「コールセンターでSVをしていて、お客様からの電話を長時間待たせてしまうことに悩んでいる。どうすればいい?」
「平均応答速度(ASA)をもっと早くするには、どんな施策が有効なの?」
コンタクトセンター(電話やメールに加え、SNS、チャットなど幅広いコミュニケーションチャネルを利用して、顧客と企業を結ぶ部署を指す。以前は電話コミュニケーションのみだったので、コールセンターと呼ばれており、現在でもコールセンターで表現されている所も多い。)で働いていて、そんな悩みを持っている方は多いことでしょう。
実際に、コンタクトセンターに電話してくる顧客の中で、もっとも多く不満の声が挙がることのひとつが、「電話の待ち時間が長い」という点です。
コンタクトセンター側も、一般的に以下の2点を重点的に予防するよう努めています。
1)電話をかけてもつながらない
2)電話がつながっても待ち時間が長い
そのためには、待ち時間の短縮に関わる適正なKPIを設定して業務改善をすることと、以下の4つの解決法を実行することが重要です。
・ワークフォースマネジメントを実行する
・応対品質を向上させる
・セルフ解決サービスを改善・推進する
・IVRを導入・改善する
そこでこの記事では、コンタクトセンターの待ち時間について、その解消方法を中心に解説していきましょう。
最初に、コンタクトセンターにおける待ち時間についての基本的な知識を身に着けてください。
◎コンタクトセンターの「待ち時間」に関する基礎知識
それを踏まえて、待ち時間を短縮するにはどうすればいいかを考察していきます。
◎コンタクトセンターの「待ち時間」に関わるKPI
◎コンタクトセンターの待ち時間が長くなる4つの原因
◎コンタクトセンターの待ち時間を短縮する4つの方法
最後まで読めば、あなたの知りたいことがきっとわかるはずです。
この記事で、あなたのコンタクトセンターで顧客の待ち時間が減らせるよう願っています。
1.コンタクトセンター(コールセンター)の「待ち時間」に関する基礎知識
最初に、コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間について知っておきたい基本的な知識からおさえておきましょう。
1-1.コンタクトセンター(コールセンター)に対する不満1位は「電話がつながりにくい」
実は、コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間に関しては、こんなデータがあります。
Cotra編集部にてカスタマーサポートを利用した経験のある人を対象に、利用時のストレスや感動体験について調査をし、電話をかけた際にストレスを感じた方に対し理由を尋ねたところ、もっとも多かった回答は「電話がつながりにくい」というものでした。次いで多かったのは、「音声ガイダンスの選択肢が長かった」という回答でした。
電話のつながりにくさや音声ガイダンスの選択について不満を抱いているということは、接続品質については改善の動きが必要である一方で、闇雲に選択や他チャネル誘導を増やすだけではストレス経験に繋がる可能性もあるため、手を考える必要性が高いことがうかがえます。
【電話でストレスを感じたことがある顧客:どのような状況でストレス(不満・不快・不便)を感じましたか? (複数回答可)】
参考:Cotra編集部 調べ
1-2.待ち時間の短縮はコンタクトセンターの大きな課題
そのため、各コンタクトセンター(コールセンター)では、待ち時間をできるだけ短くするために、さまざまな対策を講じています。
ちなみに、一般的にコンタクトセンターが特に重要な課題としてとらえている顧客の不満を、重要なものから2つ挙げると以下のようになります。
1)電話をかけてもつながらない
2)電話がつながっても待ち時間が長い
まずは電話がつながることが大前提ですが、その次に大きな課題として待ち時間をなるべく短くすることが、顧客満足を高めることにつながると考えているのです。
その具体的な方法については、この記事の後半の「4.コールセンターの待ち時間を短縮する4つの方法」でくわしく説明しますので、ぜひ参考にしてください。
1-3.オペレーターの「手待ち時間」とは
ここまでは「顧客の待ち時間」についての話でしたが、実はコンタクトセンター(コールセンター)にはまた別の「待ち時間」の問題があります。
それはオペレーターの「手待ち時間」です。
「手待ち時間」とは、業務時間中に仕事がなく手が空いてしまう待機時間のことです。コンタクトセンターでは、オペレーターの人数に対して入電数が少ないときなどに生じます。
手待ち時間が多いということは業務効率が悪いということですので、各センターではこの問題の改善にも取り組む必要があります。
・日ごと、時間ごとの入電数を予測して、オペレーターの人員配置を無駄なく適正化する
・手待ち時間中にオペレーターが行なう業務を設定する
→マニュアルの改善案を考えるなど
といった対応が考えられますが、この問題に関しては、以下の別記事にくわしく解説がありますので、そちらも参照してください。
1-4.顧客の待ち時間の平均
ところで、気になるのは実際のところ、多くのコンタクトセンター(コールセンター)では顧客の待ち時間はどれくらいなのか、ということです。その実態も知っておきましょう。
