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コールセンターのトークスクリプト|作成手順と文例を徹底解説

この記事で学べること

トークスクリプトは、コンタクトセンター(コールセンター)のオペレーターが顧客対応をスムーズに行うための重要なツールです。トークスクリプトの必要性、作成手順、具体的なトーク例を紹介します。

  • トークスクリプトの必要性と目的:顧客とのやり取りを指導するための「脚本」であり、業務の均質化と応対品質向上を目的としている。これによりオペレーターは迷うことなく対応でき、顧客満足度の向上が期待できる。
  • トークスクリプト作成手順:目的とゴールを明確に設定し、顧客からの問い合わせを予測して想定質問を洗い出す。次に、それぞれの質問に対する具体的な対応例を考え、オープニング、メイン、クロージングを組み合わせて構成を立てる。
  • トークスクリプトの3要素:顧客に安心感を与えるオープニングトーク、顧客のニーズを傾聴し問題解決を図るメイントーク、そして感謝の気持ちを伝え良好な関係を築くクロージングトークの3つの要素で構成されている。
  • トークスクリプト作成時のポイント: AIやテクノロジーを活用してデータ分析を行い、敬語の正しい使用に注意しつつ、見やすいレイアウトを心掛けることが重要であり、さらにロールプレイングを実施して実際の運用前に確認することが求められる。

「コールセンターに欠かせないトークスクリプトはどのように作成すればいいのか?」
「トークスクリプトに必要な要素は?実際のサンプルを見たい」

コンタクトセンター(コールセンター)の担当者の多くは、効果的なトークスクリプトの作成方法について疑問を抱いていることでしょう。

トークスクリプトとは、顧客とのやり取りを会話形式で示した台本のことです。このスクリプトを活用することで、オペレーターが迷うことが少なくなり、スムーズな対応が可能になります。

以下に、トークスクリプトの作成手順を示します。

トークスクリプトの作成手順

1.

目的とゴールを明確にする

2.

想定される質問を洗い出す

3.

対応例を考える

4.

構成を立てる

5.

会話形式に落とし込む

6.

見やすい形式でまとめる

7.

使用しながら随時改訂する

本記事では、コンタクトセンターでトークスクリプトを作成するために知っておくべき重要なポイントをまとめて解説しています。本記事を最後まで読むことで、トークスクリプトを一から作成できる知識とスキルを身につけることができるでしょう。

1.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトとは

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトとは

一般的に、コンタクトセンター(コールセンター)にはオペレーター向けの「トークスクリプト」が用意されています。この「トークスクリプト」は一体何なのか、そしてなぜ必要なのかを確認していきましょう。

1-1.トークスクリプトとは?

「トークスクリプト」とは、直訳すると「会話の脚本」です。

コンタクトセンターの主な業務は顧客との電話応対であり、トークスクリプトは想定される問い合わせ内容に対して、オペレーターがどのように応対すればよいかを具体的な文例で示したものです。

トークスクリプトは以下の3つの要素で構成されており、これを参照することでオペレーターは必要な応対を理解することができます。

トークスクリプトの3つの要素

要素

概要

1.オープニングトーク

挨拶・自己紹介・要件を伝える。

お電話ありがとうございます。○○お客様問い合わせセンターの△△(自分の名前)です。本日はどのようなご用件でしょうか?

2.メイントーク

インバウンド:問い合わせ内容に応じて問題解決方法を提案する。
アウトバウンド:商品やサービスの提案を行う。

■■(商品・サービス名)に何か不具合がございましたか?詳しくお聞かせください。

3.クロージングトーク

お礼・最終確認を行う。

本日は○○にお問い合わせいただき、ありがとうございました。お客様問い合わせセンターの△△が承りました。失礼いたします。

トークスクリプトの内容は、取り扱う商品やサービスの種類、業務がインバウンドかアウトバウンドか、または契約・解約、予約、問い合わせなどの窓口業務によって異なるため、コンタクトセンターごとに適切に作成する必要があります。

