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在宅コールセンターの成功事例から考える在宅化のポイント

「在宅のコールセンターが増えているようだけれど、それはなぜ? オペレーターの管理やセキュリティ面などで問題はないの?」

「わが社のコールセンターも在宅に切り替えようという提案があるが、どんなメリットがある? どうすればうまく運営できる?」

    新型コロナウイルスの影響で、在宅コンタクトセンター(コールセンター)への関心が一気に高まりましたが、そのような疑問を持っている方も多いでしょう。

    各社で在宅コンタクトセンターの導入が進んでいるのは、以下の3つの意義があるためです。

    ・BCP対策:災害などの際にコンタクトセンターを継続できる
    ・働き方改革への対応:従業員は多様な働き方を選択できる
    ・運営コストの最適化:物理的なセンターの運営費、出社のための交通費などを削減できる

    しかし、そこにはもちろん、リモートワークになることによって以下のような課題も生じます。

    ・生産性や応対品質をいかに維持するか
    ・スーパーバイザーとオペレーターのコミュニケーションをどうとるか
    ・センターと同レベルの高いセキュリティ対策を在宅でも整備できるか

    これらの課題を克服し、在宅コンタクトセンターの運営を成功させるには、以下の事柄を実施するとよいでしょう。

    ・採用活動の工夫
    ・新人トレーニングの工夫
    ・コンタクトセンターサービスの活用
    ・センターと在宅のハイブリッド運用
    ・専門家によるメンタルヘルスケアの実施

    そこでこの記事では、在宅コンタクトセンターについて知りたい方や、自社コンタクトセンターの在宅化を検討している方が知っておくべきことを、わかりやすく解説していきます。

    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの意義
    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの課題
    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)運営を成功させる5つのポイント
    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)の成功事例

    1.在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの意義

    前述したように、在宅コンタクトセンター(コールセンター)が注目されるようになったのは、もちろん新型コロナウイルスの影響が大きいと言えるでしょう。

    ただ、今後コロナ禍が落ち着いたとして、各社が在宅コンタクトセンターをやめて全て出社型に戻すかというと、恐らくそうはならないでしょう。

    なぜかというと、コンタクトセンターを在宅化することには以下のような大きな意義(メリット)があるからです。それに気づいた企業は、コンタクトセンターの在宅化を続けると予想されます。

    ・BCP対策
    ・働き方改革への対応
    ・運営コストの最適化

    これらについてあらためて考えておきましょう。

    在宅コールセンターの現状についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

    1-1.BCP対策

    在宅コンタクトセンターの第一の意義は、「BCP対策」です。

    BCPとは「Business Continuity Plan=事業継続計画」を指し、自然災害、感染症の流行、通信・インフラの断絶といった不測の事態が発生した際にも、事業を中断することなく継続できるよう、あらかじめ対策を講じておくことを意味します。

    たとえばコンタクトセンターが地震に見舞われたと仮定すると、停電や電話回線・インターネット回線の不通、建物自体の倒壊などが想定されるでしょう。

    そうなれば、顧客からの問い合わせを受けることができず、コンタクトセンターの機能が停止してしまいます。

    そこで、従来はBCP対策として、「拠点を複数に分散させておき、1か所の機能が停止しても他の場所で対応できるようにしておく」、「緊急事態になると特別な窓口を開いて対応するように準備しておく」、いずれかの方法が主流でした。

    しかし、最近ではそれらに加えて「在宅化する」という方法をとるケースが増えてきました。

    【在宅コンタクトセンターのBCPメリット】

    在宅コンタクトセンターのBCPメリット

    在宅コンタクトセンターなら、オペレーターは、自社のコンタクトセンターの近くに住んでいる必要はありません。全国どこにいても顧客対応ができます。もしどこかのエリアで災害などの不測の事態が発生しても、それ以外の無事なエリアに住むオペレーターが対応できるのが強みです。

