テレマーケティングとは、企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対し、フォローを行うダイレクトマーケティングの手法です。
もう少し詳しく説明すると、商品やサービスの購入や顧客満足度向上などを目的としたマーケティングの施策として、主に電話を使います。ターゲットとなる顧客には個別対応を行い、目的の達成を目指します。
テレマーケティングを営業活動に活用するには、メリットやコツを把握して導入を検討することが欠かせません。
そこでこの記事では、テレマーケティングの概要やメリット、成功のコツをまとめて解説していきます。
◎テレマーケティングとは
◎テレアポ、インサイドセールスとの違い
◎テレマーケティングの4つのメリット
◎テレマーケティングのデメリット
◎テレマーケティングは難しい?成果を出すための4つのコツ
この記事を最後まで読めば、テレマーケティングのメリットやコツが把握でき、適切な方法で導入できるはずです。テレマーケティングの効果を最大化するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
1.テレマーケティングとは
冒頭でも述べましたが、テレマーケティングとは、企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対しフォローを行うダイレクトマーケティングの手法です。
「マーケティング」という言葉が使われているように、商品やサービスの購入、顧客満足度向上などの施策を主に電話を用いて行います。テレマーケティングには、アウトバウンドとインバウンドの2通りがあります。
概要 | 目的 | |
アウトバウンド | 企業側から営業の電話を活用して、能動的な情報提供を実施する | ・商品購入やリピーターの獲得 |
インバウンド | ・商品やサービスに興味を持った顧客からの問い合わせ対応 | ・商品購入やリピーターの獲得 |
アウトバウンドのテレマーケティングは、企業側から電話をかけ、能動的な情報提供を実施します。例えば、顧客リストデータを参考に興味のありそうな商品の紹介や、実際に商品を使用して困ったことがないかどうかなどを聞き出します。
インバウンドのテレマーケティングは、大きく2つの役割に分かれます。
1つ目は、商品やサービスに興味を持った顧客からの問い合わせ対応です。雑誌やDMなどを見て自ら電話やメールをしてきた顧客に対し、商品やサービスの良さを訴求し購入を促します。
2つ目は、実際に商品やサービスを利用している顧客からのクレームや問い合わせ対応です。既存顧客をしっかりサポートすることで、顧客満足度の向上やリピーター獲得へとつなげます。
このように、テレマーケティングは企業の営業や顧客サポートの強化に役立ちます。売上アップや顧客満足度の向上など、企業の課題を効率よく解消するために活用できます。
2.テレアポやインサイドセールスとの違い
テレマーケティングと混合しやすい言葉に「テレアポ」と「インサイドセールス」があります。
どちらも言葉は似ていますが、テレマーケティングとは全く異なるものを指しています。どのような部分が異なるのか把握するために、意味の違いを解説していきます。
2-1.テレアポとの違い
テレアポ(テレフォンアポイントメント)とは、見込み客や潜在顧客に自社のサービスや商品を紹介、商談するためのアポイントを取る営業手法です。
テレマーケティングとテレアポは、どちらも主に電話を活用し顧客にアプローチをする点では同じですが、目的や達成すべき課題が違います。
テレアポは「アポイントメント」という言葉が使われているように、営業に代わりアポイントメントを取得することが目的です。
・後日の商談に向け、事前にアポイントメントを取得する
・営業から顧客に対し、電話やメールなどのアポイントメントを取得する
・後日店舗に来店頂く等の予定に対し、事前にアポイントメントを取得する
など、顧客と何らかの約束をすることがテレアポの成果となります。
一方で、テレマーケティングは、あくまでも「マーケティング」が目的です。
企業の課題に合わせて顧客満足度の改善や新規顧客の確保、技術的サポートの充実などの施策を行うために活用します。
テレアポ | テレマーケティング | |
手段 | 主に電話 | 主に電話 |
目的 | 営業の代わりにアポイントメントを取得する | 企業の課題に合わせて顧客満足度の改善や新規顧客の確保、技術的サポートの充実などの施策を行う |
