「コンタクトセンターの評価項目が知りたい!どのような項目で評価するべき?」
「コンタクトセンターの評価はどのように行うの?具体的な評価方法が知りたい」
コンタクトセンター(コールセンター)を最適化するために欠かせないコンタクトセンターの評価ですが、どのように実施すればいいのか迷っている方も多いのではないでしょうか?
コンタクトセンターの評価は、一般的には下記の3つの基準に沿って実施します。
コンタクトセンターを評価するときの3つの指標 | |
---|---|
パフォーマンス | 適切な稼働率を保ち効率よくコンタクトセンター運営ができている |
クオリティ | コンタクトセンターの品質を維持できている |
プロフィット | コンタクトセンターが目標とする収益を生み出せている |
それぞれの指標にはコンタクトセンターに応じたKPIを設定し、一定の基準を設けて評価を行います。このときに、稼働率や放棄呼率、占有率などコンタクトセンターならではの評価盲目を理解して、適切に設定することが欠かせません。
そこでこの記事では、コンタクトセンターの評価項目20個と具体的な評価方法をご紹介します。
特に評価項目は算出方法や定義などを詳しくまとめているので、すぐに評価に活用できます。
【この記事を読むと分かること】 ・コンタクトセンターの評価基準一覧 |
この記事を最後まで読めばコールセンターで評価する方法が理解でき、適切な方法で評価を実施できるようになります。コンタクトセンター運営を最適化するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.コンタクトセンター(コールセンター)の評価基準一覧
コンタクトセンター(コールセンター)の評価とは、センター全体の運営状況やオペレーター個人の能力、成果を評価することです。
定期的にコールセンターの評価をすると可視化できていない課題や強みを見つけることができ、コンタクトセンター運営を最適化できます。
コンタクトセンターは、下記の3つの指標で確認をします。
コンタクトセンターを評価するときの3つの指標 | |
---|---|
パフォーマンス | 適切な稼働率を保ち効率よくコンタクトセンター運営ができている |
クオリティ | コンタクトセンターの品質を維持できている |
プロフィット | コンタクトセンターが目標とする収益を生み出せている |
パフォーマンスは、効率よくコンタクトセンター運営ができているか確認する項目です。
例えば、顧客の待機時間が短く、適切な通話時間で運営できている状況を指します。
クオリティは、コンタクトセンターの品質を確認する項目です。
品質が保てるとトラブルやクレームを避けて、顧客満足度の高い状態を維持できます。
プロフィットは、コンタクトセンターの収益性を指します。アウトバウンドのコンタクトセンターやインバウンドでも商品やサービスの注文を受け付けるコンタクトセンターは、収益を創出することが大切です。収益を生み出し企業に貢献できているか確認するために、必要な項目となります。
3つの視点にはそれぞれ評価項目があり、一覧にまとめると下記のようになります。
▼コンタクトセンターの評価基準
パフォーマンス(効率)の評価項目 | |
---|---|
応答率 | 着信呼数に対してオペレーターが対応できた割合 |
放棄呼率 | オペレーターに繋がる前に顧客により切断されたコールの割合 |
稼働率 | オペレーターの稼働時間のうち顧客対応を行った時間の割合 |
占有率 | 生産時間のうち実際に顧客との対話や対応にあてられる時間の割合 |
CPH | オペレーター1人あたりの1時間の処理件数 |
ASA | 顧客が電話をかけてからオペレーターが電話に出るまでの平均時間 |
サービスレベル | 設定した時間内で応答したコール数の割合 |
ATT | 1コールあたりの平均通話時間 |
AWT | 1コールあたりの平均保留時間 |
ACW | 通話が終わったあとの後処理1件あたりにかかる平均時間 |
AHT | 顧客との通話開始から後処理終了までに要した平均時間 |
クオリティ(品質)の評価項目 | |
一次解決率 | 顧客の問い合わせに対して1度の問い合わせで問題解決ができた割合 |
ミス発生率 | 業務上で発生したミスの割合 |
CS | コンタクトセンターが提供するサービスに対する満足度 |
プロフィット(収益性)の評価項目 | |
売上/利益貢献 | コンタクトセンターやオペレーターが利益創出に貢献している割合 |
NPS | 自社の商品やサービスに好意的な感情を抱いている顧客の割合 |
