18.220.11.34

コールセンターの重要な指標「CPH」の計算式や5つの改善策を解説

CPHとは、コンタクトセンター(コールセンター)の1時間あたりの処理数を示す指標です。

CPHとは「Call Per Hour」の略で「1時間あたりの処理数」のこと

CPHが5の場合は1時間に5件の顧客対応ができていることになります。

CPHはコンタクトセンターやオペレーターの生産性を示す指標で、CPHが低下していると架電の集中や顧客満足度の低下を引き起こすリスクがあります。

その、コンタクトセンターやオペレーターの基準となるCPHを定め、CPHを管理できる環境を整えることが大切です。

そこでこの記事では、CPHの重要性や計算方法、CPHを改善する方法などをまとめて解説していきます。とくに、CPHが基準値よりも低い場合にどのような施策が検討できるのか具体的に把握できます。

この記事から分かること

◎コンタクトセンターのCPHとは1時間あたりの処理数のこと
◎コンタクトセンターでCPHを活用するシーン
◎コンタクトセンターのCPHを算出する方法
◎コンタクトセンターのCPHを改善する方法

この記事を最後まで読めばCPHがどのような指標なのか理解でき、コンタクトセンターの最適化に活用できます。

コンタクトセンター運営で生産性は重要なポイントとなるので、ぜひ参考にしてみてください。

1.コンタクトセンター(コールセンター)のCPHとは1時間あたりの処理数のこと

CPHとは「Call Per Hour」の略で「1時間あたりの処理数」を指します。

生産性を評価するKPI(重要業績評価指数)として、コンタクトセンター(コールセンター)全体のCPHとオペレーター単位のCPHの双方の指標に使用します。

処理時間には通話時間だけでなく付随業務も含まれるため、顧客からの電話を受けて後処理を終えるまでの一連の流れを完了したところで1件とカウントします。

1人のオペレーターが1時間に3件の処理ができた場合は、KPIは3となります。

CPHとは1時間あたりの処理数

①~③までの一連の流れが完了した時点で1件にカウントする

①顧客からの電話を受ける
②顧客対応を行う
③電話を切り後処理を行う

CPHの平均値は一概には言えず、オペレーターやコンタクトセンターごとに個別設定が必要です。

問い合わせ内容は複雑で丁寧なサポートが必要なコンタクトセンターは、1時間に1件の対応が目安となる場合もあり、逆に簡易的なアナウンスが中心のコンタクトセンターなら、1時間に4~5件を目標にできることもあるでしょう。

コンタクトセンターの業務内容やオペレーターのスキルに応じて、適正な基準値を設けてください。

CPHの基準値をベースにCPHを測定できると、コンタクトセンターの現状が理解できます。

例えば、CPHを指標としてオペレーター個人のスキルを測定すると、CPHが基準値よりも高い場合はオペレーターのスキルが向上していると言えます。逆にCPHが基準値よりも低い場合は苦手な対応がある、またはスキルが低下しているなどが考えられます。

オペレーター個人のCPHを評価する場合

CPHが基準値よりも高い

・応対スキルが向上している
・効率よく業務ができる工夫をしている

CPHが基準値よりも低い

・苦手な対応がある
・オペレーターのスキルが低下している

また、コンタクトセンターの評価基準にCPHを使用した場合、基準値より高いCPHだと効率よくセンター運営ができていることになります。

逆に基準値よりもCPHが低い場合は、電話がつながりにくく顧客を待たせている、オペレーターのスキルが低いなどの課題を抱えている可能性があります。

コンタクトセンター全体のCPHを評価する場合

CPHが基準値よりも高い

・効率よくセンター運営ができている
・オペレーターが対応しやすい環境を構築できている

CPHが基準値よりも低い

・電話がつながりにくくなっている
・オペレーターのスキルが低下している
・後処理やトークスクリプトに問題がある

このように、CPHが測定できていると生産性を向上させるためのボトルネックが発見しやすく、コンタクトセンター運営の最適化を目指せるようになります。

【CPHはチャット対応に使用することもある】

CPHは「Chats Per Hour」 と訳すこともでき、チャットの生産性指標を測定するときに使うことがあります。とくにノンボイスを推進しているコンタクトセンターでは、1時間で何件のチャットの処理ができるのか生産性を管理するために活用できます。

