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【図解】コールセンターのAHTとは?計算式、平均値、改善方法を解説

「AHT」は、顧客からの問い合わせを平均何分で処理できるかを示す「平均処理時間」のことです。

AHT(平均処理時間)とは顧客からの問い合わせを処理するのにかかる時間の平均

AHTが短ければ多くの問い合わせを対応できるため、コンタクトセンター(コールセンター)の業務効率を上げたい場合に重要な指標となります。

この記事では、AHTとは何か・計算式・改善するメリットを解説した後、具体的にAHTを短縮するために何をすればいいかまで詳しく説明していきます。

しかし、AHTは単に短縮すれば良いというわけではないため注意が必要です。なぜならば、AHTが短すぎると今後は応答品質が低下し、顧客満足度が下がってしまうからです。

自分が電話で問い合わせをした時に、10分かけて丁寧に対応してくれたのと、早口で一方的に2分で対応されたのでは、全く印象が変わりますよね。

そうした注意点を踏まえながらぜひ最後までお読みいただき、コンタクトセンターのAHTを改善する具体的な方法を実践してみてください。

なお、この記事では通話時間に保留時間を含んで話をしています。実際の分析にあたっては、保留時間は分けて考える(PBXから抽出される通話時間には保留時間は含まれていないことが多い)必要があるので、その点は留意した上でご覧ください。

1.コンタクトセンター(コールセンター)のAHTとは

まずコンタクトセンター(コールセンター)で言われる「AHT」とはどんな意味か、図を交えてわかりやすく説明しましょう。

1-1.コンタクトセンター(コールセンター)の「AHT」とは「平均処理時間」のこと

コンタクトセンターのAHTとは「Average Handling Time」の略で、平均処理時間を意味します。つまり、かかってきた通話1件あたりを処理する時間が何分かを示す数値です。

AHTは2つの要素の合計で成り立っていて、「ATT(平均通話時間)」と「ACW(平均後処理時間)」の合計で算出されます。

AHTは「ATT(平均通話時間)」と「ACW(平均後処理時間)」の合計

例えば、顧客との平均通話時間(ATT)が240秒、平均後処理時間(ACW)が120秒の場合、AHT=240秒(4分)+120秒(2分)=6分となります。平均6分で顧客から問い合わせに対応できるとすると、1時間で10件のお問い合わせを対応できることが分かります。

この場合、AHTを6分から5分に短縮できれば1時間あたりの応対件数を10件から12件に増やすことができ、生産性を上げることが可能です。

ただし、やみくもにAHTを短縮しようとすると、応対品質が下がったり、オペレーターの不満の種になったりする危険性があります。顧客満足度や従業員満足度と両立しながらAHTを最適化していくことが大切です。

1-2.コンタクトセンター(コールセンター)のAHTの計算式

次に、AHTをどのように算出するのか、計算方法を見ていきましょう。

AHT(平均処理時間)=ATT(平均通話時間)+ACW(平均後処理時間)

AHTは、ATT(平均通話時間)とACW(平均後処理時間)が分かっている場合は、以下の計算式で求めることができます。

AHT(平均処理時間)とは顧客からの問い合わせを処理するのにかかる時間の平均

例えば、顧客との平均通話時間(ATT)が300秒、平均後処理時間(ACW)が120秒の場合、AHT=300秒+120秒=420秒(7分)となります。

1回あたりの平均値が取れていない場合は、以下の計算式で算出することもできます。

AHT(平均処理時間)=
通話時間の合計後処理時間の合計)÷処理した通話件数

通話時間の合計が2400秒、後処理時間の合計が1200秒で、処理件数が10件だった場合、AHT=(2400秒+1200秒)÷10件=360秒(6分)となります。

ATT(平均通話時間)とは

ちなみに、上記の計算式に出てくる「ATT(平均通話時間)」についても説明しておきましょう。

「ATT」とは「Average Talk Time=平均通話時間」の略で、のオペレーターが顧客と通話している時間の平均値です。

AHTには通話時間(保留時間含む)と後処理時間が含まれるのに対して、ATTは通話時間(保留時間含む)のみを指します。

ATTを算出するには、以下の計算式を用いてください。

ATT(平均通話時間)= 総通話時間 ÷  総処理件数

ATTが長いと、対応が丁寧で顧客満足度は高くなるかもしれませんが、オペレーター1人あたりが応対できる入電数は少なくなり、生産性が下がってしまいかねません。

反対に、ATTが短いと多くの顧客に対応することができますが、応対品質は下がってしまう恐れがあるでしょう。

そのため、生産性と応対品質のバランスが取れる適切なATTを維持するように努める必要があるのです。

ACW(平均後処理時間)とは

一方、「ACW」は「After Call Work=平均後処理時間」の略で、オペレーターが通話後に行う応対履歴の記録などの作業時間1件あたりの平均値です。
計算方法は以下です。