CES | コンタクトセンターが提供するサービスにストレスや負担を感じている顧客の割合 |
その他の評価項目 | |
勤怠状況 | オペレーターの勤怠状況 |
コミュニケーション力 | オペレーターのコミュニケーション能力 |
業務知識 | オペレーターの業務に関する知識 |
次の章からは3つの指標の項目を1つずつ解説していくので、コンタクトセンターの評価に役立ててください。
2.指標①パフォーマンス(効率)の評価項目
まずは、コンタクトセンター(コールセンター)やオペレーターのパフォーマンスを評価する項目をご紹介します。
パフォーマンス(効率)の評価項目 | ||
---|---|---|
項目 | 概要 | 算出方法 |
応答率 | 着信呼数に対してオペレーターが対応できた割合 | 応答数÷入電数×100 |
放棄呼率 | オペレーターに繋がる前に顧客により切断されたコールの割合 | 放棄呼数÷入電数×100 |
稼働率 | オペレーターの稼働時間のうち顧客対応を行った時間の割合 | (通話時間+ 後処理時間 +保留時間+ 受付可能時間)÷(顧客対応を行った時間 ) ×100 |
占有率 | 生産時間のうち実際に顧客との対話や対応にあてられる時間の割合 | (通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+受付可能時間)×100 |
CPH | オペレーター1人あたりの1時間の処理件数 | 総処理件数÷総稼働時間 |
ASA | 顧客が電話をかけてからオペレーターが電話に出るまでの平均時間 | オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計÷総着信数 |
サービスレベル | 設定した時間内で応答したコール数の割合 | 設定時間内に応答したコール数÷総着信数×100 |
ATT | 1コールあたりの平均通話時間 | 総通話時間 ÷ 総応答件数 |
AWT | 1コールあたりの平均保留時間 | 総保留時間 ÷ 総応答件数 |
ACW | 通話が終わったあとの後処理1件あたりにかかる平均時間 | 総後処理時間÷総応答件数 |
AHT | 顧客との通話開始から後処理終了までに要した平均時間 | (総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答件数 |
一定のパフォーマンスが保てないと、コンタクトセンターの力が最大限に発揮できません。
どのような指標で評価すればいいのか参考にしてみてください。
2-1.応答率・放棄呼率
コンタクトセンター(コールセンター)の応対が円滑にできているかを評価する項目に、応答率・放棄呼率があります。
応答率 | |
概要 | 着信呼数に対してオペレーターが対応できた割合 |
算出方法 | 応答数÷入電数×100 |
放棄呼率 | |
概要 | オペレーターに繋がる前に顧客により切断されたコールの割合 |
算出方法 | 放棄呼数÷入電数×100 |
応答率は、着信呼数に対してオペレーターが対応できた割合のことです。
放棄呼率は、オペレーターに繋がる前に顧客により切断されたコールの割合を指します。
応答率が高く放棄呼率が低いほど、評価は高くなります。
応答率や放棄呼率の改善は原因を適切に理解し、対応することが大切です。
例えば、オペレーターの過不足が原因の場合は、オペレーターの適切な配置を見直すといいでしょう。
パフォーマンスとクオリティのバランスを考慮して、総合的に応答率を上げる対策を取ることが重要です。
放棄呼については下記の記事で詳しく解説していますので、参考にしてみてください。
2-2.稼働率・占有率
稼働率や占有率は、効率よく顧客対応ができているか測定するための指標です。
稼働率 | |
概要 | オペレーターの稼働時間のうち顧客対応を行った時間の割合 |
算出方法 | (通話時間+ 後処理時間 +保留時間+ 受付可能時間)÷(給与時間 ) ×100 |
占有率 | |
概要 | 生産時間のうち実際に顧客との対話や対応にあてられる時間の割合 |
算出方法 | (通話時間+保留時間+後処理時間)÷(通話時間+保留時間+後処理時間+受付可能時間)×100 |
稼働率や占有率が高いとオペレーターが業務に追われている状態となり、研修機会の損失や離職率の増加、応対品質の低下を招きます。
逆に稼働率や占有率が低いと無駄なコストをかけている可能性があり、適正な値を維持することが大切です。
コンタクトセンターの国際的品質保証規格(COPC CX規格)では、ハイパフォーマンスベンチマークとして稼働率86%が定義されています。