1-2.トークスクリプトの形式

トークスクリプトの形式は、以前は紙のマニュアルのようなものでした。オペレーターは顧客の話に合わせて、ページをめくりながら該当するトークを探して会話を進めていきました。しかし、最近ではパソコン上で参照できるトークスクリプトが主流になってきています。

多くのコンタクトセンターでは、ITツールやシステムにトークスクリプト作成機能が搭載されており、これを利用しているケースが増えています。

この場合、オペレーターは1つのパソコンモニターで顧客情報や製品情報とともにトークスクリプトを閲覧できるため、間違った応対や言葉に詰まるリスクを減少させ、センター全体の応対品質を均質化するのに役立っています。

1-3.トークスクリプト作成の目的と必要性

トークスクリプトを用意する主な目的は、「応対品質の均質化」です。

電話での対応はオペレーター個人のトークスキルや業務知識に大きく依存します。トークスキルが高く、知識も豊富なオペレーターであれば、顧客が満足できる結果を導き出すことができます。

しかし、トークスキルが低く、知識も不十分なオペレーターの場合、言葉に詰まったり、誤った情報を伝えたりするリスクが増大し、顧客に不安や不満を抱かせる可能性があります。

このような問題を解決するために、トークスクリプトが必要になります。

あらかじめ、「この質問にはこう回答する」「顧客が【YES】と言えばこのトークを、【NO】と言えばこちらのトークを使う」と決めておけばトークスキルや知識が不十分なオペレーターでも一定水準以上の対応が可能になります。

さらに、研修時からトークスクリプトを活用することで、オペレーターの育成期間を短縮でき、即戦力化を図ることができます。このように、トークスクリプトはコンタクトセンターの応対品質を向上させるために非常に重要な役割を果たしています。

2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素

では、トークスクリプトには具体的にどのような内容を盛り込むべきでしょうか?
トーク内容はコンタクトセンター(コールセンター)の業種や、インバウンド・アウトバウンド、窓口の種類によって異なりますが、どのセンターでも共通して必要な3つの要素があります。

トークスクリプトの3つの要素

1.オープニングトーク

挨拶・自己紹介・要件を伝える

2.メイントーク

インバウンド:問い合わせ内容に応じた問題解決方法を提案する
アウトバウンド:商品やサービスの提案を行う

3.クロージングトーク

お礼・最終確認を行う

2-1.オープニングトーク

オープニングトークは、電話でのやりとりの最初の部分であり、重要な役割を果たします。インバウントとアウトバウンドでは内容が異なりますが、共通して重要なのは、顧客に信頼感や安心感を与えることです。

実はこのオープニングトークは、コンタクトセンターにおいて応対の成否を分ける重要な要素とされています。電話の第一声によって顧客が好印象を抱くか悪印象を感じるかが決まり、その後のメイントークへとつながるかどうかが左右されます。

そのため、オープニングトークはシンプルでありながらも、相手の警戒心を解くような表現を心がけることが重要です。必要十分な情報を含めつつ、親しみやすさを演出することで、顧客との良好な関係を築く第一歩となります。

2-2.メイントーク

オープニングトークで相手が話を聞いてくれる状態になったら、いよいよ「メイン」のトークに入ります。

この部分の内容は、インバウンドとアウトバウンドで大きく異なるため、業種や扱う製品に合わせて適切に構成する必要があります。一般的には、以下の5つの要素を組み合わせて作成します。

コンタクトセンターでのメイントークの例

さらに、メイントークには「既存顧客の場合/新規顧客の場合」「話を聞いてもらえた場合/『結構です』と断られそうになった場合」「この質問に『YES』と回答された場合/『NO』と回答された場合」といったように、様々なケースに応じた受け答えの例を用意することが重要です。

これまでの応対記録を分析し、相手の反応がよかったトークや成約につながったトークを参考にして、文例を組み立てると効果的です。

2-3.クロージングトーク

メイントークが終了したら、最後に「クロージング」のトークに入ります。クロージングトークでは、以下のような内容が考えられます。

コンタクトセンターでのクロージングトークの例

メイントークで要件は終了していますので、クロージングトークは長くなりすぎないよう注意し、礼儀を保ちつつも簡潔にまとめることが求められます。クロージングでの印象が、顧客の満足度やリピートにつながるため、しっかりと意識しましょう。

