「最近日常のシーンでも見かけるようになったチャットボットって、具体的にはどんなもの?」
「ビジネスでチャットボットを活用すると、どんなメリットがある?」
チャットボットとは「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、自動でリアルタイムな会話ができるプログラムのことをいいます。
ビジネスのオンライン化によってチャットボットの市場規模が拡大しているため、日常的にも目にする機会が増え、ビジネス活用のメリット等が気になっている方も多いでしょう。
チャットボットは、以下のようなシーンで活用できます。
チャットボットはうまく活用すればビジネスを進める上での強力なサポーターになってくれますが、基礎知識がないまま闇雲に導入しても、思うような成果を得られないでしょう。
なぜなら、チャットボットを導入したからといって問い合わせ対応が完全に自動化するわけではなく、効果的に運用するためには継続的にPDCAを回す必要があるからです。
この点を理解した上で活用しないと、チャットボットによる問い合わせ対応の質は上がらず、業務に役に立つどころか、顧客を待たせて満足度を低下させてしまうという事態に陥りかねないのです。
そこでこの記事では、以下について詳しく解説します。
▼チャットボットとは |
この記事を読むことで、チャットボットとは何かということがよくわかります。ビジネスとの関わりも具体的にイメージできるため、自社がチャットボットを導入すべきかどうかという判断に役立つはずです。
近年は、ChatGPTのような優秀なAIチャットボットが次々に台頭してきています。この記事で得られる知識は、チャットボット活用の波が加速する中で、自社の事業を発展させるための参考になるでしょう。
ぜひ最後までお読みください。
1.チャットボットとは
チャットボットとは「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、自動でリアルタイムな会話ができるプログラムのことをいいます。
チャットボットには、AI型とAIを搭載していないシナリオ型の2種類があります。
このうちのAI型は近年目覚ましく進化を遂げており、最近では、2022年11月にOpenAI社がリリースした「ChatGPT」が注目を集めています。
ChatGPTは、アメリカの医師資格試験問題を合格ラインまで解けるほどの頭脳をもつAIが、まるで人間のように質問に答えてくれるチャットボットです。
シナリオ型チャットボットは、想定される質問に対してあらかじめ回答を用意しておき、顧客からの問い合わせに応じて選択肢を提示し答えまで導くチャットボットです。
シナリオ型チャットボットはこの後出てくるAI型チャットボットとは違い、自分で学習するタイプのものではありません。そのためプログラムする側が想定できる様々な回答を追加しながら、作り上げていく必要があります。
どちらのチャットボットにおいても、業務フローのスリム化やスムーズな顧客対応が可能になるということから、ビジネスでの活用効果が期待されています。
チャットボットが注目される背景やチャットボットでできることについては以下の記事でも基礎知識を解説していますので、参考にしてください。
またAI型のチャットボットについて知りたいという方は、AIチャットボットに特化した以下の記事も是非チェックしてみてください。
2.チャットボットの活用シーンは問い合わせ対応・マーケティングサポートの2種類
次に、ビジネスでのチャットボット活用はどのように行われるのか、ということを確認しましょう。
チャットボットの活用シーンには以下の2種類があります。
それぞれの内容について、解説していきます。
2-1.問い合わせ対応
チャットボットの1つめの活用シーンは、社内外における問い合わせ対応です。顧客や社員からの問い合わせに対する一次対応を、チャットボットに任せることができます。
カスタマーサポート
チャットボットが行う問い合わせ対応として最も一般的なのは、カスタマーサポートです。顧客からの問い合わせをチャット上で受け付け、チャットボットが自動的に返答する方法です。
営業時間や休業日のお知らせ・返品方法のアナウンスなど、単純な内容やよくある問い合わせであればチャットボットだけで対応を完結できるため、オペレーターの負担が軽減します。
チャットボットだけで解決できない問い合わせがあっても、オペレーター対応に切り替えることによって、顧客のニーズに合わせたサポートが可能になるのです。
コンタクトセンター(コールセンター)でのチャットボット活用方法については、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひそちらをご覧ください。
社内向けサポート