ただし、稼働率に関してはセンター特性(研修を毎月20%程度は必要になる)等によっても異なるのであくまで目安とされており、一般的には80~85%で設定されています。
稼働率・占有率について、詳しく知りたい方はこちらの記事も併せてご確認ください。
2-3.CPH(平均処理件数)
オペレーターの生産性を評価する指標に、CPHがあります。
CPHとは「Call Per Hour」を略したもので、オペレーター1人あたりの1時間の処理件数のことです。
CPH(平均処理件数) | |
概要 | オペレーター1人あたりの1時間の処理件数 |
算出方法 | 総処理件数÷総稼働時間 |
CPHは業務内容によって大きく異なるため、適正数値や基準値を定めることはできません。
複雑な対応が必要なセンターではCPHは低くなり、単純な対応が多いセンターであれば高くなるからです。
そのため、同じコンタクトセンターで同じ業務を担当するオペレーターの間での平均値を出し、それに対して高いか低いかで評価します。
2-4.ASA(平均応答速度)・サービスレベル(設定時間内応答率)
電話のつながりやすさを評価する指標には「ASA」と「サービスレベル」があります。
ASA(平均応答速度) | |
概要 | 顧客が電話をかけてからオペレーターが電話に出るまでの平均時間 |
算出方法 | オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計÷総着信数 |
サービスレベル | |
概要 | 設定した時間内で応答したコール数の割合 |
算出方法 | 設定時間内に応答したコール数÷総着信数×100 |
良く使われる一般的な基準値は以下の通りです。
◎ASA:30秒以内 |
これはあくまでも基準で業務内容やコンタクトセンター(コールセンター)の規模によって左右されます。
ASAが長い、またはサービスレベルが低いときは、顧客の待機時間が長くストレスや不安を与えている可能性があります。
1件の対応が終わったらなるべく早く次の電話に出られるように後処理を簡潔にする、人員配置を工夫するなどの対策を講じてください。
2-5.ATT(平均通話時間)・AWT(平均保留時間)・ACW(平均後処理時間)・AHT(平均処理時間)
最後は応対にかかる時間の評価です。オペレーター個人を評価する際は、この数値が最も使われます。
ATT(平均通話時間) | |
概要 | 1コールあたりの平均通話時間 |
算出方法 | 総通話時間 ÷ 総応答件数 |
AWT(平均保留時間) | |
概要 | 1コールあたりの平均保留時間 |
算出方法 | 総保留時間 ÷ 総応答件数 |
ACW(平均後処理時間) | |
概要 | 通話が終わったあとの後処理(対応履歴の記入等)1件あたりにかかる平均時間 |
算出方法 | 総後処理時間÷総応答件数 |
AHT(平均処理時間) | |
概要 | 顧客との通話開始から後処理終了までに要した平均時間 |
算出方法 | (総通話時間+総後処理時間+総保留時間)÷総応答件数 |
通話時間や後処理時間は業務の種類や内容によって大きく異なるためで、明確な基準値はありません。
同じコンタクトセンター(コールセンター)の同じ業務を担当しているオペレーターの中で平均値を出して、それより長すぎる、または短すぎるオペレーターがいれば、その対応をモニタリングする必要があります。
その際に平均処理時間だけでなく、平均通話時間、平均保留時間、平均後処理時間をそれぞれ比較することが重要です。
通話時間や保留時間が平均と比較して長ければ、知識不足の可能性を疑い、後処理時間が平均と比較して長ければ、操作スキルや処理ルールの浸透度合いを疑い、改善アプローチをとるのがよいでしょう。
比較して短い場合は、クオリティとのバランスを考えて評価、指導しましょう。
3.評価②クオリティ(品質)の評価項目
続いて、クオリティを評価する項目をご紹介します。
クオリティ(品質)の評価項目 | ||
---|---|---|
項目 | 概要 | 算出方法 |
一次解決率 | 顧客の問い合わせに対して1度の問い合わせで問題解決ができた割合 | 1度の通話で問題解決できた件数÷全対応数×100 |
ミス発生率 | 業務上で発生したミスの割合 | ミスの発生件数÷応答数×100 |
CS | コンタクトセンターが提供するサービスに対する満足度 | 顧客アンケートを実施 |
コンタクトセンター(コールセンター)のクオリティが低いと、トラブルや顧客満足度の低下を招きます。
一定のクオリティを維持するためにも、ぜひチェックしてみましょう。
