
「コールセンターの後処理時間を短縮したい。どうすればいいのだろう」
後処理時間の短縮は、コンタクトセンター(コールセンター)の生産性向上を図るうえで避けては通れない課題です。改善の必要性を感じながらも、具体的な打ち手が見えず悩む現場は少なくありません。後処理時間は「スキル」だけではなく「設計」で決まります。
まず最初にやるべきは「テンプレート化」です。次に「入力項目の削減」、その後に「教育」を進めます。音声認識の導入は最後に検討しましょう。

本記事では、コンタクトセンターの後処理時間が長くなる主な原因を整理したうえで、短縮方法を具体的に解説します。また、平均値も紹介するため、自社の目標設定にも活用できます。
1.コンタクトセンター(コールセンター)の後処理時間の平均は「4.8分」

コンタクトセンター(コールセンター)の後処理時間(After Call Work:ACW)とは、オペレーターが通話終了後に問い合わせ内容や引き継ぎ事項などをシステムに入力するために要する時間を指します。
後処理時間の短縮を目指すうえでは、現状の正確な把握と適切な目標設定が重要になります。まずは、それらの参考になる「一般的な後処理時間の平均値」を確認しましょう。
株式会社リックテレコムの調査によると、コンタクトセンターにおける後処理時間の平均は「4.8分」です。

また、全体の傾向を見ると、約半数が5分未満であることが分かります。
後処理時間を短縮する最大の意義は、生産性を向上させることによって、顧客接触機会の損失を減らすことにあります。
たとえば、1通話あたりの対応時間が6分のコンタクトセンターを例に見てみましょう。
通話時間4分+後処理時間2分だった場合、後処理時間を1分短縮できると、1時間あたりに対応できる電話件数が10本から12本に増え、生産性が1.2倍になるのです。
こうしてより多くの顧客と接触することが可能になり、電話がつながりやすくなることで顧客満足度も向上します。
通話時間は顧客要因に左右されますが、後処理時間はセンター側の取り組みで改善できます。
そのため、生産性向上に向けた施策としては、まず後処理時間の短縮から着手するのが合理的です。
ただし後処理時間の長さは、業種や応対の複雑さなどによって異なります。平均値を参考にしつつ、自センターの業務実態を踏まえた現実的な目標値を設定しましょう。
2.コンタクトセンター(コールセンター)の後処理(ACW)に時間がかかる3つの原因

コンタクトセンター(コールセンター)の後処理時間を短縮するためには、なぜ長くなるのかという原因を把握することが不可欠です。
コンタクトセンターの後処理時間が長くなる原因は、主に以下の3つに整理できます。

2-1.入力時のルールが定まっていない
後処理時間が長くなる1つめの原因は、オペレーターが情報をシステムに入力する際のルールが定まっていないことです。
記載内容や表現方法が明確でないと、「何をどう書くか」の判断に時間がかかります。
たとえば、以下のような場面が見られる場合には、入力ルールの未整備が後処理時間の延長につながっている可能性があります。
・応対記録のテンプレートが存在しない |
2-2.システムに入力する内容が複雑・煩雑である
後処理時間が長くなる2つめの原因は、システムに入力する内容が複雑・煩雑なことです。
入力項目が多い、同じ内容を複数箇所に入力する必要がある、頻繁に画面が遷移するなどの場合、入力作業に手間がかかり、後処理時間が長くなります。
たとえば、以下のような場面が見られる場合には、システム上の問題が後処理時間の延長につながっている可能性があります。
・入力の必須項目が多い(目安:7か所以上) |
このように、入力作業の負荷が大きいシステム設計だと、どれだけスキルが高いオペレーターであっても後処理に時間がかかってしまいます。
「最小限の操作で入力できる設計か」を見直しましょう。
2-3.オペレーターの入力スキルが乏しい
後処理時間が長くなる3つめの原因は、オペレーターの入力スキルが乏しいことです。
タイピングスピードが遅かったり、システム操作に手間取ったりすると、入力作業に時間がかかります。応対内容を想起・整理して記録することが不得手な場合も、同様です。
たとえば、以下のような場面が見られる場合には、オペレーターの入力スキルが後処理時間に影響している可能性があります。
・同じ応対内容でも、オペレーターによって後処理時間に大きな差がある |
このように、オペレーターのスキルによっては、入力作業がスムーズに進まず、1件あたりの後処理時間が延びやすくなります。
ルールや環境を整備したうえで、個々のオペレーターの状況を確認し、必要に応じてフォローや育成を行うのが効果的です。
3.コンタクトセンター(コールセンター)の後処理時間を短縮する方法

こうした原因を踏まえて、後処理時間を短縮するための方法をご紹介します。
後処理時間の短縮施策は、大きく以下の3つに分類できます。
・仕組み改善:入力テンプレートやプルダウンの整備 |
これらを組み合わせることで、効率的に改善できます。