    緊急時に一部のオペレーターが対応できなくなった場合には、それをどのようにカバーするのか具体的なオペレーションを事前に定めておくことで、BCP対策につながります。

    コールセンターのBCP対策についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

    1-2.働き方改革への対応

    次に、在宅コンタクトセンターは「働き方改革」の流れにも沿っています。

    自宅にいながら顧客対応できるため、通勤が必要なく時間に余裕ができます。

    働くことを諦めていた人や、短時間しか働けなかった人たちも、自分の生活スタイルに合った働き方を選べるようになるでしょう。

    また、これまでは結婚や子育て、介護などのライフイベントによって、オペレーターが仕事をやめざるを得なくなるケースも多くありました。

    しかし、在宅であれば通勤時間がない分、子育てや介護などプライベートの時間を確保することができ、優秀な人材に長期的に働き続けてもらうこともできます。コンタクトセンターにとってもオペレーター自身にとっても大きなメリットとなるでしょう。

    1-3.運営コストの最適化

    さらに、コンタクトセンターを出社型から在宅型に移行することで、運営コストの見直しにもつながります。

    まず、在宅化することで、オペレーターなど従業員の通勤にかかる交通費が不要になります。センターが賃貸物件であれば、その賃料も節約できます。

    オペレーターごとに必要なデスクや椅子など、ブースにかかる費用も必要ありません。

    かわりに在宅でコンタクトセンター業務を行うためのシステムやツールにかかる費用、オペレーターの在宅手当などは発生しますが、トータルでみると在宅のほうがコストを抑えられる可能性が高いのです。

    トランスコスモスがコンタクトセンターの標準環境を整えるケースで比較すると、在宅にすることでセンターの約半分のコストで実施が可能な場合もあります。

    また、前項でも触れたように、在宅化によってオペレーターの長期勤続が可能になります。

    となれば、長期的には新人の採用コストや教育コストも抑えることができるでしょう。

    運営コストは在宅型によってインターネット通話を利用することでも抑えられます。

    2.在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの課題

    このように、在宅コンタクトセンター(コールセンター)には大きな意義、メリットがありますが、一方では、導入に不安を感じる企業も多いようです。

    Cotra編集部が調査した「コンタクトセンター運営に関する意向調査2022」では在宅オペレーションを検討するにあたって、課題となっている項目は以下のような結果となりました。

    【在宅オペレーションを検討するにあたって、課題となっている項目(複数回答)】

    在宅オペレーションを検討するにあたって、課題となっている項目

    出典:【コンタクトセンター運営に関する意向調査2022】

    主に課題と感じているのは「セキュリティ」、次いで「パフォーマンス」、「教育」「モチベーション」管理など、オペレーターとのコミュニケーションが必要なる項目も課題に挙げられています。

    そこでこの章では、これらの課題について考えましょう。

    3点の課題それぞれに対して、トランスコスモスからの解決案も提示していきますので、参考にしてください。

    2-1.セキュリティ対策

    まず、もっとも大きな課題はセキュリティです。

    コンタクトセンターでは、顧客情報などの重要な機密情報を扱うため、サイバー攻撃や情報漏洩などに備えたセキュリティ対策が必須です。

    出社型のコンタクトセンターであれば、センター内でさまざまなセキュリティ対策を講じることができます。

    たとえば、ウイルスなどの侵入をブロックするために、外部ネットワークに接続する際にはVPNを利用したり、端末にUSBなどを接続できないようにすることで情報の持ち出しを防いだりといったことです。

    しかし、オペレーターがそれぞれ在宅で業務を行うとなると、有線LANよりもサイバー攻撃や情報漏洩リスクが高いとされるWi-Fiなどの無線接続を利用するケースも増えるでしょう。また、管理者の目が行き届かなくなることで、悪意をもって情報を持ち出されてしまうリスクも高まります。

    在宅コンタクトセンターであっても、出社型のセンターと同レベルの高いセキュリティ対策を維持する方法がわからずに、在宅化に踏み切れない企業も多いのです。

    トランスコスモスの在宅コンタクトセンターサービスにおけるセキュリティ対策

    ●人的対策
    オペレーターに誓約書の確約、e-learningによるセキュリティ研修の受講、セキュリティガイドライン配布と順守を義務付けます。

    確約者のみが業務に従事でき、業務中は第三者の入室禁止を徹底、操作ログの取得やインターネットのアクセス制限、さらにPC操作画面の定期キャプチャを標準とします。

    ●人技術・物理対策
    執務用の個室やVDI(デスクトップ仮想化=サーバ上にあるデスクトップ環境を、離れた場所にある複数の端末に転送して利用する)環境を構築し、通話・関連データはVDIを経由するよう準備しておきます。

