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コールセンターのマネジメントとは?スーパーバイザーの業務内容、必要スキルを解説

コールセンター マネジメント

「コールセンターのマネジメントって、誰が何をすればいいの?」
「最近スーパーバイザーになったけれど、具体的に何をすればいいのかわからない」

そんな疑問や悩みを抱えているコンタクトセンター(コールセンター)のスタッフの方も多いのではないでしょうか。

コンタクトセンターでのマネジメントはスーパーバイザーが中心となって、以下のような業務を行っています。

■オペレーターの育成
■オペレーターの管理
■モニタリングと指導
■業務改善の提案と実施
■特殊対応・二次対応 など

これらを適切に実行することで、コンタクトセンターの運営を円滑に回していくことがスーパーバイザーの任務です。

ただしコンタクトセンターにおいて誰がマネジメントを行い、どんな業務を進めていくのか知るだけではマネジメント業務を行うのは難しいです。コンタクトセンターにおけるマネジメントのポイント・コツを知ってはじめて、マネジメント業務を円滑に進めていくことができます。

そこでこの記事では、コンタクトセンターのマネジメントについて、特にスーパーバイザーの業務にフォーカスし、まずは、以下の基礎知識から説明します。

◎コンタクトセンターのマネジメントとは何か
◎コンタクトセンターでマネジメントを行う役職

それを踏まえて、

◎スーパーバイザーのマネジメント業務
◎スーパーバイザーのマネジメントに必要な資質・能力
◎スーパーバイザーの指導・教育のポイント
◎スーパーバイザーのマネジメントのポイント

について、詳しく解説していきます。

最後まで読めば、コンタクトセンターのマネジメント、特にスーパーバイザーのマネジメント業務についてよく理解でき、スーパーバイザーとしてマネジメントを行う際のポイントを理解し、実行できるようになるでしょう。

この記事で、あなたがセンターを適切に運営できるよう願っています。

1.コンタクトセンター(コールセンター)のマネジメントとは

一般的に「マネジメント」といえば、「経営管理」「組織運営」を表わします。

では、コンタクトセンター(コールセンター)におけるマネジメントとは、具体的に何を指すのでしょうか?

1-1.「コンタクトセンター(コールセンター)のマネジメント」とは何か

コンタクトセンター(コールセンター)におけるマネジメントとは、コンタクトセンター業務全般を効率的に行うためのさまざまな戦略を立案・実行することです。

コンタクトセンターの成果を上げるために経営資源(ヒト・モノ・カネ)を効率的に活用し、リスク管理をしながら「目標」や「ミッション」の達成を目指します。

例えば、以下のような業務が含まれます。

◎オペレーターの採用・育成
◎オペレーターのモニタリング
◎オペレーターの勤怠管理・モチベーション維持の工夫、人間関係の調整
◎顧客満足度を向上させるための企画提案
◎機会損失をなくすためのセンター改善
◎顧客の声を収集する取り組み

特に近年は、電話の受発信のみを行う「コールセンター」から、メールやチャット、SMS、SNSなど多様なチャンネルを利用して顧客をサポートする「コンタクトセンター」が主流になっているため、マネジメント業務も多様化、複雑化しているのが現状です。

1-2.コンタクトセンター(コールセンター)でマネジメントを行う役職

一般的にコンタクトセンター(コールセンター)においてマネジメント業務を行っている役職は、以下の3つです。

◎センター長
◎マネージャー
◎スーパーバイザー

コンタクトセンターでマネジメントを行う役職

【コンタクトセンターでマネジメント業務を行う職種の各役割一覧】

役職

仕事内容・役割

センター長

・センター全体の目標設定・ミッションの具体化
・方針・目標の決定
・プロジェクト全体の目標設定と進捗の確認
・スーパーバイザーの労務管理
・イレギュラー、クレーム(重度)対応
・本部とのやり取り

マネージャー

・スーパーバイザー、オペレーターの研修・品質管理
・目標設定と進捗報告・収益管理
・イレギュラー、クレーム(軽度)対応
・全体の効率的な稼働
・他部門との連携

スーパーバイザー

・オペレーターのシフト管理
・オペレーターの質問対応
・オペレーターの研修・品質管理
・業務マニュアルの作成
・目標設定と進捗報告・収益管理
業務改善の提案と実施
・特殊対応(VIPなど)・二次対応(クレームなど)

