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カスタマーサポートとは?業務内容や重要な理由を解説

カスタマーサポートとは、電話やメール、チャットなどを使って顧客からのさまざまな問い合わせに対応する問い合わせ窓口のことです。

カスタマーサポートでは、以下の業務に日々取り組みます。

・問い合わせ対応
・顧客管理
・よくある質問などのFAQ作成

カスタマーサポートについてどういった業務なのかを理解するだけでなく、重要な理由やその課題、導入する際のポイントを知っておくことで、自社にとってカスタマーサポートの導入が適しているのかどうか判断できるようになり、事業が好循環するような仕組みをつくるヒントを得られます。

そこでこの記事では以下の内容をお伝えします。

▼この記事の内容

・カスタマーサポートとは
・カスタマーサポートの役割
・カスタマーサポートに求められる能力と向いている人
・カスタマーサポートの導入6ステップ
・カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント

本記事を読むことで、カスタマーサポートについて深い理解が得られるだけでなく、自社に導入すべきかどうか判断でき、導入して成功するためにどのような行動が必要なのかわかります。
ぜひ最後までお読みください。

1.カスタマーサポートの意味・業務内容とは

カスタマーサポートとはどのようなものなのでしょうか。
1章ではカスタマーサポートについての基礎知識を解説していきます。

1-1.カスタマーサポートとは「顧客からの問い合わせ窓口」

カスタマーサポートとは、商品・サービスを提供する企業が設置している、顧客からの問い合わせを受ける窓口のことです。電話やメール、チャットなどを使って、顧客からのさまざまな問い合わせに対応します。

・商品やサービスの利用方法に関する疑問・質問
・故障時のトラブルに関する相談
・苦情 など

上記のとおり、顧客からの問い合わせは多岐にわたります。

カスタマーサポートではこれらの問い合わせに対して解決策を提示したり、フォローを入れたりして、顧客が問題解決し、安心して商品・サービスを利用できるようにする業務なのです。

1-2.カスタマーサポートの業務内容

次にカスタマーサポートの業務内容について解説します。

▼カスタマーサポートの業務内容

・問い合わせ対応
・顧客管理
・よくある質問などのFAQ作成

問い合わせ対応

カスタマーサポートのメイン業務として、顧客への問い合わせ対応があります。

例えば家電メーカーのカスタマーサポートに対して、電子レンジを購入した顧客から、「電子レンジの使い方がわからない。トースター機能を使うにはどうすればいいですか?」と、電話による問い合わせが来た場合、カスタマーサポートでは「トースター機能の使い方」を電話で説明し、電子レンジのトースター機能を使えるように対応を行います。

このようにして、カスタマーサポートでは顧客からの問い合わせに対応する業務を担っています。

顧客管理

顧客管理とは、顧客ごとの個人情報や問い合わせ内容をまとめておく業務のことです。
カスタマーサポートに対して電話やメール、チャットなど、複数チャネルから寄せられる問い合わせを顧客ごとに、以下のようにまとめて管理します。

・氏名
・住所
・電話番号
・メールアドレス
・応対担当者
・過去の問い合わせ履歴(問い合わせ内容・やりとりした内容)
・問い合わせ対応の「未対応」「対応中」「対応済」などのステータス
・購入履歴(契約状況・サービス検討状況など)

このように顧客の情報と対応のステータスを管理しておくことで、オペレーターの誰がどの問い合わせに対応しているのかを、以下のように見える化できます。

・顧客からの問い合わせステータスが「オペレーター未対応」となっている場合、顧客が問い合わせの回答を待っている状態なので、すぐに回答を行う。

・顧客からの問い合わせステータスが「オペレーターA:対応済」となっている場合、すでにほかのオペレーターが顧客への対応を終えている状態なので、対応は不要と判断する。

そのため、顧客に対する対応漏れや二重対応などのミス防止が可能です。

また過去に問い合わせがあった顧客からの再問い合わせのケースや、最初に対応したオペレーターから、別のオペレーターに案件を引き継ぐケースにおいて起こりがちなのが、「顧客が問い合わせ内容を再度説明しなければならない」という状況です。

顧客管理において、問い合わせ内容を都度更新していれば、再問い合わせがあったとしても、担当のオペレーターが変更になったとしても、顧客が改めて質問内容を伝え直さなくてもよくなるため、顧客の心理的ストレスを減らせるだけでなく、応対が長時間化することを防止でき、無駄をなくせます。