ACW(平均後処理時間)= 総後処理時間 ÷ 総処理件数

ACWが長いということは、1件の顧客対応が終わったオペレーターが次の入電を受ける準備ができていないことを示します。

その間は顧客を待たせてしまうため、あふれ呼や放棄呼が発生し、生産性も顧客満足度も下がってしまうでしょう。

そのため、応対内容を自動で記録できるツールを利用するなど、ACWをできるだけ短縮する施策をとるコンタクトセンターも多くなっています。

2.コンタクトセンター(コールセンター)におけるAHTの平均値

前述したように、AHTは短すぎると顧客満足度の低下につながり、長すぎると生産性が下がってしまうため、両者のバランスが取れる最適な数値を探らなければなりません。

そこで、AHT最適化の参考として、多くのコンタクトセンター(コールセンター)におけるAHTはどのくらいなのでしょうか。

株式会社リックテレコムの「コールセンター白書2023」には、AHTのデータはありませんが、ATT(平均通話時間)とACW(平均後処理時)のデータが掲載されています。
それによると、ATTの平均値は6.6分、ACWの平均値は6.3分でした。

ATT(平均通話時間)の平均値は6.6分

ACW(平均後処理時)の平均値は6.3分

出典:株式会社リックテレコム「コールセンター白書2023

つまり、AHTの平均値は、「ATTの平均値:6.6分 + ACWの平均値:6.3分 = 約13分」と考えることができるでしょう。

3.AHTを計測・改善するメリット

コンタクトセンター(コールセンター)がAHT(平均処理時間)を計測してPDCAの改善を回していくことで、以下のように「コンタクトセンター運営側」「顧客側」の双方にメリットがあります。

ただし、AHTはただ短くすれば良いというわけではなく、応対品質を下げずに総合的に改善していくことが大切です。

3-1.コンタクトセンター(コールセンター)運営側のメリット

AHTを計測し改善していくことで得られるコンタクトセンター運営側のメリットは4つあります。

AHTを計測・改善するメリット

コンタクトセンター(コールセンター)の生産性・業務効率を把握できる

AHTを計測しないままだと、実際どのくらいの時間でお問い合わせを対応できるのか把握できません。AHTを計測し把握することで、足りない人員数を算出したり業務効率化を図るための計画を立てたりすることができるようになります。

例えばAHTが6分なら、1時間あたり10件の問い合わせに対応できることが分かります。CTIシステム導入などの改善策を講じてAHTを5分に改善できれば、応対件数を1時間あたり12件に増加させることができます。

少ないオペレーター数で電話応対できるようになる

AHTを短縮できれば、それまでよりも少ないオペレーター数でコンタクトセンターを回していくことが可能となります。

AHTが6分でオペレーターが5人いるコンタクトセンターがあるとします。
この場合、1人1時間あたりの問い合わせ対応数は10件なので5人で50件の問い合わせに対応できます。

一方、AHTを5分に縮めることができれば、1人1時間12件対応できるため、4人で48件の問い合わせに対応できます。単純計算すると、ほぼ1人のオペレーターを削減できることになります。

コンタクトセンターの運営コストを削減できる

AHTを短縮してオペレーター1人あたりの生産性を上げることができれば、人員を減らして運営コストを削減できます。

先ほどの例のように5人のオペレーターを4人に削減できれば、採用コストだけでなく設備投資コストなどさまざまな運営コストカットにつながります。

電話チャネルと他のチャネルとの比較ができる

近年は、電話だけでなくメールやチャットなどさまざまなチャネルを用意して顧客対応するコンタクトセンターも増えています。

そのようなマルチチャネル・オムニチャネル化されたセンターの場合、AHTを算出することで、電話チャネルとその他のチャネルとの比較ができるのもメリットです。

例えば、顧客から同じ商品の使い方に関しての質問が、複数のチャネルに寄せられたと仮定します。
それを解決するのにかかった時間が、電話チャネルだとAHT10分、チャットだと平均8分だった場合、「電話よりチャットのほうが効率よく問題解決できている」ことがわかります。