以下のグラフは、「コールセンター白書2021」(株式会社リックテレコム)による「平均応答時間(=平均応答速度)」の調査結果です。
回答を寄せた76社の平均は21.5秒、前年度調査(「コールセンター白書2020」)は18.2秒だったので、少し長くなっています。また、76社中の50%が、「平均応答時間 10秒以下」とのことです。
出典:「コールセンター白書2021」株式会社リックテレコム
もちろんこの時間は、コンタクトセンターの体制や規模、業種などさまざまな要因によって異なるでしょう。コンタクトセンターを運営する際の目標や目安として、「待ち時間は10秒~20秒以内」というのはひとつの基準になるでしょう。
2.コンタクトセンター(コールセンター)の「待ち時間」に関わるKPI
コンタクトセンター(コールセンター)において、待ち時間をできるだけ短縮させることが重要課題だということはわかったかと思います。
そこで着目すべきなのが、待ち時間を左右するKPIです。多くのコンタクトセンターでは、さまざまな「KPI=重要業績評価指標」を設定し、業務改善の目標としています。
その中でも、待ち時間に関係するKPIは、大きく以下の2つに大別することができるでしょう。
◎接続品質(=つながりやすさ)に関するKPI
・応答率
・放棄呼率
・サービスレベル(SL)
・平均応答速度(ASA)
・話中率
◎生産品質(=速さ)に関するKPI
・Call Per Hour(CPH)
・平均処理時間(AHT)
・平均通話時間(ATT)
・平均後処理時間(ACW)
・稼働率
・占有率
・平均保留時間(AWT)
くわしくは、以下の別記事を参照してください。
ここでは簡単な概要のみ説明しておきましょう。
2-1.接続品質に関するKPI
待ち時間を短縮するためには、まず「つながりやすさ」を改善する必要があります。これを「接続品質」と呼びます。
接続品質を改善するためには、顧客からの入電に対してなるべく短時間で電話に出ること、なるべく多くの入電に取りこぼしなく対応することが重要です。
そこで、以下のようなKPIを設定して、目標達成を目指す必要があるでしょう。
KPI | 概要 | 算出方法 |
応答率 | 全体の総着信に対してオペレーターが対応できた受電件数の割合 | オペレーターが対応できた受電数 ÷ 総着信数 × 100 |
放棄呼率 | 全体の総着信に対してオペレーターが対応できなかった受電件数の割合 | 放棄呼数 ÷ 総着信数 × 100 |
サービスレベル | 目標時間内に電話に出られた件数の割合 | 設定時間内に受電した数 ÷ 総着信数 × 100 |
平均応答速度 | 顧客が電話をかけてからオペレーターが電話に出るまでの平均時間 | オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計 ÷ 総着信数 |
話中率 | 顧客が電話をかけたがオペレーターにつながらず、話し中となってしまった着信の率 | オペレーターが電話に出るまでの待ち時間の合計 ÷ 総着信数 |
上記のKPIのさらにくわしい解説と、設定したKPIの活用方法については、以下の別記事を参照してください。
2-2.生産品質に関するKPI
もうひとつ、待ち時間を短縮する方法として、「速さ」を追求することも必要です。つまり、1件ごとの応対にかかる時間を短くするのです。
通話時間を短くするのはもちろん、後処理時間や保留時間などもできるだけ効率化することが求められるでしょう。
そのためのKPIとしては、以下のようなものが挙げられます。
KPI | 概要 | 算出方法 |
Call Per Hour | 1人のオペレーターが一定時間内に対応できる処理件数 | 総処理件数 ÷ 総稼働時間 |
平均処理時間 | 顧客との通話開始から後処理終了までに要した時間の平均値 | (総通話時間 + 総後処理時間 ) ÷ 総処理件数 |
平均通話時間 | オペレーターが顧客と通話をしている時間の平均値 | 総通話時間 ÷ 総処理件数 |
平均後処理時間 | 通話が終わったあとの後処理(対応履歴の記入等)1件あたりにかかる時間の平均値 | 総後処理時間 ÷ 総処理件数 |
稼動率 | オペレーターの労働時間全体から顧客対応にあてられる時間を判断するために用いられる指標 | (通話時間+ 保留時間 +後処理時間+ 受付可能時間)÷(給与時間 ) ×100 |
占有率 | 顧客対応にあてられる時間が効率的かどうかを判断するために用いられる指標 | (通話時間+保留時間+後処理時間) ÷(通話時間+保留時間+後処理時間 + 受付可能時間)×100 |
平均保留時間 | 1件当たりの保留時間の平均値 | 総保留時間 ÷ 総処理件数 |
これについても、くわしくは別記事を参照してください。
3.コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間が長くなる4つの原因
さて、ここまでは「コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間が長い」ことを前提として話を進めてきました。
が、そもそもなぜコンタクトセンターでは待ち時間が長くなってしまうのでしょうか?
