
FAQは、顧客から頻繁に寄せられる質問とその回答をまとめたもので、主に自己解決を促進することを目的としています。一方、Q&Aは、幅広い質問と詳細な回答を含む形式で、特定のニーズに対応します。
- FAQとQ&Aのメリットの違い|FAQは問い合わせ件数を削減し、コスト削減や顧客満足度の向上につながる。Q&Aは多様なニーズに応えられるため、詳細な情報提供が可能で、顧客の問題解決を促進する。
- FAQ導入が向いている企業とQ&A導入が向いている企業|
【FAQ】似たような問い合わせが多い企業やサービス品質の向上を目指す企業
【Q&A】幅広い情報提供を行いたい企業や、商品・サービスのマニュアルとして利用したい企業 - FAQの作り方4つのステップ
- FAQを作る際の注意点|質問の頻度が高いものから追加し、回遊しやすい設計にすることが重要である。また、専門用語をなるべく使わずわかりやすい設計にし、チャットボットなども導入して利便性を高めることが望ましい。
「FAQとQ&Aの違いは何だろう?」
「FAQとQ&A、どちらを導入すべきか?」
このように感じている方は多いのではないでしょうか。FAQとQ&Aには明確な違いはありませんが、一般的には、「頻繁に尋ねられる質問」の観点で異なります。
FAQ | Q&A | |
質問の種類 | よくある質問とその回答 | 顧客からの質問に対する回答 |
事例 | 公式サイト・ECサイト など | マニュアルなど |
ただし、どちらを導入するか判断する場合は、両者のメリットを理解することが重要です。
例えば、自己解決を促し電話の対応件数を減らしたい場合、Q&Aを導入すると、情報が詳細すぎて顧客が求める回答にたどり着けず、逆に問い合わせが増える可能性があります。
この記事を通じて、FAQとQ&Aの違いを理解し、適切な導入判断ができるようになります。またFAQの構築もスムーズに進められるようになるでしょう。
ぜひお読みいただき、効果的なFAQ、Q&Aの導入・構築に役立てていただければ幸いです。
1.FAQとQ&Aの違いは「尋ねられる頻度」
FAQ(Frequently Asked Questions)とQ&A(Question and Answer)の違いは、「尋ねられる頻度」にあります。
FAQは、その名のとおり、頻繁に尋ねられる質問とその回答をまとめたものです。
多くの企業やECサイト、公式サイトなどで「よくある質問」としてFAQが導入されているのを見たことがあるのではないでしょうか。
一方でQ&Aは、顧客から寄せられる質問に限定されません。企業が想定した質問に対して事前に回答を用意したものであり、FAQには含まれないより詳細な情報や特定の状況に関する回答も含まれています。
例えば、家電メーカーの公式サイトを例に考えてみましょう。
【FAQの例】※家電メーカー公式サイトの場合
【Q&Aの例】※家電メーカー公式サイトの場合
このように、FAQは頻繁に尋ねられるような質問に対する回答を提供するのに対して、Q&Aは多様な質問に対して幅広く、詳細な情報を提供する場なのです。
Q&Aはより包括的な質問と回答の形式を持つため、FAQよりも情報量が多くなる傾向があります。例えて言うならば、Q&Aはサービスや商品に関する情報を網羅した辞書のようなイメージを持つと分かりやすいでしょう。
FAQの基礎知識について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてお読みください。
2.FAQとQ&Aのメリット
FAQとQ&Aの違いについて理解したところで、次にメリットを比較し、違いを確認していきます。
FAQのメリット | Q&Aのメリット |
・問い合わせ件数を削減できる | ・顧客の多様なニーズに対応できる |
2-1.FAQのメリット
まずはFAQのメリットについて詳しく見ていきましょう。
FAQのメリット |
・問い合わせ件数を削減できる |
問い合わせ件数を削減できる
FAQの最大のメリットは、問い合わせ件数を削減できることです。
顧客がFAQを見て自己解決できるようになれば、電話やメールでの有人対応による問い合わせが減少します。
FAQが設置されていない場合、顧客は疑問を解決するためには、コンタクトセンター(コールセンター)に連絡し、オペレーターとのコミュニケーションが必要になります。
FAQを活用することで、顧客は基本的な質問に関しては自分で答えを見つけられるため、問い合わせ件数が減少します。
