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VRマーケティングとは? 5つの事例から学ぶ活用メリットと注意点

「VRを活用したマーケティングとはどのようなものだろう?」
「VRとマーケティングがどう結び付くのかイメージしづらい…」

そのような疑問を感じているのではありませんか?

VRマーケティングとは、没入感やリアリティを得られるVRコンテンツによって、顧客に擬似的な体験を提供しながらPRなどを行うマーケティング手法のことです。

VRマーケティングとは

より印象に残りやすい“体験”を伴うPR・販促施策が可能となるため、マーケティングにVRを取り入れる企業が増えてきています。

令和5年版情報通信白書(総務省)』においても、「仮想空間を利用したバーチャル展示会、社内イベント等のオンラインイベントや教育・トレーニング、インターネット通販での接客やショッピング体験などの用途での利用が拡大している。」との記載があります。

ここ数年でVRを活用したマーケティングに取り組む企業が増えていて、さまざまな事例が出てきています。
黎明期には難しかった「成功事例から学んで実践する」ことが、いまなら可能です。

そこでこの記事では、VRを活用したマーケティングについて、業界別の事例と共に徹底的に解説します。

この記事で分かること

・VRを活用したマーケティングの概要
・VRマーケティングの業界別事例
・VRマーケティングのメリット
・VRをマーケティングに活用する際の注意点
・VRマーケティングがおすすめなケース
・VRマーケティングに取り組む方法

事例でVRマーケティングの実態がしっかり把握できて、実践していくための基礎知識が効率的に学べる内容となっています。

ぜひ参考にしてみてください。

1.VRを活用したマーケティングとは

VRを活用したマーケティングとは、VRコンテンツによって、顧客に擬似的な体験を提供しながらPRなどを行うマーケティング手法のことです。

VRマーケティングとは

没入感やリアリティを得られるVRコンテンツを用いることで、現実に近い体験を提供でき、顧客により強い印象を残すことが可能です。

“VR”と聞くと、ゴーグル型デバイスが必須というイメージがあるかもしれませんが、マーケティングにおいてはそうとも限りません。不特定多数の顧客を対象とする場合には、パソコンやスマートフォンで体験できるVRコンテンツ(Web上で閲覧可能な360°VR動画など)を活用するケースもあります。

以下のように、VRを取り入れる局面に応じて、適切なコンテンツを用意すると良いでしょう。

【ゴーグル型デバイスを用いるVRコンテンツを用意】
以下での製品(サービス)擬似体験
・展示会
・商談
・ショールーム

【パソコンやスマートフォンで体験できるVRコンテンツを用意】
・オンライン展示会のバーチャルブース
・Webセミナーのバーチャル会場
・オンラインツアー(内見、工場見学、観光地紹介など)

このように、特定の顧客と直接会う局面では、ゴーグル型デバイスを用いたVRコンテンツによって、よりリアルな体験を提供することで、成約や購入へつなげやすくなるはずです。

一方、オンライン上で不特定多数の相手にPRを行いたい場合は、誰もが気軽に見られるVRコンテンツを用いて、一般的な画像や動画よりも高い没入感を演出することで、関心を引きやすくなります。