それぞれの役職でどのようにマネジメント業務が変わるのか、以下で詳しく解説します。

センター長

コンタクトセンター全体を統括するのが「センター長」です。センターの運営責任者であり、「センターマネージャー」と呼ばれることもあります。

コンタクトセンターの運営・経営を行います。

センター長は、コンタクトセンターの目標・ゴールを描き、スーパーバイザーやオペレーターなどメンバー全員にそれらを浸透させるのがミッションです。

特にコンタクトセンターは外部のパートナー会社を含むさまざまなメンバーと協力しながら業務運営していく必要があるため、コンタクトセンターに関わる全員が同じ方向を向いて業務を行えるよう業務改善をし、組織改革をしていきます。

具体的には以下の業務を行います。

【センター長の業務一覧】

① オペレーション管理
オペレーターがスムーズに顧客対応できるよう、管理・監督する業務を行います。現場での対応はスーパーバイザーの業務範囲となるため、センター長は中長期的な視点でセンター全体を捉え、職場環境・組織の改善や収益性の向上に取り組みます。

② リスクマネジメント
コンタクトセンターにおけるさまざまなリスクに対応する業務を行います。具体的には、以下のような対応を行っています。

・個人情報の流出や紛失
・自然災害
・ハラスメント
・不正
・予算超過
・オペレーター不足 など

それぞれのリスクを選別、分析して、「回避」「軽減」「転嫁」といった対応方法をあらかじめ決めておくのがリスクマネジメントの基本です。

③ 応対品質管理
コンタクトセンターの業務レベルを維持、向上させるための業務を行います。「応答率」「サービスレベル」「平均応答速度」「稼働率」といった指標をもとに、コンタクトセンター全体の応対品質を分析・評価して、応対品質の管理責任を負っています。ちなみに、現場レベルでの品質管理はスーパーバイザーやチームリーダーが実施しているため、センター長は組織全体の品質の底上げ、安定化といったように、大きな枠組みでの取り組みを行います。

④ 教育・人材育成
オペレーターやスーパーバイザーの教育・人材育成を行います。とくに現場オペレーターの指揮監督を行うスーパーバイザーの採用、教育、育成はセンター全体の生産性や品質を大きく左右するため、重要な業務です。コンタクトセンターの運営方針に従って、スーパーバイザーやオペレーターに対する適切な人材育成方針の策定や、教育計画の整備・実行などを担当します。

⑤ 経営戦略
自社の経営方針に従って、コンタクトセンターの経営戦略を立案し、実行します。近年、コンタクトセンターは単純な問い合わせ応対部署ではなく、顧客満足度向上や収益こu雨情につながる複雑で重要な役割を担っています。そのため、顧客との貴重な接点として、コンタクトセンター内部だけでなく、社内外の関係者と調整や交渉が求められます。

マネージャー

センター長の下で組織を支えるのが「マネージャー」です。

コンタクトセンターの主軸である「オペレーション部門」のトップとして、「オペレーションマネージャー」と呼ばれることもあります。オペレーター全体の管理、指導などを担当します。

マネージャーとスーパーバイザーは業務内容が似ていると言われがちですが、スーパーバイザーがコンタクトセンターの運営を円滑に進めるためにオペレーターの管理を行うのに対して、マネージャーはスーパーバイザーの管理やコールセンター全体の管理を担っており、品質向上や生産性、収益性の向上を目指します

マネージャーは具体的に、以下のような業務を行います。

【マネージャーの業務一覧】

① 業務の現状把握
前日の入電状況、「オペレーターの応答率」といった指標や、スーパーバイザーからの報告内容、提出書類などをもとにして、コンタクトセンター全体の現状把握を行います。必要に応じて現場へ指示を出したり、業務の改善案を作成し、実行します。

② 人材のコントロール
オペレーターやスーパーバイザーの勤務管理や労務管理に携わるだけでなく、個々のスキルや経験、性格を把握したうえで人材の配置を行います。また、人事評価方法や、求める人物像をセンター長へ報告するなど、人事に関わる業務を行うケースもあります。さらには、新人研修の内容や、育成方針を立案する場合もあります。

③ 収支計画の立案
コンタクトセンター運営に関わる支出の管理や、運営に必要なコストの試算、予算内で運営できるように資金を管理するなど、お金に関する管理も行います。「受注率」「コール当たり売上高」などの指標値を使い、各オペレーターがどのくらい利益貢献したのかを把握します。

④ 社内外との折衝
社内の打合せや、外部委託業者との調整など、コンタクトセンターの運営に欠かせない人材の確保や業務の効率化のための調整を行います。本社だけでなく、他部署、他拠点と密に連携を取りながら、課題解決も行います。

⑤ スーパーバイザーの目標設定、進捗確認
各オペレーターを監督するスーパーバイザーの目標を設定し、目標達成に向けてサポートしたり、進捗確認をしたりしながら、スーパーバイザーの管理を行います。また、スーパーバイザーでも対応しきれないような例外対応など、事前に想定されるケースはあらかじめ綿密に検討しながら対策を検討しておくのもマネージャーの仕事です。