    また、監視ツールなどをセッティングすることで、なりすましや映り込み検知もできますし、本人状況の定期キャプチャ、音声認識や感情解析も取り入れてクレーム検知やトラブル予兆を強化します。

    さらに、有人の「在宅コンタクトセンターサポートデスク」を用意することで、WebカメラやPC操作ログなどのデータを有人で定期監視、機器やネットワークトラブルなども迅速に解決する体制を整えています。

    在宅時のセキュリティ対策については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

     

    また、通信費を安く抑える方法についてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

     

     

     

     

    運営コストは、在宅型によってインターネット通話を利用することでも抑えられます。通信費を安く抑える方法については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

    2-2.パフォーマンスの維持・向上

    2つ目の課題は、生産性と応対品質を維持することです。

    コミュニケーション問題とも関連しますが、管理者側から個々の在宅オペレーターすべてに目を配るのはなかなかに困難です。

    そのため、オペレーター側が処理に困っていることにも気が付きにくく「CPH(=1人のオペレーターが1時間以内に対応できる処理件数)」などのKPIが下がったり、顧客への応対品質が悪化したりする恐れがあります。

    出社型のコンタクトセンターであれば、マネージャーやスーパーバイザーが定期的にKPIをチェックし、各オペレーターの応対をモニタリングすることで、生産性と応対品質を維持しています。

    もし問題があれば、すぐに適切な施策や指導を行うわけです。

    在宅でもそれと同様の運営を行うには、バラバラの場所で業務にあたっているオペレーターそれぞれの生産性や顧客への応対を確認できるシステムを構築しなければならず、これもコンタクトセンターを在宅化する際のハードルとなっています。

    KPIについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

    トランスコスモスの在宅コンタクトセンターサービスにおけるパフォーマンス維持・向上施策

    トランスコスモスの「在宅コンタクトセンターサービス」の場合は、デジタルツールを組み合わせた在宅型センターの運用フローを構築することで、生産性と品質を維持することが可能です。

    在宅でも「PDCA(=Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善))」サイクルを回して業務を管理、改善することができます。

    トランスコスモスの在宅コンタクトセンターサービスにおけるパフォーマンス維持・向上施策

    たとえばモニタリングに関しては、音声認識技術を用いてオペレーターと顧客とのやりとりをリアルタイムでテキスト化しますので、離れた場所にいるスーパーバイザーでも複数のオペレーターの応対内容を即時に把握し、スムーズにサポートすることができます。

    また、アンケートツールや日報を使って各オペレーターのパフォーマンスとコンディション情報も把握し、顔が見えないリモート環境であっても適切な頻度と濃度でフォローを実施できる体制を整えます。

    さらにはAIを活用して、人と機械の両軸で品質をチェック、効率的な人材育成の実現と品質向上を図ることも可能です。

    2-3.コミュニケーションの取りづらさ

    在宅コンタクトセンターの3番目の課題は「コミュニケーションの取りづらさ」です。

    オペレーターがそれぞれ離れた場所にいるとなると、スーパーバイザーとのコミュニケーションが取りづらくなります。

    出社型であれば、担当する複数のオペレーターの状況をひと目で見ることができますし、オペレーター側も何かあればすぐにスーパーバイザーに相談できるでしょう。

    一方在宅型の場合、どうしてもスーパーバイザーの目は行き届かなくなりがちです。

    お互いのやりとりにもタイムラグが生じるため、問題が起きたときなどはエスカレーションがスムーズにできない場合もあります。

    また、コミュニケーションの濃度が薄くなることで、オペレーターのモチベーションが低下したり、離席や手待ち時間が増えたりする恐れもあるでしょう。

    このようなことがないよう、管理者側とオペレーター側でいかにコミュニケーションを密にするか、勤怠管理やモチベーション管理をどうするかは大きな課題となっています。

    トランスコスモスの在宅コンタクトセンターサービスにおけるコミュニケーション方法

    トランスコスモスの「在宅コンタクトセンターサービス」の場合は、「LINE WORKS」を用いて以下のようなコミュニケーションを取っています。

    チャットや通話機能を備えたツールを導入することで、エスカレーションにおいてもタイムラグなく即時にコミュニケーションが取れる体制を整えます。

    また、出社型では朝礼などで周知していた情報は、掲示板で周知の上各メンバーの既読確認をとることで徹底できますし、休憩や離席は申告によって管理が可能です。

    オンライン面談を活用すれば、スーパーバイザーから特定のオペレーターへの個別の指導や、オペレーターからへの悩み相談といった一対一のコミュニケーションも十分に取れるでしょう。