3.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成の手順

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成の手順

トークスクリプトにはどのような内容を盛り込むべきかが理解できたところで、実際に作成する際の手順を確認しましょう。一般的には、以下の7つのステップに沿って進めると効果的です。

1.トークスクリプトの目的とゴールを明確にする
2.想定される質問を洗い出す
3.対応例を考える
4.構成を立てる
5.会話文に落とし込む
6.見やすい形式でまとめる
7.使用しながら随時改訂する

3-1.トークスクリプトの目的とゴールを明確にする

最初のステップは、トークスクリプトを作成する目的とゴールを明確にすることです。

コンタクトセンター(コールセンター)の役割は様々ですが、以下のような目的が考えられます。

・販売促進のトークスクリプト
 自社の商品やサービスを効果的にアピールし、販売を促進する。

・アポイント取得のトークスクリプト
 顧客にアポイントを取得するためのトークを構築する。

・解約時に好印象を与えるトークスクリプト
 解約を希望する顧客に対しても、好印象を残すためのトークを準備する。

・催促や督促のトークスクリプト
 顧客に対して催促や督促を行う際のトークを整える。

・アフターフォローのためのトークスクリプト
 商品やサービス利用後の顧客フォローを行うためのトークを用意する。

例えば、アウトバウンドのコンタクトセンターでは自社の商品やサービスをアピールすることが多いため、商品やサービスの優位性を説明し、受注・注文受付をゴールとするトークスクリプトが考えられます。

一方で、顧客の問い合わせ対応を行うインバウンドのコンタクトセンターでは、好印象を与える応対が求められます。この場合、商品説明や契約、解約などの問い合わせ内容に応じたトークスクリプトを作成し、応対品質を向上させることが重要です。

このように、トークスクリプトを作成する目的を明確にすることで、意義のあるトークスクリプトを作成しやすくなります。次のステップに進む前に、目的の具体化をしっかりと行いましょう。

3-2.想定される質問を洗い出す

次に、トークスクリプトの目的やゴールに基づいて、想定される質問を洗い出します。
この際、コンタクトセンター(コールセンター)のペルソナを具体的に想定すると、質問を検討しやすくなります。

また、電話だけでなく、チャットやメール、FAQなどでの検索数を分析することで、顧客からの問い合わせが多い内容を把握することが可能です。

以前はオペレーターが残した対応ログをスーパーバイザーが集計・分析すること一般的でしたが、近年ではテクノロジーを活用し、VOC(Voice of Customer)を集約している企業が増えています。

コンタクトセンターに寄せられた問い合わせ内容を確認することで、どのような質問が想定されるのかを明確にすることができます。想定される質問は一覧にまとめておくことで、トークスクリプトの作成がスムーズになります。

3-3.対応例を考える

想定質問が揃ったら、次はそれに対する具体的な対応方法を考えます。

例えば、「製品の使い方がわからない」という質問があった場合、以下のような対応方法が考えられます。

・口頭での説明
 オペレーターが直接使用方法を説明する。
・取り扱い説明書のURL案内
 ウェブサイトの取り扱い説明書のリンクを顧客に送信する。
・遠隔サポート
 リモートデスクトップや画面共有を使って、顧客の画面を直接確認しながらサポートする。

このように、説明方法やケースごとの対応を細かく決めていくことが重要です。また、顧客の反応や状況に応じて柔軟に対応できるよう、複数の対応例を用意することをお勧めします。これにより、オペレーターが自信を持って顧客に対応できるようになります。

3-4.構成を立てる

質問とそれに対する対応が決まったら、次はトークスクリプトの構成を立てます。
まずは、「2.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトに必要な3要素」を参考に、必要な要素を並べます。