よくある質問などのFAQ作成

FAQの作成は、「よくある質問」や、顧客に起こる可能性のあるエラーなどをまとめ、FAQとしてWebサイト上で公開するという業務です。

顧客がカスタマーサポートへ問い合わせをしなくても、自身で問題解決できる仕組みをつくることができ、以下のようなメリットを享受することができます。

◆問い合わせ件数の削減
問い合わせ件数を削減することで、カスタマーサポートの負担を減らし、業務を効率化できます。

◆顧客満足度の向上
顧客が商品・サービスに関して疑問や問題が発生したときにすぐに解決できれば、「カスタマーサポートへ問い合わせて解決策を提示してもらう時間」をかけなくてすむので、手間がかからず、満足度が高まります。

例えばWebサイトにFAQがない家電メーカーの場合、顧客が使用する電子レンジに「エラーコード」が表示されても、メーカーのWebサイトで確認ができないので、カスタマーサポートに問い合わせるしかありません。

どういうエラーなのかすぐに知りたいのにわからない状態というのは、顧客からすると心理的ストレスになり、顧客満足度が下がりかねません。

そこでFAQを用意し、エラーコードごとに電子レンジの状態を示し、故障の可能性があるエラーコードの場合の修理費用や「修理受付窓口」まで掲載しておくと、顧客が、

・「電子レンジが故障している状態なのかどうか確認する」
・「故障の場合、費用はいくらかかるのか確認する」
・「修理の受付をする」

というステップを短時間で済ませることができ、顧客満足度が下がることはないでしょう。
このように、カスタマーサポートは顧客自身で問題が解決できるような仕組みづくりも行っているのです。

カスタマーサポートと間違えられやすい言葉
「カスタマーサクセス」「テクニカルサポート(ヘルプデスク)」との違い

カスタマーサポートとよく間違えられやすい以下2つの職種があります。

カスタマーサポートと以下2つの職種がどう違うのかを理解して、カスタマーサポートについての理解を深めましょう。

▼カスタマーサポートとよく間違えられやすい職種

・カスタマーサクセス
・テクニカルサポート(ヘルプデスク)

【カスタマーサポートとカスタマーサクセスとの違い】

そもそもカスタマーサクセスとは、「顧客が商品・サービスに感じる不満や疑問を先回りして、能動的に顧客にアプローチする活動」のことです。

顧客が商品・サービスにおいて試していない利用方法や機能を知ってもらうことで、サービスの必要性を理解してもらい、「顧客の解約防止」「既存顧客の維持」を可能にします。

Aさんがある企業のグループチャットサービスを最近利用していない場合、サービス提供企業は顧客にメールを送り、「グループチャットサービスにおいてAさんが利用していない便利な機能やサービスの紹介や利用方法」を紹介して、解約を防止するなど、能動的なアプローチを行うのがカスタマーサクセスです。

一方でカスタマーサポートでは、顧客から問い合せが発生してから対応するため、受動的な姿勢になります。能動的な姿勢であることよりも、顧客の感じる疑問や問題に対してサポートを受けたいと感じたときに、的確に対応することが重要と考えるからです。

【カスタマーサポートとテクニカルサポート(ヘルプデスク)との違い】

テクニカルサポートとは、顧客からの「より専門的で、一定分野における問い合わせに対して、応対する部門のことです。ヘルプデスクとも呼ばれています。

一方でカスタマーサポートでは、一定分野の質問に応対するのではなく、商品に対する意見や苦情、各種手続き方法、営業時間などの幅広い問い合わせに応対します。

例えば、ゲーム機器を購入した顧客から「ゲームID・パスワードでのログイン方法がわからない」という質問であれば、カスタマーサポートで応対します。

もし「ゲームの接続や設定などをしたにもかかわらずプレイできない」という内容の問い合わせであった場合、より状況が限定的で専門的な知識が必要になるため、テクニカルサポートでの応対になります。

2.カスタマーサポートの4つの役割

カスタマーサポートは多くの企業に取り入れられていますが、それほど重要視されている理由は何なのでしょうか。

そこで2章ではカスタマーサポートが担う4つの役割をお伝えします。

▼カスタマーサポートの4つの役割

・顧客の抱える課題・問題を解決する
・CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる
・顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行う
・リピート率を向上させる

カスタマーサポートを導入するか迷っている方にとっての判断ポイントにもなりますので、確認しておきましょう。

2-1.顧客の抱える課題・問題を解決する

カスタマーサポートの第一の役割は、顧客が抱えている課題や問題・疑問を解決することです。

顧客から、「使い方がわからない」「この商品がほしい」「使っている商品が壊れてしまった」などさまざまな連絡が入りますので、まずはそれぞれに適切な回答や対応を提供します。

その点で、顧客にとってカスタマーサポートは企業との直接の接点であり、その企業の「顔」であると言えるでしょう。

顧客の抱える課題・問題を解決する際に意識するとよいこと

・企業の「顔」として丁寧な対応をする
・顧客の課題や問題は、迅速かつ適切に解決することを心がける

2-2.CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる

2つめの役割は「CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる」ことです。

「CX(カスタマーエクスペリエンス)」とは?