このデータを踏まえれば、「電話対応のマニュアルを見直したりオペレーター教育を強化したりしてAHTを短縮する」、「電話チャネルのオペレーターを増員する」、「電話よりチャットで問い合わせる顧客が増えるよう、チャットへの導線をわかりやすくする」など、さまざまな改善策を講じることができるでしょう。

3-2.顧客側のメリット

AHTを短縮することは、コンタクトセンターを利用する顧客にとっても大きなメリットがあります。

AHTを計測・改善するメリット

電話がつながりやすくなり、顧客満足度が改善される

電話がつながりやすくなり、顧客満足度が改善される

1件あたりの電話応対時間が短くなればそれだけ顧客の待ち時間も短くなります。「いつ電話しても待たされる・つながらない」から「つながりやすくなった(待たされる時間が短くなった)」となれば、顧客満足度の向上(改善)につながります。

このようにAHTを最適にするメリットは、顧客満足度を保ちながらコンタクトセンター(コールセンター)の生産性を上げられる点です。

ただし、AHTは短くしすぎると応対品質が悪くなるケースもあるので、バランスを見ながら改善することが重要です。

4章からは具体的なAHT短縮方法を解説していますが、前提として「顧客満足度が低下しないレベルの応対品質を保つこと」を念頭に置いた上で施策を実行していきましょう。

4.コンタクトセンター(コールセンター)のAHTを短縮する方法

ここからは具体的に、コンタクトセンター(コールセンター)のAHTを短縮する方法について解説します。

先ほども解説した通り、AHTは「ATT(平均通話時間)」と「ACW(平均後処理時間))」の2つで構成されているため、その2つそれぞれに分けて説明していきます。

AHT(平均処理時間)とは顧客からの問い合わせを処理するのにかかる時間の平均

4-1.ATT(平均通話時間)を短縮する方法

ATT(平均通話時間)
Average Talk Time

オペレーターが顧客と通話している時間
(保留時間を含む)

ATT(平均通話時間)を短縮するには、以下のような方法があります。

適正な通話時間を設定して管理する

ATTを短縮するには、まずは適正な目標時間を設定して、オペレーターに周知させ、しっかり管理することが大切です。目標時間を設定する際は、理想的なトークスクリプトを作り、顧客満足度を維持できる通話をモデルケースとしてシミュレーションして決めていきます。

通話時間に含まれる「保留時間」はできるだけゼロに近づけるのがベストですが、通話中に利用するシステムの使い勝手に合わせて現実的な上司への質問時間を想定し、適正な時間を設定しましょう。

通話をモニタリングしてアドバイスを行う

通話時間が長くなってしまうオペレーターには、「顧客の質問を理解できていない」「難解な用語を多用しているせいで、逆に顧客を混乱させてしまっている」など原因があることがほとんどです。

こうした通話をモニタリング(または通話録音)して、通話時間を最適化するトレーニングを行うことが大切です。

トーク研修やミニテストなどを行い、目標の通話時間を目指しましょう。

ベストプラクティスの音声を聞かせる

通話時間が長くなってしまうオペレーターには、実際のベストプラクティスの音声を聞かせるトレーニングを行うことも効果的です。

フォロー体制を整える

応対時間が長くなっているオペレーターに気付き、チームリーダーやスーパーバイザーがいち早くフォローできる体制を整えます。そうすることで、対応が複雑になる前に事態を収束でき、平均通話時間を短縮することができます。

社内FAQ・マニュアルを見直す

顧客からの問い合わせにすぐ答えられないことが、通話時間を長引かせる原因となります。そのため、通話中のオペレーターの疑問を解消しやすい環境を作ることが大切です。

良くある問い合わせをFAQのTOPに置いたり、ポップアップ表示させることで、オペレーターがすぐに答えられない質問に対しても素早く調べて答えられる環境を整えましょう。

フィードバックを共有する

1人のオペレーターに対して行ったフィードバック内容を他のオペレーターにも共有することで、コンタクトセンター全体のATT短縮を図ることができます。

IVR(自動応答システム)を導入する

さらに、IVRを導入するのも効果的です。
IVRとは、オペレーターのかわりに音声ガイダンスで自動応答を行うシステムで、利用者がプッシュ操作をすることで、あらかじめ録音しておいた音声が自動再生される仕組みになっています。