これにより、FAQの有効活用は大きなメリットとなります。
コスト削減につながる
FAQの2つ目のメリットは、コスト削減につながることです。
FAQを設置することで顧客の自己解決が促進され、問い合わせ件数が削減されます。これにより、オペレーターの業務負担が軽減され、人件費の削減にもつながります。
顧客満足度を向上できる
FAQの3つ目のメリットは、顧客満足度を向上できることです。
顧客が自分で問題を解決できることで、問い合わせにかける時間が短縮され、電話窓口でよくある“”「オペレーターになかなかつながらない」などのストレスを軽減できます。
さらに、顧客が自己解決することで問い合わせ件数が削減できため、1件当たりの応対時間を長くとることもでき、オペレーターもより丁寧な対応が可能になります。結果として、オペレーターの対応品質が向上し、顧客満足度も高まります。
2-2.Q&Aのメリット
Q&Aの最大のメリットは、顧客の多様なニーズに対応できることです。
Q&Aでは、FAQよりも幅広いトピックや詳細な情報を扱うことができるため、ユーザーの多様なニーズに応えることが可能です。
具体例を見てみましょう。
FAQ | Q&A | |
製品Xの使用方法 | 製品Xの電源の入れ方は? | 製品Xを寒冷地で使用する際の注意点は?バッテリー持続時間への影響や防寒対策について詳しく教えてください。 |
トラブルシューティング | ソフトウェアの言語設定を変更する方法を教えてください。 | ソフトウェアの特定機能について、自分で新しいショートカットキーを設定したいです。可能な場合、その手順と注意点を教えてください。 |
このように、Q&AはFAQよりも幅広く詳細な情報を提供するため、顧客の多様なニーズに応えることができます。多様なニーズに応えることで、ユーザーの疑問をより確実に解決でき、結果として顧客満足度を向上させることが可能です。
したがって、Q&Aを充実させることで、顧客のさまざまなニーズに対応できる点がQ&Aの最大の魅力といえるでしょう。
3.FAQ導入が向いている企業・Q&A導入が向いている企業
ここまでFAQやQ&Aのメリットをお伝えしましたが、「結局、どちらを導入すればいいの?」と悩んでいる方もいるでしょう。そこで3章ではFAQに向いている企業、Q&Aに向いている企業の特徴を解説します。自社にとって、どちらが適しているのかを見極めましょう。
FAQ | Q&A |
・顧客の自己解決率を上げたい企業 | ・幅広い情報提供を行いたい企業 |
3-1.【FAQ導入が向いている企業】顧客の自己解決を上げたい企業
FAQ導入が向いている企業の特徴1つ目は、顧客の自己解決を上げたい企業です。
似たような問い合わせが多ければそれらをFAQにまとめることで、顧客が自己解決できるようになります。
顧客が自分で疑問を解消できるようになれば、問い合わせ件数が減少し、オペレーターの負担が軽減されて業務を効率化できます。これにより、問い合わせ件数の削減ができれば、人件費の削減にもつながるでしょう。
似たような問い合わせが多く顧客の自己解決を上げたい企業は、FAQの導入によって大きく改善する可能性があるため、積極的に取り入れることをおすすめします。
3-2.【FAQ導入が向いている企業】サービス品質の向上を目指す企業
FAQに向いている企業の特徴2つ目は、サービス品質の向上を目指す企業です。
顧客が自己解決できる仕組みを提供することで、オペレーターの負担を軽減できます。その結果、オペレーターが1件ずつ丁寧に対応できるようになるため、サービスの品質を向上が期待できるのです。
例えば、A銀行の「オンラインバンキング」にFAQを導入した場合、残高確認や送金などの基本的な操作に関する問い合わせが減少しました。これにより、オペレーターは複雑な融資相談や投資アドバイスに多くの時間を割けるようになり、サービスの質が向上しました。
このように、FAQの導入はサービス品質の向上に寄与します。
3-3.【Q&A導入が向いている企業】幅広い情報提供を行いたい企業
次にQ&Aに向いている企業の特徴1つ目は、幅広い情報提供を行いたい企業です。
Q&Aは、FAQのように「よく尋ねられる質問」のみに限定せず、多様な質問と回答を掲載できます。そのため、幅広いトピックや詳細な情報を提供することができます。
例えば、クラウドベースのプロジェクト管理ツールを提供しているF社の場合、顧客がツールを自社の業務に合わせてカスタマイズする際に、具体的で個別性の高い質問が多く寄せられます。