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、「顧客の体験価値」を意味し、顧客が商品・サービス利用時に感じる満足度や感覚的に感じる価値のことを指します

CXでは、顧客は「商品・サービスそのものの価値」だけでなく、「購入前から購入後のサポートまで、一連の流れにおける体験」にも価値を置くことを重要視しています。

消費者のニーズが多様化し、商品・サービスそのものの価値だけでは差別化が難しくなってきた昨今、顧客の心理的価値をCXによって高めることで他社と差別化ができ、企業の収益拡大に貢献できるのです。

カスタマーサポートの応対品質がよくなるとCXが期待できる

カスタマーサポートでは、問い合わせへの対応を良くすれば良くするほど、顧客の「購入前から購入後の体験」において満足感は大きくなり、CX向上に有効です。

例えばカスタマーサポートのオペレーターが、問い合わせ内容をスムーズに解決できず、長い時間顧客を待たせてしまった場合、顧客は不満を感じてしまうのはイメージしやすいでしょう。この場合、CXは低下してしまいます。

一方で、問い合わせ内容をスピーディに解決し、顧客を長時間待たせないように心がけると、顧客は「わからないことをすぐに解決できた」という体験に満足し、CXが向上します。

このように、カスタマーサポートでは対応品質を良くすることで、CXは向上し、ひいては企業の収益拡大に貢献できるのです。

ちなみに、カスタマーサポートにおけるCX向上には、

・電話がすぐにつながり、顧客が長時間待たされることがない
・問い合わせに対する対応がスピーディ
・顧客にわかりやすく説明をする
・問い合わせ手段が選択できる

といった状況を作り出すことが重要です。

CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる際に意識するとよいこと

・顧客対応は丁寧なだけでなく、スピード感も重視する
・顧客にとってのわかりやすさ、利用しやすさを意識する
・オペレーターごとの応対品質が均質になるよう努める

2-3.顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行う

3つめの理由は「顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行う」ことです。

カスタマーサポートでは日常的に顧客と直接コミュニケーションをとっているため、顧客の生の声を日々受け取っています。

カスタマーサポートに問い合わせる場合、困りごとがあって連絡をしているので、自社商品・サービスへの意見が集まりやすくなっているのです。

そこで、そうした自社商品・サービスに対する顧客の意見を集めて、商品・サービスごとに分類すれば、自社商品・サービスに対する課題点・改善点が浮き彫りになります。

そして、商品・サービス開発部門に情報を共有することで、顧客の声を生かした改善・開発が可能になります。

例えば、カスタマーサポートに対して「商品Aの機能がありすぎて、使いづらい」という意見が多く寄せられていた場合、この意見を開発部門に共有することで、「商品Aの機能を減らして本当にニーズのある機能だけに絞ろう」といった改善策を打ち出し、商品の改善に活かすことができます。

顧客の声を反映して商品・サービスが改善できれば、顧客にとって自社商品・サービスの価値が高まるため、結果的に顧客を維持できたり、満足度が向上できたりし、ひいては収益増加につながります。

カスタマーサポートは顧客の声を集めることができるため、顧客の声を反映した商品・サービスの改善・開発に協力できるのです。

顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行う際に意識するとよいこと

・顧客が本当に言いたいこと、真意、隠されたニーズを汲み取るよう努める
・開発部署や営業部署などと部署横断的に連携し、情報を共有する

2-4.リピート率を向上させる

4つめは「リピート率を向上させる」ことです。

顧客の疑問や不満などの問い合わせに対して、スピーディかつ、適切に対応して解決をすることができれば、商品・サービス、そして企業に対する信頼につながるため、結果的にリピート率が向上するのです。

例えば「Webサービスを利用したいが、ログインできない」という顧客からの問い合わせの際、顧客はせっかくサービス利用を始めたいのに、スムーズにいかないことに心理的ストレスを感じています。

