは、
・メール
・問い合わせフォーム
・チャット
・SMS
・SNS
◎ノンボイス化する際のポイントは、
・顧客層に合ったノンボイスチャネルを選ぶこと
・ノンボイス化しても電話窓口は残しておくこと
・部門横断的なプロジェクトチームを立ち上げる
・各チャネルの提供範囲を決める
これをもとに、あなたの会社が適切なノンボイス化を進めて、より顧客満足度を高められるよう願っています。