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コミュニケーション体験の評価とは?CX向上のための分析手法を解説

CXの向上や、そのための改善活動をミッションとして任されているご担当者であれば、

「そもそも自社におけるCXとは何かを定義せず、曖昧なまま改善活動を進めている…」
「そもそも自社や競合のCXの現状を定量的に把握できておらず、PDCAサイクルが回っていない…」
「CSATやNPS®などのCX指標を測定しているが、うまく改善点を特定できない…」

このような疑問や悩みをお持ちなのではないでしょうか?

トランスコスモスでは、CX向上のためにコミュニケーション体験にフォーカスして、自社と競合のCXを定量的な指標で評価し、具体的な改善点を特定することを推奨しています。
そのための最適なCX指標が「コミュニケーション体験評価(COMX:コムクス)」です。

コミュニケーション体験評価(COMX)とは

コミュニケーション領域にフォーカスしたCX指標

COMXを用いてCXを分析することで、顧客コミュニケーションにおける具体的な改善点が明確になり、自社の収益向上だけでなく、他社との差別化を図ることができます。

この記事では弊社独自調査である消費者と企業のコミュニケーション実態調査2024-2025の最新調査結果を読み解きながら、コミュニケーション体験の改善がCXの向上にどのように寄与するのか、COMXを測定する意義や分析方法、分析結果を踏まえた改善アプローチについて詳しくお伝えします。

【この記事でわかること】
・CXを向上するための基本ステップと、CX指標の測定の必要性
・CX指標としてコミュニケーション体験評価(COMX)を選ぶ理由
・コミュニケーション体験評価(COMX)を測定・分析する方法
・最新の調査結果を踏まえた、CX向上のための基本的なアプローチ

コミュニケーション体験評価の向上によって顧客ロイヤルティを強化し、企業の収益性や競争力を高めていくための基本的な知識と手法の道先案内書として、ぜひ最後までお読みください。

1.CX指標を測定しなければ、CXを改善できない

はじめに、顧客体験(CX:Customer Experience)とは何かという前提を確認しましょう。

CXの定義については諸説あります。一般的な定義としては、商品そのものが持つ機能的価値だけでなく、プロモーションやカスタマーサポートなど、あらゆる顧客接点における体験で感じた情緒的価値を含む概念とされています。

このようにCXはやや曖昧で対象が広い概念になっているため、具体的にCXの向上に取り組もうとすると、人によって重視している観点が違ったり、進め方に齟齬が生じたりします。

したがって、CXを向上するためには、まずは自社における「CXとは何か」を定義し、大前提となる認識を共有するところから始めるべきでしょう。

以下は、顧客接点の改善を通じて、CXを向上させるための一般的なステップを表した図です。
はじめにカスタマージャーニーマップを作成し、対象となる顧客接点を洗い出し、それを評価するためのCX指標を決めて定量的な数値で測定し、現状を定期的にモニタリングし、課題を抽出します。

また、測定した数値がもつ意味や指標が増減する要因を分析し、何をどのように改善すべきか考え、改善策を立案・実行します。
このようなPDCAサイクルを繰り返すことで、効果的かつ継続的にCXを向上させていきます。

CXを向上させる4つのステップ

ここで問題は、顧客接点の評価を測定・分析するために、どのようなCX指標を用いればよいのかということです。

CX指標は、総合満足度(CSAT)や顧客推奨度(NPS®)など多岐にわたっており、それに紐づく評価項目もさまざまです。網羅性のない評価項目で恣意的または局所的にCX指標を測定・分析しても、効果的な改善策にまでつながりません。

そのため多くの企業がCX指標の選択や評価項目の設計、測定方法で悩みを抱えています。

次章から、CX指標の測定方法についてご説明しましょう。

CXとその向上について再確認したい方は、こちらの記事をご覧ください。

2.「コミュニケーション体験評価(COMX)」がCX指標に選ばれる理由

冒頭でお伝えしたように、トランスコスモスでは、CX指標としてコミュニケーション体験にフォーカスした評価を推奨しています。
そのための最適なCX指標が「コミュニケーション体験評価(COMX)」です。