チャットボットが行う問い合わせ対応は、社内向けのサポートとしても活用できます。社員からの問い合わせにチャットボットが答えられるようにしておくと、使いやすい業務マニュアルのように使用することができます。
例えば定型書類の作成方法やシステムエラーへの対応など、社内で発生しやすい疑問への回答を用意しておくと、個々の社員が自己解決できるようになるため、問い合わせ担当者の負担が減ります。
また、統一したアナウンスが可能になることで、業務の質の全体均一化にもつながるでしょう。
2-2.マーケティングサポート
チャットボットの2つめの活用シーンは、マーケティングサポートです。チャットボットにWeb上での接客を行ってもらうことができます。
コンバージョンへの誘導
チャットボットの活用によって、ユーザーをスムーズにコンバージョンへ誘導することができます。
企業や商品のページにチャットボットを設置することで、ユーザーが自分の好きなタイミングで気軽にアクセスし、会話の流れの中で自然にコンバージョンへ誘導できます。
例えば、商品ページに「チャットで相談する」というアイコンを設置し、質問や要望を入力してもらいます。それに対する回答内容の一種として、資料請求やアカウント登録などのコンバージョンを提示するのです。
ユーザーにとっては、疑問を解消した流れで抵抗なくコンバージョンに進むことができるほか、会話の中でユーザー情報を登録できれば、わざわざフォームに入力するよりも負担感が少なくて済みます。
商品のレコメンド
チャットボットの活用によって、ユーザーに商品のレコメンドをすることも可能です。
「何をお探しですか?」という問い掛けに対するユーザーからの返答をもとに、ニーズに合いそうな商品を推測して提案することができます。
AIを搭載し顧客データと連携させられるチャットボットであれば、顧客の属性や過去の購買データをもとに会話したり、関連性の高い商品をレコメンドしたりすることまでできるのです。
このように、チャットボットは問い合わせ対応だけでなく、マーケティングサポートにおいても活用することができます。
3.チャットボットを導入する4つのメリット
チャットボットがビジネスに役立つツールだとわかったところで、実際に導入するとどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。
チャットボットを導入すると、以下のようなメリットが得られます。
それぞれの内容について、解説していきます。
3-1.業務を効率化できる
チャットボットの大きなメリットとして、業務を効率化できることが挙げられます。
チャットボットを導入することで、顧客や社員からの問い合わせへの対応の一部を自動化することができるからです。有人対応が必要になる場面もありますが、チャットボットの担当が主となる分、全ての問い合わせに一から対応するといった負担は軽減します。
これによって、問い合わせ対応に割かれていた人員や工数を削減することができ、問い合わせ対応業務自体が効率化するほか、削減分を他の業務に充てられるようになるため、全体的な業務の効率化にもつながるというわけです。
3-2.顧客満足度の向上につながる
チャットボットの導入は、以下のような理由によって顧客満足度の向上にもつながります。
・24時間365日いつでも気軽に問い合わせできる |
特にLINEなどテキストでのコミュニケーションに慣れている世代のユーザーにとっては、自分にとってやりやすい方法でいつでも問い合わせができるということで、ストレスフリーな問い合わせの手段としてチャットボットが好まれるでしょう。
3-3.集客・収益率を上げることができる
チャットボットを導入すると集客・収益率を上げられるというメリットもあります。
なぜならチャットボットは、ユーザーとの接点を増やして、マーケティングのサポートを行ってくれるからです。
チャットボットにいつでも気軽に質問できるということは、問い合わせのハードルを下げることにつながります。電話やメールをしたり、ページをあちこちチェックしたりするほどのモチベーションがないユーザーも取り込むことが可能になります。
また「2-2.マーケティングサポート」で解説したように、チャットボットはWeb上で接客をし、ユーザーにとって自然な流れでコンバージョンへ誘導することができます。
このようにチャットボットは、より多くのユーザーを集客し、収益につなげていくのです。
3-4.ユーザーニーズを反映するデータを集められる
チャットボットを導入すると、ユーザーニーズを反映するデータを集めることもできます。チャットボットでは、ユーザーからの質問とチャットボットによる回答のログデータを取得できるからです。
具体的には、以下のようなデータが得られます。
・問い合わせ対応件数 |
これらのデータから、顧客からのよくある問い合わせやトレンドを把握したり、チャットボットの対応品質を評価したりすることが可能になります。