このように、VRはマーケティング活動のさまざまな局面で活用することが可能なのです。

そもそもVRとはどういうものか詳しく知りたい場合は、以下の記事もご参考ください。

2.【業界別】VRマーケティングの事例5選

VRを活用したマーケティングがどのようなものか、大まかに説明しましたが、2章では業界別にVRマーケティングの事例をご紹介します。

2-1.旅行・観光

出典:長野県箕輪町「360°VRで巡る長野県箕輪町」

紅葉の名所で有名な長野県箕輪町では、特設サイトを作り、360°VR動画と360°VR静止画ツアーのコンテンツを公開しています。

上空から撮影した鮮やかな紅葉の景色は圧巻。VRだからこそ景色を独り占めして歩いているかのように堪能することができます。

スマートフォン連動型のVRゴーグルに対応しており、ゴーグルを装着すれば、実際にその場に居るかのような感覚を味わえますが、ゴーグルなしでも閲覧可能です。

とくに360°VR動画は、スマートフォンを動かすと上下左右に視点を振れるので、ゴーグルがなくても没入感を得られます。

箕輪町では、こうした施策を通して、以下のような効果を期待しています。

・首都圏からの誘客
・箕輪町ファンのさらなる愛着の醸成
・箕輪町に関心を寄せる関係人口の増加

※関係人口:仕事で訪れたことがある、継続的/複数回訪れたことがあるなど、地域に多様な形で関わる人のこと。

実際にコンテンツを見れば、VRが顧客の興味を惹きつけ、旅前の意思決定を促すのに有用であることがお分かりになるはずです。

2-2.大学・専門学校

出典:早稲田大学「VRキャンパスツアー」

早稲田大学は、オンライン上で、4つのキャンパスごとにVRキャンパスツアーを公開しています。
各VRツアーには現役学生による音声ガイドがついており、案内を聞きながらキャンパス内を見て回ることが可能です。

これにより、「説明を受けながら校内を見て回る」という実際のオープンキャンパスに近い体験が得られます。

また、早稲田キャンパス・戸山キャンパスのVRツアーでは、学生で賑わうキャンパス内の様子を見ることができます。オープンキャンパスは夏季休暇中や休日に行われることがほとんどなので、こうした“普段の様子”を確認できるのはVRツアーならではの楽しみです。

このようなキャンパスツアーを、“いつでも”楽しめることは、以下のように、学生の関心や意欲向上に役立ちます

・実際のオープンキャンパス当日に都合がつかなかった学生・保護者にVRキャンパスツアーを見てもらうことで、関心を引く

・勉強やプレッシャーに疲れたときにVRキャンパスツアーを見てもらうことで、実際のオープンキャンパスで感じた意欲を思い起こさせる

学生を確保するために、こうした受験生のモチベーション向上に寄与する施策が重要なことは言うまでもありません。

2-3.製造

出典:アサヒビール株式会社「スーパードライVR工場見学」

アサヒビール株式会社は、ビール飲用価値の再発見と特別な体験を演出する施策として、オンライン上で体験できる「スーパードライVR工場見学」を特設Webサイトで公開しています。

自宅にいながら工場見学が可能なうえ、VR・CG技術の活用により、通常のビール工場見学では見ることのできない製造設備内部の様子も分かります。

また、VRゴーグルを装着すると、頭の動きに合わせて360°展開される3Dのバーチャル映像が、よりリアルに体感可能です。

一般的に工場見学では、以下のような効果が見込まれますが、VR工場見学でもこうした効果を期待できます。

・製品への理解を深めてもらえる
・品質への信頼を獲得できる

さらに、オンラインで体験できるVR工場見学なら、いつでも・どこでも楽しめるため、通常の工場見学ではリーチできない層(遠距離圏の顧客、工場に足を運ぶほどではないけど関心を持ってくれている顧客など)とも接点を持てます

このように、VR工場見学は、顧客(ファン)との関係性強化に加えて、新規顧客の獲得にも有効といえるでしょう。

2-4.自動車

出典:日産自動車株式会社「日産のVRワールド&イベント」

日産自動車株式会社は、ソーシャルVRサービス「VRChat」内で、バーチャルギャラリー「NISSAN CROSSING」を公開しています。

仮想空間上に「NISSAN CROSSING」を再現するにあたり、実在のギャラリーを忠実に三次元化。
新車発表会や講演などの催しはもちろん、実際の自動車のデータを元に作ったハイクオリティーな3D自動車を公開し、顧客との新たなコミュニケーションの場として展開しました。

また「日産サクラ」の新車発表に際しては、試乗が可能なVR空間「NISSAN SAKURA Driving Island」も公開。より気軽な新車の試乗体験を実現させています。

こうしたVRコンテンツがあることで、次のような顧客にもアプローチしやすくなるはずです。

・ギャラリーやショールームが遠くてなかなか足を運べない
・新車に興味はあるけど、購入するかわからず、ギャラリーに出向くのは気が引ける
・試乗したいけど、手続きがわずらわしい

