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顧客感動とは?顧客の期待を超えるためのポイントと具体的な方法

「顧客感動ってどういうことを指すの?」
「顧客満足と顧客感動はどう違うの?」

このように顧客感動という言葉は聞いたことがあるけど、実際にどういったことなのかイメージができなかったり顧客満足と何が違うのか分からないという人も多いのではないでしょうか。

顧客感動とは、顧客の期待を遥かに超え顧客を感動させることです。そしてこの顧客感動を実現することで以下のようなメリットがあります。

顧客感動のメリット

① 顧客ロイヤルティが高まり企業の利益に繋がる

②競合他社と差別化でき価格競争から脱却できる

このように企業に大きなメリットをもたらす顧客感動ですが、従業員に顧客感動を実現させる取り組みを行うように言うだけでは、実現することは不可能です。

顧客感動を実現させるには、企業の仕組みづくりが重要となってくるのです企業が一丸となって取り組むことで、顧客感動の実現が近づきます。

この記事では、

・顧客感動とは何か
・顧客感動が実現するとどうなるのか
・顧客感動を生む事例
・顧客感動を実現させる方法

    を詳しく解説していきます。この記事を読めば、顧客感動について詳しく分かり企業においてどのように取り組んでいくべきかがわかるはずです。

    顧客感動を実現させたい、企業で顧客感動を生む仕組みを作りたいと思っている人は、ぜひ参考にしてください。

    顧客感動を生むためには顧客体験を理解しておくとより理解が深まりますので、こちらの記事も参考にしてください。

    1.顧客感動とは

    まずは、顧客感動とはどういったことなのか、顧客満足との違いについて解説していきます。

    1-1.顧客感動とは顧客の期待を超えること

    顧客感動とは、期待や願望を超え予想していないほどのサービスや商品で顧客を感動させることを言います。

    顧客は商品やサービスに対して、人それぞれ期待値があります。「このくらいのパフォーマンスをしてくれるだろう」という期待を持って商品を買ったり、サービスを受けに行ったりします。

    そして実際のサービスや商品が期待値に対してどの程度なのかによって、顧客は不満・満足・感動という感情を抱くのです。

    期待値と満足度の関係

    たとえばリラクゼーションを目的としたマッサージ店に行ったとします。脚のむくみがひどく「楽になれば良いな」という期待を持って来店しました。

    マッサージを受けたもののむくみが楽にならなければ、がっかりだという不満の印象を持ちます。
    実際に受けたパフォーマンスが期待より下回った結果です。

    脚のむくみが楽になったのであれば、期待とパフォーマンスは同等となり、満足という印象を持ちます。

    脚のむくみがとれるだけでなくマッサージのテクニックや力加減が最高、さらに肩も入念にマッサージしてくれ肩こりが解消されると「すごい!また来たい!」と感動することでしょう。

    つまり期待以上の成果を得ることができれば、顧客感動は起こるのです。

    1-2.顧客感動と顧客満足の違い

    顧客感動と顧客満足の違いは、期待値以上のプラスαの部分があるかどうかと言われています。

    マッサージ店の例でいうと、脚のむくみをとりたいという顧客の期待は満足の状態でも達成できました。満足レベルでもリピーターになる方はいるでしょうが、感動を得ることができればさらにリピーターになってくれる可能性が高まります。

    プラスαの要素は様々なことが考えられ、マッサージのテクニックや力加減といった施術に関わることばかりではありません。

    感動を覚えるポイントは人それぞれです。細やかな気配りで接客態度が素晴らしかったり、店のコンセプトが伝わり居心地が良いと感じるなど顧客が求めるものはどんなものか考えてみると良いでしょう。プラスαになるものを強化していけば、顧客満足を上回る顧客感動を与えることができるはずです。

    2.顧客感動が実現するとどうなる?2つのメリット

    では、顧客感動が実現するとどうなるのでしょうか。企業全体で顧客感動の実現に向けて取り組みを行う際には、顧客感動が実現するとどうなるのか理解しておくことが重要です。