大型のコンタクトセンターでは、採用・労務・コスト管理等の中長期マネジメントをセンター長が担当し、高速でPDCAを回し続けるのをマネージャーが担当するなど役割を分けて管理するケースが多いです。

小規模なセンターではこのあと説明するスーパーバイザーとマネージャー業務を兼務するケースもあります。

スーパーバイザー

オペレーション部門はいくつかのチームにわかれていて、各チームを統括するのが「スーパーバイザー」です。実はコンタクトセンターにおいて、実践的なマネジメント業務はこのスーパーバイザーが主軸となって担っています。

具体的には、オペレーターを直接育成・管理したり、日々の応対品質をチェックするためのモニタリングを行ったり、オペレーターが対応しきれなかったクレームに二次対応したりと、その業務は広範にわたります。

詳しくは、次章「2.スーパーバイザーのマネジメント業務」で解説しますので、そちらを参照してください。

以上がコンタクトセンターにおいて主にマネジメントに携わる役職です。

前述したように、一般的には現場のマネジメント業務はスーパーバイザーを中心として回されることが多いため、この記事では次章以降、特に「スーパーバイザーのマネジメント」にフォーカスして解説します。

2.スーパーバイザーのマネジメント業務

実際にスーパーバイザーになった際に、どのようなマネジメント業務があるのでしょうか?

それは非常に多岐にわたりますが、この章では以下5つの業務にわけて説明します。

◎オペレーターの育成
◎オペレーターの管理
◎モニタリングと指導
◎業務改善の提案と実施
◎特殊対応(VIPなど)・二次対応(クレームなど)

それぞれ、見ていきましょう。

2-1.オペレーターの育成

まず、最も重要な業務のひとつに、人材育成があげられます。

スーパーバイザーが育成を担当するのは、

■チームリーダー
■オペレーター

です。

多くのコンタクトセンター(コールセンター)では、通常研修プログラムが用意されていますので、それにしたがって、以下のような研修を随時行います。

◎新人研修
◎既存スタッフのスキルアップ研修
◎新任リーダーのリーダー研修

また、研修内容が実状に即していない、追加したい要素が出てきたなどには、研修内容の改善案を提案もしくは実行します。

業種やセンターの組織形態にもより違いがありますが、スーパーバイザーが実際の育成だけでなく、育成プログラムのアップデートも担当する場合があることを覚えておきましょう。

2-2.オペレーターの管理

オペレーターを多方面から管理するのも重要な業務です。

具体的には、以下のような業務があげられます。

◎勤怠管理:シフト作成、遅刻・欠勤に対する指導など
◎サービス品質管理:顧客応対の質のチェックと向上
◎メンタルヘルス管理:ストレス過多のスタッフとの面談など

なかでもサービス品質の管理については、次項でさらに詳しく説明します。

2-3.モニタリングと指導

コンタクトセンターの業務は顧客対応です。

多くのオペレーターが対応する中で、そのサービスの質を一定以上に保つのはもちろん、日々向上させて顧客満足度を高めていかなければなりません。

そのためにスーパーバイザーもしくはチームリーダーが行う大切な業務として、「モニタリング」があります。

これは、オペレーターそれぞれの対応を記録しておき、スーパーバイザーもしくはチームリーダーがそれを随時チェックして、その評価や改善点をフィードバックするという作業です。

例えば、

◎電話を録音してチェックする
◎メールやチャットの内容をチェックする

といった方法で行います。

言葉遣いに問題はないか、話すスピードは聞き取りやすいか、返答の内容は必要十分で顧客を満足させるものか、などを評価して、課題が見つかったオペレーターには指導をします。

オペレーター個々人の能力にはどうしても差が出てしまいますので、それをできるだけ均質化するよう、マニュアルをもとに指導する必要があるでしょう。

2-4.業務改善の提案と実施

スーパーバイザーのもうひとつの任務として、コンタクトセンターを円滑に運営することがあります。

コンタクトセンターには毎日多数の顧客からの問い合わせが寄せられます。

中には「なかなか連絡がつながらない」「疑問に対して満足する答えが得られない」といった不満を抱く顧客もいるでしょう。

そんな不満の声をできるだけ少なくして、センター全体の顧客満足度を上げるために、業務内容を日々改善して、効率化していく必要があるのです。

できるだけ多くの顧客に、早く・適切な対応をするにはどうすればいいか、オペレーションやマニュアル、トークスクリプトを見直し、改善すべき点があればマネージャーに提案します。