3-1.一次解決率
一次解決率は顧客からの連絡に対して、最初に応対したオペレーターが1回の通話で回答が完結できた割合のことです。
一次解決率 | |
概要 | 顧客の問い合わせに対して1度の問い合わせで問題解決ができた割合 |
算出方法 | 1度の通話で問題解決できた件数÷全対応数×100 |
顧客との通話中に問題解決できずにコールバックをする、リーダーやSVに二次対応してもらうなどはよくあるケースです。そうなると非効率的であり顧客自身も「すぐに問題が解決されなかった」というストレスを感じて満足度が下がります。
一方で一次解決ができれば、効率の面でも顧客満足の面でも最良です。
一次解決率が低い場合は、以下のような施策が必要になるでしょう。
・マニュアルやトークスクリプトを充実させ、一次対応のオペレーターがなるべく多種多様な問題を解決できるように準備する |
3-2.ミス発生率
ミス発生率とは、コンタクトセンター(コールセンター)の業務上で発生したミスの割合のことです。
ミス発生率 | |
---|---|
概要 | 業務上で発生したミスの割合 |
算出方法 | ミスの発生件数÷応答数×100 |
ミスには主に3つのタイプがあります。
1.顧客視点での重大なミス(間違った情報を伝えてコールバックが必要になる) |
ミスのタイプにより対策が異なりますが、以下のような対策を検討してみましょう。
・面談をして、ミス原因を探る |
3-3.CS(顧客満足度)
顧客満足度とは、コンタクトセンター(コールセンター)が提供するサービスに顧客がどの程度満足しているか数値化した指標です。
顧客満足度を測定する方法は一般的には顧客にアンケートやヒアリングなどを実施してその結果を統計データ化、分析する手法がとられています。
例えば電話応対の場合は応対後にSMSで、以下のような項目のアンケートを実施します。
・電話の繋がりやすさ |
質問には5段階評価(「満足」「やや満足」「普通」「やや不満」「不満」)や10段階などのレベル分けで回答してもらいます。オペレーターごとに満足度の低い項目があれば、指導・改善が必要です。
顧客満足度の測定は下記の記事で詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
4.評価③プロフィット(収益性)の評価項目
続いて、プロフィットを評価する項目をご紹介します。
プロフィット(収益性)の評価項目 | ||
項目 | 概要 | 算出方法 |
売上/利益貢献 | コンタクトセンターやオペレーターが利益創出に貢献している割合 | 売上や目標の達成度合い |
NPS | 自社の商品やサービスに好意的な感情を抱いている顧客の割合 | 顧客アンケートを実施 |
CES | コンタクトセンターが提供するサービスにストレスや負担を感じている顧客の割合 | 顧客アンケートを実施 |
アウトバウンドのコンタクトセンター(コールセンター)では利益創出が重要となるケースがあります。
コールセンターの収益性を高めるにはどのような評価が必要なのか参考にしてみてください。
4-1.売上・利益貢献
プロフィットを判断する要素には、直接的な売上や利益を目標にするケースがあります。
特に製品やサービスの受注を目的としたインバウンド型のコンタクトセンター(コールセンター)や、営業系のアウトバウンド型コンタクトセンターでは重要な指標になります。
例えば、1個5,000円の商品を1,000個コンタクトセンターで受注した場合は500万円の売上になります。
コンタクトセンターの運営費用が500万以下の場合は、売上に貢献していると言えます。
運営費用が500万以上の場合は売上に貢献できているものの、利益貢献はできていないと考えることがあります。
受注を目的としたインバウンド型のコンタクトセンターでは、顧客をコンタクトセンターに流入させるための広告費等も費用に計上することもあるため経営企画部門が評価するケースもありますが、企業によって評価方法は異なります。
カスタマーサポート系のインバウンド型コンタクトセンターでは製品やサービスを積極的に販売することが目的ではないので、上記のような評価をするのは難しい場合があります。
問題解決を図りながら、アップセルやクロスセルを実施した際の売上貢献額のみを参考程度に把握する目的で使われています。
4-2.NPS(顧客推奨度)
NPS(顧客推奨度、Net Promoter Score)とは、顧客ロイヤルティを数値化するための指標です。