そこで「ログインできない原因」を迅速に突き止め「ログインするための方法」を素早く提示できれば、問題がスムーズに解決できたことに顧客は満足し、サービスやその企業に対して信頼感が芽生えるでしょう。そして、サービスを今後も継続したいと感じてもらえるのです。

このようにリピート率が向上すれば、ひいては収益の安定・増加が見込めるため、カスタマーサポートは重要視されています。

リピート率を向上させる際に意識するとよいこと

・顧客の疑問や要望には最後までしっかり応え、信頼度を高める
・新規顧客の獲得とは別に、既存顧客のフォローも手厚くする

3.カスタマーサポートに求められる能力と向いている人

このように、企業にとって重要な役割を担うカスタマーサポートですが、ではこの業務を行う従業員にはどのような能力が必要でしょうか?

それは以下の4点です。

・コミュニケーション能力
・傾聴力
・対応力
・事務処理能力

3-1.コミュニケーション能力

第一に、カスタマーサポートは顧客と直接対話する窓口ですので、オペレーターにはコミュニケーション能力が求められます。

連絡してくる顧客は、年齢、性別、性格など千差万別です。

そのため、マニュアルやトークスクリプトに従っているだけでは対応しきれない場合もあり、顧客それぞれに合わせた会話、コミュニケーションが必要になるでしょう。

向いている人

・人と話すのが好きな人
・普段の言葉づかいがきれいな人
・ビジネスマナーが身についている人
・協調性がある人

3-2.傾聴力

また、顧客の話をじっくり聞く力、傾聴力も重要です。

というのも、カスタマーサポートに連絡してくる顧客は、何か困っていたり不満があったり、中には怒っていたりと、冷静ではない人も多いからです。

そこでまずは、こちらが言いたいことを伝えるより、相手の話をじっくり聞く必要があります。

混乱してうまく説明できない人や、怒りの感情をぶつけてくる人の言葉にも耳を傾け、言いたいことを汲み取り、気持ちに共感することができれば、相手も徐々に落ち着いて話ができるようになるでしょう。

向いている人

・人の話を聞くのが好きな人
・人の話を頭の中で素早く整理して、理解することができる人
・人の役に立つことに喜びを感じる人

3-3.対応力

さらに、どんなことが起きても臨機応変に対処できる対応力も必要です。

一般的にカスタマーサポートには、マニュアルやトークスクリプトが用意されていますので、それに従って顧客対応しますが、マニュアル通りにいかないこともしばしば生じます。

想定外の質問をされた場合に、慌ててしまったり「わかりません」で終わらせるのではなく、「確認します」「担当部署にお繋ぎします」など、柔軟な対応ができる人が適していると言えるでしょう。

向いている人

・冷静で、多少のことには動じない人
・ネガティブなことを引きずらず、気持ちの切り替えができる人

3-4.事務処理能力

さらに、事務処理能力も求められます。

多くのカスタマーサポートでは顧客対応1件ごとに、顧客情報や応対内容などをシステムに対応結果を入力する必要があるからです。

カスタマーサポートに集まってくる情報は、顧客の個人情報や問い合わせ内容、注文数など貴重なデータばかりです。多くの企業では、これらのデータを収集、分析して施策の立案やマーケティングに活用しています。

そのため、カスタマーサポートのスタッフは、これらの情報を迅速かつ正確に記録する必要があるのです。

向いている人

・パソコン操作が得意な人
・タイピングが早い人
・事務処理に慣れている人

4.カスタマーサポートの導入6ステップ

カスタマーサポートを導入するべきか判断する際、その導入ステップも気になるところです。
そこで4章では、カスタマーサポートの導入の流れを6ステップで解説します。

▼カスタマーサポートの導入6ステップ

・【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める
・【ステップ②】カスタマーサポート運営のプランを決める
・【ステップ③】カスタマーサポートのインフラ/システムを構築する
・【ステップ④】各種マニュアルを作成する
・【ステップ⑤】必要なスタッフを確保(採用)する
・【ステップ⑥】スタッフを育成する

4-1.【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める

ステップ①は「カスタマーサポートの目的・ゴールを決める」ことです。

現状はどのような状態なのか、そしてあるべき姿はどのような状態なのか、何を実現したいのかを具体的に決めていきます。

▼目的・ゴールの設定例

・カスタマーサポートに対する顧客満足度を向上させて、サービスの解約率を下げたい
・社内業務の効率化を行い、企業の生産性を向上させたい
・カスタマーサポートから直接顧客へアプローチし、売上アップさせたい

