
カスタマーサポートとは、電話やメール、チャットなどを使って顧客からのさまざまな問い合わせに対応する問い合わせ窓口のことです。
カスタマーサポートでは、以下の業務に日々取り組みます。
・問い合わせ対応 |
カスタマーサポートについてどういった業務なのかを理解するだけでなく、重要な理由やその課題、導入する際のポイントを知っておくことで、自社にとってカスタマーサポートの導入が適しているのかどうか判断できるようになり、事業が好循環するような仕組みをつくるヒントを得られます。
そこでこの記事では以下の内容をお伝えします。
▼この記事の内容 ・カスタマーサポートとは |
本記事を読むことで、カスタマーサポートについて深い理解が得られるだけでなく、自社に導入すべきかどうか判断でき、導入して成功するためにどのような行動が必要なのかわかります。
ぜひ最後までお読みください。
目次
1.カスタマーサポートとは
カスタマーサポートとはどのようなものなのでしょうか。
1章ではカスタマーサポートについての基礎知識を解説していきます。
1-1.カスタマーサポートとは「顧客からの問い合わせ窓口」
カスタマーサポートとは、商品・サービスを提供する企業が設置している、顧客からの問い合わせ窓口のことです。電話やメール、チャットなどを使って、顧客からのさまざまな問い合わせに対応します。
たとえば、
- 商品やサービスの利用方法に関する疑問・質問
- 苦情
- 故障時のトラブルに関する相談
など、顧客からの問い合わせは多岐にわたります。
カスタマーサポートではこれらの問い合わせに対して解決策を提示したり、フォローを入れたりして、顧客が問題解決し、安心して商品・サービスを利用できるようにする業務なのです。
1-2.カスタマーサポートの業務内容
次にカスタマーサポートの業務内容について解説します。
▼カスタマーサポートの業務内容 ・問い合わせ対応 |
問い合わせ対応
カスタマーサポートのメイン業務として、顧客への問い合わせ対応があります。
たとえば家電メーカーのカスタマーサポートに対して、電子レンジを購入した顧客から、「電子レンジの使い方がわからない。トースター機能を使うにはどうすればいいですか?」と、電話による問い合わせが来た場合、カスタマーサポートでは「トースター機能の使い方」を電話で説明し、電子レンジのトースター機能を使えるように対応を行います。
このようにして、カスタマーサポートでは顧客からの問い合わせに対応する業務を担っています。
顧客管理
顧客管理とは、顧客ごとの個人情報や問い合わせ内容をまとめておく業務のことです。
カスタマーサポートに対して電話やメール、チャットなど、複数チャネルから寄せられる問い合わせを顧客ごとに、以下のようにまとめて管理します。
- 氏名
- 住所
- 電話番号
- メールアドレス
- 応対担当者
- 過去の問い合わせ履歴(問い合わせ内容・やりとりした内容)
- 問い合わせ対応の「未対応」「対応中」「対応済」などのステータス
- 購入履歴(契約状況・サービス検討状況など)
このように顧客の情報と対応のステータスを管理しておくことで、オペレーターの誰がどの問い合わせに対応しているのかを、以下のように見える化できます。
・顧客からの問い合わせステータスが「オペレーター未対応」となっている場合、顧客が問い合わせの回答を待っている状態なので、すぐに回答を行う。 |
そのため、顧客に対する対応漏れや二重対応などのミス防止が可能です。
また過去に問い合わせがあった顧客からの再問い合わせのケースや、最初に対応したオペレーターから、別のオペレーターに案件を引き継ぐケースにおいて起こりがちなのが、「顧客が問い合わせ内容を再度説明しなければならない」という状況です。
顧客管理において、問い合わせ内容を都度更新していれば、再問い合わせがあったとしても、担当のオペレーターが変更になったとしても、顧客がわざわざ質問内容を伝え直さなくてもよくなるため、顧客の心理的ストレスを減らせるだけでなく、応対が長時間化することを防止でき、無駄をなくせます。
よくある質問などのFAQ作成
FAQの作成は、問い合わせが多い「よくある質問」や、顧客に起こる可能性のあるエラーなどをまとめ、FAQとしてWEBサイト上で公開するという業務です。
顧客が電話やメールで問い合わせを行わなくても、自身で問題解決できる仕組みをつくることができ、以下のようなメリットを享受することができます。
◆問い合わせ件数の削減 ◆顧客満足度の向上 |