顧客が他者に製品やサービスを推奨するかどうかを0~10の11段階で評価し、好意的に評価する顧客の割合(推奨者、11段階評価中9,10を選択する顧客)と否定的に評価する顧客の割合(批判者、11段階評価中0~6を選択する顧客)の差で推奨度を判定します。
顧客満足度と顧客から情報を取得する点では同じですが、製品やサービスの満足度(コンタクトセンターの応対に満足したかどうか)を評価する指標です。
NPSは包括的な製品やサービスの推奨度(コンタクトセンターの応対も含めて、他者に推奨したいかどうか)を評価する指標です。
顧客が製品やサービスを購入して推奨者になるまでには、関係性構築が必要になります。
そのため、顧客接点を担うコンタクトセンター(コールセンター)の対応が重要になってきており、コンタクトセンター利用後にNPS調査をするケースが増えてきています。
4-3.CES(顧客努力指標)
CES(顧客努力指標、Customer Effort Score)とは、顧客がコンタクトセンター(コールセンター)を利用したときの負担やストレスをスコア化したものです。
「サービスを利用するときにどの程度負担がありましたか?」
「抱えていた課題を解決するお手伝いができましたか?」
など顧客の負担感を聞き出す質問をして、6~7段階で評価してもらいます。
NPSと同様に好意的な意見の割合から批判的な意見の割合を引くことで、スコアを算出できます。
顧客の問題解決までに努力が必要になると顧客がストレスや負担を感じるため、顧客満足度の低下や売上の減少につながります。
CESはできるだけ低く保てるように、オペレーターの応対品質を維持することが大切です。
NPS調査やCES調査に興味がある方は、以下よりお問い合わせください。
状況ヒアリングの上、サービスをご紹介させていただきます。
5.その他の評価項目
最後に、他の評価基準と併せてチェックしたい、3つの項目をご紹介します。
その他の評価項目 | |
勤怠状況 | オペレーターの勤怠状況 |
コミュニケーション力 | オペレーターのコミュニケーション能力 |
業務知識 | オペレーターの業務に関する知識 |
オペレーターのスキルや勤怠状況はコンタクトセンター(コールセンター)運営に欠かせないポイントなので、参考にしてみてください。
5-1.勤怠状況
勤怠状況とは、オペレーターが無理なく適正に勤務できているか確認する指標です。
・シフトに従い遅刻や欠勤なく勤務できている |
など、オペレーターの勤務に関する指標をチェックします。
コンタクトセンター(コールセンター)の稼働率が高い場合は、残業時間が増えてしまいオペレーターに無理をさせている可能性があります。
また、欠勤や遅刻が目立つオペレーターは何らかの不安や悩みを抱えているかもしれません。
応対品質の低下や離職につながることも考えられるので、面談やミーティングを実施して問題を解決することが大切です。
5-2.コミュニケーション力
コンタクトセンターのオペレーターというと、外部からみれば「コミュニケーション能力が高くなければできない仕事」だと思われがちです。
これについては、かならずしもその通りとは言い切れず、「日常生活ではコミュニケーションはあまり得意ではないが、仕事での顧客対応は問題なくできる」という人もいるでしょう。
とはいえ、やはりコミュニケーション力が高ければ業務においてプラスに働くこともありますので、できれば評価に加えたいところです。
が、この能力は数値化しづらく、客観的に評価するのは難しいと言えます。
そこで、以下のようなポイントを点数化して評価するといいでしょう。
・言葉遣いや話し方、話すスピードなどは好印象か |
モニタリングスコアとあわせて、チェック項目をリスト化して、公平な評価を心掛けてください。
5-3.業務知識
オペレーターによって差が出る評価ポイントとしては、業務に関する知識量の多寡も重要でしょう。
顧客から同じ問い合わせを受けたとしても、業務知識が豊富な人と未熟な人では、応対にかかる時間、一次対応で解決できる率の高さ、回答の正確さ、応対後の顧客の満足度など、さまざまな面で差が生じます。
日ごろから努力や勉強を重ねて知識を蓄積している人は、正しく評価されるべきです。
これについては、定期的にテストを行うなどの方法で評価している企業もあります。
スキルチェックもかねて、実施してみてもいいでしょう。
6.コンタクトセンター(コールセンター)で評価する方法
ここでは、コンタクトセンター(コールセンター)を評価する方法をご紹介します。
1つの方法に限定するのではなく、目的に応じて併用することが大切です。
どのような方法があるのか、確認してみてください。
6-1.調査方法
調査はどのようにすればいいのでしょうか?