ゴール | より多くのアポイントメントを取得する | 企業の課題やニーズをヒアリングする |
テレアポとテレマーケティングは似ている言葉ではありますが、使用する目的が異なるため使い分けが必要です。
2-2.インサイドセールスとの違い
言葉は似てないですが、何が違うんだろうということで混乱を招きやすいのがインサイドセールスとテレマーケティングです。
どちらも企業の課題やニーズをヒアリングすることは同様ですが、インサイドセールスは、テレマーケティングに加えて、「様々なチャネルを活用して継続的に関係を構築」していくことまで実施していきます。
テレマーケティングでは、主に電話を活用して営業や情報提供を実施して、課題やニーズを発掘したうえで、営業部門に見込み顧客を引き渡すのが一般的な対応になります。
但し、見込み顧客のニーズの質、あまり成熟されていない状態で渡されることで、営業が獲得できないといった課題も生じることがありました。
そこで、インサイドセールスという手法が活用されるようになり、見込み顧客の角度を上げるまで関係構築していくことを図るようになっています。
こちらの記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
ただ、営業がニーズの質を上げていくのか、インサイドセールスのような支援部隊を活用するのかは企業によって使い分けられるので、どちらの手法を選択しても問題はありません。
3.テレマーケティングの4つのメリット
テレマーケティングの概要が把握できたところで、テレマーケティングを導入するメリットが気になっている人も多いのではないでしょうか。
ここからは、下記の4つのテレマーケティングのメリットを解説していきます。
テレマーケティングの4つのメリット |
・効率よく営業活動ができる |
テレマーケティングを導入するべきか判断するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
3-1.効率よく営業活動ができる
1つ目は、効率よく営業活動ができるところです。テレマーケティングは非訪問型の営業となるので、顧客のもとまで出向く必要がありません。場所を問わず、電話を活用し営業活動ができます。
移動時間を削減できるのはもちろんのこと、移動しない分1日のうちにより多くの顧客にアプローチが可能です。例えば、訪問営業では1日2人程度の顧客の対応が限界でも、テレマーケティングなら少なくとも3倍以上(1日6人以上)にはアプローチできるでしょう。
また、国外やエリアを問わず対応できるため、顧客の移住地を限定せずアプローチが可能です。このように、時間や場所に縛られることなく営業活動ができるため、効率化が叶います。
3-2.既存顧客の満足度を向上できる
2つ目は、既存顧客へのサポートを重視でき満足度を向上できるところです。テレマーケティングでは既存顧客1人1人に直接サポートを行う事が可能になります。
アウトバウンドの場合は、企業側から「商品の使い心地はどうですか?」「お困りごとはありませんか?」などと既存顧客に寄り添う電話をして、ニーズや悩みを聞き出す事が可能です。顧客と接点を持ち続けられるように企業側からアプローチをすることで、長期的に良好な関係が築きやすくなります。
インバウンドの場合は、既存顧客の悩みや苦情に応じ、個別対応が可能です。問題解決時の顧客の真のニーズは、ストレスフリーな顧客体験です。テレマーケティングなら1人1人の要望や悩みに合わせて迅速な対応ができるため、顧客満足度の向上が期待できます。
3-3.営業利益の増加が見込める
3つ目は、営業利益の増加が見込めるところです。その理由は、2つあります。
①営業にかかるコストの削減
「3-1.効率よく営業活動ができる」でも述べた通りテレマーケティングは非対面営業なので、従来の営業活動に必要だった交通費や資料作成費などが削減できます。また、テレマーケティングは定められた営業時間内でのやり取りなので、対面営業に比べ残業が発生しにくく、人件費も抑えられるでしょう。
②ターゲットを絞り込みアプローチができる
テレマーケティングはマーケティングの要素を含んでいるので、新規顧客の開拓やリピーター獲得など、企業の課題に応じターゲットを絞り込んだアプローチが可能です。
たとえば、リピーター獲得の場合は直近3ヶ月以内に10,000円以上を購入した顧客が対象など、明確な基準を設けてアプローチをすることが多いです。その結果、営業利益の増加が見込める可能性を高くし、より効率よく成果につなげる事が可能になります。