そして、改善案が採用されたらチームリーダーを通じてオペレーターに周知し、適切に実施されるよう管理する、そこまでがスーパーバイザーの業務です。

2-5.特殊対応(VIPなど)・二次対応(クレームなど)

コンタクトセンターに連絡してくる顧客の中には、通常以上の対応が必要なケースもあります。

たとえば、

■特別なお得意様やVIPからの連絡などの特殊対応
■一般のオペレーターでは納得してもらえない苦情の連絡などの二次対応

などです。

この場合、スーパーバイザーが顧客対応を担当する必要があります。

スーパーバイザーは、一般のオペレーターやチームリーダーよりも知識や応対スキルが優れているはずですので、これらの難しい案件の担当も業務の一環です。

3.スーパーバイザーのマネジメントに必要な資質・能力

前章で挙げたように、スーパーバイザー業務は非常に多岐にわたります。

では、それらを遂行するにあたって、どのような資質や能力が求められるのでしょうか?

それは主に以下の6点です。

・コミュニケーション能力
・統率力
・管理能力
・指導力
・判断力
・課題発見力

ただ、これらすべてを兼ね備えているような、完璧なスーパーバイザーはほとんどいないでしょう。

「自分にはこの資質が欠けているから、スーパーバイザーには不適任だ」と悲観せず、できるだけこれらの能力を高められるよう確認していきましょう。

3-1.コミュニケーション能力

第一に、顧客対応を担当するコンタクトセンター(コールセンター)という職場の性質上、コミュニケーション能力は必須です。

多くのオペレーターやチームリーダーの上に立って指導をし、難しいクレーム対応などは自ら担当しなければならないのですから、スーパーバイザー自身が優れた応対スキルを備えていなければなりません。

また、職場の人間関係が悪いとオペレーターの離職率が高くなる恐れがあります。

スタッフの関係性を良好な関係に保つため、オペレーター同士、オペレーターとリーダーの間、オペレーターとマネージャーの間などをうまく取り持つ調整力も必要でしょう。

3-2.統率力

多くのスタッフをまとめることができる統率力も求められます。

スタッフがバラバラに業務を遂行していてもセンターとしていい成果は上げられません。コンタクトセンターのミッションに沿った力が発揮できるようなまとめ方が求められます。

一般的によく言われるポイントとして、指導内容や言動には一貫性をもつことが挙げられます。時により人により言うことが変わるようなスーパーバイザーは、スタッフからの信頼を得られません。

3-3.管理能力

スーパーバイザーの業務の多くは「マネジメント」に関わるため、管理能力も重要です。

大勢いるスタッフの労務管理やシフト管理等が挙げられます。また、応対効率や品質が目標数値に達しているかのKPI管理など、さまざまな数字や人の管理をする必要があります。

3-4.指導力

自身のスキルやノウハウを周囲にうまく伝えることも重要な役割です。

そのため個々の能力や性格を理解した上で、適切な指導ができる能力も欲しいところです。

また、オペレーター間で贔屓などの不公平な扱いをせず、客観的で平等な評価ができる公平性も必要といえます。

3-5.判断力

コンタクトセンターには、顧客から実に多種多様な連絡が入ります。

中には理不尽な要求を繰り返したり、対応困難な問題の解決を求められる場合もあり、通常のマニュアルでは対応しきれないことも発生します。

そんなとき、適切な対応をするのもスーパーバイザーの役目です。顧客を少しでも満足に近づけるにはどうしたらいいか、的確に判断してオペレーターに指示する判断力が求められます。

もし、それでも解決できなければ、スーパーバイザー自身がかわって対応するという判断も必要でしょう。

3-6.課題発見力

最後にもうひとつ、コンタクトセンターの業務全体を円滑に回すこともスーパーバイザーの任務です。

そのため、常にスタッフ・センター全体に目配りし、改善すべき課題や問題があれば早期発見する必要があります。

対応数が目標に達しないオペレーターがいれば、その原因は何かを探り指導する、ストレスを抱えているスタッフがいれば、いち早く気づいて話を聞くなど、問題が深刻化しないうちに早期発見して対処するようにしましょう。

4.スーパーバイザーの指導・教育の2つのポイント     

コンタクトセンター(コールセンター)のマネジメント業務や、スーパーバイザーに求められることを理解したうえで、スーパーバイザーとしてマネジメントのポイント知っておきたいところです。

そこで4章、5章ではスーパーバイザーがマネジメントを行う際のポイントを中心に解説していきます。

まずはスーパーバイザーの指導・教育のポイントについて以下の内容をお伝えします。

①モチベーションを上げる
②部下を注意して成長へ導く

それぞれ見ていきましょう。

4-1.モチベーション管理

スーパーバイザーのマネジメントにおける指導・教育のポイント1つめは「モチベーション管理」です。

スーパーバイザーとしてマネジメントを行っていくなかで、モチベーションを向上させ、より仕事に真剣に向き合ってもらう必要があります。

ご自身でも、人から認めてもらうことで「もっと頑張りたい」「上を目指したい」と感じた経験はありませんか?