つまり、チャットボットのメンテナンスや商品・問い合わせ対応の質向上に役立つ情報が得られるのです。
コンタクトセンター(コールセンター)におけるチャットボットのメリットについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
4.チャットボットを導入するデメリット
チャットボットには多くのメリットがある一方でデメリットも存在するため、導入を検討するにあたって事前に把握しておきましょう。
チャットボットのデメリットには、以下のようなものがあります。
それぞれの内容について、解説していきます。
4-1.導入には一定の時間とコストがかかる
チャットボットの導入には、一定の時間とコストがかかります。
チャットボットを運用するためには、問い合わせに対する回答の準備が欠かせないからです。
チャットボットに寄せられる質問を予測し、適切な回答をシナリオ化したり、AI型であれば学習に使用するデータを作成したりしなければなりません。
この準備に時間がかかるほか、ノウハウがないと一からチャットボットを構築することは難しいため、専門業者に依頼する費用も必要になってきます。
4-2.全てを自動化できるわけではない
チャットボットを導入しても全てが自動化できるわけではないという点も、おさえておきましょう。
チャットボットはあくまでもプログラムであり、想定を超えた複雑な質問や人間の感情に答えることはできないからです。
チャットボットにすべての問い合わせ対応を任せてしまうと、疑問を解決できないユーザーが発生し、集客率や顧客満足度の低下につながるでしょう。
そのため、必要なときにはスムーズに有人対応に切り替えられる設計が欠かせません。
4-3.継続的なメンテナンスが必要
チャットボットは導入して終わりではなく、継続的なメンテナンスが必要です。
回答の精度向上を図るためには、定期的にチャットの履歴を確認し、回答できていない質問やユーザー評価の低いやりとりを分析するというPDCAサイクルを回すことが欠かせないからです。
問い合わせ対応の精度が低いまま使い続けると、結局全てが有人対応という事態になりかねず、業務の効率化や顧客満足度の向上といったメリットは得られません。
チャットボットを効果的に運用するためには、ユーザーの反応に応じてブラッシュアップしていくことが大切なのです。
このようなチャットボットのよくある失敗を知っておくと、自社にとって最適な導入方法や運用の仕方をイメージしやすくなるでしょう。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
5.チャットボットの成功事例
ここで、チャットボットの効果をより具体的にイメージできるように、成功事例をご紹介します。
5-1.コンタクトセンター(コールセンター)における呼量削減|シャトレーゼ様
食品メーカーのシャトレーゼ様は、チャットボットの導入によってコンタクトセンター(コールセンター)への問い合わせを26.6%減少させることに成功しました。
事業 | 菓子やパンの製造販売業 |
課題 | ・メディアの露出増加やアプリ利用促進によりお客様相談室の入電数が増加した |
施策 | ・「チャネル最適化診断」によってアプリ関連の問い合わせが4割ほどを占めていることを把握 |
成果 | アプリ関連のコール問い合わせが41.3%から14.7%に減少 |
クリスマスのコール繁忙時期においてチャットボットの利用者も増加し、自己解決率が上がったため、アプリ関連のコール問い合わせがチャットボット導入前の41.3%(2022年6月)から導入後は14.7%(2022年12月)に減少したのです。
現状を明らかにした上で、適切な場所にチャットボットを導入することの効果性がよくわかる成功事例です。
5-2.チューニングによって自己解決率・回答不能率を改善|アース製薬様
日用品メーカーのアース製薬様は、チャットボットのチューニングによって顧客による自己解決率と、チャットボットによる回答不能率を以下のように改善しました。
・自己解決率:57.0%→71.7% |
事業 | 医薬品・家庭用品などの製造販売ならびに輸出入事業 |
課題 | ガーデニング用品を取り扱う性質上、多種多様な植物の問合せが寄せられており、全ての植物をチャットボットで拾い切れないことから、「自己解決率」と「回答不能率」が停滞 |
施策 | ・ユーザーが入力した質問内容をモニターし、未登録の植物を日々チャットボットへチューニング(学習) |
成果 | ・自己解決率:57.0%→71.7% |
チャットボットの改善後、6ヶ月で自己解決率向上と回答不能率低減の成果を上げるに至っています。
継続的なブラッシュアップがチャットボットの有効活用につながるということがよくわかる成功事例です。
このようなチャットボットの成功事例をもっと知ってから導入を検討したい方は、以下をご覧ください。