自動車の購入は、顧客にとって大きな買い物となるため、関心があっても実際にギャラリーやショールームへ足を運ぶのはハードルが高くなりがちです。

VRギャラリーなら、そのハードルがグッと下がり、自動車の価値や魅力を気軽に体感してもらいやすくなりますよ。

2-5.小売

出典:株式会社ニトリ「バーチャルショールーム」

株式会社ニトリは、公式通販サイト「ニトリネット」において、実際の店舗にいるかのような臨場感で買い物ができる「バーチャルショールーム」を開設しています。

スマートフォンやパソコンで閲覧できるバーチャルショールームでは、さまざまなショールームを見て回ることができ、商品に近づいてサイズを測ったり、コーディネートの参考にしたりできます。気に入った商品があれば、そのままサイト上で購入することも可能です。

このように、「店舗内を歩き回る〜気に入った商品を購入する」という一連の流れをWeb上で体感でき、実際の店舗に出向いているように買い物を楽しめます。

こうしたバーチャルショールームによって見込める効果としては以下のようなものがあります。

・店舗が遠くてなかなか足を運べない顧客の取り込み
・営業時間内に店舗に出向くのが困難な顧客の取り込み
・通販サイトにおける顧客体験の向上

小売業界におけるバーチャルショールームは、実店舗へ行くのが困難な顧客の取り込みや、通販サイトの既存顧客の継続利用率を高めるのに有用といえます。

3.VRをマーケティングに活用するメリット

事例を見てみると、マーケティングにVRを活用することに、どのような利点があるか見えてきました。
改めてそのメリットを整理すると、以下の4つにまとめることができます。

VRをマーケティングに活用するメリット

・リアルな顧客体験を届けられる
・時間や距離の制約がなくなる
・商品やブランドの価値を顧客に刻み込める
・データによる効果測定ができる

それぞれもう少し詳しく見ていきましょう。

3-1.リアルな顧客体験を届けられる

VRを活用することで、マーケティング施策を通してリアルな顧客体験を届けられます。

VRの最たる特徴は、疑似体験ができる点にあるからです。
プロモーションしたい商品やサービス、施設をVRで体験してもらうことで、一般的な動画や画像を用いた広告よりも圧倒的にリアルな顧客体験を提供できるのです。

この点を活かして、以下のような施策が考えられます。

・旅行・観光
現地の景色や施設を360°VR動画で配信し、実際に歩き回るような体験を提供。旅前の意思決定を促すプロモーションツールとして活用する。

・ホテル・宿泊施設
施設内のバーチャルツアーを公開し、リアルな雰囲気を伝えることで安心感・期待感を醸成。比較・検討段階にある顧客を逃さず予約件数の向上につなげる。

・不動産
VRモデルルームを公開し、内見での体験を再現。遠距離圏の顧客に対するアプローチや、完成前の物件のプロモーションを行う。

VRを活用してリアルな体験を届けることで、商品やサービスの「体験しないとわからない良さ」を伝えることができます。

このことが、顧客の意思決定に好影響を与えてくれるのです。

3-2.時間や距離の制約がなくなる

マーケティングにVRを活用することで、時間や距離の制約がなくなります。
スマートフォンやパソコン、あるいはゴーグル型のデバイスさえあれば、いつでも、どこにいても顧客はVRによる擬似体験が可能だからです。

この点は、以下のようなシーンで活きてきます。

・小売
実際の店舗を投影したバーチャル店舗をWeb上で公開し、実店舗が近くにない人や営業時間内に足を運ぶのが難しい人にも、店内を歩きながらの買い物を楽しんでもらう。

・不動産
顧客の最寄りの店舗でVRモデルルームによる内見を実施することで、遠くにある物件に何度も足を運ぶのが難しい顧客も取り込みやすくなる。

・エンタメ/美術館・博物館
実際の施設で提供しているコンテンツ(ショー、ゲーム、所蔵品など)をVR化して販売/展示することで、足を運ぶのが難しい人にも施設内での体験を提供する。