たとえ些細なことでも、スーパーバイザーから認めてもらうことでモチベーションが向上し、仕事に対して真摯に打ち込んでもらえることもあります。その結果、各オペレーターの仕事の質を向上することにもつながるでしょう。

以下の5つを意識して、部下を良いところを積極的に評価するようにしましょう。

【心に響く褒め方ポイント】

①成長を見つけて褒める
成長した部分を見つけて、褒めるようにしましょう。他人と比較して褒めるのではなく、「前よりも仕事が早くなった」「ミスなくこなせるようになった」といったように、以前と比べて成長した部分を褒めた方が、自分の努力を評価してもらったと感じてもらうことができます。

②良いところを見つけたらすぐに褒める
リアルタイムではなく、時間が経ってから褒められても伝わりづらくなってしまいます。スタッフの良いところを見かけたら、可能な限りその場で褒めるようにしましょう。

③定型文を多用しないで褒める
定型文の誉め言葉「すごい」「さすが」などは、多用しすぎると相手に気持ちが伝わらず「お世辞で言っているのかな」と感じてしまう可能性もあるでしょう。定型文で褒めるのではなく、「最近は対応件数が増えていて、よく頑張っているね」と具体的に褒めることで、何が褒められている対象なのかが明確になり、「行動の継続・強化をしよう」と前向きな気持ちが生まれやすくなります。

④過程や行動を褒める
目標を達成した結果を褒めることに加えて、その過程を褒めることで、モチベーションを上げることができます。例えば目標が未達成になってしまったとしても「行動量が上がっているのは素晴らしいよ!次は●●を意識していこう」などと、過程で良かったポイントを伝えることで、少しずつ前に進んでいるという実感を持ってもらうことができます。

⑤何度も褒める
人間はたった1回の褒め言葉だけでは、モチベーションを持続させるのは難しいため、繰り返し褒めることで、成功体験を積み重ねてもらいます。そうすることで、だんだんと仕事=自分の力が認められてやりがいのあるもの、と捉えるようになり、モチベーションを保ってもらうことができます。

本人が出した成果だけではなく、前述したように過程や行動を褒めることで、褒めるポイントを見つけやすくなるでしょう。

4-2.注意して成長へ導く

スーパーバイザーのマネジメントにおける指導・教育のポイント2つめは「注意して成長へ導く」ことです。

注意することは、相手の成長を促すために必要です。注意することで自身の問題点や改善点を自覚し、行動改善のきっかけをつくることができます。

たとえば、アウトバウンド業務においてアポイント件数が少ないオペレーターに対して「最近、アポイント件数が減ってしまっているね。架電件数が減ってしまっているけど、何か困ったことなどがあるのかな?あなたの架電時のやり取りに対する改善点と対策をまとめたから、トライしてみてね」と注意することで、本人はその課題を意識して取り組んだり、改善しようと行動を変えるきっかけになったりするでしょう。     

一方で、厳しい指導やプライドを傷つけるような注意の仕方をするとモチベーションが下がってしまうため、注意や指導は特に慎重に行う必要があります。

以下6つのポイントを意識して、注意をすることでモチベーションを下げることなく、「改善しよう」と取り組めるようになります。

【注意する際のポイント】

①主観を入れないようにする
注意する際は、「起こった事実」「行動」に対して注意をするようにしましょう。本人に至らない点があったからといって「あなたはやる気がない」などと、事実と主観を混在させて注意してしまうと、モチベーションを奪いかねません。事実ベースで注意を行うようにしましょう。

②人目のないところで注意する
ほかの人がいるところで注意をしてしまうと、羞恥心を持ってしまい注意の内容が耳に入らない可能性があります。また、周囲の目を気にして、注意を行った上司に対して、怒りや恨みの感情を抱いてしまう可能性もあります。相手の気持ちを考え、注意をする際は人目がないところで注意するように心がけましょう。

③具体的に注意する
なぜ注意しているのか、その内容を具体的に示すようにしましょう。具体的に伝えず注意するだけでは、何が悪かったのか分からず、改善することができません。「後処理に時間がかかって架電件数が少なくなっているから、テンプレートをうまく使ってあと◯件架電を増やそう!」といったように、具体的な内容を示して注意しましょう。