その方法は、以下の5つです。
コンタクトセンターを評価する方法 | |
社内で担当者が評価する | コンタクトセンター内で担当者がチェックシートを作成して評価する |
データ分析 | CRMシステムやPBXのデータを使い分析する |
モニタリング | オペレーターの応対を確認し評価する |
ミステリーコール | 担当者が顧客を装い電話をしてオペレーターのパフォーマンスを評価する |
顧客からの評価 | 顧客にアンケートを実施して客観的な評価を得る |
社内で担当者が評価する
コンタクトセンター(コールセンター)の評価は、外注しないでセンター内で行うことができます。
今回ご紹介した評価項目から、コンタクトセンターに必要なKPI(重要業績評価指標)を抽出します。
KPIにはそれぞれ目標値を定め、達成できるように業務に取り組みます。
そして、KPIに沿ってコンタクトセンターやオペレーターを評価し、目標との差を把握して今後の課題を分析します。
社内で担当者が評価をするメリットは、自社に合う指標で評価ができる点です。コンタクトセンターの成長に応じてKPIを設定し、必要な評価を実施することが可能です。
一方で、管理者や上司など社内の担当者が評価を行うため、業務が増える点がデメリットだと言えるでしょう。
一例として、下記は業務知識に関するチェックシートとなります。
オペレーター個人の業務知識を評価し、平均点と比較することで課題を抽出できるシートです。
項目 | 評価概要 | 5段階評価 | 平均点 |
挨拶 | 電話を受けたときの挨拶が適切にできる | ||
待機させる前後にクッション言葉を使いあいさつができる | |||
電話を切る前に印象のいい挨拶ができる | |||
基礎知識 | 扱っている商品を理解している | ||
疑問があったときに適切なエスカレーションができる | |||
同じ質問で悩まないよう知識を習得している | |||
顧客からの質問を適切に理解できる |
このように、コンタクトセンターの課題や評価したいKPIに応じてチェックシートを作成してみるといいでしょう。
データ分析
コンタクトセンター(コールセンター)ではPBXの受発信管理データを取得する、CTS/CRMシステムで顧客対応の履歴を記録しているところが多いです。
これらを基に、コンタクトセンターやオペレーターごとのデータを抽出することが可能です。
データを分析して、主にパフォーマンスやプロフィットを評価できるでしょう。
モニタリング
音声録音ツールを用いて、顧客とのやりとりの内容を記録します。
電話であれば通話内容を自動的に録音、メールやSMSなどはテキストデータが保存されます。
その内容をチェックすることで、応対品質を評価することが可能です。
これをモニタリングと呼び、つけた点数をモニタリングスコアと呼んでいます。
モニタリングは主にSVやLD、QAなどが行い、以下のような項目をチェックします。
・言葉遣い |
定期的にモニタリングを行い、フォードバックを実施することでオペレーターの成長を促します。
評価については、公平になるように客観的で公平な評価を心がけましょう。
予めモニタリングシート(チェック表)を作成して、評価基準を配布するといいでしょう。
ミステリーコール
コンタクトセンター(コールセンター)によっては、「ミステリーコール」という調査方法を活用しているところもあります。
ミステリーコールはSVなど評価を担当する管理者や外部の企業を活用し、顧客を装って電話をし、オペレーターのパフォーマンスとクオリティを評価する「覆面調査」です。
ミステリーコールを外部委託して調査しているケースもあります。
モニタリングとの違いは、
・顧客視点から評価することができる |
という点で、よりきめ細かい評価ができるでしょう。
また、同じ内容のコールを他社のコンタクトセンターに入れれば、自社のオペレーターが同業の間でどの程度のレベルなのかを知ることもできるため、客観的で俯瞰的な評価にもつながります。
なお、客観的な評価指標としてHDI-Japanが行っている「HDI格付けベンチマーク」がありますので、参考にしみてください。
顧客からの評価
コンタクトセンター(コールセンター)に問い合わせをしてきた顧客からフォードバックをもらい、クオリティやプロフィットを評価してもらいます。
利用後にアンケートを投げかけて取得するのが一般的です。
これらを収集し改善していくことで、コンタクトセンター全体の評価が向上します。
6-2.評価の頻度
コンタクトセンター(コールセンター)の評価には、さまざまな手法があることがわかりました。
では、実際に評価を行う際には、どれくらいの頻度が望ましいでしょうか?