何を実現させるのかはカスタマーサポートを導入する目的によって違ったものになります。

そのため目的・ゴールが曖昧であると、その場その場で運営方針にブレが生じ、結果的に顧客満足度の低下やオペレーターのモチベーション低下につながります。

具体化された目的・ゴールを明文化するようにしましょう。

4-2.【ステップ②】カスタマーサポート運営のプランを決める

ステップ②は「カスタマーサポート運営のプランを決める」ことです。

カスタマーサポート運営に向けた具体的な以下4つのプランを計画していきます。

▼カスタマーサポート運営のために計画するべき4つのプラン

・業務プロセスを決定する
・マネジメント体制・管理方法を決定する
・カスタマーサポートの立ち上げに必要な人員体制を明確化する
・人材育成プランを設計する

業務プロセスを決定する

カスタマーサポート運営のプランを決める際、はじめに業務プロセスを決定します。

あらかじめ業務プロセスを明らかにしておくことで、このあとに行う「マネジメント体制・管理方法の設計」や「組織体制の明確化」で、洗い出すべき項目がイメージしやすくなります。

例えば、以下のようにオペレーターの業務フローを洗い出して、具体的な業務プロセスを決定していきましょう。

▼例(オペレーターの業務フロー)

・一日をどのような業務フローで働いてもらうか
・各オペレーターにどのように業務担当を割り振るのか
・定期報告の方法や頻度をどうするか
・イレギュラーな案件にはどのように対応するか

できるだけ、カスタマーサポートを立ち上げた後に想定される業務プロセスをすべて洗い出します。業務フローを洗い出したら、具体的にどう対応するかまで検討して、業務プロセスを設計していきます。

細かい業務フローまで想定して洗い出し、対応策まで設定することで、具体的な業務プロセスを設計できるでしょう。

マネジメント体制・管理方法を決定する

次に「マネジメント体制・管理方法の決定」を行います。

業務プロセスを詳細に決めても、決めた手順のとおりに行われるようにしなければ、カスタマーサポート導入のメリットを享受することはできません。そのため、業務プロセスがしっかりと手順通りに行われているかどうか、マネジメントするための体制を整える必要があるのです。

具体的には、業務プロセスを上手く回すために必要となる管理項目を洗い出し、運用がうまくいっているか判断するために適正な数値を設定し、マネジメント体制を整えます。

例えば、

・電話の処理時間
・電話対応件数
・顧客からの評価
・オペレーターの稼働率

など、具体的な管理項目とその数値目標を設定し、カスタマーサポートの運営が問題なく行えているかを判断するための指標を決めましょう。

以下の記事ではコールセンターのマネジメントについてご紹介しており、カスタマーサポートを導入する際にも参考になりますので、ぜひ読んでみてください。

カスタマーサポートの立ち上げに必要な人員体制を明確化する

次に「カスタマーサポートの立ち上げに必要な人員体制を明確化」します。

「業務プロセスの決定」と「マネジメント設計」で設定した項目を、確実にスムーズに履行するために、人員体制を明確化する必要があります。

ここまでに洗い出した項目を基に、カスタマーサポートの立ち上げに必要な工数を計算し、構築に必要となる組織体制(人員配備)を考えます。運用時に必要となる人員だけでなく、立ち上げ時に必要となる人員も同時に考えましょう。

【立ち上げ時】

・システム設計・構築やマニュアル作成などの実際の作業を誰が担当するか
・何名で、どのようなチーム体制で構築を進めるか
・どのように役割分担を行って進めていくか

【運用時】

・カスタマーサポートのオペレーターは何名必要になるか
・現場でマネジメントを行う人員は何名配置するか
・繁忙期など時期や期間によって追加人員が必要になるか

▼組織体制を考える際のポイント

◆最初に設定した目的やゴールを考慮して考えること
カスタマーサポートを立ち上げることで実現したい内容を明確にすることで、そのために必要な組織の人数もおのずと決まります。

例えば最低限のリソースでまかなうような問い合わせ窓口を作るならば、オペレーターやマネジメント要員は数人で済みます。数人のオペレーターを採用し、別部署の社員にマネージャーを兼務してもらうなどで対応できるかもしれません。

しかし、企業の売上アップに寄与するような顧客の声を反映し満足度を上げるカスタマーサポートを立ち上げたいならば、工数を計算してみると膨大になり、場合によってはアウトソーシングが最適と判断することもあるでしょう。