④短時間で注意する
注意する際には、短時間で終わらせることを意識しましょう。長時間になると、集中力が途切れ、内容が正しく伝わらない恐れがあります。簡潔に、短時間で注意することを心がけましょう。

⑤他人と比較して注意しない
注意内容に関係のないプライベートの話を出したり、他のスタッフと比較したりするのはよくありません。人格否定や他者との比較をすることは、仕事のモチベーション低下につながり、仕事全般への意欲に影響を及ぼしてしまう可能性があるので、行わないように心がけましょう。

⑥注意した後はフォローの言葉をかける
注意を受けたスタッフは、注意されたことに対しマイナスな感情を抱きやすく、注意した当日やその後数日間は、マイナスな感情を引きずる可能性があるでしょう。マイナスな感情を長く引きずらないように、注意したあとはフォローの言葉をかけるようにしましょう。例えば「あなたが頑張っているのは知っているから、わからないことがあったら一緒に考えるからね」などのように、マイナスの感情をプラスに変え、仕事に対する意欲を向上させることもスーパーバイザーの重要な役割です。

5.スーパーバイザーのマネジメントの8つのポイント

ここまでで、スーパーバイザーのマネジメント業務とは何か、必要な資質は何かを説明しました。

最後に、スーパーバイザーとしてコンタクトセンター(コールセンター)のマネジメントを行うにあたり、注意しておきたいポイントを挙げておきましょう。

5-1.コンタクトセンターの現状を正確に把握

そもそもコンタクトセンターをマネジメントするためには、まず現状を正確に把握しなければなりません。

ここでいう「現状」とは、

・オペレーションやマニュアルは最適化されているか
・職場環境は快適か
・人員配置は適切か
・応対数などの目標設定に無理はないか
・目標数値は達成されているか
・顧客満足度はどの程度か

など多岐にわたります。これらを正しく認識してはじめて、適切なマネジメントが行えるわけです。

そこで、スーパーバイザーは常にコンタクトセンター全体に目配りをしましょう。数字だけを見ていては、オペレーターそれぞれの抱える問題には気づけません。

逆に、個々のオペレーターへの指導にばかり気をとられていると、センター全体の動きが見えず、改善すべき点を見逃してしまう恐れがあります。

5-2.適切なゴールを策定する

コンタクトセンター全体の現状を正確に把握したら、自社のコンタクトセンターに適切なゴールを決め、評価指標を明確に決めることが重要です。

ゴール設定を行わなければ、スタッフは業務をこなすだけで時間が過ぎてしまいます。

そこで適切に目標を決めてコンタクトセンター全体に掲げることができれば、月ごと、年度ごとの目標達成に向けて各オペレーターがやるべき具体的な行動まで落とし込めるようになります。

コンタクトセンターの目標設定は以下のポイントに沿って決めましょう。

【コンタクトセンターの目標設定のポイント】

◆KGI・KPIを決定する
コンタクトセンターの目標や効果測定は「顧客満足度」「応対品質の向上」など、定量的で測定しづらいため、「KGI(重要目標達成指標)」「KPI(重要業績評価指標)」を指標として決めましょう。

◆KGIは自社の売上貢献に関する、定量的なKGIを設定する
顧客と直接会話できる部署として売上向上に貢献できる方法を探して、定量的なKGIを設定します。

KGIには以下のようなものを設定しましょう。

・顧客満足度 前年比〇%アップ
・顧客ロイヤルティを高めるためNPS®(ネットプロモータースコア)〇点以上
・商品のリピート率を前年比〇%アップ
・アップセル・クロスセル率を前年比〇%アップ
・業務効率化により運営コストを前年比〇%カット

◆KPIはKGIを達成するために、以下の項目から必要なものを設定する
<業務効率を測るKPI>
・後処理時間(顧客対応終了後に行う作業)
・平均処理時間(AHT:1応対にかかる平均処理時間)
・平均通話時間(顧客と通話している時間の平均)
・平均コール価格 (CPC:電話応対1通話にかかるコスト)
・1時間あたりの処理数(CPH)
・稼働率(稼働時間のうち、業務を行っているの時間の割合)

<応対品質を測るKPI>
・平均応答速度(着信があってから応答するまでの平均時間)
・サービスレベル(SL:着信コール数に対し、設定した時間内で応答したコール数の割合)
・応答率(着信呼数に対し、スタッフが対応した数の割合)
・放棄呼率(その日の放棄の数を、その日の総入電数で割ったもの)