その原因としては、主に以下の4点が考えられます。
◎対応する人員が少ない
◎対応が必要以上に長い
◎自己解決ができない
◎担当につながらずたらい回しされる
これらの問題点を掘り下げることで、解決方法が見えてくるはずです。
3-1.対応する人員が少ない
第一に考えられる原因は、入電数に対して応対するオペレーターの人数が不足しているというケースです。
KPIでいえば応答率、放棄呼率、稼動率などに改善が必要な状態と言えます。
ひと口に人員不足といっても、それには以下のようにいくつかのパターンが考えられ、それぞれに解決方法も異なるので注意が必要でしょう。
具体例 | 対応例 |
そもそも入電の総数に対してオペレーターの人数が少なく、つねに待ち呼が発生している | オペレーターを増員するか、IVR(=自動音声応答システム)やチャットボットなどを導入する |
曜日や時間帯によってオペレーターの人数が不足することがある | 入電予測を正確にし、人員を適正に配置する |
オペレーターがしばしば離席したり保留にしたり、後処理に時間がかかるなど、応対できない時間が多い | 離席の管理を徹底する、顧客の問い合わせに対するFAQを充実させる、後処理を簡略化させるなど、システムやマニュアルを見直す |
特に重要なのは、人員配置の適正化です。これについては、「4-1.ワークフォースマネジメントを実行する 」でくわしく説明しますので、そちらもぜひ読んでください。
3-2.対応が必要以上に長い
次に、1件ごとの応対時間が必要以上に長くなってしまっている可能性が考えられます。
この応対時間とは、通話時間だけではなく保留時間や後処理時間なども含めて考える必要があります。KPIでいえば平均処理時間(AHT)、平均通話時間(ATT)、平均後処理時間(ACW)、平均保留時間(AWT)が長すぎるわけです。
具体的な例としては、以下のようなケースが想定されるでしょう。
具体例 | 対応例 |
顧客の問い合わせに対して、オペレーターがすみやかに回答できず、保留して調べる時間がかかってしまう | トークスクリプトやFAQをわかりやすく充実させる |
トーク内容はオペレーター個人に任せられている部分が多く、個別の通話ごとに応対を考えなければならない | 精度の高いトークスクリプトやマニュアルを作成する |
通話後に内容を記録する必要があるが、文章にまとめるのに時間がかかる | 報告文のテンプレートを用意するなど後処理を簡略化する |
クレームが多いため、通話時間が長引く | クレーム対応のマニュアルを作成し、クレーム対応研修などオペレーター教育を強化する |
これについては、コンタクトセンター(コールセンター)全体の応対品質向上が必要ですので、「4-2.応対品質を向上させる」を参考にしてください。
3-3.自己解決ができない
上記2点はオペレーター側の問題でした。
一方、顧客視点で考えた場合にも、待ち時間が長くなる原因はあります。そのひとつが、「わからないことがあった場合に、顧客が自分で疑問を解決できない」ことでしょう。
もし、商品の取扱説明書や企業のホームページなどを見ることで問題を自己解決できれば、電話で問い合わせる必要はありません。逆に、それができないからこそ、問い合わせ電話が増えて待ち時間が長くなってしまうのです。
以下具体例です。
具体例 | 対応例 |
取扱説明書がわかりにくい | わかりやすい内容に改善する |
企業のホームページに説明がない、あるいはFAQページはあるが知りたいことが書かれていない | FAQページの内容を充実させ、チャットボットや検索機能などで調べやすくする |
自己解決をスムーズに導くには、ほかにもさまざまな方法がありますので、それは「4-3.セルフ解決サービスを改善・推進する」を見てください。
3-4.担当につながらずたらい回しされる
もうひとつ、顧客視点で「待ち時間が長い」と感じる原因は、電話がつながってもオペレーターの間をたらい回しにされ、訊きたいことに答えてくれる担当者になかなかたどりつかないことでしょう。
最近のコンタクトセンターは担当が細分化されていて、契約担当と解約担当がわかれていたり、故障の問い合わせと修理の依頼は窓口が別だったりすることも多くあります。