    在宅コンタクトセンターのコミュニケーションツールとして、ビジネスチャットも有効です。ビジネスチャットについてはこちらの記事でも詳しく解説しています。

    3.在宅コンタクトセンター(コールセンター)運営を成功させる5つのポイント

    このような課題もある在宅コンタクトセンター(コールセンター)ですが、適切な対策を実施することで運営を成功させている企業も多くあります。

    実際にトランスコスモスが検証した事例では、在宅化は従業員満足度(ES)と採用力の面で大きな効果があることがわかってきました。

    特に、持続的に在宅化することで勤怠率が向上し、退職率は低下するため、品質の安定・向上と教育コストの削減につながります。

    在宅化は従業員満足度(ES)と採用力の面で大きな効果がある

    そこでこの章では、実際に在宅化に成功した企業の事例から導き出した、在宅コンタクトセンターの運営を成功させるポイントを挙げておきましょう。

    それは以下の5点です。

    ・採用活動の工夫
    ・新人トレーニングの工夫
    ・コンタクトセンターサービスの活用
    ・センターと在宅のハイブリッド運用
    ・専門家によるメンタルヘルスケアの実施

    それぞれ解説していきます。

    3-1.採用活動の工夫

    コロナ禍で在宅ワークが普及したこともあって、現在のコンタクトセンター業界では「在宅勤務」の求人は人気が高くなっています。そのため、センターを在宅化した際にはそれをアピールすることで、人材を確保しやすくなるでしょう。

    ただ、採用時の募集文言には工夫が必要です。

    たとえば、センターと在宅両方で稼働している「ハイブリッド運営」をしている場合、「在宅勤務」があることを全面に押し出して募集してしまうと、センター勤務に切り替わった際に在宅勤務希望者から不満が出て離職につながる恐れもあります。

    そのような場合は、「状況に応じてセンター勤務もあることを前提とした在宅勤務」と明記した上で募集することで、未然にトラブルを防ぐことができます。

    また、在宅勤務ではデジタルツールの活用は欠かせません。

    そのため、採用面接もオンラインで行い、面接の中でパソコンやツールの操作、タイピングのテストを行えば、在宅勤務への適正を確認することができるでしょう。

    3-2.新人トレーニングの工夫

    在宅下でオペレーターの研修を行う際には、「いかにカリキュラムやツール、講師側の体制をリモート研修に適したものにしていくか」が、成否を大きく左右します。

    センターの業務内容によって教育方法は異なりますが、ここでは成功している事例から一部の取り組みを紹介しておきましょう。

    ・研修カリキュラム
    グループワークやディスカッションの時間を増やし、理解度テストを日々実施できるカリキュラムへ変更。

    ・研修方法
    一部の研修においては、画面共有による講師のデモンストレーションを実施。
    操作懸念がある受講者に対しては、講師が画面共有を行い、操作をサポート。
    事前にビデオコンテンツを準備することも有効。

    ・研修ツール
    在宅研修で欠かせないWEB会議ツールは、研修を円滑に進められる機能が豊富であることを重点に選定(レイアウト変更、複数機能の同時表示、複数メンバーが同時に画面共有)。

    ・研修講師
    講師側は、主登壇者とサポートの最低2名体制で研修を行うことが望ましく、主登壇者は登壇用とオブザーブ用の計2台のPCを使って研修を行う。研修の内容に応じて、フォローがいきわたる人数に対して研修を実施。
    なお、研修講師は、事前に「リモート研修での登壇スキル」に関して学習しておくと効果的。

    新人研修の基本的な内容については、こちらの記事でも詳しく解説しています。

    3-3.在宅コンタクトセンターサービスの活用

    さらに、「2.在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの課題」でも触れたように、在宅化で生じがちな課題や問題を解消するためには、さまざまなツールの導入やシステム構築が求められます。