このように、リアルな体験を届けられるにも関わらず、時間・距離の制約はないため、リーチできる顧客の幅が広がりやすくなります

3-3.商品やブランドの価値を顧客に刻み込める

VRを活用することで、商品やブランドの価値を、顧客に刻み込むことができます。

商品の魅力や、ブランドの世界観を表現したVRコンテンツを提供することで、商品・ブランドの価値を「体験」を通して理解してもらえるからです。
「体験」は、言葉や映像よりも記憶に残りやすく、まさに刻み込むように価値を伝えられるのです。

この利点は、以下のように活用できます。

製造
商品の製造過程やブランドコンセプト、こだわりなどを、VR工場見学やバーチャルツアーを通して伝えることで、直感的に魅力を理解してもらう。

このように、商品やブランドの価値を「体験」として顧客の心に直接刻みこむことは、愛着心の醸成につながります。

結果的に、購買意欲の向上や、継続的な購入・利用にも貢献してくれるはずです。

3-4.データによる効果測定ができる

VRマーケティングでは、データによる効果測定が可能です。
Web上でVRコンテンツを提供する場合、解析ツールやプラットフォームで取得したデータが指標として利用できるからです。

そのように指標として利用できるデータには、たとえば以下のようなものがあります。

・アクセス数・再生回数
・滞在時間/視聴時間
・VRコンテンツ経由のコンバージョン数(率)  など

また、セグメントごとに効果を測定したい場合には、性別や年齢といったデータも利用できます。

このように、Webを通じてVRマーケティングを実施する場合には、従来のWeb施策と同じようにデータを使った効率的な効果測定が可能なのです。

4.VRをマーケティングに活用する際の注意点

VRをマーケティングに活用することには、多くのメリットがある一方で、注意すべきポイントもあります。

それが以下の3点です。

VRをマーケティングに活用する際の注意点

・導入費が必要
・効果を得るためには目的設定が重要
・VRならではの体験提供が必要

1つずつ説明します。

4-1.導入費が必要

1つ目の注意点として、導入費が必要なことが挙げられます。

新たなコンテンツを制作することになるので、VRコンテンツならではの費用項目が必要となる場合もあり、仕様によっては想定よりも高額になってしまいます。

例えば以下は、VRコンテンツを制作・公開するにあたって必要となる費用項目の一例です。

・VR映像の撮影、編集
・VR用の音声(ナレーション、立体音響など)
・3DCG制作(3DCGのオブジェクトや空間を制作する場合)
・コンテンツを公開するプラットフォーム利用料(有料プラットフォームを使用する場合)
・システム開発費(独自システムでVRコンテンツを提供する場合)
・ゴーグル型デバイス購入費(ヘッドマウントディスプレイなど)

VRコンテンツにはこういった費用が必要となり、コンテンツの形態や、公開・提供の仕方によりその金額は左右されます

POINT

一言にVRコンテンツといっても、映像・静止画ベースなのか、3DCGベースなのかによって形態も費用も異なります。また、VR動画としてコンテンツを提供するのか、バーチャルツアー型のコンテンツを提供するのかによっても、違いが出てきます。

4-2.効果を得るためには目的設定が重要

VRマーケティングで効果を得るためには、目的設定が重要なことを忘れてはいけません。
“VR”という新しい取り組みに気が大きくなるかもしれませんが、あくまでVRはマーケティングで成果を上げるための手段に過ぎません。

闇雲に取り入れるのではなく、しっかり目的設定を行ったうえで、それを実現するためにVRを活用するようにしてください。

POINT

目的設定をしたうえで効果的にVRを取り入れるため、まずは現状のマーケティング施策における課題の洗い出しから始めましょう。

◯◯な層にリーチできていない、顧客との交流を深められていないなどの課題を見つけ、その解決にVRを活用できないか検討してみてください。

4-3.VRならではの体験提供が必要

VRをマーケティングに活用するなら、顧客にVRならではの体験を提供することが欠かせません。

お伝えしているように、VRの最大の特徴であり利点は、擬似体験ができることです。この利点を最大限発揮したコンテンツを提供しないと、「費用をかけた割に効果が得られなかった」という結果になりかねないのです。