FAQでは一般的な質問にしか対応できませんが、Q&Aを導入すれば、想定される質問や顧客からの個別具体的な質問に応じた情報を提供でき、顧客の疑問を解決しやすくなります。これにより、顧客満足度も向上するでしょう。
3-4.【Q&A導入が向いている企業】商品やサービスのマニュアルとして利用したい企業
Q&Aに向いている企業の特徴2つ目は、商品やサービスのマニュアルとして利用したい企業です。
例えば、電化製品の取扱説明書に「故障かなと思ったら」という項目を目にしたことがあるのではないでしょうか。Q&Aはこのように、顧客が抱く疑問に対して先回りして回答を用意するといった目的でも利用されます。
そのため、商品やサービスのマニュアルに利用したい場合には、Q&Aの導入をおすすめします。
4.どちらを導入するか迷う場合はまずはFAQを充実させるのがおすすめ
ここまでお伝えしてきた情報を見ても、「どうしてもFAQとQ&A、どちらを取り入れたらいいのか迷う!」という方は、FAQを導入することをおすすめします。
顧客から問い合わせが多い質問をまとめてFAQにするだけでも、顧客の自己解決を促すことが可能です。
顧客が自分で疑問を解決できるようになると、以下のような多くのメリットを得ることができます。
・顧客対応の効率化 |
このように、FAQを充実させることで、一度に多くの利点を享受できます。
したがって、どちらを導入するか迷う場合は、まずはFAQを充実させて顧客の自己解決を促進しましょう。その後、複雑な問い合わせが発生した場合には、Q&Aを併せて立ち上げることで、より幅広い顧客ニーズに応えることができます。
5.FAQの作り方4つのステップ
前章でFAQを充実させることをおすすめしましたが、それでは、どのようにFAQを充実させていけば良いのでしょうか?ここからは、効果的なFAQの作り方の4つのステップを解説します。
5-1.質問と回答の収集
まずは質問と回答の収集を行います。
質問の抽出方法としては主に以下の2つの方法でおこないます。
質問の抽出方法 |
・過去に寄せられた問い合わせから抽出する |
最も効率的な方法は、実際に過去に寄せられた質問を利用することです。
コンタクトセンター(コールセンター)などに寄せられた質問を洗い出し、FAQに入れるかどうかは後で整理するため、まずは可能な限り多くの質問を抽出していきましょう。
もし過去に寄せられた質問が不十分な場合には、新たに顧客に対してアンケートを実施する方法も効果的です。特に立ち上げて間もないサービス等の場合は、この方法で質問を収集すると良いでしょう。
質問を十分に収集したら、それに対して回答を作成します。正確で必要な情報を過不足なく提供することが重要です。
コンタクトセンターの課題解決を支援するというコンセプトのもと、トランスコスモスが独自開発する音声認識システムtranspeechは音声認識機能だけでなく、VOC抽出やFAQ生成も可能です。
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5-2.収集した情報の整理
十分な量の質問と回答を集めることができたら、それらを厳選していきます。
具体的には以下の視点でFAQに入れるかどうかを取捨選択します。
FAQに入れる質問を取捨選択する方法 |
・問い合わせ頻度が高いかどうか |
問い合わせ頻度が高い質問は、原則としてFAQに採用することをおすすめします。
しかし、専門性が高すぎてわかりやすい回答が作成できない場合、顧客を混乱させる可能性があるため、そのような質問は除外することも考慮しましょう。FAQの選別は、常に顧客の視点に立って行うことが重要です。
5-3.FAQの構築
FAQに入れる質問を決めたら、実際にFAQを構築していきましょう。
Webサイト内のFAQの設計や設置は主にエンジニアが行いますが、FAQは構造が特殊でFAQ構築における専門知識が必要になることもあります。
そのため、FAQ構築サービスを利用することも一般的です。FAQ構築サービスを利用することで、専門的な知識を持つことなく誰でも簡単に効果的なFAQを作成できるようになります。
例えば、トランスコスモスの「サポートコンテンツ トータル ソリューション」を導入することで、FAQのコンテンツの制作からSEO構造化までまとめて導入することが可能となります。