オープニングトークとクロージングトークは必須ですが、メイントークの5要素(傾聴・共感・問診・問題解決・提案)については、センターによって順番や必要な要素が異なる場合がありますので、業務内容に合わせて組み立てましょう。

大まかな構成が決まったら、それに基づいて想定質問とその対応を並べていきます。顧客の応答次第でこちらの対応が変わることがあるため、分岐する構成になることが一般的です。

【構成例】

トークスクリプトの構成例

3-5.会話文に落とし込む

構成が決まったら、質問に対する対応を実際に顧客に対してトークする際の会話文に落とし込んでいきます。この時、顧客側の会話はシンプルで構いません。オペレーター側の応答のみを、実際にそのまま読んで会話が成立する文章に仕立てていきます。

特に注意したいのは「敬語」です。
オペレーターの中には謙譲語や尊敬語を間違って使ってしまうケースもよくあります。そのため、トークスクリプトでは必要十分な敬語を正確に使った文例を示すことが重要です。

また、漢字を多用しすぎると読みにくくなるため、ある程度ひらがなやカタカナを使ったり、難しい漢字にはフリガナを付けたりする工夫も欠かせません。これにより、オペレーターがスムーズにトークを行えるようになります。

3-6.見やすい形式でまとめる

ここまでできたら、いよいよトークスクリプトの最終仕上げです。オペレーターが見やすい形式でまとめることが重要です。

以前は紙のマニュアル形式が一般的でしたが、その場合、オペレーターは対応しながらページをめくり、進行中の会話に該当するトークを探さなければなりませんでした。

現在では、ExcelやPowerPointなどを使ってフロー図形式で作成し、PC上で顧客情報などと並べて閲覧できるケースが多くなっています。

【Excelでのトークスクリプト作成方法】

1.「挿入」タブをクリックし、「SmartArt」を選択
 これにより、視覚的なフロー図を簡単に作成することができます。

「挿入」タブをクリックし、「SmartArt」を選択

2.「階層構造」から好きなグラフィックを選択し、「OK」をクリック
 選択したグラフィックを元にトークスクリプトを構成していきます。

「階層構造」から好きなグラフィックを選択し、「OK」をクリック

また、近年のコンタクトセンター向けITツールの中には、音声認識機能を搭載し、トーク内容を瞬時に認識して関連するトークをモニターに表示する機能を持つものもあります。コストを考慮した上で、自社のセンターに最も使いやすい形式を選択すると良いでしょう。

3-7.使用しながら随時改訂する

トークスクリプトが一応完成した後も、実際に使用してみると顧客から想定していなかった質問が寄せられたり、予め想定したメイントークだけでは顧客の要望に十分応えられなかったりすることが多々あります。このように、使用中に不備や改善点が見えてくることがあります。

したがって、一度作成したトークスクリプトも使用しながら随時改訂していくことが重要です。まずは一定期間使用してみて、スーパーバイザーやオペレーターから改善点や疑問点を吸い上げます。

さらに最近の問い合わせ傾向を学習させたAIやトーク分析が可能なテクノロジーを活用し、足りないトークを追加したり、より訴求力のあるセールストークにブラッシュアップしたりすることも検討しましょう。

このように、PDCAサイクルを繰り返すことで、より高い応対品質と顧客満足度を実現できるトークスクリプトに近づけることができます。

4.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト例

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト例

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトの作成手順が理解できたところで、実際のトークスクリプトの事例を見てみましょう。ここでは、アウトバウンドとインバウンドに分けて具体的なトークスクリプトの内容をご紹介します。

4-1.アウトバウンドのトークスクリプト例

まずは、アウトバウンドのコンタクトセンターのトークスクリプト例です。アウトバウンドのコンタクトセンターとは、顧客に対して電話をかけるコンタクトセンターのことを指します。ここでは具体的なアウトバウンドのトークスクリプトの例を示します。

