ネットショッピングが普及し、消費者の購買行動がWeb上で完結することが増えている中、Web接客の重要性が高まっています。もはやECサイトを立ち上げるだけでは不十分で、企業は顧客を獲得していくためにオンライン上での接客にも力を入れていかなくてはならない世の中になっています。
しかしWeb接客とは言っても、どのようにして顧客とコミュニケーションをとり、購買意欲を高めていくのかがわからないという方もいるでしょう。
そこで今回は、Web接客ツールの種類や導入するメリットなどについて解説します。Web接客において欠かせないカスタマージャーニーについても説明しているので、Web接客を強化していきたいという方はぜひ参考にしてみてください。
1.Web接客とは
Web接客とは、実店舗での接客行為と同様に、オンライン上でも顧客に対して接客を行うことです。これまではWebサイトに訪問したすべての顧客に同じ商品やサービスを紹介するだけで、顧客それぞれの希望に沿った提案ができていませんでした。
一方、Web接客に力を入れているWebサイトでは、それぞれの顧客に対して適切な商品・サービスを訴求できるようになります。また、顧客の悩みや課題解決につながるほか、企業にとっても効率的に売上を伸ばすことが可能です。
オンライン接客の活用事例についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
2.Web接客の種類
Web接客ツールには、「ポップアップタイプ」と「チャットタイプ」の2種類があります。それぞれどのような特徴を持っているかについて説明します。
2-1.ポップアップ
ポップアップタイプは、パソコンやスマートフォンの画面上におすすめの商品・サービスをポップアップ形式で表示する方法です。顧客の属性(性別・年齢・居住地等)、過去に購入したもの、訪問したWebサイトなどの行動履歴に応じて自社商品・サービスの提案に加え、キャンペーンやクーポンなどの情報を伝えられます。
最適なタイミングでポップアップの内容や表示できるため、購入を検討している顧客の購買欲を促進する効果があります。
2-2.チャット
チャットタイプは、Webサイトでチャットウィンドウを立ち上げ、商品・サービスに関する顧客の疑問や悩みを解決する方法です。親身になって顧客とコミュニケーションをとることで顧客満足度の向上につながるほか、同時に商品・サービスの訴求を狙えます。
また、チャットボットを導入し、あらかじめ顧客の質問に対する回答を用意しておくことでカスタマーサポートのオペレーターのおける接客工数を軽減できます。
チャットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
3.Web接客が注目される背景
Web集客が注目されている背景には、従来の実店舗からECサイトを利用する層が増加していることが挙げられます。
経済産業省が発表した「電子商取引に関する市場調査」によると、2019年でのBtoC向けeコマースの市場規模は、19兆3,609億円にものぼり、前年からの伸び率は約6.76%との結果が出ました。ECサイトを利用する顧客が増加するなかで、Web上での接客力の向上が求められています。
出典:経済産業省 電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました(2020/7/22)
これまでの実店舗での接客では、購入をある程度検討している顧客がメインとなっていたため、従業員が適切なコミュニケーションや商品説明を行い、購買行動につなげることができていました。
しかしECサイトでは、購入を検討している顧客だけでなく、初めて訪れた顧客、リピーター、広告で流入した顧客など、多種多様な購買段階の顧客が訪れるため、売上に結びつけることが難しくなっています。
このような状況を踏まえ、それぞれの顧客の購買段階に適した訴求活動を行うために、Web接客ツールを導入が注目されるようになりました。
顧客コミュニケーションについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
4.Web接客を導入するメリット
Web接客ツールを導入することで、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、さまざまなメリットの中から3つのメリットについて解説します。