たとえばFAQがない家電メーカーの場合、顧客が使用する電子レンジに「エラーコード」が表示されても、メーカーのサイトで確認ができないので、カスタマーサポートに問い合わせるしかありません。
どういうエラーなのかすぐに知りたいのにわからない状態というのは、顧客からすると心理的ストレスになり、顧客満足度が下がりかねません。
そこでFAQを用意し、エラーコードごとに電子レンジの状態を示し、故障の可能性があるエラーコードの場合の修理費用や「修理受付窓口」まで掲載しておくと、顧客が、
- 「電子レンジが故障している状態なのかどうか確認する」
- 「故障の場合、費用はいくらかかるのか確認する」
- 「修理の受付をする」
というステップを短時間で済ませることができ、顧客満足度が下がることはないでしょう。
このように、カスタマーサポートは顧客自身で問題が解決できるような仕組みづくりも行っているのです。
1-3.カスタマーサポートと間違えられやすい職種との違い
カスタマーサポートとよく間違えられやすい以下2つの職種があります。
カスタマーサポートと以下2つの職種がどう違うのかを理解して、カスタマーサポートについての理解を深めましょう。
▼カスタマーサポートとよく間違えられやすい職種 ・カスタマーサクセス |
カスタマーサポートとカスタマーサクセスとの違い
カスタマーサポートとカスタマーサクセスの違いは、「取り組む姿勢」にあります。
そもそもカスタマーサクセスとは、「顧客が商品・サービスに感じる不満や疑問を先回りして、能動的に顧客にアプローチする活動」のことです。
顧客が商品・サービスにおいて試していない利用方法や機能を知ってもらうことで、サービスの必要性を理解してもらい、「顧客の解約防止」「既存顧客の維持」を可能にします。
たとえばAさんがあるグループチャットサービスを最近利用していない場合、サービス提供企業は顧客にメールを送り、「グループチャットサービスにおいてAさんが利用していない便利な機能やサービスの紹介や利用方法」を紹介して、解約を防止するなど、能動的なアプローチを行うのがカスタマーサクセスです。
一方でカスタマーサポートでは、顧客から問い合せが発生してから対応するため、受動的な姿勢になります。能動的な姿勢であることよりも、顧客の感じる疑問や問題に対してサポートを受けたいと感じたときに、的確に対応することが重要と考えるからです。
カスタマーサポートとヘルプデスクとの違い
カスタマーサポートとヘルプデスクの違いは、対応内容の範囲です。
ヘルプデスクとは、顧客からの「より専門的で、一定分野における問い合わせに対して、応対する部門のことです。
カスタマーサポートでヒアリングした結果、より専門性の高い応対が必要だと判断された場合に、ヘルプデスクへ引き継ぎます。
一方でカスタマーサポートでは、一定分野の質問に応対するのではなく、商品に対する意見や苦情、各種手続き方法、営業時間などの幅広い問い合わせに応対します。
たとえば、ゲーム機器を購入した顧客から「ゲームID・パスワードでのログイン方法がわからない」という質問であれば、カスタマーサポートで応対します。
もし「ゲームの接続や設定などをしたにもかかわらずプレイできない」という内容の問い合わせであった場合、より状況が限定的で専門的な知識が必要になるため、ヘルプデスクでの応対になります。
したがって、カスタマーサポートでは広く浅く、幅広い問い合わせに応対するのに対して、ヘルプデスクではより狭く深く、専門分野の知識が必要な問い合わせに応対する、という違いがあるのです。
2.カスタマーサポートが重要である3つの理由
カスタマーサポートは多くの企業に取り入れられていますが、それほど重要視されている理由は何なのでしょうか。
そこで2章ではカスタマーサポートが重要である3つの理由をお伝えします。
▼カスタマーサポートが重要である3つの理由 ・CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上できるから |
カスタマーサポートを導入するか迷っている方にとっての判断ポイントにもなりますので、確認しておきましょう。
2-1.CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上できるから
1つめの理由は「CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上できるから」です。
CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、「顧客の体験価値」を意味し、顧客が商品・サービス利用時に感じる満足度や感覚的に感じる価値のことです。
CXでは、顧客は「商品・サービスそのものの価値」だけでなく、「購入前から購入後のサポートまで、一連の流れにおける体験」にも価値を置くことを重要視しています。
消費者のニーズが多様化し、商品・サービスそのものの価値だけでは差別化が難しくなってきた昨今、顧客の心理的価値をCXによって高めることで他社と差別化ができ、企業の収益拡大に貢献できるのです。
カスタマーサポートでは、問い合わせへの対応を良くすれば良くするほど、顧客の「購入前から購入後の体験」において満足感は大きくなり、CX向上に有効です。
たとえばカスタマーサポートのオペレーターが、問い合わせ内容をスムーズに解決できず、長い時間顧客を待たせてしまった場合、顧客は不満を感じてしまうのはイメージしやすいでしょう。この場合、CXは低下してしまいます。
一方で、問い合わせ内容をスピーディに解決し、顧客を長時間待たせないように心がけると、顧客は「わからないことをすぐに解決できた」という体験に満足し、CXが向上します。
このように、カスタマーサポートでは対応品質を良くすることで、CXは向上し、ひいては企業の収益拡大に貢献できるのです。
ちなみに、カスタマーサポートにおけるCX向上には、
- 電話がすぐにつながり、顧客が長時間待たされることがない
- 問い合わせに対する対応がスピーディ
- 顧客にわかりやすく説明をする
- 問い合わせ手段が選択できる
といった状況を作り出すことが重要です。
2-2.顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行えるから
2つめの理由は「顧客の声を生かして商品、サービスの改善・開発を行えるから」です。
カスタマーサポートでは日常的に顧客と直接コミュニケーションをとっているため、顧客の生の声を日々受け取っています。
カスタマーサポートに問い合わせる場合、困りごとがあって連絡をしているので、自社商品・サービスへのネガティブな意見が集まりやすくなっているのです。
そこで、そうした自社商品・サービスに対する顧客の不満を集めて、商品・サービスごとに分類すれば、自社商品・サービスに対する課題点・改善点が浮き彫りになります。そして、商品・サービス開発部門に情報を共有することで、顧客の声を生かした改善・開発が可能になります。
たとえば、カスタマーサポートに対して「商品Aの機能がありすぎて、使いづらい」という意見が多く寄せられていた場合、この意見を開発部門に共有することで、「商品Aの機能を減らして本当にニーズのある機能だけに絞ろう」といった改善策を打ち出し、商品の改善に活かすことができます。
顧客の声を反映して商品・サービスが改善できれば、顧客にとって自社商品・サービスの価値が高まるため、結果的に顧客を維持できたり、満足度が向上できたりし、ひいては収益増加につながります。
カスタマーサポートは顧客の声を集めることができるため、顧客の声を反映した商品・サービスの改善・開発に協力できるのです。
2-3.リピート率を向上できるから
3つめは「リピート率を向上できるから」です。
顧客の疑問や不満などの問い合わせに対して、スピーディかつ、適切に対応して解決をすることができれば、商品・サービス、そして企業に対する信頼につながるため、結果的にリピート率が向上するのです。
たとえば「Webサービスを利用するためのログインが必要であるのに、ログインできない」という顧客からの問い合わせの際、顧客はせっかく課金してサービス利用を始めたのに、スムーズにいかないことに心理的ストレスを感じています。
そこで「ログインできない原因」を迅速に突き止め「ログインするための方法」を素早く提示できれば、問題がスムーズに解決できたことに顧客は満足し、サービスやその企業に対して信頼感が芽生えるでしょう。そして、サービスを今後も継続したいと感じてもらえるのです。
このようにリピート率が向上すれば、ひいては収益の安定・増加が見込めるため、カスタマーサポートは重要視されています。
3.カスタマーサポートを導入する場合の課題
カスタマーサポートを導入する場合の課題は、「人材確保・育成が必要になる」という点です。