例えば、家具の販売サイトで、家具の画像だけをVR化してさまざまな角度から眺められるだけでは、商品画像がリッチになっただけで、「体験」を提供できているとはいえません。

「顧客にどのような(擬似)体験をしてもらうのか」を顧客の立場から考え、施策の目的達成に効果的な体験をデザインすることがVRマーケティングでは必要不可欠なのです。

POINT

顧客が商品やサービスを認知した時点から継続的な利用に至るまでの、実際の体験(CX)を改めて整理してみましょう。

このことで、顧客が「どのような体験により、意思決定をしたのか、満足を得たのか」ということが明らかになり、VRでの体験設計の大きなヒントを得られます。

5.VRマーケティングがおすすめなケース

メリットや注意すべき点を知ったうえで、自社でVRマーケティングに取り組むべきかどうか、改めて悩まれているかもしれませんね。

そのような方のためにお伝えすると、“現状より広く・深く顧客接点を持ちたい”場合は、マーケティングにVRを取り入れるのがおすすめです。

具体的には、以下の2つのケースがあてはまります。

VRマーケティングへの取り組みがおすすめなケース

・これまでより広い層にリーチしたい
・顧客とより深い関係を築きたい

それぞれのケースについて詳しく説明しますね。

5-1.これまでより広い層にリーチしたい

現状のマーケティング施策ではリーチできていない層の顧客にも、自社の商品やサービスに関心を持ってもらったり、利用してもらいたいならVRマーケティングはおすすめです。

VRをマーケティングに活用することで、時間や距離の制約を受けることなく商品・サービスを擬似的に体験できるからです。

これにより、

・営業時間内に店舗・施設を利用できない層
・距離的に店舗・施設・展示会等に出向くのが難しい層

を顧客として取り込むことができるようになります。

また、以下の調査結果からも分かるように、10〜20代のメタバース(インターネット上のVR空間)への関心は高い傾向にあります。

メタバースの利用状況を性別・年代別で表したグラフ

出典:Cotra「メタバースに関する利用実態_消費者調査2023」

このため、新たに若年層の顧客の関心を引きたい場合にもVRの活用は有効といえます。

このように、現状ではリーチできていない顧客にアプローチしたいなら、ぜひマーケティング施策にVRを取り入れてみてください

5-2.顧客とより深い関係を築きたい

これまでより顧客と深い関係を築きたい場合にも、VRマーケティングはおすすめです。

VRを用いて「体験」を提供することは、一方的な情報提供(従来の広告など)を行うよりも、製品・サービスや企業に対する親近感を醸成しやすいからです。

例えば工場見学について、一般的なWebサイトで工場内を紹介した場合と、VR動画で紹介した場合を比べてみましょう。

・一般的なWebサイトで紹介した場合
顧客は画像や通常の動画、テキストで製品の製造過程を学べるが、サイトから情報を一方的に与えられているだけなので印象には残りづらい。

・VR動画で紹介した場合
顧客はスマートフォンを自分の見たい方向へ動かしながら、製品の製造過程を学べる。自分で視点を変えられることで、実際に工場内を歩いているのと近い感覚を得られ、体験として強く印象に残る。

そもそも記憶や印象に残らなければ親近感は生まれづらいため、後者の方が親近感の醸成に有効であることがわかります。

このように、擬似体験の印象の強さによって顧客の親近感・愛着心を醸成しやすくなり、より深い関係性の構築につながるのです。

6.VRマーケティングを実施する方法3ステップ

次に6章ではVRマーケティングを実施する3ステップについて解説していきます。

VRマーケティングを実施する方法3ステップ

1. 目的を設定する
2. VRコンテンツを制作する
3. VR用のデバイスを用意する(必要な場合のみ)