具体的な構築に向けて、しっかりと必要なリソースを確認していきましょう。

人材育成プランを設計する

次に「人材育成プランの設計」を行いましょう。

具体的には、カスタマーサポートのオペレーターやマネジメントを行う担当者の人材育成プラン(教育プラン)を設計します。

設定した目標を達成するための組織体制やマネジメント体制を整えるために、

・どのくらいの育成期間がかかるか
・どのような教育内容が必要か

を考えていきます。

規模が大きいカスタマーサポートや目標値が高いカスタマーサポートの場合は特に、管理者を育成または採用する時間やコストを多めに取っておくと良いでしょう。

カスタマーサポートをアウトソーシングする場合は、管理経験者を保有していることがほとんどなので、内製カスタマーサポートよりも期間とコストの短縮が見込まれます。

4-3.【ステップ③】カスタマーサポートのインフラ/システムを構築する

ステップ③は「カスタマーサポートのインフラ/システムを構築」します。

カスタマーサポートの運営に必須のシステムや機器類の導入・設定、運用方法を決めて、構築作業を行うフェーズです。

カスタマーサポートでは、以下のインフラ/システムの導入が必須です。以下を参考にしながら、自社のカスタマーサポートにとって必要なインフラ・システムを決定しましょう。

システム/インフラ

説明

電話(PBX)設置

電話回線・ヘッドセット・PBX(電話交換機)を必要数用意し、アナウンス、通話録音などの設定を行います。

ネットワーク設計

自社のネットワークセキュリティポリシーの要件に合うネットワーク設計を進めます。

施設備品の手配

カスタマーサポートの拠点となる場所や施設の席数、文房具、コピー機など、の備品を手配します。工事スケジュールに沿って準備を進めていきます。

CRM(顧客情報管理)ツールの準備

顧客情報管理ツールを用意します。そして現場のオペレーター目線で使いやすさを検証しながら、各種情報の設定を行います。管理者とオペレーターの権限設定も行い、動作を検証します。

ノンボイスサービスの準備

電話以外のノンボイスサービス(Webチャット、メッセージングアプリなど)を導入し、各種ツール準備と導線設定を行います。ノンボイスサービスは準備しなくてもカスタマーサポートは運営できますが、業務効率化が見込めるので、おすすめです。

運用利用ツールの準備

運用で必要となるシステム(オペレーターの勤怠管理ツール、業務結果分析ツール)を準備しておきます。

カスタマーサポートのシステムについてさらに詳しく知りたい方は、以下記事を参考にしてください。

4-4.【ステップ④】各種マニュアルを作成する

ステップ④は「各種マニュアルを作成する」ことです。

カスタマーサポート立ち上げ時には、ハードウェアやソフトウェアといった物理的な準備とともに、各種マニュアルの用意も必要です。

なぜなら、以下のようなメリットがあるためです。

・オペレーター向けのマニュアルがあることで応対品質を一定に保つことができる
・スーパーバイザー向けのマニュアルがあることで効果的な人材育成方法を統一して行ってもらうことができる
・システムの操作方法を示すマニュアルがあれば、業務中に操作などに効率的に業務をすすめられる

以下を参考にマニュアルを用意しておきましょう。

▼カスタマーサポート立ち上げ時に作成するべきマニュアル

◆オペレーター向け
現場オペレーター向けの応対マニュアルです。電話応対における受け答えをまとめた「トークスクリプト」やFAQなども用意しておくと安心です。

◆スーパーバイザー向け
顧客からの問い合わせなどを担当部署へエスカレーションするマニュアルや、人材育成マニュアル、オペレーターのシフト管理手順マニュアル、カスタマーサポートの品質管理関連・評価マニュアルなどが必要です。

◆システム操作マニュアル
パソコンの操作方法や、オペレーターが使用するFAQ、CRMシステムがあればシステムごとにマニュアルを用意しましょう。システム操作マニュアルは管理者向けも作成する必要があります。

コンタクトセンター(コールセンター)のマニュアルについては以下の記事で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

4-5.【ステップ⑤】必要なスタッフを確保(採用)する

ステップ⑤は「必要なスタッフを確保(採用)する」ことです。

マニュアルを用意できたら、オペレーターなどの人材を配置していくフェーズに入ります。ステップ②で決めた人員体制をもとに、必要な人数のスタッフを確保しましょう。

スタッフを確保する方法としては、

・社内から集める方法
・新たに人材を採用する方法

があります。

ある程度規模が大きなカスタマーサポートを立ち上げるのであれば、現場オペレーターは新しく採用することになるでしょう。

人材不足が常態化しているコンタクトセンター(コールセンター)業界では、採用競争が激化しています。優秀なスタッフを確保するためには、応募者に選ばれる魅力的な条件や労働環境、業務内容をアピールすることが大切です。