4-1.購買増加につながる
Web接客ツールの導入は、WebサイトやECサイトに訪問する顧客の購買意欲を促せる点がメリットです。顧客画面で購入を検討している商品・サービスのダイレクト表示や、クーポン・セールの情報を提供することで購入までのステップを後押しできます。
また、Web接客ツールの導入によってBtoCだけでなく、BtoBのビジネスにも効果的なセールスが可能となります。チャットシステムを用いて顧客の課題や悩みを把握し、担当者から折り返し連絡することで、営業の効率化にも役立ちます。
4-2.顧客満足度の向上が狙える
Web接客ツールを利用することで顧客満足度を高めることができます。
従来のカスタマーサポートやコンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)では、問い合わせ対応にメール・専用フォームを用いていたことから、顧客にとって手間や時間的な負担となっていました。
一方チャットシステムでは、顧客が抱えている疑問点や不明点などをその場で解決できるため、負担軽減につながるだけでなくサービス解約も防ぎやすくなります。また、チャットボットを活用して簡単な問い合わせに関しては自動応答にしたり、難しいトラブルについてはオペレーターにつないだりできるなど、顧客の悩みに対してさまざまな運用方法を実現できます。
顧客満足度に関してはこちらの記事でも詳しく解説しています。
4-3.Webサイトや品質の改善ができる
Web接客ツールを活用し、Webサイトの改善にも役立てることができます。これまでに蓄積した顧客の行動データを活用し、Webサイト上でのポップアップのタイミングや、どのような施策を行えばいいのかを分析・検証できます。
また、チャットでのやり取りについて顧客からフィードバックをもらうことで、品質改善やパフォーマンスの強化にもつなげられます。
5.Web接客におけるカスタマージャーニーの重要性
Web接客の効果を高めるためには、カスタマージャーニーを重視する必要があります。カスタマージャーニーとは、顧客が自社の商品・サービスの存在を知ってから、最終的に購買に至るまでの行動や思考、感情などを時系列に可視化し、マーケティング施策に活用することです。
たとえば、パソコンを買い替えたいという顧客がいたとします。あらかじめ購買行動に関する履歴を辿って分析することで、顧客にとって望ましいスペックやデザインのパソコンを提案することが可能です。また、行動履歴・購買履歴をもとにパソコン本体だけでなく、マウスやキーボードなどの周辺機器、ソフトウェアの購入に向けた導線を作り出せるようになります。
このように、ECサイト上でのマーケティングでは、事情が異なる顧客に対してカスタマージャーから正確な顧客像を設計することが重要です。顧客と店舗側のミスマッチを防ぐためにも、カスタマージャーニーの考え方を取り入れなければなりません。
6.カスタマージャーニーの作り方
Web接客の効果を高めるのに欠かせないカスタマージャーニーですが、作り方を把握する必要があります。次の4つステップを参考にして、カスタマージャーニーを作りましょう。
6-1.ペルソナを明確にする
カスタマージャーニーを作るには、まず最初にペルソナを明確にします。ペルソナとは、自社商品・サービスのターゲットとなる人物像のことで、性別・年齢・居住地などの顧客属性を設定します。
ペルソナを設計する際には、自社の感情が入らないように注意する必要があります。「このような行動結果になってほしい」「ペルソナはこの商品を購入する」といった主観的な意見が入ってしまうと、ペルソナを正しく設計できなくなってしまう恐れがあります。
6-2.ペルソナの視点でタッチポイントを洗い出す
次に、ペルソナの設定ができたら、自分自身がペルソナになったつもりで想像力を働かせ、ペルソナがカスタマージャーニーのスタートとゴールの間で取る行動を洗い出していきます。
商品購入、問い合わせ、資料請求などペルソナの行動についてのシナリオを作ります。ただしペルソナごとに行動する結果は異なるため、パターンごとにアプローチ方法や導線の流れを考えておく必要があります。
6-3.洗い出した行動からタッチポイントを明確にする
明らかになった顧客行動をもとに、顧客とブランドや商品・サービスが接触している点(タッチポイント)を抽出していきます。
6-4.タッチポイントごとの顧客の感情を想像する