    コミュニケーションツール、セキュリティシステム、勤怠管理システムなどさまざまなものがありますが、何をどう組み合わせるかはセンターの業務内容によって異なるでしょう。

    それをセンター側でひとつずつ選定し、運用フローを組み立てていくのはかなり難易度が高い作業だと言えます。

    そこでおすすめしたいのが、在宅コンタクトセンターの導入をアウトソースする方法です。

    在宅コンタクトセンター運営に慣れたオペレーターの配置も可能で、コンタクトセンターの業務内容に応じて必要なツールやシステムを組み合わせ、最適な運用フローを構築してもらえますし、システムトラブルなどの対応も任せることができるため、自社で一から体制を作るよりもはるかに在宅化を成功させやすいと言えるでしょう。

    コンタクトセンターを在宅化するなら
    トランスコスモスの「在宅コンタクトセンターサービス」がおすすめ

    トランスコスモスでは、企業のコンタクトセンター在宅化を推進するために、「在宅コンタクトセンターサービス」を提供しています。

    このサービスは、在宅コンタクトセンターに求められる意義や、抱えている課題に対して以下の3つの強みを発揮します。

    コンタクトセンターを在宅化するなら トランスコスモスの「在宅コンタクトセンターサービス」がおすすめ

    さらに、在宅コンタクトセンターサポートデスクの専用ブースも構築します。

    【在宅コンタクトセンターサポートデスクの機能】

    1.セキュリティマネジメント
    PC操作ログや画面キャプチャを取得し、インシデント発生を抑止、また第三者のなりすましやスマートフォンのツール検知によるアラート機能なども備え、安全な業務運用を担保。

    2.パフォーマンスマネジメント
    全国の在宅対応におけるコールやネットワークアクセスなど各種パフォーマンスデータを蓄積、一元管理することで円滑な在宅運用を支援。

    3. ITヘルプデスク
    オペレーターの自宅でのPC機器や周辺機器、利用ツールなどの不具合や操作方法をサポート。速やかな問題解決とセンター管理者の負荷軽減に貢献。

    トランスコスモスの在宅コンタクトセンターは安定した業務運用をサポート

    現在、トランスコスモスの在宅コンタクトセンターは国内3,000席、海外10,000席の計13,000席まで拡大しており、多くの企業で成果をあげています。

    在宅コンタクトセンターのアウトソーシングについては、こちらの記事でも詳しく解説しています。

    3-4.センターと在宅のハイブリッド運用

    センターで運営していた業務を在宅に移行する際には、いきなりすべてを在宅化するのではなく、オペレーターのフォローを行うためにもセンターと在宅のハイブリッド運用から始めるのがおすすめです。

    在宅勤務開始後、もしも著しくKPIが低下した場合には、在宅勤務を一時的に解除しセンター勤務に切り替えて集中したフォローを行うことで、在宅勤務に適したスキルにまで高めるといった対応が可能です。

    このように、在宅移行初期のタイミングでは、在宅を成功させるためにセンターを上手く活用することも重要です。

    3-5.専門家によるメンタルヘルスケアの実施

    在宅勤務への切り替えにより、オペレーターは従来とは異なった環境で作業をすることになるため、場合によってはストレスを抱えてしまうこともあり、メンタルヘルスケアを行うことは重要です。

    直属の上司との面談を通してのケアももちろん有効ですが、外部の専門機関によるメンタルヘルスケアを行うことで、直属の上司には相談し辛い内容も相談しやすくなるというメリットがあります。

    マネジメント視点でも、中立的な立場からアドバイスが得られるため、職場環境の改善に効果的です。

    仮に外部の専門家に頼むのが難しい場合でも、第三者を間に入れることでオペレーターの悩みを引き出すことが重要です。

    4.在宅コンタクトセンター(コールセンター)の成功事例

    ここまで、在宅コンタクトセンター(コールセンター)についてその意義や課題、成功のポイントを解説してきましたが、最後に実際にコンタクトセンターの在宅化に成功した企業の事例を2つ紹介しておきましょう。