この章では、主なCX指標と比較した場合のコミュニケーション体験評価(COMX)の特徴を踏まえ、なぜCOMXをCX指標として選ぶことが望ましいのかについて解説します。

2-1.CX指標に求められる3要件

トランスコスモスでは、実務的なCX指標に求められる要件として、以下の3つを挙げています。

1 収益相関が高い
継続率や推奨度などの収益関連指標と相関が高く、企業収益の向上につながりやすい

2 差別化につながる
業界平均や競合と比較し、自社の強み・弱みを把握することで、差別化ポイントがわかる

3 具体的な改善点を特定できる
評価の変動要因が説明でき、具体的な課題を抽出し、実際のアクションにつながる

①の要件「収益相関が高い」を満たす代表的なCX指標としては、総合満足度(CSAT)、顧客推奨度(NPS®)、そしてコミュニケーション体験評価(COMX)が挙げられます。

CSAT

その企業や商品・サービスに総合的にどれくらい満足していますか?

NPS®

その企業や商品・サービスを家族、友人、同僚などにすすめたいと思いますか?

COMX

その企業とのコミュニケーション体験を、総合的にどのように感じましたか?

2-2. CSATやNPS®ではなくCOMXを選ぶ理由

では、②の要件「差別化につながる」を満たしやすいのは、どの指標でしょうか?

業界平均や競合と比較できるという意味では、CSATやNPS®は調査機関により業界別の満足度ランキングなどが公表されており、市場における自社や競合の位置づけを知ることが容易です。
しかし、ランキング情報だけあっても、自社の強み・弱みを特定することまではできません。

したがって、自社の強み・弱みを具体的に特定したいのであれば、どのCX指標を使うかにかかわらず、自社を絶対評価するだけでなく競合も含めたベンチマーク調査を行うことを推奨します。

総合評価だけでなく個別評価項目レベルで競合と相対比較することによって、はじめて自社の強み・弱みを特定し、差別化ポイントを明らかにすることができるからです。

2-3. CSATやNPS®ではなくCOMXを選ぶ理由

最後に、③の要件「具体的な改善点を特定できる」を満たしやすい指標についてです。

CSATは、様々な要因を考慮したうえでの総合的な評価を測定する指標であるため、対象範囲が広く、変動要因が多岐にわたるという特徴があります。

網羅性の高い総合指標であるため、継続意向や推奨意向などの収益関連指標との相関は非常に高いのですが、スコアが上下する理由にいくつもの可能性が生じてしまい、課題を特定できず改善策をうまく導けない、などといった事態が起こりやすくなります。

近年はCSATだけでなくNPS®を利用している企業も多いと思います。NPS®は紹介・クチコミによる新規獲得に直結する指標として適しています。

ただし、CXの良し悪しを推奨意向で間接的に評価することになったり、継続意向との関係性も説明しにくかったり、スコアがマイナス値になったりなど、直感的にわかりにくく説明が難しいことがあります。

そして、総合評価だけでは課題を特定できないという問題は、CSATと同様にNPS®でも生じます。

具体的な課題を特定できないという問題への対応策としては、総合評価であるCSATやNPS®に影響を与える個別評価項目を洗い出し、それも併せて評価するという調査設計を行う方法が一般的です。

ところが、総合評価の対象範囲が広すぎると、個別評価項目に網羅性と具体性を持たせるのが困難になり、②の要件「具体的な改善点を特定できる」を満たせなくなります。

しかし、COMXであれば、評価対象を最初からコミュニケーション体験領域に限定しているため、個別評価項目の設計がしやすく、具体的な問題点を把握できるようになります。

つまり、評価対象範囲を絞ったほうが、具体的な課題や改善策の検討がしやすいのです。COMXをCX指標として選ぶことが望ましい理由はここにあります。

ちなみに、CSATにおいても、コールセンターや店舗におけるコミュニケーション体験に対象を絞って満足度を調査する方法がしばしば行われます。その方法でも問題はありませんが、「満足したか?」と訊くよりは「どう評価しているか?」と訊く方がフラットなスコアを測定できるでしょう。

