
「コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)のインバウンドってどういうものなのだろう?」
「インバウンド型のコンタクトセンターは必要?」
など、コンタクトセンター(コールセンター)のインバウンドについて詳しく知りたいと考えていませんか?
コンタクトセンターのインバウンドとは、顧客からの注文や、商品・サービスについての悩みや疑問、苦情に関する問い合わせを受け付ける業務のことです。
インバウンド型コンタクトセンターを導入すれば、収益アップが期待できたり、「顧客の生の声」を商品・サービス開発に生かせるなど、企業にとって魅力的なメリットがあります。
そのため多くの会社はインバウンド型コンタクトセンターを導入しています。
ただし、インバウンド型コンタクトセンター導入にはおさえるべきポイントがあります。
導入のポイントを知らないと、余計な時間や手間がかかり、スムーズな導入が難しくなってしまいます。
そこでこの記事では、以下の内容を解説していきます。
▼本記事の内容
・インバウンド型のコンタクトセンターとは
・コンタクトセンターのインバウンド業務は3種類ある
・コンタクトセンターの「インバウンド」と「アウトバウンド」の違い
・インバウンド型コンタクトセンターの導入メリット
・インバウンド型コンタクトセンターを導入する際の2つのポイント
この記事を読むことでインバウンド型のコンタクトセンターについて詳しく理解できるだけでなく、インバウンド型コンタクトセンターの導入をするのかどうか決定することができます。
ぜひ、最後までお読みください。
目次
1.インバウンド型のコンタクトセンター(コールセンター)とは
先述のとおり、インバウンド型のコンタクトセンター(コールセンター)とは、顧客からの問い合わせを受け付けする業務のことです。いわば、受身型であり、パンフレットや自社サイトなどに電話番号や問い合わせフォームを掲載し、顧客からの問い合わせを待ちます。
インバウンド業務には大別して「受注サポート」「カスタマーサポート」「テクニカルサポート」の分野があり、以下のように業務の担当分けをしています。企業によっては、「カスタマーサポート」の中に様々な機能を内包していることもありますが、ここでは3つに分けて説明します。
◆受注サポート ◆カスタマーサポート ◆テクニカルサポート |
このようにインバウンド型のコンタクトセンターは、商品やサービスの購入前、購入、購入後の全ての段階において、問い合わせを受け付ける機関なのです。
次章ではさらに具体的に、上記3種類の業務について解説していきます。
2.コンタクトセンター(コールセンター)のインバウンド業務は3種類ある
コンタクトセンター(コールセンター)のインバウンド業務は、主に3種類の担当分野が存在します。
▼3種類のインバウンド業務 ・受注サポート |
これら3種類の業務について知っておくことで、インバウンド業務についてイメージがしやすくなります。
それでは詳しく見ていきましょう。
2-1.受注サポート
受注サポートは、顧客からの商品・サービスの申し込み対応や、購入前の疑問に対する回答を行っています。
具体的には、次のような業務です。
・商品の注文を受ける |
たとえば顧客が通販カタログを見て、欲しい商品を電話注文するときには、受注サポートで対応します。
また顧客がすでに購入した商品・サービスに関する悩みや疑問、苦情を担当領域のオペレーターに取り次ぐという対応も受注サポートの業務です。
ただし企業によっては、後述する「カスタマーサポート」や「テクニカルサポート」の業務が含まれている場合もあります。
企業の第一印象を決める役割を担っており、顧客に合わせた丁寧な対応が求められます。
2-2.カスタマーサポート
カスタマーサポートは、すでに購入した商品・サービスに関する悩みや疑問、苦情に対応します。
たとえば、携帯キャリアのカスタマーサポートで、「現在のプランが高いので、見直しをしたい」という電話をいただいた際に、顧客に詳細をヒアリングしながら、正確に顧客の状況を把握し、「こちらのプランであれば、月々の料金を抑えることも可能ですが、いかがですか?」などと、適切に判断して対応するのが、カスタマーサポートの業務です。
2-3.テクニカルサポート
テクニカルサポートは、ハイレベルな知識や技能が必要となる商品・サービスの疑問や悩みに対して、解決方法を提示する業務です。場合によっては顧客が使用する機器やソフトウェアを遠隔操作して解決することもあります。
たとえば「PCの不具合が発生した。どうすれば直るか?」という悩みを顧客から相談された際に、具体的に「どのような症状が出ているのか」「顧客側で何か対処法を試したか」「今どのような状況なのか」などをヒアリングした上で、適切な解決方法を回答します。
カスタマーサポートやテクニカルサポートは、顧客の疑問や不満をくみ取った上で、適切な対処法を提示して問題解決することで、顧客満足度向上が期待できます。対応によっては、ほかの商品・サービスの購入をしてもらえる可能性が高くなるだけでなく、企業のファンになってもらえる可能性もあり、口コミや紹介などをしてもらうことで収益向上だけでなく、企業ブランド価値向上にも繋がっていきます。