このように、コストを削減し利益を最大化できるため、企業利益につながる営業活動ができるようになります。
3-4.顧客に合わせた個別対応ができる
4つ目は、顧客に応じた個別対応ができるところです。テレマーケティングは訪問型の営業活動と同様に、顧客の要望や悩みに応じて提案や解決策を提示できます。
たとえば、化粧品を販売したいときに一斉送信のDMやチラシでは、商品やサービスの情報しか提示できません。テレマーケティングなら、「肌にお悩みはありますか?」「化粧品を選ぶときに重視していることはありますか?」などと質問をし、顧客のニーズに合う商品をご紹介する事ができます。
その結果、商品やサービスの購入やリピートにつなげやすくなります。昨今は、商品やサービスに興味を持ち購入するまでの顧客体験価値が重要視されています。テレマーケティングを活用することで、顧客体験価値の高い営業活動ができるようになるでしょう。
4.テレマーケティングのデメリット
テレマーケティングのメリットが把握できたところで、気になるのはデメリットです。ここでは、あらかじめ把握しておきたいテレマーケティングのデメリットを解説していきます。
テレマーケティングの導入後に後悔しないためにも、事前にチェックしておきましょう。
4-1.導入に時間と手間がかかる
テレマーケティングは、すぐに実施できるものではありません。テレマーケティングは顧客への個別対応や企業の課題に応じた対応が求められるので、事前に準備が必要です。たとえば、
・顧客のデータをまとめるシート
・トークスクリプト
・FAQ
など、スムーズな回答ができる準備は欠かせません。また、テレマーケティングを実施するためのシステムの導入やオペレーターの用意など、事前に環境を整える必要があります。
テレマーケティングの成果が出せるように、事前に基盤を整える必要があることを念頭に置いておきましょう。
4-2.オペレーターの育成に時間がかかる
テレマーケティングでは、オペレーターは顧客に応じて臨機応変な対応をしなければなりません。マニュアルに沿ったメールや会話をするだけで良いわけではなく、高いレベルの技能/応対が求められます。
テレマーケティングの成果がオペレーターの技量に左右させないようにするためには、育成に時間を要します。研修の実施や個人スキルを向上させるための取り組みが欠かせないでしょう。
5.テレマーケティングは難しい?成果を出すための4つのコツ
テレマーケティングは難しいという声もありますが、ちょっとしたコツを知っていれば成果を実感できます。最後に、テレマーケティングで成果を出すためのコツを時系列に沿って解説していきます。
このコツを押さえればテレマーケティングで成果が出せるようになるので、ぜひチェックしてみてください。
5-1.テレマーケティングの目的を明確にする
まずは、テレマーケティングをする目的を明確にしましょう。「1.テレマーケティングとは」でも述べたように、テレマーケティングはマーケティングの要素を含んでいます。マーケティングは明確な目的がないと施策の内容が不明瞭となり、思ったような成果を発揮できません
・見込み客をターゲットとして新規顧客を獲得したい
・リピーターを増やしたい
・既存顧客をロイヤルカスタマーに成長させたい
など、テレマーケティングの目的を明らかにします。この目的に沿って事前準備をすることで、目的を意識したトークが行えるようになります。
5-2.事前準備をする
テレマーケティングの目的に合わせて、事前準備を行います。必ず用意しておきたいものは次の3つです。
①データシート
テレマーケティングをした顧客情報を書き込むシートを用意します。顧客から得た情報を忘れないように、すぐにメモをできるように準備しておきましょう。データシートの代わりにパソコンのシステム上に打ち込む場合や、音声録音をしてテキスト化する場合もあります。
②トークスクリプト
トークスクリプトは、テレマーケティングの目的を達成するための台本です。トークスクリプトを用意することで、必要な質問の抜け落ちやオペレーターの技術の均等化が図れます。
トークスクリプトには顧客との会話をどのように進めればいいのか、できるだけ具体的に記載をします。リピーター獲得を目的としたアウトバウンドのトークスクリプトなら、
①普段商品を購入している顧客へのお礼
②お困りごとはないかなど現状に関する質問