アウトバウンドのコンタクトセンター以下のような目的があります。

・商品やサービスの提案を行う
・既存顧客に新しい商品やサービス、リピートの案内をする

アウトバウンドのコンタクトセンターについてはこちらの記事を参考にしてください。

オープニングトーク

アウトバウンドのコンタクトセンターにおけるオーブニングトークは、挨拶・自己紹介・要件の順で構成されます。以下に具体的な例を示します。

オープニングトーク例

1.基本的なオープニング
「お忙しいところ恐れ入ります。私、株式会社〇〇の△△と申します。◇◇様のお宅でしょうか?◇◇様はご在宅でしょうか?」

2.担当者へのアプローチ
「突然お電話差し上げまして失礼いたします。私、※※サービスを扱っております株式会社〇〇の△△と申します。※※のご担当者様はご在籍でしょうか?」 

これらのトークは、オペレーターが顧客に信頼感を与え、スムーズに会話を進めるための重要な要素です。

不在や留守電の場合のトークスクリプト

1.不在の場合
「さようでございますか。それではまた改めさせていただきます。恐れ入りますが、お戻りのご予定は何時ごろでしょうか?」

2.留守電の場合
「私、株式会社〇〇の△△と申します。本日は、※※サービスのご案内でご連絡いたしました。また改めさせていただきます。失礼いたします。」

このように、オープニングトークや不在時・留守電時のトークを用意しておくことで、さまざまな状況に対応できるトークスクリプトを構築することができます。次に、メイントークの内容について見ていきましょう。

メイントーク

アウトバウンドのメイントークでは、自社の商品やサービスを提案します。要件を簡潔に伝えた後、相手の意見やニーズを傾聴することで、信頼関係を築きやすくなります。相手の悩みや不安に応じた提案ができれば、顧客の心を掴むことができます。

新規顧客獲得のトークスクリプト例

1.傾聴・問診

「本日は、弊社の商品※※についてのご案内でご連絡いたしました。御社は、△△についてお困りではありませんか?」

2.提案

「▲▲でお困りでしたら、弊社の※※(商品・サービス名)がお役に立てるかと思います。(ここから商品説明)」

リピーター獲得のトークスクリプト例

1.傾聴・問診

「先日は、※※(商品・サービス名)のご注文をいただき、ありがとうございました。無事お届けできましたでしょうか?」
「使い心地はいかがでしょうか?」

2.提案

「それでしたら、新製品の☆☆にお買い替えをおすすめいたします。先ほどお伺いしたご不満点を改良した商品ですので、(ここから商品説明)」
「今ならキャンペーン価格〇〇円でお買い求めいただけますので、まとめてご購入いただくとお得です。」

メイントークのトークスクリプト作成時には、相手の意見に応じて柔軟に対応できるよう、複数の切り返しトークを用意しておくことが安心です。

切り返しのトークスクリプト例

「予算がない」や
「値段が高い」
と断られた場合

「どのような点で『高い』と思われましたか?」
「総費用だとお高いと感じるかもしれませんが、1か月あたりにすれば〇〇円です。毎月このサービスを外部に委託する費用と比べると、お得ではないでしょうか?」
「◎◎や◇◇もご利用いただけますので、費用に見合ったサービスを提供できると思います」

「ちょっと考えます」
「検討しておきます」
と言われた場合

「ありがとうございます。ちなみに、何か気になる点はございますか?」
「弊社でもその点(不安に思われてる点)には特に力を入れておりまして・・・(ここから相手の不安を解消するような商品・サービス説明)」

特に新人のオペレーターの場合、予期せぬ返答に対して言葉に詰まる可能性があります。あらかじめ見本となるトークスクリプトを複数用意しておくことで、機会損失を防ぐことにつながります。次に、クロージングトークの内容について見ていきましょう。

クロージングトーク

クロージングトークでは、顧客への感謝の気持ちを伝え、最後まで丁寧な応対を心がけることが重要です。特にリピーター獲得の場合、すでに信頼関係が構築されているケースが多いため、労りの一言を添えると良いでしょう。