2.コンタクトセンター(コールセンター)のCPHを算出する方法

コンタクトセンター(コールセンター)のCPHは

①オペレーター個人のCPH
②コンタクトセンター全体のCPH

の2つで計算方法が異なります。まずは、オペレーター個人のCPHを算出してみましょう。

【オペレーターのCPHの算出方法】
1日の処理件数(顧客対応数) ÷ 1日のログイン時間

オペレーターが8時間の稼働中に30件の顧客対応をしたとしましょう。CPHを算出すると

30 (1日の処理件数)÷ 8(1日のログイン時間) = 3.75

で3.75件がCPHです。このオペレーターは1時間あたり3.75件の顧客対応をしたことになります。

次に、コンタクトセンター全体のCPHを算出します。コンタクトセンター全体のCPHは、オペレーターのCPHを算出する計算式を使ってコンタクトセンターのCPHを算出し、その結果をオペレーターの人数で割れば分かります。

【コンタクトセンター全体のCPHの算出方法】
①「1日の処理件数(顧客対応数) ÷ 1日のログイン時間」でコンタクトセンター全体のCPHを算出する
②①で算出したCPHをオペレーターの人数で割る

たとえば、

在籍するオペレーターの人数:50名
オペレーター1人のログイン時間:8時間
全体の1日の顧客対応数:1,200件

といったコンタクトセンターのCPHを算出すると、以下のようになります。

①1,200 ÷ 8 = 150
②150 ÷ 50 = 3.0

このコンタクトセンターは、オペレーター1人あたり3.0件の顧客対応をしていることになります。

3.コンタクトセンター(コールセンター)でCPHを活用するシーン

CPHはコンタクトセンター(コールセンター)の生産性を評価する指標であることは理解できたものの、具体的にどのように活用するのかイメージが湧かない人もいるかと思います。

ここでは、コンタクトセンターでCPHを活用するシーンをご紹介します。

コンタクトセンターでCPHを活用するシーン

①オペレーターの生産効率を示すKPIに設定する
インバウンドのコンタクトセンターの人員配置計画を立てる

あくまでも一例ではありますが、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.オペレーターの生産効率を示すKPIに設定する

CPHは、オペレーターの生産効率を示すKPIとして使用できます。オペレーターの生産効率が適正かどうかは、オペレーター個人のCPHとコンタクトセンター全体のCPHを比較すると判断できます。

オペレーターのCPHがコンタクトセンター全体のCPHと比べて低く乖離があれば、そのオペレーターは平均的な処理数をできていないことになります。具体的な事例を計算してみましょう。

【オペレーターAのCPH】
1日の処理件数(顧客対応数):20件  ÷ 1日のログイン時間:7時間 = CPH:2.85

【コンタクトセンター全体のCPH】
在籍するオペレーターの人数:50名
オペレーター1人のログイン時間:8時間
全体の1日の顧客対応数:1,200件

1日の処理件数(顧客対応数):1,200件  ÷ 1日のログイン時間:8時間 = 150
CPH:150 ÷ 在籍するオペレーターの人数:50名 = CPH:3.0

オペレーターAとコンタクトセンター全体のCPHとの間に0.15件分の差がある

以上のようにオペレーターのCPHがセンター全体のCPHと比べて低い場合はオペレーターの課題を洗い出し、その課題を解決する改善策を考えることでセンター全体の生産性を向上させていきます。

3-2.インバウンドのコンタクトセンター(コールセンター)の人員配置計画を立てる

インバウンドのコンタクトセンターは、顧客からの問い合わせを受ける業務を行います。多くのインバウンドのコンタクトセンターでは着信数や応答率を予測し、オペレーターのシフトを組みます。