これにより、オペレーターが顧客から問い合わせ内容を細かく聞き取ったり、問い合わせごとに適切な担当者に転送したりする手間がなくなり、ATTが短縮できるでしょう。

IVRでは問い合わせごとに担当者へ転送する手間がなくATTが短縮できる

IVRについては別の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

4-2.ACW(平均後処理時間)を短縮する方法

ACW(平均後処理時間)
After Call Work

顧客との通話が終わった後の処理にかかる時間

ACW(平均後処理時間)を短縮するには、以下のような方法があります。

適正な後処理時間を設定して管理する

ATT同様、目標時間を設定してしっかり管理していくことが大切です。後処理時間の目標時間は、事前にモデルケースを使ってシミュレーションを行い、適切な処理時間の平均値を算出します。

タイピングスピードを上げる

顧客との通話内容や申し送りなどは、キーボードでタイプしてシステムに入力するのが一般的です。その際、タイピングスピードが遅いと後処理時間が長引く原因となります。

タイピングが苦手なオペレーターには、待機時間などにタイピングソフトなどを使って練習してもらい、スピードを上げるようにしましょう。

顧客対応しながら履歴を入力する

顧客との通話が完全に終わってから対応履歴を入力すると、後処理時間が長くなります。そのため、顧客対応しながら履歴を入力する癖を付けると良いでしょう。

後処理内容の最適化を行う

入力する情報量が多すぎないか確認します。

項目が分かりやすいか、入力する際に考えてしまう煩雑な項目がないか、記入しなければ更新できない「必須項目」が本当に必要かなど、改めて確認してみましょう。

入力に時間がかかるシステムを使っていれば、必然的に後処理時間が増えてしまいます。

自動で履歴を作成できるツールを導入する

タイピング入力しなくても自動で履歴を作成できるツールを導入すれば、後処理時間を劇的に短縮できます。

例えば音声を自動で文字起こしできるツールを使えば、対応した内容をそのままシステムにコピー&ペーストできます。

トランスコスモスで提供する音声認識ソリューションtranspeechでは、音声認識による後処理時間短縮はもちろんのこと、通話中の特定キーワードが顧客から発話されたら関連FAQの表示や管理者へ自動的にエスカレーションが行える仕組みなど有しており、顧客満足度低下を防ぎながら処理時間短縮をすることが可能です。

興味がある方は下記よりご覧ください。

また、transpeechの概要をまとめたソリューションページも公開しています。こちらも参考にしてください。

5.AHTを短縮する際の注意点

ここまで、AHTの意味や改善する方法について解説してきました。しかし、AHTの短縮にあたっては、以下の点に注意が必要です。

・AHT短縮にこだわりすぎるとCS・ESが低下する恐れがある
・AHTは平均値だけでなく中央値にも注目する
・AHTだけでなくCPHも管理する

それぞれ説明します。

5-1.AHT短縮にこだわりすぎるとCS・ESが低下する恐れがある

第一に、AHT短縮にこだわりすぎてしまうと、むしろ顧客満足度や従業員満足度の低下につながるため、注意が必要です。

AHT短縮が顧客満足度(CS)の低下につながる原因

1件あたりの処理時間を短くしようとするあまり、
・早口で説明してしまう
・顧客の返答を待たずに話を進めてしまう
・情報を正確に伝えきれない
・顧客の疑問や不安が解消しきれない
・対応履歴に十分な内容を残せず、次の問い合わせに情報が共有できない

➡対応が冷たい、説明が不十分となり顧客満足度が下がってしまう

AHT短縮が従業員満足度(ES)の低下につながる原因

・目標時間を守れないことがプレッシャーになる
・対応履歴の入力を必要以上に急がされて、負担になる
・顧客に丁寧に寄り添えないことで、ストレスを感じる
・常に時間に追われている感覚で仕事に取り組むことに疲弊する
・入力時間短縮を意識しすぎた結果、ミスを誘発して別の注意を受ける