3.コンタクトセンター(コールセンター)の「インバウンド」と「アウトバウンド」の違い
ここまでインバウンド型のコンタクトセンター(コールセンター)に焦点を当て、解説をしましたが、実はコンタクトセンターにはもうひとつ、「アウトバウンド型コンタクトセンター」というものもあります。
アウトバウンドとは、資料請求や顧客情報の登録をした人に対して、自社商品・サービスを知ってもらったり、購入してもらうために、企業から顧客にコンタクトをとる業務のことです。企業から顧客に電話やメールを使って、新商品の案内をしたりします。
そこで3章では、コンタクトセンターの「インバウンド」「アウトバウンド」の違いをくわしく解説していきます。この2つの違いを知ることで、インバウンド型コンタクトセンターについて、より理解を深めることができるでしょう。
▼「インバウンド」「アウトバウンド」の違い
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3-1.【違い①】インバウンドは受信、アウトバウンドは発信
1つめは、「受信」なのか「発信」なのかの違いです。
インバウンド型コンタクトセンターは先述のとおり、顧客からの問い合わせを受信し、商品・サービスの申し込みやお困りごとの解決がメイン業務です。
一方でアウトバウンド型コンタクトセンターは、オペレーター側から顧客に電話やメールで発信し、商品・サービスの紹介やお知らせなどを顧客に伝えることがメイン業務です。
企業の営業のような役割をすることが多く、企業に対して一度何らかのアクションを起こした見込み客(※)に対して、アプローチすることも可能です。
※見込み客:自社の無料サービスの利用、メールアドレス登録、資料請求・ダウンロードをしているなど、自社商品・サービスに関心がある顧客のこと。
3-2.【違い②】インバウンドはアウトバウンドよりもお客様との心理的距離が近い
2つめは、「インバウンドはアウトバウンドよりもお客様との心理的距離が近い」という点です。
インバウンドにおいて顧客は、商品・サービスに対してすでに興味や関心があったうえで問い合わせをします。
「商品・サービスに関する疑問・問題をどうにかしてほしい」「解決してほしい」という心理でオペレーターと積極的なコミュニケーションを望んで、問い合わせをしてくることから、心理的な距離は近くなるのです。
しかしアウトバウンドでは、過去に自社の資料請求や無料サービスを利用したことはあっても、顧客にとっては「何か解決してほしい問題・疑問」が明確な状態ではありません。
積極的なオペレーターとのコミュニケーションを望んでいるわけではないので、どうしても心理的距離はインバウンドより遠くなってしまいます。
3-3.【違い③】インバウンドは「問題把握力」と「対応力」、アウトバウンドは「プレゼン能力」が必要
3つめは、オペレーターに必要な能力の違いです。インバウンドは「問題把握力」と「対応力」、アウトバウンドは「プレゼン能力」が必要という違いがあります。
たとえばインバウンドでは電話を受けたときに、顧客が何を聞きたいのかはわかりません。顧客データも、どの商品どの商品についての問い合わせなのかも、どのような問題を抱えているのかも、事前情報が一切ない状態で電話を受けます。
そのため、受電をしてから顧客の問題を把握する力、そして適切な回答を提示して解決できる対応力が必要になるのです。
以下のような例を考えてみるとわかりやすいでしょう。
▼家電メーカーA社のカスタマーサポートでの例 【状況】 【この場合にオペレーターに求められる能力】 ①問題把握力 ②対応力 という3つの解決方法を瞬時に判断して伝える対応力。 |
上記の例は比較的対応しやすい例ではあるものの、顧客からさらに込み入った問題について電話を受けることもあるので、問題把握力と対応力はオペレーターに必須の能力なのです。
なお、メールでの問い合わせの場合は、顧客が聞きたい内容が事前にわかるので、問題把握力は電話に比べて必要ないですが、文字だけのやりとりになるので、「対応力」は更に求められることになります。
インバウンドに対してアウトバウンドでは、「プレゼン能力」が求められることが多くあります。たとえば企業側から見込み客に対して営業の電話をかける場合、いかに自社の商品・サービスを魅力的に感じてもらえるかは、オペレーターのプレゼン能力にかかっているのです。
以下のような例で考えてみましょう。
▼IT系企業A社 アウトバウンド業務での例 【状況】 【この場合にオペレーターに求められる能力】 ◆プレゼン能力
をヒアリングしたうえで、見込み客のニーズに沿ったメリットをわかりやすく伝えることで、購買意欲をかき立てる力。 見込み客の資料請求の意図に沿って、適切にわかりやすくサービスの魅力を伝える能力がオペレーターには必要となる。 |
したがってインバウンドとアウトバウンドでは、オペレーターに必要な能力に違いが生じるのです。
4.インバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)の導入メリット
ここまでインバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)についての理解を深めてきましたが、企業にとって導入するメリットは何でしょうか?