    顧客感動によって得られるメリットを、1つ1つ見ていきましょう。

    2-1.顧客ロイヤルティが高まり企業の利益に繋がる

    顧客感動が実現すると、顧客ロイヤルティが向上しその結果企業の利益に繋がります。

    ロイヤルティという言葉の直訳は『忠誠心』です。つまりその商品やサービス・大きくみれば企業やブランドのファンである・贔屓にすることです。

    顧客が感動するようなサービスを受けるともちろんその顧客も「また利用したい」と思います。さらに家族や友人など周りの人にも勧めることが多くなるでしょう。

    顧客ロイヤルティが高まるということは、継続してその商品やサービスを使い続けたい気持ちが高まりさらに以下のような効果をもたらすことになります。

    顧客ロイヤルティの向上における効果

     ①リピート率が高まる
     ②解約率が低下する
     ③顧客単価(顧客1人が購入する金額)が上がる
     ④口コミが広まる

    このように顧客感動が実現することによって顧客ロイヤルティが高まりリピーターが増えたり、良い口コミが広がりさらなる顧客獲得にも繋がります。

    そして、リピート率が高かったり売上に貢献してくれる優良顧客がうまれることで、継続的な企業の利益向上が期待できるのです。

    2-2.競合他社と差別化でき価格競争から脱却できる

    競合他社と差別化できるのも顧客感動ならではです。

    近年顧客満足という言葉が定着するほど、どの企業でも顧客満足度の向上には力を入れています。そこで顧客満足を超える顧客感動を実現することができれば、大きな差別化となります。

    たとえば、同じ商品を買う場合に大手スーパーか小さな商店ではどちらで買いますか。
    大手スーパーの方が品物も多いですし他の物もついでに買えると大手スーパーで買う人も多いはずです。

    そこで、小さな商店で以下のような顧客が感動する体験ができたらどうでしょうか。

    • 名前を覚えてくれて毎回名前を読んでくれる
    • 重たい物は車まで運んでくれる
    • いつも買うものが安くなる日を教えてくれる

    このようなことをしてくれると特別感もあり嬉しくなり、買い物する時には必ず利用しようと思います。

    1章でも解説しましたが、「期待=現実」の満足の状態は期待通りというわけなので顧客の印象には残りません。感動レベルまで達して初めて顧客はまた利用したいと思い、他社と差別化できるのです。そして他社と差別化できることによって、他社に流れず長く企業を愛してくれるカスタマーとなります。

    さらに顧客感動という他社とは違う付加価値を提供することで、競合他社と価格競争をしなくても「利用したい」と思う顧客が増えます。

    このように顧客感動を実現させることで、競合他社と価格競争せずクオリティの高いサービスや商品を提供でき企業の利益にも繋がるでしょう。

    3.顧客感動とはこんなこと!他社での事例を紹介

    顧客感動とはどのようなものなのか、実現するとどうなるのか理解できたと思いますが、実際にどのようなことをすれば良いのか分からないですよね。

    ここでは、顧客感動が生まれた2つの事例を紹介していきます。

    3-1.顧客のための投資

    日本には進出していないのですが、アメリカのオンライン靴店に「Zappos.com(ザッポス・ドットコム)」という会社があります。

    ザッポスは顧客のためにお金を使うことは投資と考えており、顧客のためにできる限りの投資をすることを惜しまないという考えのもと顧客サービスを行っています。

    たとえば、以下のような顧客感動が実現した出来事があります。

    【ザッポスの顧客感動事例】

    ・顧客がザッポスのコンタクトセンターに電話をかけた時、ほしい商品の在庫がなかったとする
     と、コンタクトセンターのスタッフは、なんと競合サイトを検索して、その商品がどのサイト
     にいくらで売っているのか、教えた。
    ・顧客を満足させるため、「WOW(あっ)」と言わせるためだったら、ひとつのコールに何時
     間費やしても咎められることはなく、実際創業以来これまでの最長時間は、7時間半。