4-6.【ステップ⑥】スタッフを育成する

ステップ⑥は「スタッフを育成する」ことです。

人材が確保できたら、オペレーターや管理者に向けた研修を実施し、実際のカスタマーサポート運営に向けてスタッフを育成していきます。そのために必要な研修プログラム、研修で使用するテキスト、マニュアルなども事前に用意しておく必要があります。

▼カスタマーサポート立ち上げ前に実施する研修例

応対品質研修

話の聞き方、敬語の使い方、ビジネスマナーなど基本的な応対品質を身につけるための研修

業務内容研修

企業概要や商品・サービスの内容を学ぶ研修

システム研修

対応に利用するシステムやツールの使い方や、ルールを学ぶ研修

情報セキュリティ研修

情報セキュリティについて気をつけるポイントを学ぶ研修

コンプライアンス

企業が定めるコンプライアンスを遵守するための研修

OJT研修

座学が終わった後に、現場で実際に行う研修

スキルアップ研修

すでに現場に出たことがある経験者向けの研修

管理者向け研修

現場でのエスカレーション対応、オペレーターの育成方法などについての研修

研修内容のわかりやすさや充実度が、カスタマーサポートのオペレーターの定着率に直結します。丁寧に研修を行うことはもちろんのこと、毎日座学では研修生が飽きてしまうため、工夫をこらしながら即戦力となるスタッフを育成していきましょう。

コンタクトセンター(コールセンター)の立ち上げについては別の記事で詳しく解説しています。カスタマーサポートについても同様です。ぜひこちらも参考にしてください。

5.カスタマーサポートを導入して成功するための4つのポイント

カスタマーサポートを導入すると決めた場合、自社の事業の成功に貢献するような部門にしたいと思うのではないでしょうか。

5章ではカスタマーサポートを導入して成功するためのポイントとして以下の4つをご紹介します。

▼カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント

・顧客対応のマニュアルを作成する
・顧客のニーズに先回りして問い合わせ件数を削減する
・定期的に研修・勉強会を実施する
・チャットやチャットボットを導入する

5-1.顧客対応のマニュアルを作成する

1つ目のポイントは、前述したように「顧客対応のマニュアルを作成する」ことです。

カスタマーサポートは、直接顧客と対話する業務ですので、オペレーターによって応対の内容や質に差が出やすいという難点があります。

これをできるだけ解消し、どのスタッフでも均質な対応をするためには、共通のマニュアルやトークスクリプトが有効です。これまでの顧客対応の記録からよくある問い合わせをピックアップし、それに対してベストだった回答、解決法を共有してください。

また、マニュアルができたら、オペレーター同士でロールプレイングをするなどして、その内容を徹底するとよいでしょう。

5-2.顧客のニーズに先回りして問い合わせ件数を削減する

2つ目のポイントは、「顧客のニーズに先回りして問い合わせ件数を削減する」ことです。

カスタマーサポートでは、顧客の問い合わせに丁寧に応対して、問題を解決することで顧客満足度の向上を図っています。

しかし、問い合わせ件数が多いと対応しきれなかったり、丁寧な対応ができなかったりすることで逆に顧客満足度が下がってしまう恐れもあります。

そこで、問い合わせ件数を減らす工夫も必要です。

そのためには、まず顧客がカスタマーサポートに何を望んでいるのか、何をして欲しいと思っているのかを先回りして想定し、

・どんな問い合わせ、問題も迅速に解決できるよう、マニュアルを改善する
・公式サイトに「よくある質問」のFAQを掲載し、顧客がカスタマーサポートに連絡しなくても自己解決できる確率を上げる

といった対策をとるといいでしょう。

5-3.定期的に研修・勉強会を実施する

3つ目のポイントは「定期的に研修・勉強会を実施する」ということです。

顧客に対し、適切な解決方法をスピーディに提示するためには、商品・サービスの使い方や不具合の解消方法などを詳しく知っておく必要があります。

さらに1人だけでなく、オペレーター全員の知識レベルを揃えておかないと、オペレーターによってスピードや知識量に差が出てしまい、全員がスピーディで適切な対応ができないのです。