このとき活用されるのは、コンタクトセンター全体のCPHです。1時間あたりの想定入電数と併せて、どのくらいのオペレーターを配置する必要があるかを決めていきます。

・1時間あたりの想定入電数:100件
・コンタクトセンター全体のCPH:5

である場合は、100 ÷ 5 = 20人のオペレーターが必要になると計画を立てられます。

ただ、入電が常に100件とは限らず、上回ったり下回ったりすることも考えると、

・想定入電数が上回った場合…他エリアにある拠点に応援をお願いする/オペレーターを増員する
・想定入電数が下回った場合…オペレーターのシフトを調整する

といった人員計画を練っていく必要があることも、CPHを活用すれば分かるようになります。

アウトバウンドの指標としてもCPHを活用いただくことができますが、アウトバウンドの場合はCPHだけでなく成約率・獲得率も考慮した計算が必要となります。

4.コンタクトセンター(コールセンター)のCPHを改善する方法


ここからは、コンタクトセンター(コールセンター)のCPHが基準値よりも低かったときに、改善する方法をご紹介します。

コンタクトセンターのCPHを改善する方法

①ATTを改善する
②ACWを改善する
③スクリプト(トークスクリプト)を整備する
④FAQを充実させる
⑤システムを整備する

具体的にどのような施策をすればいいのか理解するためにも、参考にしてみてください。

4-1.ATTを改善する

ATTは「Average Talk Time」の略で、オペレーターの電話対応1件あたりの平均通話時間を指します。オペレーターが電話を受けてから切るまでにどのくらい時間を費やしたかが分かるKPIです。

ATTを改善するには、まずオペレーターの電話対応をモニタリングし、問題がないかチェックすることがおすすめです。以下は、上記をもとにモニタリングした結果を改善するために考えられるよくある対策の例です。

モニタリングの結果

考えられる対策

無駄な会話が多い

・トークスクリプトの遵守
・ベストプラクティス音声の傾聴

知識不足で
解決に導く時間が長い

・弱点の知識研修
・フォローアップトレーニング

保留の時間が長い

・知識、システム・ツールのフォローアップ研修
※保留原因による

オペレーターの通話時間が長くなる原因を突き止めて、その原因を解消する対策を考えればATTが改善され、結果としてCPHも向上します。

4-2.ACWを改善する

ACWは「After Call Work」の略で、オペレーターの電話対応が終わった後に発生する事務処理の時間(後処理時間)を指します。

ATTと同様、一般的にはACWが短いほどオペレーターが効率良く事務処理ができていると言えます。ACWが短いと1時間で処理できるコール数が増えて、CPHの改善につながります。ACWが長い原因は、一般的に以下のようなことがよく挙げられます。

タイピングスキルが低い
ツールやシステムが使いにくい
ログの残し方が難しい
・ログに残さなくてはいけない情報が多い

オペレーター個人の弱点がどこにあるのか見極め、それぞれ

タイピングソフトを活用して入力速度を上げる練習をする
・上級者から操作方法を教えてもらう
ログフォームを作成して入力の方法を定型化する
・音声認識ツールを導入し自動でテキスト化する

といった施策が検討できます。オペレーター個人のパーソナルスキルを見て、適切なフォローアップを行うことが大切です。

4-3.スクリプト(トークスクリプト)を整備する

オペレーターが顧客対応時に使用するスクリプト(トークスクリプト)を整備することは、コンタクトセンター(コールセンター)の生産性を上げるために重要です。

スクリプトはオペレーターのスムーズな電話対応を可能にするものです。こうしたスクリプトが整備されていないとオペレーターの通話時間が長くなり、ATTに影響します。

作り方は、ATTの時間が短いオペレーターの対応を参考にしてスクリプトを組むケースが多いです。ただ、あまりスクリプトの遵守を徹底してしまうと、オペレーターは柔軟な受け答えをしなくなるのでは?と思われる方もいるかもしれません。