<顧客満足度を測るKPI>
・顧客努力指標(CES: 問題解決する際に、どの程度負担を感じたかをスコア化したもの)
・NPS®(顧客ロイヤルティを測定する指標)

各KPIについては算出方法などを別の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。

5-3.決定した評価指標に沿って定量的に評価できるように運用体制を整える

設定した評価の指標(KPI、KGI)に沿って、コンタクトセンターの運用体制を構築します。

コンタクトセンターのKPIやKGIを測定するためには、分析ツールの活用がおすすめです。データ分析ツールを導入すれば、コンタクトセンター運用に必要な指標の分析結果が簡単に作成できます。

さらには多様な指標でさまざまな面から分析を行うことで、コンタクトセンターの長所や短所がわかり、効率の良い運用ができるようになります。

自社のコンタクトセンターの分析・評価については以下の記事でも解説していますので、こちらも参考にしてください。

 

5-4.PDCAを回す

評価指標に沿った運用体制を整え、ツールを導入したら、品質改善のために週次や月次でKPIを確認し、PCDAサイクルを回すようにしましょう。

PDCAとは管理業務や運営業務を継続して改善していく手法のことです。

PDCAを回す

まずは、KPIの集計結果をもとに今週・今月の目標を設定し、オペレーターに目標を共有して計画に従って実践しましょう。そしてKPIを集計して、新たな目標を設定します。

たとえば、「今週は応答率を85%、平均後処理時間を4分以内」という目標を立てた場合を考えてみましょう。

この場合、今週はこの目標に向かってスタッフが一斉に取り組みます。そして1週間を終えたときにKPIを集計し達成率を確認します。再度課題となる部分を洗い出して、改善していくイメージです。

このPDCAサイクルを何度も繰り返していくことで、最終的な目標達成(KGI)に向けて、効率よく改善していけるようになります。

KPIを集計し管理するに留まらず、課題が明確になったら積極的に業務改善を行っていきましょう。

【あわせて読みたい】

以下の記事では、コンタクトセンターにおける業務改善のポイントを解説しています。

ぜひあわせてお読みください。

5-5.スタッフの心のケアを怠らない

スーパーバイザーのマネジメントの中にはKPIやKGIなどの管理だけではなく、スタッフのケアも含まれます。とくに「コンタクトセンターは離職率が高い」と言われます。

その原因はさまざまで、

・クレームなど、ストレスにつながる対応が多い
・マニュアルが複雑で膨大
・目標数値やノルマが厳しい
・長年勤めても、特別な資格やスキルが身につきにくい

などが挙げられますが、なかでもよく指摘されるのは「ストレス」でしょう。

業種や業務内容にもよりますが、インバウンドなら1日に何件ものクレームを処理しなければならなかったり、アウトバウンドでは何件電話しても迷惑そうに切られてしまったりと、心折れる状況に陥ることはよくあります。

それに耐えられず離職するスタッフ、特にオペレーターが多いのです。

離職者が多ければ、頻繁にその補充をする必要が出てきて、新人の採用と教育に手間とコストがかかってしまいます。採用や教育にはチームリーダーなどオペレーターではないスタッフへの負担もかかります。

そのような非効率を避けるため、「オペレーターの離職率を下げる」というのは、コンタクトセンターのマネジメントにおける大きな課題となっているわけです。

そこで、スーパーバイザーにはスタッフの心のケアも求められています。

一人ひとりに目を配り、ストレスが溜まっていそうであれば個別に面談などをして、問題を早期解決してください。

また、日ごろからスタッフ間でよくコミュニケーションをとり、ときにはイベントを企画するなど、職場の雰囲気を快適に保つ努力も必要でしょう。

5-6.最新の研修内容を把握しておく

前述したように、マネジメントの重要な要素のひとつが人材育成です。

オペレーターを適切に教育、指導するためには、スーパーバイザーをはじめとするマネジメント側がまず、研修内容をよく理解しておくべきです。

しかし、「マニュアルを一度覚えたからもう大丈夫」というわけにはいきません。

トークスクリプトやマニュアルは、状況に応じて変更されるので、最新の研修内容を把握しておく必要があります。スーパーバイザー自身が二次対応や特殊対応に乗り出した際に、正しい受け答えができませんし、スタッフに古い内容で指導をして混乱させてしまう恐れもあるからです。

スーパーバイザーは、多忙な中でも自分自身の勉強の時間をつくるよう努めましょう。

5-7.自分の応対スキルを磨く

研修内容を自分の中でアップデートするだけでなく、実践での応対スキルもつねに磨き続けましょう。

例えばスーパーバイザーの二次対応が必要な問い合わせが入った際に、もしも適切な対応ができなかったとしたらどうでしょうか?