これは、コンタクトセンターの業務や目標指標により異なります。
例えば、毎月評価をしているケースもありますが、モニタリングやミステリーコールなどは3か月に1回の頻度など複数の評価方法を使い分けていることもあります。
商品やサービスの入れ替えが多いコンタクトセンターやオペレーターの入れ替えが頻繁にあるコンタクトセンターなど、自センターの特性に合わせて、決めるのがよいでしょう。
7.コンタクトセンター(コールセンター)の評価制度を作る際の注意点
最後に、コンタクトセンター(コールセンター)の評価制度を作るときの注意点をご紹介します。
コンタクトセンターの評価制度を作るときの注意点 |
---|
①業種、業務内容に合わせた評価基準を定める |
自社のコンタクトセンターに合う評価基準を設けるために知っておきたいポイントなので、確認しておきましょう。
7-1.業種、業務内容に合わせた評価基準を定める
コンタクトセンター(コールセンター)はその業種や業態によって、業務内容は千差万別です。
インバウンドかアウトバウンドか、問い合わせ対応か申し込み受け付けかによって、平均通話時間は大きく変わりますし、一次解決率も異なるでしょう。
そのため、全てのセンターに適用できる同一の評価基準というものはありません。
この記事では便宜上評価項目ごとの基準値を提示しましたが、それらもあくまで一例です。
これに縛られず、あなたのセンターの業種、業態、業務内容に合わせた最適な基準値を探ってください。
そして、一度定めた評価基準でも、「パフォーマンスを上げるとクオリティが下がる」などの問題が生じた場合は、基準を随時見直す柔軟性をもちましょう。
7-2.収益性のみを重視しない
これまでコンタクトセンター(コールセンター)は、「コストはかかるが収益を創出しない部門」と見られ、コスト削減を推進されることが多い状況でした。
コスト削減で収益性を改善しようとするとオペレーターの人員最少化や顧客対応の短時間化などの対策に走ることになり、その結果
■オペレーターの負担増による応対クオリティ低下、ミスの増加 |
といった悪い結果につながりかねません。
コンタクトセンターは、あくまで顧客対応が業務の主軸です。
「顧客のために」という視点を決して忘れずに、評価基準を定めましょう。
7-3.ES(従業員満足度)も意識する
今までとは異なる視点の評価として、「ES(従業員満足度)」があります。
これは従業員、つまりオペレーターを含むコンタクトセンターのメンバーが業務内容や職場環境にどの程度満足しているかを表すものです。
調査はアンケートや面談で行われ、
・今の業務にやりがいを感じるか |
といった質問をします。
これは、オペレーター自身を評価するのではなく、オペレーターが職場や上司などを評価するものです。
ほかの評価項目とはベクトルが逆ですが、これもまた、応対クオリティを上げる一助になるのです。
というのも、ESが高い企業や職場は、CS(顧客満足度)も高くなる傾向があるとされています。
ESを向上させることで、オペレーターのモチベーションが上がり、その結果、
〇応対のクオリティも高まる |
ことが期待できるわけです。
オペレーターを評価するだけでなく、働く環境をより良いものにしていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?
コンタクトセンター(コールセンター)における評価方法、評価基準についてよく理解していただけたかと思います。
ではもう一度、記事の要点をまとめてみましょう。
◎パフォーマンス(効率)の評価項目
・応答率/放棄呼率 |
◎クオリティ(品質)の評価項目
・一次解決率 |
◎プロフィット(収益性)の評価項目
・売上/利益貢献 |
◎コンタクトセンターの評価をする方法
・社内で担当者が評価する |
◎コンタクトセンターの評価制度を作る際の注意点
・業種、業務内容に合わせた評価基準を定める |
以上、コンタクトセンターの運営の一助となれば幸いです。