③商品に満足しているようなら、再度購入を勧める
④キャンペーンの紹介
といった流れで、具体的な会話を記載していきます。トークスクリプトは一度作成したら終わりではなく、実際に使いながら修正を繰り返し、精度を高めていくことが大切です。
③FAQ
トークスクリプトは大枠を示す台本でしたが、台本だけでは網羅できない想定される質問や難易度の高い質問はFAQにまとめておきます。
オペレーターが困ったときにFAQを見れば解決できる状態にしておくと、顧客とスムーズなやり取りができるようになります。トークスクリプトと同様にFAQも随時見直しを行い、必要な質問は随時追加をするようにしましょう。
このような事前準備をして、大抵の通話には焦らず対応できる基盤を整えておきます。
5-3.オペレーターの育成をする
テレマーケティングをするときに、重要となるのがオペレーターです。「4-2.オペレーターの育成に時間がかかる」でも述べたように、オペレーターの応対の質によってテレマーケティングの成果が左右されないように育成することが大切です。
オペレーターを育成するときは、下記のポイントを意識してみてください。
ポイント | 内容 |
テレマーケティングの目的を共有する | 新規顧客獲得や顧客満足度向上などテレマーケティングの目的を共有して、ゴールを意識してもらう |
トークスクリプトの練習をする | 基本的なトークに慣れるためにトークスクリプトを使用し練習をする |
応対品質を意識する | 通話でのやり取りの際の声のトーンや反応が顧客に与える影響が大きいので、応対品質を意識してもらう |
オペレーター同士で情報交換をする | オペレーター同士で情報交換をする場を設けて知識を深める |
テレマーケティングは個別対応が必要となるため、練習だけでは難しい部分がありますが、トークスクリプトや応対品質など基礎的な部分は練習で養えます。研修や個別指導をしながら、均一な応対ができるように育成をしていきましょう。
5-4.データを蓄積して活用する
テレマーケティングで得た顧客の情報は、企業にとって資産となります。商品やサービスのフィードバックが聞けたり、顧客が望む商品やサービスのヒントが隠されていたりするからです。
例えば、既存顧客から「商品に満足しているけれどもう少し使いやすいと嬉しい」「修理にも対応して欲しい」などの意見があった場合は、今後の商品開発やカスタマーサポートに活用できます。
顧客の本音を聞き出せる機会は少ないです。テレマーケティングで得た情報は毎回しっかりと記入し、企業内で共有できるようにしておきましょう。
6.トランスコスモスの「テレマーケティング」
トランスコスモスでは、インバウンドセールスやアウトバウンドセールスをサポートするテレマーケティングを提供しています。
まとめ
いかがでしたか?テレマーケティングとはどのようなものか把握でき、自社の営業活動への導入を検討できるようになったかと思います。
最後に、この記事の内容をまとめてみると
〇 テレマーケティングとは、企業と接点を持つ既存顧客や見込み客に対しフォローを行うダイレクトマーケティングの手法
〇テレアポやインサイドセールスの違いは下記のとおり
1)テレアポ(テレフォンアポイントメント)とは、見込み客や潜在顧客に自社のサービスや商品を紹介、商談するためのアポイントを取る営業手法。アポイントメントの取得が目的なので、テレマーケティングのようなマーケティング要素がない。
2)テレマーケティングは、課題やニーズの取得が目的。インサイドセールスは関係構築が目的。
〇テレマーケティングのメリットは次の4つ
1)非訪問型の営業活動なので時間にゆとりができ、効率よく営業活動ができる
2)既存顧客の満足度を向上できる
3)コスト削減と的を絞ったアプローチで営業利益の増加が見込める
4)顧客に合わせた個別対応ができる
〇テレマーケティングのデメリットは次の2つ
1)システム導入やオペレーターの育成など、導入に向けた事前準備が必要
2)個別対応が求められるのでオペレーターの育成に時間がかかる
〇テレマーケティングで成果を出すためのコツは次の4つ
1)テレマーケティングの目的を明確にする
2)システムだけでなく、データシートやスクリプト、FAQなど、オペレーターの応対の質を均一にするための準備をする
3)オペレーターの育成をする
4)テレマーケティングでの情報は蓄積して企業内で共有をする
この記事をもとにテレマーケティングとはどのようなものか把握でき、導入の検討ができることを願っています。