サポートコンテンツの最適化の行うプロフェッショナルサービスチームがユーザーの自己解決を最大限に引き上げるサポートコンテンツを構築・運用します。
サポートコンテンツ トータル ソリューションについて詳しくはこちら
5-4.継続的に検証・改善を行う
FAQを実装した後は、継続的に検証し改善を行っていきましょう。
具体的には以下のようなデータを見ながら検証と改善を行っていきます。
FAQ運営で見るべきデータ |
・アクセス数 |
これらの情報を集めて分析することで改善点を特定し、顧客満足度を向上させることが可能となるでしょう。FAQの作り方に関してより詳しい内容は、「【FAQの作り方】5つのステップと6つのポイントを具体的に解説」でも解説していますのでぜひ参考にしてみてください。
6.FAQを作る際の注意点
ここからは、FAQを作る際の注意点について解説します。FAQを効果的に構築するためには以下の4つの点に注意しましょう。
6-1.質問の頻度が高いものから入れる
まずは、顧客からの質問の頻度が高いものからFAQに追加しましょう。
FAQを作る目的は、顧客が自分で疑問を解決できるようにすることです。顧客から寄せられた質問の中から問い合わせが多いものを含めることで、オペレーターが対応をしなくても疑問を解決できるようになります。
FAQが十分に機能しない場合、顧客はストレスを感じる可能性が高くなります。また、情報が多すぎて探しにくい場合や、回答がわかりにくい内容であったりすると、結局問い合わせをしなければならなくなります。FAQは、顧客にとって必要な情報を過不足なく網羅する必要があります。
6-2.回遊しやすい設計にする
FAQを設計する際は、サイト内での回遊がしやすい構成にすることが重要です。
FAQは、顧客が自分で疑問や悩みを解決できることを目的としています。
もしFAQの設計が回遊しにくい場合、顧客は必要な情報を見つけられず、結局問い合わせを行う必要が出てしまいます。このような状況は、FAQを作る意味がなくなってしまうため、十分な注意が必要です。
6-3.専門用語をなるべく使わず分かりやすい設計にする
FAQを作成する際には、専門用語をできるだけ使わず、分かりやすく設計しましょう。
顧客がFAQを参考にする際、専門用語が多くてわかりづらい場合、問題を解決できない可能性があります。そのため、FAQはそのサイト内で全ての問題を解決できるようにすることが理想です。
FAQを作る場合には、顧客はそのサイトだけで全ての問題を解決できるようにすることが理想です。もし難しい質問がある場合、あえてFAQにせず、問い合わせを受け付ける方が有効な場合もあります。顧客にとってわかりやすいFAQの設計を心がけましょう。
6-4. チャットボットなども導入して利便性を高める
FAQを構築する場合には、チャットボットなども導入すると利便性が向上します。
チャットボットは、リアルタイムで使用できる自動会話プログラムのことです。多くの方が、企業のチャットボットを通じて問い合わせをした経験があるでしょう。
チャットボットを活用することで、顧客が持つ疑問や問題点に迅速に回答を提供できます。FAQだけでは解決できない場合や、時間がない場合にチャットボットは非常に有効です。
導入には費用や手間がかかることもありますが、効果的に活用できれば顧客にとって大きな利点となります。
問題解決に直結するサポートコンテンツの強化ならトランスコスモスへご相談ください |
トランスコスモスの「サポートコンテンツトータルソリューション」は、顧客の自己解決を促進するために、SEOに最適化されたFAQコンテンツの充実を図ります。 情報量、正確性、検索性、理解性を重視し、顧客からの多様な質問に対応。コンテンツライターが読みやすい形式でFAQを作成し、デバイスに最適化された表示を提供します。 また、自然な言葉での検索が可能な賢いサイト内検索機能や、Google検索結果でのリッチリザルト化を通じて、顧客が必要な情報を迅速に見つけやすくします。このソリューションにより、顧客満足度の向上と問い合わせの効率化、さらに問い合わせ情報の蓄積と活用を実現します。 |
まとめ
以上この記事では、FAQとQ&Aの違いを中心に以下の内容を詳しく解説してきました。
この記事を読めば分かること |
・FAQとQ&Aの違い |
この記事を通じて、FAQとQ&Aの違いを理解し、それに基づいて効果的に構築できるようになったのではないでしょうか。ぜひ、FAQの導入や改善に役立てていただければ幸いです。