それぞれの内容について、解説していきます。
3-1.入力システムを使いやすく改善する
後処理時間を短縮するには、まず入力システムを改善し、オペレーターが「迷わず、止まらずに入力できる状態」をつくるのが効果的です。
入力内容が不明確だったり、操作が煩雑だったりするままでは、オペレーターのスキルに問題がなくても、後処理時間の短縮には限界が生まれます。
そのため、以下のような方法でシステム由来の負荷を減らし、誰でも一定のスピードで作業できる土台を整えることが重要になります。
・テンプレートを利用して入力内容を形式化する |
テンプレートを利用して入力内容を形式化する
問い合わせ内容に応じたテンプレートを用意し、決められた内容を埋めるだけでよい形にすると、後処理時間を大幅に短縮できます。
オペレーターの「何を、どこまで、どのように書くべきか」という迷いがなくなり、入力作業のスピードが上がるからです。
テンプレートには、よくある内容をあらかじめ記載しておくと、より効率よく入力できます。
たとえば、「問い合わせ内容」「回答内容」「対応結果」といった項目がレイアウトされたシートを、「質問」「返品」などのシーン別に用意するとよいでしょう。
記載例も併せて用意できると、入力内容に対する理解が深まり、粒度や表現も統一されやすくなります。
こうして入力内容を形式化することで、後処理時間の短縮と応対記録の質向上を同時に実現できます。
応対記録の効率化はトランスコスモスにご相談ください |
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可能な限りプルダウン式にし、選択項目をシンプルにする
また、記録内容を可能な限りプルダウン式で選択するだけの形にし、項目は数や階層を整理してシンプルにすることで、後処理時間の短縮につながります。
自由記述から選択式に変われば、入力作業に要する時間は大幅に短縮します。また、その際に項目が適切に絞られていれば、素早く見つけて選択できるため、さらに作業効率が向上するのです。
たとえば、「問い合わせ種別」や、完了ステータスを示す「対応状況」など、あらかじめ定義できる分類項目をプルダウン式にするのが効果的です。
同時に、項目数が多すぎて何度もスクロールしなければいけないようなら、使用頻度の低い項目を統合・削除し、選択肢の数自体を減らしましょう。
「動作の不具合」「充電の不具合」のように細分化している場合には、「使用上の不具合」などとより大きくまとめる判断も必要です。
また、項目を直感的に扱えないと選択に悩む時間が発生してしまうケースがあるので、「その他」などを入れて網羅性を確保することをおすすめします。
【プルダウンのイメージ】