以上の内容を整理すると、下表のようになります。

主なCX指標のメリット/デメリットをまとめた表

収益相関の高さや社会的な浸透度だけを考えればCSATでもよいのですが、具体的な改善点や自社の強み・弱みを把握したいのであれば、コミュニケーション体験にフォーカスしたほうが良いでしょう。

3. COMXがコミュニケーション領域にフォーカスする理由

では、COMXでは、なぜコミュニケーション体験領域にフォーカスするのでしょうか。

商品・サービスの購入・選択や継続・推奨など、顧客満足度や顧客ロイヤルティを左右する要因は、コミュニケーション体験だけでなく、品質やコスパなど商品・サービスそのものに対する評価や、認知度やブランドイメージなど多岐にわたります。

そこで消費者と企業のコミュニケーション実態調査では、顧客満足度(CSAT)を左右する変動要因を「商品力」「コミュニケーション体験」「ブランドイメージ」に分けて測定しました。

商品力

品質、価格、利便性、デザインなど、
商品・サービスそれ自体の評価をどの程度評価しているか?

コミュニケーション体験

購入前の情報提供や相談、購入後のテクニカルサポートなど、
カスタマーサポートをどの程度評価しているか?

ブランドイメージ

ブランドをどの程度認知しており、
好感や愛着を持っているか?

すると、最も影響力の大きい要因は、下図のように、コミュニケーション体験(37%)であることがわかりました。

顧客満足度の変動要因とコミュニケーションが重要な業界の影響度を表したグラフ

しかも、業界別にみていくと、コモディティ化が進み商品力では差別化が難しい業界ほど、コミュニケーション体験の影響度が強まり、4割を超す水準まで高くなっていました。

これは機能的価値だけで他社との差別化を図ることが難しい業界においては、コミュニケーションの改善によって情緒的価値を強く感じてもらうことが差別化につながるからでしょう。

商品の開発・改良や、宣伝・広告などのプロモーション施策の改善をしたいのであれば、商品力やブランドイメージにフォーカスした、CX指標を選んでもよいでしょう。

しかし、顧客接点の見直しや応対品質の向上など、カスタマーケアにおける改善策の立案・実行が目的であれば、評価対象の範囲を最大要因であるコミュニケーション体験領域にフォーカスし、他の要因の影響をうけずにピンポイントで改善点を導くほうがよいのです。

しかも、コモディティ化が進み競争が激化している厳しい環境下で差別化に悩み、品質やコスパ以外に優位性を確保できる一手を打ちたいと考えている企業ほど、COMXを活用する意義は高いといえます。

4.「コミュニケーション体験評価(COMX)」の測定方法

ここからは、コミュニケーション体験評価(COMX)を活用したいという読者に向けて、実際の測定方法と集計・分析方法 をご紹介します。

4-1.顧客にコミュニケーション体験についてのアンケートを行う

まずは、顧客にコミュニケーション体験を評価してもらうアンケートを行います。

アンケートで測定する理由は、行動ログなどでは捉えることができない心理情報なども対象になるからです。また、自社だけでなく競合の顧客も調査対象に含める必要があることも考慮すると、Webアンケートモニターを利用する方がよいでしょう。

一般的には、リレーショナル調査といって、年に1~2回程度の頻度で、自社や競合のCXの現状や指標間の相関を把握する調査を行います。

自社とのコミュニケーション体験が発生した顧客にしぼって、顧客接点を常時モニタリングし随時フィードバックしたい場合は、トランザクション調査(会員DBや問合せ履歴を使って、対象条件を満たす顧客をリストアップし、電話番号やメールアドレスなどにアンケートを送信する調査)やアクセスログ解析を行います。