もちろん、スクリプト通りの顧客対応を徹底させてしまうこと、ロボットのような対応になってしまうので好ましくありません。

あくまでベーススキルとして、スクリプトに従った案内を身にけ、ATTが短くなることが大切です。また、継続して更新していく必要があるので定期的に見直しをしましょう。

4-4.FAQを充実させる

FAQは、オペレーター向けの「よくあるお問い合わせ」を指します。

オペレーターが顧客対応時に参照するFAQを充実させることで、問い合わせを受けたときに迅速な顧客対応ができます。

何がよくある問い合わせなのかは、オペレーターの視点ではわかりにくいため、CRMシステム等で統計をとり、定量分析の上FAQを用意することが良く使われる手法です。

FAQを充実させておくことで、素早い解決ができる案件を増やしCPHを短縮につなげます。運用上は、「オペレーターの利用しやすさ」を考慮しながらFAQを準備するとよいでしょう。

4-5.システムを整備する

システムの整備はオペレーターの業務負担を軽減させ、生産性向上につながります。最近は、オペレーターの作業負荷を軽減させるシステムを導入するケースが増えています。

CTIシステムを活用し、顧客の登録情報を教えてくれる
音声認識/テキスト化ツールをいれて後処理作業を減らす

というようなシステムです。このようにオペレーターの負担となる業務を補助するシステムを導入すれば生産性が上がり、結果としてCPHも改善できます

コンタクトセンターの生産性を向上し、CPHを改善するために良いシステムの導入を検討しましょう。トランスコスモスの製品に興味のある方は以下をクリックして資料をご確認ください。

 

5.CPH・生産性改善ならアウトソーシングの活用をする

CPHを改善できれば1時間あたりに受電できるコール数が増えるため、コンタクトセンター(コールセンター)の生産性向上に直結します。さらに、電話がつながりやすくなることで顧客満足度も改善することができるでしょう。

しかし、応対品質を維持しながらCPHを短縮していくのは容易いことではありません。応対品質を維持しつつコンタクトセンターの効率改善を図りたいとお考えならば、コンタクトセンター運営に特化した専門企業にアウトソーシングする方法もぜひご検討ください。

トランスコスモスでは、国内34拠点約20,000席の国内最大規模のコンタクトセンターサービスを展開しています。

満足度低下を防ぎながらCPH改善を実施するなど長い歴史の中で培った経験や実績を基に、1社1社ごとに最適な顧客サポートをお手伝いさせていただきます。まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

いかがでしたか?コンタクトセンター(コールセンター)のCPHとはどのような指標か理解でき、コンタクトセンター運営に活用できるようになったかと思います。最後にこの記事の内容を簡単に振り返ってみましょう。

◎CPHとは「Call Per Hour」の略で1時間あたりの処理数のこと

◎コンタクトセンターでCPHを活用するシーンは下記のとおり
①オペレーターの生産効率を示すKPIに設定する
②インバウンドのコンタクトセンターの人員配置計画を立てる

◎コンタクトセンターのCPHを改善する方法は次の5つ
①ATTを改善する
②ACWを改善する
③スクリプト(トークスクリプト)を整備する
④FAQを充実させる
⑤システムを整備する

CPHはコンタクトセンターの運営を適正化するときに、管理しておきたい指標です。コンタクトセンター運営でお困りの場合やCPHの改善方法を模索している場合は、トランスコスモスにお気軽にお問い合わせください。

【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
【 CX推進のためのデータ分析&活用GUIDE 】
~ CXを改善することで継続意向や推奨意向を高め、企業収益を向上に導く ~
CXを推進させるためのロードマップやデータ分析の必要性をPDCA事例を交えながらご紹介します
【 コンタクトセンターの4大課題へのアプローチ 】
オペレーション業務領域が注力すべき 4大課題 とその 解決事例 を整理しています。是非ご覧ください。
【 コンタクトセンターの4大課題へのアプローチ 】
オペレーション業務領域が注力すべき 4大課題 とその 解決事例 を整理しています。お気軽にお問い合わせください。