     廣済堂出版 ザッポスの奇跡(改訂版)~アマゾンが屈した史上最強の新経営戦略~から引用

    一般的なコンタクトセンター(コールセンター)では1件あたりの処理時間が管理されていたり、サービス対応範囲が決まっていたりしますが、ザッポスには処理時間のKPI設定やマニュアルがありません。

    個々の顧客からの問い合わせに対して、どのように応対するかは応対するコンタクトセンタースタッフにゆだねられています。

    顧客を幸せにするために、自分が必要だと判断することを自分の裁量で実行する権限が与えられているのです。ザッポスにとっては一時の利益を上げることより、顧客を喜ばせる感情体験を重視しています

    その結果、顧客リピート率も75%という数字を叩き出しております。このように顧客第一で考えることによってさらなる利益を生んでいるのですね。

    3-2.従業員に決裁権を渡す

    世界中でホテル&レジデンスを展開するザ・リッツ・カールトンホテルカンパニーは、いくつもの顧客感動サービスを実現していることで有名です。

    その大きな源となっているのが、各従業員に1日最大2000ドルの決済権があることです。これにより、2000ドル以内であれば、従業員は感動体験を提供することができるのです。

    ザ・リッツ・カールトンでは、たとえば以下のような出来事がありました。

    【ザ・リッツ・カールトンの顧客感動事例】

    ある東京の大学教授がザ・リッツ・カールトン大阪に宿泊した際の話。
    その大学教授は、講演旅行で大阪に来ておりまた東京に戻り講演をする予定だった。
    宿泊後チェックアウトをし、新幹線に乗ってからホテルにメガネと講演で使う資料を忘れたことに気づいた。
    教授は新幹線の中からザ・リッツ・カールトン大阪に電話をかけると、電話を受けたスタッフが東京駅に届けると言い実際に東京駅までメガネと資料を届けた。

    このあと教授は講演会でザ・リッツ・カールトンのことをとても褒めていたらしいです。そしてヘビーユーザーとなってくれました。東京と大阪の新幹線代は約3万円ほどですが、その3万円で多くの新規顧客を獲得できたことでしょう。

    4.顧客感動を実現させるには?5つのポイント

    では顧客感動を実現させるには、どんなところに注意し改善していけば良いのでしょうか。
    顧客感動を実現させるには、以下の5つのポイントがあります。

     1. 期待値を把握する
     2. 顧客1人1人に合わせて対応する
     3. 従業員の満足度を高める
     4. ホスピタリティマインドを高める
     5. 企業全体で仕組みを作る

    これらのポイントをクリアすることができれば、顧客満足を上回り感動させることが可能です。どれも重要なことなので、1つ1つ見ていきましょう。

    4-1.期待値を把握する

    顧客感動を実現させるには、まずは顧客の期待値を把握する必要があります。

    顧客がどの程度商品やサービスに期待をしているのか、何を求めているのかを知らないことには、期待値を上回ることはできないからです。

    顧客の欲求段階とも言える4つの価値をもとに期待値を設定していきます。

    顧客の欲求段階とも言える4つの価値

    これらの価値をたとえば飲食店に当てはめると以下のように期待値を分けることができます。

    飲食店に当てはめると以下のように期待値を分ける

    このように顧客感動を実現させたいと考えている企業は、まずは顧客の期待や願望を超えた予想外価値がどのようなものなのかを導き出すことが必要です。

    現代では価値観が多様化しているため人によって求める期待値は様々ですが、下のレベルに合わせるのではなく、より高い期待値を基準として把握するようにしましょう。

    4-2.顧客1人1人に合わせて対応する

    顧客感動を実現させるために顧客の期待値を把握しましたが、すべての顧客に当てはまるということはなかなかありません。

    そこで、実際に利用する顧客1人1人に合わせた期待値を把握し、1人1人の状況に合った感動を提供する必要があります

    たとえば、3ヶ月前にある飲食店に来店した妊婦さんが再び同じお店で予約をとられた場合、どういったサービスが考えられるでしょうか。きっと3ヶ月前よりもお腹が大きくなり動くのも大変なことは想像がつきますね。