    あなたの会社が在宅化に取り組む際には、ぜひ参考にしてください。

    4-1.大手製造メーカー様の事例

    1つ目にご紹介するのは、大手製造メーカーA社様の事例です。

    コロナ禍以前から事業継続計画に対して準備を進めていたこともあり、新型コロナウイルスの感染拡大に際しては、「最優先の課題は、従業員・パートナー・家族の安全を守ること」といち早くコンタクトセンター(コールセンター)の在宅化を進められました。

    段階的な移行で生産性・品質を維持

    従業員の安全や新型コロナウイルス感染拡大の予防という観点では、一気に在宅化することが有効ですが、一斉に在宅勤務へ移行することはサービスレベルの低下につながるリスクがあります。

    そこでA社様では、新型コロナウイルス感染拡大が顕著となった2020年3月末より段階的に在宅勤務に移行し、およそ60席規模を1.5カ月間かけて在宅勤務率100%にしました。

    具体的には、初期ステップとして、業務習熟度が高いベテランオペレーター数名を先行して在宅勤務に移行しました。

    この段階では、特に以下3点についての状況を注視し、本格的な在宅移行が可能かを判断しています。

    (1)サービスレベルの維持
    (2)音声品質
    (3)管理者オペレーション

    (1)サービスレベルでは、在宅移行後の生産性・応対品質を、在宅移行前から設定しているKPI達成状況と比較し評価しました。

    A社様の業務ではNPS調査を実施していますが、NPS調査の結果からも在宅勤務者とセンター勤務者で品質に差はなく、在宅に移行したことによる品質低下は見られませんでした。

    (2)音声品質では、インターネット環境がオペレーター個々の契約速度や回線安定性などに依存するため、接続不良により応対中に回線が途切れてしまうケースが想定されました。

    そのため事前に管理者と通話チェックを行い、音声品質に問題があると判断した場合はモバイルルーターを貸し出し音声品質の安定を図りました。また、万が一回線が途切れた場合や生活音が入った際も、在宅勤務であることを伝えることで、「しっかりした会社ですね」との評価もいただいています。

    現在も在宅起因の苦情は1件も発生しておらず、オペレーターが安心して業務を続けられたことが、生産性・品質面の向上につながりました。

    (3) オペレーター視点だけでなく管理者オペレーションの視点でも在宅移行の可否判断を行いました。

    在宅勤務では、管理者へのエスカレーションを基本はチャットで行いますが、センターで対面対応しているときに比べ質問の意図が汲み取りにくく、また回答をテキストで伝える力が必要でした。

    そのため、少人数から在宅に移行し、管理者も在宅勤務でのオペレーションに徐々に慣れていくことで本格的な在宅移行に備えました。

    A社様とトランスコスモスで上記(1)~(3)が問題ないとの判断した上で、翌週から数名を追加で在宅化へ移行していくということを繰り返し、まずはオペレーターを100%移行、次に管理者を在宅化へ移行し、在宅率100%を達成しました。

    在宅移行をスモールスタートしたことで、メンバーへの手厚いフォローの実現や、リスクを最小限に抑えることに成功しています。

    デジタルツールを活用したコミュニケーション

    在宅勤務では、顔を合わせた際に発生する雑談の機会は減り、チャットなどのテキストベースでのコミュニケーションが中心になるため、相手の顔色などの様子がわからず、どうしてもコミュニケーションが希薄になります。

    このコミュニケーションの問題には、デジタルツールを意識して活用することで対応しました。

    帰属意識を高め一体感を生むポイントになったのが、ビデオチャットの活用です。

    朝礼、面談、フィードバックは必ずビデオチャットを使ってお互いの「顔をみながら」行うことで、管理者から「伝えるだけ」ではなく、オペレーターの理解度や反応を確認することができ、センターにおける対面でのコミュニケーションと同じレベルを保てるよう工夫をしました。

    A社様の業務では、在宅移行したことで管理者だけでなくオペレーターのコミュニケーション活性化への意識改革も生まれ、オペレーター発信でのビデオチャットを使ったランチ会実施など、在宅移行前と比べてコミュニケーションの促進が図られています。

    センターと同等レベルのセキュリティ再現

    懸念されるセキュリティ対策のポイントは、労働環境を踏まえながらシステムを制御し、ルール設定をすることです。特に遠隔からのアクセスをどこまで許可するのかが問題となっていました。