そのため、話を進めていくうちに、「それでしたら、担当は〇〇部ですので、そちらにお電話おつなぎします」とか、「ここから先のお話はまた別の担当が承りますので、少々お待ちください」などと、何度も保留されるケースが増えているのです。
例えば以下です。
具体例 | 対応例 |
オペレーターにつながるが、一度で担当者にたどりつかず、保留→通話→保留→通話を何度も繰り返さなければならない | センターの組織図を整理して、すぐに担当者につながるようにする、あるいはIVR(=自動音声応答システム)などのツールを利用する |
音声ガイダンスが流れるが、その誘導がわかりにくく適切な選択肢が選べないので、「オペレーターにつなぐ」を選択せざるを得ない | 音声ガイダンスの内容をわかりやすく簡潔に改善する |
以上は「4-4.IVRを導入・改善する」でさらに詳しく説明します。
4.コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間を短縮する4つの方法
コンタクトセンター(コールセンター)ではなぜ待ち時間が長くなりがちなのか、その主な原因がわかりました。
ではいよいよ、「どうすれば待ち時間を短縮できるか」、その解決方法を説明していきましょう。
前章で挙げた4つの原因に対して、以下のようにそれぞれ解決方法を挙げていきますので、自社の問題点に対応した対策を講じてください。
原因 | 解決方法 |
対応する人員が少ない | ワークフォースマネジメントを実行する |
対応が必要以上に長い | 応対品質を向上させる |
自己解決ができない | セルフ解決サービスを改善・推進する |
担当につながらずたらい回しされる | IVRを導入・改善する |
4-1.ワークフォースマネジメントを実行する
まず、オペレーターの人員が足りない場合には、増員がもっとも簡単な解決方法でしょう。
が、予算や教育・研修などの都合上、それが難しいケースも多いはずです。
そこで、実行してほしいのが「ワークフォースマネジメント(WFM)」です。
4-1-1.「ワークフォースマネジメント(WFM)」とは
「ワークフォースマネジメント(WFM)」とは、人的リソースを最適に活用するマネジメント手法です。
コンタクトセンター(コールセンター)においては、時間や曜日、季節などの要因で刻々と増減する入電数に応じて、その時々で適切な人員配置を行うことを指します。
オペレーターが多すぎて手待ち時間が増えてしまうようでは人件費が無駄ですし、逆に少なすぎて待ち時間が長くなったり、応対品質が下がってしまったりすれば、顧客満足度も低下します。
そうならないよう、以下のことを考慮して最適な人員配置を行う必要があるでしょう。
・入電予測:過去の入電数などをもとに、日ごと、時間ごとの入電数を予測し、それに応じたオペレーターを配置する
・平均処理時間(AHT):オペレーターがひとりの顧客に対応する時間の平均を割り出し、入電予測数と照らし合わせて必要なオペレーター数を算出する
4-1-2.ワークフォースマネジメントの手順
では、実際にワークフォースマネジメントを実行して、適正な人員配置をするにはどうすればよいでしょうか?
コンタクトセンターの場合は、以下の手順で行いましょう。
1)過去のデータから日ごと、時間ごとの入電数を予測する
2)平均処理時間(AHT)を算出する
3)「1)✖ 2)=全体の業務量」を算出する
4)稼働率、占有率を加味しながら必要な人員を割り出す
5)シフトを作成する
ただ、この計算は簡単ではありません。
入電数は時間や曜日、季節などさまざまな要因に左右されますし、AHTは問い合わせ内容やオペレーターのスキルによって異なるためです。
そこで最近では、WFMを自動で行ってくれるITシステムやツールが出てきました。複雑な人員配置を手軽に適正化する方法として、それらを導入するのもひとつの方法でしょう。
4-2.応対品質を向上させる
次に、顧客ひとり当たりへの対応が必要以上に長い場合は、オペレーター個々の応対品質を向上させる必要があるでしょう。
具体的には、以下の3つの点を改善してください。
4-2-1.システムの整備
まず、顧客からの問い合わせに対して、オペレーターが対応に詰まってしまうことなくスムーズに対応できるシステムを整えましょう。
たとえば、以下のようなことは可能でしょうか?