    このような場合、

    • お手洗いの近くの席を用意する
    • 飲み物はノンカフェインのものを提供する
    • ひざ掛けを準備しておく
    • ゆったり座れる席を用意する
    • 料理にアルコールが入っている場合は抜く

    といったことを準備しておくことができます。

    さらに来店時には体調を気にする言葉かけがあると「覚えてくれている」という喜びと特別感を感じるでしょう。このように顧客1人1人の状況に合わせて対応することで、さらなる感動を生むことができます。

    ただ、感動を与えた顧客はさらなる感動を求めてサービスや商品の利用を繰り返すので、徐々に期待値も上がっていくということを理解しておいてください。

    この顧客の場合、次に出産後にお店を訪れる際にはこれ以上のサービスを期待してやってきます。

    その際には、

    • 個室を用意しておく
    • ベビーベッド、子供用の椅子を用意しておく
    • 出産祝いを渡す

    などといったサービスが提供できると顧客も感動することでしょう。

    顧客が求める感動を裏切らないためにも顧客のニーズや期待値を把握し、従業員が一丸となって顧客1人1人に合わせた顧客感動に取り組むことが大切です。

    4-3.従業員の満足度を高める

    顧客感動を実現させるには、従業員が心から顧客を大切にする思いが必要です。そのためにも従業員の満足度を高めなければ質の良いサービスは提供されません。

    従業員の満足度を高めるために何をすれば良いのか分からないという人もいますよね。

    アメリカの心理学者のフレデリック・ハーズバーグ氏の「How do you motivate your employees?(邦題:モチベーションとは何か?)」という論文において仕事への満足度やモチベーションを決める要因について具体的に以下のように論述されています。

    【ハーズバーグの二要因理論】

    仕事の満足度に関わる要素として「動機付け要因」、仕事の不満に関わる要素として「衛生要因」がある。

    ハーズバーグの二要因理論

    動機付け要因が満たされると満足感を覚える。しかし、ないからといって不満が出るものではない。
    衛生要因は、整備されていないと不満を感じる。整備されていても満足につながるわけではない。

    このことから従業員の満足度を高めるためには、衛生要因を一定の水準に保ち動機付け要因を高めることが重要となってきます

    つまり、従業員がやりがいを感じることが従業員の満足度を高める近道になると言えます。

    では、従業員がやりがいを感じるためには以下の方法を取り入れると良いでしょう。

     ・経営ビジョンを共有する
     ・個人の意見も積極的に聞く
     ・感謝を伝え合う

    それぞれ詳しくみていきましょう。

    経営ビジョンを共有する

    まずは、企業の経営ビジョンを従業員にも共有し、どこに向かっているのか方向性を再認識させることが大切です。

    直接従業員と話す機会があれば良いですが、従業員が多い・時間がとれないといったような場合は社内報やメーリングリストなどを活用して発信すると良いでしょう。経営ビジョンを共有することで、従業員1人ひとりが企業の一員として捉え仕事のやりがいにも繋がります。

    個人の意見も積極的に聞く

    個人の意見を積極的に聞くことで、「認めてもらっている」という意識を生みます。

    またコミュニケーションのきっかけにもなります。直接話を聞くことが難しい場合には、社内アンケートを実施すると従業員の率直な意見を聞くことができるでしょう。ただ、聞いただけで終わらず反映させていくことが大切です。

    感謝を伝え合う

    誰しも感謝されると嬉しくなりますよね。顧客からの感謝だけでなく働く人同士でも感謝の気持ちを伝え合うことで、モチベーションも高まります

    実際に、感謝の気持ちをカードに書いて相手に渡す「サンクスカード」を導入している企業もあります。

    トランスコスモスのコンタクトセンターでも、現場によっては「サンクスカード」を導入しています。シフトを代わってもらったとか、パソコンを設定してもらった、ベテランの先輩にプチ研修を実施してもらったなど、普段の何気ない行動を感謝の気持ちを伝えあうことを推奨します。