➡オペレーターに負荷がかかる、十分なやりがいを感じられないなど、精神的なストレスの原因となり、従業員満足度が下がってしまう
離職率アップにもつながりかねない

このように、顧客や従業員の気持ちを無視してAHT短縮を推し進めると、顧客満足度・従業員満足度を下げてしまう結果になりかねません。

AHTを短縮することは大事ですが、顧客満足や従業員満足を低下させないよう留意しながら進めていくことが何より大切です。

5-2.AHTは平均値だけでなく中央値にも注目する

また、AHTは「通話1件あたりを処理する時間の平均値」ですが、この「平均値」にだけ注目するのではなく、「中央値」も同時に見ておく必要があります。

何故かというと平均値は、極端な数値が出た場合に、そちらに偏りがちだからです。

平均値だけに注目すると、数字と実態にズレが生じる恐れがある

5人のオペレーターが以下のような処理時間で電話対応していると仮定しましょう。

オペレーター

A

B

C

D

E

処理時間

5分

4分

6分

5分

15分

この場合、5人のAHTは「(5分+4分+6分+5分+15分)÷ 5人 = 7分」となります。

ただ、Aさん〜Dさんの4人の平均を見ると「5分」です。
つまり、8割の人は5分程度で処理しているのに、Eさんが極端に時間がかかっているため、AHTがそれに引きずられて長くなってしまっているわけです。

この「7分」だけを見て、「AHTを7分にしよう」という目標を掲げると、A・B・C・Dさんは改善しなくてもいいことになってしまいます。しかし実際にはこの4人にもAHT短縮の余地はあるでしょう。

このように、極端な数字を出す人がいる場合は、平均値と実態との間にズレが生じることがあるのです。

中央値も見ることで、実態を把握できる

一方、中央値は、各人の数値を小さい順(または大きい順)に並べた際の真ん中の数値です。
前述の5人のオペレーターの例でいえば、以下のように並び替えられ、中央値は「5分」です。

オペレーター

B

A

D

C

E

処理時間

4分

5分

5分

6分

15分

極端に処理時間が長いEさんを除けば、たしかに他の人たちの数値は5分前後で、実態に近く感じられます。

このように、処理時間について検討する際には、極端に長い人・短い人がいることも仮定して、AHT=平均値とともに中央値も算出しておくと、より正確な状況把握ができるでしょう。

5-3.AHTだけでなくCPHも管理する

また、AHTはコンタクトセンター全体の平均値ですので、改善策もセンター全体向けになりがちです。
そうなると、前項で例示したEさんのように極端に処理時間が長い人など、個別の課題を抱えるオペレーターへの改善策は、また別途考えなければならないでしょう。

そのために必要なのが、「CPH」の把握と管理です。

「CPH」とは「Call Per Hour」の略で、1人のオペレーターが1時間あたりに対応できる処理件数を指します。CPHの値が大きければ大きいほど、一定時間内に多くの顧客対応ができたことを示します。

CPHでオペレーター一人ひとりの処理能力を把握し、課題を抱えるオペレーターがいれば改善をしていきましょう。それにより、センター全体のAHTも底上げが期待できるでしょう。

ちなみにCPHは、以下の計算式で算出できます。

CPH = 総処理件数 ÷ 総稼働時間

CPHについては以下のコラムで詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

6.AHT・生産性改善ならアウトソーシングの活用を

AHT(平均処理時間)を短縮できれば、1時間あたりに受電できるコール数が増えるため、コンタクトセンター(コールセンター)の生産性向上に直結します。さらに、電話がつながりやすくなることで顧客満足度も改善することができるでしょう。

しかし、「5-1.AHT短縮にこだわりすぎるとCS・ESが低下する恐れがある」でも述べた通り、応対品質を維持しながらAHTを短縮していくのは容易いことではありません。

応対品質を維持しつつコンタクトセンターの効率改善を図りたいとお考えならば、コンタクトセンター運営に特化した専門企業にアウトソーシングする方法もぜひご検討ください。

トランスコスモスでは、国内33拠点・19,320席(2024年3月時点)という国内最大規模のコンタクトセンターサービスを展開しています。

また記事内でもご紹介したtranspeechを活用し、満足度低下を防ぎながらAHT改善を実施するなど長い歴史の中で培った経験や実績を基に、1社1社ごとに最適な顧客サポートをお手伝いさせていただきます。

まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、

・コンタクトセンター(コールセンター)で使われる「AHT」とは何か
・AHTを求める計算式
・AHTを計測・改善するメリット
・AHTを短縮する方法

について詳しく解説してきました。

コンタクトセンターの業務効率を上げるためにはAHTを改善することは大事ですが、短縮にこだわりすぎると顧客満足度や従業員満足度を逆に下げてしまうということも説明しました。

AHT改善とCS・ESの両立は、長年のコンタクトセンターの悩みといっても過言ではありません。満足度を下げないよう留意しながら進めていくことが大切です。

「自社では難しそう…」という場合は、コンタクトセンター機能をアウトソーシングするのが早道というケースもありますので、お困りの際は弊社トランスコスモスにお気軽にご相談ください。

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