カスタマーサポートを自社に導入する際には、オペレーターとしての人材を確保し、顧客に満足してもらえる質の高い対応ができるよう、育成する必要があります。
もし人材が確保できなければ、そもそもカスタマーサポート部門を構築することはできません。また人材が確保できたとしても、「顧客の疑問をスムーズに解決できない」「態度や言葉遣いが悪い」など、オペレーターの応対品質が悪ければ、苦情が増えたり、企業イメージや信頼を落としてしまう可能性があるのです。
人材を確保するためには、「社内リソースを割く」もしくは「新たに人材を採用する」という選択肢がありますが、以下のようなデメリットがあるため、人材を確保するのは簡単ではないでしょう。
【社内リソースを割く場合】 【人材を採用する場合】 |
そのため人材確保や人材育成を行うことが難しいと感じる場合は、カスタマーサポートのアウトソーシングを利用すると良いでしょう。
アウトソーシングを利用すれば、人材確保のために社内リソースを割いたり、人材採用・育成を行う必要がありません。
またカスタマーサポートのアウトソーシングでは、
- 顧客への対応経験が豊富で、顧客ニーズに合ったコンタクトセンターの設計・構築が可能
- 顧客からのヒアリング力が高いので顧客の声を収集しやすい
といったメリットもあります。
トランスコスモスでは、カスタマーサポート業務のアウトソーシング化を実現できます。
電話やメール、チャット、ナレッジ、自動応答システム、AIなど、最新のデジタルコミュニケーションに対応しており、顧客が自分に合った問い合わせ方法で連絡できる仕組みをつくっているため、顧客が問い合わせに対してストレスを抱えにくく、快適な問題解決プロセスによってCX向上が見込めます。
さらに、長年のコンタクトセンター(コールセンター)運営実績で得た独自のノウハウを駆使し、安定した高品質の対応が可能になっています。
ぜひ一度、トランスコスモスへのアウトソーシングをご検討ください。
4.カスタマーサポートの導入6ステップ
カスタマーサポートを導入するべきか判断する際、その導入ステップも気になるところです。
そこで4章では、カスタマーサポートの導入の流れを5ステップで解説します。
▼カスタマーサポートの導入6ステップ ・【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める |
4-1.【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める
ステップ①は「カスタマーサポートの目的・ゴールを決める」ことです。
現状はどのような状態なのか、そしてあるべき姿はどのような状態なのか、何を実現したいのかを具体的に決めていきます。
▼目的・ゴールの設定例 ・カスタマーサポートに対する顧客満足度を向上させて、サービスの解約率を下げたい |
何を実現させるのかはカスタマーサポートを導入する目的によって違ったものになります。
そのため目的・ゴールが曖昧であると、その場その場で運営方針にブレが生じ、結果的に顧客満足度の低下やオペレーターのモチベーション低下につながります。
具体化された目的・ゴールを明文化するようにしましょう。
4-2.【ステップ②】カスタマーサポート運営のプランを決める
ステップ②は「カスタマーサポート運営のプランを決める」ことです。
カスタマーサポート運営に向けた具体的な以下4つのプランを計画していきます。
▼カスタマーサポート運営のために計画するべき4つのプラン ・業務プロセスを決定する |
それぞれ詳しくみていきましょう。
業務プロセスを決定する
カスタマーサポート運営のプランを決める際、まずはじめに業務プロセスを決定します。
あらかじめ業務プロセスを明らかにしておくことで、このあとに行う「マネジメント体制・管理方法の設計」や「組織体制の明確化」で、洗い出すべき項目がイメージしやすくなります。
たとえば、以下のようにオペレーターの業務フローを洗い出して、具体的な業務プロセスを決定していきましょう。
▼例(オペレーターの業務フロー) ・一日をどのような業務フローで働いてもらうか |
できるだけ、カスタマーサポートを立ち上げた後に想定される業務プロセスをすべて洗い出します。業務フローを洗い出したら、具体的にどう対応するかまで検討して、業務プロセスを設計していきます。
細かい業務フローまで想定して洗い出し、対応策まで設定することで、具体的な業務プロセスを設計できるでしょう。
マネジメント体制・管理方法を決定する