クロージングトークの例

新規顧客獲得の場合

「他に何かご不明点やご要望はございませんか?」
「承知いたしました。◇◇様、本日は※※のご注文をいただき、ありがとうございました。〇日程度でご自宅にお届けできると存じますので、もし何かありましたら、こちらの番号までお問い合わせください。担当の△△が承りました。ありがとうございました。失礼いたします。」

リピーター獲得の場合

「本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。また何かご希望やご質問などございましたら、フリーダイヤル0120-xxx-xxxまでご連絡ください。寒い日(暑い日など)が続きますが、お体にお気をつけてお過ごしください。本日はありがとうございました。失礼いたします。」

このように、クロージングトークでは相手への感謝を伝えるとともに、今後の関係構築を意識することが大切です。リピーターに対しては、親しみやすい言葉を加えることで、顧客の心に残る一言となります。次に、インバウンドのトークスクリプト例も見ていきましょう。

4-2.インバウンドのトークスクリプト例

続いて、インバウンドコンタクトセンターのトークスクリプト例をご紹介します。インバウンドのコンタクトセンターとは、顧客からの電話を受け付けるコンタクトセンターを指します。主に以下のような業務が該当します。

・商品やサービスの故障、使い方などの問い合わせ対応
・商品やサービスの購入希望者の対応

インバウンドのコンタクトセンターでは、どのようなトークスクリプトを作成すると良いのか、参考にしてください。

オープニングトーク

インバウンドのオープニングトークは、アウトバウンドと同様に挨拶・自己紹介・要件の3つを伝えるトークスクリプトを作成します。具体的な例を以下に示します。

オープニングトークの例

「お電話ありがとうございます、株式会社〇〇・お客様問い合わせセンターの△△(自分の名前)です。本日はどのようなご用件でしょうか?」

ここで1点注意点が必要です。
IVR(自動応答システム)などのシステムを導入している場合、顧客の問い合わせ内容ごとにオペレーターを分けることがあります。

IVRで「商品の故障」を選択している顧客に対して再度「本日はどのようなご用件でしょうか?」と聞いてしまうと、顧客に不信感や手間感を与えることになります。

IVRで「商品の故障」を選択している場合のオープニングトークの例

「お待たせいたしました。株式会社〇〇・カスタマーサポートセンターの△△(自分の名前)が承ります。故障の状態を詳しく伺えますか?」 

このように、オペレーターごとに案件の割り振りを行っている場合は、応対内容を踏まえたトークスクリプトを作成することが重要です。次は、メイントークの内容について見ていきましょう。

メイントーク

インバウンドのメイントークは、応対内容によって多岐にわたります。基本的には、相手の意見やニーズを傾聴しながら、求めていることを解決できるよう応対することが重要です。以下に、商品やサービスの購入と故障受付のトークスクリプトの例を示します。

サービスや商品購入のトークスクリプト例

1.傾聴・問診

「ありがとうございます。お客様、※※(商品・サービス名)のご利用は初めてでしょうか?」
「では、お客様情報をご登録いたしますので、お名前、ご住所、お電話番号をお教えください。」

2.提案・問題解決

「購入される商品は○○を1点でよろしいでしょうか?」
「今ならキャンペーン価格〇〇円でお買い求めいただけますので、まとめてご購入いただくとお得です。」

商品の故障受付のトークスクリプト例

1.傾聴・問診

「※※(商品・サービス名)に何か不具合がございましたか?」

2.提案・問題解決

「いま※※(商品名)はお手元にございますでしょうか? 裏蓋のところに製品番号が書かれていますので、読み上げていただけますでしょうか?」
「このような方法はお試しいただきましたか? 結果はいかがでしたか?」
「▢▢は正常に作動していますでしょうか?」

故障受付の場合は、扱っている商品によっては複数の提案ができるため、トークスクリプトを細かく作成することが効果的です。

顧客に試してもらえる方法や故障状況の確認方法を具体的に記載することで、均一な応対がしやすくなります。次は、クロージングトークの内容について見ていきましょう。

クロージングトーク

インバウンドのクロージングトークは、アウトバウンドと同様に感謝の気持ちを伝え、最後まで丁寧に応対することが重要です。顧客に安心感を与え、次回の利用を促すようなトークを心がけましょう。