6-1.【STEP1】目的を設定する

まずは、“VRを取り入れることで何を達成するのか”というマーケティング上の目的を設定します。

先述のとおり、VRはマーケティングで成果をあげるための手段に過ぎません。
事例を見て「自社でもやりたい!」と感じるコンテンツが出てくるかもしれませんが、どんなVRコンテンツを作るかより、「何のために」VRを活用するのかを先に考えましょう

このことで、“リード獲得数向上”や“リピート率向上”といった利益につながる目的達成に向けて、VRマーケティングを実施できるはずです。

6-2.【STEP2】VRコンテンツを制作する

目的が決まったら、VRコンテンツについて具体的に検討しましょう。

どのようなコンテンツを制作すべきかは、目的に応じて変わってくるはずです。

先ほどご紹介した事例や、以下を参考に、どのタイプのVRコンテンツを制作するか決めて、パートナー(VR事業を行う制作会社や支援会社)と共に制作を進めましょう。

マーケティングの目的別VRコンテンツ例

・目的がリード獲得の場合
→既存のVRプラットフォームを利用したバーチャル展示会やセミナー

・目的がECサイトの売り上げ向上の場合
→バーチャル店舗やバーチャルショールーム(既存プラットフォーム or 独自開発)

・目的が成約獲得の場合
→VR用デバイスによるリアルな製品(サービス)の擬似体験

・目的がブランディング・ファン育成の場合
→360°VR動画による工場見学、360°VR静止画による施設見学

※360°VR動画は、YouTubeでも公開可能です。

6-3.【STEP3】VR用のデバイスを用意する(必要な場合のみ)

ゴーグル型デバイスで体験するタイプのVRコンテンツを制作する場合は、デバイスも購入する必要があります。

デバイスの種類は多岐に渡り、それぞれで性能や特徴が異なりますし、コンテンツによっては、特定のデバイスでなければ閲覧できない場合もあります。

適切なものを選ぶため、パートナー会社と相談のうえ、どのデバイスを購入するか決めましょう。

VRマーケティングの実施をご検討中ならトランスコスモスまでご相談ください

VRを活用したマーケティングにご興味がある方は、詳しくはトランスコスモスにお問合せください。
トランスコスモスはVRやメタバースを新たなコミュニケーション領域と考え、

・ブランディングや展示会
・イベントなど来店/販促支援
・顧客接点の強化

などお客様企業のビジネスを成功させるため、あらゆる形で支援します。

また、VRマーケティングの目的設定段階から伴走させていただくことも可能です。
まずは、こちらでメタバースをご体験いただき、ぜひVRマーケティングのアイデアや構想を膨らませてみてください。

まとめ

以下に今回の要点をまとめておきます。

VRマーケティングとは
VRコンテンツによって、顧客に擬似的な体験を提供しながらPRなどを行うマーケティング手法のこと

マーケティングにVRを活用することには、以下のようなメリットがあります。

VRをマーケティングに活用するメリット

・リアルな顧客体験を届けられる
・時間や距離の制約がなくなる
・商品やブランドの価値を顧客に刻み込める
・データによる効果測定ができる

一方で、活用に際して、以下に注意する必要があります。

VRをマーケティングに活用する際の注意点

・導入費が必要
・効果を得るためには目的設定が重要
・VRならではの体験提供が必要

こうしたVRマーケティングは、次のケースにおいて、とくに実施がおすすめです。

VRマーケティングへの取り組みがおすすめなケース

・これまでより広い層にリーチしたい
・顧客とより深い関係を築きたい

実施する場合は、大まかに以下の順番で取り組みます。

VRマーケティングを実施する方法3ステップ

1. 目的を設定する
2. VRコンテンツを制作する
3. VR用のデバイスを用意する(必要な場合のみ)

VRはまだまだ新しい技術のように思われるかもしれませんが、すでにさまざまな業界でマーケティングへの活用が行われています。そうした事例を参考に、ぜひVRマーケティングに取り組んでみてください。