実際は、まずはリレーショナル調査を行い、モニタリング対象を決めたうえでトランザクション調査やアクセスログ解析を実施するのがよいでしょう。

以降では、前者のリレーショナル調査を想定してご説明します。

アンケート調査の調査票を設計する際は、なるべく少ない設問数で、聞きたいことを効率的に聴取し、改善アクションにつながるインサイトを得る必要があります。

しかし、コミュニケーション体験に対象範囲を絞ったとはいえ、様々な顧客接点や要因を網羅するような調査票を設計することは容易ではありません。

そこで、消費者と企業のコミュニケーション実態調査で紹介されている、下図の「コミュニケーション体験評価(COMX)の評価項目体系」を参考にすると良いでしょう。

コミュニケーション体験評価(COMX)の評価項目体系

この体系図は、COMXだけでなく、CSATや継続意向・推奨意向などの主だったCX指標の相関関係を整理するとともに、総合評価に紐づく購入前後のコミュニケーション体験の個別評価項目を大・中・小分類で約80項目に細分化したものです。

小分類の個別改善項目は、各企業において実行予定の改善策の候補や効果測定したい施策を盛り込むと良いでしょう。

例えば「Web検索画面に公式サイトのFAQや問合せ窓口を直接表示してほしい」「コールセンターへの混雑時、待ち時間を節約するためにコールバック予約に対応してほしい」などの設問によって、改善策に対する顧客のニーズや評価を直接尋ねると良いでしょう。

4-2.アンケート結果を集計・分析し、重点改善項目を特定する

次に、アンケート結果を集計して、コミュニケーション体験評価(COMX)の結果を分析します。

具体的な集計方法としては、項目別にTOP2 BOXの割合(7段階評価ならば上位2段階分の比率)を出すことが一般的です。

そのうえで主要CX指標のレーダーチャートを作成し、業界平均や競合と自社を比較できるようにすると良いでしょう。絶対評価だけでなく相対評価で改善が必要な指標を、視覚的に捉えることができます。

主要CX指標のレーダーチャート

また、個別評価のスコアと改善インパクトを組み合わせたポートフォリオ分析を行えば、伸びしろと改善インパクトの大きい重点改善項目を特定することができます。

横軸に中分類レベルの個別評価、縦軸に改善インパクトを置いたバブルチャートを作成することで、特に注力すべき重点改善項目を可視化することができます。

各項目の改善インパクト(各説明変数を何点改善すればCOMXがどのくらい向上するのか)を算出するためには、重回帰分析やロジスティック回帰分析などの多変量解析を用います。

コミュニケーション体験評価(COMX)を目的変数として、中分類レベルの評価項目を説明変数として投入しや回帰分析を行い、その回帰係数を改善インパクトとして使用します。
重回帰分析が難しい場合は、各項目の改善重視度を評価とは別に聴取しておくと良いでしょう。

購入前と購入後の体験ポートフォリオ分析

以上の分析を行ったうえで、下図の診断票のように、個別評価項目ごとに自社と競合のスコアを比較できるようなアウトプットとしてまとめるとよいでしょう。

コミュニケーション体験評価(COMX)を競合スコアを比較した診断表

4-3.改善点の優先順位付けを行い、具体的な施策を立案・実行する

調査・分析を行った後、改善点の優先順位を決め、具体的な施策を立案・実行します

ポートフォリオ分析(バブルチャート)で重点改善項目に該当し、個社別診断票で業界平均や競合と比較して著しく劣っている項目に注目しましょう。それらは自社の弱みであり、最優先で改善すべきだからです。

図のサンプルイメージでは、背景が赤色の項目が重点改善項目に該当します。そのうち「手間不要」が業界平均や競合を下回る弱みとなっており、その対策として二度手間の解消が急務となります。

逆に、「簡易手続」は強みとなっているので、競合を凌ぐ水準までさらなる強化を行いアピールポイントとして訴求すれば、競争力の向上や新規獲得につなげるために有効であることがわかります。

4-4.改善策の効果測定を行う

改善策を実行したら、事後の効果測定を行います。

効果測定については、年1~2回程度の定点観測(リレーショナル調査)を行い、前回調査との差異を見るのが基本となります。

しかし、もう少しスピード感をもってPDCAサイクルを回していくのであれば、改善施策の対象者にしぼったトランザクション調査や、アクセスログ解析などを用いたABテストを行っても良いでしょう。