・顧客との通話中に、モニター上に顧客情報や過去の対応履歴が表示される
・わからないことがあれば、モニター上ですぐにFAQを参照したり、検索して回答例や過去の応対例を見ることができる
これらは、CRMツールなどを利用することで簡単に自動化、効率化できますので、ぜひ導入を検討してみましょう。
4-2-2.マニュアルやトークスクリプトの充実
次に応対マニュアルやトークスクリプトを充実させることも有効です。
過去の対応履歴を分析して、顧客からどのような問い合わせがあるか、パターンごとにどのように対応するかを決め、定型のトークスクリプトに落とし込みます。
この際「顧客の質問→回答→質問→回答」という一本道のスクリプトではなく、「顧客の質問→回答→質問Aが返ってきた場合→回答A/質問Bが返ってきた場合→回答B」というように、想定される分岐に対してそれぞれに対応を用意しておきましょう。
ただ、複雑になりすぎるとオペレーターが参照しにくくなってしまいますので、わかりやすく整理することも必要です。
これについても、トークスクリプト作成ツールなどが出ていますので、利用するのもいいでしょう。あらかじめトーク内容を入力しておくと、モニター上にそれが表示され、分岐点ではオペレーターが選択肢を選ぶだけで次のトークへとナビゲーションしてくれます。
4-2-3.オペレーターの教育
そしてもうひとつ、重要なのがオペレーターの教育です。
まず、担当が細分化されているとしても、各オペレーターが業務の全体像を把握している必要があります。「わからない」「知らない」を極力減らし、たらい回しを避けましょう。
また、SVによるロールプレイングやモニタリングを定期的に行い、個々のスキルアップを図ることも必須です。自分の応対に自信が持てるようになれば、通話を保留したり、必要以上に会話が長引いたりすることも減り、結果として待ち時間の短縮につながるはずです。
応対品質向上を目指すなら、音声認識ソリューション「transpeech」(トランスピーチ)がおすすめ!コンタクトセンターの応対品質向上を目指すなら、おすすめしたいのがトランスコスモスが提供する音声認識ソリューション「transpeech」(トランスピーチ)です。 「transpeech」は、全コールの評価とパフォーマンスの実態を可視化することができるため、オペレーターひとりひとりの品質向上に貢献します。 具体的には、以下のような機能を備えています。 ◎音声認識 また、以下のような機能も活用できます。 ・応対支援:ナレッジを自動でモニター上にポップアップ表示 また、以下のような機能も利用可能です。 ◎品質管理プラットフォーム ◎リスクマネジメント ◎コストセービング ◎AI defender トランスコスモスでは、この「transpeech」を音声認識環境の導入から運用までをワンストップで提供しますので、あなたのコンタクトセンターの品質向上と業務効率化を実現することができるでしょう。 くわしいサービス内容については、こちらから資料をご確認ください。 |
4-3.セルフ解決サービスを改善・推進する
続いて、顧客視点からの問題点である「自己解決ができない」に関しては、近年「セルフ解決サービス化」を推進するコンタクトセンターが増えています。
コンタクトセンターにおけるセルフ解決サービスとは、たとえば、以下のようなものが挙げられます。
・企業サイト内のFAQページ
・チャットボット など
顧客からよくある問い合わせについてはこれらの方法で回答を用意し、顧客が自分自身で問題を解決できるように導きます。そうすれば、電話での問い合わせが減り、結果として待ち時間の短縮につながるでしょう。
ただ、注意したいのは「FAQページはあるけれど、知りたいことが書かれていない」「FAQページにたくさんのQ&Aがあるが、知りたい質問の回答が探せなかった」というケースが多々あることです。
そうならないよう、顧客のニーズに合ったQ&Aを適切に用意し、また検索・閲覧しやすくすることも重要です。
FAQページの改善については、以下の別記事にくわしく解説されていますので、そちらを参考にしてください。
4-4.IVRを導入・改善する
そして4つ目の問題点、「担当につながらずたらい回しされる」を解決するには、IVR(=自動音声応答システム)が有効です。