6.チャットボット導入の手順
チャットボットの導入を前向きに検討したいという方へ向けて、一連の流れをご紹介しておきます。
チャットボットの導入は、以下のような手順で進めます。
【チャットボットの導入の手順】
導入目的を明確化する | 導入することで何を達成したいのかを明確にする |
設置場所を決める | 商品ページやアプリなど最も効果的と思われる場所を決める |
ツールの比較・選定をする | 以下の視点で自社に最適なものを検討する |
シナリオを設計する | 予測される質問とそれに対する回答を準備する |
運用体制を整える | 担当する人員やルールを定める |
テストを経て導入する | 動作確認をして問題がなければ公開する |
「4-1.導入には一定の時間とコストがかかる」で解説したように、チャットボットの導入にはある程度の時間がかかります。
ツールを決めてから運用開始までに、1~3ヶ月は確保しておいた方がよいでしょう。
事前にしっかりとスケジュールを組んだ上で、各手順を進めていくことをおすすめします。
7.チャットボットの活用を成功させるためのポイント
最後に、チャットボットの活用を成功させるためのポイントを確認しておきましょう。
チャットボットの活用を成功させるためのポイントは、以下の3つです。
①導入の目的と目標を明確化する |
チャットボットの導入にあたっては、①目的と目標を明確にすることが大切です。
目的がツールや運用方法を決めるガイドとなり、目標が成果の判定指標になるからです。
運用にあたっては、②チャットボットによる対応範囲に線引きをして、必要なときにはすぐに他の対応法に切り替えられるようにしておき、ユーザーにストレスを与えないようにしましょう。
また繰り返しお伝えしてきたように、③成果の確認とブラッシュアップも欠かせません。
これらのポイントをおさえて、チャットボットを有効活用できる可能性が特に高いのは、コンタクトセンター(コールセンター)です。
どのようなコンタクトセンターにおすすめかということについて、以下の記事を見ておくと参考になるでしょう。
8.コンタクトセンター(コールセンター)のチャットボットなら「DEC Support」
コンタクトセンター(コールセンター)でのチャットボット導入に関心がある方は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。
コンタクトセンターの専門家であるトランスコスモスが開発した「DEC Support」が、あなたのセンターの課題を解決します。
8-1.DEC Supportはユーザーニーズの理解と、マーケティングデータ取得が可能なチャットサポートソリューション
DEC Supportは、優良顧客と直接接点をもち、囲い込み、会話を通してユーザーのニーズを理解することに加えて、マーケティングデータを取得することも可能なチャットサポートソリューションです。
ユーザーニーズの理解とデータ分析によって、顧客ニーズに応じたチャットボットの活用が可能になり、狙った効果を最大限に引き出すことができます。
8-2.複数チャネルに対応・チャットボットの仕組みは自由に選択
DEC Supportは、LINE・WEBチャット・Facebook Messengerなど複数のチャネルに対応しています。
また、チャットボットの仕組みもシナリオ型・FAQ型・NLP(自然言語)から自由に選択できます。
自社のセンターが抱える課題や期待する成果に応じて、最適な活用方法をご提案できます。
8-3.PDCAを回すために必要な情報を集約・可視化
DEC Supportでは、Googleの各種サービスと連携し、PDCAを回すために必要な情報を集約・可視化できます。
さらに、データ同士のつながりを捉える先進的な分析を行うことで、チャットボット運営上の急所を特定し、速やかな改善策の実施につなげます。
チャットボットの活用において非常に需要な「現状分析とブラッシュアップ」を手厚くサポートするツールになっています。
まとめ
この記事では、チャットボットについての基本的な内容を網羅的に解説しました。以下に要点をまとめます。
チャットボットとは「チャット」と「ボット」を組み合わせた言葉で、自動でリアルタイムな会話ができるプログラムのことを指します。
チャットボットの活用シーンは以下の2種類があります。
・問い合わせ対応(カスタマーサポート・社内向けサポート) |
チャットボットを導入すると、以下のようなメリットを得られます。
・業務を効率化できる |
一方、チャットボットのデメリットには以下のようなものがあります。
・導入には一定の時間とコストがかかる |
チャットボットは、うまく活用すればあなたのビジネスを大いにサポートしてくれます。
ぜひこの記事で得られた基礎知識を活かして、導入すべきかどうか検討してみてください。