ここで注意すべきは、施策立案を行う際に、事後にどうやって効果測定や結果検証を行うのかという計画をあらかじめ設計しておくことです。ABテストなどの実験計画は事前に設計しておかないと、あとからでは取り返しがつきません。

結果検証においては、改善策の効果があったかどうか、その経済的価値や費用対効果を見ることも重要ですが、それ以上に重要なことがあります。

それは、どんな工夫が功を奏して効果が出たのか、逆になぜ思うような効果が出なかったのか、などの原因分析と改善方針の検討を行うことです。

今後に向けた学びを得ることこそが、CX改善のPDCAサイクルを継続的に回していくために最も重要なことだと考えます。

5.「コミュニケーション体験評価(COMX)」を改善するための3つのアプローチ

最後に、コミュニケーション体験評価(COMX)を改善するために、消費者と企業のコミュニケーション実態調査の最新調査結果を踏まえた、基本的な改善アプローチをご紹介しましょう。

5-1.カスタマージャーニーに沿って、購入前後のコミュニケーション体験を改善する

カスタマーサポートやコミュニケーション体験というと、購入後の体験をイメージしがちですが、購入後の問合せ対応や修理・テクニカルサポートだけでなく、購入前相談や見積り・手続き支援などのプリセールスサポートもコミュニケーション体験に含まれます。

コミュ調では、購入前と購入後とでコミュニケーション体験の重視度を調査しました。その結果が下図です。

コミュニケーション体験評価(COMX)を左右する要因

この図をみると、購入前体験が6割弱と、購入後よりも高くなっていますが、プリセールスとアフターサポート、どちらの体験も重視されていることがわかります。

購入後体験においては「自分に合った商品・サービスを選びやすい」「購入・利用までの余計な手間・時間や労力がない」といった項目をより重視する傾向がうかがえます。

一方で、購入後体験においても「サポート情報や問合せ窓口にたどり着きやすい」「最初に問い合わせた有人窓口で問題を解決できる」といった項目が比較的重視されています。

このように、CXの向上のためには、購入前と購入後の双方を念頭に置いて、カスタマージャーニー全体で考える必要があります。

企業側の都合でセールス&マーケティングとカスタマーサポートを分離して考えるのではなく、消費者の視点に立ち、カスタマージャーニーに沿って顧客接点や運用体制を構築すべきです。

プリセールスであれアフターサポートであれ、自分に合った商品・サービスを選びやすく、購入・利用までの余計な手間・時間や労力がかからないようなコミュニケーションを実現することが重要です。

5-2.購入前コミュニケーション体験を改善する

調査結果より、購入前コミュニケーション体験の改善点としては、「商品情報の検索から購入・手続きまでの流れをわかりやすくする」「再購入の促進施策や会員制度を強化する」「個客に寄り添った商品選びをサポートする」が重視されており、以下のような具体的な改善ポイントが挙げられました。

購入前体験の具体的な改善ポイント

とくに「個客に寄り添った商品選びをサポートする」ためには、購入・問合せ履歴などのデータを活用し、セグメント別やパーソナライズされたレコメンドやサポートなどの施策が有効だと考えられます。

単に情報を垂れ流すのではなく、購入時のシミュレーションや見積り・診断サービスなどの施策を実施することで、消費者の購入意向を高めることができると良いでしょう。

5-3.購入後コミュニケーション体験を改善する

調査結果より、購入後コミュニケーション体験の改善点としては、「サポート情報の検索性や探しやすさを向上する」 「コールセンターや店舗での待ち時間を短縮する」「スタッフによる説明を正確で分かりやすくする」が重視されており、以下のような具体的な改善ポイントが挙げられました。

購入後体験の具体的な改善ポイント

こうした調査結果を見ても、なるべく検索や自己解決をしやすい環境を整え、同時に消費者を最終的に問題解決まで確実に導くことが重要だということがわかります。

公式サイトの強化やチャットボット・AIによる自動音声応答などのソリューションは、入電量を抑制し、コールセンターの混雑を解消し、待ち時間を短縮するために有効な施策です。