例えば、ある商品の使い方がわからないという問い合わせがきた場合を考えてみましょう。

・カスタマーサポートに問い合わせが来てからその都度、商品の使い方を調べて回答していたら、顧客は回答してもらえるまで待たなければいけない。

・カスタマーサポートにおける1件あたりの対応時間が長くなるので、1日の対応件数が減って顧客からの問い合わせすべてに対応しきれなくなり、「なかなか電話がつながらない」というようなネガティブな意見を顧客から持たれてしまうリスクがある

一方で、研修や勉強会で商品・サービスの知識を身に着けておけば、顧客から商品の使い方について質問されてもスムーズに回答でき、顧客に満足してもらえ、CX(カスタマーエクスペリエンス)は向上が期待できます。

また、カスタマーサポートにおける1件あたりの対応時間も短縮できるので、1日あたりの対応件数を増やせるようになり、より多くの顧客の問題を解決できるようになります。

商品・サービスの使い方や不具合の解消方法などについて、常に最新の情報を把握できるよう、営業部や商品企画部、開発部など、部門をまたいで定期的に勉強会を行うようにしましょう。

5-4.問い合わせチャネルを拡充する

4つめのポイントは電話やメールだけでなくチャットやチャットボットなどチャネルを拡充するということです。

例えばチャットはいつでも気軽に問い合わせでき、テキストコミュニケーションで問題を解決できます。電話のように会話に集中する必要がないので、自分の好きなタイミングで問題が解決できるので、電話のみでサポート提供している窓口に比べて、CX向上が期待できるのです。

以下のグラフは「消費者の企業とのコミュニケーションチャネルの利用実態」を調査したもので、近年、スマートフォンの普及により消費者と企業のコミュニケーションチャネルもデジタル化が進んでいることがわかります。

チャンネル別利用経験率の推移

出典:消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2023-2024

同調査によると、消費者の20%は電話を不要と考えており、コンタクトセンター(コールセンター)のつながりにくさや、たらい回しによる二度手間の改善を求めていることがわかりました。

それらの改善要望に企業側が十分に応えきれないのであれば、チャット等のテキストコミュニケーションに誘導することがよいでしょう。

電話を不要と考える消費者の割合とチャット誘導の可能性

出典:消費者と企業のコミュニケーション実態調査 2023-2024

カスタマーサポートでもチャットやメッセージアプリ、または自己解決を促進するためにチャットボットやFAQを拡充させることで、そうした顧客のストレスを緩和させ、満足度を高めてもらいやすくなります。

トランスコスモスでは、「DEC Support」というツールを保有しており、カスタマーサポートにおいてチャットコミュニケーションへの対応とチャットボットでのセルフサービスの提供を実現しています。

「Dec Support」ではLINEやWebチャット、Facebook Messengerなどに対応しており、チャットボットのサービスにおいても、用途に応じて以下の3つのチャットボットから自由に選択が可能です。

「Dec Support」が対応している3つのチャットボット

さらには、「Dec Support」では「ボット分析」という機能があります。これは、チャットボットのシナリオを改善しやすく、FAQの内容を改善できるため、チャットにおけるお問い合わせ解決率の向上が可能になっています。

カスタマーサポートを開設する際には、ぜひ一度トランスコスモスの「Dec Support」の導入をご検討ください。

まとめ

 

この記事ではカスタマーサポートの基礎知識や、重要な理由、導入時の課題、導入ポイントなどをお伝えしました。

ここで改めてこの記事の内容をおさらいしましょう。

◆カスタマーサポートとは「顧客からの問い合わせ窓口」

◆カスタマーサポートの業務内容

・問い合わせ対応
・顧客管理
・よくある質問などのFAQ作成

◆カスタマーサポートの役割

・顧客の抱える課題・問題を解決する
・CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上させる
・リピート率を向上させる

◆カスタマーサポートの導入6ステップ

・【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める
・【ステップ②】構築に向けたプランを設計する
・【ステップ③】カスタマーサポートのシステムを構築する
・【ステップ④】各種マニュアルを作成する
・【ステップ⑤】必要なスタッフを確保(採用)する
・【ステップ⑥】スタッフを育成する

◆カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント

・顧客対応のマニュアルを作成する
・顧客ニーズに先回りして問い合わせ件数を削減する
・定期的に研修・勉強会を実施する
・問い合わせチャネルを拡充する

カスタマーサポートの導入について、導入するかどうかしっかり検討をしましょう。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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