    社内ネットワークでなければ必要なサポート資料やお客様情報を参照できないためです。アクセス権に関しては、在宅シミュレーションで協議を重ねて決定していきました。また、環境ルールの設計も重要なポイントです。

    A社様では、携帯電話やメモ帳などを作業現場に持ち込むことを禁止しました。
    業務パソコンにもグループポリシーを設定し、USBや光学ドライブも制御することでダウンロードができないようにしていました。

    その結果、センター勤務時と同等の就業意識を持って働ける環境の整備に成功しています。

    4-2.動画配信プラットフォーム事業者様の事例

    次にご紹介するのは、動画配信のプラットフォームを運営されているB社様の事例で、動画の審査を行う業務です。

    新型コロナウイルスの影響を受け、コンタクトセンターの在宅化を優先課題と捉え、センターでの業務開始からわずか半年ほどでしたが原則在宅勤務に体制を変更、センターは教育センターの位置づけで一部機能のみを残しています。

    もともとセンター稼働の際はオペレーターの勤怠率が90%を切っていた状況でしたが、在宅化を取り入れることによって勤怠率を98%にまで引き上げることに成功しています。

    ここでは、勤怠率が改善した取り組みも含めて、B社様が行った取り組み事例をいくつかご紹介します。

    在宅運用に適した勤怠率向上施策の策定

    B社様の業務では勤怠率が90%を切っていたことから、在宅移行と勤怠率改善を同時並行で進める必要がありました。

    そこで在宅勤務を実施するにあたり、新たに勤怠と連動させたルールを策定し、併せて評価制度にも反映させました。

    在宅運用では自己管理不足による更なる勤怠悪化も懸念されたことから、B社様業務では「勤怠不良の場合は在宅解除」することを在宅運用のルールとし、メンバーに説明を行いました。

    さらに在宅運用に関するハンドブックも作成し、その中で「勤怠不良、ルール未順守、重大なミスを犯してしまうなど指導が必要な場合には在宅勤務が解除となる」「出社指示に従わない場合は在宅業務不適切とし在宅解除とする」「在宅勤務/解除は個人要望で行えるものではなく会社都合であること」を明記しています。

    評価制度では、勤怠率の評価項目とは別に適用する「皆勤賞」を設けました。「皆勤賞」の場合は評価ポイントが加算され、時給査定にも影響するため、メンバーのモチベーションアップにつながっています。

    また、在宅勤務では個人の都合により定期会議への参加率が低くなるケースもみられます。そのため、定例会議などのイベントへ参加するごとにポイントがつくような仕組みにし、累計ポイントを評価に反映、メリハリをつけた運営を実施しています。

    稼働管理と適切なフォローをするための仕組みを導入

    B社様業務では、まず適切に業務を行えているかを把握するために、稼働管理ツールを導入し、作業が止まっていたり、休憩時間が超過していたりすると管理者が関知できるようにしました。

    さらに、リスクやトラブルを防止するために、カメラを導入した運営も実施しています。

    業務中はカメラを常にオンにすることで、ひとりきりで業務を行う「孤独感」を打ち消し、迷っている際にすぐにフォローが出来る体制を敷くことに成功しています。

    「PCの画面を見ているが、ずっと止まっている」際の迅速なフォロー、「エスカレーション以外で誰かと話をしている様子が伺える」などのトラブル防止などに効果的です。

    なお、トラブル発生時のフローや次回アクションプランも明確にルール化しており、トラブル発生を防いでいます。

    まとめ

    いかがでしたか?

    在宅コンタクトセンターについて、知りたいことがわかったかと思います。

    ではあらためて、記事の要点をまとめてみましょう。

    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの意義は、

    ・BCP対策
    ・働き方改革への対応
    ・運営コストの最適化

    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)の3つの課題は、

    セキュリティ対策
    パフォーマンスの維持・向上
    コミュニケーションの取りづらさ

    ◎在宅コンタクトセンター(コールセンター)運営を成功させる5つのポイントは、

    ・採用活動の工夫
    ・新人トレーニングの工夫
    ・コンタクトセンターサービスの活用
    ・センターと在宅のハイブリッド運用
    ・専門家によるメンタルヘルスケアの実施

    以上を踏まえて、あなたの会社がコンタクトセンターの在宅化を成功させられるよう願っています。

    トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
    ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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