最後に、それぞれのタッチポイントで、顧客はどのような感情になっているのか、その変化を想像していきましょう。感情がポジティブになるタッチポイント・ネガティブになるタッチポイントがどこなのか、感情の起伏をグラフのように示すとわかりやすいでしょう。
または、絵文字などのイラストを利用して、視覚的にわかりやすくするのもおすすめです。
ペルソナの行動パターン感情を視覚的にマッピングします。マッピングを行う際には、考えすぎないように完璧なマッピングを作成するのではなく、大枠としてラフなものに仕上げるようにしましょう。
マッピングが完成した後、プロセスごとにどのような課題が想定されるのか、ペルソナが興味を持つ商品・サービスの特徴などを項目別にまとめ、それらに対する情報を記述していきます。
また、カスタマージャーニーのマッピングは、必ずしもペルソナの行動通りになるわけではありません。常に顧客の行動は多様化しているため、実際に運用を始めたあとにフィードバックをすることが重要です。
なお、詳細をわかりやすく解説した記事がありますので、ご興味がある方は以下記事を参考にしてください。
7.Web接客ツールを選ぶポイント
自社に適したWeb接客ツールを導入する前に、選び方を押さえておきます。機能面・コスト面などを考慮し、Web接客ツールを選びましょう。
ツールの選び方についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。
7-1.費用対効果
Web接客ツールを選ぶ上でのポイントとして、対費用効果が優れているのかという点が挙げられます。もちろん、Web接客ツールを導入することで顧客獲得や売上増加につなげやすくなりますが、導入コストを下回るのであれば意味がありません。また、高額になればなるほど多種多様な機能を備えている一方で、性能を十分に活用しきれないことも考えられます。
Web接客ツールの費用対効果を高めるためにも、カスタマージャーニーを作成する際に明確な販売目標を立てることが大切です。現状の売上データやコンバージョン率などを計算し、導入コストを上回るような運用を進めましょう。
7-2.自社運用体制との親和性
Web接客ツールが、自社の運用体制と適しているかどうかを確認することも忘れてはいけません。たとえば、Web接客ツールを運用するためには、ITに精通した人材やマーケティング施策に活かせる人材を揃えなければなりません。
もちろん社内にスキルを持っている人がいればよいですが、もしWeb接客ツールを運用する人材が自社にいない場合、新たに補充する必要があります。Web接客ツールの導入後をイメージし、現状の自社スキル/リソースで運用できるか、補充を検討してでもいれるべきか検証するといいでしょう。
7-3.機能の充足性
Web接客ツールを選ぶ際には、必要な機能を備えているのかについてもチェックしましょう。機能が豊富に備わっていると便利ですが、自社で使いこなせないのであれば意味がありませんし、不足していてやりたい事ができないなら現場に余計な
たとえば、問い合わせを強化したいのであれば、Web行動履歴情報をもとにヒアリングを行える機能や、個別対応後に顧客からフィードバックをもらえる機能が備わっていると安心です。
まとめ
Web接客ツールの導入は、オンライン上での販売活動が主流となる中で必須と言えます。従来の実店舗での営業スタイルと異なり、行動履歴を活用して顧客にとって最適な商品・サービスの提案が可能となるほか、顧客満足度の向上にも効果的です。
具体的なWEB接客ツールとしては「KARTE」など様々なプラットフォームがあります。
トランスコスモスでは単純なツール提供だけでなく、どのような「顧客接点」に設置し導線設計をしていくべきかを分析し、運用することが可能です。
また、実際に運用するメンバーも併せて提供しており、導入を力強くサポートいたします。
加えて、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレータが、顧客が問い合わせをする前のWEB行動を理解し、事前にお困りごとを想定して対応する仕組み「ContacTrack」という自社独自商品を保有しています。
コンタクトセンター(コールセンター)に負担がかかっていた顧客対応業務を改善するほか購買履歴をもとにした商品の新たな情報を提供することで、売上向上にも貢献します。
効果的に顧客の情報を収集し、Web接客の質を高めていきたいという方はぜひお問い合わせください。