次に「マネジメント体制・管理方法の決定」を行います。
業務プロセスを詳細に決めても、決めた手順のとおりに行われるようにしなければ、カスタマーサポート導入のメリットを享受することはできません。そのため、業務プロセスがしっかりと手順通りに行われているかどうか、マネジメントするための体制を整える必要があるのです。
具体的には、業務プロセスを上手く回すために必要となる管理項目を洗い出し、運用がうまくいっているか判断するために適正な数値を設定し、マネジメント体制を整えます。
たとえば、
- 電話の処理時間
- 電話対応件数
- 顧客からの評価
- オペレーターの稼働率
など、具体的な管理項目とその数値目標を設定し、カスタマーサポートの運営が問題なく行えているかを判断するための指標を決めましょう。
以下の記事ではコールセンターのマネジメントについてご紹介しており、カスタマーサポートを導入する際にも参考になりますので、ぜひ読んでみてください。
カスタマーサポートの立ち上げに必要な人員体制を明確化する
次に「カスタマーサポートの立ち上げに必要な人員体制を明確化」します。
「業務プロセスの決定」と「マネジメント設計」で設定した項目を、確実にスムーズに履行するために、人員体制を明確化する必要があります。
ここまでに洗い出した項目を基に、カスタマーサポートの立ち上げに必要な工数を計算し、構築に必要となる組織体制(人員配備)を考えます。運用時に必要となる人員だけでなく、立ち上げ時に必要となる人員も同時に考えましょう。
【立ち上げ時】 ・システム設計・構築やマニュアル作成などの実際の作業を誰が担当するか |
【運用時】 ・カスタマーサポートのオペレーターは何名必要になるか |
▼組織体制を考える際のポイント ◆最初に設定した目的やゴールを考慮して考えること たとえば最低限のリソースでまかなうような問い合わせ窓口を作るならば、オペレーターやマネジメント要員は数人で済みます。数人のオペレーターを採用し、別部署の社員にマネージャーを兼務してもらうなどで対応できるかもしれません。しかし、企業の売上アップに寄与するような顧客の声を反映し満足度を上げるカスタマーサポートを立ち上げたいならば、工数を計算してみると膨大になり、場合によってはアウトソーシングが最適と判断することもあるでしょう。 |
具体的な構築に向けて、しっかりと必要なリソースを確認していきましょう。
人材育成プランを設計する
次に「人材育成プランの設計」を行いましょう。
具体的には、カスタマーサポートのオペレーターやマネジメントを行う担当者の人材育成プラン(教育プラン)を設計します。
設定した目標を達成するための組織体制やマネジメント体制を整えるために、
- どのくらいの育成期間がかかるか
- どのような教育内容が必要か
を考えていきます。規模が大きいカスタマーサポートや目標値が高いカスタマーサポートの場合は特に、管理者を育成または採用する時間やコストを多めに取っておくと良いでしょう。
カスタマーサポートをアウトソーシングする場合は、管理経験者を保有していることがほとんどなので、内製カスタマーサポートよりも期間とコストの短縮が見込まれます。
4-3.【ステップ③】カスタマーサポートのインフラ/システムを構築する
ステップ③は「カスタマーサポートのインフラ/システムを構築」します。
カスタマーサポートの運営に必須のシステムや機器類の導入・設定、運用方法を決めて、構築作業を行うフェーズです。
カスタマーサポートでは、以下のインフラ/システムの導入が必須です。以下を参考にしながら、自社のカスタマーサポートにとって必要なインフラ・システムを決定しましょう。
システム/インフラ | 説明 |
電話(PBX)設置 | 電話回線・ヘッドセット・PBX(電話交換機)を必要数用意し、アナウンス、通話録音などの設定を行います。 |
ネットワーク設計 | 自社のネットワークセキュリティポリシーの要件に合うネットワーク設計を進めます。 |
施設備品の手配 | カスタマーサポートの拠点となる場所や施設の席数、文房具、コピー機など、の備品を手配します。工事スケジュールに沿って準備を進めていきます。 |
CRM(顧客情報管理)ツールの準備 | 顧客情報管理ツールを用意します。そして現場のオペレーター目線で使いやすさを検証しながら、各種情報の設定を行います。管理者とオペレーターの権限設定も行い、動作を検証します。 |