4-4-1.IVRとは
「IVR(自動音声応答システム)」とは「Interactive Voice Response」の略で、顧客からの電話に対して個々のオペレーターが対応する前に、あらかじめ録音された音声ガイダンスが自動で対応するものです。
たとえば、以下のようなガイダンスが利用され、これによってオペレーターの対応を効率化します。
◎最初に問い合わせ内容を大まかに分類して、担当部署に振り分ける
→「ご契約・ご解約のお申し込みは1を、製品の使用方法に関するお問い合わせは2を、その他のお問い合わせは3を押してください」など
◎呼び出し音の合間に、状況を知らせる
→「ただいまお電話が混みあっておりますので、もう少々お待ちください」など
◎営業時間外に、その旨を知らせる
→「本日の営業は終了いたしました。〇曜日から〇曜日の〇時から〇時の間におかけ直しください」など
IVRを利用することで、オペレーターの対応数を減らすと同時に、顧客の「つながらない」ストレスも軽減されます。
4-4-2.IVR利用のポイント
ただ、「1-1.コンタクトセンター(コールセンター)に対する不満1位は「電話がつながりにくい」」でも解説した電話をかけた際にストレスを感じた方に対し理由の調査では、約4割の顧客が「音声ガイダンスの選択肢が長かった」という回答しています。
そこで、IVRのガイダンスを導入する際には、以下の点に注意しましょう。
・分岐回数をできるだけ減らす
・選択肢の文言を適切でわかりやすいものにし、選択に迷わないようにする
これにより、顧客は簡潔に担当オペレーターに誘導され、待ち時間のストレスも減少するはずです。
5.コンタクトセンター(コールセンター)の待ち時間問題を解決する根本的な方法
これまでは、現状のコンタクトセンター(コールセンター)でどのように待ち時間を短縮できるかということを説明してきましたが、電話における待ち時間をなくすには現状の問い合わせ形態を変えることも有効です。
たとえば、皆さんも活用したことがあるかもしれませんが、Amazonの問い合わせ窓口は基本的に設置型の電話は公開されておらず、アプリやWEBで問い合わせ予約をしたら企業から電話をかけてきてくれる形式を採用しています。
Cotraで調査した【オムニチャネル意識調査2022】でも優れたカスタマーサービスを提供している企業は「amazon」と答えているユーザが40.2%ほどおり、理由の中には「向こうから電話をしてくれ、電話代がかからない」といった声もありました。
このように設置型から予約型に変えることにより、「電話をかけて待たされる」という不満体験をなくすことは可能です。「4-3.セルフ解決サービスを改善・推進する」で紹介しているようにセルフサービスを改善していくことも重要ですが、顧客の中には電話で解決したいと希望される方はいるので、電話は残しつつ、問い合わせ形態を変えていくのが不満体験を解消していく近道になるかもしれません。
オペレーション変更(オペレーター配置とシステム)に関して検討する必要はありますが、トランスコスモスで実現することは可能ですので、興味のある方はご相談ください。
まとめ
いかがでしたか?
コンタクトセンターの待ち時間に関して、知りたいことがよくわかったかと思います。
ではあらためて、記事の要点をまとめてみましょう。
◎コンタクトセンターに対する不満1位は「待ち時間が長い」
◎コンタクトセンターの待ち時間に関わるKPIは、以下の2種に大別される
・接続品質に関するKPI:応答率、放棄呼率、サービスレベル(SL)、平均応答速度(ASA)、話中率
・生産品質に関するKPI:CPH、平均処理時間(AHT)、平均通話時間(ATT)、平均後処理時間(ACW)、稼動率、占有率、平均保留時間(AWT)
◎コンタクトセンターの待ち時間が長くなる4つの原因と解決法は以下
1)対応する人員が少ない→ワークフォースマネジメントを実行する
2)対応が必要以上に長い→応対品質を向上させる
3)自己解決ができない→セルフ解決サービスを改善・推進する
4)担当につながらずたらい回しされる→IVRを導入・改善する
◎コンタクトセンターの待ち時間問題を根本的に解決する
・問い合わせ形態を設置型から予約型に変更する
この記事で、あなたのコンタクトセンターの待ち時間が短縮されるよう願っています。