クロージングトークの例

1.基本的なクロージング
「ご案内は以上ですが、他に何かご質問はございますか?」
「本日は、※※にお申込みいただきありがとうございました。カスタマーサポートセンターの△△が承りました。お電話ありがとうございました。失礼いたします。」

このように、インバウンドのクロージングトークにおいても、顧客への感謝の意をしっかり伝えることが大切です。また、確認の質問を加えることで、顧客が抱えている問題や疑問を解決する機会を逃さず、より良いサービスを提供することができます。

トークスクリプトは、目的とゴールに応じてできるだけ細分化し、各シチュエーションに適した内容を作成することが重要です。このアプローチにより、顧客満足度の向上と応対品質の改善が期待できます。次に、トークスクリプトを活用する際のポイントについてまとめていきましょう。

5.コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成のポイント

コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプト作成のポイント

トークスクリプトの作成手順が理解できましたが、実際に作成する際には、いくつか注意すべきポイントがあります。以下では、トークスクリプトを作成するための重要なポイントを挙げていきます。

トークスクリプトを作成するときのポイント

1.AIやテクノロジーを活用する
2.敬語を正しく使う
3.見やすいレイアウトにする
4.ロールプレイングを実施する

5-1.AIやテクノロジーを活用する

トークスクリプトに記載する文例は、顧客の疑問や不満を十分に解決し、満足を提供するものでなければなりません。また、自社の商品やサービスに興味を持たせて契約や購入に至らせることも重要です。

近年では、AIやテクノロジーの発達により、トークスクリプトの作成方法が大きく変化しています。以前は経験豊富なスーパーバイザーによってトークスクリプトが作成されることが一般的でしたが、今では以下のようなメリットがあります。

・データ分析の活用
AIやテクノロジーを活用することで、特定の個人の経験値に左右されない形で、コンタクトセンター(コールセンター)の過去の対応履歴や傾向を分析できるようになります。これにより、顧客に対してより一貫したサポート体験を提供できるようになります。

・迅速な対応
顧客の問題や質問に対して迅速対応するための情報が蓄積され、スクリプトに反映されることで、オペレーターの応対スピードと質が向上します。

・成功例の活用
過去に多くの顧客対応を経験し、成功例を蓄積しているスーパーバイザーやオペレーターに事前にロールプレイングで確認してもらうことも有効です。例えば、以下のような実体験がスクリプト作成に役立ちます。

・「過去にこういうトークで新規顧客を契約に導いたことがある」
・「『××という理由でその商品は必要ない』と拒否する相手に対して、このような切り返しトークを行ったところ、購入してもらえた」
・「こういった苦情には『〇〇〇〇』という対応をすれば、短時間で相手を納得させることができる」

これらの実体験をもとにトークスクリプトを作成することで、完成度の高いものに仕上げることができます。

また、「顧客からはこういう質問も出るのではないか?」や「この言い回しは『おすすめです』より『いかがでしょうか?』のほうが受け入れられやすい」といった観点から、トークスクリプトの問題点や改善点を指摘してもらうことも大変重要です。

5-2.敬語を正しく使う

コンタクトセンターにおいて、敬語を正しく使用することは非常に重要です。敬語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類があり、それぞれの使い分けを理解しておく必要があります。

・尊敬語:相手自身、相手の状態や動作、相手に関する物事を敬って使う敬語
・謙譲語:自分や身内の状態や動作、自分や身内に関する物事をへりくだって使う敬語
・丁寧語:言葉を丁寧にするための表現(「です・ます」など)

コンタクトセンターでよく使われる敬語の中には、尊敬語と謙譲語を間違えやすいものもあります。以下に、よくある誤用を示すための表を作成しましたので、トークスクリプト作成時の参考にしてください。

誤用例

正しい使い方(尊敬語)

正しい使い方(謙譲語)

伺う(相手に対して)

お伺いする

伺う(自分が行く場合)