ノンボイスサービスの準備 | 電話以外のノンボイスサービス(Webチャット、メッセージングアプリなど)を導入し、各種ツール準備と導線設定を行います。ノンボイスサービスは準備しなくてもカスタマーサポートは運営できますが、業務効率化が見込めるので、おすすめです。 |
運用利用ツールの準備 | 運用で必要となるシステム(オペレーターの勤怠管理ツール、業務結果分析ツール)を準備しておきます。 |
カスタマーサポートのシステムについてさらに詳しく知りたい方は、以下記事を参考にしてみてください。
4-4.【ステップ④】各種マニュアルを作成する
ステップ④は「各種マニュアルを作成する」ことです。
カスタマーサポート立ち上げ時には、ハードウェアやソフトウェアといった物理的な準備とともに、各種マニュアルの用意も必要です。
なぜなら、以下のようなメリットがあるためです。
- オペレーター向けのマニュアルがあることで応対品質を一定に保つことができる
- スーパーバイザー向けのマニュアルがあることで効果的な人材育成方法を統一して行ってもらうことができる
- システムの操作方法を示すマニュアルがあれば、業務中に操作などに効率的に業務をすすめられる
以下を参考にマニュアルを用意しておきましょう。
▼カスタマーサポート立ち上げ時に作成するべきマニュアル ◆オペレーター向け ◆スーパーバイザー向け ◆システム操作マニュアル |
4-5.【ステップ⑤】必要なスタッフを確保(採用)する
ステップ⑤は「必要なスタッフを確保(採用)する」ことです。
マニュアルを用意できたら、オペレーターなどの人材を配置していくフェーズに入ります。
ステップ②で決めた人員体制をもとに、必要な人数のスタッフを確保しましょう。
スタッフを確保する方法としては、
- 社内から集める方法
- 新たに人材を採用する方法
があります。
ある程度規模が大きなカスタマーサポートを立ち上げるのであれば、現場オペレーターは新しく採用することになるでしょう。
人材不足が常態化しているコンタクトセンター(コールセンター)業界では、採用競争が激化しています。優秀なスタッフを確保するためには、応募者に選ばれる魅力的な条件や労働環境、業務内容をアピールすることが大切です。
4-6.【ステップ⑥】スタッフを育成する
ステップ⑥は「スタッフを育成する」ことです。
人材が確保できたら、オペレーターや管理者に向けた研修を実施し、実際のカスタマーサポート運営に向けてスタッフを育成していきます。そのために必要な研修プログラム、研修で使用するテキスト、マニュアルなども事前に用意しておく必要があります。
▼カスタマーサポート立ち上げ前に実施する研修例
応対品質研修 | 話の聞き方、敬語の使い方、ビジネスマナーなど基本的な応対品質を身につけるための研修 |
業務内容研修 | 企業概要や商品・サービスの内容を学ぶ研修 |
システム研修 | 対応に利用するシステムやツールの使い方や、ルールを学ぶ研修 |
情報セキュリティ研修 | 情報セキュリティについて気をつけるポイントを学ぶ研修 |
コンプライアンス | 企業が定めるコンプライアンスを遵守するための研修 |
OJT研修 | 座学が終わった後に、現場で実際に行う研修 |
スキルアップ研修 | すでに現場に出たことがある経験者向けの研修 |
管理者向け研修 | 現場でのエスカレーション対応、オペレーターの育成方法などについての研修 |
研修内容のわかりやすさや充実度が、カスタマーサポートのオペレーターの定着率に直結します。丁寧に研修を行うことはもちろんのこと、毎日座学では研修生が飽きてしまうため、工夫をこらしながら即戦力となるスタッフを育成していきましょう。
5.カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント
カスタマーサポートを導入すると決めた場合、自社の事業の成功に貢献するような部門にしたいと思うのではないでしょうか。
5章ではカスタマーサポートを導入して成功するためのポイントとして以下の2つをご紹介します。
▼カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント ・定期的に勉強会を実施する |
5-1.定期的に勉強会を実施する
カスタマーサポートを導入して成功するためのポイントの1つめは「定期的に勉強会を実施する」ということです。