    ちょっとしたことでも感謝の気持ちを伝え合えることで、コミュニケーションの活性化ややる気のアップにも繋がります。

    4-4.ホスピタリティマインドを高める

    従業員のホスピタリティマインドを高めることも忘れてはいけません。

    ホスピタリティとは、「思いやり」です。顧客に感動を与えるには、顧客のことを一番に考え、もてなす気持ちを持つことが大切になります。

    しかし、ただ単に「ホスピタリティを持って対応するように」と言ってもなかなか行動にうつせるスタッフはいないでしょう。

    ホスピタリティとはどういったことなのかを具体的に示す必要があります。ホスピタリティの基本は、以下の3つです。

     1.目配り
     2.気配り
     3.心配り

    周りの状況をよく観察し、隅々まで注意を行き届かせることが「目配り」です。

    「気配り」は、相手が困っていることがないか相手の立場に立って気をつかうことです。さらに言うと自分の言葉や行動が相手にどのように受け止められるかを考えることまでもが気配りと言えます。

    そして、「心配り」は相手の心の内を汲み取り「何をしてほしいのか」、「何を必要としているのか」を察して行動することです。

    たとえば、ホテルのフロントに重そうな荷物を持った人が入ってきた場合、入ってきてすぐに気づく人は「目配り」ができている人です。

    そして、「荷物を持ちましょうか」と声をかけお部屋まで運ぶことが「気配り」になります。

    さらに、帰る際にもお部屋の近くで声をかけ荷物をフロントまで運ぶといったことが「心配り」にあたります。このときに部屋の呼び鈴を鳴らして荷物を受け取りに行くと相手も焦ってしまい余計なお世話だと思われてしまいます。

    あくまで相手の心の内を察して行動することが大切です。

    このように、従業員のホスピタリティマインドを高めるために「目配り・気配り・心配り」を意識することが重要になってきます。

    おそらく言葉だけでは難しい部分もあるので、企業の社長や幹部がホスピタリティの精神で従業員の見本となるように率先して実践していく必要があります。

    【サービスとホスピタリティの違いってなに?】

    サービスは、ラテン語の「Servus(奴隷)」が語源。
    サービスを受ける人が主人、サービスを提供する人が従者となり主従関係がある。
    また、サービスには対価が発生する。

    ホスピタリティは、思いやりやおもてなし。
    対等な関係でお互いに満足を味わい信頼関係を強める。もちろん対価は求めない。

    4-5.企業全体で仕組みを作る

    顧客感動を実現させるためには、仕組みを作ることも必要です。まずは従業員にある程度自分で決定できる権利(決裁権)をもたせます。

    たとえばカップルがレストランに訪れ、記念日であることを教えてくれました。従業員の決裁権の範囲内で、どんなことができるのか考え実行することで、ただの食事から素敵な時間へと変わるはずです。

    決裁権が与えられていないと、マニュアル通りにしか動けません。どんなにホスピタリティマインドを持っていても、できることが限られてしまっては感動を与えることは難しくなるでしょう

    また、感動を得られた顧客の声や体験をフィードバックする仕組みも作っていけると良いです。口コミやアンケートに答えてもらったらプレゼントを用意するなど、実際にどんなことで感動したのか、生の声を参考にすることも大切です。

    顧客感動を実現するためには、この仕組み作りが重要となってくるので次の章で詳しく解説していきます。

    5.顧客感動を実現させるための具体的な方法

    ここからは顧客感動を実現させるために大切な仕組みづくりや具体的な方法について解説していきます。

    5-1.顧客のニーズを可視化する

    まずは、顧客のニーズを可視化することから始めてみましょう。なんとなく顧客が求めていることが分かっているかもしれませんが、それが本当に正確なものと言えるでしょうか。