オペレーターたちは、そのスーパーバイザーのスキルや指導内容に疑問を持つでしょうし、信頼してついてきてはくれないでしょう。

多数のスタッフをまとめるためには、当然スキルについて信頼してもらう必要があります。

信頼を寄せてもらうためにも、スキルのブラッシュアップは不可欠なのです。

5-8.スーパーバイザーに役立つ資格を取得する

スーパーバイザー業務に役立つ資格、またはコンタクトセンター業務全般に役立つ資格は、主に以下の4つです。

すべてを取得するのは大変だと思いますので、資格の内容を踏まえて自分に必要なものを取得するといいでしょう。

COPC® CX 規格 CSP 版

まず、もっともベーシックな資格として「COPC® CX規格CSP版 推進リーダー資格」というものがあります。

コンタクトセンター運営で必要となるマネジメントを中心としながら、人を介さないサービスの提供チャネルのマネジメントについて実践的な手法や考え方を学べます。

カスタマーサービスが変容していくにつれて、規格内容もバージョンアップしてきており、最近はカスタマーエクスペリエンス規格へと進化をしています。

試験だけでなく、対面研修やオンライン研修なども実施していますので、まずはそれに参加してCOPCをじっくり学ぶところから始めるといいでしょう。

コンタクトセンターのパフォーマンス向上を目的としたマネジメント方法が身につくため、まさにスーパーバイザー業務にうってつけの資格です。

COPC規格については以下の記事でも解説しています。こちらも合わせてご確認ください。

トランスコスモスでは資格取得を推奨しているだけでなく、資格取得者による階層別トレーニング体系を準備し、働くメンバー全員の品質底上げを行っています。

アウトソーサーとして業務を提供するために基本となる品質面の強化だけでなく、今後コンタクトセンター運営で重要になってくる顧客体験価値を高めていくためにどのようなことをやっていくべきかなども研修内容に盛り込まれています。

トランスコスモスの研修や運営に興味がありましたら、一度お問い合わせください。

CSスペシャリスト検定

コンタクトセンターで重要視すべきものとして、電話応対のサービス品質とともに“CS(Customer Satisfaction)=顧客満足”があげられます。

センターにアクセスしてきた顧客をいかに満足させられるか、が求められるのです。

このCSに対する理解度と、CSを高めるための対応力をはかる資格として、一般社団法人CSスペシャリスト検定協会が実施している「CSスペシャリスト検定」というものがあります。

CSは、コンタクトセンターやサービス業に限らず、ビジネス全般に応用できるスキルとして近年ますます重視されていますので、マネジメント業務にも役立つ資格といえるでしょう。

検定には、

◎ベーシックレベル
◎プロフェッショナルレベル
◎スペシャリストレベル

の3つのレベルがあり、ベーシックレベルであっても、

・経営戦略としてのCSを理解できる
・顧客価値を高める顧客対応が実践できる

ことが求められますので、コンタクトセンターでの実践にも、また業務改善や企画立案にも役立てることができそうです。

CCAJ

資格検定ではありませんが、コンタクトセンター業務に特化した研修を行う組織として、一般社団法人 日本コールセンター協会(=CCAJ)があります。

コンタクトセンターのスタッフ向けに、さまざまな研修・講座が用意されていて、中には、

◎スーパーバイザーのマネジメント力向上講座
◎育成スキル向上講座
◎電話応対品質マネジメント
◎コールセンター ストレスマネジメント基礎講座
◎モニタリングの基礎知識と成果のあがるフィードバックスキル など

といった内容を学べるものもあります。

スーパーバイザーに求められるマネジメント力全般から、人材育成やメンタルケアなどピンポイントのテーマまで、「いま自分に必要だ」と感じる事柄を学べます。

また、「モニタリングの基礎知識と成果の上がるフィードバックスキル」は、トランスコスモスのメンバーによる講座になりますので、興味があれば受講してみてください。

まとめ

いかがでしたか?

コンタクトセンター(コールセンター)のマネジメントについて、よく理解できたかと思います。

ではあらためて、記事の要点を振り返ってみましょう。

◎コンタクトセンターで主にマネジメントを担当するのはスーパーバイザー

◎スーパーバイザーのマネジメント業務は、

■オペレーターの育成
■オペレーターの管理
■モニタリングと指導
■業務改善の提案と実施
■特殊対応(VIPなど)・二次対応(クレームなど)

◎スーパーバイザーのマネジメントに必要な資質・能力は、

・コミュニケーション能力
・統率力
・管理能力
・指導力
・判断力
・課題発見力

以上を踏まえて、あなたがコンタクトセンターを円滑にマネジメントできるよう願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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