顧客に対し、適切な解決方法をスピーディに提示するためには、商品・サービスの使い方や不具合の解消方法などを詳しく知っておく必要があります。さらに1人だけでなく、オペレーター全員の知識レベルをそろえておかないと、オペレーターによってスピードや知識量に差が出てしまい、全員がスピーディで適切な対応ができないのです。
たとえば、ある商品の使い方がわからないという問い合わせがきた場合を考えてみましょう。
・カスタマーサポートに問い合わせが来てからその都度、商品の使い方を調べて回答していたら、顧客は回答してもらえるまで待たなければいけない。 |
一方で、勉強会で商品・サービスの知識を身に着けておけば、顧客から商品の使い方について質問されてもスムーズに回答でき、顧客に満足してもらえ、CX(カスタマーエクスペリエンス)は向上します。
また、カスタマーサポートにおける1件あたりの対応時間も短縮できるので、1日あたりの対応件数を増やせるようになり、より多くの顧客の問題を解決できるようになります。
商品・サービスの使い方や不具合の解消方法などについて、常に最新の情報を把握できるよう、営業部や商品企画部、開発部など、部門をまたいで定期的に勉強会を行うようにしましょう。
5-2.チャットやチャットボットの導入をする
2つめのポイントは「電話やメールだけでなくチャネルの拡充としてチャットなどのコミュニケーションチャネルの拡充と自己解決ニーズに合わせたチャットボットなどのセルフサービスを導入する」ということです。
チャットはいつでも気軽に問い合わせでき、テキストコミュニケーションで問題を解決できます。電話のように会話に集中する必要がないので、自分の好きなタイミングで問題が解決できるので、電話のみでサポート提供している窓口に比べて、CX向上が期待できるのです。
近年、以下の図のように、スマホの普及でコミュニケーションのデジタル化が進みました。
そのため自分のタイミングで手軽に送れるチャットやメッセージアプリの利用をする人が多くなり、その一方で電話をかけることにストレスを感じやすくなっています。(以下の図参照)
そこで、カスタマーサポートでもチャットやメッセージアプリ、または自己解決を促進するためにチャットボットやFAQを拡充させることで、そうした顧客のストレスを緩和させ、満足度を高めてもらいやすくなります。
実際に「消費者と企業のコミュニケーション実態調査2020」では、人のストレスとなる「手間や負担感」は満足度を下げてしまうという結果が出ています。
そのため、そうしたストレスを減らすことが顧客の購入前から購入後までの体験を、より良いものにすることができ、CX向上が実現できるのです。
トランスコスモスでは、「DEC Support」というツールを保有しており、カスタマーサポートにおいてチャットコミュニケーションへの対応とチャットボットでのセルフサービスの提供を実現しています。
「Dec Support」ではLINEやWEBチャット、Facebook Messengerなどに対応しており、チャットボットのサービスにおいても、用途に応じて以下の3つのチャットボットから自由に選択が可能です。
さらには、「Dec Support」では「ボット分析」という機能があります。これは、チャットボットのシナリオを改善しやすく、FAQの内容を改善できるため、チャットにおけるお問い合わせ解決率の向上が可能になっています。
カスタマーサポートを開設する際には、ぜひ一度トランスコスモスの「Dec Support」の導入をご検討ください。
まとめ
この記事ではカスタマーサポートの基礎知識や、重要な理由、導入時の課題、導入ポイントなどをお伝えしました。
ここで改めてこの記事の内容をおさらいしましょう。
◆カスタマーサポートとは「顧客からの問い合わせ窓口」
◆カスタマーサポートの業務内容
・問い合わせ対応 |
◆カスタマーサポートとカスタマーサクセスとの違い
カスタマーサポート:顧客からの問い合わせが発生してから対応<受動的> |
◆カスタマーサポートとヘルプデスクとの違い
カスタマーサポート:幅広い問い合わせに対応 |
◆カスタマーサポートが重要な理由
・CX(カスタマーエクスペリエンス)を向上できるから |
◆カスタマーサポートを導入する場合の課題
・人材確保・育成が必要になること |
◆カスタマーサポートの導入6ステップ
・【ステップ①】カスタマーサポートの目的・ゴールを決める |
◆カスタマーサポートを導入して成功するためのポイント
・定期的に勉強会を実施する |
カスタマーサポートの導入について、導入するかどうかしっかり検討をしましょう。