その理由は大きく2つあります。
4-1.【インバウンド導入メリット①】収益アップが期待できる
インバウンド型コンタクトセンター導入メリット1つめは、インバウンドを導入すれば収益向上が期待できるからです。
インバウンドを導入することで、購入前の顧客から「商品について質問したい」「サービスについてくわしく知りたい」など、前のめりの姿勢での問い合わせをいただけるので、オペレーターが適切に対応できれば、購入の可能性は向上します。
さらに顧客の疑問や不満をくみ取った上で、適切な対処法を提示して問題解決することで、顧客満足度向上が期待できます。対応によっては、ほかの商品・サービスの購入をしてもらえる可能性が高くなるだけでなく、企業のファンになってもらえる可能性もあり、口コミや紹介などをしてもらうことで収益向上だけでなく、企業ブランド価値向上にも繋がっていきます。
4-2.【インバウンド導入メリット②】「生の声」を商品・サービス開発に生かせる
2つめの理由は、インバウンド型コンタクトセンター導入によって「顧客の生の声」が聞けるからです。
インバウンド型コンタクトセンターでは、顧客の貴重な意見や苦情などの「生の声」が聞けます。それをもとに、顧客のニーズにより合う商品・サービスの開発に役立てられるのです。
もしインバウンドを導入していない場合、顧客の生の声を聞くことや収益アップできる機会を損失してしまうことになってしまうことから、大半の企業はインバウンドを導入しています。
5.インバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)を導入する際の2つのポイント
前章でインバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)導入メリットについて触れましたが、5章では実際に導入する際の2つのポイントをお伝えします。
▼インバウンド型コンタクトセンターを導入する際の2つのポイント
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5-1.【ポイント①】方針を策定する
1つめのポイントは、「方針を策定する」ことです。
方針策定は以下の内容を決めるのがよいでしょう。
・企業としての目指すべき姿 |
方針を策定して運営することで、企業ビジョンが顧客応対に浸透されていき、結果的に、「顧客対応の品質向上」などの効果が期待できます。
▼ご参考ください Cotraでは、コンタクトセンターの始め方について詳細に解説しています。コンタクトセンターの設計方法や、マニュアル作成方法など「何を決めたらいいのかわからない」「何からはじめていいのかわからない」という方に最適です。ぜひご参考ください。 |
5-2.【ポイント②】アウトソーシングを検討する
2つめのポイントは、「アウトソーシングを検討する」ことです。
インバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)をアウトソーシングすることで、一般的に次のメリットを得られます。
・自社で人材の採用や教育を行う必要がない |
運営する規模などによって効果は異なりますが、固定費を変動費化できることは大きなメリットでしょう。アウトソーシングにすれば基本的なインフラやシステムが用意されていたり、自社だけではカバーできない時間でも対応することもできるので、導入の際にはアウトソーシングも検討しましょう。
コンタクトセンターのアウトソーシングについて興味がありましたら、是非こちらの記事もご参照ください。
6.まとめ
この記事ではインバウンド型コンタクトセンター(コールセンター)について、詳しく解説しました。
ここで改めて本記事のおさらいをしましょう。
◆インバウンド型のコンタクトセンターとは、顧客からかかってきた電話を受信する業務のこと
◆コンタクトセンターのインバウンド業務は3種類
・受注サポート |
◆コンタクトセンターの「インバウンド」と「アウトバウンド」の違い
・インバウンドは受信、アウトバウンドは発信 |
◆インバウンド型コンタクトセンターの導入メリット
・理由①:収益のアップが期待できるから |
◆インバウンド型コンタクトセンターを導入する際の2つのポイント
・方針を策定する |
本記事がお役に立てれば幸いです。