しかし、必ずしも顧客が抱える問題を解決できるわけではありません。無人対応で解決できない場合は、速やかに有人対応に引き継ぐハイブリッドサポート体制を整備することが望まれます。

また、待ち時間を短縮するために、入電量の予測結果を踏まえたシフト作成、コールバック予約制度の導入などによる待ち時間の平準化なども検討すると良いでしょう。

以上のような自己解決促進や待ち時間短縮の取り組みを行ったうえで、本当に困っている問合せに対して十分な時間とリソースを割き、消費者の状況を踏まえた親身な対応により、問題を放置せず最後まで確実に問題解決まで導くことが重要なのです。

よりよいコミュニケーション体験を実現するにはトランスコスモスにお問い合わせください

顧客とのコミュニケーションを改善したいとお考えの場合は、トランスコスモスにご相談ください

トランスコスモスでは、3,000社以上の実績から得たノウハウをもとに、お客様企業と顧客のコミュニケーションを最適化いたします。

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顧客コミュニケーションにおいては、単一チャネルの局所改善ではなく、デジタルソリューションを駆使してカスタマージャーニー全体を最適化する必要があります。

トランスコスモスは、コンタクトセンターとWeb・SNS・広告といったデジタル領域のオペレーションをワンストップで提供できる強みを活かし、最先端のデジタルソリューションとそれを使いこなす人の力を組み合わせることで、CXや顧客ロイヤルティの向上といった新しい価値を生み出していきます。

現状把握や課題のアセスメントからサポート可能ですので、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

この記事では、コミュニケーション体験を評価する意義について解説しました。
以下に要点をまとめます。

CXを向上するためには、まずは自社のCXの現状を定量的に測定し、把握する必要があります。
コミュニケーション体験評価(COMX)は、企業収益の向上と差別化につながり、具体的な改善点を特定するために最適なCX指標であり、以下のようなメリットがあります。

・COMXを改善することで、総合満足度を高め、企業収益を向上できる
・コモディティ化が進み、商品以外の切り口で差別化することが必要な業界や企業に向いている
・コミュニケーション領域における具体的な問題点を特定し、改善アクションにつなげやすい

COMXを測定し、継続的に改善することで、顧客満足度を向上し、既存顧客の継続意向や新規顧客への推奨意向を高めることができます。

さらには、競合比較を行うことで、自社の強み・弱みや差別化ポイントを把握することで、競争力の強化につながる改善点を優先順位付けできます。

個別評価項目の設計に当たっては、コミュ調の体系図などを参考にすれば、購入前と購入後のコミュニケーション体験を網羅した体系的な評価が可能です。

また最新の調査結果から、以下のような改善アプローチが有効だと考えられます。

1 個客に合った商品選びを支援し、購入・利用まで余計な手間・時間がかからないようにする
2 データを活用したパーソナライズ施策により、購入意向や継続意向を高める
3 自己解決率と待ち時間の改善と同時に、ハイブリッドサポートで問題解決まで確実に導く

ただし、この調査結果は、あくまで市場全体の傾向にすぎないということにご留意ください。
ランキングや市場統計だけでは、自社の現状と改善点はわかりません。コミュニケーション体験の比重や課題は、業界や個社ごとに変化するため、個社別にCX診断を行うことを強くお勧めします。

業界平均や競合との比較分析を行い、自社が秀でている強みや、競合に対して劣後している弱みを把握することが、収益向上と差別化につながる具体的な改善アプローチを導き出すことにつながるのです。

この記事が、読者の皆様の業務において、CXを向上し、企業の収益性や競争力を高めていくための改善活動の一助になれば幸いです。

詳しくは「消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2024-2025」のダウンロードペーパーや、「徹底解説」の記事でも調査結果をご紹介していますので、ぜひ活用してみてください。

 

注:本記事内におけるネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そしてNPS関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標又はサービスマークです。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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