    この顧客のニーズが正確に把握できていなければ、こちらが感動するだろうと思って行っていることも顧客にとっては全く響かないものとなってしまいます。つまり顧客のニーズによって目指す感動体験も変わってくるのです。

    顧客のニーズを可視化するために2つの方法を行うとより正確なニーズを把握することができます。

    1.アンケート調査
    2.顧客データ分析

    それぞれ詳しく解説していきます。

    アンケート調査

    顧客のニーズを把握する有効な方法としてアンケート調査があります。企業側が知りたい情報を質問し、回答してもらうというものです。

    質問に対して「はい・いいえ」で答えたり、5段階評価に丸をつけてもらったりする調査方法が主になります。これまでは、街頭や電話、紙媒体での調査が多かったですが、最近ではWebでの調査がメインとなっています。

    そして、行われたアンケート調査を元に結果を数値化することで全体的な顧客のニーズを捉えることができます。

    顧客データ分析

    アンケート調査ではなかなか顧客の潜在ニーズまで把握することは難しいです。なぜなら、顧客が意識していないところに潜在ニーズが存在するので、アンケート調査で潜在ニーズまで引き出されるということはほとんどありません。

    そこで潜在ニーズを知るためにも顧客データ分析が有効となってきます。顧客データ分析とは、顧客の属性や購買履歴などのデータを分析するものです。

    顧客データ分析を行うことで、たとえばどの地域の誰がいつサービスを受けたのかが分かるようになります。さらに顧客が利用する頻度やなどを可視化することができます。

    顧客データを分析する方法は、様々なものがありますがここではよく使われている3つの方法をご紹介します。

    分析方法の種類

    方法

    セグメンテーション分析

    顧客の年齢・性別・居住地・行動パターンなどで顧客をグルーピングし分析する方法

    RFM分析

    Recency(直近いつ)・Frequency(頻度)・Monetary(購入金額)の指標を用いて顧客をグルーピングして分析する方法

    CTB分析

    Category(カテゴリ)・Taste(テイスト)・Brand(ブランド)の3つの指標を用いて顧客をグルーピングし分析する方法

    これらの分析によって出たデータから顧客は何を求めているのか理解していくことが大切です。

    【潜在ニーズとは?】

    潜在ニーズとは、顧客自身が自覚していないニーズのこと。
    一方で、顧客が自覚している・求めているニーズのことを顕在ニーズと言う。

    5-2.従業員に決裁権を持たせる

    3-2. 従業員に決裁権を渡す」でもお話しましたが、従業員が自由に判断・決定できる権利を持たせることも必要となります。

    ある程度マニュアルがありそれを元に従業員も対応しますが、全てのケースに対応できるわけではありません。また、特別感を味わうことで感動に至ることも多くマニュアルを超えた対応が必要となります。

    たとえば、何かトラブルがあったときに上司に確認がとれず、時間がかかってしまい顧客への対応が遅れてしまうと企業への大きな不信感に繋がってしまうでしょう。

    そこで、従業員にある程度決裁権を与えておけば、トラブルに対しても謝罪だけでなくプラスαで代わりの品物やサービス券など特別なものを提供することができます。

    しかし、なんでもかんでも自由にして良いとすると大きな問題に繋がることは目に見えるでしょう。ザ・リッツ・カールトンでも行われている様に必ず限度を示すことが大切です。

    たとえば、

    • ◯円まで顧客のために自由に使って良い
    • お店の中で行うこと

    そして、行ったことに対して必ず報告することも約束しておきましょう。

    従業員に決裁権を持たせることで顧客1人1人に合わせた適切なサービスを提供できるだけでなく、従業員も自分で考え行動することで自信ややりがいに繋がります。

    5-3.フィードバックできる環境を整える

    従業員に決裁権を持たせるだけで終わってはいけません。フィードバックできる環境を整える必要があります。

    顧客の声を従業員に届けることで、従業員のモチベーションが高まったりやりがいに繋がりさらに良い感動を実現させるきっかけにもなるでしょう

    顧客満足度調査やアンケートを行った後などには必ず従業員にもフィードバックをしてください。ただし、何でもそのまま伝えるのではなく従業員には良い情報のみを伝えることが大切です。