いらっしゃる

いらっしゃいます

おります

おっしゃる

おっしゃいます

申す

ご覧になる

ご覧になります

拝見する

この表を参考にし、トークスクリプトを作成する際には敬語の正しい使い方を意識しましょう。

5-3.見やすいレイアウトにする

トークスクリプトは、顧客の返答によってこちらの対応が変わるため、通常は途中で分岐したフロー図の形になります。

しかし、分岐が増えすぎたり、やりとりが長くなった結果、フロー図が複雑化し、「このトークの次はどのトークにつなげればいいのか」がわかりにくくなることがよくあります。

そのため、オペレーターにとってできるだけ見やすいレイアウトを心がけることが重要です。以下の工夫が有効です。

・矢印の配置:トークから次のトークにつなげる矢印は、できるだけ交差しないように配置。
・色分け:場合分けに合わせて色分けする
(例:YESの場合は赤、NOの場合は青の文字にするなど)
・別紙の活用:細かい商品説明などは別紙に分ける。

これらの工夫により、オペレーターがスムーズにトークを進められるようになります。次に、ロールプレイングの重要性について見ていきましょう。

5-4.ロールプレイングする

トークスクリプトが完成したら、実際の運用前にスーパーバイザーや経験豊富なオペレーター同士でロールプレイングを行うことが重要です。このプロセスでは、以下のような利点があります。

1.言葉遣いやフレーズの確認
実際にスクリプトを読んでみることで、不自然な言葉遣いや言いにくいフレーズが明らかになります。これにより、改善の余地が見つかります。

2.レイアウトの見やすさ
トークスクリプトのレイアウトが実際の応対において見やすいかどうかを確認できるため、オペレーターがスムーズにトークを進められるかどうかを評価できます。

3.フィードバックの重要性
スーパーバイザーや経験豊富なオペレーターが問題を感じるトークスクリプトは、一般のオペレーターにとってさらに使いづらい可能性があります。そのため、ロールプレイングを通じて得られたフィードバックをもとに、スクリプトの改善が必要です。

4.問題点の洗い出し
ロールプレイングで発見された問題点を改善し、より完成度の高いトークスクリプトを現場のオペレーターに提供することで、実際の顧客対応における品質向上が期待できます。

ロールプレイングを経て、オペレーターが自信を持って顧客対応に臨むことができるようにすることで、顧客満足度の向上にもつながります。次に、トークスクリプトを活用する際の具体的な注意点についてまとめていきましょう。

まとめ

いかがでしたか?
コンタクトセンター(コールセンター)のトークスクリプトについて、必要な情報を得られたかと思います。最後に、記事のポイントを振り返ってみましょう。

・コンタクトセンターのトークスクリプトに必要な要素

1.オープニングトーク
2.メイントーク
3.クロージングトーク

・トークスクリプトの作成手順

1.トークスクリプトの目的とゴールを明確にする
2.想定される質問を洗い出す
3.対応例を考える
4.構成を立てる
5.会話文に落とし込む
6.見やすい形式でまとめる
7.使用しながら随時改訂する

・トークスクリプト作成のポイント

・AIやテクノロジーを活用する
・敬語を正しく使う
・見やすいレイアウトにする
・ロールプレイングを実施する
・使いながら随時改訂する

トークスクリプトが正しく利用されているか評価するためにはモニタリングが有効ですが、工数がかかるため、音声認識ツールを活用して分析・評価するのが効果的です。

たとえば、トランスコスモスが提供する音声認識ツール「transpeech」では、オペレーターの応対の「正誤判断」をAIによって行える機能があり、応対評価工数を80%削減した事例もあります。興味のある方はこちらをご確認ください。

この記事が、あなたのコンタクトセンターにおいて使いやすく、高品質な応対につながる良質なトークスクリプトの作成に役立つことを願っています。

トランスコスモスは3,000社を超えるお客様企業のオペレーションを支援してきた実績と、顧客コミュニケーションの
ノウハウを活かして、CX向上や売上拡大・コスト最適化を支援します。お気軽にお問い合わせください。
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