このように、プルダウンで迷わず選択できる形式にすることで、入力操作がスムーズになり、所要時間が短縮されます。
3-2.オペレーターの入力スキルを育成する
入力スキルを高めることで、後処理時間は安定して短縮できます。
以下のような方法でスキルの向上を図ることが効果的です。
・応対履歴を書く際のポイントを周知する |
応対履歴を書く際のポイントを周知する
入力スキルのうち、「どのように書くか」という思考・判断を助けるためには、応対履歴を書く際のポイントを周知するのが効果的です。
テンプレートを用意していても、入力すべき情報量や表現を理解できていないと、考え込んで手が止まり、後処理時間が長くなってしまうからです。
たとえば、「この項目は事実のみを簡潔に書く」「こういった要素は補足としてここにまとめる」のように、具体的なガイドを整備しておくと、オペレーターが迷わずに入力できます。
併せて、一般的な書き方のコツも共有しておくことで、入力時に判断しなければならないポイントがさらに減り、スムーズに取り組むことが可能になります。
【応対履歴の書き方のコツ】
・慣れないうちは、まず箇条書きにする ×「商品が故障して動かないとのことなので、14時にこちらから折り返すと伝えた」 ○「商品が故障して動かないとのこと。14時に折り返しを約束」 ・一般的には、以下の内容についてそれぞれ一文ずつ書く 1)顧客からの問い合わせ内容・用件 |
こうして応対記録を書く際のポイントを示すことで、オペレーターの中で記録の完成イメージが具体化され、後処理の停滞を防ぐことができるのです。
タイピングスピードを向上させる
タイピングスピードの向上は、後処理時間の短縮に大きく寄与します。
速く正確にタイピングできるほど、入力にかかる時間は短くなり、ミスによる打ち直しも減るため、後処理に要する時間を抑えられるからです。
そのためには、継続的な反復練習によって入力動作を定着させることが重要です。タイピングソフトを導入し、定期的に練習できる環境を整えましょう。
ショートカットキーや単語登録を積極的に使用してもらう
オペレーターに、ショートカットキーや単語登録を積極的に使用してもらうのも効果的です。
ショートカットキーを活用すれば、マウス操作や画面遷移を減らせます。また単語登録を使うことで、定型文の入力にかかるキー操作を大幅に省略できます。
結果として、入力にかかる時間を短縮できるだけでなく、誤操作や入力ミスによる手戻りを防ぎ、後処理時間を抑えられるのです。
たとえば、以下のようなショートカットキーを周知・推奨するとともに、業務上よく使用する単語を各オペレーターの端末に登録しましょう。
【活用効果が高いショートカットキー】
◆ブラウザ上で使えるショートカットキー ・表示するページを新規タブで開く:Ctrl+左クリック ◆文字入力時に使用するショートカットキー ・文字の切り取り:Ctrl+X |
電話対応中に入力できるようにする
電話対応中に記録を入力できるようにすると、後処理時間を大幅に短縮できます。
通話終了時点で入力が済んでいる項目があれば、後処理の作業量が減るためです。要点を簡潔にメモしておくだけでも、通話内容を思い出しながら記録内容を整理する時間を削減できます。
たとえば、選択式の項目や定型的な情報は通話中に入力し、それ以外は記録の中心となるワードをメモしておくといった方法が有効です。通話終了後は、そのメモを補足するだけで記録を完成させられます。
会話をしながら入力作業を行うスキルを身につけるために、人が話している動画や音声を聞きながら、重要なキーワードを選択・入力する練習をするのも一案です。
こうして電話対応と入力作業を同時進行できるオペレーターが増えるほど、後処理時間は着実に短縮していきます。
後処理時間が短いオペレーターのノウハウを共有する
後処理時間が短いオペレーターのノウハウを共有することで、センター全体の後処理時間を引き下げることができます。
後処理が早いオペレーターは、自分なりの工夫をしているケースが多いです。こうした工夫は個人のスキルに留まりがちですが、共有することで他のオペレーターも再現できるようになります。
たとえば、「通話中に入力する項目を明確に分けている」「メモの要点を定義している」などの工夫をヒアリングして、マニュアルやチェックリストに整理するとよいでしょう。
後処理が早いオペレーターに他のオペレーターの作業を観察してもらい、具体的な改善ポイントをアドバイスしてもらうのも効果的です。
3-3.音声認識システムを導入する
音声認識システムを導入すると、後処理時間を劇的に短縮できます。
音声認識システムが通話内容を自動でテキスト化・要約するため、オペレーターが一から情報を入力する必要がなくなるからです。
応対記録の作成が「白紙」ではなく「下書き済み」の状態から始まるため、作業負荷が格段に軽減します。オペレーターは内容を確認し、必要に応じて修正・補足をするだけでよく、場合によっては確認のみで記録が完成することもあります。
実際に、音声認識システムの導入支援をした三井住友トラストTAソリューション株式会社様では、従業員の総労働時間を年間で約9,200時間(約1割)削減できました。後処理時間の短縮が、全体の労働時間削減に大きく貢献した事例といえるでしょう。
こちらの事例について詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
参考:「導入事例:三井住友トラストTAソリューション株式会社」
このように、音声認識システムの導入は、可能であれば、積極的に検討したい施策です。
音声認識システムの導入ならトランスコスモスにご相談ください |
音声認識システムに関心をお持ちになった方は、ぜひトランスコスモスにご相談ください。 トランスコスモスがご提供する「transpeech」は、AIが音声を認識し、応対中のやり取りをリアルタイムでテキスト化するシステムです。認識率は90%を誇り、高精度な文字起こしが実現可能です。 さらに、対話要約AIを併用すれば、テキストを自動で要約することも可能です。 そのため、文字起こしした会話内容をそのまま応対記録にコピー&ペーストすることで、後処理時間を大幅に短縮できます。
ぜひ一度、詳細をご確認ください。 |
まとめ
本記事では、後処理時間が長くなる原因と短縮方法について解説しました。以下に要点をまとめます。
コンタクトセンター(コールセンター)の後処理時間が長くなる原因は、以下の3つです。
・入力時のルールが定まっていない |
コンタクトセンターの後処理時間を短縮するために効果的な方法は、以下の項目です。
【入力システム】 【オペレータースキル】 【自動化ツール】 |
後処理時間を短縮できると、センター全体の生産性が向上し、より質の高い顧客対応や成果創出が可能になります。
仕組みと人の両面から改善を進め、自センターに最適な運営体制を整えていきましょう。
Q&A
Q. 最短で効果を出すには何からやるべきですか?
A. テンプレート化から着手してください。最も効果が出やすく、すぐ改善できます。
Q. 一番やってはいけない改善は何ですか?
A. スキル教育から始めることです。仕組みを整えないと効果が出にくくなります。
Q. 音声認識はすぐ導入すべきですか?
A. いいえ。まずは入力ルールと項目整理を先に行うべきです。