    アンケートなどでは良くないことも必ずあるはずですが、良くないことは管理者で共有し対策を考えましょう。良くないことまで伝えると従業員も落ち込んだりやる気がなくなってしまうこともあり得ます。必要な情報を選び、従業員にフィードバックしていくようにしましょう。

    さらに顧客からの声だけでなく従業員同士でもフィードバックすることは可能です。他の従業員の顧客感動に繋がる行動をしっかりと見つけ、それを褒めたり周りに伝えたりすることです。

    たとえば、株式会社メルカリでは以下のように成果給を送り合うことで従業員同士のフィードバックを可能にしています。

    【株式会社メルカリの例】

    2017年9月から従業員同士で感謝の言葉を贈り合うことができる制度を始めた。
    感謝の言葉だけでなく、1人週に400ポイントといった成果給を送ることができる。(1ポイント=1円)

    さらに以下のような取り組みもある。

    • 一番多くもらった人と一番多くあげた人を表彰
    • 全社員のやり取り(贈った・貰った内容)が見られる

    このような仕組みにより、従業員のモチベーションが上がるだけでなくコミュニケーションの活性化にも繋がります。

    ここまでの仕組みづくりは難しいといった場合には、感謝やすばらしい行動に対して従業員同士がカードを渡す「サンクスカード」制度を用いてみるのもおすすめです。

    5-4.成果を測定する    

    顧客感動が実際に顧客に届いているのか、満足度は向上しているのか把握するためにも定期的に成果、つまり顧客の満足度を測定する必要があります。

    顧客満足度を測定する指標として、

    • NPS
    • JSCI

    があります。それぞれの詳細は以下の通りです。

    指標

    方法

    NPS

    顧客が感じるサービスや企業への愛着や忠誠心を測定したいときに用いられる。
    「この商品をどのくらいおすすめしたいか」という質問による指標。

    JSCI

    顧客期待値や顧客不満足度、顧客忠実度など関連性が強い質問を行い、平均をとって顧客満足度を測定する。(CSIを日本に合わせてカスタマイズした指標)

    NPSについて詳しく知りたい方は以下の記事をご確認ください。

    顧客感動は、目に見えない顧客の心理に存在するものなので、勘や経験に頼らずデータやツールを活用して成果がみられるのか確認することが大切です

    そして顧客満足度の指標を元に前回に比べてどのくらい上昇しているのか、もしくは下降しているのか確認しましょう。

    もし、上昇が見られない場合は顧客のニーズがしっかりと捉えられていない可能性もあります。もう一度顧客のニーズが的確か考え直してみましょう。

    5-5.一時的なもので終わらず継続して行う

    顧客感動を実現するためにここまで説明してきたことを行っていてもすぐに成果が出るというわけではありません。また、一度顧客が感動する体験をしてくれたからと言って満足してしまってはいけません。

    顧客感動の取り組みは、短期的に成果が見えるわけではないということを念頭に置き長期的な視野で取り組む必要があると言われています。

    そのためにも、定期的に取り組みを振り返る機会を設けると小さな変化がみられるはずです。

    まとめ

    顧客感動とは、顧客の期待を超えることです。

    期待値と満足度の関係

    そして、顧客感動が実現できると以下のような効果が期待できます。

    このような効果が期待できる顧客感動は、以下のポイントを抑え企業全体で行うことで顧客感動の実現が近づくでしょう。

    顧客感動を実現させるためのポイント   

    トランスコスモスのコンタクトセンターサービスでは、顧客感動に繋がる運用をお客様毎にカスタマイズさせながら運用いたします。ご興味のある方はお問い合わせください。

    トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
    ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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